(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される管継手では、切削等にて第1管状継手部材および第2管状継手部材のフランジ部を形成する必要がある。このように、第1管状継手部材および第2管状継手部材に専用の加工を施す必要があることから、第1管状継手部材および第2管状継手部材のそれぞれに接続される各管は、第1管状継手部材および第2管状継手部材とは別部材であることが好ましい。しかしながら、特に高圧の流体が管継手内を流れる場合には当該管と各管状継手部材とを溶接する作業が必要となり、管と管との接続作業が煩雑となる。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、継手ユニットの組立作業を容易に行うことを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための手段として、本発明は、継手ユニットであって、第1流路、および、前記第1流路よりも外側の部位に設けられたねじ部を有する第1継手部材と、第2流路を有し、前記第1継手部材に螺合される第2継手部材と、前記第1継手部材と前記第2継手部材との間に配置され、前記第1流路と前記第2流路とを連通させる開口部を有するガスケットと、を備え、前記第2継手部材が、内部に前記第2流路を有する第2管部と、前記第2管部の外側に配置される筒状の第2締結部と、を備え、前記第2締結部が、前記第1継手部材の前記ねじ部と螺合される外側ねじ部を有する第2締結部本体と、前記第2締結部本体の前記第1継手部材から離れた端部よりも前記第1継手部材に近い位置に配置される環状の第2カラーと、を備え、前記第2カラーが、内周部に前記第2管部の外側面に接触する接触部、および、前記第2管部の延びる方向において前記第2締結部本体と接触する他の接触部を有し、前記第2締結部本体と前記第1継手部材との締結により前記第2カラーが前記第2管部を前記ガスケットに向かって押圧する継手ユニットを提供する。
【0007】
本発明では、第2カラーが設けられることにより第2管部がガスケットに押圧された状態で第1継手部材と第2継手部材とが固定される。このように、溶接等により管部と継手とを接合することなく、管部が継手に取り付けられるため、継手ユニットの組立作業を容易に行うことができる。
【0008】
また、本発明において、前記第2締結部本体が、前記第2カラーを内側に保持し、前記第2カラーを前記第1継手部材に向かって押圧する保持部を備え、前記第2管部の延びる方向に対して垂直な方向において前記保持部と前記第2カラーとの間に隙間が形成されてもよい。
【0009】
このようにすれば、第2締結部本体が第1継手部材に挿入される途上において、第2締結部本体の回転により第2カラーに回転力が作用してしまうことが抑制される。また、第2カラーが第2締結部本体の内側に配置されることにより第2継手部材の全長を短くすることができる。
【0010】
また、本発明において、前記第2管部が外周部に雄ねじ部を備え、前記第2カラーの前記内周部が、前記第2管部の前記雄ねじ部と螺合される内側ねじ部を備え、前記内側ねじ部と前記雄ねじ部との噛み合いにより、前記第2カラーが前記第2管部を前記ガスケットに向かって押圧してもよい。
【0011】
このようにすれば、第2カラーが第2管部を容易に押圧することができる。また、第2カラーを第2管部に容易に取り付けることができ、継手ユニットの組立作業をより容易に行うことができる。
【0012】
また、本発明において、前記外側ねじ部が雄ねじであり、前記外側ねじ部と前記第2管部の前記雄ねじ部とが逆ねじの関係であってもよい。
【0013】
このようにすれば、第2締結部本体を第1継手部材に挿入する際に、第2カラーと第2締結部本体との間に摩擦が生じても第2管部に対して第2カラーが緩んでしまうことが防止される。
【0014】
また、本発明において、第1継手部材および第2継手部材の少なくとも一方が、第2締結部と、第1継手部材との間の空間と外部とを連絡する連絡路を備えてもよい。
【0015】
この態様では、万一、第2管部とガスケットとの間から流体が漏出した場合には連絡路にて流体の漏出を確認することができる。これにより、継手ユニットおける流体の漏出の点検作業を容易に行うことができる。
【0016】
また、本発明において、前記第1継手部材が、前記第1流路を有する第1管部と、前記第1管部が挿入される第1カラーと、前記第1カラーを覆う第1締結部本体と、を備え、前記第1締結部本体が、前記外側ねじ部と螺合される前記ねじ部と、内側に向かって延び、前記第2管部から離れた前記第1カラーの部位に当接する当接部と、を備えてもよい。
【0017】
第1管部に対する第1カラーの位置を調整することにより、第1継手部材に対する第2継手部材の位置を容易に調整することができ、継手の組立作業をより容易に行うことができる。
【0018】
また、本発明において、前記第1管部が前記第2管部に近い端部に前記外側ねじ部とは逆ねじの関係である雄ねじ部を有し、前記第1カラーが内周部に前記雄ねじ部に螺合される雌ねじ部を有してもよい。
【0019】
このようにすれば、第1管部への第1カラーの取付作業を容易に行うことができる。また、第2締結部本体を第1継手部材に挿入する際に、第1カラーと第1締結部本体との間に摩擦が生じても第1管部に対して第1カラーが緩んでしまうことが防止される。
【0020】
また、本発明において、前記ガスケットが前記開口部の周囲にて、前記第1カラーとの間の第1空間および前記第2カラーとの間の第2空間を連通する連通路を形成する連通路形成部を備え、前記第1継手部材および前記第2継手部材の少なくとも一方が、前記第1空間および前記第2空間と外部とを連絡する連絡路を備えてもよい。
【0021】
この態様では、万一、第2管部とガスケットとの間または第1管部とガスケットとの間から流体が漏出した場合には連絡路にて流体の漏出を確認することができる。これにより、継手ユニットおける流体の漏出の点検作業を容易に行うことができる。
【0022】
また、本発明において、前記第1継手部材は、前記第1流路の延びる方向に対して垂直な方向における前記ガスケットの位置を固定する位置固定部を有してもよい。
【0023】
このようにすれば、ガスケットの第1継手部材に対する位置調整を容易に行うことができ、継手ユニットの組立作業がより容易となる。
【0024】
また、本発明は、継手ユニットであって、流路を有する2つの継手部材と、前記2つの継手部材を繋ぐ筒状の連結部と、前記2つの継手部材の間に位置し、前記2つの継手部材の前記流路を連通させる開口部を有するガスケットと、を備え、前記2つの継手部材のそれぞれが、内部に前記流路を有する管部と、前記管部の外側に配置される筒状の締結部と、を備え、前記締結部が、外周部に雄ねじ部を有する締結部本体と、前記締結部本体の前記連結部から離れた端部よりも前記連結部に近い位置に配置されるカラーと、を備え、前記カラーが、内周部に前記管部の外側面に接触する接触部、および、前記管部の延びる方向において締結部本体と接触する他の接触部を有し、前記2つの継手部材のそれぞれの前記雄ねじ部が互いに逆ねじの関係であり、前記連結部が、内周部に前記2つの継手部材の一方の雄ねじ部と螺合される第1雌ねじ部、および、他方の雄ねじ部と螺合される第2雌ねじ部を備え、前記2つの継手部材のそれぞれにおいて、前記締結部本体と前記連結部との締結により前記カラーが前記管部を前記ガスケットに向かって押圧する継手ユニットを提供する。
【0025】
本発明においても、継手ユニットの組立作業を容易に行うことができる。
【0026】
また、本発明において、前記2つの継手部材のそれぞれにおいて、前記締結部本体が、前記カラーを保持し、前記カラーを他方の継手部材の締結部本体に向かって押圧する保持部を備え、前記管部の延びる方向に垂直な方向において前記保持部と前記カラーとの間に隙間が形成されてもよい。
【0027】
また、本発明において、前記2つの継手部材のそれぞれにおいて、前記管部が、外周部に前記雄ねじ部とは逆ねじの関係である他の雄ねじを有し、前記カラーが、前記他の雌ねじに螺合される他の雌ねじを有してもよい。
【0028】
また、本発明において、前記ガスケットが前記開口部の周囲にて、前記2つの継手部材との間の空間を連通する連通路を形成する連通路形成部を備え、前記連結部または前記2つの継手部材の少なくとも1つが、前記空間と外部とを連絡する連絡路を備えてもよい。
【発明の効果】
【0029】
以上のように、本発明によれば、継手ユニットの組立作業を容易に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0032】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態の継手ユニット1について、
図1を参照しながら説明する。
【0033】
図1に示されるように、本実施形態の継手ユニット1は、第1継手部材100と、第2継手部材200と、第1継手部材100および第2継手部材200の間に配置されるガスケット300とを備えている。継手ユニット1には高圧の流体(例えばガス)が流れる。
【0034】
第1継手部材100は筒状であり、第1流路100aを形成する流路部102と、環状の段部104と、雌ねじ部138を有する取付部136とを備える。以下の説明では、
図1の左右方向である第1流路100aの延びる方向を「流路方向」という。なお、流路方向は後述の第2管部210の延びる方向に一致する。
【0035】
段部104の内径は、流路部102の内径よりも大きい。段部104の内側にはガスケット300が配置される。本実施形態では、流路方向に垂直な方向(以下、単に「垂直方向」という。)において、ガスケット300が段部104の内周面104aに当接している。すなわち、段部104は、垂直方向についてガスケット300の位置を固定する位置固定部として機能する。なお、ガスケット300の垂直方向の位置が固定されるのであれば、段部104の内周面104aの形状は円形に限らず、長孔形状等であってもよい。他の実施形態においても同様である。
【0036】
取付部136は第1流路100aよりも外側に位置する部位であり、取付部136の内径は、段部104の内径よりも大きい。取付部136の内周面には、雌ねじ部138が形成されている。本実施形態では、雌ねじ部138の巻き方向は、右向きに形成されている。取付部136には、当該取付部136を垂直方向(
図1の紙面に垂直な面に平行な方向)に貫通する連絡路100bが設けられている。すなわち、第1継手部材100と第2継手部材200との間に形成される空間S0は、連絡路100bを介して継手ユニット1の外部に繋がっている。
【0037】
第2継手部材200は、内部に第2流路200aを形成する第2管部210と、筒状の第2締結部220とを備える。第2管部210は第1継手部材100に近い先端部210a(すなわち、
図1の右側の端部)の外周面に設けられる雄ねじ部212を有する。本実施形態では、雄ねじ部212は左ねじである。先端部210aの厚さは第2管部210の他の部位の厚さと同程度である。第2管部210の内径は、流路部102の内径と略同じである。流路方向において第2管部210の先端部210aの端面全体がガスケット300に当接する。先端部210aの厚さが確保されることにより、先端に向かって先細りした形状の管部が相手部材に接する、いわゆる線シールタイプの継手ユニットに比べて流体の漏洩をより確実に防止することができる。
【0038】
第2締結部220は、第2管部210の外側に配置され、第2締結部本体230と、外周が円筒面である環状の第2カラー240とを有している。第2締結部本体230は、先端部236の外周に設けられた雄ねじである外側ねじ部238を有する。外側ねじ部238は右ねじであり、第2管部210の雄ねじ部212とは逆ねじの関係である。第2カラー240は、第2締結部本体230の第1継手部材100から離れた端部(
図1の左側の端部)よりも第1継手部材100に近い位置に配置される。第2カラー240は、内周部に雌ねじである内側ねじ部242を有する。
【0039】
第2締結部本体230の内周部では、第1継手部材100に近い部位236aの径が内周部の他の部位の径よりも大きい。当該部位236aの内側には第2カラー240が保持される。以下、部位236aを「保持部236a」という。垂直方向において、第2カラー240と保持部236aとの間には微小な隙間91が形成される。また、第2カラー240の第1継手部材100から離れた端部は、保持部236aと流路方向において接触する接触部である。
【0040】
継手ユニット1では、第2締結部220の外側ねじ部238が第1継手部材100の雌ねじ部138に螺合され、第2管部210の雄ねじ部212が第2カラー240の内側ねじ部242に螺合される。これにより、第1継手部材100と第2継手部材200とが強固に締結される。
【0041】
ガスケット300は、第1継手部材100および第2管部210により流路方向の両側から挟持される。ガスケット300は中央に開口部300aを有し、開口部300aが第1流路100aと第2流路200aとを連通する。ガスケット300の開口部300aの直径は、流路部102の内径および第2管部210の内径と略同じである。継手ユニット1では、ガスケット300が設けられることにより、第1継手部材100の流路部102と第2管部210との間が密閉され、第1および第2流路100a,200aを流れる流体が漏出してしまうことが防止される。継手ユニット1では、万一、第2管部210とガスケット300との間から流体が漏出した場合、漏出した流体が第2締結部220と第1継手部材100との間の空間S0から連絡路100bを介して継手ユニット1の外部へと導かれる。このように、漏出した流体を特定の方向に導くことにより継手ユニット1における流体の漏洩の点検作業を容易に行うことができる。
【0042】
継手ユニット1を組み立てる際には、まず、
図2に示すように、第1継手部材100の段部104の内側にガスケット300が配置される。ガスケット300の第1継手部材100への配置に並行して(または前後して)、第2管部210の先端部210aから第2締結部本体230が嵌め合わされる。次に、先端部210aに第2カラー240が螺合され、第2締結部本体230の保持部236aに第2カラー240が内嵌される。
【0043】
第2カラー240が保持部236aに保持されると、第2締結部本体230が第1継手部材100に挿入される。このとき、第2締結部本体230が取付部136に対して
図2の左側から見て時計回りに相対的に回転されてねじ込まれる。流路方向に平行な方向において、保持部236aは第2カラー240を第1継手部材100に向かって押圧する。
図1に示すように、第2カラー240は、内側ねじ部242と第2管部210の雄ねじ部212との噛み合いにより、第2管部210をガスケット300に向かって押圧する。これにより、第2管部210、ガスケット300および流路部102が密接する。また、第2カラー240と保持部236aとの間には微小な隙間91が設けられるため、第2締結部本体230が回転しても第2カラー240に回転力が作用してしまうことが抑制される。
【0044】
以上、本発明の第1実施形態について説明したが、継手ユニット1では、第2締結部本体230と第1継手部材100との締結により第2カラー240が第2管部210をガスケット300に向かって押圧する。ところで、特開2004−092915号公報に示されるように、2つの管状継手部材の当接箇所にフランジが設けられ、フランジが袋ナットと雄ねじによって締結される構造の場合、管状継手部材にフランジを設けるために切削等が行われる。専用の加工が施される管状継手部材とこれに接続される管とは別部材とする必要があり、管状継手部材と管とを溶接しなければならない。これに対し、継手ユニット1では、第2カラー240が設けられることにより、溶接作業を要することなく第2管部210を第1継手部材100に接続することができ、継手ユニット1の組立作業を容易に行うことができる。
【0045】
第2カラー240が保持部236a内に配置されるため、第2継手部材200の全長を短くすることができる。第2カラー240と保持部236aとの間に隙間91が設けられるため、継手ユニット1の組み立て時に第2締結部本体230の回転力が第2カラー240に作用することが抑制される。さらに、雄ねじ部212と外側ねじ部238とが逆ねじの関係であることから、保持部236aと第2カラー240との間に摩擦が生じても、第2管部210に取り付けられた第2カラー240が緩んでしまうことが防止される。第2カラー240では、内周部に設けられた雌ねじ部242が第2管部210の雄ねじ部212との接触部とされる。これにより、第2カラー240が第2管部210をガスケット300に向かって容易に押圧することができる。また、ねじ固定が利用されることにより第2カラー240が第2管部210に容易に取り付けられる。継手ユニット1では、第1継手部材100が位置固定部である段部104を有するため、ガスケット300の垂直方向における位置を固定した状態で第2継手部材200を第1継手部材100に挿入することができ、継手ユニット1の組立作業をより容易に行うことができる。
【0046】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る継手ユニット1aについて、
図3を参照しながら説明する。なお、第2実施形態の第2継手部材200の構造は、第1実施形態のそれと同じであり、同様の構成には同符号を付し、第2継手部材200の説明を省略する。
【0047】
図3に示す第1継手部材100は、内部に第1流路100aを形成する第1管部110と、第1カラー120と、第1締結部本体130とを備える。第1管部110は、第2管部210に近い先端部110a(すなわち、
図1の左側の端部)の外周に設けられる雄ねじ部112を有する。先端部110aの厚さは第1管部110の他の部位の厚さと同程度である。流路方向において、第1管部110の先端部110aの端面全体が、ガスケット300に当接する。第1管部110の内径は、第2管部210の内径と略同じである。本実施形態では、雄ねじ部112は左ねじであり、第2締結部本体230の外側ねじ部238とは逆ねじの関係である。
【0048】
第1カラー120は内周部に雌ねじ部122を有する。第1カラー120は第1管部110に挿入され、雌ねじ部122が雄ねじ部112に螺合される。第1締結部本体130は雌ねじ部138と、当接部133と、連絡路100bとを有する。雌ねじ部138は、第1締結部本体130の内周部において第2締結部220に近い部位136(すなわち、
図3の左側の部位)に形成される。雌ねじ部138は第2締結部本体230の外側ねじ部238に螺合される。当接部133は第2締結部220から離れた第1締結部本体130の部位132(すなわち、
図3の右側の部位)において内側に向かって延びる部分である。流路方向に平行な方向において、当接部133は第2管部210から離れた第1カラー120の部位123(
図3の右側の部位)と当接する。連絡路100bは雌ねじ部138と当接部133との間において第1締結部本体130を垂直方向に貫通する貫通孔である。
【0049】
第1締結部本体130の雌ねじ部138と当接部133との間には段部134が形成され、垂直方向においてガスケット300が段部134の内周面134aに当接している。これにより、ガスケット300の垂直方向における位置を容易に固定することができる。また、段部134の内側には第1カラー120も配置され、垂直方向において第1カラー120と段部134との間には隙間92が形成される。
【0050】
図4は、
図3の矢印IVの位置にてガスケット300を切断した断面図である。
図4では、段部134の断面の一部も示している。以下の
図6および
図7においても同様である。ガスケット300の外周部の一部に切欠状の連通路形成部300bが形成され、
図3および
図4に示すように、連通路形成部300bと段部134の内周面134aとの間に連通路390が形成される。
図3に示すように、継手ユニット1では、連通路390により、第1管部110、第1カラー120、ガスケット300および第1締結部本体130により囲まれる第1空間S1と、第2管部210、第2カラー240、ガスケット300、第2締結部本体230および第1締結部本体130により囲まれる第2空間S2とが連通される。連絡路100bは第1空間S1および第2空間S2と外部とを連絡する。第1および第2空間S1,S2に漏出した流体を連絡路100bに導くことにより、継手ユニット1における流体の漏出の点検作業を容易に行うことができる。
【0051】
継手ユニット1aでは、第2締結部本体230の外側ねじ部238と第1締結部本体130の雌ねじ部138との螺合、第2カラー240の雌ねじ部242と第2管部210の雄ねじ部212との螺合、および、第1カラー120の雌ねじ部122と第1管部110の雄ねじ部112との螺合により第1継手部材100と第2継手部材200とが強固に締結される。
【0052】
継手ユニット1aを組み立てる際には、まず、第1管部110に第1締結部本体130が嵌め合わされる。次に、第1管部110の雄ねじ部112に第1カラー120が螺合され、第1カラー120と第1締結部本体130の当接部133とが流路方向に平行な方向において当接する。第1継手部材100では、第1カラー120と第1管部110とがねじ固定されるため、第1管部110に対する第1カラー120の流路方向における位置を容易に調整することができる。
【0053】
第1継手部材100が組み立てられると、段部104の内側にガスケット300が配置される。段部104はガスケット300の垂直方向の位置を固定する位置固定部としての役割を果たす。第1継手部材100の組み立てに並行して(または前後して)、第2管部210の先端部210aから第2締結部本体230が嵌め合わされる。次に、先端部210aに第2カラー240が螺合され、第2締結部本体230の保持部236aに保持される。
【0054】
第1継手部材100および第2継手部材200が組み立てられると、第2締結部本体230が第1継手部材100に挿入される。このとき、第2締結部本体230は第1締結部本体130に対して
図3の左側から見て時計回りに相対的に回転される。流路方向に平行な方向において、保持部236aは第2カラー240を第1継手部材100に向かって押圧し、第2カラー240は、内側ねじ部242と第2管部210の雄ねじ部212との噛み合いにより、第2管部210をガスケット300に向かって押圧する。同時に、当接部133は第1カラー120を第2継手部材200に向かって押圧し、第1カラー120は、雌ねじ部122と第1管部110の雄ねじ部112との噛み合いにより、第1管部110をガスケット300に向かって押圧する。その結果、第2管部210、ガスケット300および第1管部110が密接する。
【0055】
第2実施形態では、第2カラー240および第1カラー120が設けられることにより、溶接作業を要することなく第1管部110と第2管部210とをガスケット300を介して接続することができ、継手ユニット1aの組立作業を容易に行うことができる。
【0056】
継手ユニット1aでは、垂直方向において、第2カラー240と保持部236aとの間に微小な隙間91が設けられ、第1カラー120と第1締結部本体130との間にも微小な隙間92が設けられており、第2締結部本体230の挿入途上において、第2カラー240および第1カラー120に回転力が作用してしまうことが抑制される。さらに、第2締結部本体230の外側ねじ部238と第2管部210の雄ねじ部212とが逆ねじの関係であることにより、第2カラー240と第2締結部本体230との間に摩擦が生じても、第2カラー240が第2管部210に対して緩んでしまうことが防止される。同様に、外側ねじ部238と第1管部110の雄ねじ部112とが逆ねじの関係であるため、当接部133と第1カラー120との間に摩擦が生じても第1カラー120が第1管部110に対して緩んでしまうことが防止される。
【0057】
第1カラー120が第1締結部本体130により覆われるため、第1継手部材100の全長を短くすることができる。第2継手部材200においても同様である。
【0058】
ねじ固定を利用することにより第2管部210への第2カラー240の取付作業および第1管部110への第1カラー120の取付作業を容易に行うことができる。
【0059】
第2実施形態では、継手ユニット1aを組み立てる際に、第1継手部材100に対して第2継手部材200を相対的に回転してもよい。
【0060】
図5はガスケットの他の例を示す断面図である。ガスケット301には開口部300aの周囲に1つの貫通孔である連通路形成部301bが形成される。継手ユニット1aには連通路形成部301bにより連通路390が設けられる。これにより、
図3に示す第1および第2空間S1,S2が連通され、第1および第2空間S1,S2に漏出した流体を連絡路100bを介して外部へと導くことができる。
【0061】
図6はガスケットの変形例を示す断面図である。ガスケット302の外縁部302aは略矩形状である。ガスケット302が段部134に配置された状態において、ガスケット302の角部302bが段部134に垂直方向に当接する。これにより、ガスケット302の垂直方向における位置を固定することができる。継手ユニット1aでは、角部302bの間に位置する外縁部302aの4つの直線部302c、および、段部134の内周面134aにより4つの連通路390が形成される。このように、ガスケット302では、直線部302cが連通路形成部としての役割を果たす。
【0062】
図7はガスケットの変形例を示す断面図である。ガスケット303の外縁部303aは略三角形状である。
図6と同様に、ガスケット303の角部303bは段部134の内周面134aに垂直方向に当接する。ガスケット303では、3つの直線部303cが連通路形成部であり、直線部303cと段部134との間に3つの連通路390が形成される。
【0063】
以上に説明したように、開口部300aの周囲に連通路を形成する連通路形成部が設けられるのであれば種々の形状のガスケットが採用されてよく、5以上の角部を有する多角形のガスケットが利用されてもよい。また、第1継手部材100の段部134との間に開口部300aの中心軸を挟んで2つの当接箇所が設けられるのであれば、楕円形状などのガスケットが利用されてもよい。第1実施形態および以下の第3実施形態においても同様である。
【0064】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態の継手ユニット1bについて、
図8を参照しながら説明する。
【0065】
本実施形態の継手ユニット1bは、2つの継手部材400,500と、2つの継手部材400,500を繋ぐ筒状の連結部600と、2つの継手部材400,500の間に配置されるガスケット300とを有する。以下、2つの継手部材のうち
図8の右側を「第1継手部材400」と呼び、左側を「第2継手部材500」と呼ぶ。第1継手部材400は、内部に第1流路400aを形成する第1管部410と、筒状の第1締結部420と、を有する。第1管部410は、第2継手部材500に近い先端部410a(すなわち、
図1の左側の端部)の外周に設けられる雄ねじ部412を有する。雄ねじ部412は左ねじである。
【0066】
第1締結部420は、第1管部410の外側に配置される。第1締結部420は、第1締結部本体430と、外周が円筒面である環状の第1カラー440と、を有する。第1カラー440は、第1締結部本体430の連結部600から離れた端部よりも連結部600に近い位置に配置される。第1締結部本体430は、外周部に設けられた雄ねじ部438を有する。雄ねじ部438は右ねじであり、第1管部410の雄ねじ部412とは逆ねじの関係である。第1締結部本体430の内周部のうち、第2継手部材500に近い位置に内径が他の部位よりも大きい保持部436が設けられる。保持部436には第1カラー440が保持される。第1カラー440の第2継手部材500から離れた端部は、第1管部410の延びる方向である流路方向において保持部436aと接触する。なお、流路方向は第2管部510の延びる方向にも一致する。第1カラー440は、内周部に雌ねじ部422を有する。第1カラー440の雌ねじ部422は第1管部410の雄ねじ部412に螺合される。流路方向に垂直な方向である垂直方向において、第1カラー440と保持部436との間には隙間91が形成される。
【0067】
第2継手部材500は、第1継手部材400を
図8の左右に反転させた構造と同様であり、第2流路500aを形成する第2管部510と、筒状の第2締結部520とを有する。第2管部510は、第1継手部材400に近い先端部510a(すなわち、
図1の右側の端部)の外周面に設けられた雄ねじ部512を有する。雄ねじ部512は右ねじである。
【0068】
第2締結部520は、第2管部510の外側に配置される。第2締結部520は、第2締結部本体530と、外周が円筒面である環状の第2カラー540と、を有する。第2カラー540は、第2締結部本体530の連結部600から離れた端部よりも連結部600に近い位置に配置される。第2締結部本体530は、外周部に設けられた雄ねじ部538を有する。雄ねじ部538は左ねじであり、第1締結部本体430の雄ねじ部438および第2管部510の雄ねじ部512とは逆ねじの関係である。第2締結部本体530の内周部のうち、第1継手部材400に近い位置に保持部536が設けられ、保持部536に第2カラー540が保持される。第2カラー540の第1継手部材400から離れた端部は、保持部536aと流路方向において接触する。第2カラー540は、内周部に雌ねじ部522を有する。第2カラー540の雌ねじ部522は第2管部510の雄ねじ部512に螺合される。垂直方向において、第2カラー540と保持部536との間には隙間91が形成される。
【0069】
連結部600の内周面は円筒面である。連結部600は、第1雌ねじ部602と、第2雌ねじ部604と、連絡路605とを有する。第1雌ねじ部602は、連結部600の内周部のうち第1締結部本体430に近い部位に設けられ、第1締結部本体430の雄ねじ部438と螺合される。第2雌ねじ部604は、連結部600の内周部のうち第2締結部本体530に近い部位に設けられ、第2締結部本体530の雄ねじ部538と螺合される。連絡路605は、中央近傍にて連結部600を垂直方向に貫通する貫通孔である。
【0070】
ガスケット300は中央に第1流路400aと第2流路500aとを連通させる開口部300aを有する。ガスケット300の外縁部は円形である。ガスケット300は第1管部410および第2管部510により流路方向の両側から挟持される。また、垂直方向において、ガスケット300の外縁部が連結部600の中央部に当接する。本実施形態では、連結部600が、垂直方向におけるガスケット300の位置を固定する位置固定部としての役割を果たす。ガスケット300の開口部300aの周囲には
図4と同様の連通路形成部300bが設けられ、第1および第2継手部材400,500のそれぞれとガスケット300との間の空間を繋ぐ連通路390が形成される。なお、
図8では、ガスケット300の連通路形成部300bを含む断面とは異なる断面を示している。これにより、当該空間に漏出した流体が連絡路605を介して外部に導かれる。
【0071】
以上のように、継手ユニット1bでは、第1締結部本体430の雄ねじ部438が連結部600の第1雌ねじ部602に螺合され、第1管部410の雄ねじ部412が第1カラー440の雌ねじ部422に螺合される。さらに、第2締結部本体530の雄ねじ部538が連結部600の第2雌ねじ部604に螺合され、第2管部510の雄ねじ部512が第2カラー540の雌ねじ部522に螺合される。これにより、第1継手部材400と第2継手部材500とが強固に締結される。
【0072】
継手ユニット1bでは、第1締結部本体430の先端部に形成された穴部439、ガスケット300の開口部300aの周囲に形成された貫通孔300cおよび第2締結部本体430の先端部に形成された穴部539に回り止めピン700が挿入される。これにより、第2継手部材500に対して第1継手部材400が相対的に回転してしまうことが防止される。
【0073】
継手ユニット1bを組み立てる際には、まず、第1管部410の先端部410aから第1締結部本体430が嵌め合わされる。次に、第1カラー440が先端部410aに螺合され、第1締結部本体430の保持部436に保持される。第1継手部材400の組み立てに並行して(または、前後して)、第2継手部材500が第1継手部材400と同様の手順にて組み立てられる。すなわち、第2管部510の先端部510aから第2締結部本体530が嵌め合わされ、先端部510aに螺合された第2カラー540が第2締結部本体530の保持部536に保持される。
【0074】
次に、第2締結部本体530の先端部の穴部539およびガスケット300に回り止めピン700が挿入されるとともに、連結部600内にガスケット300が配置される。そして、第1管部410の中心軸と第2管部510の中心軸とを一致させるとともに、流路方向において第1締結部本体430の穴部430aと回り止めピン700とが重なる状態にして、第1締結部本体430が連結部600の第2締結部本体530とは反対側に配置される。
【0075】
第1継手部材400および第2継手部材500に対して連結部600が
図8の右側から見て反時計回りに相対的に回転される。これにより、第1締結部本体430および第2締結部本体530が連結部600にねじ込まれる。第1継手部材400では、流路方向に平行な方向において第1締結部本体430の保持部436aが第1カラー440を第2締結部本体530に向かって押圧する。第1カラー440は、雌ねじ部422と第1管部410の雄ねじ部412との噛み合いにより、第1管部410をガスケット300に向かって押圧する。同様に、第2継手部材500においても、流路方向に平行な方向において第2締結部本体530の保持部536aが第2カラー540を第1締結部本体430に向かって押圧し、第2カラー540は、雌ねじ部522と第2管部510の雄ねじ部512との噛み合いにより、第2管部510をガスケット300に向かって押圧する。
【0076】
継手ユニット1bでは、回り止めピン700が設けられることから、連結部600を回転させる際に、第1継手部材400と第2継手部材500とが互いに相対的に回転してしまうことが防止される。
【0077】
以上に説明したように、第3実施形態では、第1締結部本体430と連結部600との締結により第1カラー440が第1管部410をガスケット300に向かって押圧する。第2締結部本体530においても同様である。このように、第1および第2カラー440,540が設けられることにより、溶接作業を要することなく第1および第2管部410,510を接続することができ、継手ユニット1bの組立作業を容易に行うことができる。
【0078】
垂直方向において第1カラー440と保持部436との間および第2カラー540と保持部536との間に隙間91が設けられるため、継手ユニット1aの組立途上において、第1および第2カラー440,540に回転力が作用してしまうことが抑制される。第1締結部本体430の雄ねじ部438と第1管部410の雄ねじ部412とが逆ねじの関係であることにより、第1カラー440と第1締結部本体430との間に摩擦が生じても、第1カラー440が第1管部410に対して緩んでしまうことが防止される。第2継手部材500においても同様である。
【0079】
第1カラー440では、内周部に設けられた雌ねじ部442が第1管部410の雄ねじ部412との接触部とされる。これにより、第1カラー440が第1管部410をガスケット300に向かって容易に押圧することができる。同様に、第2カラー540では、雌ねじ部542が第2管部510との接触部とされ、第2カラー540が第2管部510を容易に押圧することができる。また、ねじ固定が利用されることにより、第1カラー440が第1管部410に容易に取り付けられる。第2継手部材500においても同様である。
【0080】
第3実施形態では、継手ユニット1bの組立時に、第1および第2継手部材400,500を連結部600に対して相対的に回転させてもよい。また、第2締結部本体530に連結部600が仮固定された後、回り止めピン700およびガスケット300が連結部600内に配置されてよい。第1締結部本体430、連結部600、ガスケット300および回り止めピン700が仮固定された状態で、第2締結部本体530および第1締結部本体430が連結部600により連結されてもよい。このように、第1継手部材400、第2継手部材500、連結部600、ガスケット300および回り止めピン700の組み立ては様々な手順にて行われてよい。
【0081】
以上、本発明の実施形態について説明したが、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0082】
例えば、第1実施形態では、第2締結部本体230の外側ねじ部238および第2管部210の雄ねじ部212は、互いに逆ねじの関係であればいずれの向きのねじが利用されてもよい。第2実施形態では、第2締結部本体230の外側ねじ部238と、第2管部210の雄ねじ部212および第1管部110の雄ねじ部112とが互いに逆ねじの関係であればいずれの向きのねじが利用されてもよい。第3実施形態における第1管部410の雄ねじ部412と第1締結部本体430の雄ねじ部438との間の関係、第2管部510の雄ねじ部512と第2締結部本体530の雄ねじ部538との間の関係、および、第1締結部本体430の雄ねじ部438と第2締結部本体530の雄ねじ部538との間の関係においても同様である。
【0083】
第1実施形態では、第2継手部材200の第2締結部本体230に雌ねじが設けられ、第1継手部材100の取付部136に当該雌ねじと螺合される雄ねじが設けられてもよい。第2実施形態においても、第2締結部本体230に雌ねじが設けられ、第1継手部材100の第1締結部本体130に当該雌ねじと螺合される雄ねじが設けられてもよい。
【0084】
第1実施形態では、第2締結部本体230が他の部材を介して第2カラー240を間接的に押圧してもよい。第2カラー240の内周部に突起が設けられ、当該突起が第2管部210の外側面に設けられた溝部と嵌り合うことにより第2カラー240が第2管部210を押圧してもよい。他の実施形態の第1継手部材および第2継手部材においても同様である。
【0085】
図4および
図5に示すガスケット300,301では、複数の連通路形成部300b,301bが設けられてもよい。
【0086】
第1実施形態では、第2締結部本体230を流路方向に貫通する連絡路が設けられてもよい。第2実施形態においても同様である。第3実施形態では、第1締結部本体530または第2締結部本体430に連絡路が設けられてよい。