特許第6518076号(P6518076)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6518076-受光素子を有する光検出半導体装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6518076
(24)【登録日】2019年4月26日
(45)【発行日】2019年5月22日
(54)【発明の名称】受光素子を有する光検出半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20190513BHJP
   H01L 31/10 20060101ALI20190513BHJP
   H01L 31/02 20060101ALI20190513BHJP
【FI】
   H01L27/146 A
   H01L31/10 A
   H01L31/02 A
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-27888(P2015-27888)
(22)【出願日】2015年2月16日
(65)【公開番号】特開2016-152272(P2016-152272A)
(43)【公開日】2016年8月22日
【審査請求日】2017年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エイブリック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小山 威
【審査官】 田邊 顕人
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−226777(JP,A)
【文献】 特開2014−120626(JP,A)
【文献】 特開2013−021014(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/001939(WO,A1)
【文献】 特開2004−241402(JP,A)
【文献】 特開2000−012889(JP,A)
【文献】 特開平04−111479(JP,A)
【文献】 特開平11−068144(JP,A)
【文献】 特開平05−037002(JP,A)
【文献】 特開平06−112516(JP,A)
【文献】 特開2007−201432(JP,A)
【文献】 特開2000−311997(JP,A)
【文献】 特開2007−005792(JP,A)
【文献】 特開2006−041189(JP,A)
【文献】 特開2007−073864(JP,A)
【文献】 特開2011−159985(JP,A)
【文献】 特開2000−252507(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H01L 31/02
H01L 31/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型の半導体基板と、
前記半導体基板の表面から内部にかけて設けられた、側面および底部において前記半導体基板との間でフォトダイオードを形成する円形の第2導電型のウェル領域と、
前記ウェル領域の内部に同心円状に設けられた第2導電型の半導体領域と、
前記ウェル領域の周囲から前記半導体領域の周囲までを覆う素子分離領域と、
を有する受光素子を有する光検出半導体装置。
【請求項2】
前記フォトダイオード上の前記ウェル領域を含む領域に円形に開口され、前記ウェル領域以外の領域を覆う遮光用配線層が配置されていることを特徴とする請求項1記載の受光素子を有する光検出半導体装置。
【請求項3】
前記遮光用配線層が複数積層されていることを特徴とする請求項2記載の受光素子を有する光検出半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受光素子を有する光検出半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CMOSイメージセンサは一般的に受光素子として、受光素子が1次元あるいは2次元に配列された、受光部画素アレイにて構成されている。画素はPN接合によるフォトダイオード型光検出器にて構成され、入射光が半導体基板内部に吸収され、発生したキャリアは該フォトダイオードの空乏層部にて再結合し、電圧または電流として出力を得ることができる。
【0003】
CMOSイメージセンサを用いる機器の高速化の要求により、CMOSイメージセンサの読み出し時間が短くなるために、該フォトダイオード内に蓄積されたキャリアは、キャリア取り出し口となる電極まで到達できず、次読み出し時に残像となって現れる場合がある。また、CMOSイメージセンサを高感度にするために受光素子面積を大きくすると、受光素子端部とキャリア取り出し用電極までの距離が長くなり、キャリアが拡散によって移動する距離よりも大きくなり、残像が生じる。
【0004】
残像を生じなくするための改善策として受光素子内に電位勾配をつけ、ドリフトによりキャリアの移動速度を増加させることで残像を低減させる方法が提案されている。(例えば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−237614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら受光素子内に電位勾配を設ける場合、電位差を消滅させるための期間が必要となり、高速化の要求を満たすことが出来ない。そこで、本発明は、全方位からの一様なキャリアの取り出しを可能にし、高速化の要求に対応可能なイメージセンサを有する受光素子を有する光検出半導体装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、光検出半導体装置を以下のように構成した。第一導電型半導体基板と、前記半導体基板との接合によりフォトダイオードを構成する円形の第二導電型半導体領域と、前記第二半導体領域内に設けられた円形の第三導電型高濃度領域と、を備えた受光素子であり、複数の前記フォトダイオードがアレイ状に配置されることを特徴とする受光素子を有する光検出半導体装置とした。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、受光素子端部とキャリア取り出し用電極までの距離が等しくなり、全方位からキャリアの一様な取り出しが可能となり、残像を低減した受光素子を有する光検出半導体装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施例である光検出半導体装置の受光素子の平面図である。
図2図1に示した光検出半導体装置のA−A切断面による断面図である。
図3】本発明の第2の実施例である光検出半導体装置の受光素子の平面図である。
図4図3に示した光検出半導体装置のB−B切断面による断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では図面を用いて、発明を実施するための形態を実施例により説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は、本発明による光検出半導体装置の第1の実施例を示す平面図であり、受光素子であるフォトダイオードが形成された受光部を示している。図2は、図1に示した光検出半導体装置の切断面A−Aに沿った断面図である。
受光部1は、P型の半導体基板2と、N型ウェル領域3と、P型半導体領域4と、N型半導体領域5と、カソード電極6と、素子分離領域7と、絶縁層8、とを備えている。
【0012】
半導体基板2は、例えばシリコンを材料として単結晶となるように形成されたものである。絶縁膜8は例えば、シリコン酸化物またはシリコン窒化膜からなり、半導体表面の保護膜として機能する。N型ウェル領域3は、半導体基板2の表面から内部にかけて、N型の不純物が拡散されたウェル領域であり、半導体基板の上部から見た平面視では円形をしている。半導体基板2とのPN接合により、フォトダイオード9を形成している。
【0013】
N型半導体領域5はN型の不純物が高濃度に拡散された領域であり、N型ウェル領域3の内部に同心円状に設けられている。カソード電極6は、N型半導体領域5の中心に設けられた金属材料からなり、例えばスパッタ法等により円形あるいは矩形状に形成され、N型半導体領域5を介してN型ウェル領域3と電気的に接続されている。
【0014】
フォトダイオード9においては、カソード電極6の電位が、アノードを構成するP型の半導体基板2の電位よりも高くなるようにバイアスを印加することで、半導体基板2とN型ウェル領域3の間に空乏層が広がり、入射した光が発生したキャリアを取り込むための光感知領域として機能する。空乏層はPN接合に沿って拡がるので、本実施例では空乏層は円中の側面および底部からなる形状をしている。茶筒あるいはコップのような形状である。
【0015】
P型半導体領域4は、N型ウェル領域3を囲むように半導体基板2の表面に沿って形成されている。半導体基板2の表面の反転を防ぐのが目的である。
N型ウェル領域3の表面には厚い酸化膜からなる素子分離領域7が配置されている。素子分離領域7はN型半導体領域5の周囲まで配置され、N型半導体領域5の形状を規定している。N型半導体領域5の表面には配置されないので、素子分離領域7は内側に円形の穴がある形状をしている。素子分離領域7のN型ウェル領域3の外側となる領域の形状は矩形でも円形でも良いので、素子分離領域7は外形が矩形あるいは円形のドーナツ形状となる。隣接するフォトダイオードの周囲に形成される素子分離領域と連続して形成しても良いし、分離して形成しても良い。連続した場合は、ドーナツ形状は連続し、分離したドーナツ形状とはならないことは言うまでも無い。
【0016】
受光部1に光L1が入射すると、光L1は絶縁膜8、及び素子分離領域7を透過し、照射光L1の各波長成分は光エネルギーに従い、半導体基板2の内部に達し、キャリアを発生させる。キャリアは拡散し、PN接合の空乏層領域まで達すると、電圧または電流として出力を得る。本実施例では、N型半導体領域5をN型ウェル領域3の中央に配置し、N型半導体領域5及びN型ウェル領域3を円形にすることで、N型半導体領域5とN型ウェル領域3の端部との距離を等しくし、全方位からの一様なキャリア拡散を促進させ、残像を抑制することを可能としている。
【0017】
なお、図1および図2においてはフォトダイオードが1次元に配列された受光部を示した。フォトダイオードが2次元に配列された受光部に本発明を適用することも、まったく同様に、可能であることは言うまでも無い。
【実施例2】
【0018】
図3は、本発明による光検出半導体装置の第2の実施例を示す平面図であり、受光素子であるフォトダイオードが形成された受光部を示している。図4は、示した光検出半導体装置の切断面B−Bに沿った断面図である。図1と対応する部分には同じ番号が付してある。図1に示した第1の実施例と異なる点は、クロストーク防止用に配線層10による遮光部を配置している点である。配線層10は、円形に開口されており、N型ウェル領域3以外の受光部全面を上方で覆っている。配線層10の開口幅Lは、所望の残像特性に応じて可変する。
【0019】
また、配線層10は、複数層あってもよい。
また、配線層10が円形に開口されている場合、円形の開口部を有する配線層10により入射光L1は、N型ウェル領域に円形に入射するので、円形の開口部の中心の下にN型半導体領域5およびカソード電極6を同心円状に配置すれば、全方位においてキャリアが移動する最大距離は等しくなる。この場合、N型ウェル領域は円形とする必要はなく、矩形とすることも可能である。
【符号の説明】
【0020】
1 受光部
2 P型半導体基板
3 N型ウェル領域
4 P型半導体領域
5 N型半導体領域
カソード電極
7 素子分離領域
8 絶縁層
9 フォトダイオード
10 配線層
L 配線層開口幅
L1 入射光
図1
図2
図3
図4