特許第6518086号(P6518086)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6518086
(24)【登録日】2019年4月26日
(45)【発行日】2019年5月22日
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/0606 20160101AFI20190513BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20190513BHJP
   C01B 3/38 20060101ALN20190513BHJP
【FI】
   H01M8/0606
   H01M8/04 J
   H01M8/04 N
   !C01B3/38
【請求項の数】13
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-45466(P2015-45466)
(22)【出願日】2015年3月9日
(65)【公開番号】特開2015-187981(P2015-187981A)
(43)【公開日】2015年10月29日
【審査請求日】2017年12月4日
(31)【優先権主張番号】特願2014-51942(P2014-51942)
(32)【優先日】2014年3月14日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】壽川 徹
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 邦弘
【審査官】 笹岡 友陽
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−265201(JP,A)
【文献】 特開2002−179406(JP,A)
【文献】 特開2012−169262(JP,A)
【文献】 特開2012−169047(JP,A)
【文献】 特開2004−217448(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/002472(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00− 8/2495
C01B 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料ガス中の硫黄化合物を除去する水添脱硫器と、
前記水添脱硫器に流入する前の原料ガスを加熱する原料ガス加熱部と、
前記水添脱硫器を通過した原料ガスを用いて改質ガスを生成する改質器と、
前記改質器からの改質ガスを燃料として発電する燃料電池と、
前記燃料電池で未利用の燃料を燃焼する燃焼器と、
前記燃焼器で生成した排ガスが流通する排ガス経路と、
前記排ガス経路の一部に設けられ、前記原料ガス加熱部及び前記水添脱硫器を収容する収容器と、を備える燃料電池システムであって
前記収容器は、前記原料ガス加熱部と前記水添脱硫器との間に配置されている少なくとも1以上の第1仕切り部材を備え、
前記排ガスは、前記第1仕切り部材の端部で折り返すように流通しており、前記収容器を流通する排ガスと前記原料ガス加熱部及び前記水添脱硫器とが熱交換する燃料電池システム。
【請求項2】
前記原料ガス加熱部は、前記原料ガスが流れる原料ガス配管を備え、
前記排ガスは、前記原料ガス配管と前記水添脱硫器との間を流通している請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記収容器の排ガスは、前記原料ガス加熱部の原料ガスと熱交換した後に、前記水添脱硫器と熱交換する請求項1又は2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記収容器の排ガスの流れと前記原料ガス加熱部の原料ガスの流れとが、少なくとも一度は、略対向している請求項1−のいずれかに記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記収容器の排ガスの流れと前記原料ガス加熱部の原料ガスの流れとが、少なくとも一度は、略対向及び略並行にしている請求項1−のいずれかに記載の燃料電池システム。
【請求項6】
前記水添脱硫器の原料ガスは、略鉛直方向に流通している請求項1−のいずれかに記載の燃料電池システム。
【請求項7】
前記水添脱硫器は、複数の水添脱硫部と、隣り合う水添脱硫部を連結する連結部を備え、
前記原料ガスは、前記連結部で折り返すように流通している請求項1−のいずれかに記載の燃料電池システム。
【請求項8】
前記収容器は、前記隣り合う水添脱硫部の間に配置されている少なくとも1以上の第2仕切り部材を備え、
前記排ガスは、前記第2仕切り部材の端部で折り返すように流通している請求項に記載の燃料電池システム。
【請求項9】
前記水添脱硫器の壁部の熱通過率は、前記排ガス経路の上流よりも下流が大きい請求項1−のいずれかに記載の燃料電池システム。
【請求項10】
前記原料ガス加熱部を加熱する加熱器を備え、
前記加熱器は、ON及びOFFの制御が可能である請求項1−のいずれかに記載の燃料電池システム。
【請求項11】
前記水添脱硫器を加熱する加熱器を備え、
前記加熱器は、ON及びOFFの制御が可能である請求項1−のいずれかに記載の燃料電池システム。
【請求項12】
前記改質器、前記燃料電池及び前記燃焼器を収容する内部筺体と、
前記内部筺体外に設けられた断熱部材と、
前記断熱部材外に設けられた外部筺体と、を備え、
前記原料ガスは、前記内部筺体内を経てから、前記外部筺体が設置されている方向に流通した後に、前記原料ガス加熱部へと流通する請求項1−1のいずれかに記載の燃料電池システム。
【請求項13】
前記改質器からの改質ガスの一部をリサイクルガスとして、前記水添脱硫器よりも上流の原料ガスに供給するためのリサイクルガス経路と、
前記原料ガス加熱部に流入する前の原料ガスと前記リサイクルガスとが熱交換する熱交換器と、を備える請求項1−1のいずれかに記載の燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
原料ガスとして炭化水素を用いる燃料電池システムでは、原料ガスの改質反応が行われる。この改質反応を促進するために改質触媒を用いるが、原料ガス中には付臭剤として、例えば、硫黄化合物が含まれており、硫黄化合物によって改質触媒が劣化する恐れがある。そこで、改質触媒の劣化を抑制するために、原料ガス中の硫黄化合物を除去する脱硫装置が利用されている。
【0003】
この脱硫装置として、従来、吸着脱硫器及び水添脱硫器が用いられている。特に、水添脱硫器は、硫黄化合物を吸着されやすい硫化水素に転化して、この硫化水素を吸着剤に吸着し除去するもので、吸着脱硫器に比べ、吸着容量が大きいという長所がある。
【0004】
例えば、特許文献1では、水素添加が行われた原料ガスを、内部筐体からの熱の伝播で約150℃−400℃程度に加熱した水添脱硫器内に通過させ、これにより、原料ガス中の硫黄化合物を水添反応で除去する例が記載されている。
【0005】
また、特許文献2では、水添脱硫器外に、燃焼排ガスが流通する脱硫器加熱部を設け、水添脱硫器を加熱するとともに、水添脱硫器に流入する原料ガスと、水添脱硫器から流出する原料ガスと、が熱交換する例が記載されている。これにより、水添脱硫器に流入する原料ガスを予め予熱でき、水添脱硫器の水添脱硫剤を適切な温度に維持できる。
【0006】
また、特許文献3では、水添脱硫器がジャケットに内包されており、このジャケット内に燃焼排ガスが流通する例が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−216308号公報
【特許文献2】特開2013−229120号公報
【特許文献3】特開2010−272333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、従来例は、水添脱硫器の温度制御の容易化について十分に検討されていない。また、水添脱硫器の昇温時間及び温度ムラの低減についても十分に検討されていない。
【0009】
本発明の一態様(aspect)は、このような事情を鑑みてなされたものであり、従来に比べ、水添脱硫器の温度制御を容易にし得るとともに、水添脱硫器の昇温時間及び温度ムラを低減し得る燃料電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明の一態様の燃料電池システムは、原料ガス中の硫黄化合物を除去する水添脱硫器と、前記水添脱硫器に流入する前の原料ガスを加熱する原料ガス加熱部と、前記水添脱硫器を通過した原料ガスを用いて改質ガスを生成する改質器と、前記改質器からの改質ガスを燃料として発電する燃料電池と、前記燃料電池で未利用の燃料を燃焼する燃焼器と、前記燃焼器で生成した排ガスが流通する排ガス経路と、前記排ガス経路の一部に設けられ、前記原料ガス加熱部及び前記水添脱硫器を収容する収容器と、を備え、前記収容器を流通する排ガスと前記原料ガス加熱部及び前記水添脱硫器とが熱交換する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様の燃料電池システムは、以上に説明したように構成されており、従来に比べ、水添脱硫器の温度制御を容易にし得るとともに、水添脱硫器の昇温時間及び温度ムラを低減し得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態1の燃料電池システムの一例を示した図である。
図2図2は、実施形態1の実施例1の燃料電池システムに用いる収容器の一例を示した図である。
図3図3は、実施形態2の燃料電池システムの一例を示した図である。
図4図4は、実施形態4の燃料電池システムの一例を示した図である。
図5図5は、実施形態5の燃料電池システムの一例を示した図である。
図6図6は、実施形態6の燃料電池システムの一例を示した図である。
図7図7は、実施形態6の変形例の燃料電池システムの一例を示した図である。
図8図8は、実施形態7の燃料電池システムの一例を示した図である。
図9図9は、実施形態8の燃料電池システムの一例を示した図である。
図10図10は、実施形態9の燃料電池システムの一例を示した図である。
図11図11は、実施形態10の燃料電池システムの一例を示した図である。
図12図12は、実施形態11の燃料電池システムの一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施形態1)
本発明者等は、水添脱硫器の温度制御の容易化、及び、水添脱硫器の昇温時間及び温度ムラの低減について鋭意検討し、以下の知見を得た。
【0014】
特許文献1では、内部筺体からの熱の伝播により、水添脱硫器の温度制御を行っているので、水添脱硫器の過昇温等の不都合を未然に防ぐことが難しい。
【0015】
特許文献2では、水添脱硫器と脱硫器加熱部と、が別個に設けられているため、水添脱硫器の昇温速度が遅く、温度ムラが生じやすい。また、水添脱硫器に流入する原料ガスを、水添脱硫器から流出した原料ガスで熱交換する構成では、水添脱硫器の水添反応に適した温度(例えば、200℃以上)に原料ガスを昇温するには加熱量が不足する。
【0016】
特許文献3では、低温の原料ガスが水添脱硫器に流入する可能性が高いので、水添脱硫器の温度ムラが生じやすい。
【0017】
そこで、本実施形態の燃料電池システムは、原料ガス中の硫黄化合物を除去する水添脱硫器と、水添脱硫器に流入する前の原料ガスを加熱する原料ガス加熱部と、水添脱硫器を通過した原料ガスを用いて改質ガスを生成する改質器と、改質器からの改質ガスを燃料として発電する燃料電池と、燃料電池で未利用の燃料を燃焼する燃焼器と、燃焼器で生成した排ガスが流通する排ガス経路と、排ガス経路の一部に設けられ、原料ガス加熱部及び水添脱硫器を収容する収容器と、を備え、収容器を流通する排ガスと原料ガス加熱部及び水添脱硫器とが熱交換する。
【0018】
かかる構成により、従来に比べ、水添脱硫器の温度制御を容易にし得るとともに、水添脱硫器の昇温時間及び温度ムラを低減し得る。例えば、排ガスの熱で水添脱硫器を直接加
熱できるので、水添脱硫器の昇温時間及び温度ムラを低減できる。また、排ガスの熱で、水添脱硫器に流入する前の原料ガスを直接加熱できるので、水添脱硫器に流入する前の原料ガスを適温に昇温するのに十分な加熱量を確保できる。
【0019】
[装置構成]
図1は、実施形態1の燃料電池システムの一例を示した図である。
【0020】
図1に示すように、本実施形態の燃料電池システム100は、原料ガス加熱部2と、水添脱硫器3と、改質器5と、燃料電池7、燃焼器8と、排ガス経路9と、収容器10と、を備える。
【0021】
水添脱硫器3は、原料ガス中の硫黄化合物を除去する。水添脱硫器3は、容器に水添脱硫剤が充填される。水添脱硫剤として、例えば、銅及び亜鉛を含む水添触媒を用いることができる。水添脱硫剤は、本例に限定されるものではなく、Ni−Mo系又はCo−Mo系触媒と酸化亜鉛系触媒との組み合わせた触媒でもよい。水添脱硫剤が銅及び亜鉛を含む場合、水添脱硫器3は約150℃−350℃が適温の動作範囲となる。
【0022】
改質器5は、水添脱硫器3を通過した原料ガスを用いて改質ガスを生成する。具体的には、改質器5において、原料ガスが改質反応して、水素含有ガスが生成される。改質反応は、いずれの形態であってもよく、例えば、水蒸気改質反応、オートサーマル反応及び部分酸化改質反応等が挙げられる。但し、燃料電池システムの高効率など動作を実現するには、部分酸化反応だけでなく、水蒸気改質反応も行える仕様にしておくとよい。改質反応が水蒸気改質反応であれば、水蒸気を生成する蒸発器、及び蒸発器に水を供給する水供給器等を設けるとよい。また、水蒸気改質反応は、部分酸化改質反応よりも、同量の原料ガスから生成できる水素量がより多くなるため、効率に優れるが、吸熱反応であるため、熱量を補う必要がある。そこで、かかる熱量として、燃焼器8からの輻射熱などを利用するとよい。なお、原料ガスは、メタンを主成分とする都市ガス、天然ガス、LPG等の少なくとも炭素及び水素から構成される有機化合物を含むガスである。改質器5の改質触媒としては、例えば、Al(アルミナ)の球体表面にNiを含浸し、担持した触媒、又はAlの球体表面にルテニウムを付与した触媒等を用いることができる。なお、改質器5で生成された改質ガスは、改質ガス経路を経て燃料電池7に供給される。
【0023】
燃料電池7は、改質器5からの改質ガスを燃料として発電する。具体的には、改質器5からの改質ガスと外部からの空気とを利用して燃料電池7が発電反応により発電する。燃料電池7は、いずれの種類の燃料電池であってもよい。燃料電池7として、例えば、高分子電解質形燃料電池、溶融炭酸塩形燃料電池、固体酸化物形燃料電池、及び溶融炭酸塩形燃料電池等を例示できる。燃料電池7が高温(例えば、600℃以上)で発電する場合には、固体酸化物形燃料電池及び溶融炭酸塩形燃料電池がより好適に用いることができる。なお、燃料電池の電極での原料ガスの内部改質のみで燃料電池が発電することも可能であるが、燃料電池の耐久性を鑑みれば改質器を設置した方がよい。そこで、以下、燃料電池7として固体酸化物形燃料電池を用い、改質器を設置したシステム構成について説明する。
【0024】
燃焼器8は、燃料電池7で未利用の燃料を燃焼する。燃焼器8は、燃料電池7で未利用の燃料を燃焼できれば、どのような構成であっても構わない。燃焼器8として、例えば、燃焼バーナを例示できる。燃焼器8の燃料は、例えば、燃料電池7より排出されるアノードオフガスを例示できる。
【0025】
排ガス経路9は、燃焼器8で生成した排ガスが流通する。そして、収容器10は、排ガス経路9の一部に設けられ、原料ガス加熱部2及び水添脱硫器3を収容する。つまり、収
容器10は、排ガス入口と排ガス出口とを備え、収容器10内に排ガスを流通するようにして、排ガス経路9の一部を形成している。本実施形態では、図1に示す如く、収容器10内の排ガス出口の近傍に水添脱硫器3が配され、収容器10内の排ガス入口の近傍に原料ガス加熱部2が配されている。
【0026】
原料ガス加熱部2は、水添脱硫器3に流入する前の原料ガスを加熱する。具体的には、収容器10を流通する排ガスと原料ガス加熱部2及び水添脱硫器3とが熱交換する。これにより、原料ガス加熱部2で水添脱硫器3に流入する前の原料ガスが、排ガスとの熱交換で加熱される。そして、原料ガス加熱の後に、原料ガスが水添脱硫器3に流入する。また、水添脱硫器3の水添脱硫剤が、排ガスとの熱交換で加熱される。
【0027】
以上により、従来に比べ、水添脱硫器3の温度制御を容易にし得るとともに、水添脱硫器3の昇温時間及び温度ムラを低減し得る。例えば、排ガスの熱で水添脱硫器3を直接加熱できるので、水添脱硫器3の昇温時間及び温度ムラを低減できる。また、排ガスの熱で、水添脱硫器3に流入する前の原料ガスを直接加熱できるので、水添脱硫器3に流入する前の原料ガスを適温に加熱するのに十分な加熱量を確保できる。よって、例えば、従来例では、原料ガスが十分に加熱を行われずに水添脱硫器3に流入する場合、水添脱硫器3に低温部が生じて、水添脱硫器3の性能が低下する可能性があるが、本実施形態では、このような可能性を低減できる。
【0028】
(実施例1)
本実施例の燃料電池システムは、実施形態1の燃料電池システムにおいて、原料ガス加熱部は、原料ガスが流れる原料ガス配管を備え、排ガスは、原料ガス配管と水添脱硫器との間を流通している。
【0029】
かかる構成により、収容器を流通する排ガスと原料ガス配管及び水添脱硫器との熱交換を適切に行うことができる。
【0030】
本実施例の燃料電池システムは、上記の点以外は、実施形態1の燃料電池システムと同様に構成してもよい。
【0031】
[装置構成]
図2は、実施形態1の実施例1の燃料電池システムに用いる収容器の一例を示した図である。
【0032】
図2に示すように、収容器10内の原料ガス加熱部2は、原料ガスが流れる原料ガス配管1を備える。そして、排ガスは、原料ガス配管1と水添脱硫器3との間を流通している。これにより、収容器10を流通する排ガスと原料ガス配管1及び水添脱硫器3との熱交換を適切に行うことができる。
【0033】
(実施例2)
本実施例の燃料電池システムは、実施形態1又は実施形態1の実施例1の燃料電池システムにおいて、収容器の排ガスは、原料ガス加熱部の原料ガスと熱交換した後に、水添脱硫器と熱交換する。
【0034】
かかる構成により、高温状態にある排ガスで、水添脱硫器に流入する前の原料ガスを十分に昇温できる。
【0035】
本実施例の燃料電池システムは、上記の点以外は、実施形態1又は実施形態1の実施例1の燃料電池システムと同様に構成してもよい。
【0036】
[装置構成]
本実施例の燃料電池システム100は、図1と同様の構成であり、原料ガス加熱部2と、水添脱硫器3と、改質器5と、燃料電池7、燃焼器8と、排ガス経路9と、収容器10と、を備える。構成については実施形態1と同様であるので説明を省略する。
【0037】
図1に示すように、本実施例では、まず、収容器10の排ガスは、原料ガス加熱部2の原料ガスと熱交換する。その後に、排ガスは、水添脱硫器3と熱交換する。
【0038】
かかる構成により、高温状態にある排ガスで、水添脱硫器3に流入する前の原料ガスを十分に昇温できる。
【0039】
(実施形態2)
本実施形態の燃料電池システムは、実施形態1及び実施形態1の実施例1−実施例2のいずれかの燃料電池システムにおいて、収容器は、原料ガス加熱部と水添脱硫器との間に配置されている少なくとも1以上の仕切り部材を備え、排ガスは、仕切り部材の端部で折り返すように流通している。
【0040】
かかる構成により、収容器に、仕切り部材を設けない場合に比べ、排ガスを仕切り部材に沿うように導き得るので、原料ガス加熱部の原料ガスと収容器を流通する排ガスとの熱交換が容易となり、水添脱硫器に流入する前の原料ガスを昇温しやすくなる。
【0041】
本実施形態の燃料電池システムは、上記の点以外は、実施形態1及び実施形態1の実施例1−実施例2のいずれかの燃料電池システムと同様に構成してもよい。
【0042】
[装置構成]
図3は、実施形態2の燃料電池システムの一例を示した図である。
【0043】
図3に示すように、本実施形態の燃料電池システム100は、原料ガス加熱部2と、水添脱硫器3と、改質器5と、燃料電池7、燃焼器8と、排ガス経路9と、収容器10と、仕切り部材11と、を備える。原料ガス加熱部2、水添脱硫器3、改質器5、燃料電池7、燃焼器8、排ガス経路9及び収容器10については実施形態1と同様であるので説明を省略する。
【0044】
仕切り部材11は、原料ガス加熱部2と水添脱硫器3との間に配置されている。そして、排ガスは、仕切り部材11の端部で折り返すように流通している。本実施形態では、図3に示すように、板状の仕切り部材11の上端部が、収容器10の内壁面に溶接され、仕切り部材11の下端部の端面と収容器10の内壁面との間に、排ガスの通路が形成されている。
【0045】
以上により、収容器10に、仕切り部材11を設けない場合に比べ、排ガスを仕切り部材11に沿うように導き得るので、原料ガス加熱部2の原料ガスと収容器10を流通する排ガスとの熱交換が容易となり、水添脱硫器3に流入する前の原料ガスを昇温しやすくなる。
【0046】
(実施形態3)
本実施形態の燃料電池システムは、実施形態1、実施形態1の実施例1−実施例2及び実施形態2のいずれかの燃料電池システムにおいて、収容器の排ガスの流れと原料ガス加熱部の原料ガスの流れとが、少なくとも一度は、略対向している。
【0047】
かかる構成によると、直交流及び並行流に比べ、対向流の方が熱交換の伝熱性能が高いので、水添脱硫器に流入する前の原料ガスを昇温しやすくなる。
【0048】
本実施形態の燃料電池システムは、上記の点以外は、実施形態1、実施形態1の実施例1−実施例2及び実施形態2のいずれかの燃料電池システムと同様に構成してもよい。
【0049】
[装置構成]
本実施形態の燃料電池システム100は、図1と同様の構成であり、原料ガス加熱部2と、水添脱硫器3と、改質器5と、燃料電池7、燃焼器8と、排ガス経路9と、収容器10と、を備える。構成については実施形態1と同様であるので説明を省略する。
【0050】
図1に示すように、本実施形態では、原料ガス加熱部2において、収容器10の排ガスは、上から下に流通し、原料ガスは、下から上に流通している。よって、収容器10の排ガスの流れと原料ガス加熱部2の原料ガスの流れとが、略対向している。
【0051】
これにより、直交流及び並行流に比べ、対向流の方が熱交換の伝熱性能が高いので、水添脱硫器3に流入する前の原料ガスを昇温しやすくなる。例えば、原料ガスの流量に対して、原料ガス加熱部2の原料ガスの流れ方向の距離が十分に取れない場合に、水添脱硫器3に流入する前の原料ガスを十分に昇温できない可能性があるが、本実施形態では、このような可能性を低減できる。
【0052】
(実施形態4)
本実施形態の燃料電池システムは、実施形態1、実施形態1の実施例1−実施例2及び実施形態2のいずれかの燃料電池システムにおいて、収容器の排ガスの流れと原料ガス加熱部の原料ガスの流れとが、少なくとも一度は、略対向及び略並行にしている。
【0053】
かかる構成によると、原料ガスの流量に対して、原料ガス加熱部の原料ガスの流れ方向の距離が十分に取れない場合に、水添脱硫器に流入する前の原料ガスを十分に昇温できない可能性があるが、本実施形態では、このような可能性を低減できる。
【0054】
本実施形態の燃料電池システムは、上記の点以外は、実施形態1、実施形態1の実施例1−実施例2及び実施形態2のいずれかの燃料電池システムと同様に構成してもよい。
【0055】
[装置構成]
図4は、実施形態4の燃料電池システムの一例を示した図である。
【0056】
図4に示すように、本実施形態の燃料電池システム100は、原料ガス加熱部2Aと、水添脱硫器3と、改質器5と、燃料電池7、燃焼器8と、排ガス経路9と、収容器10と、を備える。水添脱硫器3、改質器5、燃料電池7、燃焼器8、排ガス経路9及び収容器10については実施形態1と同様であるので説明を省略する。
【0057】
本実施形態では、原料ガス加熱部2Aにおいて、原料ガス加熱部2Aの原料ガス経路が、図4に示す如く、収容器10内の上方部と下方部で折り返す蛇行流路(サーペンタイン状の流路)となるように形成され、水添脱硫器3に接続している。
【0058】
また、図4に示すように、本実施形態では、原料ガス加熱部2において、収容器10の排ガスは、上から下に流通し、原料ガスは、下から上に流通した後、上から下に流通している。よって、収容器10の排ガスの流れと原料ガス加熱部2Aの原料ガスの流れとが、略対向及び略並行にしている。
【0059】
これにより、原料ガスの流量に対して、原料ガス加熱部2Aの原料ガスの流れ方向の距離が十分に取れない場合に、水添脱硫器3に流入する前の原料ガスを十分に昇温できない可能性があるが、本実施形態では、このような可能性を低減できる。つまり、直交流及び並行流に比べ、対向流の方が熱交換の伝熱性能が高いので、水添脱硫器3に流入する前の原料ガスを昇温しやすくなる。また、原料ガス加熱部2Aを原料ガスの流れ方向に長くせずに、原料ガスの熱交換の伝熱面積を十分に確保できるので、水添脱硫器3に流入する前の原料ガスを昇温しやすくなる。
【0060】
(実施形態5)
本実施形態の燃料電池システムは、実施形態1、実施形態1の実施例1−実施例2及び実施形態2−実施形態4のいずれかの燃料電池システムにおいて、水添脱硫器の原料ガスは、略鉛直方向に流通している。
【0061】
水添脱硫器の水添脱硫剤がペレット状の場合は、熱負荷の影響で水添脱流剤が紛体になることがある。この場合、水添脱硫器を横置きにすると、重力の作用により水添脱硫剤の紛体が水添脱硫器の下方に集まるので、原料ガスの流れが不均一になる可能性がある。しかし、上記の如く、水添脱硫器の原料ガスを略鉛直方向に流通させることで、このような可能性を低減できる。
【0062】
本実施形態の燃料電池システムは、上記の点以外は、実施形態1、実施形態1の実施例1−実施例2及び実施形態2−実施形態4のいずれかの燃料電池システムと同様に構成してもよい。
【0063】
[装置構成]
図5は、実施形態5の燃料電池システムの一例を示した図である。図5において、重量は、「上」から「下」に作用するものとする。
【0064】
本実施形態の燃料電池システム100は、図1と同様の構成であり、原料ガス加熱部2と、水添脱硫器3と、改質器5と、燃料電池7、燃焼器8と、排ガス経路9と、収容器10と、を備える。構成については実施形態1と同様であるので説明を省略する。
【0065】
図5に示すように、本実施形態では、水添脱硫器3の原料ガスは、略鉛直方向200に流通している。つまり、原料ガスは、図5の如く水添脱硫器3内を上から下に流通してもいいし、図示を省略するが、下から上に流通してもいい。これは以下の理由による。
【0066】
水添脱硫器3の水添脱硫剤がペレット状の場合は、熱負荷の影響で水添脱流剤が紛体になることがある。この場合、水添脱硫器を横置きにすると、重力の作用により水添脱硫剤の紛体が水添脱硫器の下方に集まるので、原料ガスの流れが不均一になる可能性がある。しかし、上記の如く、水添脱硫器3の原料ガスを略鉛直方向200に流通させることで、このような可能性を低減できる。
【0067】
(実施形態6)
本実施形態の燃料電池システムは、実施形態1、実施形態1の実施例1−実施例2及び実施形態2−実施形態5のいずれかの燃料電池システムにおいて、水添脱硫器は、複数の水添脱硫部と、隣り合う水添脱硫部を連結する連結部を備え、原料ガスは、連結部で折り返すように流通している。
【0068】
かかる構成によると、原料ガスの流れ方向の上流側の水添脱硫部を通過した原料ガスを連結部で混合できる。よって、上流側の水添脱硫部で未脱硫の原料ガスが下流側の水添脱硫部を通過する際に、未脱硫の原料ガスが脱硫されやすくなる。
【0069】
本実施形態の燃料電池システムは、上記の点以外は、実施形態1、実施形態1の実施例1−実施例2及び実施形態2−実施形態5のいずれかの燃料電池システムと同様に構成してもよい。
【0070】
[装置構成]
図6は、実施形態6の燃料電池システムの一例を示した図である。
【0071】
図6に示すように、本実施形態の燃料電池システム100は、原料ガス加熱部2と、水添脱硫部3A、水添脱硫部3Bと、連結部12と、改質器5と、燃料電池7、燃焼器8と、排ガス経路9と、収容器10と、を備える。原料ガス加熱部2、改質器5、燃料電池7、燃焼器8、排ガス経路9及び収容器10については実施形態1と同様であるので説明を省略する。
【0072】
水添脱硫器は、複数の水添脱硫部3A、3Bと、隣り合う水添脱硫部3A、3Bを連結する連結部12を備える。そして、原料ガスは、連結部12で折り返すように流通している。
【0073】
連結部12は、隣り合う水添脱硫部3A、3Bを連結できれば、どのような構成であっても構わない。連結部12として、例えば、パイプを例示できる。
【0074】
以上により、原料ガスの流れ方向の上流側の水添脱硫部3Aを通過した原料ガスを連結部12で混合できる。よって、上流側の水添脱硫部3Aで未脱硫の原料ガスが下流側の水添脱硫部3Bを通過する際に、未脱硫の原料ガスが脱硫されやすくなる。
【0075】
(変形例)
本変形例の燃料電池システムは、実施形態6の燃料電池システムにおいて、収容器は、隣り合う水添脱硫部の間に配置されている少なくとも1以上の仕切り部材を備え、排ガスは、仕切り部材の端部で折り返すように流通している。
【0076】
かかる構成により、収容器に、仕切り部材を設けない場合に比べ、排ガスを仕切り部材に沿うように導き得るので、原料ガス加熱部の原料ガスと収容器を流通する排ガスとの熱交換が容易となり、水添脱硫部に流入する前の原料ガスを昇温しやすくなる。
【0077】
本変形例の燃料電池システムは、上記の点以外は、実施形態6の燃料電池システムと同様に構成してもよい。
【0078】
[装置構成]
図7は、実施形態6の変形例の燃料電池システムの一例を示した図である。
【0079】
図7に示すように、本変形例の燃料電池システム100は、原料ガス加熱部2と、水添脱硫部3A、水添脱硫部3Bと、連結部12と、改質器5と、燃料電池7、燃焼器8と、排ガス経路9と、収容器10と、仕切り部材11と、を備える。原料ガス加熱部2、水添脱硫部3A、水添脱硫部3B、改質器5、燃料電池7、燃焼器8、排ガス経路9及び収容器10については実施形態6と同様であるので説明を省略する。
【0080】
仕切り部材11は、隣り合う水添脱硫部3A、3Bの間に配置されている。そして、排ガスは、仕切り部材11の端部で折り返すように流通している。本実施形態では、図3に示すように、板状の仕切り部材11の上端部が、収容器10の内壁面に溶接され、仕切り部材11の下端部の端面と収容器10の内壁面との間に、排ガスの通路が形成されている。また、連結部12は、仕切り部材11の下端部を貫通するように設けられている。
【0081】
以上により、収容器10に、仕切り部材11を設けない場合に比べ、排ガスを仕切り部材に沿うように導き得るので、原料ガス加熱部2と収容器10を流通する排ガスとの熱交換が容易となり、水添脱硫部3Aに流入する前の原料ガスを昇温しやすくなる。
【0082】
ここで、原料ガス加熱部2と水添脱硫部3Aとの間に、他の仕切り部材(図示せず)を更に追加しても構わない。なお、この場合、原料ガス加熱部2と水添脱硫部3Aとの間の仕切り部材の上端部を収容器10の内壁面に溶接し、本仕切り部材の下端部の端面と収容器10の内壁面との間に、排ガスの通路を形成するとよい。一方、隣り合う水添脱硫部3A、3Bの間の仕切り部材(図示せず)の下端部を収容器10の内壁面に溶接し、本仕切り部材の上端部の端面と収容器10の内壁面との間に、排ガスの通路を形成するとよい。つまり、これらの仕切り部材は、上下方向において、互い違いに配置するとよい。
【0083】
(実施形態7)
本実施形態の燃料電池システムは、実施形態1、実施形態1の実施例1−実施例2、実施形態2−実施形態6及び実施形態6の変形例のいずれかの燃料電池システムにおいて、水添脱硫器の壁部の熱通過率は、排ガス経路の上流よりも下流が大きい。
【0084】
かかる構成によると、排ガス経路に対して水添脱硫器の下流側壁部の熱通過率を上流側壁部の熱通過率よりも大きくしているので、水添脱硫器の下流側部分であっても、上流側部分と同等の伝熱量を得ることができる。よって、水添脱硫器の下流側部分の温度低下を抑制できる。また、水添脱硫器の温度ムラも抑制できる。
【0085】
本実施形態の燃料電池システムは、上記の点以外は、実施形態1、実施形態1の実施例1−実施例2、実施形態2−実施形態6及び実施形態6の変形例のいずれかの燃料電池システムと同様に構成してもよい。
【0086】
[装置構成]
図8は、実施形態7の燃料電池システムの一例を示した図である。
【0087】
図8に示すように、本実施形態の燃料電池システム100は、原料ガス加熱部2と、水添脱硫器3と、改質器5と、燃料電池7、燃焼器8と、排ガス経路9と、収容器10と、伝熱促進部材20と、を備える。原料ガス加熱部2、水添脱硫器3、改質器5、燃料電池7、燃焼器8、排ガス経路9及び収容器10については実施形態1と同様であるので説明を省略する。
【0088】
伝熱促進部材20は、水添脱硫器3の壁部の周囲に配されており、水添脱硫器3の壁部の熱通過率を大きくする機能を備える。具体的には、図8に示す如く、水添脱硫器3の壁部と収容器10の内壁とで形成される排ガス経路に、伝熱促進部材20が置かれている。
【0089】
伝熱促進部材20は、水添脱硫器3の壁部の熱通過率を大きくするができれば、どのような構成であっても構わない。伝熱促進部材20として、例えば、金属製のワイヤーメッシュを例示できる。そして、本実施形態では、ワイヤーメッシュの充填量は、排ガス経路に対して水添脱硫器3の下流側に行く程、多くになるように、本ワイヤーメッシュを水添脱硫器3の壁部の周囲に設けている。これは以下の理由による。
【0090】
収容器10を流通する排ガスの温度は、排ガス経路に対して下流側の方が上流側よりも低い。
【0091】
ここで、排ガスからの伝熱量Q(水添脱硫器3に伝わる伝熱量)は、以下の式(1)で表すことができる。
【0092】
Q=K・A・(Tf―TW)・・・(1)
なお、式(1)において、Kは、熱通過率[W/m・K]、Aは、伝熱面積[m]、Tfは、排ガスの温度[℃]、TWは、水添脱硫器3の壁部の外壁面の温度である。式(1)から理解できるとおり、排ガスの温度Tfが低下すると、伝熱量Qが低下する。よって、水添脱硫器3の下流側部分の温度は、上流側部分の温度に比べ低い。すると、水添脱硫器3の温度ムラが生じる。
【0093】
そこで、本実施形態では、上記のとおり、伝熱促進部材20の機能により、排ガス経路に対して水添脱硫器3の下流側壁部の熱通過率Kを上流側壁部の熱通過率Kよりも大きくしている。
【0094】
これにより、水添脱硫器3の下流側部分であっても、上流側部分と同等の伝熱量Qを得ることができる。よって、水添脱硫器3の下流側部分の温度低下を抑制できる。また、水添脱硫器3の温度ムラも抑制できる。
【0095】
(実施形態8)
本実施形態の燃料電池システムは、実施形態1、実施形態1の実施例1−実施例2、実施形態2−実施形態6、実施形態6の変形例及び実施形態7のいずれかの燃料電池システムにおいて、原料ガス加熱部を加熱する加熱器を備え、加熱器は、ON及びOFFの制御が可能である。
【0096】
かかる構成によると、例えば、燃料電池の起動時に、水添脱硫器を短時間に適温まで昇温するのに、排ガスとの熱交換による原料ガス加熱部の加熱において加熱能力不足が生じる可能性があるが、上記の加熱器をONにすることで、このような可能性を低減できる。また、水添脱硫器が適温まで昇温した後には、上記の加熱器をOFFにすることで、消費電力を削減できる。
【0097】
本実施形態の燃料電池システムは、上記の点以外は、実施形態1、実施形態1の実施例1−実施例2、実施形態2−実施形態6、実施形態6の変形例及び実施形態7のいずれかの燃料電池システムと同様に構成してもよい。
【0098】
[装置構成]
図9は、実施形態8の燃料電池システムの一例を示した図である。
【0099】
図9に示すように、本実施形態の燃料電池システム100は、原料ガス加熱部2と、水添脱硫器3と、改質器5と、燃料電池7、燃焼器8と、排ガス経路9と、収容器10と、加熱器30と、を備える。原料ガス加熱部2、水添脱硫器3、改質器5、燃料電池7、燃焼器8、排ガス経路9及び収容器10については実施形態1と同様であるので説明を省略する。
【0100】
加熱器30は、原料ガス加熱部2を加熱する。そして、加熱器30は、ON及びOFFの制御が可能である。加熱器30は、原料ガス加熱部2を加熱でき、かつON及びOFFの制御が可能であれば、どのような構成であっても構わない。加熱器30として、例えば、図9に示すように、原料ガスが流れる原料ガス配管の表面に配されたヒータを例示できる。
【0101】
以上により、例えば、燃料電池7の起動時に、水添脱硫器3を短時間に適温まで昇温
するのに、排ガスとの熱交換による原料ガス加熱部2の加熱において加熱能力不足が生じる可能性があるが、上記の加熱器30をONにすることで、このような可能性を低減できる。また、水添脱硫器3が適温まで昇温した後には、上記の加熱器30をOFFにすることで、消費電力を削減できる。
【0102】
(実施形態9)
本実施形態の燃料電池システムは、実施形態1、実施形態1の実施例1−実施例2、実施形態2−実施形態6、実施形態6の変形例及び実施形態7のいずれかの燃料電池システムにおいて、水添脱硫器を加熱する加熱器を備え、加熱器は、ON及びOFFの制御が可能である。
【0103】
かかる構成によると、例えば、燃料電池の起動時に、水添脱硫器を短時間に適温まで昇温するのに、排ガスの熱交換による水添脱硫器の加熱において加熱能力不足が生じる可能性があるが、上記の加熱器をONにすることで、このような可能性を低減できる。また、水添脱硫器が適温まで昇温した後には、上記の加熱器をOFFにすることで、消費電力を削減できる。
【0104】
本実施形態の燃料電池システムは、上記の点以外は、実施形態1、実施形態1の実施例1−実施例2、実施形態2−実施形態6、実施形態6の変形例及び実施形態7のいずれかの燃料電池システムと同様に構成してもよい。
【0105】
[装置構成]
図10は、実施形態9の燃料電池システムの一例を示した図である。
【0106】
図10に示すように、本実施形態の燃料電池システム100は、原料ガス加熱部2と、水添脱硫器3と、改質器5と、燃料電池7、燃焼器8と、排ガス経路9と、収容器10と、加熱器40と、を備える。原料ガス加熱部2、水添脱硫器3、改質器5、燃料電池7、燃焼器8、排ガス経路9及び収容器10については実施形態1と同様であるので説明を省略する。
【0107】
加熱器40は、水添脱硫器3を加熱する。そして、加熱器40は、ON及びOFFの制御が可能である。加熱器40は、水添脱硫器3を加熱でき、かつON及びOFFの制御が可能であれば、どのような構成であっても構わない。加熱器40として、例えば、図10に示すように、水添脱硫器3の壁部の外表面に配されたヒータを例示できる。
【0108】
以上により、例えば、燃料電池7の起動時に、水添脱硫器3を短時間に適温まで昇温するのに、排ガスとの熱交換による水添脱硫器3の加熱において加熱能力不足が生じる可能性があるが、上記の加熱器40をONにすることで、このような可能性を低減できる。また、水添脱硫器3が適温まで昇温した後には、上記の加熱器40をOFFにすることで、消費電力を削減できる。
【0109】
(実施形態10)
本実施形態の燃料電池システムは、実施形態1、実施形態1の実施例1−実施例2、実施形態2−実施形態6、実施形態6の変形例及び実施形態7−実施形態9のいずれかの燃料電池システムにおいて、改質器、燃料電池及び燃焼器を収容する内部筺体と、内部筺体外に設けられた断熱部材と、断熱部材外に設けられた外部筺体と、を備え、原料ガスは、内部筺体内を経てから、外部筺体が設置されている方向に流通した後に、原料ガス加熱部へと流通する。
【0110】
かかる構成によると、原料ガス加熱部による原料ガスの加熱能力が不足している場合、
原料ガスが高温の内部筺体内を経ることで、加熱量を補うことができる。また、内部筐体での加熱で原料ガスが昇温し過ぎた場合であっても、原料ガス加熱部において、原料ガスと収容器に流通する排ガスとが熱交換できるので、水添脱硫器に流入する原料ガスを排ガスにより適温まで冷却できる。よって、いずれの場合でも適温の原料ガスを水添脱硫器へと供給できる。
【0111】
本実施形態の燃料電池システムは、上記の点以外は、実施形態1、実施形態1の実施例1−実施例2、実施形態2−実施形態6、実施形態6の変形例及び実施形態7−実施形態9のいずれかの燃料電池システムと同様に構成してもよい。
【0112】
[装置構成]
図11は、実施形態10の燃料電池システムの一例を示した図である。
【0113】
図11に示すように、本実施形態の燃料電池システム100は、原料ガス加熱部2と、水添脱硫器3と、改質器5と、燃料電池7、燃焼器8と、排ガス経路9と、収容器10と、内部筐体50と、断熱部材51と、外部筐体52と、を備える。原料ガス加熱部2、水添脱硫器3、改質器5、燃料電池7、燃焼器8、排ガス経路9及び収容器10については実施形態1と同様であるので説明を省略する。
【0114】
内部筐体50は、改質器5、燃料電池7及び燃焼器8を収容する。断熱部材51は、内部筺体50外に設けられる。外部筐体52は、断熱部材51外に設けられる。このように、燃料電池システム100では、改質器5と燃料電池7とが1つの内部筺体50(ホットモジュール)に収容された構成を取る場合がある。
【0115】
このとき、図11に示すように、原料ガスは、内部筺体50内を経てから、外部筺体52が設置されている方向に流通した後に、原料ガス加熱部2へと流通する。なお、本実施形態では、原料ガスは、内部筺体50内から、断熱部材51を通過して、外部筐体52外へと流通した後、原料ガス加熱部2に送られている。これにより、原料ガス加熱部2を流通する前の原料ガスが、内部筐体50の内部で加熱される。
【0116】
以上により、原料ガス加熱部2による原料ガスの加熱能力が不足している場合、原料ガスが高温の内部筺体50内を経ることで、加熱量を補うことができる。また、内部筐体50での加熱で原料ガスが昇温し過ぎた場合であっても、原料ガス加熱部2において、原料ガスと収容器10に流通する排ガスとが熱交換できるので、水添脱硫器3に流入する原料ガスを排ガスにより適温まで冷却できる。よって、いずれの場合でも適温の原料ガスを水添脱硫器3へと供給できる。
【0117】
(実施形態11)
本実施形態の燃料電池システムは、実施形態1、実施形態1の実施例1−実施例2、実施形態2−実施形態6、実施形態6の変形例及び実施形態7−実施形態10のいずれかの燃料電池システムにおいて、改質器からの改質ガスの一部をリサイクルガスとして、水添脱硫器よりも上流の原料ガスに供給するためのリサイクルガス経路と、原料ガス加熱部に流入する前の原料ガスとリサイクルガスとが熱交換する熱交換器と、を備える。
【0118】
かかる構成によると、原料ガス加熱部による原料ガスの加熱能力が不足している場合、原料ガス加熱部に流入する前の原料ガスとリサイクルガスとが熱交換することで、加熱量を補うことができる。また、リサイクルガスとの熱交換で原料ガスが昇温し過ぎた場合であっても、原料ガス加熱部において、原料ガスと収容器に流通する排ガスとが熱交換できるので、水添脱硫器に流入する原料ガスを排ガスにより適温まで冷却できる。よって、いずれの場合でも適温の原料ガスを水添脱硫器へと供給できる。
【0119】
本実施形態の燃料電池システムは、上記の点以外は、実施形態1、実施形態1の実施例1−実施例2、実施形態2−実施形態6、実施形態6の変形例及び実施形態7−実施形態10のいずれかの燃料電池システムと同様に構成してもよい。
【0120】
[装置構成]
図12は、実施形態11の燃料電池システムの一例を示した図である。
【0121】
図12に示すように、本実施形態の燃料電池システム100は、原料ガス加熱部2と、水添脱硫器3と、改質器5と、燃料電池7、燃焼器8と、排ガス経路9と、収容器10と、リサイクルガス経路60と、熱交換器61と、を備える。原料ガス加熱部2、水添脱硫器3、改質器5、燃料電池7、燃焼器8、排ガス経路9及び収容器10については実施形態1と同様であるので説明を省略する。
【0122】
リサイクルガス経路60は、改質器5からの改質ガスの一部をリサイクルガスとして、水添脱硫器3よりも上流の原料ガスに供給するための流路である。リサイクルガス経路60の上流端は、改質器5より送出された水素含有する改質ガスが流れる流路であれば、いずれの箇所に接続されていても構わない。本実施形態では、図12に示すように、リサイクルガス経路60は、改質器5と燃料電池7との間の改質ガス供給経路から分岐し、水添脱硫器3よりも上流の原料ガスが流れる経路に合流する。これにより、水添脱硫器3へと向かう原料ガスに水素を添加でき、その結果、水添脱硫器3は、この水素を利用して原料ガスの水添脱硫を行うことができる。
【0123】
熱交換器61は、原料ガス加熱部2に流入する前の原料ガスとリサイクルガスとが熱交換する。
【0124】
かかる構成によると、原料ガス加熱部2による原料ガスの加熱能力が不足している場合、原料ガス加熱部2に流入する前の原料ガスとリサイクルガスとが熱交換することで、加熱量を補うことができる。また、リサイクルガスとの熱交換で原料ガスが昇温し過ぎた場合であっても、原料ガス加熱部2において、原料ガスと収容器10に流通する排ガスとが熱交換できるので、水添脱硫器3に流入する原料ガスを排ガスにより適温まで冷却できる。よって、いずれの場合でも適温の原料ガスを水添脱硫器3へと供給できる。
【0125】
上記発明から、当業者にとって、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記発明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明の一態様は、従来に比べ、水添脱硫器の温度制御を容易にし得るとともに、水添脱硫器の昇温時間及び温度ムラを低減し得る。よって、本発明の一態様は、例えば、燃料電池システムに利用できる。
【符号の説明】
【0127】
1 原料ガス配管
2 原料ガス加熱部
3 水添脱硫器
5 改質器
7 燃料電池
8 燃焼器
9 排ガス経路
10 収容器
11 仕切り部材
12 連結部
20 伝熱促進部材
30 原料ガス加熱部の加熱器
40 水添脱硫器の加熱器
50 内部筐体
51 断熱部材
52 外部筐体
60 リサイクルガス経路
61 熱交換器
100 燃料電池システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12