(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
着用者の前後方向に対応する縦方向とこれに直交する横方向とを有し、縦方向において、着用者の排泄部に対向配置される排泄スポット部を含む排泄部対向部と、該排泄部対向部よりも着用者の腹側に配される前方部と、該排泄部対向部よりも着用者の背側に配される後方部とに区分され、肌対向面を形成する表面シートと、非肌対向面を形成する裏面シートと、これら両シート間に位置する吸収体とを具備する吸収性物品であって、
前記吸収体は、液保持性の吸収性コアと、該吸収性コアの肌対向面及び非肌対向面を被覆するコアラップシートとを含んで構成され、該コアラップシートに抗菌剤が含有されており、
前記吸収性コアに、該吸収性コアの肌対向面及び非肌対向面の少なくとも一方に開口を有して横方向に延在する横連通路が、該吸収性コアの横方向一端から他端にわたって連続して配されており、
前記吸収性コアの肌対向面に、前記表面シート及び前記肌対向面を被覆するコアラップシートが一体的に固定された固定部を含む固定領域が、前記横連通路とその縦方向の前後に位置する該横連通路の非配置部にわたって延在しており、
前記固定領域において、前記表面シート及び前記肌対向面を被覆するコアラップシートが前記横連通路の非配置部で前記吸収性コアに固定されて、前記固定部が形成されており、
前記固定部において、前記表面シート、前記肌対向面を被覆するコアラップシート及び前記吸収性コアが一体的に凹陥した肌側凹陥部が形成されていると共に、該吸収性コアの非肌対向面における該肌側凹陥部と厚み方向において重なる位置に、前記非肌対向面を被覆するコアラップシート及び該吸収性コアが一体的に凹陥した非肌側凹陥部が形成されている吸収性物品。
前記固定領域において、前記表面シート及び前記コアラップシートが前記横連通路で前記吸収性コアに固定されて、前記固定部が形成されている請求項1に記載の吸収性物品。
前記固定領域において、前記表面シート及び前記コアラップシートは、前記横連通路の非配置部のみで前記吸収性コアに固定されており、該横連通路では非固定である請求項1に記載の吸収性物品。
前記吸収性コアに、前記凸形状の横連通路とは別に、前記縦溝から横方向外方に延在する前記横連通路としての横溝が、縦方向に所定間隔を置いて複数配されている請求項4に記載の吸収性物品。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の吸収性物品をその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1〜
図3には、本発明の吸収性物品の一実施形態である生理用ナプキン1が示されている。ナプキン1は、肌対向面を形成する表面シート2と、非肌対向面を形成する裏面シート3と、これら両シート2,3間に位置する液保持性の吸収体4とを備えている。
【0011】
本明細書において、「肌対向面」は、吸収性物品又はその構成部材(例えば吸収体4)における、吸収性物品の着用時に着用者の肌側に向けられる面、すなわち相対的に着用者の肌に近い側であり、「非肌対向面」は、吸収性物品又はその構成部材における、吸収性物品の着用時に肌側とは反対側、すなわち相対的に着用者の肌から遠い側に向けられる面である。なお、ここでいう「着用時」は、通常の適正な着用位置、すなわち当該吸収性物品の正しい着用位置が維持された状態を意味する。
【0012】
ナプキン1は、
図1に示すように、着用者の前後方向に対応し、着用者の腹側から股間部を介して背側に延びる縦方向Xと、これに直交する横方向Yとを有し、また縦方向Xにおいて、着用者の膣口などの排泄部に対向する排泄スポット部(図示せず)を含む排泄部対向部Bと、該排泄部対向部Bよりも着用者の腹側(前側)に配される前方部Aと、該排泄部対向部Bよりも着用者の背側(後側)に配される後方部Cとの3つに区分される。以下の説明において、特に説明しない場合、縦方向Xは、吸収性物品の縦方向X又はその構成部材における吸収性物品の縦方向Xに沿う方向であり、横方向Yは、吸収性物品の横方向Y又はその構成部材における吸収性物品の横方向Yに沿う方向である。
【0013】
ナプキン1は、
図1に示すように、縦方向Xに長い形状の吸収性本体5と、吸収性本体5における排泄部対向部Bの縦方向Xに沿う両側部それぞれから横方向Yの外方に延出する一対のウイング部11,11とを有している。吸収性本体5は、ナプキン1の主体をなす部分であり、前記の表面シート2、裏面シート3及び吸収体4を具備し、縦方向Xにおいて前方部A、排泄部対向部B及び後方部Cの3つに区分される。
【0014】
なお、本発明の吸収性物品における排泄部対向部は、
図1に示すナプキン1のように、吸収性物品がウイング部を有する場合には、該吸収性物品の縦方向(長手方向、図中のX方向)においてウイング部を有する領域に相当し、ナプキン1を例にとれば、一方のウイング部11の縦方向Xに沿う付け根と他方のウイング部11の縦方向Xに沿う付け根とに挟まれた領域である。また、図示していないが、ウイング部を有しない吸収性物品における排泄部対向部は、該吸収性物品を縦方向に三等分して3領域に区分したときの、縦方向中央の領域である。
【0015】
図1〜
図3に示すように、表面シート2は、吸収体4の肌対向面の全域を被覆している。一方、裏面シート3は、吸収体4の非肌対向面の全域を被覆し、さらに吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁から横方向Yの外方に延出し、後述するサイド防漏シート13と共にサイドフラップ部10を形成している。サイドフラップ部10は、吸収体4から横方向Yの外方に延出する部材からなる部分である。裏面シート3とサイド防漏シート13とは、吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁からの延出部において、接着剤、ヒートシール、超音波シール等の公知の接合手段によって互いに接合されている。ナプキン1においてはこのように、吸収体4が表面シート2と裏面シート3とで挟持され、表面シート2又はサイド防漏シート13と裏面シート3とがナプキン1の外縁部全周で接合されている。ナプキン1を構成するシート間の接合には、接着剤、ヒートシール、超音波シール等の任意の接合手段が用いられる。
【0016】
サイドフラップ部10は、
図1に示すように、排泄部対向部Bにおいて横方向Yの外方に向かって大きく張り出しており、これにより吸収性本体5の縦方向Xに沿う左右両側に、一対のウイング部11,11が延設されている。ウイング部11の非肌対向面には、ウイング部11をショーツ等の着衣に固定するウイング部粘着部(図示せず)が設けられている。ウイング部11は、ショーツ等の着衣のクロッチ部の非肌対向面(外面)側に折り返されて用いられる。前記ウイング部粘着部は、その使用前においてはフィルム、不織布、紙等からなる剥離シート(図示せず)によって被覆されている。
【0017】
図1に示すように、表面シート2の横方向Yの両端部(すなわち表面シート2の縦方向Xに沿う両側縁部)それぞれの肌対向面側には、一対のサイド防漏シート13,13が配されている。サイド防漏シート13は、表面シート2と共に、ナプキン1の肌対向面を形成している。一対のサイド防漏シート13,13は、それぞれ、吸収性本体5の縦方向Xの略全長にわたって配されており、ナプキン1を横方向Yに二等分する横中心線CLyから相対的に近い内側端部13aと、横中心線CLyから相対的に遠い外側端部13bとを有している。サイド防漏シート13の内側端部13aは、平面視において吸収体4(吸収性コア40)の横方向Yの端部(すなわち吸収体4の縦方向Xに沿う側縁部)と重なっている、すなわち、吸収体4の横方向Yの端部と厚み方向において重なっている。サイド防漏シート13の外側端部13bは、吸収体4の横方向Yの外方に位置している。サイド防漏シート13は、内側端部13aよりも横方向Yの外方位置にて、接着剤等の公知の接合手段によって表面シート2又は裏面シート3に接合されており、内側端部13aは
図2に示すように、表面シート2に対して非固定であり、自由端部となっている。
【0018】
なお、サイド防漏シート13の内側端部(自由端部)13aに、1本又は複数本の弾性部材が縦方向Xに伸長状態で配されていてもよい。その場合、ナプキン1の着用時には前記弾性部材の収縮力により、サイド防漏シート13の内側端部13aが着用者の肌側に向かって起立して防漏カフが形成される。前記防漏カフは、ナプキン1の肌対向面に排泄された経血等の排泄物の横漏れ防止に効果的である。
【0019】
表面シート2、裏面シート3、サイド防漏シート13としては、生理用ナプキン等の吸収性物品に従来使用されている各種のもの等を特に制限なく用いることができる。表面シート2としては、液透過性を有する不織布や、穿孔フィルムを用いることができる。裏面シート3としては、合成樹脂製の液不透過性フィルムや、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド積層不織布等の耐水圧が高い撥水性の不織布を用いることができる。サイド防漏シート13としては、耐水圧が高い撥水性の不織布、例えば、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド積層不織布等を用いることができる。
【0020】
吸収体4は、液保持性の吸収性コア40と、吸収性コア40の肌対向面を被覆する肌側コアラップシート51と、吸収性コア40の非肌対向面を被覆する非肌側コアラップシート52とを含んで構成されている。本実施形態においては、吸収性コア40延いてはナプキン1は、吸収性本体5を横方向Yに二等分する横中心線CLy(
図1参照)を基準として対称に形成されている。ナプキン1における吸収性コア40は、パルプ繊維等の繊維材料からなる繊維集合体、又は該繊維集合体に吸水性ポリマーを保持させたものからなる。コアラップシート51,52は、吸収性コア40の形成材料の漏れ出し防止、吸収性コア40の保形性の向上などの役割を担う。表面シート2と肌側コアラップシート51との間、裏面シート3と非肌側コアラップシート52との間は、ドット、スパイラル、ストライプ等のパターン塗工された接着剤により互いに接合されていることが好ましい。
【0021】
本実施形態においては、肌側コアラップシート51及び非肌側コアラップシート52は、それぞれ、1枚のコアラップシート53の一部であり、該シート53は、
図2及び
図3に示すように、その横方向Yの両端部どうしの重なり部54が吸収性コア40(吸収体4)の非肌対向面に位置するように、該吸収性コア40の表面(外面)を被覆している。重なり部54は吸収体4の横方向Yの中央部に位置している。
【0022】
より具体的には、コアラップシート53は、吸収性コア40の横方向Yの長さの2倍以上3倍以下の幅を有する、横方向Yの長さ(幅)が比較的長い繊維シートであり、吸収性コア40の肌対向面の全域を被覆し、且つ吸収性コア40の縦方向Xに沿う両側縁から横方向Yの外方に延出し、その延出部が、吸収性コア40の下方に巻き下げられて、吸収性コア40の非肌対向面の全域を被覆している。そして、この1枚のコアラップシート53において、吸収性コア40の肌対向面を被覆する部分が肌側コアラップシート51、吸収性コア40の非肌対向面を被覆する部分が非肌側コアラップシート52であり、本実施形態においては、肌側コアラップシート51と非肌側コアラップシート52とは同一物である。コアラップシート53の坪量は、好ましくは5g/m
2以上、より好ましくは10g/m
2以上、そして、好ましくは40g/m
2以下、より好ましくは30g/m
2以下である。
【0023】
コアラップシート53は、典型的には、親水性繊維を主体とする不織布、紙などのシート状物である。コアラップシート53に含まれる親水性繊維としては、針葉樹パルプや広葉樹パルプ等の木材パルプ、綿パルプや麻パルプ等の非木材パルプ等の天然繊維;カチオン化パルプ、マーセル化パルプ等の変性パルプ;キュプラ、レーヨン等の再生繊維;アセテート等の半合成繊維;ポリビニルアルコール繊維、ポリアクリロニトリル繊維等の親水性合成繊維;ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維等の合成繊維に親水化処理を施した繊維等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。コアラップシート53における親水性繊維の典型的なものは、天然繊維、セルロース系の再生繊維又は半合成繊維である。コアラップシート53は、親水性繊維に加えてさらに、合成繊維(疎水性繊維)、例えば熱可塑性繊維を含んでいてもよい。熱可塑性繊維としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン等の単一の合成樹脂を用いて形成された単一繊維、あるいは、これら2種以上の複合体等の合成樹脂を用いて形成された複合繊維、例えば、2種以上の合成樹脂を用いて形成した芯鞘型、サイドバイサイド型等の複合繊維を用いることもできる。
【0024】
コアラップシート53には抗菌剤が配されている。本実施形態においては、コアラップシート53の全体に抗菌剤が配されており、したがって肌側コアラップシート51及び非肌側コアラップシート52の双方に抗菌剤が配されているが、両シート51,52の一方のみに配されていてもよい。少なくとも肌側コアラップシート51に抗菌剤が配されていると、該シート51を厚み方向に移動した排泄物に、該シート51に配されていた抗菌剤が溶解又は分散し、その抗菌剤を含む排泄物が吸収性コア40の内部に吸収されて抗菌作用を発現し得るため、好ましい。コアラップシート53に含有される抗菌剤については後で詳述する。
【0025】
ナプキン1の主たる特徴の1つとして、
図2〜
図5に示すように、吸収性コア40に、該吸収性コア40の肌対向面及び非肌対向面の少なくとも一方に開口を有して横方向Yに延在する横連通路6が、該吸収性コア40の横方向Yの一端から他端にわたって連続して配されている点が挙げられる。本実施形態においては、横連通路6としての凸形状横連通路60及び横溝61が吸収性コア40の非肌対向面(裏面シート3との対向面)に配され、それぞれ吸収性コア40の非肌対向面の横方向Yの全長にわたって延在している。
【0026】
本発明に係る横連通路は、吸収性コアの肌対向面及び非肌対向面の少なくとも一方に開口を有していればよく、a)本実施形態の凸形状横連通路60及び横溝61の如き、吸収性コアの肌対向面及び非肌対向面の一方にのみ開口を有し、該開口と反対側に底部が存する形態(いわゆる「窪み」あるいは「凹み」)でもよく、b)後述する実施形態の横貫通口62(
図6参照)の如き、吸収性コアの肌対向面及び非肌対向面の双方に開口を有する形態(いわゆる「貫通口」あるいは「スリット」)でもよい。また、本発明に係る横連通路は、吸収性コア40の横方向Yの一端から他端にわたって連続して配されていればよく、その平面視形状は特に限定されず、例えば、横溝61の如き、直線状でもよく、凸形状横連通路60の如き、縦方向Xの外方に向かって(吸収性コア40の縦方向Xの中央から離れる方向に向かって)凸形状でもよい。凸形状横連通路60は平面視V字状であるが、斯かる凸形状の他の一例として、U字状が挙げられる。
【0027】
ナプキン1は、吸収性コア40を横方向Yに横断する横連通路6(60,61)を有しているため、その着用中にナプキン1と着用者の肌との間に経血等の排泄物由来の悪臭成分が発生しても、その悪臭成分は横連通路6を介してナプキン1の外部に速やかに放出される。したがってナプキン1によれば、ナプキン1と着用者の肌との間に悪臭成分が長時間滞留することによる不都合、例えば、悪臭成分が原因の肌トラブルや、悪臭がよりひどいものとなって外部に放出されることが原因の着用者のストレスなどの発生が効果的に防止される。また、そもそもナプキン1は前述したとおり、吸収性コア40の外面を被覆するコアラップシート53に抗菌剤が配されていて、悪臭の主な発生原因である吸収性コア40の内部での菌の繁殖を効果的に防止し得る。斯かる抗菌剤による抗菌機能と、横連通路6による悪臭成分の放出機能により、排泄物由来の臭いを気にせずに衛生的に安心して使用することができる。また、横連通路6によって排泄物が横方向Yに拡散され易いことから、排泄物とコアラップシート53に含まれる抗菌剤との接触機会の増加が促され、菌の繁殖が抑制され易い。したがって、悪臭成分の発生量自体が抑制され易くなっているので、ナプキン1の外部へ放出される悪臭が気になるレベルになり難い。
【0028】
本実施形態における吸収性コア40は、
図2〜
図5に示すように、標準吸収部41と、該標準吸収部41に比して厚みが大きい肉厚部42とを有している。肉厚部42は、少なくとも排泄部対向部Bに存することが好ましく、本実施形態においては、前方部Aの排泄部対向部B寄りの部分から後方部Cの排泄部対向部B寄りの部分にわたって延在している。肉厚部42は平面視六角形形状をなし、裏面シート3側すなわちナプキン1の着用者の肌側とは反対側に隆起している。本実施形態においてはこのように、吸収性コア40の非肌対向面は凹凸を有しているのに対し、吸収性コア40の肌対向面は、微視的には、後述する固定領域8の固定部としての凹陥部などの存在により凹凸を有しているとも言えるが、巨視的には、肉厚部42のような比較的大きな隆起部を有しておらず平坦である。このように、表面シート2の非肌対向面側に肉厚部42が存在することによって、
図1に示すように、排泄部対向部Bにおける肌対向面の横方向Yの中央部に、着用者の肌側に向かって突出する隆起部15が形成されている。
【0029】
本実施形態における吸収性コア40は、吸収性コア40の形成材料(繊維材料、吸水性ポリマーなど)の堆積量(坪量)を部分的に異ならせることで形成されており、形成材料の堆積量が相対的に少ない部位が標準吸収部41、形成材料の堆積量が相対的に多い部位が肉厚部42である。肉厚部42は標準吸収部41に比して、厚みだけでなく、坪量も大きい。肉厚部42の坪量は、好ましくは300g/m
2以上、より好ましくは350g/m
2以上、そして、好ましくは700g/m
2以下、より好ましくは650g/m
2以下である。肉厚部42の縦方向Xの長さは、吸収性コア40の縦方向Xの全長に対して、好ましくは30%以上、より好ましくは35%以上、そして、好ましくは70%以下、より好ましくは65%以下である。また、肉厚部42の縦方向Xの最大長さは、好ましくは100mm以上、より好ましくは110mm以上、そして、好ましく150mm以下、より好ましくは140mm以下である。
【0030】
本実施形態においては、
図2〜
図5に示すように、吸収性コア40の非肌対向面において、横連通路6としての凸形状横連通路60が、肉厚部42に隣接して縦方向Xの前方側及び後方側それぞれに一対配されている。そして、
図2及び
図3に示すように、標準吸収部41と肉厚部42との厚み差に起因する段差部43において、吸収性コア40とその非肌対向面を被覆する非肌側コアラップシート52との間に空間Sが存在する。このように、吸収性コア40の非肌対向面の段差部43に沿って横連通路6が該非肌対向面を横方向Yに横断し、且つ段差部43とこれを被覆する非肌側コアラップシート52との間に空間Sが存在することで、横連通路6内の空間部を含む比較的大きな容積の空間Sが、排泄物の吸収容量が比較的多く悪臭の主要な発生源となりやすい肉厚部42に沿って形成されるので、空間Sが悪臭成分の放出路として機能し、悪臭成分が速やかに外部に放出され得る。本実施形態においては、一対の凸形状横連通路60,60は、それぞれ、
図4に示す如き吸収性コア40の平面視において、縦方向Xの外方に向かって凸のV字状をなし、そのV字の頂部が横方向Yの中央部に位置している。
【0031】
特に本実施形態における肉厚部42は、
図4及び
図5に示すように、吸収性コア40の横方向Yの全長にわたって存在する、すなわち、肉厚部42(段差部43)の横方向Yの両端部(肉厚部42の縦方向Xに沿う両側縁)が吸収性コア40のそれと横方向Yにおいて同位置にあるため、悪臭成分の放出路として機能する空間Sが、比較的大きな空間容量を持って段差部43に沿って吸収性コア40を横方向Yに横断しており、悪臭成分の放出機能に優れる。
【0032】
さらに本実施形態においては、段差部43に沿って配されている横連通路6が、
図4に示す如き平面視において縦方向Xの外方に向かって凸形状、より具体的にはV字状の凸形状横連通路60であるため、段差部43に沿って配されている横連通路6が横溝61の如き平面視直線状である場合に比して、空間Sの空間容量が大きく、そのため前述した、肉厚部42(段差部43)が吸収性コア40の横方向Yの全長にわたって存在することによる作用効果と相俟って、悪臭成分が一層速やかに外部に放出され得る。また、排泄物を横方向Yのみならず、縦方向Xの外側へ向かって拡散し易くなるので、吸収体4の広い面積に亘ってコアラップシート53の抗菌剤と接触させ易くなり、悪臭成分の発生抑制を高めることが可能となる。
【0033】
本実施形態においては、
図2、
図4及び
図5に示すように、吸収性コア40に、凸形状横連通路60から縦方向Xの外方に延在する縦溝7が、凸形状横連通路60から吸収性コア40の縦方向端にわたって配されている。縦溝7は平面視直線状をなし、前方部A及び後方部Cそれぞれにおいて、横方向Yに所定間隔を置いて複数配されている。前方部A側の縦溝7と後方部C側の縦溝7とは、吸収性コア40の横方向Yの全長にわたって存在する肉厚部42によって分断されている。
【0034】
また本実施形態においては、
図3、
図4及び
図5に示すように、吸収性コア40に、凸形状横連通路60とは別に、縦溝7から横方向Yの外方に延在する横連通路6としての横溝61が、縦方向Xに所定間隔を置いて複数配されている。横溝61は平面視直線状をなし、前方部A及び後方部Cそれぞれにおいて、縦方向Xに所定間隔を置いて複数配されている。このため、縦溝7と横溝61との連携によって、悪臭成分及び排泄物が縦方向X及び横方向Yの双方に亘って吸収性コア40を拡散していくので、悪臭成分によるトラブルの抑制効果を一層高めることができる。
【0035】
縦溝7及び横連通路6の1つである横溝61は、それぞれ、吸収性コア40の非肌対向面に開口を有し、該開口と反対側に底部が存するいわゆる「窪み」ないし「凹み」であり、
図2及び
図3に示すように、吸収性コア40肌対向面側に凸の部分である。
【0036】
縦溝7と横溝61とは互いに交差、より具体的には直交している。これにより、吸収性コア40の標準吸収部41の非肌対向面側が、
図4及び
図5に示すように、互いに交差する縦溝7及び横溝61によって複数の標準小吸収部41Sに区分されている。標準吸収部41の非肌対向面には、平面視直線状の縦溝7及び横溝61と平面視四角形形状の標準小吸収部41Sとが、縦方向X及び横方向Yそれぞれにおいて交互に存在している。このように、本実施形態における標準吸収部41は、相対的に坪量が高い標準小吸収部41Sと、該標準小吸収部41Sを包囲し相対的に坪量が低い縦溝7及び横溝61とからなるブロック領域を多数有する、ブロック構造を有している。このようなブロック構造の標準吸収部41の存在により、吸収性コア40は、縦方向X及び横方向Yの双方に柔軟なものとなり、そのことに起因して吸収性コア40は着用者の身体の形状に沿いやすいものとなる。
【0037】
本実施形態のナプキン1は、前述したように、吸収性コア40の非肌対向面に凸形状横連通路60から該吸収性コア40の縦方向端にわたって縦溝7が延在し、この縦溝7が、凸形状横連通路60あるいはその近傍の空間Sと同様に、悪臭成分の放出路として機能するため、排泄物由来の悪臭成分を縦方向X及び横方向Yの双方から放出することができ、ナプキン1と着用者の肌との間に悪臭成分が長時間滞留することによる不都合を効果的に防止し得る。
【0038】
また、後方部Cはナプキン1の着用時に着用者の臀部に対応する部分であるところ、後方部Cに位置する吸収性コア40の標準吸収部41は、縦溝7及び横溝61を有するために柔軟で身体追従性に優れる。そのためナプキン1は、特に臀部側での漏れ防止効果に優れ、また、コアラップシート53に配された抗菌剤による抗菌効果と相俟って、着用者のカブレなどの肌トラブルを効果的に抑制し得る。
【0039】
排泄物の吸収性能及び抗菌性能の向上の観点から、凸形状横連通路60の幅60W(
図4参照)は、横溝61の幅61W(
図4参照)よりも長いことが好ましい。このように、幅60W>幅61Wなる大小関係が成立することで、吸収性コア40は特に凸形状横連通路60の形成位置で縦方向Xに折れ曲がりやすくなり、これによりナプキン1は、その着用中に、一対の凸形状横連通路60,60それぞれを横方向Yに横断する折曲線(図示せず)にて、その一対の凸形状横連通路60,60に挟まれた肉厚部42が着用者の肌側に突出するように縦方向Xに折れ曲がって変形し、排泄部対向部Bが着用者の股間部に密着性よくフィットするので、排泄物の吸収性能が向上し得る。また、このようにナプキン1が着用中に折れ曲がって変形することで、その変形したナプキン1における、抗菌剤を含有するコアラップシート53が折れ曲がるところ、その該シート53の折れ曲がり部及びその近傍は、該シート53の他の部分に比して単位面積当たりの抗菌剤の量が多い抗菌剤高濃度領域となるため、抗菌効率が向上し得る。特に本実施形態のように、肉厚部42(段差部43)に沿って横連通路6(凸形状横連通路60)が存在する形態は、前述した幅60W>幅61Wなる大小関係によるナプキン1の変形が起こりやすく、後方部Cの身体追従性の高さと相俟って、後方部Cに前記抗菌剤高濃度領域が形成されやすく、結果として、優れた抗菌作用が発現され得る。なお、段差部43の周辺に位置する横溝61は、段差部43に沿って配されている横連通路6部分での変形のしすぎを抑制する緩衝作用も有するので、段差部43の周辺に横溝61が存在することで、段差部43に沿って配されている横連通路6がナプキン1の着用中に潰れてしまう不都合が抑制される。特に
図4に示すように、段差部43に沿って配されている横連通路6が凸形状横連通路60であり、且つ該凸形状横連通路60の周辺に位置する横溝61が横方向Yに沿って形成されていると、この効果は発揮され易い。
【0040】
このような、ナプキン1の折れ曲がり変形に起因する排泄物の吸収性能及び抗菌性能の向上効果は、特に排泄物が集中する排泄部対向部Bにおいて発現することが好ましい。その観点から、折れ曲がりの起点となり得る横連通路6(60,61)は、排泄部対向部Bと前方部A又は後方部Cとの境界に配されていることが好ましい。本実施形態においては
図4に示すように、排泄部対向部Bと前方部A及び後方部Cそれぞれとの境界に、凸形状横連通路60が配されているため、排泄部対向部Bにおいて前記効果が特に発現しやすく、また、排泄部対向部Bの肉厚部42の排泄物が、肉厚部42に沿って配された凸形状横連通路60を介して横方向Yの外方に効果的に拡散されるので、吸収性コア40が有する吸収性能を有効に活用することができる。
【0041】
前述した作用効果をより一層確実に奏させるようにする観点から、凸形状横連通路60の幅60Wと横溝61の幅61Wとの比率は、前者>後者を前提として、前者/後者として、好ましくは1.1以上、より好ましくは1.2以上、そして、好ましくは3.0以下、より好ましくは2.5以下である。
凸形状横連通路60の幅60W(すなわち凸形状横連通路60の延在方向と直交する方向の長さ)は、好ましくは2mm以上、より好ましくは3mm以上、そして、好ましくは10mm以下、より好ましくは8mm以下である。
横溝61の幅61W(すなわち横溝61の延在方向と直交する方向の長さ、縦方向Xの長さ)は、好ましくは1mm以上、より好ましくは2mm以上、そして、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下である。
【0042】
同様の観点から、横方向Yに隣り合う縦溝7,7どうしの間隔7G(
図4参照)は、好ましくは5mm以上、より好ましくは7mm以上、そして、好ましくは15mm以下、より好ましくは12mm以下である。縦方向Xに隣り合う横溝61,61どうしの間隔61G(
図4参照)は、好ましくは10mm以上、より好ましくは15mm以上、そして、好ましくは30mm以下、より好ましくは25mm以下である。
【0043】
同様の観点から、吸収性コア40に関して、横連通路6の坪量(横連通路6と平面視において重複する部分の坪量)は、該横連通路6の周辺部の坪量に比して低いことが好ましい。ここでいう、横連通路6の周辺部は、本実施形態では、凸形状横連通路60又は横溝61に隣接する標準小吸収部41Sである。このように、横連通路6の坪量>周辺部の坪量なる大小関係が成立することで、前述した、ナプキン1の折れ曲がり変形が起こりやすくなり、特に排泄部対向部Bの肉厚部42が着用者の肌側に突出しやすくなる。また、相対的に低坪量の横連通路6が排泄物の一時的な貯留部として機能し得るため、例えば、ナプキン1の着用時において一度に大量の排泄物が排泄された場合に、横連通路6でその排泄物を貯留しつつ、周辺の標準小吸収部41Sに拡散させることが可能となり、排泄物の吸収性能が一層向上し得る。
【0044】
標準吸収部41において、横連通路6(60,61)の坪量とその周辺部である標準小吸収部41Sの坪量との比率は、前者<後者を前提として、前者/後者として、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.3以上、そして、好ましくは0.7以下、より好ましくは0.6以下である。
横連通路6(60,61)の坪量は、好ましくは50g/m
2以上、より好ましくは70g/m
2以上、そして、好ましくは200g/m
2以下、より好ましくは150g/m
2以下である。縦溝7の坪量も、横連通路6と同様の範囲にすることができる。
標準小吸収部41Sの坪量は、好ましくは200g/m
2以上、より好ましくは220g/m
2以上、そして、好ましくは350g/m
2以下、より好ましくは300g/m
2以下である。
横連通路6(60,61)、縦溝7、標準小吸収部41Sの坪量は下記方法により測定される。
【0045】
<坪量の測定方法>
測定対象の吸収性コア40における横連通路6の形成部位(低坪量部)とその周辺部である標準小吸収部41S(高坪量部)との境界線に沿ってフェザー社製の片刃剃刀を用いて切断する。切断して得られた高坪量部の小片10個をそれぞれ電子天秤(A&D社製電子天秤GR−300、精度:小数点以下4桁)を用いて測定し、高坪量部の小片1個の平均重量を求める。求めた平均重量を高坪量部の小片1個当りの平均面積で除して高坪量部の坪量を算出し、標準小吸収部41Sの坪量とする。
次いで、低坪量部と高坪量部との境界線のうちナプキン1の横方向Yに延びた境界線に沿って、長さ100mm、幅は低坪量部の幅の設計寸法に合わせて、フェザー社製の片刃剃刀を用いて、細いストライプ状の低坪量部の横方向Yの小片5個を切り出す。得られた小片5個をそれぞれ電子天秤(A&D社製電子天秤GR−300、精度:小数点以下4桁)を用いて測定し、平均して低坪量部の小片1個の平均重量を求める。求めた平均重量を低坪量部の横方向Yの小片1個当たりの平均面積で除して低坪量部の横方向Yの坪量を算出し、横方向Yに延在する横連通路6の坪量とする。なお、縦溝7についても、横連通路6と同様にして坪量を算出する。
【0046】
吸収性コア40(標準吸収部41)において前述の「横連通路6の坪量>周辺部(標準小吸収部41S)の坪量」なる大小関係を成立させる方法の一例として、積繊装置を用いた公知の吸収性コアの製造方法において、吸収性コアの形成材料の積繊量を横連通路6とその周辺部(標準小吸収部41S)とで異ならせる方法が挙げられる。公知の吸収性コアの製造方法は、典型的には、空気流に乗せて供給した吸収性コアの形成材料を、積繊装置(回転ドラム等)の外面に形成された集積用凹部の底部に吸引堆積させる工程を有するところ、斯かる工程において、底部の開孔率が部分的に異なる集積用凹部を使用することで、形成材料の積繊量を部分的に異ならせることができる。具体的には例えば、横連通路6(凸形状横連通路60、横溝61)の形成予定部位に対応する底部の開孔率が、その周辺部(標準小吸収部41S)の形成予定部位に対応する底部の開孔率に比して高く、前者の底部が後者の底部よりも前記空気流が通過しやすいように調整されている集積用凹部を使用することにより、横連通路6が形成された肉薄且つ低坪量の部位と、その周辺の肉厚且つ高坪量の部位(標準小吸収部41S)とを有する、吸収性コア40を形成することができる。また、前述の「横連通路6の坪量>周辺部の坪量」なる大小関係を得るために、例えば特開2015−97716号公報に記載の吸収性コアの製造方法を利用してもよい。
【0047】
なお、前述の「横連通路6の坪量>周辺部(標準小吸収部41S)の坪量」なる大小関係が成立する場合、横連通路6(60,61)の配置位置における吸収性コア40の密度は、その周辺部(標準小吸収部41S)におけるそれと同じか又は低くなる。本発明は斯かる大小関係が成立する形態に制限されず、例えば、横連通路6の配置位置における吸収性コア40の密度は、その周辺部におけるそれに比して高くてもよい。このような、「横連通路6の配置位置の密度>周辺部(標準小吸収部41S)の密度」なる大小関係が成立する吸収性コア40は、例えば、坪量が均一で表面(非肌対向面)に凹凸のない吸収性コアの該表面に、エンボス加工などの押圧処理を施すことで製造することができ、斯かる製造方法において、吸収性コア40における押圧処理が施された部分が、周辺部に比して高密度の横連通路6となる。
【0048】
本実施形態においては、
図1〜
図5に示すように吸収性コア40の肌対向面に、表面シート2及びコアラップシート53(より具体的には肌側コアラップシート51)が一体的に固定された固定部を含む固定領域8が、横連通路6(60,61)とその縦方向Xの前後に位置する該横連通路6の非配置部にわたって延在している。ここでいう、横連通路6の非配置部は、本実施形態においては標準小吸収部41S及び肉厚部42である。
【0049】
本実施形態における固定領域8は、排泄部対向部Bに、縦方向Xに延在する一対の縦固定領域81,81を有し、また前方部Aに、横方向Yに延在する前方固定領域82を有し、また後方部Cに、横方向Yに延在する後方固定領域83を有している。各固定領域81,82,83どうしはそれらの延在方向の端部にて互いに連結されており、平面視環状(長楕円形状)の固定領域8を形成している。一対の縦固定領域81,81は、肉厚部42の横方向Yの両側部を縦方向Xに縦断しており、肉厚部42の横方向Yの中央部は環状の固定領域8によって包囲されている。
【0050】
固定領域8(81,82,83)には、前記固定部(すなわち、吸収性コア40の肌対向面における表面シート2及び肌側コアラップシート51が固定された部分)のみからなる形態に加え、それ以外の部分(すなわち、吸収性コア40の肌対向面における表面シート2及び肌側コアラップシート51の非固定部)を含む形態が包含される。前記固定部及び前記非固定部の双方を含む固定領域8においては、典型的には、複数の固定部が間欠配置され(固定部どうしの間隔は好ましくは3mm以下)、その隣り合う固定部間に非固定部が存在するところ、その複数の固定部がある程度のまとまりをもって存在する領域が、固定領域8である。本発明においては、固定領域8の平面視形状・配置等は図示の形態に制限されず、この種の吸収性物品において防漏溝などと呼ばれるものと同様に設定でき、例えば、固定領域8の平面視形状は直線状でも曲線を含む形状でもよい。
【0051】
固定領域8(81,82,83)における前記固定部は、少なくとも横連通路6(60,61)の非配置部、すなわち標準小吸収部41S及び肉厚部42に存する。前記固定部において、表面シート2、肌側コアラップシート51及び吸収性コア40どうしを固定する手段は特に限定されず、接着剤、熱を伴う圧搾加工や超音波シールなどによる融着などの公知の固定手段を用いることができる。
【0052】
本実施形態においては、固定領域8(81,82,83)における前記固定部は、吸収性本体5の肌対向面側から熱を伴うか又は伴わない圧搾加工(いわゆるエンボス加工)を施すことによって形成されている。そのため前記固定部においては、表面シート2と吸収体4(肌側コアラップシート51及び吸収性コア40)とが一体的に凹陥している。すなわち、本実施形態における固定領域8の前記固定部は凹陥部である。前記固定部の凹陥深さは、その延在方向の全長にわたって一定でもよく、部分的に異なっていてもよい。
【0053】
前述した構成の本実施形態においては、表面シート2と吸収性コア40とが、ナプキン1の横方向Yの両側部に位置する固定領域8(すなわち一対の縦固定領域81,81)における横連通路6(60,61)の非配置部にて、肌側コアラップシート51を挟持した状態で吸収性コア40に固定されているため、前述した、ナプキン1の折れ曲がり変形(肉厚部42の着用者の肌側への突出変形)が生じた場合に、その変形に伴って肌側コアラップシート51が過度に変形して皴などが発生して着用時の違和感に繋がる、といった不都合が効果的に防止され得る。
【0054】
斯かる肌側コアラップシート51の過度の変形防止効果をより一層確実に奏させるようにする観点から、表面シート2及び肌側コアラップシート51は、固定領域8(縦固定領域81)における横連通路6(60,61)の非配置部のみならず、横連通路6でも吸収性コア40に固定されることが好ましい。
【0055】
これに対し、表面シート2及び肌側コアラップシート51が、固定領域8(縦固定領域81)における横連通路6(60,61)の非配置部のみで吸収性コア40に固定され、横連通路6では非固定であると、縦固定領域81に比較的硬いこれら固定部と比較的柔軟な非固定部とが混在するため、一対の縦固定領域81,81に挟まれた部分(排泄部対向部Bの横方向Yの中央部)の肌触りが良好なものとなり得る。また特に、表面シート2及び肌側コアラップシート51が、固定領域8(縦固定領域81)における凸形状横連通路60の縦方向Xの前後で吸収性コア40に固定され、該凸形状横連通路60では非固定であると、前述したナプキン1の折れ曲がり変形(肉厚部42の着用者の肌側への突出変形)が助長されるので、ナプキン1のフィット性及び排泄物の吸収性能の向上に繋がる。
【0056】
本実施形態のナプキン1においては、固定領域8(縦固定領域81)の前記固定部において、表面シート2、肌側コアラップシート51及び吸収性コア40は、それらの肌対向面側及び非肌対向面側の双方から圧搾された状態である。そのため、本実施形態のナプキン1においては、
図2及び
図3に示すように、ナプキン1の肌対向面における固定領域8(縦固定領域81)の前記固定部に、これらの部材2,51,40が一体的に凹陥した肌側凹陥部が形成されていると共に、吸収性コア40の非肌対向面(裏面シート3との対向面)における該肌側凹陥部と厚み方向において重なる位置に、非肌側コアラップシート52及び吸収性コア40が一体的に凹陥した非肌側凹陥部9が形成されている。非肌側凹陥部9は、固定領域8の前記固定部としての前記肌側凹陥部と同一の平面視形状をなしている。非肌側凹陥部9は、典型的には、ナプキン1の肌対向面にエンボス加工などの圧搾加工により常法に従って前記肌側凹陥部を形成した場合に、その圧搾時の押圧に伴って吸収体4の非肌対向面に形成され、こうして形成された非肌側凹陥部9は、吸収体4の平面視において前記肌側凹陥部と略完全に一致する。
【0057】
このように前記肌側凹陥部及び非肌側凹陥部9が形成された吸収体4(吸収性コア40)の内部には、これら両凹陥部に挟まれた高密度部が存在する。この高密度部は、平面視線状の両凹陥部に対応して、平面視線状をなしている。吸収性コア40の内部にこのような高密度部が存在すると、吸収性コア40の横連通路6(60,61)を介して横方向Yの外方に移動する排泄物が該高密度部に導かれやすくなるため、排泄物が横方向Yの外方から漏れ出すいわゆる横漏れが効果的に防止され得る。また、前記高密度部においては、抗菌剤を含有する肌側コアラップシート51と非肌側コアラップシート52とが厚み方向に近接しているため、単位面積当たりの抗菌剤の量が他の部位に比して多く、そのため、前記高密度部を中心として、吸収性コア40内の多量の排泄物に対して抗菌作用を効率よく発現することが可能となる。
【0058】
本実施形態のナプキン1においては、前述したとおり
図1及び
図2に示す如くに、表面シート2の横方向Yの両端部それぞれの肌対向面側に、一対のサイド防漏シート13,13が配され、各サイド防漏シート13の横方向Yの両端部のうち、ナプキン1の横中心線CLyから相対的に近い内側端部13aは、吸収体4の横方向Yの端部と重なり、且つ表面シート2に対して非固定である。前述したように、ナプキン1の折れ曲がり変形(肉厚部42の着用者の肌側への突出変形)は、ナプキン1のフィット性、排泄物の吸収性能、抗菌剤による抗菌作用などを向上し得る反面、斯かる変形に伴って横連通路6(60,61)が潰れるように変形した場合に、特に排泄部対向部B(肉厚部42)から経血等の比較的高粘性の排泄物が漏れることが懸念されるが、前記のように、サイド防漏シート13の内側端部13aが吸収体4の横方向Yの端部と重なり、且つ表面シート2に対して非固定であると、該吸収体4の横方向Yの端部における、横連通路6(60,61)の延在方向の開放端を、サイド防漏シート13の内側端部13aが覆うような構成となるため、斯かる懸念が払拭される。
【0059】
図6には、本発明の吸収性物品の他の実施形態が示されている。後述する他の実施形態については、前記実施形態のナプキン1と異なる構成部分を主として説明し、同様の構成部分は同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない構成部分は、前記実施形態のナプキン1についての説明が適宜適用される。
【0060】
図6に示すナプキン1Aは、縦方向Xに長い形状の吸収性本体5と、吸収性本体5における排泄部対向部Bの縦方向Xに沿う両側部それぞれから横方向Yの外方に延出する一対のウイング部11,11と、吸収性本体5における後方部Cの縦方向Xに沿う両側部それぞれから横方向Yの外方に延出する一対の後方フラップ部12,12を有していて、いわゆる夜用として好ましく使用されるナプキンである。夜用ナプキンは、就寝時に使用されることを想定しており、全長が30cm以上であることが好ましい。後方フラップ部12は、サイドフラップ部10が後方部Cにおいて横方向Yの外方に向かって大きく張り出すことで、吸収性本体5の縦方向Xに沿う側部に延設されている。後方フラップ部12は、これを着衣に固定する際に折り返されず、その非肌対向面が広げられた状態すなわち吸収性本体5の側方に延ばされた状態で、その非肌対向面に形成された後方粘着部(図示せず)を介して、着衣の肌対向面すなわち内面に固定される。
【0061】
ナプキン1Aは、吸収性コア40を横方向Yに横断する横連通路6として、吸収性コア40の肌対向面及び非肌対向面の双方に開口を有している横貫通口62を具備する点で、前述したナプキン1と大きく異なる。横貫通口62は文字とおり、吸収性コア40を厚み方向に貫通しており、吸収性コア40の形成材料が実質的に存在していない部分(吸収性コア40の形成材料の坪量が30g/m
2以下の部分)である。ナプキン1Aにおける横貫通口62は、肉厚部42の前方側に配された凸形状横連通路60と同様に、肉厚部42に隣接して配され、且つ平面視において縦方向Xの外方に向かって凸のV字状をなし、そのV字の頂部が横方向Yの中央部に位置している。ナプキン1Aによってもナプキン1と同様の効果が奏される。
【0062】
以下、本発明においてコアラップシートに含有される抗菌剤について説明する。抗菌剤としては、有機性の抗菌剤を用いることが好ましい。有機性の抗菌剤は、排泄物中の臭い発生原因物質が有機性である場合に、臭い発生原因物質との良好な親和性から高い抗菌・消臭性が期待できる。有機性の臭い原因物質や菌との親和性の観点から、有機性のカチオン性抗菌剤が特に好ましい。カチオン性抗菌剤は、悪臭産生の制御として強い腐敗臭の発生を抑えることができる。なお、「有機性の抗菌剤」とは、有機化合物を主体とする成分を含む抗菌剤であることを指す。
【0063】
カチオン性抗菌剤としては、前述の抗菌作用を有するものを特に制限なく用いることができる。例えば特開平8−99841号公報の明細書の段落[0015]〜[0018]に記載のものがある。これらのカチオン性抗菌剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。カチオン性抗菌剤は、有機化合物系の抗菌剤で、銀、亜鉛、銅等の金属イオン系よりも尿等の排泄物への溶出が多く抗菌作用が広範囲である。特に、ジデシルジメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、ベンゼトニウム塩、ベンザルコニウム塩、モノアルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩等の第四級アンモニウム塩が挙げられ、これらからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。これらのカチオン性抗菌剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0064】
コアラップシートにおける抗菌剤の含有量(坪量)は、抗菌剤の種類等に応じて適宜に決定することができるが、好ましくは0.03g/m
2以上、より好ましくは0.05g/m
2以上、そして、好ましくは0.25g/m
2以下、より好ましくは0.20g/m
2以下である。前述した肌側コアラップシート51と非肌側コアラップシート52とで、抗菌剤の含有量(坪量)は同じでもよく、異なっていてもよい。カチオン性抗菌剤を用いる場合には、その含有坪量は次の方法によって測定することができる。市販の製品等を分析に供する場合には、ドライヤーやコールドスプレーなどを用いて、各部材を剥がし、測定対象のコアラップシートを得る。その後、コアラップシート中のカチオン性抗菌剤の含有坪量を、液体クロマトグラフ/質量分析計(アジレント・テクノロジー株式会社製6140 LC/MS、イオン化法:ESI)にて測定する。あるいは、検量線法によって作成された検量線に基づいてカチオン性抗菌剤の含有量を測定することもできる。
【0065】
抗菌性と安全性(皮膚への低刺激性)とを両立する観点から、カチオン性抗菌剤のうち、下記式(1)で表されるベンザルコニウム塩を用いることが好ましい。
【0067】
前記式(1)中、R
1及びR
2は、同一の若しくは異なるメチル基、エチル基、又は炭素数8以上20以下の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基若しくはアルケニル基を表す。X
−は一価のアニオンを表す。
【0068】
前記式(1)で表されるベンザルコニウム塩のうちの1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。式(1)中、R
1及びR
2の好ましい組み合わせとしては、例えばR
1がメチル基であり、R
2が炭素数8以上20以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である組み合わせや、R
1及びR
2が同一の基であり、且つ該基が炭素数8以上20以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である組み合わせが挙げられる。これらの組み合わせにおいて、アルキル基の炭素数は、10以上18以下であることがさらに好ましい。
【0069】
前記式(1)中、X
−で表される一価のアニオンは、例えばハロゲン化物イオンやアニオン活性基であることが好ましい。「アニオン活性基」とは、陰イオン性の界面活性能を有するイオンのことをいう。
【0070】
アニオン活性基としては、炭素数6以上、特に炭素数10以上であり、また、炭素数20以下、特に炭素数18以下の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を含むアニオン性活性基を用いることが好ましい。そのようなアニオン活性基として、例えばアルキルリン酸エステル塩やアルキルカルボン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩を用いることが、抗菌性能を高める点で好ましい。特に下記式(2)で表されるアルキルリン酸を用いることが、抗菌性能が一層高くなる点で好ましい。
【0072】
前記式(2)中、R
3及びR
4の一方は炭素数6以上20以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を表し、もう一方は水素原子、メチル基又はエチル基を表す。
【0073】
R
3及びR
4の好ましい組み合わせとしては、R
3が水素原子であり、R
4が炭素数8以上20以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である組み合わせが挙げられる。アルキル基の炭素数は、10以上18以下であることがさらに好ましい。前記式(2)に示すアニオン活性基を有するベンザルコニウム塩をコアラップシートに含有させることによって、抗菌・消臭性能の向上に加えて、該コアラップシートの風合い(嵩高性、柔軟性)を向上させることができる。
【0074】
前記のベンザルコニウム塩の中でも、特にセチルリン酸ベンザルコニウムを抗菌剤として用いることが、抗菌性、安全性及び即効性の高さの点から一層好ましい。セチルリン酸ベンザルコニウムは、有機系のカチオン性抗菌剤の中で、抗菌性と皮膚への低刺激性(水溶解性が低い)とのバランスがよく、比較的安全性が高いため、抗菌剤としてコアラップシートに好適に使用される。
【0075】
本発明においてコアラップシートに含有される他の抗菌剤としては、多孔性粒子が挙げられる。本発明における多孔性粒子とは、少なくとも粒子表面に多数の細孔を有する粒子であって、揮発する臭い成分をその孔に捕集、吸着及び/又は包摂できるものを指す。多孔性粒子は、抗菌剤として単独で使用してもよく、前述のカチオン性抗菌剤と併用してもよい。
【0076】
多孔性粒子の材質としては、有機化合物、無機化合物若しくはそれらの重合体、又はそれらの組み合わせ等が挙げられる。その具体例としては、例えば多孔メタクリル酸ポリマー、多孔アクリル酸ポリマー等のアクリル酸系ポリマー、多孔ジビニルベンゼンポリマー、多孔ピリジン共重合体等の芳香族系ポリマー、及びそれらの共重合体等の合成の多孔質ポリマー;キチン及びキトサン等の天然の多孔質ポリマー;酸化亜鉛、活性炭、シリカ、二酸化ケイ素(シリカゲル)、ケイ酸カルシウム、アルミノ珪酸塩化合物、ハイシリカゼオライト(疎水性ゼオライト)、セピオライト、カンクリナイト、ゼオライト、及び水和酸化ジルコニウム等の無機多孔質物質;銀担持ゼオライト、銀担持カンクリナイト、並びに、銀担持多孔スチレン−ジビニルベンゼン−ビニルピリジンポリマー及び銀担持多孔ジビニルベンゼン−ビニルピリジンポリマー等のビニルピリジン共重合体、などの金属担持多孔質などが挙げられ、これらからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。
【0077】
この中でも、活性炭、アルミノ珪酸塩化合物及びビニルピリジン共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することが、抗菌・消臭性能を向上させる観点から好ましい。これらの多孔性粒子は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。特に、有機性の多孔性粒子と無機性の多孔性粒子とを組み合せて用いることによって、多種の臭い成分を一度に捕集できる点で一層有効である。上述の多孔ビニルピリジン共重合体としては、多孔スチレン−ジビニルベンゼン−ビニルピリジンポリマー、多孔ジビニルベンゼン−ビニルピリジンポリマー等が挙げられる。なお、銀担持カンクリナイトとは、特開2005−336363号公報の段落[0029]〜[0045]に記載のカンクリナイト様鉱物のことである。また、「有機性の多孔性粒子」とは、有機化合物を主体とする多孔を有する粒子であることを指し、「無機性の多孔性粒子」とは、無機化合物を主体とする多孔を有する粒子であることを指す。
【0078】
抗菌・消臭性能をより効果的に発現させる観点から、本発明に用いられる多孔性粒子は、そのBET比表面積が50m
2/g以上であることが好ましく、100m
2/g以上であることがより好ましく、200m
2/g以上であることがさらに好ましい。また、BET比表面積の上限は特に制限されるものではないが、2000m
2/g以下とすることが実際的である。なお、多孔性粒子のBET比表面積の値が大きいほど消臭性能が高くなるので、BET比表面積の値は前述の範囲内で大きければ大きいほど好ましい。BET比表面積は、株式会社島津製作所製の比表面積・細孔分布測定装置「ASAP2020」を用いて、液体窒素を用いた多点法で測定し、パラメータCが正になる範囲で値を導出できる。また、細孔分布の測定は水銀圧入法を用いることができる。
【0079】
また同様の観点から、本発明に用いられる多孔性粒子は、少なくともその平均細孔径は、0.1nm以上であることを有していればよく、2nm以上であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましく、30nm以下であることがよりさらに好ましい。多孔性粒子の細孔径は、株式会社島津製作所製の比表面積・細孔分布測定装置「ASAP2020」を用いて測定することができる。
【0080】
多孔性粒子の形状は、消臭効果が奏される限りにおいて特に制限はなく、球形、所定のアスペクト比をもつ棒状や針状、粉砕形状等の不定形状のいずれであってもよい。微粒子の形状は、日本電子株式会社製の走査型電子顕微鏡「JCM−5100」を用いて観察して判断することができる。
【0081】
多孔性粒子の具体的な例として、前述した活性炭、アルミノ珪酸塩化合物及びビニルピリジン共重合体を用いる場合、そのBET比表面積はそれぞれ、1750m
2/g程度、250m
2/g程度、350m
2/g程度のものであり、平均細孔径はそれぞれ4.5nm程度、20nm程度、10nm程度のものを用いることができる。
【0082】
抗菌・消臭の対象となる尿や経血等の排泄物由来の臭い成分は、アンモニア、アミン類、脂肪酸類、硫化水素やメルカプタン類等の成分が複数混合されたものである。一般的に、これらの臭い成分の分子サイズは1nm以上であるので、平均細孔径が2nm以上である多孔性粒子を消臭剤として用いることで、複数の臭い成分を効果的に吸着することができる。
【0083】
特に、前述したBET比表面積又は平均細孔径のいずれか一方の好適な数値範囲を満たす多孔性粒子を用いると、抗菌・消臭性能を高く維持しつつ、多孔性粒子の含有量を低減することができるので好ましい。さらに、前記のBET比表面積及び平均細孔径の双方の好適な数値範囲を満たす多孔性粒子を用いると、抗菌・消臭性能がより一層向上し、多孔性粒子の含有量をより一層低減できるため、より好ましい。このことが、前述したカチオン性抗菌剤との組み合わせによる多孔性粒子の含有量の低減化と相俟って、持続的且つ効果的な抗菌作用と消臭作用と、コアラップシートの風合いの向上と、吸収性物品に組み込まれた際の装着感の向上とを可能とする。
【0084】
コアラップシートにおける多孔性粒子(抗菌剤)の含有量(坪量)は、抗菌・消臭効果を好適に得る観点から、0.05g/m
2以上が好ましく、0.1g/m
2以上がより好ましく、0.5g/m
2以上がさらに好ましい。その上限は、コアラップシートの風合いの低減を抑制する観点から、5g/m
2以下が好ましく、3g/m
2以下がより好ましく、1.0g/m
2以下がさらに好ましい。
【0085】
前述した多孔性粒子の具体例である、活性炭、アルミノ珪酸塩化合物及びビニルピリジン共重合体を使用する場合には、表面処理を施すことによってさらなる消臭機能を付加することもできる。例えば、活性炭は、塩化亜鉛(ZnCl)賦活によって硫黄系ガスに対する化学吸着による消臭機能を具備することができる。また、アルミノ珪酸塩化合物は亜鉛担持によって、ビニルピリジン共重合体は銀担持によって、抗菌作用を具備することができる。
【0086】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明の吸収性物品は前記実施形態に何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。
例えば前記実施形態においては、肉厚部42は裏面シート3側に隆起していたが、これと逆に表面シート2側に隆起していてもよい。
また、吸収性や防漏性等の向上の観点から、表面シート2と吸収体4(肌側コアラップシート51)との間に、セカンドシート、サブレイヤーシートなどとも呼ばれる、紙や各種不織布からなる液透過性シートが介在配置されていてもよい。
本発明の吸収性物品は、図示の如き生理用ナプキンの他、パンティーライナー(おりものシート)等であってもよい。
前述した一の実施形態のみが有する部分は、すべて適宜相互に利用できる。
【解決手段】吸収性物品1における吸収体4は、液保持性の吸収性コア40と、該吸収性コア40の肌対向面及び非肌対向面を被覆するコアラップシート53とを含んで構成され、該コアラップシート53に抗菌剤が含有されている。吸収性コア40に、該吸収性コア40の肌対向面及び非肌対向面の少なくとも一方に開口を有して横方向Yに延在する横連通路6(60,61)が、該吸収性コア40の横方向Yの一端から他端にわたって連続して配されている。