特許第6518440号(P6518440)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6518440データを無線で送信するために構成された装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6518440
(24)【登録日】2019年4月26日
(45)【発行日】2019年5月22日
(54)【発明の名称】データを無線で送信するために構成された装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 74/08 20090101AFI20190513BHJP
   H04W 76/10 20180101ALI20190513BHJP
【FI】
   H04W74/08
   H04W76/10
【請求項の数】22
【外国語出願】
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2014-263489(P2014-263489)
(22)【出願日】2014年12月25日
(62)【分割の表示】特願2011-542770(P2011-542770)の分割
【原出願日】2009年12月15日
(65)【公開番号】特開2015-80266(P2015-80266A)
(43)【公開日】2015年4月23日
【審査請求日】2015年1月26日
【審判番号】不服2017-5554(P2017-5554/J1)
【審判請求日】2017年4月19日
(31)【優先権主張番号】08/58948
(32)【優先日】2008年12月22日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】501263810
【氏名又は名称】トムソン ライセンシング
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】パトリック フォンテーヌ
(72)【発明者】
【氏名】フランソワ バロン
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ チャンベリン
【合議体】
【審判長】 中木 努
【審判官】 倉本 敦史
【審判官】 松永 稔
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/144323(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを無線で送信するように構成された装置であって、
少なくとも1つの第1の送信要求を、少なくとも1つの第1の物理チャネルを介して送信する手段であり、前記少なくとも1つの第1の送信要求は、極高周波に属する少なくとも1つの周波数帯を使用する少なくとも1つの第2の物理チャネルを介したデータ送信の要求を表す情報を含む少なくとも1つのフィールドを含み、前記第1の物理チャネルと前記第2の物理チャネルとは異なり、前記少なくとも1つの第1の物理チャネルは前記少なくとも1つの第2の物理チャネルよりも外部変動に敏感でない、前記送信する手段と、
前記少なくとも1つの第2の物理チャネルを介したデータ送信の少なくとも1つの第1のデータ送信合意を受信する手段と、
前記少なくとも1つの第1のデータ送信合意の受信の後にデータを送信する手段と、
前記少なくとも1つの第1の物理チャネルを介して、前記少なくとも1つの第2の物理チャネルを介して送信されるデータの前記受信を表す情報を受信する手段と、
を備える、前記装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第1の物理チャネルおよび前記少なくとも1つの第2の物理チャネルは、異なる周波数帯を使用する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの第1の物理チャネルは、その周波数すべてが30GHz未満の周波数帯を使用する、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの第1のデータ送信合意は、前記少なくとも1つの第1の物理チャネルを介して受信される、請求項1から3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの第2の物理チャネルを介した少なくとも1つの第2の送信要求を、前記少なくとも1つの第2の物理チャネルを介して送信する手段をさらに備える、請求項1から4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの第2の物理チャネルを介したデータ送信の少なくとも1つの第2のデータ送信合意を、前記少なくとも1つの第2の物理チャネルを介して受信する手段をさらに備える、請求項1から5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの第1の物理チャネルを介したデータ送信の少なくとも1つの第2のデータ送信合意を、前記少なくとも1つの第1の物理チャネルを介して受信する手段であって、前記少なくとも1つの第1のデータ送信合意は、前記少なくとも1つの第2の物理チャネルを介して受信される、前記受信する手段をさらに備える、請求項1から5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
少なくとも1つの第1のデータ送信合意の受信品質および少なくとも1つの第2のデータ送信合意の受信品質をテストする手段をさらに備え、前記データは、前記受信品質のテストの結果にしたがって、前記少なくとも1つの第1の物理チャネルを介して、および/または前記少なくとも1つの第2の物理チャネルを介して送信される、請求項6または7に記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの第1の物理チャネルを介して送信される少なくとも1つのデータパケットは、前記少なくとも1つの第2の物理チャネルを介して送信される少なくとも1つのデータパケットよりも高い優先レベルを有する、請求項1から8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの第2の物理チャネルを介して送信される前記データの非受信を表す情報が当該装置によって受信される場合、または
所定の時間の満了前に前記少なくとも1つの第2の物理チャネルを介して送信される前記データの前記受信を表す情報が受信されない場合、
前記少なくとも1つの第2の物理チャネルを介して送信される前記データの少なくとも一部分は、前記少なくとも1つの第1の物理チャネルを介して当該装置によって再度送信される、請求項1から9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの第1のデータ送信合意は、前記少なくとも1つの第1の物理チャネルおよび/または前記少なくとも1つの第2の物理チャネルを介したデータ送信の認可または拒絶を表す情報を含む少なくとも1つのフィールドを含む、請求項1から10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
データを無線で送信する方法であって、当該方法は、装置が、
少なくとも1つの第1の送信要求を、少なくとも1つの第1の物理チャネルを介して送信することであり、前記少なくとも1つの第1の送信要求は、極高周波に属する少なくとも1つの周波数帯を使用する少なくとも1つの第2の物理チャネルを介したデータ送信の要求を表す情報を含む少なくとも1つのフィールドを含み、前記第1の物理チャネルと前記第2の物理チャネルとは異なり、前記少なくとも1つの第1の物理チャネルは前記少なくとも1つの第2の物理チャネルよりも外部変動に敏感でない、前記送信することと、
前記第2の物理チャネルを介したデータ送信の少なくとも1つの第1のデータ送信合意を受信することと、
前記少なくとも1つの第1のデータ送信合意の受信の後にデータを送信することと、
前記少なくとも1つの第1の物理チャネルを介して、前記少なくとも1つの第2の物理チャネルを介して送信されるデータの前記受信を表す情報を受信することと、
を含む、前記方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの第1の物理チャネルおよび前記少なくとも1つの第2の物理チャネルは、異なる周波数帯を使用する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの第1の物理チャネルは、その周波数すべてが30GHz未満の周波数帯を使用する、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの第1のデータ送信合意は、前記少なくとも1つの第1の物理チャネルを介して受信される、請求項12から14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの第2の物理チャネルを介した少なくとも1つの第2の送信要求を、前記少なくとも1つの第2の物理チャネルを介して送信することをさらに含む、請求項12から15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つの第2の物理チャネルを介したデータ送信の少なくとも1つの第2のデータ送信合意を、前記少なくとも1つの第2の物理チャネルを介して受信することをさらに含む、請求項12から16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つの第1の物理チャネルを介したデータ送信の少なくとも1つの第2のデータ送信合意を、前記少なくとも1つの第1の物理チャネルを介して受信することであって、前記少なくとも1つの第1のデータ送信合意は、前記少なくとも1つの第2の物理チャネルを介して受信される、前記受信することをさらに含む、請求項12から16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
少なくとも1つの第1のデータ送信合意の受信品質および少なくとも1つの第2のデータ送信合意の受信品質をテストすることをさらに含み、前記データは、前記受信品質のテストの結果にしたがって、前記少なくとも1つの第1の物理チャネルを介して、および/または前記少なくとも1つの第2の物理チャネルを介して送信される、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つの第1の物理チャネルを介して送信される少なくとも1つのデータパケットは、前記少なくとも1つの第2の物理チャネルを介して送信される少なくとも1つのデータパケットよりも高い優先レベルを有する、請求項12から19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記少なくとも1つの第2の物理チャネルを介して送信される前記データの非受信を表す情報が受信される場合、または
所定の時間の満了前に前記少なくとも1つの第2の物理チャネルを介して送信される前記データの前記受信を表す情報が受信されない場合、
前記少なくとも1つの第2の物理チャネルを介して送信される前記データの少なくとも一部分は、前記少なくとも1つの第1の物理チャネルを介して再度送信される、請求項12から20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも1つの第1のデータ送信合意は、前記少なくとも1つの第1の物理チャネルおよび/または前記少なくとも1つの第2の物理チャネルを介したデータ送信の認可または拒絶を表す情報を含む少なくとも1つのフィールドを含む、請求項12から21のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔通信分野に関し、より正確には、少なくとも1つのノードを備えるネットワーク内の物理チャネルの予約を伴うワイヤレスデータ伝送に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術によれば、いくつかのワイヤレスネットワークアーキテクチャが知られている。こうしたアーキテクチャの一部は、データパケットの衝突の回避を伴うメディアアクセス方法を用いる。したがって、IEEE標準802.15.4により定義されるWi−Fi(登録商標)システム(IEEE標準802.11に基づく)または非ビーコンモードでの通信プロトコルに基づくシステムは、ネットワークノードの間、たとえば、アクセスポイントとステーションとの間での制御フレーム交換の原理による、CSMA/CA(衝突回避を伴うキャリア検知多重アクセス)タイプの競合アクセスモードを実行する。交換される制御フレームは、RTS/CTS(「送信要求」/「送信許可」)タイプである。
【0003】
Wi−Fi(登録商標)システムによって達成されるビットレートは、実装されるIEEEプロトコル802.11(IEEE標準802.11a、802.11b、802.11gまたは802.11nを参照)(「IEEE Standard for Information technology - telecommunications and information exchange between systems - Local and metropolitan area networks - Specific requirements / Part 11: Wireless LAN Medium Access Control (MAC) and Physical Layer (PHY) Specifications」という名称の基準IEEE802.11(登録商標)−2007でIEEEにより発行されている)および関連づけられた周波数帯(通常、2GHz〜5GHz)によると、理論上のビットレートとしては11Mビット/sから600Mビット/sまで、および、実際には6.5から420Mビット/sまで達する。IEEE802.15.4タイプのシステムによって到達されるビットレートは通常、250kビット/sの規模である。より高い伝送レートを一層必要とする新規サービスおよび新規アプリケーションの出現に伴い、このようなシステムによって提供されるビットレートは今日では、ユーザの期待および必要を満たすのに適さないことが分かっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、従来技術のこうした欠点を克服することである。
【0005】
より具体的には、本発明の目的は、ワイヤレスネットワーク内でより高い伝送ビットレートを可能にしながら、ネットワークの様々なノードの間の衝突回避を最適化することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、少なくとも1つの第1のノードを備えるワイヤレスネットワークにおける伝送方法に関する。伝送速度を高めるために、本方法は、
・少なくとも1つの第1の送信要求を、少なくとも1つの第1の物理チャネルを介して少なくとも1つの第1のノードによって送信するステップと、
・少なくとも1つの第1のノードによって、極高周波(EHF)に属す少なくとも1つの周波数帯を使用する少なくとも1つの第2の物理チャネルを介して、少なくとも1つの第1のデータ送信合意を受信するステップであって、
第1の物理チャネルおよび第2の物理チャネルは異なる、ステップと、
・受信の後にデータを送信するステップとを含む。
【0007】
したがって、本発明による伝送方法は、第1の送信要求に対して第1の物理チャネルを使用することにより、少なくとも極高周波に属す周波数帯を使用する第2の物理チャネルを介して、高ビットレートデータを伝送するのに用いられる。1つまたは複数の第1のノードが、1つまたは複数の第1の送信要求を、1つまたは複数の第1の物理チャネルを介して送信し、1つまたは複数の第2の物理チャネルを介して、1つまたは複数の送信合意を受信する。
【0008】
有利なことに、少なくとも1つの第1のノードは、競合アクセス方法を用いることにより、ワイヤレスネットワークにアクセスし、少なくとも1つの物理チャネルは、少なくとも1つの第2の物理チャネルより外部変動に敏感でない。
【0009】
特定の特性によると、少なくとも1つの第1の物理チャネルおよび少なくとも1つの第2の物理チャネルは、異なる周波数帯を使用する。
【0010】
有利なことに、少なくとも1つの第1の物理チャネルは、周波数帯を使用するが、その周波数すべてが30GHz未満である。
【0011】
別の特性によると、少なくとも1つの第1の送信合意は、少なくとも1つの第1の物理チャネルを介して少なくとも1つの第1のノードにより受信する。
【0012】
具体的な特性によると、本方法は、少なくとも1つの第1のノードによって、少なくとも1つの第2の物理チャネルを介した少なくとも1つの第2の送信要求を、少なくとも1つの第2の物理チャネルを介して送信するステップを含む。
【0013】
有利なことに、本方法は、少なくとも1つの第1のノードによって、少なくとも1つの第2の物理チャネルを介した少なくとも1つの第2のデータ送信合意を、少なくとも1つの第2の物理チャネルを介して受信するステップを含む。
【0014】
別の特性によると、本方法は、少なくとも1つの第1のノードによって、少なくとも1つの第1の物理チャネルを介した少なくとも1つの第2のデータ送信合意を、少なくとも1つの第1の物理チャネルを介して受信するステップを含み、少なくとも1つの第1の送信合意は、少なくとも1つの第2の物理チャネルを介して受信される。
【0015】
ある特定の特性によると、本方法は、
・少なくとも1つの第1の送信合意の受信品質テスト、および、少なくとも1つの第2の送信合意の受信品質テストのステップと、
・品質テストの結果により、少なくとも1つの第1の物理チャネルを介して、および/または、少なくとも1つの第2の物理チャネルを介してデータを送信するステップとを含む。
【0016】
具体的な特性によると、少なくとも1つの第1の物理チャネルを介して送信される少なくとも1つのデータパケットは、少なくとも1つの第2の物理チャネルを介して送信される少なくとも1つのデータパケットより高い優先レベルをもつ。
【0017】
有利なことに、
・少なくとも1つの第2の物理チャネルを介して送信されるデータの非受信を表す情報が、少なくとも1つの第1のノードによって受信され、または
・少なくとも1つの第2の物理チャネルを介して送信されるデータの受信を表す情報が、所定時間の満了前に受信されない場合、
少なくとも1つの第2の物理チャネルを介して送信されるデータの少なくとも一部分は、少なくとも1つの第1の物理チャネルを介して少なくとも1つの第1のノードによって再度送信される。
【0018】
別の特性によると、少なくとも1つの第2の物理チャネルを介して送信されるデータの受信を表す情報は、少なくとも1つの第1の物理チャネルを介して少なくとも1つの第1のノードによって受信される。
【0019】
有利なことに、少なくとも1つの第1の送信要求は、少なくとも1つの第1の物理チャネルおよび/または少なくとも1つの第2の物理チャネル上でのデータ送信要求を表す情報を含む少なくとも1つのフィールドを含む。
【0020】
特定の特性によると、少なくとも1つの第1の送信合意は、少なくとも1つの第1の物理チャネルおよび/または少なくとも1つの第2の物理チャネルを介したデータ送信認可または拒絶を表す情報を含む少なくとも1つのフィールドを含む。
【0021】
本発明は、少なくとも1つの第1のノードを備えるワイヤレスネットワークにおける通信管理方法にも関し、この方法は、
・少なくとも1つの第1のノードによって、少なくとも1つの第1の物理チャネルを介して少なくとも1つの第1の送信要求を受信するステップと、
・少なくとも1つの第1のノードによって、極高周波(EHF)に属す少なくとも1つの周波数帯を使用する少なくとも1つの第2の物理チャネルを介して少なくとも1つの第1のデータ送信合意を送信するステップとを含み、
第1の物理チャネルおよび第2の物理チャネルは異なる。
【0022】
したがって、本発明による管理方法は、第1の物理チャネルを介して発送される送信要求の受信により、少なくとも極高周波に属す周波数帯を高ビットレートデータの伝送用に使用する第2の物理チャネルの予約を最適化するのに用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
添付の図面を参照する以下の説明を読むと、本発明がよりよく理解され、他の具体的な特徴および利点が明らかになるであろう。
【0024】
図1】本発明の特定の実施形態による、いくつかのノードを実装するワイヤレスシステムを示す図である。
図2】本発明による、図1のシステムのアクセスポイントを概略的に示す図である。
図3】本発明による、図1のシステムのステーションを概略的に示す図である。
図4】それぞれ、図1のシステムのノードによって実装される、本発明の特定のモードによるフレーム送信/受信モードを示す図である。
図5】それぞれ、図1のシステムのノードによって実装される、本発明の特定のモードによるフレーム送信/受信モードを示す図である。
図6】それぞれ、図1のシステムのノードによって実装される、本発明の特定のモードによるフレーム送信/受信モードを示す図である。
図7】本発明の特定の2つの実施形態による、図1のシステムのノードによって送受信されるRTSフレームの内容を概略的に示す図である。
図8】本発明の特定の2つの実施形態による、図1のシステムのノードによって送受信されるCTSフレームの内容を概略的に示す図である。
図9】本発明の特定の実施形態による、図1のシステムのノードによって実装される伝送方法を示す図である。
図10】本発明の特定の実施形態による、図1のシステムのノードによって実装される伝送方法を示す図である。
図11】本発明のある特定のモードによる、図1のシステムのノードによって実装される通信管理方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
限定的なものではないが、本発明は概して、データを伝送するための、チャネル予約を伴う、ワイヤレスネットワークにおける伝送方法および対応する通信管理方法に関する。1つまたは複数の送信要求RTSの送信、および、1つまたは複数の送信合意(または「許可」)CTSの受信は有利なことに、少なくとも1つの第1の物理チャネルを介して実施され、データ送信は有利なことに、極高周波に属す1つまたは複数の周波数帯を使用する少なくとも1つの第2の物理チャネルを介して実施される。有利な特性によると、第1の物理チャネルは、第2の物理チャネルよりも高い堅牢性、すなわちデータ送信に対する外部の妨害(たとえば、障害物、障害物による反射、干渉、ドップラー効果)に敏感でないことを特徴とする。この目的のために、第1の物理チャネルは、たとえば1つもしくは複数の2.4GHz、および/または、5GHz周波数帯を使用し、第2の物理チャネルは、極高周波(EHF)に属す周波数帯、たとえば60GHzに近い帯域を使用する。第1のチャネルを介したRTS/CTSフレームの交換は、こうしたフレームを受信するノードが物理的障害により送信しているノード(emitting node)から隔てられ、かつ/または、送信側から離れている場合であっても、こうしたフレームがネットワークの多数のノード(アクセスポイントおよび/またはステーション)によって受信されるという利点をもたらす。有利なことに、受信ノードは次いで、指示され、または、RTSおよび/もしくはCTSフレーム中にない所定の期間だけ送信をやめる。第2のチャネルを介したデータの送信は、利用可能周波数帯がEHFでは概して広いので、高ビットレートという利点をもたらす。
【0026】
図1は、本発明のある特定の実施形態による、アクセスポイント10およびいくつかのステーション11、12、13、14を含んでいて、IEEE標準802.11(登録商標)−2007に対応したいくつかのネットワークノードを実装するワイヤレス通信システム1を示している。簡単な例として、アクセスポイント10およびステーション11は直接見通せる線上にあり、ステーション12、13、14は、アクセスポイント10とも、ステーション11とも、直接見通せる線上にない。アクセスポイント10は、仕切り1000によりステーション14から隔てられ、アクセスポイント10は、2つの仕切り1000、1001によりステーション13から隔てられ、アクセスポイント10は、仕切り1000によりステーション12から隔てられ、ステーション12は、仕切り1001によりステーション13から隔てられている。ノード10〜14の各々は、他のノード10〜14の各々によって送信される信号を受信して復号することができる。仕切り1000、1001は、EHFに属す周波数にとって障害であり、低周波数、すなわち30GHzより低い周波数であって、有利なことに20GHz未満の周波数を通過させる。実際、EHFは、通常、30GHzより低い周波数など、比較的低い周波数と同じ伝播プロパティ(範囲、障害による減衰、障害物による反射、干渉など)をもたない。EHFは、低周波数範囲より低い範囲、たとえば、10倍低い範囲をもち、EHFは、壁や人間の体などの障害物も通過せず、高い減衰で障害物を通過することもなく、EHFは、障害物(たとえば、動く体)上での反射および干渉に対して高度に敏感である。直接見通せる線上にあり、互いに近いアクセスポイント10およびステーション11は、周波数すべてがEHFに属す周波数帯を使用する物理チャネルを介してデータを交換する。アクセスポイント10は、周波数すべてが30GHzより低く、たとえば2.4GHzおよび/または5GHzと等しい、少なくとも1つの周波数帯を使用する物理チャネルを介してステーション12、13、14それぞれにデータを送信する。なぜなら、ステーション12、13、14の各々は、仕切り1000、1001によりアクセスポイント10から隔てられているからである。同様に、ステーション12、13は、仕切り1001により隔てられ、周波数すべてが30GHz未満、たとえば2.4GHzおよび5GHzの周波数帯を使用する物理チャネルを用いて、データを交換する。ノードの間のリンクは、30GHz未満の周波数帯および30GHzより大きい周波数帯にそれぞれ対応する第1および第2のチャネル中の2つのノード(アクセスポイントまたはステーション)の間で送信が可能なときは、折れた実線矢印で表される。データは有利なことに、1つまたは複数の第2のチャネルを介して送信されるので、1つまたは複数の送信要求は、1つまたは複数の第1のチャネルを介して送信される。ノードの間のリンクは、30GHzより低い周波数に対応する第1のチャネル中で2つのノード(アクセスポイントまたはステーション)の間の送信が可能であり、30GHzより高い周波数に対応する第2のチャネル中で不可能または高度に妨害されるときは、折れた点線矢印で表される。
【0027】
有利なことに、システム1のステーション11〜14は、可搬型ユニット、たとえば、システム1の固定型または移動体のアクセスポイント10によって送信されるデータおよびサービスの受信、ならびに/あるいは、処理(たとえば、音声もしくはオーディオデータの復元および/もしくは映像データの表示、または、より全般的にはマルチメディアデータの復元、格納もしくは処理)に適した可搬型端末、遠隔通信装置または電話である。
【0028】
有利なことに、システム1のアクセスポイント10は、固定装置、たとえば中継局やルータである。アクセスポイントは、広いカバーエリアに渡るデータのブロードキャストに適した高電力送信機、または、より制限されたカバーエリアに渡るデータのブロードキャストに適した平均的もしくは低電力送信機である。変形形態によると、アクセスポイントは、「ピコセル」、すなわち、建物、スーパーマーケット、駅の内部のような小さい、すなわち約10メートル程度の範囲をもつエリアをカバーするシステムを形成する(一部の実施形態によると、ピコセルにおいて、範囲は有利なことに、300m未満である)。別の変形形態によると、アクセスポイントは、「フェムトセル」、すなわち、家または建物の一部の部屋、建物のフロア、航空機のように、ピコセルより小さい、すなわち数メートルの範囲をもつ、制限されたエリアをカバーするように設計されたシステムを形成する(一部の実施形態によると、フェムトセルにおいて、範囲は有利なことに、100m未満である)。
【0029】
有利なことに、アクセスポイント10は、図1には表さない第2のネットワークに接続される。この第2のネットワークは、ワイヤード(たとえば、イーサネット(登録商標))またはワイヤレスタイプである。
【0030】
変形形態によると、アクセスポイント10およびステーション11〜14は、SISO(「単入力単出力」)タイプであり、単一のアンテナのみをもつ。
【0031】
別の変形形態によると、アクセスポイント10およびステーション11〜14は、MIMO(「多入力多出力」)タイプであり、それぞれ、MIMOコーダおよび/デコーダならびにMIMO信号を送信し、かつ/または受信するいくつかのアンテナをもつ。
【0032】
有利なことに、システム1のノード10〜14の一部分はSISOタイプであり、他の部分はMIMOタイプである。
【0033】
図2は、たとえば図1のアクセスポイント10に対応するアクセスポイント2のハードウェア実施形態を図式的に示している。
【0034】
アクセスポイント2は、クロック信号も移送するアドレスおよびデータバス24によって互いに接続された以下の要素を備える。
・マイクロプロセッサ21(またはCPU)
・ROM(Read Only Memory)タイプの不揮発性メモリ22
・RAM(Random Access Memory)23
・少なくとも1つの無線インタフェース26であって、たとえば、所定の周波数帯中(たとえば、EHF帯域中またはすべての周波数が30GHz未満の帯域中)での無線フレーム(たとえば、RTS/CTSシグナリングまたはデータフレーム)の受信にそれぞれ適した2つ、3つまたは4つの無線インタフェース。変形形態によると、無線インタフェース26は、所定のいくつかの周波数帯中(たとえば、EHF帯域中および周波数すべてが30GHz未満の帯域中)での無線フレームの受信に適している。
・少なくとも1つのインタフェース27であって、たとえば、無線フレーム(たとえば、シグナリングまたはデータの送信(たとえば、サービスのブロードキャストまたは1対多地点間もしくは2地点間伝送)に適した、具体的には所定の周波数帯を介した(たとえば、EHF帯域中または周波数すべてが30GHz未満である帯域中)符号器および/またはOFDM変調器、ならびに、少なくとも1つの送信機の機能を実施する2つ、3つまたは4つのインタフェース。変形形態によると、インタフェース27は、所定のいくつかの周波数帯中(たとえば、EHF帯域中および周波数すべてが30GHz未満の帯域中)での無線フレームの送信に適している。
・ユーザに対する情報の表示、ならびに/または、データもしくはパラメータの入力(たとえば、サブキャリアおよび送信されるべきデータのパラメータ化)に適合されたMMI(Man Machine Interface)インタフェース28または具体的なアプリケーション。
【0035】
メモリ22、23の説明において使用される「レジスタ」という語は、言及されるメモリそれぞれにおいて、低容量のメモリゾーン(何らかのバイナリデータ)ならびに大容量のメモリゾーンを指定する(プログラム全体が格納され、または、データを表すデータの全部もしくは一部が受信され、もしくは送信されることを可能にする)ことに留意されたい。
【0036】
メモリROM22は、具体的には、
・「prog」220プログラムと、
・物理層のパラメータ221とを備える。
【0037】
本発明に特有の方法のステップを実装するとともに後で説明するアルゴリズムは、こうしたステップを実行するアクセスポイント2に関連づけられたROM22メモリに格納される。電源が入ると、マイクロプロセッサ21は、こうしたアルゴリズムの命令をロードし稼動させる。
【0038】
ランダムアクセスメモリ23は、特記すべきこととして、
・レジスタ230において、アクセスポイント2の電源オンを担う、マイクロプロセッサ21の運転プログラムと、
・送信パラメータ231(たとえば、変調、符号化、MIMO、フレーム循環パラメータ)と、
・受信パラメータ232(たとえば、変調、符号化、MIMO、フレーム循環パラメータ)と、
・着信データ233と、
・データ送信のための符号化データ234と、
・ステーションによって送信される信号の受信品質パラメータ235(たとえば、受信された信号の電力レベル、信号対ノイズ比)と、
・物理チャネルパラメータ236(たとえば、アクセスポイント2によってデータが送信されるときの所定の周波数帯、所定の符号の割当て)とを備える。
【0039】
無線インタフェース26は、適切な場合、システム1のステーション11〜14によって送信される信号の受信に適している。インタフェース27は、システム1のステーション11〜14への信号の送信に適合する。
【0040】
図3は、たとえば、ステーション11、12、13、14に対応するとともに、アクセスポイント2によって送信される信号の受信および復号に適合したシステム1に属すステーション3のハードウェア実施形態を図式的に示している。
【0041】
ステーション3は、クロック信号も移送するアドレスおよびデータバス34によって互いに接続された以下の要素を備える。
・マイクロプロセッサ31(またはCPU)と、
・ROM(Read Only Memory)タイプの不揮発性メモリ32と、
・RAM(Random Access Memory)33と、
・少なくとも1つの無線インタフェース36、たとえば、2つ、3つまたは4つの無線インタフェースと、
・データの送信に適合した、少なくとも1つの無線インタフェース37、たとえば、2、3つまたは4つのインタフェースと、
・ユーザに対する情報の表示ならびに/またはデータもしくはパラメータの入力(たとえば、サブキャリアおよび送信データのパラメータ化)に適合したMMIインタフェース38。
【0042】
メモリ32、33の説明において使用される「レジスタ」という語は、言及されるメモリそれぞれにおいて、低容量のメモリゾーンならびに大容量のメモリゾーンを指定する(プログラム全体が格納され、または、データセットを表すデータの全部もしくは一部が受信され、もしくは復号されることを可能にする)ことに留意されたい。
【0043】
メモリROM32は具体的には、
・「prog」320プログラムと、
・物理層のパラメータ321とを備える。
【0044】
本発明に特有の方法のステップを実装するとともに後で説明するアルゴリズムは、こうしたステップを実行するステーション3に関連づけられたROMメモリ32に格納される。電源が入ると、マイクロプロセッサ31は、こうしたアルゴリズムの命令をロードし稼動させる。
【0045】
ランダムアクセスメモリ33は、特記すべきこととして、
・レジスタ330において、ステーション3の電源オンを担うマイクロプロセッサ31の運転プログラムと、
・受信パラメータ331および送信パラメータ332(たとえば、変調、符号化、MIMO、フレーム循環パラメータ)と、
・受信機36によって受信され復号されるデータに対応する着信データ333と、
・アプリケーション38へのインタフェースに送信されるようにフォーマットされた復号化データ334と、
・別のステーションまたはアクセスポイントによって送信される信号の受信品質パラメータ235(たとえば、受信された信号の電力レベル、信号対ノイズ比)と、
・物理チャネルパラメータ236(たとえば、データが送付されたときの所定の周波数帯、所定の符号の割当て)とを備える。
【0046】
図2、3を見ながら記載した以外の、アクセスポイント2および/またはステーション3の他の構造も、本発明に整合する。具体的には、変形形態によると、本発明に整合する基地局および/または移動端末は、純粋にハードウェアである実施形態により、たとえば、専用の構成要素(たとえば、ASICまたはFPGAまたはVLSIで)(それぞれ、「特定用途向け集積回路」、「フィールドプログラム可能ゲートアレイ」、「超大規模集積」)の、もしくは装置に統合されたいくつかの電子構成要素の形で、または、ハードウェア要素およびソフトウェア要素を混合した形で実装される。
【0047】
無線インタフェース36は、システム1のアクセスポイント10またはステーション11〜14によって送信される信号の受信に適合する。インタフェース37は、システム1のステーション11〜14またはアクセスポイント10への信号の送信に適合する。
【0048】
図9は、本発明の特に有利な非限定的実装例による、システム1のアクセスポイント10によって実装されるデータ伝送方法を示している。
【0049】
初期化ステップ90の間、アクセスポイントの様々なパラメータがアップデートされる。具体的には、送信されるべき信号に対応するパラメータ、および信号に対応するサブキャリアに対応するパラメータが、任意のやり方で(たとえば、システム1には表さないサーバによって送信される初期化メッセージの受信に続いて、またはオペレータのコマンドによっても)初期化される。
【0050】
次いで、ステップ91の間、アクセスポイント10は、第1の送信要求RTSを、1つまたは複数のステーション11、12、13もしくは14に送信する。この第1の送信要求は、第1の物理チャネルを介して送信される。概して、物理チャネルは、周波数帯およびタイムスロットにより特徴づけられる。CDMA(「符号分割多重アクセス」)アクセスの特定のケースでは、物理チャネルは、スペクトル拡散符号によっても特徴づけられる。有利なことに、第1のRTS要求は、第1の物理チャネルとは異なる第2の物理チャネルを介したデータ送信要求を表す情報を含む。第1および第2の物理チャネルは、有利なことに、異なる周波数帯の使用によって、および/または、異なるスペクトル拡散符号の使用によって、互いに区別される。
【0051】
変形形態によると、第1のRTS要求は、第1および第2の物理チャネルを介した送信要求を表す情報を含む。
【0052】
別の変形形態によると、第1のRTS要求は、並列した異なる多数の物理チャネル、たとえば、2つ、3つ、4つまたは5つの物理チャネルを介したデータ送信要求を表す情報を含む。
【0053】
有利なことに、第2の物理チャネルを介して利用可能な伝送レートは、第1の物理チャネルを介して利用可能なレートより高く、たとえば、2倍、3倍、5倍または10倍高い。
【0054】
有利なことに、第1の物理チャネルは、周波数すべてが2.4または5GHz帯域に属す周波数帯を使用するが、こうした帯域の一部は、ISM(「工業、科学および医療」)帯域である。第2の物理チャネルは、周波数すべてが60GHz帯域に属す周波数帯を使用する。5GHz帯域は、たとえば、周波数すべてが5.15GHzと5.35GHzの間、または、5.47GHzと5.875GHzの間である周波数帯に対応する。5GHz物理チャネルは、10、20または40MHz幅、たとえば、周波数すべてが、上述した周波数間隔の1つにあるチャネルに対応する。2.4GHz帯域は、たとえば、周波数すべてが2.4GHzと2.5GHzの間である周波数帯に対応する。2.4GHz物理チャネルは、22MHz幅、たとえば、周波数すべてが上述した周波数間隔(2.4〜2.5GHz)内であるチャネルに対応する。60GHz帯域は、たとえば、周波数すべてが57GHzと66GHzの間である周波数帯に対応する。60GHz物理チャネルは、2160MHz幅、たとえば、周波数すべてが上述した周波数間隔(57〜66GHz)内であるチャネルに対応する。60GHz周波数帯の幅は、2.4GHzまたは5GHz周波数帯幅より高いので、60GHzで利用可能な伝送速度は、2.4GHzまたは5GHzで利用可能な速度より高い。
【0055】
変形形態によると、第1の物理チャネルおよび第2の物理チャネルは、周波数すべてがEHFタイプであるとともに、たとえば、60GHz帯域に属す周波数帯を使用する。変形形態によると、複数の60GHz周波数帯は、相異なるものである。別の変形形態によると、こうした複数の周波数帯は同一であり、CDMAアクセスのケースでは、第1の物理チャネルおよび第2の物理チャネルは、それぞれ、異なる第1のスペクトル拡散符号および第2のスペクトル拡散符号の使用によって区別される。
【0056】
有利なことに、第1の物理チャネルは、周波数すべてが30GHz未満である周波数帯を使用する。第2の物理チャネルは、周波数すべてが30GHzより大きく、300GHzより低い周波数帯を使用し、30GHzと300GHzの間の周波数帯は、極高周波スペクトル(EHF)として指定される。変形形態によると、第1の物理チャネルに使用される周波数は、超高周波数(UHF、すなわち周波数が300MHzと3GHzの間)のスペクトルに、または、極超高周波数(SHF、すなわち周波数が3GHzと30GHzの間)のスペクトルに属す。
【0057】
変形形態によると、第2の送信要求RTSは、第2の物理チャネルを介して送信される。有利なことに、この第2の要求RTSは、第1の物理チャネルを介して送信される第1の要求RTSと同時に送信される。別の変形形態によると、1つまたは複数の送信要求が、第1のRTS要求の後に第2の物理チャネルを介して送信される。
【0058】
別の変形形態によると、いくつかの第1のRTS要求が、定期的間隔で第1の物理チャネルを介して送信され、または、ランダムな時間間隔により分離される。
【0059】
特定の実装形態の例によると、少なくとも1つの第1のRTS要求および/または少なくとも1つの第2のRTS要求は、ステーション11〜14の少なくとも1つによって、少なくとももう1つのステーション11〜14に、および/または、アクセスポイント10に送信される。
【0060】
次いで、ステップ92の間、第1の送信要求RTSの受信側であるとともに第1のRTS要求を受信済みであるステーション11〜14は、第1の物理チャネルを介してアクセスポイント10に第1の送信合意(または「許可」)CTS1を送信し、このCTS合意は次いで、第1の物理チャネルを介してアクセスポイント10によって受信される。この第1の送信合意は有利なことに、受信側ステーションも、第2の物理チャネルを介して送信されたデータを受信することができる場合、アクセスポイントが第2の物理チャネルを介してデータを送信することを許す情報を含む。たとえば、第2の物理チャネルが、図1に示す例により、たとえば、60GHzに属すEHF周波数帯を使用する場合、システム1のステーション11のみが、60GHzで送信されるデータを受信することができる。実際、ステーション11のみが、アクセスポイント10の直接見通し線上にあり、すなわち、どの物理的障害もステーション11をアクセスポイント10から隔てず、ステーション11は、アクセスポイント10から10m未満の距離にあり、たとえば、ステーション11は、アクセスポイント10から2mまたは5mに等しい距離にある。他のステーション12〜14は、第1の物理チャネルを介して送信された第1の要求RTS1および/または第1の合意CTS1を受信済みであるが、こうした制御フレームRTS1/CTS1の少なくとも1つで指示された時間内は、送信するのを控える。
【0061】
有利なことに、第2の送信合意CTS2が、第1の物理チャネルを介した第1の合意CTS1の送信と同時に、第2の物理チャネルを介して、RTSの受信側ステーションによって送信される。したがって、第1の合意CTS1は、アクセスポイントが、第1の物理チャネルを介してデータを送信することを許す情報を含み、第2の合意CTS2は、アクセスポイントが、第2の物理チャネルを介してデータを送信することを許す情報を含む。変形形態によると、第1の合意CTS1は、アクセスポイントがデータを送信することを許す情報を含まず、アクセスポイント10による第1の合意CTS1の唯一の受信は、第1の物理チャネルを介してデータを送信するための認可と等価である。同様に、第2の合意CTS2は、アクセスポイントがデータを送信することを許す情報を含んでおらず、アクセスポイント10による第2の合意CTS2の唯一の受信は、第2の物理チャネルを介してデータを送信するための認可と等価である。
【0062】
図9に示されていない変形形態によると、ステップ92はステップ91にループバックし、ステップ91は次いで、アクセスポイント10を介したステーション11への第2の送信要求RTS2の送信で繰り返される。この第2の要求RTS2は、アクセスポイント10が第2の物理チャネルを介してデータを送信することを許す、第1の物理チャネルを介したアクセスポイント10による第1の合意CTS1の受信の後で送信される。第2の要求RTS2は、第2の物理チャネルを介して送信され、第2の物理チャネルを介したデータ送信要求である。変形形態によると、第2の要求RTS2は、第2の物理チャネルを介した第2の合意CTS2の、アクセスポイント10による受信の後で、アクセスポイント10によって送信される。ステップ92の間、第2の要求RTS2の受信側ステーションは次いで、第2の要求が受信側ステーションによって実際に受信済みである場合、第2のチャネルを介して送信合意CTSを送信する。別の変形形態によると、2つのRTS要求が、繰り返されたステップ91の間に同時に送信されるが、一方は、第1のチャネルを介した送信合意を要求するために第1のチャネルを介して送信され、一方は、第2のチャネルを介した送信合意を要求するために第2のチャネルを介して送信される。ステップ92の間、2つのCTS合意が送信されるが、2つのチャネルの一方および/または他方で受信条件が満たされる場合、一方は第1のチャネルを介し、他方は第2のチャネルを介して送信される。
【0063】
最後に、ステップ93の間、アクセスポイント10は、第1の送信合意CTS1の受信の後、受信側ステーション、たとえば、システム1のステーション11にデータを送信する。第1の合意CTS1は、アクセスポイントが第2の物理チャネルを介して送信することを許すので、データは、第2の物理チャネルを介して送信される。第2の物理チャネルは、EHF周波数帯、たとえば60GHzを使用するので、このチャネルを介したデータの伝送は、5GHz周波数帯を使用する第1の物理チャネルを介した伝送より高いビットレートをもつという利点を与える。EHF周波数帯を介して達成されるビットレートは通常、送信側アクセスポイントと受信側ステーションとを、2mと10mの間で隔てられた距離に亘っており、1.5Gビット/sと6Gビット/sとの間である。伝送速度利得は、5GHz周波数帯の場合よりも5〜10倍大きい可能性がある。第1の合意CTS1が、アクセスポイントが第2の物理チャネルを介して送信することを許さないケースでは、有利な変形形態によると、アクセスポイント10は、第1の物理チャネルを介してデータを送信する。
【0064】
変形形態によると、アクセスポイント10は、第1および第2の物理チャネルを介したデータの伝送を可能にする少なくとも1つの送信合意の受信の後、または、第1のチャネルを介したデータの伝送を可能にする第1の物理チャネルを介した第1の送信合意の受信および第2のチャネルを介したデータの伝送を可能にする第2の物理チャネルを介した第2の送信合意の受信の後、第1および第2の物理チャネルを介して並列にデータを送信する。有利なことに、第1および第2の物理チャネルを介して送信されるデータは、有用なデータ、すなわちアクセスポイント10によって送信されることになる実際のデータ(たとえば、テキスト、画像、オーディオおよび/もしくはビデオタイプ、または、より全般的にはマルチメディアのアプリケーションデータ)である。このソリューションは、2つの物理チャネルおよびビットレートにより与えられる、帯域幅の使用を最適化するという利点をもたらす。変形形態によると、第2の物理チャネルを介して送信されるデータのみが有用データであり、第1のチャネルを介して送信されるデータは、第1の物理チャネルを占有するために送信されるダミーデータである。この変形形態は、チャネルを予約しておらず、チャネルを探した後でデータを送信するための、アクセスポイント10およびステーション11によって送信されるRTS/CTSを送付することができないであろうどのステーションもアクセスポイントも回避するという利点をもたらす。別の変形形態によると、第2の物理チャネルを介して送信されるデータのみが有用データであり、第1のチャネルを介して送信される占有信号は、第1の物理チャネルを占有するために送信されるダミーデータに対応する。このソリューションは、チャネルを占有し、したがってこのチャネルを介した別のアクセスポイントまたは別のステーションによるトランザクションの初期化を回避するという利点をもたらし、それとともに送信周期の時間を削減する(たとえば、9μs間の送信および25μs間の沈黙)ことによって電力消費を制限する。
【0065】
ある特定の実装形態によると、データの一部分は第1の物理チャネルを介して、他の部分は第2の物理チャネルを介して送信される。有利なことに、第1のチャネルを介して送信されるデータ部分は、その優先レベルが第2の物理チャネルを介して送信されるデータの優先レベルより高いものである。たとえば、各データパケットの先頭は第1の物理チャネルを介して送信され、より低い優先レベルをもつパケットの残りは、第2の物理チャネルを介して送信される。階層的に符号化されたデータ(たとえば、画像および/またはオーディオ)を実装する別の例によると、最も高い優先度により符号化されたデータは、第1の物理チャネルを介して送信され、より低い優先レベルにより符号化されたデータは、第2の物理チャネルを介して送信される。こうした実装例によると、優先レベルが最も高いデータは、5GHz周波数帯を使用する最も堅牢な物理チャネルを介して伝送し、優先度が低い方のデータはEHF周波数帯を使用するので堅牢性が低い方の第2の物理チャネルを介して伝送するという利点をもたらす。送信されるデータを失う危険性はしたがって、第2のチャネルよりも第1のチャネルにおいて低くなる。
【0066】
図10は、本発明の特に有利な非限定的実装例による、システム1のアクセスポイント10によって実装されるデータ伝送方法を示している。
【0067】
ステップ90、91、92、93は、図9に関して上述したものと同じであり、同じ参照番号を有する。
【0068】
ステップ92が終わると、すなわち、アクセスポイント10による、第1の物理チャネルを介した少なくとも1つの第1の合意CTS1、および/または、第2の物理チャネルを介した少なくとも1つの第2の合意CTS2の受信の後で、アクセスポイントは、ステップ101の間、受信したCTS合意(1つまたは複数)に対して品質テストを実施して、物理チャネルそれぞれを介したデータ伝送の品質を評価する。データ伝送の品質は、任意の1つまたは複数の方法により、たとえば、後で示す変形形態の1つまたは複数により推定される。第1の変形形態によると、品質評価は、CTS内容の分析と、CTSが全体的に、およびFCS(「フレーム検査シーケンス」)フィールドとして知られている、CTSフレームのフィールドを分析することによりエラーなしで受信されているという確認とを含む。有利なことに、伝送の品質は、CTSを含む受信信号の電力レベルを算出することにより推定される。別の変形形態によると、伝送の品質は、信号対ノイズ比を測定することにより推定される。別の変形形態によると、伝送の品質は、当業者に公知であるどの方法によっても、たとえば、ビタビメトリックタイプの品質インジケータ、BER(「ビットエラーレート」)もしくはFER(「フレームエラーレート」)の評価を分析することにより、または、CTSプリアンブルを分析することでチャネルを評価することにより推定される。チャネルそれぞれに対するCTS伝送品質評価の結果により、アクセスポイント10は、最も高い伝送品質をもつチャネルを介したデータ伝送を行う。変形形態によると、アクセスポイントは、S/N比が予め定められた閾値より大きいこと、受信された信号の電力レベルが予め定められた閾値より大きいこと、または、CTSがそれを介して受信されたチャネルそれぞれに関して、BERが予め定められた閾値未満であることも確かめる。適用可能な場合、アクセスポイント10は次いで、所定の閾値より大きい伝送品質をもつチャネル(1つまたは複数)を介してデータを伝送する。変形形態によると、伝送品質の推定は、2つのチャネルの一方、すなわち第1または第2のチャネルに対してのみ行われる。
【0069】
ステップ101が終わると、データ伝送に関連するステップ93が実装される。ステップ93は、図9を参照して記載したものと同一である。変形形態によると、データの伝送は、ステップ101で実施された品質評価に従い、たとえば、チャネルの一方および/または他方に対して評価された伝送品質の結果により物理チャネルの一方および/または他方を介したデータの伝送を奨励することで実行される。
【0070】
上記のステップ93の間に実施されるデータ伝送が終わると、ステーション11によるデータ受信を表す情報を含むACKタイプの受信確認が、ステーション11によって送信され、アクセスポイント10によって送信されたデータが、受信側ステーション11によって全体的に受信されている場合、任意選択のステップ102の間にアクセスポイントによって受信される。有利なことに、受信確認ACKは、第1の物理チャネルを介して送信されて、第1の物理チャネルを介して、および/または、第2の物理チャネルを介して送信されたデータの受信を確認する。変形形態によると、第1の受信確認ACK1は、第1の物理チャネルを介してステーション11によって送信されて、第1の物理チャネルを介して送信されたデータの受信を確認する。第2の受信確認ACK2は、第2の物理チャネルを介して送信されて、第2の物理チャネルを介して送信されたデータの受信を確認する。変形形態によると、受信確認ACKは、第1の物理チャネルを介した、および/または第2の物理チャネルを介したデータの非受信(またはデータの部分的受信)を表す情報を含む。有利なことに、データが、第2の物理チャネルを介して送信されている場合、およびこのデータの受信確認ACKが、データ送信の終了後の所定時間(たとえば、40μs)の満了前にアクセスポイント10によって受信されない場合、ステーション11によって受信されていないデータは、アクセスポイントによって第1の物理チャネルを介して再送信される。変形形態によると、データの非受信を表す情報を含む受信確認ACKがアクセスポイントによって受信された場合、データは、第1の物理チャネルを介して再度送信される。変形形態によると、非受信データは、第2の物理チャネルを介して再度送信される。別の変形形態によると、非受信データは、第1の物理チャネルを介して、および第2の物理チャネルを介して再度送信され、優先レベルが最も高いデータが、最も堅牢なチャネル、たとえば第1の物理チャネルを介して送信される。
【0071】
図7は、本発明の特に有利な非限定的実装例による、送信要求RTSのフレームの内容を図式的に示している。
【0072】
RTSフレーム7は有利なことに、標準IEEE802.11−2007に準拠する。たとえば、16ビット長の「ID持続期間」フィールド71は、アクセスポイント10によるフレーム伝送のための物理チャネルの予約持続期間の値を表す情報を含む。この持続期間は、図4、5、6に示すようなNAVネットワーク(ネットワーク割当てベクトル)404、503、603の割当てベクトルの時間的長さに対応する。たとえば、48ビット長の、RTSフレームのフィールドRA72は、ステーション11〜14のアドレス、アクセスポイント10によって送信されるデータの宛先および制御フレームを表す情報を含む。たとえば、48ビット長のTAフィールド73は、RTSフレーム7を送信するアクセスポイントまたはステーションのアドレスを表す情報を含む。たとえば、24または32ビット長のFCSフィールド(フレーム検査シーケンス)75は、エラー訂正および検出に使用されるチェックサム)またはCRC(巡回冗長検査)のキャラクタを表す情報を含む。たとえば16ビット長のフレーム制御フィールド70は、複数のフィールドに下位分割される。フィールド70は、特記すべきこととして、データの交換に使用されるプロトコルのバージョンを表す情報を含むフィールド701を含む。また、RTS用のフレームのタイプ、すなわち制御フレームを表す情報を含むフィールド702も含む。フィールド703は、フレームのサブタイプ、たとえば、具体的フレーム本体を有するフィールド74を含む、たとえば修正RTSを表す情報を含む。最後に、RTSフレーム7は、修正RTSフレームに固有の情報を含むフィールド74を含む。フレーム74は、複数のフィールドに下位分割される。フレーム74は、アクセスポイント10がそれを介してデータを伝送することを望む第2のチャネルの数、たとえば、2つの60GHzチャネルを表す情報を含むフィールド741を含む。フィールド742、743は、アクセスポイントがそれを介したデータの伝送を求める第2のチャネルが何であるか識別する。最後に、フィールド744は、RTSがそれを介して送信される第1のチャネルを介した、たとえば5GHzでの伝送が、アクセスポイントによって要求されるかどうかを示している。「フレーム制御」フィールド70、「ID持続期間」71、RA72およびTA73は、MACヘッダー(メディアアクセス制御)を形成する。
【0073】
変形形態によると、RTSフレーム7は、第1のチャネルを介した伝送がその中で求められるどのフィールドも含んでいない。第1のチャネルを介したフレームの伝送のみが、この第1のチャネルにおけるデータ送信要求と等価である。
【0074】
別の変形形態によると、フィールド741中で識別される第2のチャネルの数は、1、2、3または4つのチャネルである。したがって、第2のチャネルを識別するフィールド742、743の数は、1、2、3または4つのフィールドである。
【0075】
有利なことに、RTSフレーム7は、別の制御フレーム、通常はRTS制御フレーム7を移送するのに用いられる標準IEEE802.11nにおいて定義される制御ラッパーフレームに統合される。このような統合の利点は、標準IEEE802.11nに準拠するノードが、このようなフレームの復号に適しており、したがってネットワーク割当てベクトルNAVの位置決めに適していることである。
【0076】
図8は、本発明の特に有利な非限定的実装例による送信合意CTSのフレームの内容を図式的に示している。
【0077】
CTSフレーム8は有利なことに、標準IEEE802.11−2007に準拠する。たとえば16ビット長の「ID持続期間」フィールド81は、アクセスポイント10によるフレーム伝送のための物理チャネルの予約持続期間の値を表す情報を含む。この持続期間は、図4、5、6に示したNAVネットワークの割当てベクトル(ネットワーク割当てベクトル)404、503、603の時間的長さに対応する。たとえば48ビット長のフレームCTSのフィールドRA82は、CTSフレームがそれに対する応答であるRTSフレームを直ちに進めるRTSフレームのTAフィールドからコピーされる。CTSフレームがフレームの交換において最初のフレームである場合、RAフィールド82は、送信側、たとえばアクセスポイント10のMACアドレスで埋められる。たとえば24または32ビット長のFCSフィールド(フレーム検査シーケンス)84は、エラー訂正および検出に使用されるチェックサム)またはCRC(巡回冗長検査)のキャラクタを表す情報を含む。たとえば16ビット長のフレーム制御フィールド80は、複数のフィールドに下位分割される。フィールド80は、特記すべきこととして、データの交換に使用されるプロトコルのバージョンを表す情報を含むフィールド801を含む。また、CTS用のフレームのタイプ、すなわち制御フレームを表す情報を含むフィールド802も含む。フィールド803は、たとえば、フレームのサブタイプ、たとえば、具体的フレーム本体を有するフィールド83を含む修正CTSを表す情報を含む。最後に、CTSフレーム8は、修正CTSフレームに固有の情報を含むフィールド83を含む。フレーム83は、複数のフィールドに下位分割される。フレーム83は、たとえば、第1のチャネルを介したデータ伝送認可または拒絶を表す情報を含むフィールド831を含む。フィールド832に関しては、たとえば、第2のチャネルを介したデータ伝送認可または拒絶を表す情報を含む。変形形態によると、フィールド83は、伝送がそれを介して求められるチャネル、たとえば、1、2、3または4つのチャネルと同じ数のフィールドに下位分割される。
【0078】
図4は、本発明の特に有利な非限定的実装例による、システム1のアクセスポイント10とステーション11〜14との間で実装されるフレーム交換の第1の例を示している。
【0079】
標準IEEE802.11−2007において実装されるような、(たとえば、DCF、すなわち分散調整機能タイプの)CSMA/CAタイプの競合アクセスモードでは、データがそれを介して送信されるチャネルの予約は、RTS/CTSフレームの交換によって実施される。ステーション11〜14に向けられたどのデータ伝送の前にも、ソースアクセスポイント10は、たとえば5GHz周波数帯(または2.4GHz)を使用する第1の物理チャネルを分析して、第1の物理チャネルがシステム1のステーションによって、または、別のアクセスポイントによって使用されるのか判定する。アクセスポイントがそれを介してRTSフレームを送信することを望む第1の物理チャネル上でデータフレーム400が検出された場合、アクセスポイントは、第1の物理チャネル上で再度送信する前に、「バックオフ」アルゴリズムにより定められた時間(たとえば、25μs(DIFSの持続期間)+N*9μs(スロットの持続期間)であるが、ここでNは、標準IEEE802.11−2007によると、15と1023の間のランダムな値である)だけ待つ。物理チャネルが空いていることをアクセスポイントが検出すると、アクセスポイント10は、RTS要求の伝送を開始する。RTS要求を送信する前に、アクセスポイント10は、予め定められた最小時間DIFS(DCFフレーム間空間)(たとえば、標準IEEE802.11a/nによると25μs)だけ待ち、次いで、「バックオフ」時間として知られるランダムな時間間隔401だけ待ち、こうすることによってチャネルへのアクセスにおける衝突が最小限にされ得る。アクセスポイントはこのように、第1の物理チャネルを介してRTS1要求402を送信する。RTS1要求402は、たとえば、60GHz周波数帯を使用する第2の物理チャネルを介したデータ送信要求をさらに含む、ステーション11〜14によって(すなわち、標準IEEE802.11−2007に準拠する任意のノードによって)理解可能なRTSフレームである。RTS1要求402は、システム1のステーション11に向けられる。RTS1要求402は、そのMACヘッダー中に、チャネルの予約持続期間情報を含む。データの交換に関係しないステーション12〜14は、この持続期間を記録して、フレームACK406の末尾に対応する、最終交換が起こる予定の時間を判定する。この時間間隔中、データ交換に関係しないステーション12〜14は、チャネルへのアクセスを試みない。残っているタイムスロット、すなわちフレームRTS1 402、CTS1 403、ACK406およびSIFS間隔の持続期間が差し引かれた予約持続期間が、NAVベクトル404(ネットワーク割当てベクトル)として知られる、データの交換のための残っている持続期間となる。ステーション11は、予め定められた時間SIFS(短フレーム間空間)(たとえば、標準IEEE802.11a/nによると16μs)後に送信許可(または、繰り返しになるが送信合意とも呼ばれる)CTS1 403によってRTS1要求402に応答する。ステーション11は、アクセスポイント10から10メートル未満の距離にあり、アクセスポイントからの直接見通し線上にあるので、ステーション11は次いで、合意CTS1 403を送信する。合意CTS1 403は、5GHz周波数帯(または2.4GHz)を使用する第1の物理チャネル上で送信され、その結果、システム1のステーション(アクセスポイントから10mより離れているとともに非見通し線NLOS上にあるステーションを含む)はすべて、このCTS合意を受信することができる。合意CTS1 403は、たとえば、60GHz周波数帯を使用する第2の物理チャネルを介してアクセスポイント10がデータを伝送することを認可する情報をさらに含む、ステーション11〜14によって(すなわち、標準IEEE802.11−2007に準拠する任意のノードによって)認識可能なCTSフレームである。有用データ405は次いで、第1の物理チャネル5GHzのものよりビットレートがほぼ10倍大きい60GHzで第2の物理チャネルを介して送信される。データが受信側ステーション11によって受信されると、ステーション11は、第1の物理チャネル上でデータ受信確認ACK406を送信する。ACK406フレームは有利なことに、第2の物理チャネル上で送信されたデータの完全受信を表す情報を含む。ACKフレーム406が第1の物理チャネルを介して送信されると、第1の物理チャネルは次いで、別のフレーム伝送407用にクリアになる。
【0080】
変形形態によると、RTS1要求402は、第1および第2の物理チャネルを介して、データを送信するための認可要求を表す情報を含む。第1の物理チャネルを介して送信されるCTS1合意403は有利なことに、RTS1要求402に応答して、第1の物理チャネルを介した、および第2の物理チャネルを介した送信合意を含む。データ405の一部、すなわち少なくとも1つのデータパケットが次いで、第2の物理チャネルを介して送信され、それ以外の部分は、第1の物理チャネルを介して送信される。第1の物理チャネルを介して送信されるデータは有利なことに、第2の物理チャネルを介して送信されるものより高い優先レベルをもつ。変形形態によると、フレームACK406は、第1の物理チャネル上で受信されたデータの受信確認に関連する情報、および第2の物理チャネル上で受信されたデータの受信確認に関連する情報を含む。別の変形形態によると、フレームACK406は、第1のチャネルおよび/または第2のチャネルそれぞれにおけるデータの不良受信のケースでは、第1の物理チャネルを介して送信されたデータの非受信もしくは部分的受信を表す情報および/または第1の物理チャネルを介して送信されたデータの非受信もしくは部分的受信を表す情報を含む。
【0081】
有利なことに、合意CTS1 403は、RTS1要求402の受信側ステーションが第2の物理チャネル上でのデータの受信に適さない場合、第2の物理チャネル上でのデータ送信認可拒絶を表す情報を含む。このデータは次いで、第1の物理チャネル上で送信される。
【0082】
図5は、本発明の特に有利な非限定的実装例による、システム1のアクセスポイント10とステーション11〜14との間で実装されるフレーム交換の第2の例を示している。
【0083】
ステーション11〜14に向けられたどのデータ伝送前にも、ソースアクセスポイント10は、たとえば5GHz周波数帯(または2.4GHz)を使用する第1の物理チャネルを分析して、第1の物理チャネルがシステム1のステーションによって、それとも別のアクセスポイントによって使用されるのか判定する。アクセスポイントがその上でRTS要求を送信することを望む第1の物理チャネル上でデータフレーム500が検出された場合、アクセスポイントは、第1の物理チャネル上で再度送付する前に、所定時間(たとえば、標準IEEE802.11−2007によると、25μsに対応する205μs(DIFS)+バックオフの残っている時間(たとえば、20×9μs)))だけ待つ。物理チャネルが空いていることをアクセスポイントが検出すると、アクセスポイント10は、RTS要求の伝送を開始する。RTS要求の伝送の前に、アクセスポイント10は、予め定められた最短時間DIFS(たとえば、標準IEEE802.11a/nによると25μs)だけ待ち、次いで、「バックオフ」時間という名称で知られているランダムな時間間隔401だけ待つ。アクセスポイントはこのように、第1の物理チャネルを介してRTS1要求502を送信する。RTS1要求502は、たとえば、60GHz周波数帯を使用する第2の物理チャネルを介したデータ送信要求をさらに含む、ステーション11〜14により(すなわち、標準IEEE802.11−2007に準拠する任意のノードによって)認識可能なRTSフレームである。有利なことに、RTS1要求502は、第1の物理チャネルを介したデータ送信要求も含む。変形形態によると、RTS1要求502は、第1の物理チャネルを介した、いかなる明示的データ送信要求も含まず、第1の物理チャネル上でのRTS1フレームの伝送は、受信側ステーションによって、第1の物理チャネル上での暗黙的データ送信要求として理解される。ステーション11は、予め定められた時間SIFS(たとえば、標準IEEE802.11a/nによると16μs)後に第1の物理チャネルを介して送信される送信合意CTS1 504によって、および、第2の物理チャネルを介して送信されるCTS2合意505によって、RTS1要求502に応答するが、ステーション11は、第1および第2の物理チャネル上でデータを受信するのに適している。RTS1要求502は、5GHzで(または2.4GHzで)第1の物理チャネルを介して送信されるので、ステーション12〜14はすべて、要求502を受信し、少なくとも部分的に復号して、チャネルのNAV予約ベクトル503を位置決めする。変形形態によると、一部のステーション12〜14は、合意CTS1を受信し、RTS1要求は受信しない。チャネルの予約中、ステーション12〜14はしたがって、どの送信要求も送信しない。第1の物理チャネル上でCTS1 504を受信すると、アクセスポイントは、データの一部分506、すなわち少なくとも1つのデータパケットを、ステーション11に向けて第1の物理チャネルを介して送信する。第2の物理チャネル上でCTS2 505を受信すると、アクセスポイントは、データの一部分507、すなわち少なくとも1つのデータパケットを、ステーション11に向けて第2の物理チャネルを介して送信する。第1の物理チャネルを介した送信データ506がステーション11によって受信されると、ステーション11は、データ506が完全に、かつ第1のチャネル上でエラーなしで受信されている場合、第1の物理チャネル上でデータACK1 508の受信確認を送信する。データが受信されていない、または部分的に受信されているか、もしくはエラーありで受信されている場合、ステーション11は、受信確認を送信せず、または第1のチャネルを介して送信されたデータの非受信の代表的情報を含む受信確認ACK508を第1の物理チャネルを介して送信する。第2の物理チャネルを介した送信データ507がステーション11によって受信されると、ステーション11は、データ507が完全に、および第1のチャネル上でエラーなしで受信されている場合、第2の物理チャネルを介してデータACK2 509の受信確認を送信する。データが受信されていない、または部分的に受信されているか、もしくはエラーありで受信されている場合、ステーション11は、受信確認を送信せず、または、第2のチャネルを介して送信されたデータの非受信の代表的情報を含む受信確認ACK2 509を第2の物理チャネルを介して送信する。アクセスポイント10によってフレームACK1 508が受信されると、メディア510が次いで、新規フレーム伝送用にクリアになる。
【0084】
変形形態によると、ステーション11は単に、第1および第2の物理チャネルを介して送信されたデータの受信を確認するための受信確認ACK1 508を送信する。
【0085】
有利なことに、第1の物理チャネルを介して送信されるデータ506は、第2の物理チャネルを介して送信されるものより高い優先レベルをもつ。変形形態によると、第2の物理チャネル上でのデータの非受信のケースでは、データは第1の物理チャネルを介して送信される。
【0086】
第1の物理チャネルを介したCTS1 504の送信および第2の物理チャネルを介したCTS2 505の送信には、アクセスポイント10によって、第1および第2の物理チャネルを介したデータの伝送品質を評価することができるという利点がある。物理チャネルそれぞれにおいて利用可能な伝送品質の評価の後、アクセスポイントは、第1の物理チャネルを介した伝送、第2の物理チャネルを介した伝送、または、両方を並列にした伝送を決める。
【0087】
ある特定の実施形態によると、ステーション12は、合意CTS2を受信しておらず、または、低電力レベルで受信しており、ステーション11およびアクセスポイント10以外のシステムのノードの1つにデータを送信することを望んでいるが、たとえば、第2の物理チャネルによって使用される60GHzでの別の周波数帯を使用する物理チャネルを介してデータを送信する。ステーション12は合意CTS2を受信していないので、アクセスポイント10によってステーション11に送信されるデータと、この60GHzの周波数帯中で送信されるデータを受信することが可能な別のノードにステーション12によって送信されるデータとの間の衝突の危険性は、特に低い。ステーション12によるデータの送信は有利なことに、RTS/CTSフレームの交換により進められる。変形形態によると、ステーション12によるデータの送信は、RTS/CTSフレームの交換なしで実施される。
【0088】
図6は、本発明の特に有利な非限定的実装例による、システム1のアクセスポイント10とステーション11〜14との間で実装されるフレーム交換の第3の例を示している。
【0089】
ステーション11〜14に向けられたどのデータ伝送の前にも、ソースアクセスポイント10は、たとえば5GHz周波数帯(または2.4GHz)を使用する第1の物理チャネルを分析して、このチャネルがシステム1のステーションにおいて、それとも別のアクセスポイントによって使用されるのか判定する。アクセスポイントがその上でRTS要求を送信することを望む第1の物理チャネル上でデータフレーム600が検出された場合、アクセスポイントは、第1の物理チャネル上で再度送付する前に、所定時間(たとえば、25μs(DIFSの持続期間)+N×9μs(スロットの持続期間)であり、ここでNは、標準IEEE802.11−2007によると、15と1023の間のランダム値である)だけ待つ。物理チャネルがクリアであることをアクセスポイントが検出すると、アクセスポイント10は、RTS要求の伝送を開始する。RTS要求の伝送の前に、アクセスポイント10は、予め定められた最短時間DIFS(たとえば、標準IEEE802.11a/nによると25μs)だけ待ち、次いで、「バックオフ」時間という名称で知られている、ランダムな時間間隔601だけ待つ。アクセスポイントはこのように、第1の物理チャネルを介してRTS1要求602を送信する。RTS1フレーム602は有利なことに、第2の物理チャネルを介したデータ送信要求、および変形形態によると第1の物理チャネルを介したデータ送信要求を含む。RTS1要求604を受信すると、受信側ステーションは、アクセスポイントが第2の物理チャネルを介してデータを送信することを認可する送信合意CTS1 604を、第1の物理チャネルを介して送信する。第2の物理チャネルを介してデータを伝送する前に、アクセスポイントは、第2の物理チャネルを介して送信要求を送付して、データを送信する前に第2のチャネルの可用性をテストする。実際、第2の物理チャネル上で通信を確立するよう求められる条件が、ステーション11によるCTS1 604の送付と、アクセスポイント10によるデータの伝送との間で変わっている可能性がある。ステーション11が、依然として第2の物理チャネル上でデータを受信することができる場合、ステーション11は、第2の物理チャネルを介して送信合意CTS2 606を送信する。アクセスポイントは次いで、第2の物理チャネルを介してデータ607を送信する。このデータが、ステーション11によって完全に、およびエラーなしで受信されると、ステーション11は、第1の物理チャネルを介してデータ受信確認ACK608を送信する。メディア609は次いで、新規データ伝送用にクリアになる。
【0090】
変形形態によると、予め定められた時間内での、第2のチャネルを介したCTS2合意の非受信のケースでは、第2の送信要求RTS2が、アクセスポイントによって第2の物理チャネルを介して送信される。
【0091】
有利なことに、アクセスポイントは、第2の物理チャネル上で送信される送信合意CTS2 606の受信を待つことなく、送信合意CTS1 604の受信から、第1のチャネルを介して伝送するために、データの一部分を送信する。変形形態によると、データの伝送が、第2のチャネル上で可能であることが分からない場合、送信するべきデータはすべて、第1の物理チャネルを介して送信される。
【0092】
図11は、本発明の特に有利な非限定的実装例による、ステーション11〜14またはシステム1のアクセスポイント10に実装される通信管理方法を示している。
【0093】
初期化ステップ110の間、ステーションの様々なパラメータがアップデートされる。具体的には、送信されるべき信号とそれに対応するサブキャリアに対応するパラメータとが、任意のやり方で(たとえば、システム1のアクセスポイントによって送信される初期化メッセージの受信に続いて、システム1に示されていないサーバによって、またはオペレータのコマンドによっても)初期化される。
【0094】
次いでステップ111の間、ステーション11が、第1の物理チャネルを介して、システム1のアクセスポイント10または別のステーション12〜14によって送信された1つ(または複数)のRTS送信要求を受信する。送信要求は、第1の物理チャネルを介した、および/または第2の物理チャネルを介したデータ送信要求である。第2の物理チャネルは、その周波数すべてが30GHzより大きく、300GHzより低い周波数帯を使用し、30と300GHzの間の周波数帯は、極高周波スペクトル(EHF)と指定される。第1および第2の物理チャネルは、周波数帯によって、およびCDMAのケースでは拡散符号によって特徴づけられる。第1および第2の物理チャネルは互いに異なり、すなわち、それぞれ異なる周波数帯を使用し、かつ/または、それぞれ異なる拡散符号を使用する。変形形態によると、送信要求は、第1および/または第2の物理チャネルに加えて、第3および/または第4の物理チャネルを介した1つまたは複数のデータ送信要求を含む。別の変形形態によると、いくつかのRTS要求は、第1の物理チャネルを介して送信される。変形形態によると、アクセスポイント10は、ステーション11〜14によって送信される1つまたは複数の送信要求を受信する。
【0095】
最後に、ステップ112の間、RTS要求(1つまたは複数)を受信しているステーション11が、RTS要求(1つまたは複数)に応答して、第2の物理チャネルを介した1つまたは複数の送信合意CTSを送信する。アクセスポイントがそれを介してデータを送信することを望むチャネルそれぞれに対するアクセス条件が満たされる場合、送信合意は、利用可能チャネルそれぞれを介したデータの伝送を認可する。変形形態によると、第1の物理チャネル上で受信された複数のRTS要求に応答して、複数のCTS合意が、第2のチャネルを介して送信される。変形形態によると、第2の物理チャネルを介した1つまたは複数の送信合意CTSは、アクセスポイント10によって送信される。
【0096】
当然ながら、本発明は、上に記載した実施形態に限定されない。
【0097】
具体的には、本発明は、単一のアクセスポイントを備えるシステムに限定されるものではなく、複数のアクセスポイントを備えるシステムにも拡張する。さらに、本発明は、標準IEEE802.11−2007に対応するRTS/CTSフレーム交換を伴うシステムに制限されるものではなく、CSMA/CAタイプの(たとえば、DCFタイプの)チャネルへの競合アクセスを実装するどのシステム、たとえば、標準IEEE802.15.4、標準IEEE802.15.3または「High Rate Ultra Wideband PHY and MAC Standard」というタイトルで2007年12月に発行された標準ECMA−368に対応するRTS/CTSフレーム交換を伴うシステムにも拡張する。
【0098】
変形形態によると、送信要求(複数の送信要求のそれぞれ)は、ステーションによって、別のステーションに向けて送信され、RTS/CTSフレーム交換は、2つのステーションの間で、有利なことに第1の物理チャネル上で実施され、データは有利なことに、第2の物理チャネルを介して送信される。
【0099】
別の変形形態によると、送信要求(複数の送信要求のそれぞれ)は、アクセスポイントによって、別のアクセスポイントに向けて送信され、RTS/CTSフレームの交換は、2つのアクセスポイントの間で、有利なことに第1の物理チャネル上で実施される。
【0100】
有利なことに、複数の第1の送信要求は、第1の物理チャネルを介して定期的間隔で送信される。このソリューションには、複数のRTS要求に応答した送信合意CTSの受信または非受信による、第1および第2の物理チャネルそれぞれにおける伝送条件の変化に適応することができるという利点がある。
【0101】
有利なやり方では、第1の物理チャネルを介したフレームの伝送は、第2の物理チャネルを介したフレームの伝送と同じ時間を著しく占め、第1の物理チャネルを介して送信されるフレームと、第2の物理チャネルを介して送信されるフレームとの間のビジー時間の差はたとえば、9μsまたは4μs未満である。
【0102】
変形形態によると、アクセスポイント10は、有利なことに第1の物理チャネルを介して、いくつかのステーションへのデータ送信合意の要求のRTSフレームを送信し、前記ステーションはそれぞれ、適用可能な場合は送信合意CTSを送信する。受信されたCTSに従い、アクセスポイント10は、複数のステーションにマルチキャストモードでデータを送信する。
【0103】
有利な実装例によると、フレーム伝送のための第2の物理チャネルへの第1の物理チャネルの受渡しは、MAC層の視点の、物理モード変更機構により実施される。単一MAC層が、送信するべきフレームを受信する。MAC層は、当業者に公知であるリンク適合機構により、物理モード(第1の物理チャネルの物理モードまたは第2の物理チャネルの物理モード)を選択するが、この機構には、RTS/CTSフレームの交換によるチャネル選択機構が追加される。MAC層は、物理層に送信要求を送信し、セレクタが、送信要求を受信して、物理モードに従って、第1のチャネルに対応する物理層または第2のチャネルに対応する物理層に送信要求を従わせる。
(付記1)
少なくとも1つの第1のノードを備えるワイヤレスネットワーク内の伝送方法であって、
・少なくとも1つの第1の送信要求(402、502、602)を、少なくとも1つの第1の物理チャネルを介して前記少なくとも1つの第1のノードによって送信するステップ(91)と、
・前記少なくとも1つの第1のノードによって、極高周波(EHF)に属する少なくとも1つの周波数帯を使用する少なくとも1つの第2の物理チャネルを介して少なくとも1つの第1のデータ送信合意(403、505、604、606)を受信するステップ(92)であって、
前記第1の物理チャネルおよび前記第2の物理チャネルは異なる、ステップと、
・前記受信(92)の後でデータを送信するステップ(93)と
を含む、方法。
(付記2)
前記少なくとも1つの第1のノードは、競合アクセス方法を用いることにより、前記ワイヤレスネットワークにアクセスし、前記少なくとも1つの物理チャネルは、前記少なくとも1つの第2の物理チャネルより外部変動に敏感でない、付記1に記載の方法。
(付記3)
前記少なくとも1つの第1の物理チャネルおよび前記少なくとも1つの第2の物理チャネルは、異なる周波数帯を使用する、付記1または2に記載の方法。
(付記4)
前記少なくとも1つの第1の物理チャネルは、周波数すべてが30GHz未満の周波数帯を使用する、付記1ないし3に記載の方法。
(付記5)
前記少なくとも1つの第1の送信合意(403、604)は、前記少なくとも1つの第1の物理チャネルを介して前記少なくとも1つの第1のノードによって受信される、付記1ないし4のいずれか1つに記載の方法。
(付記6)
前記少なくとも1つの第1のノードによって、前記少なくとも1つの第2の物理チャネルを介した少なくとも1つの第2の送信要求(605)を、前記少なくとも1つの第2の物理チャネルを介して送信するステップを含む、付記1ないし5のいずれか1つに記載の方法。
(付記7)
前記少なくとも1つの第1のノードによって、前記少なくとも1つの第2の物理チャネルを介した少なくとも1つの第2のデータ送信合意(606)を、前記少なくとも1つの第2の物理チャネルを介して受信するステップを含む、付記1ないし6のいずれか1つに記載の方法。
(付記8)
前記少なくとも1つの第1のノードによって、前記少なくとも1つの第1の物理チャネルを介した少なくとも1つの第2のデータ送信合意(504)を、前記少なくとも1つの第1の物理チャネルを介して受信するステップを含み、前記少なくとも1つの第1の送信合意(505)は、前記少なくとも1つの第2の物理チャネルを介して受信される、付記1ないし6のいずれか1つに記載の方法。
(付記9)
・少なくとも1つの第1の送信合意(505)の受信品質テストおよび少なくとも1つの第2の送信合意(504)の受信品質テストのステップと、
・前記品質テストの結果により、前記少なくとも1つの第1の物理チャネルを介して、
および/または前記少なくとも1つの第2の物理チャネルを介してデータを送信するステップと
を含む、付記7および8のいずれか1つに記載の方法。
(付記10)
前記少なくとも1つの第1の物理チャネルを介して送信される少なくとも1つのデータパケットは、前記少なくとも1つの第2の物理チャネルを介して送信される少なくとも1つのデータパケットより高い優先レベルをもつ、付記1ないし9のいずれか1つに記載の方法。
(付記11)
・前記少なくとも1つの第2の物理チャネルを介して送信される前記データの非受信を表す情報が、前記少なくとも1つの第1のノードによって受信され、または
・前記少なくとも1つの第2の物理チャネルを介して送信される前記データの前記受信を表す情報が、予め定められた時間の満了前に受信されない
場合、前記少なくとも1つの第2の物理チャネルを介して送信される前記データの少なくとも一部分は、前記少なくとも1つの第1の物理チャネルを介して前記少なくとも1つの第1のノードによって再度送信される、付記1ないし10のいずれか1つに記載の方法。
(付記12)
前記少なくとも1つの第2の物理チャネルを介して送信されるデータの前記受信を表す情報(406、608)は、前記少なくとも1つの第1の物理チャネルを介して前記少なくとも1つの第1のノードによって受信される、付記1ないし11のいずれか1つに記載の方法。
(付記13)
前記少なくとも1つの第1の送信要求(402、502、602)は、前記少なくとも1つの第1の物理チャネルおよび/または前記少なくとも1つの第2の物理チャネル上でのデータ送信要求を表す情報を含む少なくとも1つのフィールドを含む、前記の付記のいずれか1つに記載の方法。
(付記14)
前記少なくとも1つの第1の送信合意(403、505、604)は、前記少なくとも1つの第1の物理チャネルおよび/または前記少なくとも1つの第2の物理チャネルを介したデータ送信認可または拒絶を表す情報を含む少なくとも1つのフィールドを含む、前記の付記のいずれか1つに記載の方法。
(付記15)
少なくとも1つの第1のノードを備えるワイヤレスネットワークにおける通信管理方法であって、
・前記少なくとも1つの第1のノードによって、少なくとも1つの第1の物理チャネルを介して少なくとも1つの第1の送信要求(402、502、602)を受信するステップ(111)と、
・前記少なくとも1つの第1のノードによって、極高周波(EHF)に属する少なくとも1つの周波数帯を使用する少なくとも1つの第2の物理チャネルを介して少なくとも1つの第1のデータ送信合意(403、505、604、606)を送信するステップ(112)と
を含み、
前記第1の物理チャネルおよび前記第2の物理チャネルは異なる、方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11