(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
搬送方向に沿って間隔をおいて配置された複数の受け送り部材を備え、長尺ワークが複数の受け送り部材に順次支持されつつ長さ方向に沿って搬送されるようにした長尺ワークの搬送装置であって、
各受け送り部材が、長尺ワークを支持可能な上昇位置と、その上昇位置より下方における長尺ワークと干渉しない降下位置との間で昇降自在にそれぞれ支持されて、
各受け送り部材は、長尺ワークの先端が通過している際に降下位置に配置されるとともに、長尺ワークの先端が通過した後に上昇位置に配置されて長尺ワークの外周面に接触して長尺ワークが支持されるように構成されていることを特徴とする長尺ワークの搬送装置。
受け送り部材は、V字状に配置され、かつ長尺ワークの両側部外面における下部をそれぞれ斜め下側から支持する一対の搬送ローラによって構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の長尺ワークの搬送装置。
搬送ローラは、駆動手段からの駆動力によって回転し、その回転によって長尺ワークが搬送されるように構成されている請求項3または4に記載の長尺ワークの搬送装置。
搬送方向に沿って間隔をおいて配置された複数の受け送り部材によって、長尺ワークを順次支持しつつ長さ方向に沿って搬送するようにした長尺ワークの搬送方法であって、
各受け送り部材を、長尺ワークを支持可能な上昇位置と、その上昇位置より下方における長尺ワークと干渉しない降下位置との間で昇降自在にそれぞれ支持しておいて、
各受け送り部材を、長尺ワークの先端が通過する際には降下位置に配置するとともに、長尺ワークの先端が通過した後に上昇位置に配置して長尺ワークの外周面に接触させて長尺ワークを支持するようにしたことを特徴とする長尺ワークの搬送方法。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、押出型材のような長尺ワークを鋸刃によって切断する場合には、長尺ワーク切断端面(先端面および後端面)にバリ等の凸状欠陥が形成され易いが、上記の一貫連続方式の押出設備においては、切断端面に形成された凸状欠陥を取り除くことが困難である。一方、切断された長尺ワークを搬出する搬送ローラの外周面(搬送面)は、長尺ワークに傷を付けないようにワークよりも柔らかい素材例えば、フェルト生地等によって構成されている。このため長尺ワークの先端面に上記バリが形成されていると、長尺ワークの先端が搬送ローラに到達する際に、バリが搬送ローラの外周面のフェルト生地を引っ掻いて、毛羽立ちが形成されることがある。そうすると、その毛羽立った繊維によってワーク外周面を傷付けてしまったり、毛羽立った繊維のくず(糸くず)がワーク外周面に付着して、そのままワークが後工程に持ち込まれてしまい、ワーク外周面に傷を生じさせる等、ワーク外周面に悪影響を与える原因となってしまうおそれがあった。
【0006】
この発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、長尺ワークの先端が搬送ローラ等の受け送り部材に接触することによる受け送り部材の損傷を防止できて、その損傷によるワーク外周面等への悪影響を回避することができる長尺ワークの搬送装置およびその関連技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は以下の構成を要旨とするものである。
【0008】
[1]搬送方向に沿って間隔をおいて配置された複数の受け送り部材を備え、長尺ワークが複数の受け送り部材に順次支持されつつ長さ方向に沿って搬送されるようにした長尺ワークの搬送装置であって、
各受け送り部材が、長尺ワークを支持可能な上昇位置と、その上昇位置より下方における長尺ワークと干渉しない降下位置との間で昇降自在にそれぞれ支持されて、
各受け送り部材は、長尺ワークの先端が通過している際に降下位置に配置されるとともに、長尺ワークの先端が通過した後に上昇位置に配置されて長尺ワークの外周面に接触して長尺ワークが支持されるように構成されていることを特徴とする長尺ワークの搬送装置。
【0009】
[2]各受け送り部材は、長尺ワークの後端が通過している際に降下位置に配置されるように構成されている前項1に記載の長尺ワークの搬送装置。
【0010】
[3]受け送り部材は、回転自在な搬送ローラによって構成されている前項1または2に記載の長尺ワークの搬送装置。
【0011】
[4]受け送り部材は、V字状に配置され、かつ長尺ワークの両側部外面における下部をそれぞれ斜め下側から支持する一対の搬送ローラによって構成されている前項1〜3のいずれか1項に記載の長尺ワークの搬送装置。
【0012】
[5]搬送ローラは、駆動手段からの駆動力によって回転し、その回転によって長尺ワークが搬送されるように構成されている前項3または4に記載の長尺ワークの搬送装置。
【0013】
[6]切断機によって切断された長尺ワークを搬送するようにした前項1〜5のいずれか1項に記載の長尺ワークの搬送装置。
【0014】
[7]鋸刃によって切断された長尺ワークを搬送するようにした前項6に記載の長尺ワークの搬送装置。
【0015】
[8]切断機により切断された時点を基準にして、長尺ワークの先端が各受け送り部材に到達するワーク先端到達予想時間を算出しておき、
そのワーク先端到達予想時間に基づいて、各受け送り部材の昇降動作を制御する制御装置を備える前項6または7に記載の長尺ワークの搬送装置。
【0016】
[9]長尺ワークの先端位置を検出するワーク先端位置検出器と、
ワーク先端位置検出器からの情報に基づいて、各受け送り部材の昇降動作を制御する制御装置とを備える前項1〜7のいずれか1項に記載の長尺ワークの搬送装置。
【0017】
[10]長尺ワークが押出型材によって構成されている前項1〜9のいずれか1項に記載の長尺ワークの搬送装置。
【0018】
[11]長尺ワークの素材がアルミニウムまたはアルミニウム合金である前項1〜10のいずれか1項に記載の長尺ワークの搬送装置。
【0019】
[12]長尺ワークは、感光ドラム用基体として用いられる前項1〜11のいずれか1項に記載の長尺ワークの搬送装置。
【0020】
[13]受け送り部材は、長尺ワークとの接触面が長尺ワークよりも柔らかい素材によって構成されている前項1〜12のいずれか1項に記載の長尺ワークの搬送装置。
【0021】
[14]受け送り部材は、長尺ワークとの接触面がフェルトによって構成されている前項1〜13のいずれか1項に記載の長尺ワークの搬送装置。
【0022】
[15]押出機と、押出機によって押し出された押出型材としての長尺ワークを切断する切断機と、切断された長尺ワークを搬送する搬送装置とを備えた押出設備であって、
搬送装置が前項1〜14のいずれか1項に記載の長尺ワークの搬送装置によって構成されていることを特徴とする押出設備。
【0023】
[16]搬送方向に沿って間隔をおいて配置された複数の受け送り部材によって、長尺ワークを順次支持しつつ長さ方向に沿って搬送するようにした長尺ワークの搬送方法であって、
各受け送り部材を、長尺ワークを支持可能な上昇位置と、その上昇位置より下方における長尺ワークと干渉しない降下位置との間で昇降自在にそれぞれ支持しておいて、
各受け送り部材を、長尺ワークの先端が通過する際には降下位置に配置するとともに、長尺ワークの先端が通過した後に上昇位置に配置して長尺ワークの外周面に接触させて長尺ワークを支持するようにしたことを特徴とする長尺ワークの搬送方法。
【発明の効果】
【0024】
発明[1]の長尺ワークの搬送装置によれば、長尺ワークの先端が受け送り部材に接触するのを防止できるため、ワーク先端との接触による受け送り部材の損傷を防止できて、その損傷による長尺ワーク外周面への悪影響を回避することができる。
【0025】
発明[2]の長尺ワークの搬送装置によれば、長尺ワークの後端が受け送り部材に接触するのを防止できるため、上記と同様に、長尺ワーク外周面への悪影響をより確実に防止することができる。
【0026】
発明[3]〜[4]の長尺ワークの搬送装置によれば、長尺ワークをスムーズに搬送することができる。
【0027】
発明[5]〜[9]の長尺ワークの搬送装置によれば、長尺ワーク外周面への悪影響をより一層確実に防止することができる。
【0028】
発明[10]〜[14]の長尺ワークの搬送装置によれば、上記の効果をより一層確実に得ることができる。
【0029】
発明[15]の押出設備によれば、上記と同様の効果を得ることができる。
【0030】
発明[16]の長尺ワークの搬送方法によれば、上記と同様の効果を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
<第1実施形態>
図1はこの発明の第1実施形態である長尺ワークの搬送装置が適用された押出設備を示すブロック図である。
【0033】
同図に示すようにこの第1実施形態の押出設備は、一貫製造ラインによって構成されており、押出機1と、ランナウト冷却テーブル2と、切断機3と、長尺ワークの搬送装置を構成するランナウトテーブル4と、移載装置5と、クーリングテーブル16とを備えている。この押出設備では、押出機1によって押出成形された丸パイプ状(円筒形状)の押出型材としての長尺ワークWが、ランナウト冷却テーブル2によって切断機3まで搬送される。切断機3において長尺ワークWが所定の長さに切断された後、ランナウトテーブル4によって移載装置5まで搬送される。移載装置5によって長尺ワークWはクーリングテーブル6に移載されて、そこで冷却された後、次工程に送り出される。
【0034】
本実施形態において、長尺ワークWの素材は、特に限定されるものではないが、純アルミニウムまたはアルミニウム合金を好適例として挙げることができる。また本実施形態において、長尺ワークWは例えば、電子写真システムを構成する複写機、プリンタ、ファクシミリ、これらの複合機等において、感光ドラム、転写ローラ、その他各部に利用される感光ドラム用の基体として好適に用いられる。感光ドラム用基体は、外周面が鏡面仕上げされるものであり、長尺ワークWにおける外周面の仕上がり具合が品質に大きく影響されることになる。
【0035】
図2は第1実施形態の押出設備の要部、すなわち切断機3およびランナウトテーブル4を示す概略側面図である。同図に示すように切断機3は、長尺ワークWの搬送ライン上に配置されたハウジング31と、ハウジング31に設けられた切断ユニット32と、切断ユニット32に設けられた鋸刃33とを備えている。
【0036】
切断ユニット32は、図示しない駆動手段の駆動によって、鋸刃33と共に搬送ラインに沿って走行駆動できるように構成されている。鋸刃33は、図示しない駆動手段の駆動によって回転駆動しつつ搬送ライン上の長尺ワークWに対し接離駆動して、長尺ワークWを切断できるようになっている。
【0037】
この切断機3においては、ランナウト冷却テーブル2による長尺ワークWの搬送速度、つまり押出速度と同じ速度で切断ユニット32が搬送ラインに沿って移動することにより、切断ユニット32が長尺ワークWと同調しつつ、鋸刃33を長尺ワークWに侵入させて長尺ワークWを切断するものである。
【0038】
ランナウトテーブル4は、搬送ラインに沿って適宜間隔をおいて並んで配置される複数のV受けローラ搬送機41を備えている。なお本明細書においては、複数のV受けローラ搬送機41のうち、長尺ワークWの搬送方向の最も上流側に配置されるV受けローラ搬送機41を1番目のV受けローラ搬送機41と称し、順次下流側に向かうに従って、2番目のV受けローラ搬送機41、3番目のV受けローラ搬送機41・・・と称するものとする。
【0039】
各V受けローラ搬送機41は、V字状に配置された一対の搬送ローラ(ランナウトローラ)42,42をそれぞれ備えており、一対の搬送ローラ42,42の下端側は搬送ライン上の長尺ワークWの下側において近接して配置されるとともに、上端側は長尺ワークの左右両側に離間して配置されている。そして一対の搬送ローラ42,42は長尺ワークWの両側部外面の下部を斜め下側から支持できるようになっている。
【0040】
搬送ローラ42の搬送面(外周面)は、長尺ワークWの外周面に傷が付くのを防止するために、長尺ワークWよりも柔らかい素材例えば、アラミド繊維等からなるフェルト生地によって構成されている。
【0041】
さらに搬送ローラ42は図示しない駆動手段の駆動力によって回転駆動できるようになっており、その回転駆動によって搬送ローラ42に支持された長尺ワークWが搬送ラインに沿って搬送されるよう構成されている。
【0042】
また各V受けローラ搬送機41は、昇降機構としてのシリンダ45に支持されている。すなわち上向きに配置されたシリンダ45のロッド先端(上端)にV受けローラ搬送機41が固定されており、シリンダ45のロッドが進出した際には、V受けローラ搬送機41が上昇位置に配置されるとともに、シリンダ45のロッドが後退した際には、V受けローラ搬送機41が降下位置に配置されるようになっている。さらに上昇位置のV受けローラ搬送機41は、搬送ライン上の長尺ワークWの外周面に接触して、長尺ワークWを支持して搬送可能な状態となる一方、下降位置のV受けローラ搬送機41は、搬送ラインの下方に退避して長尺ワークWに干渉(接触)しない状態となる。
【0043】
本実施形態において、シリンダ45としては、油圧式シリンダでも、空気圧式シリンダ(エアシリンダ)でも支障なく用いることができる。
【0044】
なお本実施形態においては、V受けローラ支持機41の搬送ローラ42によって受け送り部材が構成されている。
【0045】
各V受けローラ搬送機41における搬送方向の下流側(前側)には、下流側ワーク検出センサ46aがそれぞれ設置されるとともに、上流側(後側)には、上流側ワーク検出センサ46bがそれぞれ設置されている。本実施形態においては、下流側ワーク検出センサ46aによってワーク先端位置検出器が構成されるとともに、上流側ワーク検出センサ46bによってワーク後端位置検出器が構成されている。
【0046】
各ワーク検出センサ46a,46bとしては、非接触型のセンサを好適に用いることができ、透過型、反射型のいずれのセンサでも用いることができ、さらに透過型センサおよび反射型センサを併用することも可能である。
【0047】
各ワーク検出センサ46a,46bは、各センサ46a,46bに対応する位置において、長尺ワークWが存在しているか否かを検出できるようになっている。例えば1番目のV受けローラ搬送機41に対応して設けられる下流側ワーク検出センサ46aが、非検出状態から長尺ワークWを検出した際には、当該下流側ワーク検出センサ46aの位置を長尺ワークWの先端が通過したという情報を検出することができる。つまり1番目のV受けローラ搬送機41の位置を長尺ワークWの先端が通過した直後であるという情報を把握することができる。また1番目のV受けローラ搬送機41に対応する上流側検出センサ46bが、長尺ワークWを検出している状態から非検出状態となった際には、当該上流側ワーク検出センサ46bの位置を長尺ワークWの後端が通過したという情報を検出することができる。つまり1番目のV受けローラ搬送機41の位置を長尺ワークWの後端が通過する直前であるという情報を把握することができる。
【0048】
同様に各ワーク検出センサ46a,46bからの情報を基に、各V受けローラ搬送機41の位置を長尺ワークWの先端が通過した直後であるという情報と、長尺ワークWの後端が通過する直前であるという情報とを取得できるようになっている。
【0049】
またランナウトテーブル4は、制御装置40を備えており、上記各ワーク検出センサ46a,46bからの情報に基づいて、制御装置40によって、ランナウトテーブル4の各V受けローラ搬送機41の回転動作や、シリンダ45の昇降動作を制御して、以下の動作が行われるようになっている。
【0050】
まず初期状態においては
図3Aに示すように、各V受けローラ搬送機41はそれぞれ降下位置に配置されている。この状態から切断機3によって切断された長尺ワークWがランナウトテーブル4に搬入されていく。そして
図3Aおよび
図3Bに示すように長尺ワークWが1番目のV受けローラ搬送機41の上空を通過して、対応する下流側ワーク検出センサ46aによって長尺ワークWの先端の通過が検出されると、1番目のV受けローラ搬送機41が上昇する。これにより1番目のV受けローラ搬送機41の搬送ローラ42は、長尺ワークWの先端面に干渉することなく、長尺ワークWの外周面に接触して長尺ワークWを支持しつつ搬送していく。
【0051】
2番目のV受けローラ搬送機41も同様に、対応する下流側ワーク検出センサ46aからの情報に基づき、2番目のV受けローラ搬送機41がその上空を長尺ワークWの先端が通過した時点で上昇し、搬送ローラ42は長尺ワークWの先端面に干渉することなく、長尺ワークWの外周面に接触する。
【0052】
図3C〜
図3Eに示すように3番目以降のV受けローラ搬送機41も同様に、各下流側ワーク検出センサ46aからの情報に基づき、当該V受けローラ搬送機41が上空を長尺ワークWの先端が通過した時点で上昇し、各搬送ローラ42が長尺ワークWの外周面に接触する。
【0053】
このように各V受けローラ搬送機41は、その上空を長尺ワークWの先端が通過した後に順次上昇して、各搬送ローラ42が長尺ワークWの外周面に順次接触するため、各搬送ローラ42が、長尺ワークWの先端面(切断端面)に接触するのを確実に防止することができる。このため以下に詳述するように長尺ワークWの外周面に傷等の欠陥が生じるのを確実に防止することができる。
【0054】
すなわち切断された長尺ワークWは、その切断端面の外周縁に外側に突出するようなバリ等の凸状欠陥が形成されることがある。このため例えば
図6に示す従来のランナウトテーブル7のように、V受けローラ搬送機71が支柱75に支持されて上下動せずに一定の高さに保持されている場合には、長尺ワークWが所定のV受けローラ搬送機71に到達する際に、長尺ワークWの先端面におけるバリがV受けローラ搬送機71の搬送ローラ72の外周面を引っ掻くことにより、搬送ローラ72の表面を構成するフェルト生地が損傷して、そのフェルトが毛羽立ったり、フェルトの糸くずがワーク外周面に付着してしまうことがある。毛羽立ちがあると、毛羽立った繊維によって長尺ワークWの外周面に傷等の欠陥が生じてしまうおそれがある。また糸くずを付着したまま次工程、例えば引抜工程等に持ち込まれると、長尺ワークWの外周面に筋状の傷が生じてしまう等、ワーク外周面に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0055】
そこで本実施形態においては既述した通り、V受けローラ搬送機41の搬送ローラ42は長尺ワークWの先端に接触しないため、長尺ワークWの先端にバリ等の凸状欠陥が形成されていたとしても、バリによって搬送ローラ42のフェルトが引っ掻かれるようなことがなく、搬送ローラ42の表面に毛羽立ちが発生したり、毛羽立った繊維のくず(糸くず)が長尺ワークWの表面に付着したりする等の不具合を確実に防止することができる。従って長尺ワークWの表面状態を良好に維持できて、高品質の押出製品を得ることができる。
【0056】
一方本実施形態のランナウトテーブル4においては、長尺ワークWの後端が搬送ローラ42に接触するのも防止している。すなわち長尺ワークWを支持搬送している状態のV受けローラ搬送機41は上昇位置に配置されているが、例えば
図3Cに示すように1番目のV受けローラ搬送機41に長尺ワークWの後端が近付いてくると、対応する上流側検出センサ46bによって長尺ワークWの後端の通過が検出される。そうすると、1番目のV受けローラ搬送機41が降下して長尺ワークWから離間し、その状態で長尺ワークWの後端が1番目のV受けローラ搬送機41の上空を通過する。従って1番目のV受けローラ搬送機41の搬送ローラ42が長尺ワークWの後端に接触するのを防止することができる。
図3Dおよび
図3Eに示すように2番目以降のV受けローラ搬送機41も同様に、各V受けローラ搬送機41に長尺ワークWの後端が到達する直前に各V受けローラ搬送機41が順次降下することにより、各V受けローラ搬送機41の搬送ローラ42が長尺ワークWの後端に接触するのを防止することができる。
【0057】
このように各搬送ローラ42が長尺ワークWの後端に接触するのを防止できるため、長尺ワークWの後端面(切断面)の外周縁にバリ等の凸状欠陥が形成されていたとしても、そのバリによって搬送ローラ42のフェルトに毛羽立ちが発生したり、長尺ワークWの表面に糸くずが付着したりする等の不具合を確実に防止することができる。よってこの点からも、長尺ワークWの表面状態を良好に維持できて、より一層高品質の押出製品を得ることができる。
【0058】
以上のように本実施形態のランナウトテーブル4においては、搬送ローラ42が長尺ワークWの切断端面(先端および後端)に接触しないため、長尺ワークWの切断端面に形成されるバリによって、搬送ローラ42が損傷してしまうのを確実に防止できるとともに、搬送ローラ42に毛羽立ちが発生したり、ワーク外周面に糸くずが付着する等の不具合も確実に防止することができる。
【0059】
また本実施形態の切断機3においては、長尺ワークWを搬送しつつ切断し、その切断された長尺ワークWをランナウトテーブル4によって順次搬出するようにした一貫連続方式を採用しているため、長尺ワークWを停留させずに順次連続処理できて、高い生産効率を得ることができる。
【0060】
もっとも本発明においては、必ずしも一貫連続方式を採用する必要はない。例えば押出機によって所定長さの押出型材を成形し、その押出型材を切断機に移載して別工程で所定長さに切断する。そしてその切断された長尺ワークをランナウトテーブル4等の搬送装置によって搬送するようにしても良い。この場合、切断された長尺ワークを搬送装置によって搬送する前に、長尺ワークの切断端面に対し面取り加工等を施してバリ等を除去することもできる。
【0061】
<第2実施形態>
図4はこの発明の第2実施形態の押出設備における切断機3およびランナウトテーブル4を示す概略側面図である。同図に示すようにこの第2実施形態のランナウトテーブル4においては、第1実施形態のランナウトテーブル4で採用されたワーク検出センサ46a,46bが設けられていない。さらにこの第2実施形態のランナウトテーブル4において、制御装置40は切断機3の制御装置(図示省略)等と接続されており、切断機3により長尺ワークWが切断された時点(切断時点)を把握できるようになっている。本発明においては、切断時点を、切断動作が開始された時点から切断操作が終了した時点までの間のいずれの時点に設定しても良いが、本実施形態においては、長尺ワークWの鋸刃33による切断が完了した直後の時点を切断時点として設定している。
【0062】
また本第2実施形態においては、切断機3による長尺ワークWの切断位置から各V受けローラ搬送機41・・・までの距離と、長尺ワークWの搬送速度とに基づいて、切断時点から各V受けローラ搬送機41・・・に長尺ワークWの先端および後端が到達するまでの経過時間(到達予想時間)が予め求められている。そしてこの到達予想時間に関する情報がランナウトテーブル4の制御装置40に保持されている。例えばワーク先端側の切断時点を「ta0」として、1番目、2番目・・・番目のV受けローラ搬送機41・・・へのワーク先端の各到達予想時間としての「ta1」「ta2」・・・が算出され、さらにワーク後端側の切断時点を「tb0」として、1番目、2番目・・・番目のV受けローラ搬送機41・・・へのワーク後端の各到達予想時間としての「tb1」「tb2」・・・が算出され、これらの到達予想時間に関する情報が制御装置40に保持されている。
【0063】
本第2実施形態の押出設備において、他の構成は、上記第1実施形態の押出設備と実質的に同様であるため、同一または相当部分に同一符号を付すことによって重複説明は省略する。
【0064】
この第2実施形態の押出設備においては、制御装置40によってランナウトテーブル4の動作が制御されて、以下のような動作が行われる。
【0065】
まず初期状態においては
図5Aに示すように、各V受けローラ搬送機41はそれぞれ降下位置に配置されている。この状態から切断機3によって長尺ワークWが切断されると、その旨の情報をランナウトテーブル4の制御装置4が受け取り、その切断時点「ta0」からの経過時間が計測される。ここでは、現時点で搬送対象の長尺ワークWは、切断位置よりも上流側に配置され、後端が未だ切断されていないワークとし、現時点で搬送対象の長尺ワークWの先端側が切断されたこととなる。なお発明の理解を容易にするため、当該切断処理において、切断位置よりも下流側のワークW(
図5Aの破線に示す先行のワークW)については無視するものとする。
【0066】
先端側が切断された長尺ワークWがランナウトテーブル4に搬送されていき、先端側切断時点「ta0」からの経過時間が「ta1」に達すると、
図5Bに示すように長尺ワークWの先端が1番目のV受けローラ搬送機41の上空に到達する。そして経過時間が「ta1」に達した直後に1番目のV受けローラ搬送機41が上昇して、搬送ローラ42が長尺ワークWの先端に干渉することなく、長尺ワークWの外周面に接触する。
【0067】
一方同図に示すように、現時点で搬送対象の長尺ワークWは搬送されつつ後端側が切断機3によって切断されると、その旨の情報をランナウトテーブル4の制御装置4が受け取り、その後端側の切断時点「tb0」からの経過時間が計測される。
【0068】
次に
図5Bおよび
図5Cに示すように先端側切断時点「ta0」からの経過時間が「ta2」を経過した直後、つまり長尺ワークWの先端が2番目のV受けローラ搬送機41の上空を通過した後、2番目のV受けローラ搬送機41が上昇する。これにより2番目のV受けローラ搬送機41が長尺ワークWの先端に干渉することなく、搬送ローラ42が長尺ワークWの外周面に接触する。
【0069】
以下同様にして
図5C〜
図5Eに示すように3番目以降の各V受けローラ搬送機41・・・においても、その上空を長尺ワークWの先端が通過した後に順次上昇していく。これにより上記と同様に、3番目以降のV受けローラ搬送機41・・・は長尺ワークWの先端に干渉することなく、各搬送ローラ42が長尺ワークWの外周面に接触する。
【0070】
一方、
図5Cおよび
図5Dに示すように、後端側切断時点「tb0」からの経過時間が「tb1」に到する直前に、上昇状態にあった1番目のV受けローラ搬送機41が降下する。これにより降下状態の1番目のV受けローラ搬送機41の上空を長尺ワークWの後端が通過し、1番目のV受けローラ搬送機41が長尺ワークWの後端に接触するのが防止される。
【0071】
以下同様にして
図5Dおよび
図5Eに示すように、経過時間が「tb2」「tb3」・・・に順次達する直前に、2番目以降の各V受けローラ搬送機41・・・が順次降下していく。これにより上記と同様に、2番目以降のV受けローラ搬送機41・・・が長尺ワークWの後端に接触するのをそれぞれ防止することができる。
【0072】
このような動作が順次繰り返されることによって、長尺ワークWが連続的に切断されて順次搬送されていく。
【0073】
以上のようにこの第2実施形態のランナウトテーブル4においても、上記第1実施形態と同様、各V受けローラ搬送機41を適宜昇降させることよって、各搬送ローラ42が長尺ワークWの先端および後端に接触させずに長尺ワークWを搬送するものであるため、長尺ワークWの先端面および後端面に形成されるバリ等の凸状欠陥によって、搬送ローラ42に毛羽立ちが発生したり、ワーク表面に糸くずが付着する等の不具合も確実に防止できて、表面状態が良好な高品質の長尺製品を得ることができる。
【0074】
さらにこの第2実施形態においても、上記と同様、長尺ワークを一貫連続方式で処理できるため、生産効率を向上させることができる。
【0075】
また本第2実施形態のランナウトテーブル4においては、第1実施形態で用いたワーク検出センサ46a,46bを省略できるため、部品点数を削減できて、装置の簡素化およびコストの削減を図ることができる。
【0076】
なお上記実施形態においては、V受けローラ搬送機41(搬送ローラ42)を昇降させる昇降機構として、シリンダ45を用いるようにしているが、本発明においてこの昇降機構は限定されるものではなく、搬送ローラを昇降できる機構であれば、どのような機構であっても良い。例えばモータ等の回転力を駆動源とする機構によって搬送ローラを昇降させるようにしても良い。
【0077】
さらに上記実施形態では、搬送ローラ42を垂直方向に沿って昇降させるようにしているが、本発明において、昇降方向は垂直方向に限定されるものではない。例えば搬送ローラを垂直方向に対し傾斜角度を有する斜め方向に昇降させるようにしても良い。さらに搬送ローラを支持する支柱の下端を設置面に回転自在に取り付けておき、支柱の下端を支点として、搬送ローラ付きの支柱を、搬送方向に対し前後または左右方向等に回転(起倒)させることによって、搬送ローラを昇降させるようにしても良い。
【0078】
また上記実施形態においては、鋸刃切断式の切断機3を用いるようにしているが、本発明において、切断方式は特に限定されるものではない。例えばフライング切断式の切断機、ウォータカッター式の切断機を採用するようにしても良い。
【0079】
また上記実施形形態においては、ランナウトテーブル4における搬送ローラ42を駆動手段によって回転駆動させて長尺ワークWを搬送するようにしているが、本発明は必ずしも搬送ローラの回転力によって長尺ワークを搬送する必要はない。例えばランナウトテーブルの上流側の機構(押出機や切断機等)によって搬送された長尺ワークの慣性力によって、長尺ワークがランナウトテーブル上を搬送するように構成しても良いし、ランナウトテーブルを下流側に向かって下向きに傾斜させておき、長尺ワークが自重によってランナウトテーブル上を搬送するように構成しても良い。
【0080】
また上記実施形態のランナウトテーブルにおいては、V受けローラ搬送機41の一対の搬送ローラ42によって、受け送り部材を構成するようにしているが、本発明において受け送り部材はそれだけに限定されるものではない。例えば水平に配置されたフラットローラによって受け送り部材を構成するようにしても良い。さらに受け送り部材を、ローラではなく回転しない非回転体によって構成し、長尺ワークを非回転体(受け送り部材)上を滑らせて搬送するように構成しても良い。