特許第6518780号(P6518780)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6518780車両用スタビライザと、スタビライザの目玉部の加工装置と、目玉部の加工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6518780
(24)【登録日】2019年4月26日
(45)【発行日】2019年5月22日
(54)【発明の名称】車両用スタビライザと、スタビライザの目玉部の加工装置と、目玉部の加工方法
(51)【国際特許分類】
   B21J 5/10 20060101AFI20190513BHJP
   B21J 5/02 20060101ALI20190513BHJP
   B21K 1/14 20060101ALI20190513BHJP
   B21K 21/12 20060101ALI20190513BHJP
   B60G 21/055 20060101ALI20190513BHJP
【FI】
   B21J5/10 Z
   B21J5/02 D
   B21K1/14 Z
   B21K21/12
   B60G21/055
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-546496(P2017-546496)
(86)(22)【出願日】2016年10月6日
(86)【国際出願番号】JP2016079860
(87)【国際公開番号】WO2017068994
(87)【国際公開日】20170427
【審査請求日】2017年12月5日
(31)【優先権主張番号】特願2015-206589(P2015-206589)
(32)【優先日】2015年10月20日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 康晴
(72)【発明者】
【氏名】越多 義宏
(72)【発明者】
【氏名】西川 彰彦
(72)【発明者】
【氏名】大谷 暁史
【審査官】 金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭57−124533(JP,A)
【文献】 特開平07−237428(JP,A)
【文献】 実開昭57−085310(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21J 5/10
B21J 5/02
B21K 1/14
B21K 21/12
B60G 21/055
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端に目玉部(21)(22)を有した車両用スタビライザであって、
前記目玉部(21)(22)が、それぞれ、
互いに平行な第1平面(41)および第2平面(42)と、
前記各目玉部(21)(22)の先端に位置し、前記第1平面(41)および前記第2平面(42)に対し直角な先端面(50)を有したトリム部(51)と、
前記第1平面(41)および前記第2平面(42)に対し直角な内面(46)を有し前記第1平面(41)および前記第2平面(42)に開口する貫通孔(45)と、
前記第1平面(41)の一部で前記貫通孔(45)の開口(45a)の周りに形成された平坦な環状基準面(52)と、
前記環状基準面(52)の外側で、前記第1平面(41)と前記先端面(50)とが交わる第1の角部(C1)に形成され、前記第1平面(41)から前記先端面(50)に向かって第1の長さ(H1)にわたり厚さが減少する先端側湾曲部(55)と、
前記環状基準面(52)の内側で、前記第1平面(41)と前記貫通孔(45)の内面(46)とが交わる第2の角部(C2)に前記開口(45a)の全周に形成され、前記第1平面(41)から前記内面(46)に向かって前記第1の長さ(H1)よりも短い長さにわたり厚さが減少しかつ前記先端側湾曲部(55)よりも大きな曲率で湾曲する孔側湾曲部(60)と、
を具備し
前記孔側湾曲部(60)が、前記トリム部(51)寄りの位置に形成された第2の長さ(H2)のトリム寄り湾曲面(60a)と、前記トリム部(51)から遠い側に形成された第3の長さ(H3)の反トリム寄り湾曲面(60b)とを含み、前記第3の長さ(H3)が前記第2の長さ(H2)よりも小さいことを特徴とする車両用スタビライザ。
【請求項2】
請求項1の車両用スタビライザにおいて、
前記環状基準面(52)の外周(Q1)から前記先端面(50)までの距離(L1)が、前記環状基準面(52)の外周(Q1)から前記開口(45a)までの距離(L2)よりも小さいことを特徴とする車両用スタビライザ。
【請求項3】
請求項の車両用スタビライザにおいて、前記反トリム寄り湾曲面(60b)の曲率が前記トリム寄り湾曲面(60a)の曲率よりも大きいことを特徴とする車両用スタビライザ。
【請求項4】
請求項1に記載された車両用スタビライザの前記目玉部を加工するための加工装置であって、
スタビライザの目玉部を載置するワーク支持部(110)と下刃(111)とを備えた下型(102)と、
前記下型(102)の上方に配置され前記下型(102)に対し第1の位置と第2の位置とにわたって上下方向に移動する上型(103)と、
前記下型(102)の上方に配置され前記下型(102)に対し上下方向に移動する液圧駆動ストリッパ(104)と、
前記液圧駆動ストリッパ(104)を降下させた状態において前記液圧駆動ストリッパ(104)に前記目玉部を厚さ方向に加圧する液圧を供給する液圧ユニット(105)と、
前記上型(103)に設けられ、前記目玉部が前記ワーク支持部(110)と前記液圧駆動ストリッパ(104)との間で加圧された状態において前記第1の位置から前記第2の位置に向けて降下することにより前記目玉部の先端のトリム部(51)を切断する上刃(120)と、
前記上型(103)に設けられ、前記上刃(120)と同時に前記下型(102)に向けて降下することにより前記目玉部に貫通孔(45)を形成するパンチ(121)と、
前記上型(103)が前記第2の位置から前記第1の位置に向かって上昇する間は、前記液圧を維持することによって前記液圧駆動ストリッパ(104)による前記目玉部の加圧を継続し、前記上型(103)が前記第1の位置まで上昇した状態において前記液圧を解除しかつ前記液圧駆動ストリッパ(104)を前記目玉部から退避させ前記第3の長さ(H3)を前記第2の長さ(H2)よりも小さくする制御部(106)と、
を具備したことを特徴とする車両用スタビライザの目玉部の加工装置。
【請求項5】
請求項1に記載された車両用スタビライザの前記目玉部を加工するための加工方法であって、
加熱されたスタビライザの目玉部を下型(102)に載置し、
前記目玉部の上方から液圧駆動ストリッパ(104)を降下させ、前記液圧駆動ストリッパ(104)を液圧によって前記目玉部に向けて加圧することにより該目玉部を前記液圧駆動ストリッパ(104)と前記下型(102)との間で厚さ方向に挟み、
前記目玉部が前記液圧駆動ストリッパ(104)によって加圧された状態において、上型(103)に設けられた上刃(120)を第1の位置から前記下型(102)に向けて第2の位置まで降下させることによって前記目玉部の先端を切断しトリム部(51)を形成するとともに、パンチ(121)を降下させることによって貫通孔(45)を形成し、
前記トリム部(51)と前記貫通孔(45)とが形成されたのち前記上刃(120)と前記パンチ(121)とを前記第1の位置まで上昇させ、
前記上型(103)が前記第2の位置から前記第1の位置に向かって上昇する間は、前記液圧を維持することによって前記液圧駆動ストリッパ(104)による前記目玉部の加圧を継続し、
前記上型(103)が前記第1の位置まで上昇した状態において前記液圧を解除しかつ前記液圧駆動ストリッパ(104)を前記目玉部から退避させ前記第3の長さ(H3)を前記第2の長さ(H2)よりも小さくすること、
を特徴とする車両用スタビライザの目玉部の加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車等の車両の懸架機構部に配置される車両用スタビライザと、スタビライザの目玉部の加工装置と、目玉部の加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の懸架機構部に配置されるスタビライザは、鋼管あるいは中実の棒状の鋼材からなり、車両の幅方向に延びるトーション部(ねじり部)と、トーション部の両端に曲がり部を介して連なる一対のアーム部(腕部)とを有している。各アーム部の先端に、それぞれ目玉部が形成されている。懸架機構部の一例では、スタビライザのトーション部がゴムブッシュを有する支持部を介して車体に支持される。そして目玉部がスタビリンク等の接続部材を介してサスペンションアーム等に連結される。懸架機構部に組付けられたスタビライザは、車体のローリング挙動に対して前記アーム部や曲がり部およびトーション部がばねとして機能することにより、車両のロール剛性を高めることができる。
【0003】
例えば特許文献1や特許文献2に記載されているスタビライザは、鋼管の両端をアプセット加工によって潰すことにより、一対の目玉部が形成されている。目玉部にはそれぞれ平坦な締結面が形成されている。各締結面に貫通孔が形成されている。貫通孔にスタビリンク等の接続部材が挿入される。この接続部材を介して目玉部がサスペンションアーム等の懸架機構部材に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−237428号公報
【特許文献2】特開2002−331326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スタビライザの目玉部をアプセット加工等の塑性加工によって成形する場合、目玉部の形状を塑性加工のみによって正確に規制することには限界がある。例えば目玉部の先端面と貫通孔との位置関係や、締結面の平面度および平行度を塑性加工のみによって正確に規制することは難しい。しかも目玉部の先端面や貫通孔の縁に、剪断加工によるだれ(shear creep)が生じることも避けられない。このため目玉部の精度を高めるには機械加工等の仕上げ加工が必要となり、その分だけ手間がかかりコストが高くなる原因となる。
【0006】
目玉部の締結面にはスタビリンク等の接続部材がナット等のねじ部材によって固定される。例えば締結面に加わる面圧を均一にするために、締結面の平面度や平行度を精度良く管理することが要求されている。従来のスタビライザの目玉部は、成形時の加工上の限界等により、高精度の締結面を得ることが難しかった。懸架機構の仕様によっては、目玉部の先端から貫通孔までの距離が短い(目玉部の長さが小さい)スタビライザが望まれることがある。このような目玉部では、例えば目玉部の先端から貫通孔までの距離や締結面の平面度および平行度を精度良く管理することが難しく、所定の締結面を得られないことがあった。
【0007】
従って本発明の目的は、精度の高い締付面を有する目玉部を備えた車両用スタビライザと、目玉部の加工装置と、目玉部の加工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの実施形態は、棒状の鋼材(鋼管あるいは中実の鋼棒)からなる車両用スタビライザであって、車両の幅方向に延びるトーション部と、該トーション部の両端からそれぞれ曲がり部を介して連なる一対のアーム部と、一対の目玉部を有している。目玉部は、それぞれ、互いに平行な第1平面および第2平面と、前記各目玉部の先端に位置し前記第1平面および前記第2平面に対し直角な先端面を有したトリム部と、前記第1平面および前記第2平面に対し直角な内面を有し前記第1平面および前記第2平面に開口する貫通孔と、前記第1平面の一部で前記貫通孔の開口の周りに形成された平坦な環状基準面と、先端側湾曲部と、孔側湾曲部とを具備している。前記先端側湾曲部は、前記環状基準面の外側で、前記第1平面と前記先端面とが交わる第1の角部に形成され、前記第1平面から前記先端面に向かって第1の長さにわたり厚さが減少する。前記孔側湾曲部は、前記環状基準面の内側で、前記第1平面と前記貫通孔の内面とが交わる第2の角部に前記開口の全周に形成され、前記第1平面から前記内面に向かって前記第1の長さよりも短い長さにわたり厚さが減少しかつ前記先端側湾曲部よりも大きな曲率で湾曲している。また前記孔側湾曲部が、前記トリム部寄りの位置に形成された第2の長さのトリム寄り湾曲面と、前記トリム部から遠い側に形成された第3の長さの反トリム寄り湾曲面とを含み、前記第3の長さが前記第2の長さよりも小さい。
【0009】
この実施形態において、前記環状基準面の外周から前記先端面までの距離が、前記環状基準面の外周から前記開口までの距離よりも小さくてもよい。さらにこの実施形態において、前記反トリム寄り湾曲面の曲率が前記トリム寄り湾曲面の曲率よりも大きくてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、トリム部を切断した際に形成される先端側湾曲部や貫通孔を打抜いた際に形成される孔側湾曲部が目玉部の貫通孔の周りに存する環状基準面(締結面)に影響することを抑制でき、精度の高い締結面を有した車両用スタビライザを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、車両の一部とスタビライザを示す斜視図である。
図2図2は、第1の実施形態に係るスタビライザの平面図である。
図3図3は、図2に示されたスタビライザの目玉部で、環状基準面をハッチングで表した平面図である。
図4図4は、図3中のF4−F4線に沿う目玉部の断面図である。
図5図5は、第2の実施形態に係るスタビライザの目玉部で、環状基準面をハッチングで表した平面図である。
図6図6は、目玉部の加工装置の一部で下型に目玉部が載置された状態を示す断面図である。
図7図7は、同加工装置で液圧駆動ストリッパが下降した状態の断面図である。
図8図8は、同加工装置で上型とパンチが下降した状態の断面図である。
図9図9は、同加工装置で上型が上昇した状態の断面図である。
図10図10は、同加工装置でパンチが上昇した状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に第1の実施形態に係る目玉部を備えた車両用スタビライザについて、図1から図4を参照して説明する。
図1は、車両用スタビライザ(これ以降は単にスタビライザと称する)10を備えた車両11の一部を示している。スタビライザ10は、車両11の車体12の下部に配置される懸架機構部の一部をなしている。図2はスタビライザ10の一例を示す平面図である。
【0013】
スタビライザ10は棒状の鋼材(例えば鋼管)からなり、スタビライザ本体部20と、スタビライザ本体部20の両端に一体に形成された一対の目玉部21,22とを含んでいる。スタビライザ10は、鋼管の端部を鍛造等の塑性加工によって平坦に潰すことにより目玉部21,22が形成されている。このためこのスタビライザ10は、鋼管の形がほぼそのまま残る中空のスタビライザ本体部20と、スタビライザ本体部20の両端部に形成された中実の目玉部21,22とを有している。
【0014】
スタビライザ本体部20は、車体12の幅方向(図1に矢印W1で示す方向)に延びるトーション部25と、一対のアーム部28,29とを含んでいる。アーム部28,29は、それぞれ、トーション部25の両端からそれぞれ曲がり部26,27を介して連なっている。
【0015】
スタビライザ10は平面的な形状に限ることはない。例えば3次元的な曲げ形状も含めて、トーション部25に1箇所以上の曲げ部、あるいはアーム部28,29に1箇所以上の曲げ部を有していてもよい。また、曲がり部26,27が3次元的な曲げ形状を有していてもよいなど、車両11の種類に応じて種々な曲げ形状をなしている。スタビライザ10の表面には、鋼材の防錆のための塗装が施されている。
【0016】
このスタビライザ10は対称軸X1(図2に示す)を中心に左右対称形であり、両端に目玉部21,22を有している。目玉部21,22は、それぞれ、スタビリンク等の棒状の接続部材31,32を介して、懸架機構部のサスペンションアーム等に接続される。
【0017】
トーション部25は、ゴムブッシュ等を備えた一対の支持部33,34を介して、例えば車体12の一部(例えばクロスメンバ等)に支持される。車両11がカーブを走行する際などに、アーム部28,29に互いに逆相の力が入力すると、アーム部28,29に曲げの力がかかるとともに、曲がり部26,27に曲げとねじりの力がかかる。その結果、トーション部25がねじられて反発荷重が発生することにより、車体12のローリング挙動が抑制される。
【0018】
本実施形態のスタビライザ10の材料は鋼管であり、曲げ加工機等によってスタビライザ本体部20が所定の形状に成形されている。鋼材の一例は、焼入れ等の熱処理によって強度を向上させることのできる鋼種、例えば材質ASB25N等の鋼管である。鋼材の両端を鍛造等の塑性加工によって潰すことにより、目玉部21,22が形成されている。なお、中実のスタビライザの場合には、材料に中実の鋼製のロッドが使用される。
【0019】
目玉部21,22は、対称軸X1(図2に示す)を境に左右対称形であるため、これ以降は一方の目玉部21(図3図4に示す)を代表して説明する。他方の目玉部22は一方の目玉部21と実質的に同様に構成されている。
【0020】
図3は目玉部21の平面図、図4は目玉部21の断面図である。図4に示されるように目玉部21は、鍛造等の塑性加工によって形成された互いに平行な第1平面41と第2平面42とを有している。第2平面42は第1平面41の反対側に位置している。またこの目玉部21は円形の貫通孔45を有している。貫通孔45は、後述する加工装置100(図6から図10に示す)によって形成することができる。貫通孔45の内面(内周面)46は、第1平面41と第2平面42に対して直角である。
【0021】
貫通孔45は目玉部21を厚さ方向に貫通し、第1平面41と第2平面42との双方に開口している。貫通孔45にスタビリンク等の接続部材31(図1図2に示す)の基部が挿入される。接続部材31は、ナット等の固定用ねじ部材31aによって目玉部21に固定される。他方の目玉部22も同様に構成され、接続部材32が固定用ねじ部材32aによって目玉部22に固定される。
【0022】
本実施形態のスタビライザ10は、鋼管の端部を潰すことによって目玉部21が形成される。このため中空のアーム部28と中実の目玉部21との間に、テーパ形状部47が形成されている。テーパ形状部47は、アーム部28から目玉部21に向かって厚さが次第に小さくなる形状であり、内部に中空部47aを有している。
【0023】
この目玉部21は、目玉部21の先端に形成されたトリム部51と、円形で平坦な環状基準面52(図3にハッチングで示す)と、先端側湾曲部55と、孔側湾曲部60とを含んでいる。トリム部51は、加工装置100(図6から図10に示す)によって切断された先端面50を有している。環状基準面52は、第1平面41の一部で、貫通孔45の周りに開口45aと同心円状に形成されている。先端側湾曲部55はトリム部51の縁に形成されている。孔側湾曲部60は開口45aの縁に形成されている。
【0024】
トリム部51は目玉部21の先端に形成されている。先端側湾曲部55は、トリム部51と環状基準面52との間に形成されている。図4に示されるように目玉部21の厚さ方向の断面において、目玉部21の先端面50は、第1平面41および第2平面42に対し直角である。目玉部21の厚さT1は例えば7〜12mmであるが、車種によって異なる値である。
【0025】
平坦な環状基準面52は、スタビリンク等の固定用の接続部材31が固定される締結面として機能する。環状基準面52は貫通孔45の中心C図4に示す)を中心とする円環状をなしている。環状基準面52の外径R1は貫通孔45の内径R2よりも大きい。環状基準面52は、トリム部51に近い側に位置するトリム寄り平坦部52aと、トリム部51から遠い側に位置する反トリム寄り平坦部52bとを含んでいる。
【0026】
鋼管の端部を鍛造等によって潰すことにより目玉部21が形成される。このため目玉部21の厚さ方向のほぼ中央に、鋼管内面の圧接部61(図4に2点鎖線で示す)が存在する。鋼管の端部が潰されることにより、アーム部28と目玉部21との間にテーパ形状部47が形成される。テーパ形状部47の精度には加工上の限界があり、形状が多少ばらつくことが避けられない。このためテーパ形状部47の近傍に環状基準面52が形成されている場合には、反トリム寄り平坦部52bの平面度が公差の範囲内で影響を受ける可能性がある。
【0027】
図3に示されるように環状基準面52の外周Q1から先端面50までの距離L1は、環状基準面52の外周Q1から開口45aまでの距離L2よりも小さい。すなわち本実施形態の目玉部21は、目玉部21の軸線X2方向の長さが、従来の一般的な目玉部よりも短い。しかも目玉部21の先端面50は、軸線X2に対し直角な切断面50aと、軸線X2に対し斜めに切断された切断面50b,50cとを含んでいる。これは懸架装置のスタビライザ取付部にスペース的な制約があることによる。
【0028】
トリム部51に存する先端側湾曲部55は、環状基準面52の外周Q1(図3に示す)の外側で第1平面41と先端面50とが交わる第1の角部C1に形成されている。つまりこの先端側湾曲部55は、環状基準面52の外周Q1と先端面50との間に形成されている。先端側湾曲部55は、第1平面41から先端面50に向かって、第1の長さH1(図4に示す)にわたり厚さが減少している。第1の長さH1は、トリム部51を切断する際の目玉部21の温度や目玉部21の厚さT1等の諸条件によって異なるが、例えば2.0〜3.5mmの範囲である。
【0029】
目玉部21の厚さT1が大きいほど、先端側湾曲部55の長さ(第1の長さH1)が大きくなる傾向がある。本実施形態の目玉部21は、従来の一般的な目玉部と比較して、トリム部51と環状基準面52との間の距離がかなり近い。すなわち環状基準面52の外周Q1から先端面50までの距離L1が、環状基準面52の外周Q1から開口45aまでの距離L2よりも小さい(L1<L2)。
【0030】
本発明者達が鋭意研究したところ、図6から図10に示す加工装置100を用いて目玉部21の加工を行うことにより、先端側湾曲部55の長さと孔側湾曲部60の長さを従来の目玉部よりもかなり小さくすることができることがわかった。しかも加工装置100を用いることにより、目標とする平面度の環状基準面52を得ることができた。
【0031】
貫通孔45の縁に存する孔側湾曲部60は、第1平面41と貫通孔45の内面46とが交わる第2の角部C2に形成されている。すなわち孔側湾曲部60は、環状基準面52の内周Q2の内側において、第1平面41と内面46とが交わる縁部(貫通孔45の開口45a)の全周に形成されている。
【0032】
図4に模式的に示すように、孔側湾曲部60は、トリム部51に近い側に位置するトリム寄り湾曲面60aと、トリム部51から遠い側に位置する反トリム寄り湾曲面60bとを含んでいる。トリム寄り湾曲面60aは、第1平面41から内面46に向かって第2の長さH2にわたり形成されている。第2の長さH2は先端側湾曲部55の長さ(第1の長さH1)よりも短い。
【0033】
反トリム寄り湾曲面60bは、第1平面41から内面46に向かって第3の長さH3にわたり形成されている。第3の長さH3は第2の長さH2よりも短い。例えば第1の長さH1が3mmであるのに対し、第2の長さH2は例えば0.6mm、第3の長さH3は例えば0.4mmである。トリム寄り湾曲面60aと反トリム寄り湾曲面60bとの間の湾曲面は、第2の長さH2から第3の長さH3へと次第に長さが短くなっている。
【0034】
すなわち孔側湾曲部60のトリム寄り湾曲面60aは、第1平面41から内面46に向かって、第2の長さH2(図4に示す)にわたり厚さが減少している。また反トリム寄り湾曲面60bは、第1平面41から内面46に向かって、第3の長さH3にわたり厚さが減少している。
【0035】
図4に示されるように孔側湾曲部60は、環状基準面52の内周Q2から貫通孔45の内面46に向かって、先端側湾曲部55よりも大きな曲率で湾曲している。すなわちトリム寄り湾曲面60aの曲率半径r2は先端側湾曲部55の曲率半径r1よりも小さい。しかも反トリム寄り湾曲面60bは、トリム寄り湾曲面60aよりも大きな曲率で湾曲している。すなわち反トリム寄り湾曲面60bの曲率半径r3は、トリム寄り湾曲面60aの曲率半径r2よりも小さい。トリム寄り湾曲面60aと反トリム寄り湾曲面60bとの間は、曲率半径r2から曲率半径r3へと次第に曲率半径が小さくなる形状となっている。
【0036】
このように本実施形態の目玉部21は、環状基準面52の外周Q1の外側に、第1の長さH1の先端側湾曲部55を有している。先端側湾曲部55は、第1平面41と先端面50とが交わる第1の角部C1に形成されている。またこの目玉部21は、環状基準面52の内周Q2の内側に孔側湾曲部60を有している。孔側湾曲部60は、第1平面41と内面46とが交わる第2の角部C2に形成されている。
【0037】
孔側湾曲部60は、トリム寄り湾曲面60aと反トリム寄り湾曲面60bとを含んでいる。トリム寄り湾曲面60aの長さ(第2の長さH2)は先端側湾曲部55の長さ(第1の長さH1)よりも小さく、かつ、反トリム寄り湾曲面60bの長さ(第3の長さH3)よりも大きい(H1>H2>H3)。すなわち孔側湾曲部60の長さは先端側湾曲部55の長さよりも小さい。孔側湾曲部60の長さは、第2の長さH2以下、第3の長さH3以上である。トリム寄り湾曲面60aの曲率半径r2は先端側湾曲部55の曲率半径r1よりも小さく、かつ、反トリム寄り湾曲面60bの曲率半径r3よりも大きい(r1>r2>r3)。すなわち孔側湾曲部60は、先端側湾曲部55よりも大きな曲率で湾曲している。しかも先端側湾曲部55は環状基準面52の外周Q1の外側に形成され、かつ、孔側湾曲部60は環状基準面52の内周Q2の内側に形成されている。
【0038】
目玉部21をこのような形状とすることにより、環状基準面52の平面度が先端側湾曲部55と孔側湾曲部60とによって影響を受けることを抑制でき、環状基準面52の平面度を公差の範囲に収めることができた。特に、環状基準面52からトリム部51までの距離が小さい目玉部21(図3中のL1がL2よりも小さい目玉部)であっても、所定の面積と平面度の環状基準面52を確保することができた。L1は環状基準面52の外周Q1から先端面50までの距離である。L2は環状基準面52の外周Q1から開口45aまでの距離L2である。他方の目玉部22も同様の環状基準面を有している。
【0039】
環状基準面52の平面度は公差の範囲にある。しかし微視的には環状基準面52にも多少の凹凸や傾斜が存在する。環状基準面52の周方向の一部でテーパ形状部47の近傍には反トリム寄り平坦部52bが形成されている。目玉部21は加工時に加わる荷重によって扁平な形状となるが、加工後に荷重が解放されるとテーパ形状部47が僅かに元の形状に戻ろうとする。このため特に反トリム寄り平坦部52bは、公差の範囲内とはいえ平面度が影響を受ける可能性がある。つまり反トリム寄り平坦部52bは、トリム寄り平坦部52aよりも、テーパ形状部47の影響を受ける可能性がある。
【0040】
前記したように孔側湾曲部60は、トリム寄り湾曲面60aと反トリム寄り湾曲面60bとを含んでいる。反トリム寄り湾曲面60bはトリム寄り湾曲面60aよりも大きな曲率(小さな曲率半径)で湾曲している。しかも反トリム寄り湾曲面60bの長さH3はトリム寄り湾曲面60aの長さH2よりも小さい。このため反トリム寄り平坦部52bの幅S2(図4に示す)は、トリム寄り平坦部52aの幅S1よりも若干大きくなる。
【0041】
つまりこの環状基準面52は、幅S1のトリム寄り平坦部52aから幅S2の反トリム寄り平坦部52bに向かって僅かに広くなる。よって反トリム寄り平坦部52b側の面積をトリム寄り平坦部52a側の面積よりも若干広くとれる。このことにより、反トリム寄り平坦部52bの微小な形状ばらつきが緩和され、締結面としての環状基準面52が受ける面圧をさらに均等にすることができる。
【0042】
図5は第2の実施形態に係る目玉部21´を模式的に示している。この目玉部21´は、第1の実施形態の目玉部21と同様に、貫通孔45と、トリム部51と、環状基準面52と、先端側湾曲部55と、孔側湾曲部60とを具備している。環状基準面52は、貫通孔45の開口45aの周りに同心円状に形成されている。先端側湾曲部55は、環状基準面52の外周Q1の外側で、第1平面41と先端面50とが交わる第1の角部C1に形成されている。図5中のH1は、先端側湾曲部55の長さ(第1の長さ)を示している。孔側湾曲部60は、環状基準面52の内周Q2の内側で、第1平面41と内面46とが交わる第2の角部C2に形成されている。
【0043】
孔側湾曲部60は、トリム部51に近いトリム寄り湾曲面60aと、トリム部51から遠い側の反トリム寄り湾曲面60bとを含んでいる。図5中のH2は、トリム寄り湾曲面60aの長さ(第2の長さ)を示している。H3は、反トリム寄り湾曲面60bの長さ(第3の長さ)を示している。第2の長さH2は第1の長さH1よりも小さい。第3の長さH3は第2の長さH2よりも小さい。第1の実施形態と同様に、孔側湾曲部60は、先端側湾曲部55よりも大きな曲率(小さな曲率半径)で湾曲している。反トリム寄り湾曲面60bはトリム寄り湾曲面60aよりも大きな曲率(小さな曲率半径)で湾曲している。
【0044】
図5中のL1は、環状基準面52の外周Q1から先端面50までの距離を示している。L2は、環状基準面52の外周Q1から開口45aまでの距離を示している。この目玉部21´は、第1の実施形態の目玉部21と同様に、L1がL2よりも小さい。
【0045】
次に、図6から図10を参照して目玉部の加工装置100について説明する。図6から図10は、目玉部を加工する際の加工装置100の動きを工程順に示している。なお、図6から図10は一方の目玉部21を加工する場合を示しているが、他方の目玉部22も同様に加工されるため、これ以降は一方の目玉部21を加工する場合を代表して説明する。
【0046】
加工装置100は、基台(ベース)101と、下型102と、上型103と、液圧駆動ストリッパ104と、液圧ユニット105と、制御部106とを備えている。基台101は、工場のフロア等に固定されている。下型102は、基台101上に配置されている。上型103と液圧駆動ストリッパ104とは、それぞれ下型102の上方に配置されている。下型102には、目玉部21を載置するワーク支持部110と、下刃111とが設けられている。
【0047】
上型103に上刃120とパンチ121が設けられている。上刃120は、下刃111と対をなしている。目玉部21がワーク支持部110と液圧駆動ストリッパ104との間で加圧される。上刃120が下型102に向けて第1の位置(図6に示す)から第2の位置(図8に示す)まで降下することにより、目玉部21のトリム部51が切断される。
【0048】
パンチ121は、上刃120と共に、第1の位置と第2の位置とにわたって上下方向に移動することができる。上型103が下型102に向かって第2の位置まで降下すると、下刃111と上刃120とによってトリム部51が切断されると同時に、パンチ121によって目玉部21に貫通孔45が形成される。このため貫通孔45とトリム部51との位置関係がばらつくことがなく、高い精度で貫通孔45とトリム部51とを形成することができる。
【0049】
液圧駆動ストリッパ104は目玉部21を押さえるための押さえ部材として機能する。液圧駆動ストリッパ104には、パンチ121が挿入される上下方向の孔125が形成されている。液圧駆動ストリッパ104は、アクチュエータ131によって上下方向に移動する。上型103が第2の位置まで降下した状態において、液圧駆動ストリッパ104が所定圧力の液圧P(図7図9に示す)で目玉部21を加圧する。これにより液圧駆動ストリッパ104とワーク支持部110との間で目玉部21が厚さ方向に加圧される。アクチュエータ131に供給する液圧の一例は20MPa(5〜35MPa)であるが、これ以外の圧力であってもよい。
【0050】
液圧ユニット105は、油圧シリンダ等の第1のアクチュエータ130と、油圧シリンダ等の第2のアクチュエータ131と、液圧供給源132などを含んでいる。第1のアクチュエータ130は上型103を上下方向に移動させる。第2のアクチュエータ131は、液圧駆動ストリッパ104を上下方向に移動させる。液圧供給源132は、アクチュエータ130,131に液圧を供給する油圧ポンプや分配弁等を備えている。液圧供給源132は、電気的な制御プログラムと制御用のデータが格納された制御部106によって、所定のシーケンスで制御される。
【0051】
制御部106は、上型103が第1の位置と第2の位置との間で移動するようにアクチュエータ130を制御する。例えば上型103を第1の位置から第2の位置に向かって移動させることにより、下刃111と上刃120とによってトリム部51が切断されるとともに、パンチ121によって貫通孔45が打抜かれる。
【0052】
制御部106は、上型103が第1の位置から第2の位置に向かって移動する間、液圧駆動ストリッパ104を一定の液圧Pで目玉部21に押付けるようにアクチュエータ131を制御する。しかも制御部106は、上型103が第2の位置から第1の位置まで上昇復帰する間も、液圧駆動ストリッパ104の液圧Pを維持するようにアクチュエータ131を制御する。このため上型103が第2の位置から第1の位置まで移動する間は、液圧Pによる目玉部21の加圧が継続される。制御部106は、上型103が第1の位置に復帰した状態において、それまで目玉部21を加圧していた液圧を解除するとともに、液圧駆動ストリッパ104を目玉部21の上方に退避させる機能も有している。
【0053】
本実施形態に係る目玉部の加工方法は、下記の工程を経て目玉部21を加工する。他方の目玉部22も同様に加工されるため、一方の目玉部21を加工する場合について以下に説明する。
【0054】
(1) 図6に示すように、加熱されたスタビライザ10の目玉部21を下型102のワーク支持部110に載置する。加熱されたスタビライザ10の温度は、例えば850〜1150℃である。
(2) 図7に示すように目玉部21の上方から液圧駆動ストリッパ104を矢印A1で示す方向に移動(降下)させる。そして液圧駆動ストリッパ104を液圧Pによって目玉部21に向けて加圧することにより、目玉部21を液圧駆動ストリッパ104とワーク支持部110との間で厚さ方向に挟む。
(3) 図8に示すように、目玉部21が液圧駆動ストリッパ104によって加圧された状態において、上型103を下型102に向けて矢印A2で示す方向に移動(降下)させる。この動作により、上刃120とパンチ121が同時に降下し、下刃111と上刃120との間でトリム部51が切断されるとともに、パンチ121によって貫通孔45が形成される。上刃120によってトリム部51が切断される際に、上刃120と接するトリム部51の切断面(トリム部51の上縁付近)に先端側湾曲部55が形成される。またパンチ121によって貫通孔45が打抜かれる際に、パンチ121と接する貫通孔45の内面の縁(開口45aの周り)に孔側湾曲部60が形成される。
(4) 図9に示すように、貫通孔45とトリム部51とが形成されたのち、上型103が矢印A3で示す方向に移動(上昇)する。上型103が第1の位置まで上昇する間、液圧駆動ストリッパ104に供給する液圧Pを維持することによって、目玉部21を液圧Pのもとで加圧し続ける。
(5) 図10に示すように、上型103が第1の位置まで上昇すると、それまで目玉部21を加圧していて液圧駆動ストリッパ104の液圧が解除される。液圧駆動ストリッパ104が矢印A4で示す方向に移動(上昇)することにより、液圧駆動ストリッパ104が目玉部21から退避する。
【0055】
本発明者達が鋭意研究した結果、環状基準面52の精度を高める上で、本実施形態の加工方法が有効であることがわかった。すなわち貫通孔45とトリム部51とが形成されたのち上型103が第2の位置から第1の位置まで上昇する間、液圧駆動ストリッパ104に供給する液圧Pを一定時間維持し、目玉部21を液圧Pのもとで加圧し続ける。こうすることにより、先端側湾曲部55の長さH1(図4図5に示す)と孔側湾曲部60の長さH2,H3を小さくすることができ、先端側湾曲部55の曲率半径r1と孔側湾曲部60の曲率半径r2,r3も小さくすることができた。
【0056】
比較のために、従来の加工装置(比較例)を用いて目玉部を加工する場合についても試験を行った。比較例の加工装置は、コイルばねの反発荷重によって目玉部を押さえる可動ストリッパを有している。この比較例では、可動ストリッパが上昇するにつれてコイルばねの反発荷重が減少し、短時間でコイルばねの反発荷重がゼロになってしまった。従来の加工装置によって加工された目玉部の先端側湾曲部と孔側湾曲部は、本実施形態の目玉部の先端側湾曲部と孔側湾曲部よりも長く、曲率半径も大きかった。
【0057】
なお、下刃111と上刃120とによってトリム部51を剪断した際に、先端面50の第2平面42側にバリが生じることがある。またパンチ121によって貫通孔45を打抜いた際に、内面46の第2平面42側にバリが生じることもある。これらのバリは、第2平面に研磨あるいは研削等の仕上げの機械加工を行うことによって除かれる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明を実施するに当たり、スタビライザの材料である鋼材は中空材(鋼管)以外に中実材であってもよい。またスタビライザ本体部や目玉部の具体的な形状や配置等を車両の懸架機構部の仕様に応じて種々に変更して実施できることは言うまでもない。目玉部の環状基準面(締結面)や先端側湾曲部および孔側湾曲部の具体的な形状も前記実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0059】
10…スタビライザ、20…スタビライザ本体部、21,22…目玉部、25…トーション部、26,27…曲がり部、28,29…アーム部、41…第1平面、42…第2平面、45…貫通孔、45a…開口、46…内面、47…テーパ形状部、50…先端面、51…トリム部、52…環状基準面(締結面)、52a…トリム寄り平坦部、52b…反トリム寄り平坦部、Q1…環状基準面の外周、55…先端側湾曲部、60…孔側湾曲部、60a…トリム寄り湾曲面、60b…反トリム寄り湾曲面、C1…第1の角部、C2…第2の角部、H1…第1の長さ、H2…第2の長さ、H3…第3の長さ、100…加工装置、101…基台、102…下型、103…上型、104…液圧駆動ストリッパ、105…液圧ユニット、106…制御部、110…ワーク支持部、111…下刃、120…上刃、121…パンチ。
図1
図2
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図4
図5
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図7
図8
図9
図10