(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本実施形態にかかるガス供給システムを説明するための系統図、
図2は本実施形態にかかるLNG供給方法の内容を説明するためのフロー図、
図3は
図2のLNG供給方法における送出リスタート処理を説明するためのフロー図、
図4は
図3の送出リスタート処理をおこなった際のLNG供給システムの状態を示す状態遷移図、
図5は
図3の送出リスタート処理をおこなった際の付臭濃度の挙動を示すグラフ、
図6は
図3の送出リスタート処理をおこなった際の試験結果を示すグラフである。
【0026】
図1は、本実施形態にかかるLNG供給システム1およびこれを用いたLNG供給方法が適用される施設(以下、「LNG基地」と称す)の概要を示す配管系統図(設備系統図)である。なお、上記LNG供給システム1と、LNG供給方法とが、それぞれ、特許請求の範囲に記載の「ガス供給システム」と、「ガス供給方法」とに該当する。
【0027】
(LNG供給システム1の構成)
図1に示すように、LNG供給システム1は、LNGタンクT1と、LNG払出ライン10と、熱調設備20と、気化器Vと、海水ライン30と、NG供給ライン40と、付臭ライン50と、付臭戻りライン60と、付臭タンクT2と、放散ライン70と、制御装置80とを備えている。なお、上記LNGタンクT1と、LNG払出ライン10と、熱調設備20と、気化器Vと、NG供給ライン40と、付臭ライン50および付臭戻りライン60と、付臭タンクT2と、制御装置80とが、それぞれ、特許請求の範囲に記載の「低温タンク」と、「液化ガスライン」と、「熱量調整装置」と、「気化装置」と、「気化ガスライン」と、「分岐ライン」と、「付臭剤添加装置」と、「制御装置」とに該当する。
【0028】
(LNGタンクT1)
LNGタンクT1は、例えば、「LNG」を貯蔵する内槽と、その周囲に設けられた外槽と、内槽と外槽との間に設けられ、保冷材(例えば、パーライト)が充填される保冷層とを備えた、地上式の二重殻タンクである。なお、上記「LNG」が特許請求の範囲に記載された「低温液体」に該当する。
【0029】
LNGタンクT1には、LNG払出ライン10のほか、
・LNGタンカーから荷揚げされた「LNG」(例えば、発熱量:「42.5〜44.5MJ/Nm
3」)をその内部に受け入れるためのLNG受入ライン(図示省略)、
・LNGタンクT1内で自然気化したボイルオフガス(Boil Off Gas、以下、「BOG」と称する)を外部に排出するためのBOG排出ライン(図示省略)、
等の各種配管が接続されている。
【0030】
(LNG払出ライン10)
LNG払出ライン10は、LNGタンクT1から払い出された「LNG」を気化器Vに向けて払い出すための管路である。
本実施形態にかかるLNG払出ライン10の管路中には、「LNG」を気化器Vに圧送するLNG払出ポンプP1と、気化器Vへの「LNG」の払出量を調整する流量調整弁11(例えば、電動弁)と、気化器Vへの「LNG」の払い出しを緊急停止することが可能な緊急遮断弁12(例えば、電磁弁)とが、気化器Vに向かって順に設けられている。
【0031】
(熱調設備20)
熱調設備20は、LNG払出ライン10を介して払い出された「LNG」の発熱量を増熱するための装置であって、「LPG」を貯蔵するLPGタンク(図示省略)と、LPGタンクから払い出された「LPG」をLNG払出ライン10に供給するLPG払出ライン21とを有している。なお、上記「LPG」が特許請求の範囲に記載の「増熱材」に該当する。
【0032】
本実施形態にかかるLPG払出ライン21の管路中には、「LPG」をLNG払出ライン10に圧送するLPG払出ポンプ(図示省略)と、LNG払出ライン10への「LPG」の払出量を調整する流量調整弁22(例えば、電動弁)と、LNG払出ライン10への「LPG」の払い出しを緊急停止することが可能な緊急遮断弁23(例えば、電磁弁)とが、LNG払出ライン10に向かって順に設けられている。
【0033】
本実施形態では、このような熱調設備20が設けられているため、仮に、LNGタンクT1に貯蔵される「LNG」の発熱量(例えば、「42.5〜44.5MJ/Nm
3」)が、予め定められた発熱量(例えば、NG供給ライン40を介して需要先に供給される「NG」が「都市ガス」である場合、「45MJ/Nm
3」)に満たない場合であっても、「LNG」に「LPG」を添加することによって、これを増熱することができるように構成されている。
【0034】
なお、本実施形態では、「LNG」を増熱する方式として、いわゆる「液−液熱調方式」を採用したが、これに代えて(または、これに加えて)、例えば、
(a)「ガス−ガス熱調方式」(LPGタンクから払い出された「LPG」を気化させたものと、BOG排出ラインを流れる「BOG」とを、ミキサ等のガス−ガス熱調装置で混合して、これをNG供給ライン40に供給する方式)を採用してもよく、また、
(b)「液−ガス熱調方式」(LPGタンクから払い出された「LPG」と、BOG排出ラインを流れる「BOG」とを、いわゆる液−ガス熱調装置で混合して、これをNG供給ライン40に供給する方式)を採用することも可能である。
【0035】
(海水ライン30)
海水ライン30は、「海水」を気化器Vに向けて送水するための管路であって、その管路中には、「海水」をくみ上げて気化器Vに圧送する海水ポンプP2と、気化器Vへの「海水」の送水量を調整する流量調整弁31(例えば、電動弁)とが、気化器Vに向かって順に設けられている。
【0036】
(気化器V)
気化器Vは、公知の気化器(例えば、オープンラック式気化器)と同様に、LNG払出ライン10を介して供給された「LNG」と、海水ライン30を介して送水された「海水」との間で熱交換して(「LNG」を気化させて)、「NG」(例えば、「都市ガス」(発熱量:「45MJ/Nm
3」))を生成する装置である。なお、上記「NG」が特許請求の範囲に記載の「気化ガス」に該当する。
【0037】
(NG供給ライン40)
NG供給ライン40は、気化器Vにより生成された「NG」を需要先に供給するための管路である。
本実施形態にかかるNG供給ライン40の管路中には、
(a)発熱量を計測する熱量計41と、「NG」の流量を計測する流量計42と、「NG」の付臭濃度を計測する濃度計43と、「NG」の圧力を計測する圧力計44と、需要先への「NG」の供給を遮断することが可能な幹線境界弁45(例えば、電磁弁)とが、下流側に向かって順に設けられているとともに、
(b)流量計42と濃度計43との間に付臭ライン50が、また、圧力計44と幹線境界弁45との間に放散ライン70が、それぞれ接続されている。なお、上記幹線境界弁45と、流量計42とが、それぞれ、特許請求の範囲に記載の「境界バルブ」と、「流量計測装置」とに該当する。
【0038】
(付臭ライン50)
付臭ライン50は、付臭タンクT2から払い出された付臭液をNG供給ライン40に導入するための管路である。
本実施形態にかかる付臭ライン50の管路中には、
・付臭液を圧送する付臭ポンプP3と、NG供給ライン40への付臭液の導入を遮断することが可能な緊急遮断弁51(例えば、電磁弁)とが、NG供給ライン40に向かって順に設けられているとともに、
・付臭ポンプP3と緊急遮断弁51との間に、付臭戻りライン60が接続されている。なお、上記付臭液と、付臭ポンプP3と、緊急遮断弁51とが、それぞれ、特許請求の範囲に記載の「付臭剤」と、「昇圧装置」と、「分岐バルブ」とに該当する。
【0040】
付臭戻りライン60は、付臭ライン50を介して払い出された付臭液を、再度、付臭タンクT2に戻すための管路であって、その管路中には、圧力計61と、開閉弁62(本実施形態では、「手動式」の弁)とが付臭タンクT2に向かって順に設けられている。
【0041】
(付臭タンクT2)
付臭タンクT2は、「NG」に臭い付けすることが可能な付臭液(例えば、「TBM」と「CH」とを混合した液体や、「TBM」と「DMH」とを混合した液体)を貯蔵するタンクであって、大気圧以上の圧力で付臭液を貯蔵することが可能な圧力容器により構成されている。なお。本実施形態では、付臭タンクT2に、例えば、所定圧力の窒素ガス(N2)が封入された状態で、付臭液が貯蔵されるように構成されている。
【0042】
付臭タンクT2に貯蔵された付臭液は、付臭ポンプP3を駆動等することによって、NG供給ライン40に注入(滴下)され、これにより、そこを流れる「NG」に臭い付けすることが可能となっている。
【0043】
詳しくは後述するが、本実施形態では、幹線境界弁45を閉塞している状態(需要先への「NG」の供給が停止されている状態)で、
(a)緊急遮断弁51を「閉」、また、開閉弁62を「開」にする、
(b)次に、付臭ポンプP3を起動する、
ことで、付臭タンクT2、付臭ライン50および付臭戻りライン60の管内圧力を、NG供給ライン40の管内圧力(例えば、「0.2MPa」)以上に昇圧することができるように構成されている。
【0044】
なお、本実施形態では、「NG」に臭い付けする方式として、いわゆる「ポンプ注入方式」を採用しているが、これに代えて、例えば、
(a)「蒸発注入方式」(蒸発させた付臭液を「NG」が流れるNG供給ライン40に注入する方式)を採用してもよく、また、
(b)「液付臭方式」(付臭液を「LNG」が流れるLNG払出ライン10に注入する方式)を採用することも可能である。
【0045】
(放散ライン70)
放散ライン70は、NG供給ライン40を流れる「NG」の品質(例えば、発熱量)が、所定の条件(例えば、規定発熱量)に満たない場合、その品質が安定するまで、ベントスタック(図示省略)を介して、これを大気に放散するための管路であって、その管路中には、圧力調整弁71が設けられている。
【0046】
(制御装置80)
制御装置80は、中央制御部81(CPU:Central Processing Unit)と、記憶部82と、操作部83(例えば、キーボード)と、表示部84(例えば、ディスプレイ)とを有し、例えば、「LNG基地」のガス製造設備の運転等を監視するコントロールセンターに設けられている。なお、上記中央制御部81が特許請求の範囲に記載の「気化ガス流出制御手段」および「分岐ライン昇圧制御手段」に該当する。
【0047】
本実施形態にかかる制御装置80は、
(a)LNG払出ライン10に設けられたLNG払出ポンプP1、流量調整弁11および緊急遮断弁12と、
(b)熱調設備20を構成するLPG払出ポンプ(図示省略)、流量調整弁22および緊急遮断弁23と、
(c)海水ライン30に設けられた海水ポンプP2および流量調整弁31と、
(d)NG供給ライン40に設けられた熱量計41、流量計42、濃度計43、圧力計44および幹線境界弁45と、
(e)付臭ライン50に設けられた付臭ポンプP3および緊急遮断弁51と、
(f)付臭戻りライン60に設けられた圧力計61と、
(g)放散ライン70に設けられた圧力調整弁71と、
電気的に接続されている。なお、本実施形態では、付臭戻りライン60の管路中に、手動式の開閉弁62を設けたが、電気式(電動弁や電磁弁)のものに変更してもよく、かかる場合、制御装置80により開閉制御されるように構成することも可能である。
【0048】
本実施形態にかかる中央制御部81は、
(a)熱量計41、流量計42、濃度計43、圧力計44および圧力計61から送信された各計測値や、LNG払出ポンプP1等の運転状況等を、表示部84に表示するなどの一般的な制御をおこなうほか、
(b)「LNG基地」(LNG供給システム1)が「全停電」の状態となると、
・非常用発電機(図示省略)を起動する制御、
・需要先への「NG」の供給を停止するための制御(例えば、幹線境界弁45を「閉」動作させる制御)、
・オペレータによる操作部83の操作により入力された各種情報に基づいて、需要先への「NG」の供給を再開(再供給)するための制御(後述する送出リスタート処理S700)、
等をおこなうように構成されている。
【0049】
記憶部82は、ROM(Read Only Memory)等の半導体メモリーからなり、LNG供給システム1の基本動作を司る基本動作プログラムが記憶される記憶領域を有するほか、
(a)需要先に供給される「NG」の要求発熱量(例えば、「45MJ/Nm
3」(都市ガス)、以下、単に「規定発熱量」と称す)を記憶する記憶領域と、
(b)「NG」を需要先に再供給する際の判断基準となる情報、例えば、
・「NG」の付臭濃度(本実施形態では、「5mg/m
3N」、以下、「NG下限付臭濃度」と称す)を示す情報や、
・気化器Vによって最低限生成されるべき「NG」の生成量(本実施形態では、「20t/h」、以下、「NG下限生成量」と称す)を示す情報、
が記憶される記憶領域と、
を有している。なお、上記「NG下限生成量」が特許請求の範囲に記載の「最低流量値」に該当する。
【0050】
(LNG供給方法の構成)
次に、LNG供給システム1を用いたLNG供給方法について、
図1〜
図6を参照しつつ説明する。
なお、以下においては、説明の便宜上、
(a)後述する送出リスタート処理S700(
図2および
図3参照)にあっては、操作部83から入力された操作指令(例えば、幹線境界弁45を「開」動作させる指令)に基づいて、中央制御部81による制御処理が進行する一方、
(b)その他の処理(後述する全停電判定処理S100〜保安負荷起動処理S600およびロードアップ処理S800、
図2参照)にあっては、中央制御部81による制御処理が、いわば「自動的」におこなわれる、
ことを前提として説明するが、制御処理の内容等に応じて、適宜変更(操作指令に基づく制御から自動制御に変更、または、自動制御から操作指令に基づく制御に変更)してよいことはいうまでもない。
【0051】
図2に示すように、本実施形態にかかるLNG供給方法は、全停電判定処理S100と、運転中機器停止処理S200と、発電機起動処理S300と、発電機起動確認処理S400と、幹線境界弁閉塞処理S500と、保安負荷起動処理S600と、送出リスタート処理S700と、ロードアップ処理S800とを備えている。
【0052】
(全停電判定処理S100)
図1および
図2に示すように、中央制御部81は、ステップS100において、LNG供給システム1(「LNG基地」)への送電が停止されているか否かを判定(「全停電」となっているか否かを判定)する処理(全停電判定処理)をおこなう。
このような「全停電」であるか否かの判定は、公知の手法、例えば、
(a)供給電圧の電圧降下率が、「100msec」継続して「20%」を超えている場合において、
(b)その状態が、例えば、「2秒間」以上継続しているか否かを基準として、
おこなうことが可能である。
すなわち、この場合、中央制御部81は、「(a)」の状態が「2秒間」以上継続している場合、「全停電」であると判定する一方、それ以外の場合、「全停電」でないと判定することができる。
中央制御部81は、「全停電」であると判定すると、ステップS200およびステップS300に処理を移し、「全停電」でないと判定すると、本処理を繰り返し実行する。
【0053】
(運転中機器停止処理S200)
中央制御部81は、ステップS200において、LNG供給システム1において運転中の機器を停止する処理(運転中機器停止処理)をおこなう。
具体的に、中央制御部81は、
(a)LNG払出ポンプP1、海水ポンプP2、LPG払出ポンプ(図示省略)および付臭ポンプP3等のポンプ類の運転を停止する、
(b)付臭ライン50に設けられた緊急遮断弁51等の弁類を「閉」動作させる、
等の処理をおこなう。
中央制御部81は、運転中機器停止処理S200をおこなった後、ステップS400に処理を移す。
【0054】
(発電機起動処理S300)
中央制御部81は、ステップS300において、非常用発電機を起動させる処理(発電機起動処理)をおこなう。これにより、「NG」を需要先に再供給までに必要な電力、すなわち、次工程(ステップS400)以降の処理をおこなう際に最低限必要な電力を、確保することが可能となる。
【0055】
(発電機起動確認処理S400)
中央制御部81は、ステップS400において、非常用発電機が所定機器に電力を供給することができる状態になっているか否かを判定する処理(発電機起動確認処理)をおこなう。例えば、このような処理は、非常用発電機から送電される系統の電圧等を監視する公知の手法を用いることで実現することが可能である。
中央制御部81は、非常用発電機が、電力を供給できる状態になっていると判定すると、ステップS600に移し、電力を供給できる状態になっていないと判定すると、本処理を繰り返し実行する。
【0056】
(幹線境界弁閉塞処理S500)
中央制御部81は、ステップS500において、幹線境界弁45を「閉」動作させる処理(幹線境界弁閉塞処理)をおこなう。これにより、需要先への「NG」の供給が完全に遮断されることとなる(
図4の符号「A」参照)。
【0057】
(保安負荷起動処理S600)
中央制御部81は、ステップS600において、非常用発電機から(対象となる)保安負荷に電力を供給してこれを起動する処理(保安負荷起動処理)をおこなう。
具体的に、中央制御部81は、
(a)照明、コンピュータ負荷や(サーバルーム等の)空調設備等の機器、および、
(b)LNG払出ポンプP1等のポンプ類や、ボイラ等の機器、
等に電力を供給してこれらを起動(作動)する処理をおこなう。
中央制御部81は、保安負荷起動処理S600をおこなった後、ステップS700に処理を移す。
【0058】
(送出リスタート処理S700)
中央制御部81は、ステップS700において、予め定められた性状(発熱量:「45MJ/Nm
3」(都市ガス)、付臭濃度:「3〜75mg/m
3N」)の「NG」を需要先に再供給するための処理(送出リスタート処理、
図3に示す幹線境界弁閉塞確認処理S701〜放散ライン閉塞処理S710)をおこなう。
なお、送出リスタート処理S700は、上述したように、操作部83から入力された操作指令(オペレータによる操作指令)に基づいて、実行されるように構成されている。
このため、幹線境界弁閉塞確認処理S701は、本処理の開始を示す指令(例えば、送出リスタート処理S700の開始を示す操作指令)が操作部83から入力されることを条件に、開始されるようになっている。
【0059】
(幹線境界弁閉塞確認処理S701)
図1〜
図4に示すように、中央制御部81は、送出リスタート処理S700の開始を示す操作指令等が操作部83から入力されると、ステップS701において、幹線境界弁45が閉塞されているか否かを確認する処理(幹線境界弁閉塞確認処理)をおこなう。
【0060】
原則として、幹線境界弁45は、上述した幹線境界弁閉塞処理S500をおこなうことで閉塞されているが、その後、必要に応じて、幹線境界弁45を開いた状態で放散ライン70から「NG」を放散する、いわゆる「引き戻し放散」がおこなわれる場合もありうる。
このため、本実施形態では、ステップS703以降の処理をおこなう前に、(念のため、)本処理を実行するように構成されている。
中央制御部81は、幹線境界弁45が閉塞されていると判定すると、ステップS703に処理を移し、閉塞されていないと判定すると、ステップS702に処理を移す。
【0061】
(幹線境界弁閉塞処理S702)
中央制御部81は、ステップS702において、所定の操作指令(本実施形態では、オペレータによる幹線境界弁45の「閉」動作指令)の入力があることを条件に、幹線境界弁45を閉塞する処理(幹線境界弁閉塞処理)をおこなう(
図4の符号「A」参照)。
中央制御部81は、幹線境界弁閉塞処理S702をおこなった後、ステップS703に処理を移す。
【0062】
(放散ライン開放処理S703)
中央制御部81は、ステップS703において、所定の操作指令(本実施形態では、オペレータによる圧力調整弁71の「開」動作指令)の入力があることを条件に、圧力調整弁71を開放する処理(放散ライン開放処理)をおこなう。
これにより、NG供給ライン40内に存在する「NG」が、放散ライン70(ベントスタック)を介して大気中に放散されることとなる。
中央制御部81は、放散ライン開放処理S703をおこなった後、ステップS704に処理を移す。
【0063】
(付臭液循環処理S704)
中央制御部81は、ステップS704において、付臭液を、付臭ライン50、付臭戻りライン60および付臭タンクT2内で循環させる処理(付臭液循環処理)をおこなう。なお、上記付臭液循環処理S704が特許請求の範囲に記載の「分岐ライン昇圧工程」に該当する。
具体的に、本実施形態では、
(a)開閉弁62が手動で「開」位置に移動された後、
(b)所定の操作指令(本実施形態では、オペレータによる緊急遮断弁51の「閉」動作指令および付臭ポンプP3の起動指令)が入力される、
ことを条件に、付臭液循環処理S704が開始されるように構成されている。これにより、付臭液が、付臭ライン50→付臭戻りライン60→付臭タンクT2→付臭ライン50→付臭戻りライン60・・・といったように循環されることとなる(以下、付臭液が循環するラインを「付臭液循環ライン」と称す、
図4の符号「B」参照)。
中央制御部81は、付臭液循環処理S704をおこなった後、ステップS705に処理を移す。
【0064】
(海水ポンプ起動処理S705)
中央制御部81は、ステップS705において、所定の操作指令(オペレータによる海水ポンプP2の起動指令)の入力があることを条件に、海水ポンプP2を起動する処理(海水ポンプ起動処理)をおこなう(
図4の符号「C」参照)。これにより、流量調整弁31を「開」動作することで、気化器Vに「海水」を散水(導入)することが可能となる。
中央制御部81は、海水ポンプ起動処理S705をおこなった後、ステップS706およびステップS708に処理を移す。
【0065】
(気化器起動処理S706)
中央制御部81は、ステップS706において、気化器Vに「LNG」を導入して「NG」を生成する処理(気化器起動処理)をおこなう(
図4の符号「E」参照)。なお、上記気化器起動処理S706が特許請求の範囲に記載の「気化ガス流出工程」に該当する。
具体的に、本実施形態では、
(a)(オペレータによる流量調整弁31の「開」動作指令が入力されることによって、)気化器Vへの「海水」の散水状態が確立された後、
(b)所定の操作指令(本実施形態オペレータによる流量調整弁11および緊急遮断弁12の「開」動作指令)が入力される、
ことを条件に、気化器起動処理S706が開始されるように構成されている。
【0066】
これにより、気化器Vにより生成された「NG」が、NG供給ライン40に送出されることとなる。なお、この状態では、幹線境界弁45が閉塞されているとともに(幹線境界弁閉塞処理S500,S702)、圧力調整弁71が開放されているため(放散ライン開放処理S703)、気化器Vにより(新たに)生成された「NG」は、放散ライン70(ベントスタック)を介して、(NG供給ライン40に残存している「NG」を押し出した後)、大気中に放散されるようになる。
中央制御部81は、気化器起動処理S706をおこなった後、ステップS707に処理を移す。
【0067】
(熱調処理S707)
中央制御部81は、ステップS707において、LNG払出ライン10を流れる「LNG」に「LPG」を添加する処理(熱調処理)をおこなう(
図4の符号「G」参照)。なお、上記熱調処理S707が特許請求の範囲に記載の「熱量調整工程」に該当する。
具体的に、本実施形態では、
(a)気化器Vにより生成される「NG」の生成量(流量計42により計測される流量)が、「NG下限生成量」(「20t/h」)に達した後(
図4の符号「F」参照)、
(b)所定の操作指令(本実施形態では、オペレータによる流量調整弁22および緊急遮断弁23の「開」動作指令)が入力される、
ことを条件に、熱調処理S707が開始されるように構成されている(
図4の符号「G」参照)。
これにより、「LNG」の発熱量、すなわち、気化器Vにより生成される「NG」の発熱量が増熱されていくこととなる。
中央制御部81は、熱調処理S707をおこなった後、ステップS709に処理を移す。
【0068】
(付臭液注入処理S708)
中央制御部81は、ステップS708において、NG供給ライン40に付臭液を注入する処理(付臭液注入処理)をおこなう。なお、上記付臭液注入処理S708が特許請求の範囲に記載の「付臭剤添加工程」に該当する。
具体的に、本実施形態では、
(a)まず、
・「付臭液循環ライン」において付臭液が循環されていることを確認(例えば、圧力計61により計測される計測値等で確認)した後、
・所定の操作指令(例えば、オペレータによる付臭ポンプP3の回転数を上昇させる指令)が入力されることを条件に、「付臭液循環ライン」の管内圧力を昇圧する(
図4の符号「D」参照)、
(b)その後、
・「付臭液循環ライン」の管内圧力(圧力計61により計測される計測値)が、NG供給ライン40の管内圧力(圧力計44により計測される計測値、例えば、「0.2MPa」)に達した後、
・所定の操作指令(本実施形態では、緊急遮断弁51の「開」動作指令)が入力されることを条件に、NG供給ライン40に付臭液を注入する、
ように構成されている(
図4の符号「H」参照)。
これにより、NG供給ライン40を流れる「NG」の付臭濃度を上昇させることが可能となる。
【0069】
ここで、「付臭液循環ライン」の管内圧力をNG供給ライン40の管内圧力まで上昇させるタイミングについて説明する。
本実施形態では、気化器Vによって「NG下限生成量」(「20t/h」)の「NG」が生成されるまでの間、すなわち、気化器Vが「運転確立状態」となるまでの間に、「付臭液循環ライン」の管内圧力をNG供給ライン40の管内圧力まで上昇させるように構成されている(
図4の符号「D」、「F」および「G」参照)。
このため、本実施形態では、気化器Vが「運転確立状態」となった後、緊急遮断弁51を「開」動作させることで、すぐさま、付臭液をNG供給ライン40に注入することが可能となっている(
図4の符号「G」および「H」参照)
【0070】
なお、このような「付臭液循環ライン」の昇圧は、どんなに遅くとも、気化器Vによって「NG下限生成量」の「NG」が生成されるまでの間におこなわれていればよく、例えば、後述する気化器起動処理S706がおこなわれる前までに完了させておくこともできる(
図4の符号「E」参照)。この場合、NG供給ライン40に「NG」が流出された直後(気化器Vを起動させた直後)に、付臭液を「NG」に添加することが可能となる。
【0071】
この場合(「付臭液循環ライン」を昇圧するタイミングを早めた場合)、NG供給ライン40に付臭液を注入するタイミングが問題になるが、少なくとも、「NG」がNG供給ライン40を流れている状態、すなわち、気化器Vによって「NG」が生成される状態となった後(
図4の符号「E」参照)に、これをおこなうのが望ましい。これは、「NG」が流れていない状態で、NG供給ライン40に付臭液を注入すると、これが管内に滞留してしまい、付臭濃度が不安定になるおそれがあるからである。
【0072】
ここで、「NG」の付臭濃度の挙動について、
図5を参照しつつ説明する。
図5は、LNG供給システム1を用いて、上記送出リスタート(
図3のステップS702〜ステップS708)をおこなったとき、すなわち、
(a)幹線境界弁45を「閉」にして、需要先への「NG」の供給を停止する処理(幹線境界弁閉塞処理S500,S702)、
(b)圧力調整弁71を「閉」→「開」にして、NG供給ライン40内の「NG」を放散する処理(放散ライン開放処理S703)
(c)緊急遮断弁51を「閉」→「開」にして、NG供給ライン40に付臭液を注入する処理(付臭液注入処理S708)、
を順におこなったときの「NG」の付臭濃度の挙動を示したものである。
【0073】
本試験では、幹線境界弁45を閉塞してから、
(a)「20分」後に圧力調整弁71を開放するとともに、
(b)「25分」後に緊急遮断弁51を開放する、
ようにしている。なお、本試験において、幹線境界弁45を閉塞する直前の「NG」の付臭濃度(濃度計43により計測される計測値)は、約「15mg/Nm
3」である。
【0074】
その結果、本試験では、圧力調整弁71を開放してから「9分」後(幹線境界弁45を閉塞してから「29分」後)に、「NG」の付臭濃度が、低下し始め、その「5分」後(幹線境界弁45を閉塞してから「34分」後)に、「1mg/Nm
3」程度まで降下(以下、この「NG」の付臭濃度を「最低付臭濃度」と称す)する、といった試験結果を得ることができた。
これは、NG供給ライン40において、気化器Vと濃度計43との間に残存する「NG」(付臭濃度:「15mg/Nm
3」)が、臭い付けされていない「NG」によって濃度計43付近まで移動される(押し動かされる)のに、どうしても時間がかかってしまうからである。
【0075】
その後、本試験では、「NG」の付臭濃度が「最低付臭濃度」から上昇し始め、
(a)その「1分」後(緊急遮断弁51を開放してから「10分」後、幹線境界弁45を閉塞してから「35分」後)、「5mg/Nm
3」(「NG下限付臭濃度」)に、また、
(b)その「6分」後(緊急遮断弁51を開放してから「15分」後、幹線境界弁45を閉塞してから「45分」後)、「11mg/Nm
3」程度に、
達する、といった試験結果を得ることができている。
【0076】
この点、「NG」の付臭濃度を、「5mg/Nm
3」まで引き上げるまでの時間(「10分」)と、「11mg/Nm
3」まで引き上げるまでの時間(「15分」)とを考慮すれば、「5分」の時間差(タイムロス)があることから、「NG」の付臭濃度に問題がなければ、「NG下限付臭濃度」を「5mg/Nm
3」に設定するのが望ましい、といえる。
【0077】
ところで、
図4に示すように、本実施形態では、付臭液注入処理S708(符号「H」参照)を、熱調処理S707(符号「G」参照)の直後におこなうように構成されている。
すなわち、本実施形態では、
(a)「NG」の付臭濃度を「NG下限付臭濃度」(「5mg/Nm
3」)まで昇圧する期間(「10分」)と、
(b)「NG」の発熱量を「規定発熱量」(例えば、「45MJ/Nm
3」)まで上昇させる期間と、
を重畳させることができるため、その分、「NG」の再供給までに要する時間を短縮することが可能となっている。
【0078】
図2に示すように、本実施形態では、このような熱調処理S707および付臭液注入処理S708をおこなった後、幹線境界弁開放処理S709をおこなわれるように構成されている。
【0079】
(幹線境界弁開放処理S709)
図1〜
図4に示すように、中央制御部81は、ステップS709において、幹線境界弁45を「開」動作させる処理(幹線境界弁開放処理)をおこなう。なお、上記幹線境界弁開放処理S709が特許請求の範囲に記載の「気化ガス供給工程」に該当する。
具体的に、中央制御部81は、
(a)「NG」の発熱量(熱量計41により計測される発熱量)が「規定発熱量」(「45MJ/Nm
3」)に達しており(
図4の符号「I」参照)、かつ、
(b)「NG」の付臭濃度(濃度計43により計測される付臭濃度)が「NG下限付臭濃度」(「5mg/Nm
3」)に達した後(
図4の符号「J」参照)、
(c)所定の操作指令(本実施形態では、オペレータによる幹線境界弁45の「開」動作指令)が入力される、
ことを条件に、幹線境界弁開放処理S709が開始されるように構成されている(
図4の符号「K」参照)。
これにより、「規定発熱量」(「45MJ/Nm
3」)および「NG下限付臭濃度」(「5mg/Nm
3」)の「NG」が、「NG下限生成量」(「20t/h」)で需要先に向けて供給されることとなる。
【0080】
ここで、本実施形態にかかるLNG供給システム1を用いて、上記LNG供給方法をおこなったときの試験結果について、
図6を参照しつつ説明する。
図6は、幹線境界弁45を閉塞してから、
(a)付臭濃度:「5mg/Nm
3」弱(「NG下限付臭濃度」)、
(b)発熱量:「45MJ/Nm
3」(「規定発熱量」)、および、
(c)供給量:「20t/h」(「NG下限生成量」)、
の「NG」を再供給するまでの試験結果を示したものである。
【0081】
具体的に、本試験では、幹線境界弁45を閉塞してから、
(a)約「10分」後に、流量調整弁11および緊急遮断弁12を「開」動作して、気化器Vから「NG」を流出させ(
図3の気化器起動処理S706、
図4の符号「E」参照)、
(b)約「16分」後に、緊急遮断弁51を「開」動作して、NG供給ライン40に付臭液を注入する(
図3の付臭液注入処理S708、
図4の符号「H」参照)、
ようにした。
【0082】
その結果、本試験では、幹線境界弁45を閉塞してから「30分25秒」後(緊急遮断弁51を開放してから「14分44秒」後)に、「NG下限付臭濃度」および「規定発熱量」の「NG」を、「20t/h」の流量で、需要先に再供給することができる、といった試験結果を得ることができた。
【0083】
なお、従来の送出リスタートの方式(気化器起動処理S706および熱調処理S707をおこなった後に、付臭液注入処理S708をおこなうような方式)では、緊急遮断弁51を閉塞してから開放するまでに「45分」(NG下限付臭濃度が「11mg/Nm
3」の場合)程度要していたところ、本試験では、それよりも、約「15分」短い試験結果を得ることができている。
【0084】
図2に示すように、本実施形態では、上記幹線境界弁開放処理S709をおこなった後、放散ライン閉塞処理S710がおこなわれるように構成されている。なお、本実施形態では、「NG」の付臭濃度が「NG下限付臭濃度」に、また、その発熱量が「規定発熱量」に、それぞれ、達していることを条件に、幹線境界弁開放処理S709をおこなうように構成したが、これに加え、例えば、「NG」の付臭濃度が上昇傾向にあるか、といった判断基準を加えることも可能である。
【0085】
(放散ライン閉塞処理S710)
図1および
図3に示すように、中央制御部81は、ステップS710において、所定の操作指令(本実施形態では、オペレータによる圧力調整弁71の「閉」動作指令)の入力があることを条件に、圧力調整弁71を閉塞する処理(放散ライン閉塞処理)をおこなう。
これにより、放散ライン70(ベントスタック)を介して放散されていた「NG」の放散が停止されることとなる。
図2および
図3に示すように、本実施形態では、このような放散ライン閉塞処理S710をおこなった後、ロードアップ処理S800がおこなわれるように構成されている。
【0086】
(ロードアップ処理S800)
図1および
図2に示すように、中央制御部81は、ステップS800において、需要先に供給される「NG」の供給量を増加させる処理(ロードアップ処理)をおこなう。
具体的に、中央制御部81は、LNG払出ポンプP1の回転数を増加させる制御等をおこなって、「NG」の供給量を「20t/h」から、例えば、「100t/h」に増加させる処理をおこなう(
図4の符号「L」参照)。なお、ロードアップ処理S800は、送出リスタート処理S700と同様に、所定の操作指令(例えば、オペレータによるLNG払出ポンプP1の回転数を増加させる指令等)が入力されることを条件に、おこなうことも可能である。
本実施形態では、ロードアップ処理S800をおこなった後、本LNG供給方法を終了するように構成されている。
【0087】
以上のように、本実施形態では、
(a)幹線境界弁45を閉塞した後、気化器Vが「運転確立状態」となるまでの間に、「付臭液循環ライン」の管内圧力を、その「NG」が流れるNG供給ライン40の管内圧力(例えば、「0.2MPa」)まで昇圧する一方、
(b)気化器Vが「運転確立状態」になると、
・「LNG」を増熱する処理をおこない(
図4の符号「G」参照)、
・それに若干遅れて、付臭液を「NG」に添加する処理をおこなう(
図4の符号「H」参照)、
ように構成されている。
【0088】
すなわち、本実施形態では、需要先に供給されるべき、
(a)気化器V側に求められる「NG」の要求値(「NG」の発熱量)と、
(b)付臭タンクT2側に求められる「NG」の要求値(「NG」の付臭濃度)と、
をいわば同時に引き上げることができるため、比較的短時間で、一定品質の「NG」を製造することが可能である。
【0089】
なお、上述したように、「付臭液循環ライン」の昇圧を、気化器Vを起動させる前(気化器起動処理S706がおこなわれる前)までにおこなった場合にあっては、気化器Vを起動させた直後に、付臭液をNG供給ライン40に注入することも可能である(
図4の符号「E」参照)。
この場合、「NG」の供給量および発熱量(気化器V側の「NG」要求値)と、「NG」の付臭濃度(付臭タンクT2側の「NG」要求値)とを、同時に引き上げることが可能なため、より短時間で一定品質の「NG」を製造することが期待できる。
【0090】
また、本実施形態では、「NG」がNG供給ライン40を流通している状態で、付臭液が添加されるように構成されているため、NG供給ライン40に付臭液が滞留して付臭濃度が不安定になる、などといった問題が生じることもない。
【0091】
このように、本実施形態では、「NG」の製造ラインが「全停電」により停止した場合であっても、一定品質の「NG」を短時間で需要先に再供給することが可能である。
【0092】
なお、本実施形態では、低温液体としての「LNG」を需要先に供給する場合を例にとって説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、他の低温液体(例えば、LPG)を供給する場合にも適用することが可能である。
【0093】
また、本実施形態では、需要先への「NG」の供給が、停電が原因で停止した場合を例にとって説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、それ以外の事象(例えば、工事)が原因で停止した場合にも、適用することができる。
【0094】
さらに、本実施形態では、熱調設備20を設けて「LNG」を増熱したが、例えば、LNGタンクT1に貯蔵される「LNG」を、そのまま(未熱調のまま)、需要先に供給する運用をおこなっている施設(例えば、他の「LNG基地」)においては、熱調設備20を省略することも可能である。
【0095】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施形態について説明したが、この実施形態による本発明の開示の一部をなす論述および図面により、本発明は限定されるものではない。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実例および運用技術等はすべて本発明の範疇に含まれることはもちろんであることを付け加えておく。
【解決手段】LNG供給方法は、幹線境界弁45を閉塞している状態で、「NG」をNG供給ライン40に流出させる気化ガス流出工程と、緊急遮断弁51を閉塞している状態で、付臭ライン50の管内圧力を昇圧する分岐ライン昇圧工程と、緊急遮断弁51を開放して付臭液を「NG」に添加する付臭剤添加工程と、幹線境界弁45開放して「NG」を需要先に供給する気化ガス供給工程とを含んでいる。分岐ライン昇圧工程は、流量計42によって計測される流量が予め定めた「NG下限生成量」に達するまでの間に付臭ライン50の管内圧力をNG供給ライン40の管内圧力以上に昇圧する工程を含んでいる。