特許第6518905号(P6518905)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6518905
(24)【登録日】2019年5月10日
(45)【発行日】2019年5月29日
(54)【発明の名称】スイッチの位置決め構造
(51)【国際特許分類】
   H01H 13/04 20060101AFI20190520BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20190520BHJP
【FI】
   H01H13/04 C
   B60R16/02 630Q
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-225873(P2015-225873)
(22)【出願日】2015年11月18日
(65)【公開番号】特開2017-97966(P2017-97966A)
(43)【公開日】2017年6月1日
【審査請求日】2018年2月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】植村 建
(72)【発明者】
【氏名】玉利 光利
(72)【発明者】
【氏名】坂根 猛朗
(72)【発明者】
【氏名】村松 昭宏
(72)【発明者】
【氏名】岩本 浩二
(72)【発明者】
【氏名】冨宅 純平
【審査官】 内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−092731(JP,A)
【文献】 特開2005−340128(JP,A)
【文献】 特開平04−112420(JP,A)
【文献】 実開昭60−162326(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 9/00 〜 9/28
H01H 13/00 〜 13/88
H01H 89/00 〜 89/10
B60R 16/00 〜 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガーニッシュの表面及び裏面でそれぞれ開口するスイッチ孔の周りであって前記裏面側から突出するリブと、
前記スイッチ孔内にある操作キャップが接続されている可動部を同スイッチ孔の中心線方向に移動できるよう設けたスイッチ本体と、
前記ガーニッシュの裏面側に位置する前記スイッチ本体に固定されており、且つ、前記スイッチ本体から前記リブに向けて突出する台部材と、を備え、
前記台部材は、前記リブの突出方向の先端と接して前記スイッチ孔の中心線方向についての同台部材の位置決めを行う管理面を有しており、
前記リブは、前記スイッチ孔の中心線周りに円弧状に延びるように設けられており、
前記台部材は、前記スイッチ孔の中心線方向に延びる円筒状となっており、
前記台部材の突出方向の先端部には、前記スイッチ孔の中心線周りに等間隔をおいて三つ以上の当接部が設けられており、
前記当接部は、前記リブに対し前記スイッチ孔の径方向に接して前記操作キャップの中心線を前記スイッチ孔の中心線と一致させるよう構成されていることを特徴とするスイッチの位置決め構造。
【請求項2】
前記台部材は、前記スイッチ孔の中心線方向に延びる円筒状となっており、
前記台部材の突出方向の先端部には、前記リブに対し前記スイッチ孔の周方向に接して同周方向についての前記台部材の位置決めを行う回り止め部が設けられている
請求項1記載のスイッチの位置決め構造。
【請求項3】
前記操作キャップは、前記スイッチ孔内において同スイッチ孔の径方向に延びる押圧板と、その押圧板の外縁全体からスイッチ本体に向けて突出するとともに前記可動部における前記スイッチ孔の径方向の側部に接続されるスカート部と、を備える
請求項1又は2に記載のスイッチの位置決め構造。
【請求項4】
前記スイッチ孔の内周面と前記押圧板の外縁との間には、塵埃を通過させる大きさの隙間が存在している
請求項記載のスイッチの位置決め構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチの位置決め構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両等のガーニッシュに取り付けられるスイッチとして、スイッチ本体に対し突出方向及び没入方向に移動できるよう可動部を設け、その可動部の先端にユーザーにより押圧される操作キャップを接続したものが知られている。こうしたスイッチをガーニッシュに取り付けるに当たり、例えば特許文献1に示されるスイッチの取付構造を採用することが考えられる。
【0003】
図7に示すように、この場合には、ガーニッシュ51の表面及び裏面にそれぞれ開口するスイッチ孔52の周りであって上記裏面(図7の右側面)には、同裏面から突出するようにリブ53が形成される。そして、ガーニッシュ51の裏面側にスイッチ本体54を配置するとともに、同スイッチ本体54の可動部55の先端に接続された操作キャップ56をスイッチ孔52内に配置する。更に、上記スイッチ本体54を上記リブ53における突出方向の先端に押し付けることにより、スイッチ孔52の中心線方向についてのスイッチ本体54(スイッチ)の位置決めを行う。このようにスイッチの位置決めが行われた状態のもと、同スイッチがボルト締結等によりガーニッシュ51に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−86516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記スイッチは、操作キャップ56からスイッチ本体54がある程度離れた構造とならざるを得ない。このため、上述したスイッチの取付構造では、スイッチ本体54がガーニッシュ51の裏面から離れてしまい、スイッチ本体54をリブ53の先端に押し当てて位置決めするためには、リブ53の突出量を大きくしなければならなくなる。
【0006】
しかし、リブ53の突出量を大きくすると、同リブ53の体積が大きくなることは避けられない。このため、成形時におけるガーニッシュ51の収縮の際、リブ53がガーニッシュ51の他の部位よりも多く収縮し、それが原因となってガーニッシュ51の表面(図7の左側面)におけるリブ53に対応する部分に窪み(いわゆるヒケ)が生じるおそれがある。
【0007】
本発明の目的は、スイッチが取り付けられるガーニッシュの表面における窪み発生の抑制に寄与するスイッチの取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決するスイッチの取付構造では、ガーニッシュの表面及び裏面でそれぞれ開口するスイッチ孔の周りであって上記裏面側から突出するリブと、スイッチ孔内にある操作キャップが接続されている可動部を同スイッチ孔の中心線方向に移動できるよう設けたスイッチ本体と、を備える。更に、上記取付構造では、ガーニッシュの裏面側に位置するスイッチ本体に固定されており、且つ、スイッチ本体から上記リブに向けて突出する台部材も備える。この台部材は、上記リブの突出方向の先端と接してスイッチ孔の中心線方向についての同台部材の位置決めを行う管理面を有している。
【0009】
上記構成によれば、ガーニッシュに対するスイッチ孔の中心線方向についての台部材の位置決めは、スイッチ本体に固定された台部材が有する管理面をガーニッシュにおけるリブの先端に押し付けて接触させることによって実現される。このとき、台部材と固定されたスイッチ本体についても、ガーニッシュに対する上記中心線方向についての位置決めが行われる。従って、上記台部材を設けることにより、ガーニッシュにおけるリブの突出量を大きくせずとも、ガーニッシュに対するスイッチ本体の上記中心線方向についての位置決めを実現することができる。その結果、上記リブの突出量を小さく抑えて同リブの体積を小さく抑えることができ、成形時におけるガーニッシュの収縮の際に同ガーニッシュの表面におけるリブに対応する部分に窪み(ヒケ)が生じることを抑制できる。
【0010】
上記リブ及び上記台部材については、次のように構成されていることが好ましい。すなわち、上記リブは、スイッチ孔の中心線周りに円弧状に延びるように設けられる。上記台部材は、スイッチ孔の中心線方向に延びる円筒状とされる。この台部材の突出方向の先端部には、スイッチ孔の中心線周りに等間隔をおいて三つ以上の当接部が設けられる。そして、上記当接部は、上記リブに対しスイッチ孔の径方向に接して操作キャップの中心線をスイッチ孔の中心線と一致させるよう構成される。
【0011】
この構成によれば、ガーニッシュに対する台部材のスイッチ孔の中心線方向についての位置決めを行うとき、台部材の当接部を上記リブに対しスイッチ孔の径方向に接触させることにより、上記位置決めと共に操作キャップの中心線をスイッチ孔の中心線と一致させること(センタリング)も実現できる。
【0012】
上記台部材は、次にように構成されていることが好ましい。すなわち、上記台部材は、スイッチ孔の中心線方向に延びる円筒状とされる。そして、上記台部材の突出方向の先端部には、上記リブに対しスイッチ孔の周方向に接して同周方向についての上記台部材の位置決めを行う回り止め部が設けられる。
【0013】
この構成によれば、ガーニッシュに対する台部材のスイッチ孔の中心線方向についての位置決めを行うとき、台部材の周り止め部を上記リブに対しスイッチ孔の周方向に接触させることにより、台部材及びそれに固定されたスイッチ本体における上記周方向についての位置決めも併せて実現することができる。
【0014】
上記操作キャップは、スイッチ孔内において同スイッチ孔の径方向に延びる押圧板と、その押圧板の外縁全体からスイッチ本体に向けて突出するとともに上記可動部におけるスイッチ孔の径方向の側部に接続されるスカート部と、を備えるものとすることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、ユーザーによる操作キャップの押圧時における力の作用方向がスイッチ孔の中心線に対し傾いて同操作キャップが上記中心線に対して傾こうとしても、操作キャップのスカート部が可動部におけるスイッチ孔の径方向の側部に対し接続されている関係から、上述したように操作キャップが傾くことは抑制される。
【0016】
なお、操作キャップを上記押圧板及び上記スカート部を備えるものとした場合、スイッチ孔の内周面と押圧板との間に、塵埃を通過させる大きさの隙間を存在させることが好ましい。
【0017】
この場合、スイッチ孔の内周面と押圧板との間を塵埃が通過するため、スイッチ孔の内周面と押圧板との間において塵埃による詰まりが生じることを抑制でき、その詰まりに伴って操作キャップの操作に支障を来すことも抑制できる。なお、スイッチ孔の内周面と押圧板との間に上記隙間が存在している場合、仮に操作キャップがスイッチ孔の中心線に対し大きく傾いたとすると、操作キャップがスイッチ孔の内周面に引っかかって同操作キャップの操作に支障を来すおそれがある。しかし、上述したように操作キャップにおけるスイッチ孔の中心線に対する傾きは抑制されるため、その傾きに伴って操作キャップがスイッチ孔の内周面に引っかかることはない。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、スイッチが取り付けられるガーニッシュの表面に窪みが発生することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】スイッチが取り付けられたガーニッシュを示す斜視図。
図2】同ガーニッシュを裏面側から見た状態を示す背面図。
図3】スイッチを示す斜視図。
図4】同スイッチの台部材を拡大して示す斜視図。
図5】ガーニッシュに対しスイッチが取り付けられた状態、及び、同スイッチの構造を概略的に示す断面図。
図6】スイッチ孔の中心線方向について台部材が位置決めされたときの位置決め部とリブとの位置関係を示す概略図。
図7】ガーニッシュに対するスイッチの取付構造の従来例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、スイッチの取付構造の一実施形態について、図1図6を参照して説明する。
図1に示すように、車両のガーニッシュ1の裏面1b側には、スイッチ2が取り付けられている。ガーニッシュ1には、その表面1a及び裏面1bで開口するスイッチ孔3が形成されている。スイッチ孔3にはスイッチ2の操作キャップ4が挿入されている。操作キャップ4は、ガーニッシュ1の表面1a側で露出しており、ユーザーによる押圧操作が可能となっている。
【0021】
図2は、ガーニッシュ1を裏面1b側から見た状態を示している。ガーニッシュ1の裏面1bにおけるスイッチ孔3の周りの部分には、裏面1bから突出するリブ5が形成されている。リブ5は、スイッチ孔3の中心線CL1周りで円弧状に延びている。この例では、スイッチ孔3の周方向において、三つのリブ5がほぼ等しい間隔をおいて設けられている。また、一つのリブ5には、スイッチ孔3の径方向に同リブ5を横切るようスリット6が形成されている。
【0022】
図3に示すように、スイッチ2は、固定プレート7上に固定されたスイッチ本体8、及び、スイッチ本体8に固定された台部材9を備えている。台部材9は、スイッチ本体8から突出する方向に延びる円筒状となっている。台部材9の内側には、上記操作キャップ4が設けられている。そして、スイッチ2は、ボルト10で固定プレート7をガーニッシュ1の裏面1bに締結することで、同ガーニッシュ1に固定されるようになっている。
【0023】
図4に示すように、台部材9における突出方向の端面9aには、同端面9aから更に突出する位置決め部11が形成されている。この例では、台部材9の周方向において、所定の間隔をおいて三つの位置決め部11が設けられている。これら位置決め部11はそれぞれ、図2に示すガーニッシュ1における別々のリブ5に対応して位置している。
【0024】
図4に示す位置決め部11は、同位置決め部11の突出方向の端面に設定された管理面12と、その管理面12における台部材9の内周面側の縁に位置して同内周面に沿って延びる壁13と、壁13の外周面から台部材9の径方向外側に突出する突部14と、を備えている。また、三つの位置決め部11のうちの一つは、図2に示すスリット6が形成されたリブ5に対応しており、同スリット6に挿入することが可能な挿入突起15を有している。
【0025】
図5は、スイッチ2の構造を概略的に示すとともに、ガーニッシュ1に対しスイッチ2が取り付けられた状態を概略的に示している。
ガーニッシュ1の裏面1b側に取り付けられたスイッチ2のスイッチ本体8は、スイッチ孔3内にある操作キャップ4が接続された可動部16を備えている。可動部16は、弾性を有していてスイッチ本体8に対し突出方向及び没入方向、言い換えればスイッチ孔3の中心線方向に移動することが可能となっている。また、操作キャップ4は、円板状に形成されてスイッチ孔3の径方向に延びる押圧板17と、その押圧板17の外縁全体からスイッチ本体8に向けて(図4の右側に向けて)突出するとともに上記可動部16におけるスイッチ孔3の径方向の側部に接続されるスカート部18と、を備えている。
【0026】
スイッチ本体8におけるスイッチ孔3側の面(図5の左側の面)には、同面に設けられた係止部19によって台部材9の基端部が固定されている。このように固定された台部材9は、スイッチ本体8におけるスイッチ孔3側の面から突出しており、内部に可動部16が所定の隙間をもって挿入された状態となっている。また、台部材9の先端に位置する上記位置決め部11の壁13は、ガーニッシュ1の各リブ5の内側、すなわちリブ5よりもスイッチ孔3の中心線CL1寄りの位置に挿入されている。
【0027】
上記位置決め部11の管理面12は、台部材9(スイッチ2)におけるスイッチ孔3の中心線方向についての位置決めを行うためのものであって、その位置決めをガーニッシュ1のリブ5の先端(図5の右端)と接することによって実現する。また、位置決め部11は、突部14(図4)を利用してスイッチ孔3の径方向についての台部材9(スイッチ2)の位置決めを行うとともに、挿入突起15(図4)を利用してスイッチ孔3の周方向についての台部材9(スイッチ2)の位置決めを行う。
【0028】
図6は、スイッチ孔3の中心線方向について台部材9が位置決めされたときの位置決め部11とリブ5との位置関係を概略的に示している。このときには位置決め部11の壁13の外周面と、同位置決め部11に対応するリブ5の内周面とが対向する。そして、挿入突起15を備えた位置決め部11とスリット6を備えたリブ5とにおいては、上記挿入突起15がスリット6に挿入されて上記リブ5に対しスイッチ孔3の周方向に接する。一方、互いに対応した位置決め部11とリブ5とにおいては、位置決め部11の突部14がリブ5の内周面に接する。三つの位置決め部11の各突部14は、スイッチ孔3の周方向において、ほぼ等しい間隔をおいて設けられている。
【0029】
そして、位置決め部11の突部14が同位置決め部11に対応するリブ5の内周面に接することにより、スイッチ孔3の径方向についての台部材9(スイッチ2)の位置決めが行われる。この例では、図3に示す操作キャップ4の中心線CL2が図6に示すスイッチ孔3の中心線CL1と一致するよう、スイッチ孔3の径方向において台部材9(スイッチ2)が位置決めされる。すなわち、そうした位置決めが実現されるよう、突部14とリブ5との接触面の上記径方向についての位置が設定されている。なお、このときの突部14におけるリブ5との接触部分は、上記中心線CL2と上記中心線CL1とを一致させるよう構成される当接部として機能する。
【0030】
また、位置決め部11の挿入突起15が同位置決め部11に対応するリブ5のスリット6に挿入されて同リブ5に対しスイッチ孔3の周方向に接することにより、スイッチ孔3の周方向についての台部材9(スイッチ2)の位置決めが行われる。なお、このときの挿入突起15におけるリブ5(スリット6)との接触部分は、スイッチ孔3の周方向についての台部材9の位置決めを行う回り止め部として機能する。
【0031】
従って、各位置決め部11において、上述したように(A)挿入突起15をスリット6に挿入すること、(B)突部14をリブ5の内周面に接触させること、(C)管理面12をリブ5の先端に接触させること、という(A)〜(C)の三つの事柄を行うことにより、ガーニッシュ1に対する台部材9(スイッチ2)の位置決めが行われる。すなわち、スイッチ孔3の中心線方向、径方向、及び周方向についてのスイッチ2の位置決めが行われる。
【0032】
上述したようにスイッチ2の位置決めが行われたときには、図5に示すようにスイッチ孔3の内周面と操作キャップ4の押圧板17の外縁との間には、塵埃を通過させる大きさの隙間20が存在する。すなわち、上記隙間20ができるようにスイッチ孔3の内径及び押圧板17の外径が定められている。そして、スイッチ2の上記位置決めが行われた状態のもと、図3に示すようにスイッチ本体8が固定された固定プレート7をボルト10でガーニッシュ1の裏面1bに対し締結することにより、スイッチ2がガーニッシュ1に固定される。
【0033】
次に、上記スイッチ2の取付構造の作用について説明する。
ガーニッシュ1の裏面1b側に位置するスイッチ本体8におけるスイッチ孔3の中心線方向についての位置決めは、スイッチ本体8に固定されて同スイッチ本体8からガーニッシュ1のリブ5に向けて突出する台部材9を用いて行われる。すなわち、台部材9の先端にある位置決め部11の管理面12を上記リブ5の先端に押し付けて接触させることにより、ガーニッシュ1に対する台部材9(スイッチ本体8)の上記中心線方向についての上記位置決めが実現される。
【0034】
仮に、上記台部材9が設けられていないとすると、スイッチ孔3の中心線方向についてのスイッチ本体8の位置決めを行うためには、ガーニッシュ1の裏面1bからのリブ5の突出量大きくすることにより同リブ5の先端がスイッチ本体8に接触するようにし、その接触を通じて上記位置決めを実現するようにしなければならない。この場合、リブ5の突出量が多くなって同リブ53の体積が大きくなるため、成形時におけるガーニッシュ51の収縮の際、リブ5がガーニッシュ1の他の部位よりも多く収縮し、それが原因となってガーニッシュ1の表面1aにおけるリブ5に対応する部分に窪み(いわゆるヒケ)が生じるおそれがある。
【0035】
しかし、上記台部材9を設けることにより、ガーニッシュ1におけるリブ5の突出量を大きくせずとも、ガーニッシュ1に対するスイッチ本体8の上記中心線方向についての位置決めを実現することができる。その結果、上記リブ5の突出量が小さく抑えられて同リブ5の体積も小さく抑えられるため、成形時におけるガーニッシュ1の収縮の際に同ガーニッシュ1の表面1aにおけるリブ5に対応する部分に窪み(ヒケ)が生じることは抑制される。
【0036】
以上詳述した本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)成形時におけるガーニッシュ1の収縮の際に同ガーニッシュ1の表面1aにおけるリブ5に対応する部分に窪み(ヒケ)が生じることを抑制できる。
【0037】
(2)スイッチ孔3の中心線方向について台部材9(スイッチ本体8)を位置決めすべく、台部材9における位置決め部11の管理面12をガーニッシュ1のリブ5の先端に接触させるとき、次のように台部材9におけるスイッチ孔3の径方向についての位置決めも行われる。すなわち、図6に示すように、スイッチ孔3の周方向において、ほぼ等しい間隔をおいて設けられた三つのリブ5よりもスイッチ孔3の中心線CL1に近い部分に、リブ5に対応する位置決め部11の壁13が挿入される。そして、壁13の外周面にある突部14がリブ5の内周面に接することにより、操作キャップ4の中心線CL2とスイッチ孔3の中心線CL1と一致するよう、スイッチ孔3の径方向についての台部材9(スイッチ2)の位置決めが行われる。従って、ガーニッシュ1に対する台部材9のスイッチ孔3の中心線方向についての位置決めを行うとき、上記突部14をリブ5の内周面に接触させることにより、上記位置決めと共に操作キャップ4の中心線CL2をスイッチ孔3の中心線CL1と一致させること(センタリング)も実現できる。
【0038】
(3)スイッチ孔3の中心線方向について台部材9(スイッチ本体8)を位置決めすべく、台部材9における位置決め部11の管理面12をガーニッシュ1のリブ5の先端に接触させるとき、次のように台部材9におけるスイッチ孔3の径方向についての位置決めも行われる。すなわち、図6に示すように、位置決め部11の挿入突起15が、同位置決め部11に対応するリブ5のスリット6に挿入される。そして、挿入突起15が上記リブ5に対しスイッチ孔3の周方向に接することにより、スイッチ孔3の周方向についての台部材9(スイッチ2)の位置決めが行われる。従って、ガーニッシュ1に対する台部材9のスイッチ孔3の中心線方向についての位置決めを行うとき、上記挿入突起15を上記スリット6に挿入して同スリット6の存在するリブ5に対しスイッチ孔3の周方向に接触させることにより、台部材9(スイッチ本体8)における上記周方向についての位置決めも併せて実現することができる。
【0039】
(4)ユーザーが操作キャップ4の押圧板17を押圧するとき、同操作キャップ4に対する力の作用方向がスイッチ孔3の中心線CL1に対し傾いている場合、操作キャップ4が上記中心線CL1に対し傾こうとする。しかし、操作キャップ4のスカート部18が押圧板17の外縁全体からスイッチ本体8に向けて突出するとともに、可動部16におけるスイッチ孔3の径方向の側部に接続されている関係から、上述したように操作キャップ4が傾くことを抑制できる。
【0040】
(5)スイッチ孔3の内周面と上記押圧板17との間に、塵埃を通過させる大きさの隙間20を存在させている。この場合、スイッチ孔3の内周面と押圧板17との間を塵埃が通過するため、スイッチ孔3の内周面と押圧板17との間において塵埃による詰まりが生じることを抑制でき、その詰まりに伴って操作キャップ4の操作に支障を来すことも抑制できる。なお、スイッチ孔3の内周面と押圧板17との間に上記隙間20が存在している場合、仮に操作キャップ4がスイッチ孔3の中心線CL1に対し大きく傾いたとすると、操作キャップ4がスイッチ孔3の内周面に引っかかって同操作キャップ4の操作に支障を来すおそれがある。しかし、上記(4)に示すように操作キャップ4におけるスイッチ孔3の中心線CL1に対する傾きは抑制されるため、その傾きに伴って操作キャップ4がスイッチ孔3の内周面に引っかかることはない。
【0041】
なお、上記実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。
・隙間20の大きさについては、必ずしも塵埃を通過させることができる大きさとする必要はない。
【0042】
・操作キャップ4において、スカート部18を省略するとともに、押圧板17の中央を可動部16に接続するようにしてもよい。
・挿入突起15を設ける位置決め部11は一つに限らず、複数の位置決め部11に挿入突起15を設けるようにしてもよい。この場合、スリット6を上記挿入突起15が設けられた位置決め部11に対応するリブ5にそれぞれ形成する。
【0043】
・挿入突起15とスリット6との位置関係を逆にしてもよい。すなわち、挿入突起15をリブ5の内周面からスイッチ孔3の中心線CL1に向けて突出させる一方、壁13にスリット6を形成するようにしてもよい。この場合、位置決め部11(壁13)のスリット6におけるリブ5(挿入突起15)との接触部分が、スイッチ孔3の周方向についての台部材9の位置決めを行う回り止め部として機能する。
【0044】
・突部14を三つ以上設けることを条件に、リブ5及び位置決め部11の数を適宜変更してもよい。
・突部14を壁13の外周面に形成する代わりにリブ5の内周面に形成し、同リブ5の先端を壁13の外周面に接触させることにより、スイッチ孔3の周方向についての台部材9の位置決めを行い、操作キャップ4の中心線CL2とスイッチ孔3の中心線CL1とを一致させるようにしてもよい。この場合、位置決め部11(壁13)におけるリブ5(突部14)との接触部分が、操作キャップ4の中心線CL2とスイッチ孔3の中心線CL1とを一致させるよう構成される当接部として機能する。
【0045】
・スイッチ孔3の周方向について台部材9を位置決めしたとき、必ずしも操作キャップ4の中心線CL2とスイッチ孔3の中心線CL1とを一致させる必要はない。
・スイッチ孔3の周方向についての台部材9の位置決めを行うことは必須ではない。
【0046】
・スイッチ孔3の径方向についての台部材9の位置決めを行うことは必須ではない。
【符号の説明】
【0047】
1…ガーニッシュ、1a…表面、1b…裏面、2…スイッチ、3…スイッチ孔、4…操作キャップ、5…リブ、6…スリット、7…固定プレート、8…スイッチ本体、9…台部材、9a…端面、10…ボルト、11…位置決め部、12…管理面、13…壁、14…突部、15…挿入突起、16…可動部、17…押圧板、18…スカート部、19…係止部、20…隙間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7