【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1) (展示日) 平成28年7月16日〜17日 (展示会名) 日本デンタルショー2016東京 (2) (展示日) 平成28年8月20日〜21日 (展示会名) 2016北海道デンタルショー (3) (展示日) 平成28年9月3日〜4日 (展示会名) 第24回東北デンタルショー (4) (掲載日) 平成28年7月16日 (掲載アドレス) http://www.asahi−xray.co.jp/ http://www.asahi−xray.co.jp/products/solio−x http://www.asahi−xray.co.jp/products/catalog (5) (掲載日) 平成28年7月19日 (掲載アドレス) http://www.asahi−xray.co.jp/news/report/japan−dentalshow−2016tokyo (6) (掲載日) 平成28年8月23日 (掲載アドレス) http://www.asahi−xray.co.jp/news/report/japan−dentalshow−2016hokkaido (7) (掲載日) 平成28年9月6日 (掲載アドレス) http://www.asahi−xray.co.jp/news/report/tohokudentalshow−24th (8) (掲載日) 平成28年7月16日 (掲載アドレス) http://www.asahi−xray.co.jp/ (9) (掲載日) 平成28年9月21日 (掲載アドレス) http://www.asahi−xray.co.jp/news/exhibition/schedule
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
(X線撮影装置10の構成)
以下では、本発明が適用されたチンレストセット100について説明するが、それに先だって、チンレストセット100を有するX線撮影装置10の実施例について図面を用いて説明する。
【0022】
図1は、チンレストセット100が使用された、歯科用のCT撮影を行うX線撮影装置10を示す斜視図である。本明細書では、最初にCT撮影を行うX線撮影装置10を例にして説明し、然る後、パノラマ撮影を行う場合について説明する。もちろん、このX線撮影装置10は耳鼻科用一般撮影などにも使用することができる。
【0023】
X線撮影装置10は、大略、床に載置されるベース12と、ベース12の隅部から鉛直方向に立設された支柱13と、この支柱13に沿って上下動する昇降本体14と、昇降本体14の上端部から水平方向に延びるようにして設けられた保持フレーム16と、保持フレーム16における昇降本体14側とは反対側の端部下面から吊り下げられた旋回アーム18と、昇降本体14の高さ方向における中ほどから保持フレーム16と略平行に延びるようにして設けられた被検者フレーム20と、被検者フレーム20における昇降本体14側とは反対側の端に設けられた被検者保持部材22とを備えている。なお、チンレストセット100は、被検者保持部材22の一部を構成している。
【0024】
旋回アーム18は、下向きに開口する略コ字状に形成されており、一方の下端部側面にはX線照射部24が設けられており、このX線照射部24に対向する他方の下端部側面にはX線検出部26が設けられている。また、旋回アーム18は、保持フレーム16に対して回転するとともにその回転軸が水平移動するようになっている。旋回アーム18は、CT撮影時は回転して撮影を行い、パノラマ撮影時は回転および水平移動して撮影を行う。
【0025】
次に、被検者保持部材22について説明する。
図2は、被検者保持部材22を示す拡大斜視図である。被検者保持部材22は、X線撮影を受ける被検者を保持することによって正確な位置でX線撮影を実施できるようにするものである。本実施例において、被検者保持部材22は、被検者の頭部を保持する頭部保持手段28と、被検者によって把持される一対のグリップ30とで構成されている。なお、グリップ30は、被検者フレーム20の先端両側部から略水平方向外側に突き出すように設けられたグリップ支持部材32によって支持されている。
【0026】
頭部保持手段28は、被検者の頭部を直接的に保持する頭部保持部材34と、被検者の顎が載置されるチンレストセット100とで構成されている。頭部保持部材34は、一対の頭部保持部材用支柱36によって所定の高さ位置で保持されている。本実施例では、頭部保持部材用支柱36の基部は、グリップ30の上面に取り付けられている。なお、頭部保持部材34は、図示するような形式のものに限定されるものではない。また、頭部保持部材用支柱36の基部は、被検者フレーム20に直接取り付けられてもよく、その他の部材に取り付けられてもよい。なお、頭部保持部材34は本発明における必須の構成要素ではなく、チンレストセット100のみで頭部保持手段28を構成してもよい。
【0027】
なお、本明細書では、
図2に示すように、頭部保持手段28に被検者の頭部と固定したときに当該被検者が向く方向を「前」方向、その逆を「後」方向、被検者の右手側を「右」方向、左手側を「左」方向、さらに、X線撮影装置10を設置した床面から離れていく方向を「上」方向、近づいていく方向を「下」方向という。また、昇降本体14側から見た頭部保持手段28を「正面」といい、逆に被検者側から見た頭部保持手段28を「背面」という。
【0028】
(チンレストセット100の構成)
チンレストセット100の構成について、
図2に加えて、
図3および
図4を用いて説明する。
図2は、被検者保持部材22におけるチンレストセット100の位置を示す斜視図である。
図3は、チンレストセット100を斜め上から見おろした分解斜視図である。また、
図4は、チンレストセット100を斜め下から見上げた分解斜視図である。本実施例のチンレストセット100は、被検者フレーム20の先端部上面に取り付けられており、チンレスト150と、規定部材200とを備えている。また、
図1〜
図4には描かれていないが、本発明に係るチンレストセット100におけるチンレスト150は、上述した規定部材200に代えて、バイトブロック250と組み合わせることができる。このバイトブロック250については、チンレスト150および規定部材200の後で説明する。
【0029】
次に、チンレスト150の構成について、
図2〜
図4に加えて、
図5〜
図7を用いて説明する。
図2は、被検者保持部材22における、チンレスト150を含むチンレストセット100の位置を示す斜視図である。
図3は、チンレスト150を斜め上から見おろした斜視図である。
図4は、チンレスト150を斜め下から見上げた分解斜視図である。
図5はチンレスト150を示す正面図である。
図6は、チンレスト150を示す右側面図である。さらに、
図7は、チンレスト150を示す平面図である。
【0030】
チンレスト150は、被検者の顎が載置される本体部152と、被検者フレーム20から本体部152を支持する支持部154と、後述するように規定部材200を保持するための保持部156とを有している。本実施例のチンレスト150は、これら本体部152と支持部154と保持部156とで一体に形成されているが、もちろん、別々に用意した各部を組み合わせてチンレスト150を構成してもよい。
【0031】
本体部152は、略平板状の部分であり、その上面は被検者の顎が載置される顎載置面158となっている。また、この顎載置面158における前側(つまり、被検者が顎載置面158に顎を載置したときにおいて、被検者から遠い側)の端部には、規定部材200の被保持部206(後述)が挿し通される保持用孔160が形成されている。さらに、本実施例の本体部152における顎載置面158における後側(つまり、被検者が顎載置面158に顎を載置したときにおいて、被検者に近い側)の端部には、切欠部162が形成されている。また、本実施例の本体部152は、前側に行くにしたがって幅が狭くなっていくように形成されている(
図7を参照)。これにより、本体部152の顎載置面158は、略ハート形になっている。なお、上述した「切欠部162」や「前側に行くにしたがって幅が狭くなっていく形状」は、本発明における必須の構成要素ではない。
【0032】
また、顎載置面158は、下方に凸の曲面に形成されている(
図5を参照)。さらに言えば、この曲面は、背面視における曲率が一定となるように形成されている。もちろん、顎載置面158が平面であってもよく、また、曲率が一定ではない(位置によって曲率が異なる)曲面であってもよい。
【0033】
支持部154は、上述のように、被検者フレーム20から本体部152を支持するための略円柱状部分であり、その一端が本体部152の下面に取り付けられており、他端部に被検者フレーム20に形成された嵌込穴38に嵌め込まれる嵌込部164が形成されている。嵌込部164は、支持部154の下面に形成された一条の溝166を有している。この溝166は、支持部154の前側の側面下端部から、後側の側面下端部に至る切欠きになっている。図示しないが、被検者フレーム20に形成された、当該支持部154を嵌め込む嵌込穴38の底部には、この溝166と嵌まり合う凸所が形成されている。溝166に凸所が嵌められることにより、チンレスト150が被検者フレーム20に対して不所望に左右方向に回るのを防止することができる。
【0034】
また、本実施例の支持部154は、大径部168と、大径部168よりも上側に位置しており、かつ、大径部168に比べて径がやや小さい小径部170とで構成されているが、これに限定されるものではなく、支持部154を一定径の略円柱に形成するなどしてもよい。さらに、支持部154の側面と本体部152の下面との間には補強板176が設けられており、本体部152に対して支持部154がより強固に取り付けられている。
【0035】
保持部156は、上述のように、規定部材200を保持するための部分であり、本体部152の下面における、顎載置面158に形成された保持用孔160に対応する位置に取り付けられた、略下方に延びる略角筒状部である。保持部156は、略中心部に、規定部材200の被保持部206が挿し通される保持用第二孔172が形成されており、この保持用第二孔172が顎載置面158に形成された保持用孔160と連なることにより、本体部152の厚さよりも深い保持用深孔174が形成されている。なお、保持用第二孔172は、図示するような貫通孔ではなく、底のある穴であってもよい。また、この保持部156も発明の必須構成要素ではなく、本体部152の顎載置面158に形成された保持用孔160のみで規定部材200の被保持部206を保持してもよい。さらに、保持部156を設けない場合において、保持用孔160を貫通孔ではなく底のある穴にしてもよい。
【0036】
規定部材200について、
図2〜
図4に加えて、
図8〜
図10を用いて説明する。
図2は、被検者保持部材22における、規定部材200を含むチンレストセット100の位置を示す斜視図である。
図3は、規定部材200を斜め上から見おろした斜視図である。
図4は、規定部材200を斜め下から見上げた分解斜視図である。
図8は規定部材200を示す正面図である。
図9は、規定部材200を示す右側面図である。さらに、
図10は、規定部材200を示す平面図である。
【0037】
規定部材200は、顎載置面158に被検者が顎を載置する際に当該顎の前側に当接する部材であり、規定部材本体部202と、規定部204と、被保持部206とを有している。本実施例の規定部材200は、これら規定部材本体部202と規定部204と被保持部206とで一体に形成されているが、もちろん、別々に用意した各部を組み合わせて規定部材200を構成してもよい。
【0038】
規定部材本体部202は、規定部材200をチンレスト150に取り付けた際に、顎載置面158の前方寄りに載置される部分であり、その下面208(つまり、顎載置面158に接する面)は、顎載置面158に対してぴったりと接するように、顎載置面158とほぼ同じ曲率で下に凸の曲面になっている(
図8を参照)。もちろん、顎載置面158が平面に形成されている場合には、当該下面208も平面に形成するのが好ましく、また、顎載置面158が、曲率が一定でない曲面で形成されている場合には、同様に、当該下面208が接する部分の曲率に合わせた曲面で形成するのが好ましい。
【0039】
規定部204は、規定部材200をチンレスト150に取り付けた際に、規定部材本体部202における被検者に近い側の端から上方に延びるように設けられた部分である。また、規定部204は、前方(被検者から離れる方向)に凸の曲面であり、被検者の顎(より具体的に言うと、被検者の顎の下端部前方面)と接する顎当接面210を有している。この顎当接面210は、平面視において、一定の曲率で形成されており(
図8を参照)、さらに言えば、顎当接面210を形成する曲率は、想定される被検者の顎の下端部前方面の曲率よりも大きく設定するのが好ましい。
【0040】
規定部204の顎当接面210と、チンレスト150の顎載置面158との関係を、
図11〜
図13を用いて説明する。
図11は、規定部材200をチンレスト150に取り付けた状態を示す平面図である。また、
図12は、規定部材200をチンレスト150に取り付けた状態を示す右側面図である。さらに、
図13は、
図11におけるA−A矢視断面図である。また、チンレスト150に割り振られている参照番号の説明は
図5〜
図7に割り振られている参照番号についての説明を援用し、チンレスト150の説明は省略する。また、規定部材200に割り振られている参照番号の説明は
図8〜
図10に割り振られている参照番号についての説明を援用し、規定部材200の説明は省略する。
【0041】
このように規定部材200をチンレスト150に取り付けた状態において、顎当接面210と顎載置面158とで入隅部212が構成される。入隅部212とは、顎当接面210と顎載置面158とが接合したところの凹んで見える側をいう。そして、本実施例の場合、入隅部212における、顎当接面210と顎載置面158との接合部が角張った「稜線」として把握できるようになっている。
【0042】
図2〜
図4、および、
図8〜
図10に戻る。被保持部206は、チンレスト150の本体部152における顎載置面158に形成された保持用孔160や、保持部156に形成された保持用第二孔172に挿し通される略四角筒状の部分であり、その一端が規定部材本体部202の前方の端部下面に取り付けられている。
【0043】
上述の通り、被保持部206は保持用孔160や保持用第二孔172に挿し通される部分であることから、当該被保持部206の断面形状は、保持用孔160や保持用第二孔172にぴったりと嵌まる形状に設定されている。また、本実施例では、被保持部206の長さは、チンレスト150の本体部152の厚さ(保持用孔160の深さ)に対して保持部156の長さ(保持用第二孔172の深さ)を加えた長さよりも長く設定されているが、これに限定されるものではなく、被保持部206の長さの方が短くなるように設定してもよい。
【0044】
次に、上述した規定部材200に代えてチンレスト150と組み合わせるバイトブロック250について、
図14および
図15を用いて説明する。
図14は、チンレスト150とバイトブロック250とを組み合わせたチンレストセット100を斜め上から見おろした分解斜視図である。また、
図15は、同チンレストセット100の右側面図である。なお、
図14は
図3に対応する図である。また、
図15は
図12に対応する図である。また、チンレスト150に割り振られている参照番号の説明は
図3および
図12に振られている参照番号についての説明を援用し、チンレスト150の説明は省略する。
【0045】
バイトブロック250は、バイトブロック本体部252と被噛部254とを有する、略四角棒を略L字状に曲げて形成したような形状の部材である。
【0046】
バイトブロック本体部252は、チンレスト150に形成された保持用孔160に挿し通されることによって保持部156に保持される部分であり、その断面形状は、保持用孔160や保持用第二孔172にぴったりと嵌まる形状に設定されている。また、本実施例では、バイトブロック本体部252の長さは、チンレスト150の本体部152の厚さ(保持用孔160の深さ)に対して保持部156の長さ(保持用第二孔172の深さ)を加えた長さよりも十分に長く設定されており、後述のように、チンレスト150の顎載置面158に顎を載せた被検者が前歯でバイトブロック250の被噛部254を噛むことができる位置まで被噛部254を顎載置面158から離れた高さ位置で保持できるようになっている。
【0047】
被噛部254は、バイトブロック本体部252の上端から、当該バイトブロック本体部252の長手方向に対して略直交する向きに延びており、上述のように、チンレスト150の顎載置面158に顎を載せた被検者の前歯で噛まれる部分である。そのため、被噛部254における被検者に近い側の端からやや遠い側に離れた位置の上面および下面には、被検者が被噛部254を噛む際の目安になる噛溝256が形成されている。
【0048】
(チンレストセット100の使用方法)
本実施例のチンレストセット100の使用方法について説明する。最初に、バイトブロック250を使用しない場合、例えばCT撮影の際や被検者が無歯顎の場合において、チンレスト150および規定部材200を用いたX線撮影について、
図2、
図3、
図12および
図16を用いて説明する。
図2は、被検者フレーム20に対するチンレストセット100の取付態様を示す図である。
図3は、このチンレストセット100についての分解斜視図である。
図12は、チンレスト150に規定部材200を取り付けて構成したチンレストセット100を示す右側面図である。また、
図16は、このチンレストセット100を用いて被検者をX線撮影する際の右側面図である。なお、
図16に割り振られている参照番号の説明は、
図2に割り振られている参照番号についての説明を援用する。
【0049】
規定部材200の被保持部206を、チンレスト150の保持用孔160およびこれに続く保持用第二孔172(つまり、保持用深孔174)に挿し通していき(
図3を参照)、顎載置面158に対して規定部材本体部202の下面208を接触させることにより、規定部材200をチンレスト150に保持させることができる(
図12を参照)。また、チンレスト150の支持部154における嵌込部164を、被検者フレーム20の嵌込穴38に嵌め込むことにより、チンレストセット100を被検者フレーム20に対して取り付けることができる(
図2を参照)。なお、支持部154の嵌込穴38に対する嵌め込みは、規定部材200をチンレスト150に保持させた後でもよいし、先にチンレスト150を被検者フレーム20に取り付け、然る後、規定部材200をチンレスト150に取り付けてもよい。
【0050】
チンレストセット100を被検者フレーム20の取り付けた状態で、顎載置面158に被検者の顎を載置するとともに、被検者の顎の下端部前面が規定部材200における規定部204の顎当接面210に当たるように被検者の前後位置を調整する(
図16を参照)。これにより、被検者の頭部を正しい位置で保持することができ、ブレが少なく診断しやすいCT画像を得ることができる。
【0051】
次に、チンレスト150およびバイトブロック250を用いてパノラマ撮影用のチンレストセット100とした場合について、
図15および
図17を用いて説明する。
図15は、チンレスト150にバイトブロック250を取り付けて構成したチンレストセット100を示す右側面図である。また、
図17は、このチンレストセット100を用いて被検者をX線撮影する際の右側面図である。なお、
図17に割り振られている参照番号の説明は、
図2に割り振られている参照番号についての説明を援用する。
【0052】
チンレスト150から規定部材200を取り外した後、バイトブロック250のバイトブロック本体部252を、チンレスト150の保持用孔160およびこれに続く保持用第二孔172(つまり、保持用深孔174)に挿し通していき、バイトブロック250の被噛部254が顎載置面158から所定の間隔をあけた位置にきたところでバイトブロック250を保持する。
【0053】
この状態で、顎載置面158に被検者の顎を載置するとともに、被検者の前歯でバイトブロック250の被噛部254を噛むことができるよう被検者の前後位置を調整する。これにより、被検者の頭部を正しい位置で保持することができ、ブレが少なく診断し易いパノラマ画像を得ることができる。
【0054】
本実施例のチンレストセット100では、被検者の顎が当接される顎当接面210が形成された規定部204を有する規定部材200の被保持部206をチンレスト150の顎載置面158に形成された保持用孔160に挿し通すことにより、CT撮影の際に使用できるチンレストセット100を構成できる。また、当該保持用孔160に対して、規定部材200の被保持部206ではなく、バイトブロック250のバイトブロック本体部252を挿し通すことで、パノラマ撮影の際に使用できるチンレストセット100を構成できる。
【0055】
これにより、CT撮影の際に使用するチンレストと、パノラマ撮影の際に使用するチンレストとを別々に用意する必要がなくなり、ひとつのチンレスト150をCT撮影とパノラマ撮影とに兼用できるので、従来のものに比べてコストを低減させることができるとともに、レントゲン室のスペース確保の問題を解消できる。つまり、バイトブロック250を使用する場合、および、使用しない場合の両方で同じチンレスト150を共用することができる。
【0056】
被検者がチンレストに顎を載置した状態を
図18および
図19に示す。
図18は、本実施例のチンレストセット100に被検者が顎を載置した状態を示す、
図11のA−A矢視断面図である。なお、
図18に割り振られている参照番号の説明は、
図13に割り振られている参照番号についての説明を援用する。また、
図19は、従来のチンレストに被検者が顎を載置した状態を示す
図18との対比のための断面図である。なお、
図19における
図13に対応する位置には、
図13に割り振られている参照番号の末尾に「a」を付した参照番号を割り振っている。本実施例のチンレストセット100では、チンレスト150の顎載置面158に形成された保持用孔160に、規定部材200の被保持部206が挿し通されて保持された状態において、顎載置面158と規定部材200の顎当接面210とで構成される入隅部212は稜線が形成されるように角張っているので、この
図18に示すように、被検者の顎は顎載置面158と顎当接面210との2点でチンレストセット100に接することになる。もし、顎載置面158と規定部材200の顎当接面210とで構成される入隅部212が角張っておらず稜線が形成されていない場合、
図19に示すように、被検者の顎は顎載置面158と顎当接面210との境部分のアール部でのみ接するおそれがある。本実施例のチンレストセット100のように、被検者の顎が2点で接するようにすれば、被検者の頭部をより安定して保持できるようになる。なお、上述のように、顎載置面158と規定部材200の顎当接面210とで構成される入隅部212に稜線が形成されるように角張らせる場合は、チンレスト150と規定部材200とを互いに一体的に形成してチンレストセット100を構成してもよい。
【0057】
本実施例のチンレストセット100に被検者が顎を載置した状態を
図20に示す。
図20は同状態を示す背面図である。なお、
図20に割り振られている参照番号の説明は、
図12に割り振られている参照番号についての説明を援用する。本実施例のチンレストセット100では、顎載置面158は下方に凸の曲面に形成されているので、
図20に示すように、被検者の顎(被検者の顎の外形は点線で示されている)は、その中心から左右方向にやや離れた2点で顎載置面158に支えられることになり、被検者の顎の左右方向中心における下端と顎載置面158との間に隙間が生じることになる。これに加えて、顎載置面158における被検者に近い側の端部(後方端部)には切欠部162が形成されている。以上のことから、本実施例のチンレストセット100によれば、被検者の顎の下端から頸に至る部分がチンレスト150に触れることによって被検者に不快感を与える可能性を低減できる。なお、上述のように、顎載置面158を下方に凸の曲面に形成する場合は、チンレスト150と規定部材200とを互いに一体的に形成してチンレストセット100を構成してもよい。
【0058】
被検者がチンレストに顎を載置した状態を
図21および
図22に示す。
図21は、本実施例のチンレストセット100における規定部材200に被検者の顎を当接させた状態を示す平面図である。なお、
図21に割り振られている参照番号の説明は、
図11に割り振られている参照番号についての説明を援用する。また、
図22は、従来のチンレストに被検者の顎を当接させた状態を示す、
図21との対比のための平面図である。なお、
図22における
図11に対応する位置には、
図11に割り振られている参照番号の末尾に「b」を付した参照番号を割り振っている。本実施例のチンレストセット100では、規定部材200の規定部204における顎当接面210の曲率を、想定される被検者の顎の下端部前方面の曲率よりも大きく設定しているので、
図21に示すように、被検者の顎(被検者の顎の外形は点線で示されている)は、その中心から左右方向にやや離れた2点で顎当接面210に接することになる。顎当接面の曲率が想定される被検者の顎の下端部前方面の曲率よりも小さい場合、
図22に示すように、被検者の顎(被検者の顎の外形は点線で示されている)が顎当接面210と1点でのみ接するおそれがある。本実施例のチンレストセット100のように、被検者の顎が顎当接面210と2点で接するようにすれば、被検者の頭部をより安定して保持できるようになる。なお、上述のように、規定部204における顎当接面210の曲率を、想定される被検者の顎の下端部前方面の曲率よりも大きく設定する場合は、チンレスト150と規定部材200とを互いに一体的に形成してチンレストセット100を構成してもよい。
【0059】
(変形例1)
上述した実施例では、チンレスト150の顎載置面158に形成された保持用孔160や保持部156に形成された保持用第二孔172の断面形状は、四角形状に形成されているが、これに限定されるものではなく、三角形状や五角形状など角形であればどのようなものでもよい。もちろん、これらの断面形状に合わせて規定部材200の被保持部206の断面形状やバイトブロック250のバイトブロック本体部252の断面形状も決められる。
【0060】
また、保持用孔160や保持用第二孔172の表面に
図23に示すような凸部300を形成してもよい。
図23は、凸部300が形成された保持用孔160や保持用第二孔172を示す断面図である。このような凸部300を形成することにより、凸部300が形成された位置において保持用孔160を実質的に小さくすることができるとともに、製造上、完全に同じ大きさで形成するのが難しい保持用孔160と保持用第二孔172と間の大きさの差をより少なくできるので、規定部材200の被保持部206やバイトブロック250のバイトブロック本体部252をより強く、かつ、精度よく保持することができる。なお、凸部300の形状は、図示するような断面が略半円状のものに限定されず、例えば、断面が角形であってもよい。また、凸部300は、保持用孔160や保持用第二孔172の長手方向に沿って延びる畝状のものであってもよい。
【0061】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。