(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図を用いて本発明の一実施形態に係るベルト型電極10について説明する。
図1に示すように、本実施形態のベルト型電極10は、帯状電極部材12、バックル14、及び固定部材16を含んで構成されている。
【0025】
(帯状電極の構成)
帯状電極部材12は、一定厚さ、及び一定幅に形成された柔軟弾性体、より具体的にはゴム製の帯状体18を備え、帯状体18の片面には、一定厚さ(薄肉)及び一定幅に形成された帯状の金属電極板20が接着剤等を用いて貼り付けられ、全体として可撓性を有する。
【0026】
本実施形態の金属電極板20は、帯状体18よりも幅狭に形成されており、帯状体18の幅方向の端縁よりも内側に貼り付けられている。金属電極板20の材料は、導電性に優れた銅、ステンレススチール等を用いることができるが、導電性を有すれば、特に制限されるものでは無く、腐食し難い材料が好ましい。金属電極板20の厚さ及び幅は、曲げることが容易となれば、特に制限されるものでは無いが、例えば、腕等の測定対象部位に容易に巻き付けることができる厚さ及び幅に設定されていれば良い。なお、本実施形態の金属電極板20には、厚さ0.05mm、幅10mmのステンレス板が用いられている。
【0027】
帯状体18の材料は、ゴム等を用いることができるが、柔軟性及び可撓性を有すれば、特に制限されるものでは無く、消毒用のアルコールや薬品等に対して耐久性のあるものが好ましい。なお、本実施形態の帯状体18にはゴムが用いられている。
本実施形態の帯状電極部材12は、帯状体18の片面に帯状の金属電極板20を貼り付けたものであるが、本発明はこの構成に限定されるものでは無く、帯状電極部材12を導電性の単一部材、例えば、導電性のゴムで構成することもできる。
【0028】
(バックルの構成)
バックル14は、帯状電極部材12の長手方向中間部に移動可能に設けられる移動バックル24と、帯状電極部材12の長手方向の一端部に取り付けられる固定バックル26とを含んで構成されている。
【0029】
(移動バックル)
図1、及び
図2に示すように、移動バックル24の上下方向中間部には、上側と下側に2つの孔を有する。具体的には、矢印F方向及び矢印B方向に貫通し、断面が矩形状である引掛け部挿入孔28が上側(矢印U方向側)に形成され、矢印F方向及び矢印B方向に貫通し、断面が矩形状である電極部材挿通孔30が下側(矢印D方向側)に形成されている。
【0030】
電極部材挿通孔30の内部には傾倒部材32が配置されている。
図2、及び
図3(A)に示すように、電極部材挿通孔30の底面には、電極部材挿通孔30の長手方向の中間部に、突起34が形成されている。
【0031】
一方、傾倒部材32の下面には、突起34が挿入される凹部36が形成されている。そして、傾倒部材32は、電極部材挿通孔30の内部で突起34と凹部36との係合部分を中心として矢印C方向及び矢印C方向とは反対方向に揺動可能となっている。
【0032】
図2に示すように、電極部材挿通孔30には、傾倒部材32と電極部材挿通孔30の天井面との間の隙間に、帯状電極部材12が挿通されている。傾倒部材32の上面には、突起34よりも矢印F方向側に逆戻り防止突起38が形成されている。
図3(B)に示すように、逆戻り防止突起38は、矢印B方向側が傾倒部材32の上面に対して小さな角度で傾斜した斜面38Aとされ、矢印F方向側が傾倒部材32の上面に対して垂直な垂直面38Bとされている。
【0033】
移動バックル24には、電極部材挿通孔30の下側に、第1の凹部40が形成されており、第1の凹部40には、第1の磁石42を組み込んだ第1の磁石取付板44が挿入されている。
図1(B)に示すように、第1の磁石取付板44は、ビス46で移動バックル24に固定されている。
【0034】
図2に示すように、移動バックル24の下面は、後述する離間冶具98の係止部材102(
図5(B)参照)を係止するための移動バックル側離間冶具係止面48とされている。移動バックル側離間冶具係止面48には、後述する係止部材102の係合用突起106を挿入するための係止用凹部52が形成されている。
【0035】
また、移動バックル24には、引掛け部挿入孔28の上側に、第2の凹部53が形成されており、第2の凹部53には、第2の磁石54を組み込んだ第2の磁石取付板56が挿入されている。第2の磁石取付板56は、ビス(図示せず)で移動バックル24に固定されている。移動バックル24の上面は、固定部材16を係止する固定部材係止面58とされている。
【0036】
(固定バックル)
図2、及び
図4に示すように、固定バックル26は、本体部60と、カバー62とを含んで構成されている。
本体部60には、矢印B方向側に、帯状電極部材12を固定するビス64を捩じ込むビス穴65、カバー62を取り付けるビス66を捩じ込むビス穴68の形成された円柱状のボス70、配線コード72を巻き掛けるピン74等が形成されている。
【0037】
本体部60には、帯状電極部材12の長手方向の一端部が矢印D方向から挿入されている。帯状電極部材12は、帯状電極部材12を貫通させたビス64を本体部60に形成されたビス穴65に捩じ込むことで固定されている。
【0038】
本体部60の上部には、ゴムブッシュ76が取り付けられており、ゴムブッシュ76に配線コード72の一端側が挿通している。
図4に示すように、本体部60の内部に挿入された配線コード72は、本体部60から引き抜かれないようにボス70及びピン74に巻き掛けられている。配線コード72の導線72Aは、帯状電極部材12の金属電極板20に半田付け等で接続されている。
図1に示すように、配線コード72の他端には、後述する本体ユニット118(
図1では図示せず)と接続するためのコネクタ78が接続されている。なお、導線72Aと金属電極板20とは、半田付けで接続する他に、例えば、配線コード72の導線72Aにラグ端子を付け、ラグ端子を金属電極板20と本体部60との間にビス64によって挟み込むことによって接続することもでき、他の公知の方法で接続することもできる。
【0039】
図4に示すように、本体部60の矢印B方向側にカバー62を配置し、カバー62の孔80を挿通させたビス66をボス70のビス穴68に捩じ込むことで、本体部60にカバー62が取り付けられる。
【0040】
図1に示すように、本体部60の矢印F方向側の側部には、矢印F方向側に向けて延びる、一対の係止片82と、一対の係止片82の間に配置される柱状部84とが形成されている。
【0041】
係止片82は、弾性変形して撓む梁部88が本体部側に形成されており、梁部88の先端側には、テーパー形状の爪部90が形成されている。爪部90は、梁部88側が梁部88よりも幅広で、先端に向けて幅狭に形成されている
【0042】
図1に示すように、一対の係止片82を移動バックル24の引掛け部挿入孔28に向けて矢印F方向に移動すると、係止片82は、爪部90の傾斜した外側部が引掛け部挿入孔28の孔側面に摺動しながら挿入され、かつ一対の梁部88が互いに接近する方向に撓む。そして、爪部90が引掛け部挿入孔28を通り越すと、撓んでいた一対の梁部88が互いに離間する方向に移動して挿入前の元の状態に戻る。これにより、係止片82の爪部90が引掛け部挿入孔28の開口部分に引っ掛かり(
図4参照)、係止片82の引掛け部挿入孔28からの抜けが阻止され、固定バックル26が移動バックル24に固定される。
【0043】
なお、固定バックル26を移動バックル24から取り外す場合には、一対の爪部90を互いに接近する方向に掴んで梁部88を撓ませて引掛け部挿入孔28の開口部分に対する爪部90の引っ掛かりを解除し、係止片82を引掛け部挿入孔28から引き抜けば良い。
【0044】
図2に示すように、固定バックル26のカバー62の内部には、第3の磁石92が取り付けられている。カバー62は、第3の磁石92の取り付けられている部分の外面が、後述する離間冶具98の係止部材102(
図5(B)参照)を係止するための固定バックル側離間冶具係止面94とされている。固定バックル側離間冶具係止面94には、後述する係止部材102の係合用突起106を挿入するための係止用凹部96が形成されている。
【0045】
図1に示すように、固定部材16は合成樹脂で矩形状に形成されており、内部に第4の磁石97が埋設されている。
【0046】
(離間冶具)
次に、
図5(B)にしたがって、離間冶具98を説明する。
離間冶具98は、可撓性を有する紐状部材100の両端部に、係止部材102を取り付けたものである。本実施形態の紐状部材100は、例えば、合成繊維等からなる紐であるが、可撓性を有する長尺状の部材であれば良く、糸、あるいは細いロープやベルト等であっても良い。
【0047】
係止部材102は、合成樹脂で形成されており、内部には第5の磁石104が埋設されている。また、係止部材102の片面には、移動バックル24の係止用凹部52(
図2参照)、及び固定バックル26の係止用凹部96(
図2参照)に係合可能な係合用突起106が形成されている。
【0048】
したがって、係止部材102を移動バックル24の移動バックル側離間冶具係止面48に近接させ、係合用突起106を係止用凹部52に係合すると、移動バックル24の第1の磁石42と係止部材102の第5の磁石104との間で発生する吸引力により、係止部材102を移動バックル側離間冶具係止面48に係止させることができる(
図5(A)参照)。
【0049】
また、係止部材102を固定バックル26の固定バックル側離間冶具係止面94に近接させ、係合用突起106を係止用凹部96に係合すると、固定バックル26の第3の磁石92と係止部材102の第5の磁石104との間で発生する吸引力により、係止部材102を固定バックル側離間冶具係止面94に係止させることができる(
図5(A)参照)。
【0050】
(本体ユニット)
次に、
図6及び
図9にしたがって、身体の生体インピーダンスを測定する際に用いる本体ユニット118を説明する。
図6に示すように、本体ユニット118は、外観上に、表示部121と、入力部122とを備える。入力部122は、設定キー122aと、アップキー122bと、ダウンキー122cと、スタートキー122dとを含む。ここで、アップキー122b及びダウンキー122cは、情報の選択や数値の切り替えを行い、設定キー122aは、選択した情報や切り替えた数値の設定をする。本実施形態では、設定キー122a、アップキー122b及びダウンキー122cを操作することにより、被測定者の性別、年齢、身長等の身体特定情報の入力が可能となっている。スタートキー122dは、一連の測定のために本体ユニット118に対して電力供給を開始させたり、測定を開始するための手段である。なお、図示は省略するが、本体ユニット118に外部機器(例えば、スマートフォンなどの携帯端末、パーソナルコンピュータなど)と通信可能とするインターフェースを設け、外部機器とのデータの通信、外部機器側からの操作等を行っても良い。
【0051】
また、本体ユニット118には、一方のベルト型電極10のコネクタ78を接続する電圧入力部124、電流印加電極126の配線コード128に設けられたコネクタ130を接続する電流入力部132が設けられている。なお、コネクタ78は電圧入力部124に対して着脱自在であり、コネクタ130は電流入力部132に対して着脱自在となっている。
【0052】
表示部121は、本体内部に備えられた演算処理手段である後述する制御部201から送られてくるデータを表示するためのデータ表示手段であって、主として被測定者の各種生体情報の表示や操作の案内表示などを行う。入力された被測定者の生体情報や設定事項は、後述する記憶部208に記憶させたり、表示部121に表示されるようになっている。
【0053】
図9は、本実施形態に係る本体ユニット118の概略構成を示すブロック図である。
図9に示すように、本体ユニット118は、前述の表示部121、入力部122の他、電圧測定部202と、A/D変換部203と、電流発生部204と、記憶部208と、演算部210と、電源部205と、制御部201とを備える。
【0054】
制御部201は、CPUやDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサの演算処理装置であり、各機器と電気的に接続されて各動作を制御して、生体インピーダンスの測定や体重の測定など、種々の処理を行う。この制御部201には、記憶部208、表示部121、入力部122、演算部210、電源部205、A/D変換部203、電流発生部204等が接続される。
【0055】
記憶部208は、入力部122によって入力される性別、身長、年齢などの身体特定情報、測定データ及び演算結果等を一時的に格納する。また、記憶部208は、装置の制御用プログラム、予め設定した生体電気インピーダンスに関する演算式又は判別プログラム、及び生体電気インピーダンス測定時に印加する交流電流の周波数等を格納する。さらに、記憶部208は、組織状態に関する指標を算出するための演算プログラムや、生体インピーダンスの比である指標の値に応じて筋発達・筋萎縮の程度を評価する判定プログラム等が格納されている。
【0056】
電流発生部204は、一方の電流印加電極126と他方の電流印加電極126との間に流れる交流電流を出力する手段である。電流発生部204は、基準電流検出部、交流電流印加部及び周波数設定部を備えている。制御部201は、周波数設定部を制御し、予め決められた周波数を設定する。また、基準電流検出部は、被測定者に流れる電流を検出して、基準電流検出信号として交流電流印加部に出力する。交流電流印加部は、前記基準電流検出信号に基づく電流値を有し、前記設定された周波数の交流電流を生体インピーダンス測定電極に印加する。この交流電流が一対の電流印加電極126により被験者に印加される。
【0057】
本実施形態では、電流発生部204から出力される交流電流の周波数は、測定目的に応じて複数の値に設定可能であり、例えば、生体インピーダンス測定や筋量測定の際には50kHzに設定される。
【0058】
電圧測定部202は、一方のベルト型電極10の金属電極板20と他方のベルト型電極10の金属電極板20との間の電圧を測定する手段である。電圧測定部202により測定されたアナログの電位差信号は、A/D変換部203においてデジタル信号に変換され、制御部201に入力される。
【0059】
電源部205は、生体インピーダンス測定装置1の電気系統各部に電力を供給する手段である。
【0060】
演算部210は、生体電気インピーダンスの算出など、種々の演算処理を行うモジュールであり、本実施形態においては、筋量を評価する機能として生体インピーダンス測定部210bと、筋量評価部210cとを備えている。
【0061】
生体インピーダンス測定部210bは、電流発生部204から印加した交流電流と電圧測定部202により検出した電圧に基づいて生体インピーダンスを求める。また、筋量評価部210cは、生体インピーダンス測定部210bにより求められた生体インピーダンスと入力部122によって入力された性別、身長、年齢などの身体特定情報とに基づいて筋量等を求め、その評価をする。
【0062】
(ベルト型電極10の装着方法)
本実施形態のベルト型電極10は、例えば、身体の測定対象部位の生体インピーダンスを測定する際に用いられる。
図6に示すように、本実施形態のベルト型電極10は、測定対象部位(例えば、身体110の上腕112、大腿114、下腿116等)に一対で装着される。
以下にベルト型電極10を上腕112の測定対象部位に装着する手順の一例及び作用を下記(1)〜(4)にしたがって説明する。
(1) 移動バックル24と固定バックル26とが離れた状態のベルト型電極10を、金属電極板20が上腕112の測定対象部位に向けられるように測定対象部位の一方(例えば、脇の下側)に配置し、
図2に示すように、固定バックル26に移動バックル24を固定する。これにより、帯状電極部材12がループ状に形成され、ループ状に形成された帯状電極部材12の中に上腕112の測定対象部位が挿入された状態となる。
【0063】
(2) 移動バックル24から突出した帯状電極部材12の固定部材16を移動バックル24から離間する方向(矢印F方向)に引張り、帯状電極部材12を移動バックル24に対して相対移動(スライド)し、ループ状とした帯状電極部材12の金属電極板20が上腕112の測定対象部位に密着するようにループ状に形成された帯状電極部材12を縮径して締め込む。なお、帯状電極部材12の固定部材16を矢印F方向側に引っ張ると(
図2参照)、傾倒部材32は電極部材挿通孔30の中で電極部材挿通孔30の天井面と略平行となって逆戻り防止突起38が帯状体18に接触はしても食い込まなくなるので、帯状電極部材12を矢印F方向側に容易に移動することができる。
【0064】
図7には、金属電極板20が上腕112の測定対象部位に密着したループ状に形成された帯状電極部材12が断面図にて示されている。ループ状に形成されている側の帯状電極部材12において、電極部材挿通孔30を挿通して矢印B方向側に出た部分が矢印E方向(ループ長が拡大する方向で、かつ斜め下方)に引っ張られると、傾倒部材32が矢印C方向に揺動して逆戻り防止突起38が帯状体18に食い込み、帯状電極部材12の移動が阻止される。即ち、ループ状に形成されて測定対象部位に装着された帯状電極部材12の緩みが阻止される。
以上により、測定対象部位の一方におけるベルト型電極10の装着が終了する。
【0065】
(3) 次に、上記(1)、(2)と同様にして、上腕112の測定対象部位の他方(肘側)におけるベルト型電極10の装着を行うが、測定対象部位の他方にベルト型電極10を装着する前に、以下のようにして一方のベルト型電極10と他方のベルト型電極10との距離を設定する。
【0066】
a. 例えば、
図8に示すように、一方のベルト型電極10の固定バックル26に設けられた固定バックル側離間冶具係止面94に離間冶具98の一方の係止部材102を係止し、他方のベルト型電極10の固定バックル26に設けられた固定バックル側離間冶具係止面94に離間冶具98の他方の係止部材102を係止する。
【0067】
b. 次に、他方のベルト型電極10を一方のベルト型電極10から離間する方向に移動し、離間冶具98の紐状部材100を一直線状に張った状態とする。これにより、一方のベルト型電極10と他方のベルト型電極10との間隔を、予め設定された計測に必要な所定の距離L(
図8参照)に設定することができる。
【0068】
(4) その後、離間冶具98の紐状部材100が一直線状に張った状態を維持し、他方のベルト型電極10の装着を行う。両方のベルト型電極10の装着を行った後は、離間冶具98を取り外し、取り外した離間冶具98を他の測定部位に別のベルト型電極10を装着する際に用いることができる。
以上のようにして、上腕112の測定対象部位に対して一対のベルト型電極10の装着が終了する。
【0069】
なお、測定対象部位に対して一対のベルト型電極10を装着した後は、
図8に示すように、移動バックル24から突出した帯状電極部材12の固定部材16を、移動バックル24の固定部材係止面58に接触させ、第4の磁石97と第2の磁石54との磁力で固定部材16を固定部材係止面58に係止する。これにより、移動バックル24から突出した余った帯状電極部材12を金属電極板20が内側とされたループ状とすることができ、移動バックル24から突出した余った帯状電極部材12の金属電極板20が身体110に触れることを防止できる。なお、移動バックル24から突出した余った帯状電極部材12の金属電極板20が身体110に接触すると、正しい計測値が得られない場合がある。したがって、移動バックル24から突出した余った帯状電極部材12は、上記の様にループ状として固定することが好ましい。このように、本実施形態のベルト型電極10は、以上のようにして身体の測定対象部位に容易かつ確実に装着することができる。
【0070】
一対のベルト型電極10を装着した後、
図6に示すように、手と足に電流印加電極126を装着する。そして、ベルト型電極10のコネクタ78を本体ユニット118の電圧入力部124に接続し、電流印加電極126のコネクタ130を本体ユニット118の電流入力部132に接続する。
【0071】
本体ユニット118は、一対の電流印加電極126で手と足との間に電流(
図6の2点鎖線で図示)を流し、測定対象部位において一対のベルト型電極10の間の電圧を測定し、上記電圧の値と電流の値とに基づいて生体インピーダンスを得る。また、本体ユニット118では、得られた生体インピーダンスと入力された性別、身長、年齢などの身体特定情報とに基づいて、例えば、筋量、筋質等の身体の組織状態に関する指標を得ることができる。
【0072】
以後、同様にして、他方の上腕112の測定対象部位、左右の大腿114の測定対象部位、左右の下腿116の測定対象部位に一対のベルト型電極10を装着し、生体インピーダンスを得ることができる。
なお、本発明の生体インピーダンス測定装置は、上記ベルト型電極10、本体ユニット118及び電流印加電極126によって構成されている。
【0073】
(まとめ)
本実施形態のベルト型電極10は、上述したように構成されているため以下のような効果を有する。
【0074】
A. 本実施形態のベルト型電極10によれば、固定バックル26を移動バックル24に固定して、ベルト型電極10の一端側を引っ張るだけで、帯状電極部材12を測定対象部位に容易、且つ確実に装着することができる。なお、面ファスナーを用いて長手方向の一端と他端とを係止することでループ状部分を形成して測定対象部位に装着するタイプの電極付きカフでは、装着した後にループ状部分の径を小さく調整するには、一旦、電極付きカフを測定対象部位から外してからやり直さなければならず、装着操作が煩雑となるが、本実施形態のベルト型電極10は、装着後でもループ状とした帯状電極部材12の径を容易に小さくすることができ、金属電極板20を測定対象部位に確実に密着させることができる。また、帯状電極部材12は、金属電極板20を帯状体18よりも幅狭に形成し、帯状体18の幅方向の端縁よりも内側に貼り付けているため、金属電極板20は身体に対して面接触する。
【0075】
B. 帯状電極部材12は、測定対象部位との接触部分を金属電極板20としているので、測定対象部位との接触部分を導電性ゴムとした場合に比較して、電気抵抗が小さく、測定対象部位の生体情報(例えば、生体インピーダンス)を正確、かつ精度良く計測することができる。
【0076】
C. 本実施形態のベルト型電極10では、金属電極板20にステンレス板を用いているが、ステンレス板を薄くしているため帯状電極部材12が曲がり易く、金属電極板20が湾曲した測定対象部位に接触し易い。したがって、金属電極板20と測定対象部位との接触面積を確保し、金属電極板20と測定対象部位との接触不良を抑えることができ、測定対象部位の生体情報(例えば、生体インピーダンス)を正確、かつ精度良く計測することができる。
【0077】
D. 本実施形態のベルト型電極10では、帯状電極部材12の金属電極板20を薄くしているが、金属電極板20に柔軟弾性体であるゴム製の帯状体18が貼り付けられているので、金属電極板20の塑性変形を抑えることができる。
【0078】
E. 離間冶具98を使用した後は、紛失等しないように、例えば、
図5(A)に示すように、一方の係止部材102を固定バックル26の固定バックル側離間冶具係止面94に係止し、他方の係止部材102を移動バックル24の移動バックル側離間冶具係止面48に係止することができる。
【0079】
[その他の実施形態]
上記実施形態では、離間冶具98の長さが1種類であったが、測定対象部位の違いや、測定対象者の身体の大きさ等に応じて、長さの異なる複数種類の離間冶具98を用意しておくこともできる。
上記実施形態では、ベルト型電極10を電圧を測定するために用いたが、電圧を印加する等、他の用途に用いることも出来る。