特許第6518970号(P6518970)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6518970
(24)【登録日】2019年5月10日
(45)【発行日】2019年5月29日
(54)【発明の名称】防犯装置
(51)【国際特許分類】
   G08B 15/00 20060101AFI20190520BHJP
   E05G 5/02 20060101ALI20190520BHJP
【FI】
   G08B15/00
   E05G5/02
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-200250(P2016-200250)
(22)【出願日】2016年10月11日
(65)【公開番号】特開2018-63487(P2018-63487A)
(43)【公開日】2018年4月19日
【審査請求日】2018年2月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】514142429
【氏名又は名称】宗教法人立善寺
(73)【特許権者】
【識別番号】514142430
【氏名又は名称】菊田 貫俊
(74)【代理人】
【識別番号】100166039
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 款
(72)【発明者】
【氏名】菊田 貫俊
【審査官】 塩澤 如正
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−312862(JP,A)
【文献】 特開2004−329212(JP,A)
【文献】 特開2000−110441(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3178301(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 13/00 − 31/00
A01M 1/00 − 99/00
E05G 1/00 − 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
防犯スペースへの侵入者の身体または被服に引っ掛かることが可能なフックと、
前記フックを具備する線状部材と、
前記線状部材を巻き取り・繰り出し可能に具備する回転部材と、
防犯スペースの上部に設けられ、前記回転部材が防犯スペースから見えないよう遮蔽するための遮蔽部材と、
前記遮蔽部材に形成されており、防犯スペースに向かって前記線状部材を通すための貫通孔またはスリットと、を有する防犯装置。
【請求項2】
さらに、
前記回転部材を回転させるためのモータと、
前記モータの動作を制御するための制御手段と、
前記モータを自動的に駆動させるためのタイマーと、を具備しており、
前記タイマーに予め入力した防犯機能開始時間が到来すると、前記制御手段はモータを制御して、フックを具備する線状部材が回転部材から繰り出すように該回転部材を回転させ、
前記タイマーに予め入力した防犯機能終了時間が到来すると、前記制御手段はモータを制御して、フックを具備する線状部材を回転部材が巻き取るように該回転部材を回転させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の防犯装置。
【請求項3】
侵入者を感電させるための電流を前記フックおよび前記線状部材に流すための通電手段を更に具備しており、
前記フックおよび前記線状部材は、接触した侵入者が感電するように導電性材料で構成されている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の防犯装置。
【請求項4】
前記回転部材の外周面には、前記線状部材を所定の部位で巻き取るためのリング状の溝が形成されている、ことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の防犯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗や美術館などの防犯対策が必要な各種施設に設ける「防犯装置」に関するものであり、具体的には、侵入窃盗の防止や侵入者の身柄確保などに貢献することが可能な防犯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
店舗や美術館などの各種施設に設ける防犯装置としては、例えば、赤外線センサーや磁気センサーなどを利用した通報装置が警備会社などから提供されている。
【0003】
このような通報装置からなる防犯装置は、店舗等への侵入を赤外線センサーや磁気センサーによって感知すると同時に、警備会社に自動的に通報を行う。店舗等の防犯装置からの通報を受信した警備会社は、警備員を急行させるとともに数分〜十分程度で通報現場に到着させ、窃盗の有無について確認して金品や備品等を保護し、必要に応じて侵入者を通報現場で取り押さえるようになっている。
【0004】
しかしながら、従来から提供されている防犯装置は、不法侵入の感知から警備員や警察官の到着までに、一定の時間(数分〜十分程度)を要する。一方、近年みられる侵入窃盗の傾向としては、店舗が無人になっている時間帯(夜間や明け方)に店舗に侵入し、ガラスケースや金庫などを破壊して、数分間で特定のものだけ(例えば選定された高価な金品だけ)を窃盗し、警備員や警察官が到着する前に現場から逃亡するといったケースが増加している。
【0005】
したがって、「侵入」「窃盗」「逃亡」といった一連の行為が、数分〜十分程度の短時間で実行される場合には、従来の防犯装置では警備員等の到着が間に合わないため、犯罪を抑止することができない。そのため、従来の防犯装置は、侵入窃盗などの犯罪を抑止する手段としては不十分なものであった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来技術の問題点に鑑み、本発明の目的は、従来よりも犯罪抑止効果の高い新たな防犯装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、
防犯スペースへの侵入者の身体または被服に引っ掛かることが可能なフックと、
前記フックを具備する線状部材と、
前記線状部材を巻き取り・繰り出し可能に具備する回転部材と、
防犯スペースの上部に設けられ、前記回転部材が防犯スペースから見えないよう遮蔽するための遮蔽部材と、
前記遮蔽部材に形成されており、防犯スペースに向かって前記線状部材を通すための貫通孔またはスリットと、を有する防犯装置によって達成される。
【0008】
上記防犯装置は、さらに、
前記回転部材を回転させるためのモータと、
前記モータの動作を制御するための制御手段と、
前記モータを自動的に駆動させるためのタイマーと、を具備してもよく、
その場合には、
前記タイマーに予め入力した防犯機能開始時間が到来すると、前記制御手段はモータを制御して、フックを具備する線状部材が回転部材から繰り出すように該回転部材を回転させ、
前記タイマーに予め入力した防犯機能終了時間が到来すると、前記制御手段はモータを制御して、フックを具備する線状部材を回転部材が巻き取るように該回転部材を回転させる。
【0009】
また上記防犯装置は、さらに、侵入者を感電させるための電流を前記フックおよび前記線状部材に流すための通電手段を具備していてもよく、その場合、前記フックおよび前記線状部材は、接触した侵入者が感電するように導電性材料で構成される。
【0010】
また上記防犯装置が具備する回転部材の外周面には、前記線状部材を所定の部位で巻き取るためのリング状の溝が形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の防犯装置において、回転部材から繰り出される線状部材には、例えば釣り針の様なフックがぶら下げてあり、この線状部材は、防犯スペース(防犯対策を必要とする店舗等の室内空間、例えば貴金属等が並べられた店舗スペース)に向かって回転部材から繰り出される。釣り針状のフックは、防犯スペースへの侵入者の身体や被服に引っ掛かるように線状部材にぶら下げてある。したがって、店舗等が無人の時間帯に、仮に何者かが侵入したとしても、線状部材にぶら下げてあるフックによって、警備員や警察官が到着するまでの数分〜十分程度のあいだ、当該侵入者が身動きできないように身体を拘束して、「窃盗行為」や「逃亡」を抑止することができる。
また、本発明において、線状部材を備える回転部材は、防犯スペースの天井部に設けられた遮蔽部材によって、防犯スペース(来客者等がいる店舗等の室内)から見えないように、または見えにくいように覆い隠されている。したがって、例えば店舗スタッフがいる営業時間帯に、侵入窃盗を企てる者が来客者を装って密かに下見(犯行計画を練るための事前の下見)を行っても、防犯装置の存在およびその詳細を把握することができない(回転部材等が遮蔽されているため)。したがって、侵入窃盗を企てる者による事前の下見(防犯装置をかいくぐるような事前対策)、すなわち、防犯装置を考慮した犯行計画の企てを妨げることができる。
【0012】
また本発明の防犯装置において、タイマーに予め入力した防犯機能開始時間が到来すると、制御手段は自動的にモータを制御して、フックを具備する線状部材が回転部材から繰り出すように該回転部材を回転させる。これにより防犯装置は、自動的に警戒モード(警戒状態)にセットされる。警戒モード(警戒状態)では、フックを具備する線状部材が回転部材から防犯スペースへ繰り出されて店舗等への不法侵入を抑止し、また、その状況下で仮に何者かが不法に侵入した場合には、当該侵入者が自由に動けないようにフックによってその身柄を拘束する。フックによって身柄が拘束された侵入者は、自由に動けないため、窃盗に及ぶことができず、また、その場から逃亡することもできない。
また、タイマーに予め入力した防犯機能終了時間が到来すると、制御手段は自動的にモータを制御して、フックを具備する線状部材を回転部材が巻き取るように該回転部材を回転させる。すなわち、前述した警戒モードが自動的に解除され、防犯装置は、非警戒モード(非警戒状態)にセットされる。非警戒モード(非警戒状態)では、フックを具備する線状部材が天井裏の回転部材に巻き取られているので、何者であっても、店舗等の防犯スペースに自由に出入りすることができ、また防犯スペースにおいて自由に動き回ることができる。つまり、防犯装置は、非警戒モード(非警戒状態)では、実質的には防犯装置として機能しない。
このように、本発明によればタイマーが作動することによって、例えば夜間や明け方などの無人の時間帯に限って、防犯装置を自動的に作動させることができる。また、それ以外の時間帯(営業時間)では、防犯装置を自動的に解除するので、店舗スタッフや来客者が侵入者として扱われることを防止することができる。
【0013】
また本発明の防犯装置では、侵入者を感電させるための電流をフックや線状部材に流すための通電手段を更に具備しており、また、フックや線状部材は、接触した侵入者が感電するように導電性材料で構成されている。したがって、店舗等への不法侵入者に対して電気ショックが加えられ、当該侵入者が身動きできないように(窃盗や逃亡ができないように)身柄を確実に拘束することができる。
また、例えば釣り針の如く、フック先端部にかえしを設けることで、フックを容易に外すことができなくなり、侵入者の動きを拘束するための電気ショックを継続的に加えることが可能になり、当該侵入者の逃亡等を確実に防止することができる。
【0014】
また本発明の防犯装置では、回転部材の外周面にはリング状の溝が形成されていて、巻き取る線状部材を当該溝の内側に収めることができるようになっている。これにより、フックをぶら下げた線状部材を、回転部材の所定部位で巻き取られることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る防犯装置が作動している状態を示す概略斜視図(透視図)である。
図2図2(a)は、警戒モードにセットされた状態の防犯装置を示す側面図であり、図2(b)は、非警戒モードにセットされた状態の防犯装置を示す側面図である。
図3】本発明に係る防犯装置のワイヤー(線状部材)に設けられたフックを示す側面図である。
図4】防犯装置が警戒モードにセットされた状態で、何者かが防犯スペースに侵入したときの様子を示す図であって、図2(a)は、防犯装置のフックによって侵入者の身体を拘束した状態を示す側面図であり、図2(b)は、防犯装置のフックに侵入者が接触して感電した状態を示す側面図である。
図5】本発明に係る防犯装置の機能的構成を示す図である。
図6】本発明に係る防犯装置の機能的構成の別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る防犯装置は、店舗や美術館などの防犯対策が必要な各種施設に設ける「防犯装置」に関するものであり、具体的には、侵入窃盗の防止や侵入者の身柄確保などに貢献することが可能な防犯装置に関するものである。
【0017】
(防犯装置の機械的構成)
はじめに、図1図5に基づいて、防犯装置の機械的構成について説明する。
【0018】
図1図5に示すように、本実施形態に係る防犯装置は、
・侵入者の身体や被服に引っ掛かることが可能な釣り針状の複数のフック3と、
・フック3,3…をぶら下げている複数のワイヤー5(線状部材)と、
・ワイヤー5を巻き取り・繰り出し可能に具備する、天井裏の回転部材7と、
・回転部材7を正転方向・逆転方向に回転させるためのモータ9と、
・天井下の防犯スペースから見えないように回転部材を隠す遮蔽部材13(天井)と、
・遮蔽部材13に形成されており、防犯スペースに向かってワイヤー5を通すための貫通孔15等を有している。
【0019】
フック3は、防犯スペースへの侵入者(侵入窃盗を企てる者など)の身体や被服に引っ掛かることができるように釣り針状の部材で構成されており、その先端には、釣り針と同様の「かえし部4」が設けられている。このフック3は身体拘束部材(侵入者が自由に動けなくなるようにその身体を拘束する部材)として機能するものであり、図1に示すように、ワイヤー5(線状部材)の下端およびその途中にぶら下げてある。
【0020】
なお、この出願で「防犯スペース」とは、侵入窃盗や強盗などの犯罪を防止すべき場所であって、警備や監視の対象となる空間である。例えば、貴金属などを取り扱う店舗などの場合には、窃盗の対象となる当該貴金属や現金などが置かれた場所(室内空間)などが防犯スペースである。また例えば、現金を取り扱う金融機関などの場合には、窃盗対象である当該現金が置かれた場所や大型金庫(室内空間)などが防犯スペースである。
【0021】
各ワイヤー5は、図1に示すように、前述したフック3を複数ぶら下げている。このワイヤー5は、線状部材の一例であって、本実施形態では金属製の導電性部材で構成されている。また、本実施形態では図1に示すように、当該フック3が、ワイヤー5に沿って間隔をおいて複数設けられ、最も下にあるフックは床との間にわずかな隙間をあける位置に取り付けられており、また、最も上にあるフックはヒトの背丈ほどの高さに位置するように取り付けられている。
【0022】
なお、ワイヤー5にぶら下げてある複数のフック3,3…は、そのすべての先端側が、防犯スペースの入口を向くように取り付けられていてもよく、あるいは、一方向だけでなく、防犯スペースのあらゆる方向を向くように取り付けられていてもよい。
【0023】
シャフト状の回転部材7は、上述したワイヤー5を複数本具備し、また各ワイヤー5を巻き取り・繰り出し可能に具備している。この回転部材7の外周面には、図5に示すように、ワイヤー3を(回転部材7の軸方向に沿って位置ズレしないように)所定の部位で巻き取るためのリング状の溝17が形成されている。回転部材7を回転させてワイヤー5を巻き取る際には、ワイヤー5はこの溝17の内側に収まるように巻き取られる。
【0024】
上記構成のシャフト状回転部材7は、図1及び図2に示すように、遮蔽部材13(天井部材)の裏側において平行に複数本設けられている。回転部材7の回転動力は、図5に示すようにモータ9から与えられる。モータ9の回転軸(出力軸)に連結された一の回転部材を回転させると、その動力がベルト・プーリ等を介して、横並びの他の回転部材7に伝達する。したがって、モータ9を駆動させれば、すべての回転部材7が連動し、同じ方向に同時に回転する。すなわち、すべての回転部材7からワイヤー5,5…を同時に繰り出すことができ、また、同時に巻き取ることができる。
【0025】
図2(a)には、店舗等の防犯スペースに向かってワイヤー5が繰り出された様子が示されている。同図に示すように、ワイヤー5が繰り出された状態では、フック3をぶら下げた当該ワイヤー5は、防犯スペース内で縦方向で張り巡らされた状態にある。すなわち、多数本のワイヤー5が、防犯スペースを埋め尽くすように、天井から床面に向かってぶら下がっている。そして、最も下に位置するフックは、床との間に隙間を空けている。
また、図2(b)には、繰り出されていたワイヤー5が回転部材7によって巻き取られた状態が示されている。同図に示すように、ワイヤー5が巻き取られた状態では、当該ワイヤー5は遮蔽部材13の裏側(天井裏)に隠れて見えなくなるため、防犯スペースからその存在を把握することができない。なお、ワイヤー5が巻き取られた状態では、当該ワイヤー5は、回転部材7の溝17の内側に収まっている。
【0026】
モータ9の回転軸は、図5に示すように、絶縁部材を介して回転部材7に連結されている。すなわち、回転部材7の回転動力はモータ9から与えられる。モータ9の回転軸に連結された一の回転部材7を回転させると、その動力がベルト・プーリ等を介して、他の回転部材7に伝達する。したがって、モータ9を駆動させれば、すべての回転部材7が同時に回転し、モータ9を停止させれば、すべての回転部材7が同時に停止する。なお、モータ9を駆動させるための電力は、店舗等の電源設備からとることができる。
【0027】
遮蔽部材13は、防犯スペースの上部に設けられる天井部材であるとともに、主として回転部材7が防犯スペースから見えないよう遮蔽するための役割を担う。この遮蔽部材13(天井部材)には、図5に示すような貫通孔15が複数形成されている。この貫通孔15は、防犯スペースに向かってワイヤーを通す役割を担っている。つまり、回転部材7を回転させると、この貫通孔15を介して、ワイヤー5がフック3をぶら下げた状態で上下動することになる。
【0028】
なお、上述した実施形態では、回転部材7が具備するワイヤー5に対して一対一で対応する貫通孔15を遮蔽部材13(天井部材)に形成しているが、このような貫通孔15の代わりに、複数のワイヤーを通すことが可能なスリットを遮蔽部材13(天井部材)に形成してもよい。
【0029】
(防犯装置の電気的構成)
次に、図5に基づいて、防犯装置の電気的構成について説明する。
【0030】
本実施形態に係る防犯装置は、前述した構成に加えて、図5に示すように、
・モータ9の動作を電気的に制御するための制御部21(制御手段)と、
・モータ9を自動的に駆動(正転駆動・逆転駆動)させるためのタイマー23と、
・モータ9を任意のタイミングで(手動で)駆動させるための手動操作部25と、
・侵入者を感電させるための電流をワイヤー5やフック3などに流すためのバッテリー27(通電手段)などを更に具備している。
【0031】
制御部21(制御手段)は、制御回路等から構成され、モータ9の動作を電気的に制御する役割を担う。この制御部21は、モータ9に電気的に接続されている。
【0032】
タイマー23には、「防犯機能開始時間」や「防犯機能終了時間」などを入力することができ、モータ9を自動的に駆動(正転駆動・逆転駆動)させる役割を担う。このタイマー23は制御部21に電気的に接続されている。
「防犯機能開始時間」とは、防犯装置の防犯機能を稼働させる(防犯機能をONにする)時間をいう。タイマーに予めセットされた防犯機能開始時間が到来すると、それに応じて(制御部21がタイマー23からの信号を受け)、該制御部21は、ワイヤー5を繰り出す方向にモータ9を駆動させる。図2(a)に示すようにワイヤー5が所定長さ繰り出されると、制御部21はモータ9を停止させる。
また、「防犯機能終了時間」とは、防犯装置の防犯機能を停止させる(防犯機能をOFFにする)時間をいう。タイマー23に予めセットされた防犯機能終了時間が到来すると、それに応じて(制御部21がタイマー23からの信号を受け)、該制御部21は、ワイヤー5を巻き取る方向にモータ9を駆動させる。防犯スペースに垂れ下がるように露出していたワイヤー5を図2(b)に示すように巻き取り終えると、制御部21はモータ9を停止させる。
【0033】
手動操作部25は、制御部21に電気的に接続されている。この手動操作部25は、ワイヤー5の繰り出し・巻き取りを任意のタイミングで実行させる際に利用する。つまり、この手動操作部25を利用することで、防犯装置の防犯機能を任意のタイミングでON/OFFすることができる。このような手動操作部25を備えることで、必要に応じて任意のタイミングで防犯機能のON/OFFを切り替えることができる。
【0034】
バッテリー27(通電手段)は、侵入者を感電させるための電流をワイヤー5やフック3などに流す役割を担う。本実施形態において、フック3、ワイヤー5、回転部材7などは、侵入者を感電させるためにすべて金属などの導電性材料で構成され、また、相互に電気的に接続されている。すなわち、バッテリー27からの電気が回転部材7に流れると、それに電気的に接続されたフック3やワイヤー5にも電気が流れることになる。
【0035】
そして、バッテリー27のプラス端子は、すべての回転部材7に電気的に接続されており、発生したパルス電流が各回転部材7を介して導電性のワイヤー5やフック3に伝わる。一方、バッテリー27のマイナス端子は、図5に示すように導電性部材を介して防犯スペースの導電性の床に電気的に接続されている。
【0036】
なお、本実施形態では、侵入者を感電させるための通電手段としてバッテリー27を用いているが、このようなバッテリーの代わりに通電手段として電源回路を設け、店舗等が具備する電源設備(コンセント等)を電力供給源として利用することもできる。この場合には上述したようなバッテリーは不要である。
【0037】
(防犯装置の機能作用)
次に、図1図5に基づいて、防犯装置の機能作用について説明する。
【0038】
タイマー23に予め入力した防犯機能開始時間が到来すると、制御部21はモータ9を制御して、フック3を具備するワイヤー5が回転部材7から繰り出すように該回転部材を回転させる。これにより、図2(a)に示すように、多数のフック3をぶら下げたワイヤー5が、遮蔽部材13(天井部材)の貫通孔15を介して防犯スペースに繰り出され、その結果、多数本のワイヤーが、防犯スペース内において縦方向で張り巡らされる。つまり、防犯スペースの全体にわたって(防犯スペースの上から下まで)、多数本のワイヤー5が垂れ下がった状態が確保される。
【0039】
なお、防犯スペースの全体にわたって吊り下げられた各ワイヤー5は、多数の釣り針状のフック3を具備しており、その最も上のフックは、ヒトの背丈ほどの高さに位置し、また、その最もしたフックは、床面との間に僅かな隙間をあけて位置している。
【0040】
このように、フック3を具備する多数本のワイヤー5が縦方向で張り巡らされた状況下で、何者かが防犯スペース内に強引に侵入すると、図4(a)に示すように当該侵入者の身体や被服に一または複数のフック3が引っ掛かり、当該侵入者の身体を拘束するため、当該侵入者は身動きできなくなる。なお、本実施形態においてフック3は、かえしの付いた釣り針状部材で構成されているので、いったん侵入者に引っ掛かれば、当該フック3を容易に外すことはできない。したがって、侵入者から自由な動きを確実に奪うことができる。
【0041】
そればかりか、導電性のワイヤー5やフック3と床面が、伝導体である侵入者(人体や被服)でつながると、この伝導体をスイッチとして「バッテリー27(+) → 回転部材7(+) → ワイヤー5(+) → フック3(+) → 侵入者 → 床面(-) → バッテリー27(-)」という回路がつながる。この原理は電気柵と同様である。したがって図4(b)に示すように、防犯スペースの床上に立っている侵入者が、フック3やワイヤー5に触れた瞬間に、当該侵入者の身体に電流が流れて感電し、当該侵入者は強い電気ショックを受けることになる。なお、侵入者を感電させるための電圧等は、任意の値にセットすることができる。つまり、痛みを伴う程度の値にセットしてもよく、あるいは、感電により失神する程度の値にセットしてもよく。
【0042】
一方、上述したような不法侵入が無く、タイマー23に予め入力した防犯機能終了時間が到来すると、制御部21はモータ9を制御して、フック3を具備するワイヤー5を回転部材5が巻き取る。その結果、部屋じゅうに縦方向で張り巡らされていたワイヤーは、貫通孔を介して遮蔽部材(天井部材)の裏側に隠れ、防犯スペースから姿を消す。したがって、その後は図2(b)に示すように、店舗等の防犯スペースに自由に出入りすることができる。
【0043】
(侵入者を感電させるための他の設備)
上述した実施形態では、フック3やワイヤー5などをバッテリー27(通電手段)のプラス端末に電気的に接続し、導電性の床面側をマイナス端末に電気的に接続しているが、侵入者を感電させるための構成は必ずしもこれに限定されない。例えば、図6に示すように、横並びの回転部材7,7…を交互に、バッテリー27(通電手段)のプラス端子・マイナス端子に接続してもよい。すなわち、プラス端子に電気的に接続されたワイヤー5と、マイナス端子に電気的に接続されたワイヤー5が、交互に天井から垂れ下がるように、各回転部材7をバッテリー27に電気的に接続することも可能である。
【0044】
この場合、伝導体である侵入者(人体や被服)が、プラス端子に接続されたワイヤー5やフック3と、マイナス端子に接続されたワイヤー5やフック3に接触すると、伝導体をスイッチとして「バッテリー27(+) → 回転部材7(+) → ワイヤー5(+) → フック3(+) → 侵入者 → フック3(-) → ワイヤー5(-)→回転部材7(-)→バッテリー27(-)」という回路がつながる。したがって、侵入者がフック3やワイヤー5に触れた瞬間に、当該侵入者の身体に電流が流れて感電し、当該侵入者は強い電気ショックを受けることになる。
【0045】
また、上述した実施形態では、侵入者を感電させる設備を必須の構成としているが、このような感電設備は本発明において必須のものではない。また、上述した実施形態では、線状部材を導電性のワイヤーで構成しているが、前述したように感電設備を省く場合には、夜間等に当該線状部材が侵入者から見えにくくなるように、透明または白色半透明の樹脂製材料などで線状部材を構成することもできる。例えば、釣り糸のような白色半透明の樹脂素材で線状部材を構成することで、当該線状部材が暗闇に紛れて見えにくくなって、防犯効果がより一層高まる。
【符号の説明】
【0046】
3 フック(釣り針状の部材/身体拘束部材)
4 かえし部
5 ワイヤー(線状部材)
7 回転部材
9 モータ
13 遮蔽部材(天井部材)
15 貫通孔
17 リング状の溝
21 制御部(制御手段)
23 タイマー
25 手動操作部
27 バッテリー(通電手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6