(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記低抵抗化する工程では、前記酸化物半導体層に含まれる第1金属より、酸素との結合解離エネルギーが高い第2金属をターゲットとして用いた反応性スパッタリングを行うことで、前記金属酸化物層を形成し、
前記金属酸化物層と前記酸化物半導体層との界面層における前記第2金属に対する酸素の第1濃度比は、前記金属酸化物層のバルク層における前記第2金属に対する酸素の第2濃度比より大きい
請求項7に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本発明の概要)
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る薄膜トランジスタは、チャネル領域、並びに、当該チャネル領域より抵抗率が低いソース領域及びドレイン領域を有する酸化物半導体層と、前記酸化物半導体層の上方に設けられたゲート絶縁層と、前記ゲート絶縁層の上方で、かつ、前記チャネル領域に対向する位置に設けられたゲート電極と、前記酸化物半導体層上に設けられ、かつ、前記ソース領域及び前記ドレイン領域に接触する金属酸化物層とを備え、前記金属酸化物層は、前記酸化物半導体層に含まれる第1金属より、酸素との結合解離エネルギーが高い第2金属の酸化物を主成分として含み、前記金属酸化物層と前記酸化物半導体層との界面層における前記第2金属に対する酸素の第1濃度比は、前記金属酸化物層のバルク層における前記第2金属に対する酸素の第2濃度比より大きい。
【0012】
これにより、第2金属と酸素との結合解離エネルギーが第1金属と酸素との結合解離エネルギーより高いので、金属酸化物層と酸化物半導体層とが接触すると、酸化物半導体層に含まれる酸素が金属酸化物層に引き抜かれる。したがって、金属酸化物層に接触した酸化物半導体層のソース領域及びドレイン領域に酸素欠損が発生し、ソース領域及びドレイン領域を低抵抗化させることができる。よって、ゲート電極とソース領域及びドレイン領域との間の寄生容量を小さくすることができる。また、ソース領域及びドレイン領域からチャネル領域までの寄生抵抗を小さくすることができ、より優れたトランジスタ特性を実現することができる。
【0013】
また、例えば、前記第2金属は、アルミニウムであり、前記第1濃度比は、0.6以下であってもよい。
【0014】
これにより、酸素の割合が低く、アルミニウムの割合が高い、いわゆるアルミニウムリッチな酸化アルミニウムが界面層として形成されている。このため、界面層が、酸素を酸化物半導体層から引き抜ける程度に十分なアルミニウムの濃度を有するので、酸化物半導体層のソース領域及びドレイン領域を十分に低抵抗化することができる。
【0015】
また、例えば、前記金属酸化物層の膜厚は、10nm以上であってもよい。
【0016】
これにより、例えば、大型の基板を用いることにより、金属酸化物の膜厚がばらついたとしても、酸素を酸化物半導体層から引き抜ける程度に十分な膜厚の金属酸化物が設けられている。したがって、酸化物半導体層のソース領域及びドレイン領域を十分に低抵抗化することができる。
【0017】
また、例えば、前記第2金属は、アルミニウムであり、前記金属酸化物層の膜密度は、2.7g/cm
3以下であってもよい。
【0018】
なお、低抵抗化能力の低い一般的な酸化アルミニウム膜の膜密度は、約3.4g/cm
3である。本態様に係る薄膜トランジスタは、疎な金属酸化物を備えることで、酸素を酸化物半導体層から効率良く引き抜くことができる。したがって、酸化物半導体層のソース領域及びドレイン領域を十分に低抵抗化することができる。
【0019】
また、例えば、前記第1金属は、インジウム、ガリウム又は亜鉛であってもよい。
【0020】
これにより、キャリア移動度が高く、大画面及び高精細の表示装置に適した薄膜トランジスタとして実現することができる。
【0021】
また、例えば、前記ゲート電極、前記ゲート絶縁層及び前記チャネル領域の各々の側面は、面一であってもよい。
【0022】
これにより、自己整合的にゲート電極、ゲート絶縁層及びチャネル領域が形成されるので、マスク合わせの工程などを削減することができ、ばらつきの少なく良質なトランジスタ特性を実現することができる。
【0023】
また、例えば、本発明の一態様に係る表示装置は、上記の薄膜トランジスタを備える表示装置である。
【0024】
また、例えば、本発明の一態様に係る薄膜トランジスタの製造方法は、基板の上方に酸化物半導体層を形成する工程と、前記酸化物半導体層の上方にゲート絶縁層を形成する工程と、前記ゲート絶縁層の上方にゲート電極を形成する工程と、前記ゲート電極を形成した後、加熱処理を行う工程と、前記加熱処理の後、反応性スパッタリングによって、前記酸化物半導体層上に金属酸化物層を形成することで、前記酸化物半導体層の、前記金属酸化物層に接触する領域を低抵抗化する工程とを含んでもよい。
【0025】
これにより、加熱処理を行うことで、閾値電圧のシフト量を抑制することができる。また、反応性スパッタリングによって金属酸化物層を形成することで、膜質及び膜厚の面内均一性を良好にすることができる。膜質及び膜厚の面内均一性が良好であるので、金属酸化物層の低抵抗化能力も面内で均一にすることができる。したがって、面内でのばらつきを抑制しつつ、酸化物半導体層を低抵抗化することができるので、より優れたトランジスタ特性を有する薄膜トランジスタを製造することができる。
【0026】
また、例えば、前記低抵抗化する工程では、前記酸化物半導体層に含まれる第1金属より、酸素との結合解離エネルギーが高い第2金属をターゲットとして用いた反応性スパッタリングを行うことで、前記金属酸化物層を形成し、前記金属酸化物層と前記酸化物半導体層との界面層における前記第2金属に対する酸素の第1濃度比は、前記金属酸化物層のバルク層における前記第2金属に対する酸素の第2濃度比より大きくてもよい。
【0027】
これにより、第2金属の酸素との結合解離エネルギーが第1金属の酸素との結合解離エネルギーより高いので、金属酸化物層と酸化物半導体層とが接触すると、酸化物半導体層に含まれる酸素が金属酸化物層に引き抜かれる。したがって、金属酸化物層に接触した酸化物半導体層の所定の領域に酸素欠損が発生し、当該領域を低抵抗化させることができる。よって、ゲート電極とソース領域及びドレイン領域との間の寄生容量を小さくすることができる。また、ソース領域及びドレイン領域からチャネル領域までの寄生抵抗を小さくすることができる。このようにして、より優れたトランジスタ特性を有する薄膜トランジスタを製造することができる。
【0028】
また、例えば、前記低抵抗化する工程では、前記基板と前記ターゲットとがオフセット配置された状態で反応性スパッタリングを行ってもよい。
【0029】
これにより、基板とターゲットとをオフセット配置させるだけで、低抵抗化能力の高い金属酸化物層を容易に形成することができる。
【0030】
以下では、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0031】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0032】
(実施の形態)
[1.有機EL表示装置]
まず、本実施の形態に係る有機EL表示装置の概要について、
図1〜
図3を用いて説明する。なお、
図1は、本実施の形態に係る薄膜半導体アレイ基板1の構成を示す図である。
図2は、本実施の形態に係る有機EL表示装置10の一部切り欠き斜視図である。
図3は、本実施の形態に係る有機EL表示装置10における画素回路31の回路構成を示す図である。
【0033】
まず、薄膜半導体アレイ基板1は、
図1に示すように、複数(
図1では2個)の有機EL表示装置10を含んでいる。また、複数の有機EL表示装置10の各々は、
図2に示すように、複数個の薄膜トランジスタが配置されたTFT基板(TFTアレイ基板)20と、下部電極である陽極41、有機材料からなる発光層であるEL層42及び透明な上部電極である陰極43からなる有機EL素子(発光部)40との積層構造により構成される。
【0034】
TFT基板20には複数の画素30がマトリクス状に配置されており、各画素30には画素回路31が設けられている。
【0035】
有機EL素子40は、複数の画素30の各々に対応して形成されており、各画素30に設けられた画素回路31によって各有機EL素子40の発光の制御が行われる。有機EL素子40は、複数の薄膜トランジスタを覆うように形成された層間絶縁膜(平坦化層)の上に形成される。
【0036】
また、有機EL素子40は、陽極41と陰極43との間にEL層42が配置された構成となっている。陽極41とEL層42との間にはさらに正孔輸送層が積層形成され、EL層42と陰極43との間にはさらに電子輸送層が積層形成されている。なお、陽極41と陰極43との間には、その他の有機機能層(例えば、正孔注入層、電子注入層など)が設けられていてもよい。
【0037】
陽極41の材料としては、例えば、モリブデン、アルミニウム、金、銀、銅などの導電性金属若しくはこれらの合金、PEDOT:PSSなどの有機導電性材料、酸化亜鉛、又は、鉛添加酸化インジウムなどを用いることができる。陽極41は、例えば、真空蒸着法、電子ビーム蒸着法、RFスパッタリング法又は印刷法などによって形成される。
【0038】
EL層42は、陽極41上でバンク(図示せず)の開口部内に画素30毎又はライン毎に形成される。EL層42の材料としては、例えば、Alq3(tris(8−hydroxyquinoline)aluminum)を用いることができる。また、例えば、正孔注入層として銅フタロシアニンを、正孔輸送層としてα−NPD(Bis[N−(1−Naphthyl)−N−Phenyl]benzidine)を、電子輸送層としてオキサゾール誘導体を、電子注入層としてAlq3を用いることができる。なお、これらの材料は、あくまで一例であって、他の材料を用いてもよい。
【0039】
陰極43の材料としては、例えば、ITO、SnO
2、In
2O
3、ZnO又はこれらの組み合わせを用いることができる。
【0040】
各画素30は、それぞれの画素回路31によって駆動制御される。また、TFT基板20には、画素30の行方向に沿って配置される複数のゲート配線(走査線)50と、ゲート配線50と交差するように画素30の列方向に沿って配置される複数のソース配線(信号配線)60と、ソース配線60と平行に配置される複数の電源配線(図示せず)とが形成されている。各画素30は、例えば、直交するゲート配線50とソース配線60とによって区画されている。
【0041】
ゲート配線50は、各画素回路31に含まれるスイッチング素子として動作する薄膜トランジスタのゲート電極と行毎に接続されている。ソース配線60は、各画素回路31に含まれるスイッチング素子として動作する薄膜トランジスタのソース電極と列毎に接続されている。電源配線は、各画素回路31に含まれる駆動素子として動作する薄膜トランジスタのドレイン電極と列毎に接続されている。
【0042】
ここで、画素30における画素回路31の回路構成について、
図3を用いて説明する。
図3は、本実施の形態に係る有機EL表示装置10における画素回路31の構成を示す電気回路図である。
【0043】
図3に示すように、画素回路31は、駆動素子として動作する薄膜トランジスタ32と、スイッチング素子として動作する薄膜トランジスタ33と、対応する画素30に表示するためのデータを記憶するキャパシタ34とで構成される。本実施の形態において、薄膜トランジスタ32は、有機EL素子40を駆動するための駆動トランジスタであり、薄膜トランジスタ33は、画素30を選択するためのスイッチングトランジスタである。
【0044】
薄膜トランジスタ32は、薄膜トランジスタ33のドレイン電極33d及びキャパシタ34の一端に接続されるゲート電極32gと、電源配線70に接続されるドレイン電極32dと、キャパシタ34の他端と有機EL素子40の陽極41とに接続されるソース電極32sと、半導体膜(図示せず)とを備える。薄膜トランジスタ32は、キャパシタ34が保持しているデータ電圧に対応する電流を電源配線70からソース電極32sを通じて有機EL素子40の陽極41に供給する。これにより、有機EL素子40では、陽極41から陰極43へと駆動電流が流れてEL層42が発光する。
【0045】
薄膜トランジスタ33は、ゲート配線50に接続されるゲート電極33gと、ソース配線60に接続されるソース電極33sと、キャパシタ34の一端及び薄膜トランジスタ32のゲート電極32gに接続されるドレイン電極33dと、半導体膜(図示せず)とを備える。薄膜トランジスタ33は、接続されたゲート配線50及びソース配線60に所定の電圧が印加されると、ソース配線60に印加された電圧がデータ電圧としてキャパシタ34に保存される。
【0046】
なお、上記構成の有機EL表示装置10では、ゲート配線50とソース配線60との交点に位置する画素30毎に表示制御を行うアクティブマトリクス方式が採用されている。これにより、各画素30(各サブ画素)の薄膜トランジスタ32及び33によって、対応する有機EL素子40が選択的に発光し、所望の画像が表示される。
【0047】
なお、
図3では、画素回路31として、2つの薄膜トランジスタ32及び33と1つのキャパシタ34とを備える、いわゆる2Tr1C構成の画素回路について示したが、これに限らない。例えば、画素回路31は、トランジスタの閾値電圧の補正を行うためのトランジスタなどをさらに備えてもよい。
【0048】
[2.TFT]
以下では、本実施の形態に係るTFT基板20に形成される薄膜トランジスタについて、
図4A及び
図4Bを用いて説明する。なお、
図4Aは、本実施の形態に係る薄膜トランジスタ100の概略断面図である。
図4Bは、本実施の形態に係る薄膜トランジスタ100の酸化物半導体層120と金属酸化物層150との界面層160を示す概略断面図である。
【0049】
本実施の形態に係る薄膜トランジスタ100は、トップゲート型のTFTである。薄膜トランジスタ100は、例えば、
図3に示す薄膜トランジスタ32である。すなわち、薄膜トランジスタ100は、駆動トランジスタとして利用することができる。具体的には、薄膜トランジスタ100が薄膜トランジスタ32(駆動トランジスタ)である場合、ゲート電極140がゲート電極32gに、ソース電極180sがソース電極32sに、ドレイン電極180dがドレイン電極32dに、それぞれ相当する。
【0050】
なお、薄膜トランジスタ100は、例えば、
図3に示す薄膜トランジスタ33でもよい。すなわち、薄膜トランジスタ100は、スイッチングトランジスタとして利用してもよい。
【0051】
図4Aに示すように、薄膜トランジスタ100は、支持基板105と、フレキシブル基板110と、アンダーコート層115と、酸化物半導体層120と、ゲート絶縁層130と、ゲート電極140と、金属酸化物層150と、層間絶縁層170と、ドレイン電極180d及びソース電極180sとを備える。
【0052】
また、
図4Aに示すように、薄膜トランジスタ100には、酸化物半導体層120と金属酸化物層150との界面層160が設けられている。本実施の形態では、界面層160は、酸化物半導体層120のソース領域122及びドレイン領域123と金属酸化物層150との界面に設けられている。
【0053】
なお、以降の説明において、「上方」とは、フレキシブル基板110を基準としてアンダーコート層115側を意味し、具体的には、各層の積層方向を意味する。一方、「下方」とは、フレキシブル基板110を基準として支持基板105側を意味し、具体的には、各層の積層方向の反対方向を意味する。
【0054】
[2−1.支持基板]
支持基板105は、例えば、電気絶縁性を有する材料から構成される基板である。例えば、支持基板105は、無アルカリガラス、石英ガラス、高耐熱性ガラスなどのガラス材料、又は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミドなどの樹脂材料から構成される基板である。
【0055】
なお、本実施の形態に係るTFT基板20をフレキシブルディスプレイなどに用いる場合には、支持基板105は、フレキシブル基板110から剥離される。つまり、TFT基板20は、支持基板105を備えなくてもよい。
【0056】
[2−2.フレキシブル基板]
フレキシブル基板110は、例えば、シート状又はフィルム状の可撓性を有する基板である。フレキシブル基板110は、例えば、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのフィルム材料の単層又は積層で構成された基板である。
【0057】
なお、本実施の形態に係るTFT基板20をフレキシブルディスプレイに用いない場合には、TFT基板20は、フレキシブル基板110を備えなくてもよい。つまり、支持基板105上にアンダーコート層115が設けられていてもよい。
【0058】
[2−3.アンダーコート層]
アンダーコート層115は、フレキシブル基板110上に設けられた無機層の一例である。アンダーコート層115は、フレキシブル基板110の表面(酸化物半導体層120が形成される側の面)に形成されている。アンダーコート層115が設けられることにより、支持基板105(ガラス基板)又はフレキシブル基板110に含まれる不純物(例えば、ナトリウム及びリンなど)、又は、大気中の水分などが酸化物半導体層120に浸入するのを抑制することができる。これにより、酸化物半導体層120の膜質を安定化させて、TFT特性を安定化させることができる。
【0059】
アンダーコート層115は、例えば、酸化物絶縁層又は窒化物絶縁層を用いた単層絶縁層又は積層絶縁層である。一例として、アンダーコート層115としては、シリコン酸化膜(SiO
x)、シリコン窒化膜(SiN
x)、シリコン酸窒化膜(SiON
x)若しくは酸化アルミニウム膜(AlO
x)などの単層膜、又は、これらの積層膜を用いることができる。本実施の形態では、アンダーコート層115は、複数の絶縁膜を積層することによって形成された積層膜である。アンダーコート層115の膜厚は、例えば、100nm〜2000nmである。
【0060】
[2−4.酸化物半導体層]
酸化物半導体層120は、チャネル層として用いられる。具体的には、
図4Aに示すように、酸化物半導体層120は、チャネル領域121、ソース領域122及びドレイン領域123を有する。チャネル領域121は、ゲート絶縁層130を挟んでゲート電極140と対向する領域である。ソース領域122及びドレイン領域123は、チャネル領域121より抵抗率が低い低抵抗化領域(オフセット領域)である。ソース領域122及びドレイン領域123は、例えば、成膜した酸化物半導体の所定の領域に対して酸素欠損を引き起こすことで形成される。酸化物半導体層120の詳細な膜物性については、後で説明する。
【0061】
酸化物半導体層120は、支持基板105及びフレキシブル基板110の上方、具体的には、アンダーコート層115上に所定形状で設けられている。酸化物半導体層120は、第1金属の酸化物を主成分として含んでいる。第1金属は、例えば、インジウム(In)、ガリウム(Ga)又は亜鉛(Zn)である。酸化物半導体層120としては、例えば、IGZO(In−Ga−Zn−O)、ITZO(In−Ti−Zn−O)、ZnO(Zn−O)、IGO(In−Ga−O)、IZO(In−Zn−O)などを用いることができる。IGZOの場合を例にとると、各元素の構成比の一例としては、In
xGa
yZn
zO
1.5x+1.5y+z(x、y、zは整数)である。酸化物半導体層120の膜厚は、例えば、10nm〜300nmである。
【0062】
[2−5.ゲート絶縁層]
ゲート絶縁層130は、酸化物半導体層120の上方に設けられている。具体的には、ゲート絶縁層130は、酸化物半導体層120とゲート電極140との間で、例えば、酸化物半導体層120上に設けられている。
【0063】
本実施の形態では、ゲート絶縁層130は、酸化物半導体層120のチャネル領域121上に設けられている。具体的には、ゲート絶縁層130の側面は、チャネル領域121の側面と面一であり、上面視において、ゲート絶縁層130の輪郭線とチャネル領域121の輪郭線とは略一致している。なお、本実施の形態では、ゲート絶縁層130は、酸化物半導体層120上のみに形成されているが、これに限らない。
【0064】
ゲート絶縁層130は、酸化物絶縁層又は窒化物絶縁層を用いた単層絶縁層又は積層絶縁層である。ゲート絶縁層130としては、シリコン酸化膜(SiO
x)、シリコン窒化膜(SiN
x)、シリコン酸窒化膜(SiON
x)、酸化アルミニウム膜(AlO
x)若しくは酸化タンタル膜(TaO
x)膜などの単層膜、又は、これらの積層膜を用いることができる。ゲート絶縁層130の膜厚は、TFTの耐圧などを考慮して設計することができ、例えば、50nm〜400nmである。
【0065】
[2−6.ゲート電極]
ゲート電極140は、ゲート絶縁層130の上方で、かつ、チャネル領域121に対向する位置に設けられている。例えば、ゲート電極140は、ゲート絶縁層130上に所定形状で形成される。具体的には、ゲート電極140の側面は、ゲート絶縁層130の側面と面一であり、上面視において、ゲート電極140の輪郭線とゲート絶縁層130の輪郭線とは略一致している。
【0066】
ゲート電極140は、金属などの導電性材料又はその合金などの単層構造又は積層構造の電極である。ゲート電極140の材料としては、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、モリブデンタングステン(MoW)、銅(Cu)、チタン(Ti)、クロム(Cr)などを用いることができる。ゲート電極140の膜厚は、例えば、50nm〜300nmである。
【0067】
[2−7.金属酸化物層]
金属酸化物層150は、酸化物半導体層120上に設けられ、かつ、ソース領域122及びドレイン領域123に接触している。本実施の形態では、金属酸化物層150は、酸化物半導体層120の上面のうち、ゲート絶縁層130によって覆われていない部分に設けられている。具体的には、金属酸化物層150は、ソース領域122上及びドレイン領域123上に設けられている。
【0068】
より具体的には、金属酸化物層150は、ゲート電極140の上面及び側面、ゲート絶縁層130の側面、並びに、ソース領域122及びドレイン領域123の各々の上面を覆っている。なお、金属酸化物層150は、ソース領域122上及びドレイン領域123上に設けられていればよく、例えば、ゲート電極140上には設けられていなくてもよい。
【0069】
また、金属酸化物層150及び層間絶縁層170には、所定の領域を貫通するように複数の開口部(コンタクトホール)が形成されている。当該コンタクトホールを介して、ソース領域122とソース電極180sとが電気的及び物理的に接続され、ドレイン領域123とドレイン電極180dとが電気的及び物理的に接続されている。
【0070】
金属酸化物層150は、酸化物半導体層120の低抵抗化を促進する低抵抗化促進層である。本実施の形態では、金属酸化物層150は、酸化物半導体層120のソース領域122及びドレイン領域123の低抵抗化を促進する。具体的には、金属酸化物層150は、ソース領域122及びドレイン領域123の酸素を引き抜くことで、酸素欠損を発生させる。これにより、ソース領域122及びドレイン領域123が低抵抗化される。
【0071】
ソース領域122及びドレイン領域123はそれぞれ、ソース電極180s及びドレイン電極180dと電気的に接続される領域である。このため、ソース領域122及びドレイン領域123は、コンタクト抵抗が低いことが好ましい。金属酸化物層150がソース領域122及びドレイン領域123を低抵抗化させるので、コンタクト抵抗が低下し、TFT特性を高めることができる。
【0072】
金属酸化物層150は、酸化物半導体層120に含まれる第1金属より、酸素との結合解離エネルギーが高い第2金属の酸化物を主成分として含んでいる。第2金属は、例えば、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)又はタングステン(W)である。金属酸化物層150の膜厚は、酸化物半導体層120から酸素を引き抜くのに十分な厚さであればよく、酸化アルミニウムの場合、例えば、10nm以上であり、好ましくは、20nm以上である。また、金属酸化物層150の膜密度は、酸化アルミニウムの場合、2.7g/cm
3以下である。
【0073】
なお、第1金属と酸素との結合解離エネルギーは、以下の通りである。具体的には、インジウム(In)と酸素との結合解離エネルギーは、360kJ/molである。亜鉛(Zn)と酸素との結合解離エネルギーは、284kJ/molである。ガリウム(Ga)と酸素との結合解離エネルギーは、285kJ/molである。
【0074】
一方で、第2金属と酸素との結合解離エネルギーは、以下の通りである。具体的には、アルミニウム(Al)と酸素との結合解離エネルギーは、512kJ/molである。チタン(Ti)と酸素との結合解離エネルギーは、662kJ/molである。モリブデン(Mo)と酸素との結合解離エネルギーは、607kJ/molである。タングステン(W)と酸素との結合解離エネルギーは、653kJ/molである。
【0075】
[2−8.界面層]
界面層160は、酸化物半導体層120と金属酸化物層150との界面に形成される層である。具体的には、界面層160は、金属酸化物層150が酸化物半導体層120上に積層されることによって形成される。より具体的には、界面層160は、金属酸化物層150が酸化物半導体層120に接触して、酸化物半導体層120の酸素が金属酸化物層150に引き抜かれることによって形成される。
【0076】
図4Bに示すように、酸化物半導体層120と金属酸化物層150とは、酸化物半導体層120のバルク層125と、界面層160と、金属酸化物層150のバルク層155とを有する。なお、
図4Bは、例えば、ソース領域122又はドレイン領域123と金属酸化物層150との界面近傍の断面を示している。
【0077】
界面層160は、酸化物半導体層120の上面領域であって、上面が金属酸化物層150と接触することで酸素が引き抜かれた領域と、金属酸化物層150の下面領域であって、下面が酸化物半導体層120と接触することで酸素を取り込んだ領域とを含んでいる。つまり、界面層160は、酸化物半導体層120と金属酸化物層150との界面を含み、酸化物半導体層120の上面領域と金属酸化物層150の下面領域とを含んでいる。
【0078】
なお、界面層160は、酸化物半導体層120の上面領域のみを含んでいてもよい。あるいは、界面層160は、金属酸化物層150の下面領域のみを含んでいてもよい。
【0079】
バルク層125は、酸化物半導体層120のうち、金属酸化物層150との界面を除く領域である。具体的には、バルク層125は、酸化物半導体層120に含まれる元素の濃度分布が安定している領域である。例えば、バルク層125では、第1金属(In、Ga、Zn)の濃度分布が略一定であり、金属酸化物層150に含まれる第2金属(Al)をほとんど含んでいない。
【0080】
バルク層155は、金属酸化物層150のうち、酸化物半導体層120との界面を除く領域である。具体的には、バルク層155は、金属酸化物層150に含まれる元素の濃度分布が安定している領域である。例えば、バルク層155では、第2金属(Al)の濃度分布が略一定であり、酸化物半導体層120に含まれる第1金属(In、Ga、Zn)をほとんど含んでいない。
【0081】
界面層160における第2金属に対する酸素の濃度比(第1濃度比)は、金属酸化物層150のバルク層155における第2金属に対する酸素の濃度比(第2濃度比)より大きい。例えば、第2金属がアルミニウムの場合、界面層160におけるO/Al比は、バルク層155におけるO/Al比より大きい。本実施の形態では、界面層160におけるO/Al比は、0.6以下である。界面層160における詳細な膜物性については、後で説明する。
【0082】
[2−9.層間絶縁層]
層間絶縁層170は、金属酸化物層150を覆うように設けられている。具体的には、層間絶縁層170は、薄膜トランジスタ100が形成されている素子領域の全面を覆うように形成されている。
【0083】
層間絶縁層170は、有機物又は無機物を主成分とする材料によって形成される。例えば、層間絶縁層170は、シリコン酸化膜(SiO
x)、シリコン窒化膜(SiN
x)、シリコン酸窒化膜(SiON
x)又は酸化アルミニウム膜(AlO
x)などの単層膜、又は、積層膜である。このとき、層間絶縁層170は、比誘電率が小さい材料を用いて、厚膜に形成してもよい。これにより、ゲート電極140とソース電極180s又はドレイン電極180dとの間の寄生容量を低減することができる。
【0084】
なお、層間絶縁層170は、金属酸化物層150とは膜質が異なっている。例えば、層間絶縁層170と金属酸化物層150とが同じ金属酸化物を主成分として含む場合、層間絶縁層170は、金属酸化物層150より密な膜質を有する。より具体的には、層間絶縁層170の膜密度は、金属酸化物層150の膜密度より大きい。
【0085】
[2−10.ソース電極及びドレイン電極]
ソース電極180s及びドレイン電極180dは、層間絶縁層170上に所定形状で形成されている。ソース電極180s及びドレイン電極180dの各々は、酸化物半導体層120と電気的に接続されている。
【0086】
本実施の形態では、ソース電極180sは、層間絶縁層170及び金属酸化物層150に形成されたコンタクトホールを介してソース領域122と電気的及び物理的に接続されている。また、ドレイン電極180dは、層間絶縁層170及び金属酸化物層150に形成されたコンタクトホールを介してドレイン領域123と電気的及び物理的に接続されている。
【0087】
ソース電極180s及びドレイン電極180dは、導電性材料又はその合金などの単層構造又は積層構造の電極である。ソース電極180s及びドレイン電極180dの材料としては、例えば、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、モリブデンタングステン(MoW)、銅(Cu)、チタン(Ti)、クロム(Cr)などを用いることができる。ソース電極180s及びドレイン電極180dの膜厚は、例えば、50nm〜300nmである。
【0088】
[3.界面層及びその近傍の膜物性]
続いて、本実施の形態に係る薄膜トランジスタ100の界面層160及びその近傍の膜物性について説明する。
【0089】
本願発明者らは、界面層160及びその近傍の膜物性を調べるために、本実施の形態に係る酸化物半導体層120を備える複数のサンプルを作製した。具体的には、発明者らは、ガラス基板上に酸化物半導体層120を成膜したサンプル(サンプルA)と、ガラス基板上に酸化物半導体層120と金属酸化物層150とを順に成膜したサンプル(サンプルB及びサンプルC)とを作製した。なお、サンプルBとサンプルCとでは、金属酸化物層150の膜質が異なっている。
【0090】
このとき、酸化物半導体層120は、IGZO膜であり、金属酸化物層150は、AlO
x膜である。IGZO膜の膜厚は、約60nmであり、AlO
x膜の膜厚は、約30nmである。IGZO膜及びAlO
x膜の成膜は、反応性スパッタリング法を用いて室温雰囲気で行い、成膜時及び成膜後の熱処理は一切行っていない。
【0091】
図5は、本実施の形態において作製したサンプルA〜サンプルCの酸化物半導体のシート抵抗を示す図である。なお、四端子法を用いて面内の9点のシート抵抗を測定し、その平均値を各サンプルのシート抵抗として、
図5に示している。
【0092】
図5に示すように、サンプルAのシート抵抗は、数百GΩ/sq.である。したがって、IGZO膜を成膜した時点では、IGZO膜は、非常に高いシート抵抗を有していることが分かる。これに対して、サンプルBでも同様に、数百GΩ/sq.の高いシート抵抗を有しているのに対して、サンプルCでは、数kΩ/sq.の低いシート抵抗を有していることが分かる。
【0093】
以上のことから、本願発明者らは、反応性スパッタリングを用いて成膜したAlO
x膜のうち、ある特定のAlO
x膜であれば、酸化物半導体を低抵抗化させることができる低抵抗化促進層として機能することが分かった。低抵抗化促進層として機能する金属酸化物層(AlO
x)の具体的な形成方法については、後で説明する。
【0094】
なお、IGZO膜を低抵抗化させた後、AlO
x膜を選択的にエッチングする有機アルカリ溶液を用いてAlO
x膜を除去した場合、IGZO膜のシート抵抗は、数百GΩ/sq.に戻った。このため、IGZO膜とAlO
xとの界面層の膜物性が、IGZO膜の低抵抗化に重要であることが分かった。
【0095】
図6Aは、本実施の形態において作製したサンプルの金属酸化物層150とシリコン基板との界面層における元素の濃度分布を示す図である。
図6Bは、本実施の形態において作製したサンプルの金属酸化物層150と酸化物半導体層120との界面層160における元素の濃度分布を示す図である。
【0096】
ここで、金属酸化物層150は、AlO
x膜であり、酸化物半導体層120は、IGZO膜である。具体的には、
図6A及び
図6Bに示す各サンプルの作製では、IGZO膜及びAlO
x膜の成膜を、反応性スパッタリング法を用いて室温雰囲気で行い、成膜時及び成膜後の熱処理は一切行っていない。なお、
図6Bに示すサンプルは、上述したサンプルB及びサンプルCである。
【0097】
元素の濃度分布の測定には、X線光電子分光(XPS:X−ray Photoelectron Spectroscopy)法を用いた。具体的には、各サンプルのAlO
x膜をスパッタリングによって深さ方向に削りながら、XPS法を用いてその表面の元素の濃度を測定した。なお、作製したサンプルでは、30nmのAlO
x膜を積層しているが、所定の膜厚のAlO
xを予め削ってから、XPS法による元素濃度の解析を行った。
【0098】
図6A及び
図6Bにおいて、横軸は、スパッタ時間であり、具体的には、膜の深さに相当する。縦軸は、アルミニウムに対する酸素の濃度比(O/Al比)と、シリコン濃度又はインジウム濃度とを示している。なお、O/Al比は、膜中の酸素の原子濃度[at%]と、アルミニウムの原子濃度[at%]とを測定することで算出される。
【0099】
図6A及び
図6Bに示すように、スパッタ時間が長くなるにつれて、すなわち、XPSを用いた解析が深さ方向に進行するにつれて、O/Al比は、最初は一定の値で安定している。例えば、
図6A及び
図6Bのいずれにおいても、O/Al比は、約2%で安定している。O/Al比が安定している領域が、金属酸化物層150のバルク層155に相当する。具体的には、バルク層155では、酸素元素及びアルミニウム元素の組成比が安定している。
【0100】
界面層160では、O/Al比は、深さ方向に進行するにつれて、O/Al比が徐々に上昇する。この傾向は、
図6A及び
図6Bのいずれにも見られる。すなわち、金属酸化物層150の膜質は、下地層(ここでは、シリコン基板又はIGZO膜)には依存しない。
【0101】
一方で、シリコン濃度及びインジウム濃度に着目すると、深さ方向が進行するにつれて、徐々に上昇した後、一定の値で安定している。例えば、
図6Aに示す例では、シリコン濃度は、約100at%で安定し、
図6Bに示す例では、インジウム濃度は、約25at%で安定する。インジウム濃度が安定している領域が、酸化物半導体層120のバルク層125に相当する。
【0102】
金属酸化物層150と酸化物半導体層120との界面層160は、バルク層155及びバルク層125を除いた領域である。つまり、界面層160は、O/Al比とインジウム濃度との両方が安定していない領域である。
図6Bに示す例では、界面層160は、スパッタ時間が5分〜50分の間に相当する。
【0103】
ここで、
図6Aにおいては、スパッタ時間が約20分〜35分の間、
図6Bにおいては、スパッタ時間が約40分〜50分の間に着目する。このとき、低抵抗化能力が高いAlO
x膜を有するサンプル(例えば、サンプルC)は、低抵抗化能力が低いAlO
x膜を有するサンプル(例えば、サンプルB)より、O/Al比が小さい。具体的には、サンプルCの界面層160では、サンプルBの界面層160より、アルミニウムリッチなAlO
x膜が成膜されていることが分かる。
【0104】
また、例えば、サンプルCのO/Al比の上昇率は、サンプルBのO/Al比の上昇率より低い。つまり、
図6Bに示すように、サンプルCのO/Al比の傾きは、サンプルBのO/Al比の傾きより緩やかである。
【0105】
また、
図6BのサンプルCのO/Al比のグラフを見て分かるように、界面層160におけるO/Al比は、0.6(すなわち、60%)以下である。より具体的には、界面層160とバルク層125との界面におけるO/Al比は、サンプルBのO/Al比より低く、60%以下である。
【0106】
IGZOなどの酸化物半導体では、膜中に酸素欠損を発生させることにより、多数の欠陥準位が形成されて低抵抗化する。ここでは、界面層160において、アルミニウムリッチなAlO
x膜がIGZO膜に接触することにより、IGZO膜からAlO
x側へ酸素が引き抜かれる。これにより、IGZO膜中に酸素欠損が生成されて、IGZO膜が低抵抗化されたと考えられる。
【0107】
したがって、酸化物半導体層120を低抵抗化させる目的であれば、金属酸化物層150は、AlO
x膜に限られない。具体的には、金属酸化物層150は、酸化物半導体層120に含まれる第1金属より、酸素との結合解離エネルギーが高い第2金属を主成分として含めばよい。
【0108】
ここで、低抵抗化の能力が高いAlO
x膜と、低抵抗化の能力が低いAlO
x膜との違いについて、より詳細に説明する。本願発明者らは、X線反射率(XRR:X−Ray Reflectivity)法を用いてサンプルB及びサンプルCの各々のAlO
x膜の膜密度を測定した。その結果、低抵抗化の能力が高いAlO
x膜の膜密度は、2.7g/cm
3以下であり、低抵抗化の能力が低いAlO
x膜の膜密度は、約3.4g/cm
3であった。
【0109】
したがって、膜密度の低い、すなわち、疎なAlO
x膜は、酸化物半導体から酸素を引き抜く力が強い膜であると考えられる。
【0110】
[4.TFTの製造方法]
次に、本実施の形態に係る薄膜トランジスタ100の製造方法について、
図7A〜
図7Eを用いて説明する。
図7A〜
図7Eは、本実施の形態に係る薄膜トランジスタ100の製造工程を示す概略断面図である。
【0111】
まず、
図7Aの(a)に示すように、フレキシブル基板110が貼り付けられた支持基板105を準備する。支持基板105としては、例えば無アルカリガラスなどのガラス基板を用いるが、樹脂、合成石英、熱酸化膜付きシリコンなどを用いてもよい。フレキシブル基板110は、例えば、ポリイミドなどを用いる。
【0112】
次に、
図7Aの(b)に示すように、フレキシブル基板110上にアンダーコート層115を形成する。例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、スパッタリング法、原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法などによって、シリコン酸化膜などをアンダーコート層115として形成する。
【0113】
次に、
図7Aの(c)に示すように、フレキシブル基板110(支持基板105)の上方に酸化物半導体層120aを形成する。本実施の形態では、アンダーコート層115上に所定形状の酸化物半導体層120aを形成する。酸化物半導体層120aの材料としては、IGZOの透明アモルファス酸化物半導体を用いることができる。例えば、60nmのIGZO膜を酸化物半導体層120aとして形成する。
【0114】
この場合、まず、スパッタリング法、レーザアブレーション法又はCVD法などにより、IGZOからなる酸化物半導体膜を成膜する。具体的には、In、Ga及びZnを含むターゲット材(例えば、InGaO
3(ZnO)
4組成を有する多結晶焼結体)を用いて、真空チャンバ内に不活性ガスとしてアルゴンガスを導入すると共に、反応性ガスとして酸素(O
2)を含むガスを導入し、所定のパワー密度の電力をターゲット材に印加する。
【0115】
その後、成膜した酸化物半導体膜をフォトリソグラフィ法及びウェットエッチング法を用いてパターニングすることにより、
図7Aの(c)に示すように、所定形状に加工された酸化物半導体層120aを形成することができる。酸化物半導体層120aは、所定形状に島化されている。なお、IGZOのウェットエッチングには、例えば、リン酸(H
3PO
4)、硝酸(HNO
3)、酢酸(CH
3COOH)及び水(H
2O)を混合した薬液を用いることができる。
【0116】
次に、
図7Bの(d)に示すように、酸化物半導体層120aの上方にゲート絶縁膜130aを形成する。本実施の形態では、酸化物半導体層120aを覆うように全面にゲート絶縁膜130aを形成する。ゲート絶縁膜130aの材料としては、SiO
xを用いることができる。例えば、100nmのSiO
x膜をゲート絶縁膜130aとして形成する。
【0117】
SiO
x膜は、例えば、CVD法によって形成される。具体的には、真空チャンバ内にシランガス(SiH
4)及び亜酸化窒素ガス(N
2O)を導入し、プラズマを発生させることで、SiO
x膜が形成される。
【0118】
次に、
図7Bの(e)に示すように、ゲート絶縁膜130aの上方にゲート金属膜140aを形成する。例えば、スパッタリング法などによって、ゲート絶縁膜130a上に、80nmのMoW膜をゲート金属膜140aとして成膜する。
【0119】
次に、
図7Cの(f)に示すように、ゲート金属膜140a及びゲート絶縁膜130aを加工することにより、酸化物半導体層120aの上方にゲート電極140及びゲート絶縁層130を形成する。本実施の形態では、ゲート絶縁層130の上方にゲート電極140を形成する。
【0120】
具体的には、まず、フォトリソグラフィ法及びエッチング法によって、ゲート金属膜140aをパターニングすることにより、ゲート絶縁膜130a上に所定形状のゲート電極140を形成する。MoW膜のエッチングは、例えば、リン酸(H
3PO
4)、硝酸(HNO
3)、酢酸(CH
3COOH)及び水(H
2O)を混合した薬液を用いたウェットエッチングによって行うことができる。あるいは、MoW膜のエッチングは、例えば、六フッ化硫黄(SF
6)、酸素(O
2)、塩素(Cl
2)などのガスを用いた反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)などのドライエッチングによって行うことができる。
【0121】
その後、形成した所定形状のゲート電極140をマスクとしてゲート絶縁膜130aをパターニングすることで、自己整合的に、ゲート電極140と同形状のゲート絶縁層130を形成する。ゲート絶縁膜130a(SiO
x)のエッチングは、例えば、フッ酸(HF)液を用いたウェットエッチング、又は、六フッ化硫黄(SF
6)などのガスを用いたドライエッチングによって行うことができる。本実施の形態では、例えば、ドライエッチングによって、ゲート金属膜140aの加工とゲート絶縁膜130aの加工とを連続的に行うことができる。
【0122】
ゲート電極140を形成した後、
図7Cの(g)に示すように、加熱(アニール)処理を行う。酸化物半導体層120aに熱アニールを行うことで、酸化物半導体層120aの電気特性を回復させる。アニールは、例えば、大気中で、200℃〜500℃の温度で、0.5時間〜5時間行われる。
【0123】
加熱処理の後、反応性スパッタリングによって、酸化物半導体層120a上に金属酸化物層150を形成することで、酸化物半導体層120aの、金属酸化物層150に接触する領域を低抵抗化する。これにより、
図7Dの(h)に示すように、酸化物半導体層120には、低抵抗化されたソース領域122及びドレイン領域123が形成される。
【0124】
具体的には、ゲート電極140の上面及び側面、ゲート絶縁層130の側面、並びに、ソース領域122及びドレイン領域123の各々の上面を覆うように、金属酸化物層150を形成する。なお、酸化物半導体層120aの、ゲート絶縁層130に覆われていない領域のみに、金属酸化物層150を形成してもよい。つまり、ソース領域122の上面及びドレイン領域123の上面のみに、金属酸化物層150を形成してもよい。例えば、反応性スパッタリングによって、30nmのAlO
xを金属酸化物層150として形成する。
【0125】
次に、
図7Dの(i)に示すように、ゲート電極140と酸化物半導体層120とを覆うように層間絶縁層170を形成する。例えば、プラズマCVDによって層間絶縁層170として、200nmのシリコン酸化膜を形成する。
【0126】
次に、
図7Eの(j)に示すように、ソース領域122及びドレイン領域123の各々の一部を露出させるように、層間絶縁層170及び金属酸化物層150に開口部(コンタクトホール181s及び181d)を形成する。具体的には、フォトリソグラフィ法及びエッチング法によって、層間絶縁層170及び金属酸化物層150の一部をエッチング除去することによって、ソース領域122上及びドレイン領域123上にコンタクトホール181s及び181dを形成する。
【0127】
例えば、層間絶縁層170がシリコン酸化膜である場合、RIEなどのドライエッチングによってコンタクトホールを形成する。この場合、エッチングガスとしては、例えば、四フッ化炭素(CF
4)及び酸素ガス(O
2)を用いることができる。また、金属酸化物層150がAlO
x膜である場合、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液を用いたウェットエッチング、又は、三塩化ホウ素(BCl
3)などのガスを用いたドライエッチングによってコンタクトホールを形成する。
【0128】
次に、
図7Eの(k)に示すように、層間絶縁層170及び金属酸化物層150に形成したコンタクトホール181s及び181dを介して、ソース領域122に電気的及び物理的に接続されたソース電極180sと、ドレイン領域123に電気的及び物理的に接続されたドレイン電極180dとを形成する。具体的には、まず、コンタクトホール181s及び181dを埋めるようにして、層間絶縁層170上に金属膜(ソースドレイン金属膜)をスパッタリングによって成膜する。成膜した金属膜を、フォトリソグラフィ法及びウェットエッチング法を用いてパターニングすることにより、所定形状のソース電極180s及びドレイン電極180dを形成する。例えば、合計膜厚が500nmのMoW/Al/MoWの3層構造の金属膜をソース電極180s及びドレイン電極180dとして形成した。
【0129】
以上のようにして、本実施の形態に係る薄膜トランジスタ100を製造することができる。
【0130】
なお、薄膜トランジスタ100の上方に、平坦化膜などを形成した後で、有機EL素子40を形成することもできる。
【0131】
[5.反応性スパッタリング]
ここで、低抵抗化能力が高い金属酸化物層150を形成するのに用いる反応性スパッタリングについて、
図8A及び
図8Bを用いて説明する。
【0132】
図8Aは、本実施の形態に係る金属酸化物層150を形成する際に用いる反応性スパッタリングにおける基板201とターゲット202との配置、及び大型のTFT基板を作製する場合に一般的に使用されるインライン式スパッタリング装置において、成膜開始時点における基板201とターゲット202との配置を示す図である。また、
図8Bは、通常の反応性スパッタリングにおける基板201とターゲット202との配置を示す図である。具体的には、
図8Aは、いわゆる低ダメージスパッタリング装置における基板201とターゲット202との配置を示している。また、
図8Bは、一般的な反応性スパッタリング装置における基板201とターゲット202との配置、及びインライン式スパッタリング装置において成膜がある程度進行した時点における基板201とターゲット202との配置を示している。
【0133】
基板201は、薄膜トランジスタ100の製造途中の基板である。具体的には、基板201は、
図7Cの(g)に示すように、ゲート電極140が形成されたアニールされた直後の支持基板105に相当する。支持基板105は、ゲート電極140側の面(上面)がターゲット202側(下方)になるように配置される。
【0134】
ターゲット202は、金属酸化物層150に含まれる第2金属を主成分として含む金属材料である。ターゲット202は、例えば、アルミニウム(Al)を主成分として含む。なお、ターゲット202は、アルミニウムではなく、チタン、モリブデン、シリコン又はタングステンを主成分として含んでもよい。
【0135】
本実施の形態では、酸化物半導体層120aに含まれる第1金属より、酸素との結合解離エネルギーが高い第2金属をターゲット202として用いた反応性スパッタリングを行うことで、金属酸化物層150を形成する。具体的には、酸素(O
2)ガスを反応性ガスとして導入し、ターゲット202の上方でプラズマ203を生成することで、ターゲット202から飛び出した金属原子(具体的には、Al)と反応性ガスとを反応させて、金属酸化物を基板201に堆積させる。
【0136】
このとき、
図8Aに示すように、基板201とターゲット202とがオフセット配置された状態で反応性スパッタリングを行う。
図8Bのように、通常の反応性スパッタリングでは、基板201とターゲット202とが対面するように配置されているのに対して、本実施の形態では、
図8Aに示すように、基板201とターゲット202とは、互いの正面の位置から横方向にずれた位置に配置されている。
【0137】
これにより、基板201の表面(具体的には、酸化物半導体層120a上の面)は、プラズマ203に直接曝されない。したがって、ターゲット202から飛び出したAl原子のうち、酸素ガスと反応せずに基板201に堆積するAl原子の割合が多くなる。これにより、特に、酸化物半導体層120aの表面では、Al原子に対する酸素の濃度比が小さくなる。このアルミニウムリッチな金属酸化物層150が酸化物半導体層120aに接することで、酸化物半導体層120aから酸素が引き抜かれ酸素欠損が生成される。つまり、酸化物半導体層120と金属酸化物層150との界面層160におけるO/Al比は、バルク層155におけるO/Al比より大きくなる。
【0138】
なお、基板201とターゲット202とのオフセット量(横方向へのずれ量)は、いかなるものでもよい。例えば、
図8Aに示すように、基板201とターゲット202とが完全にずれて、すなわち、上下方向において重複しないように配置されてもよい。あるいは、基板201とターゲット202とは、上下方向において一部が重複するように配置されてもよい。
【0139】
あるいは、
図8Bに示す通常の配置で金属酸化物層150を成膜することもできる。この場合、スパッタリングの電力密度を所定値より低くすればよい。例えば、0.7W/cm
2以下の電力密度で反応性スパッタリングを行うことで、酸化物半導体を低抵抗化させることができる金属酸化物層150を形成することができる。
【0140】
[6.効果など]
ここでは、上述した製造方法に基づいて、実際に作製した薄膜トランジスタ100のTFT特性について、
図9を用いて説明する。
図9は、本実施の形態に係る薄膜トランジスタ100の電流−電圧特性を示す図である。
【0141】
ドレイン電圧Vdが0.1Vの場合、及び、10Vの場合のいずれも、ドレイン電流Idは、ゲート電圧Vgが0V付近で急峻に立ち上がっている。また、オン時の電流値と、オフ時の電流値との差であるオン/オフ比も十分に大きい。したがって、本実施の形態に係る薄膜トランジスタ100は、良好なTFT特性が得られたことが分かる。
【0142】
以上のように、本実施の形態に係る薄膜トランジスタ100は、チャネル領域121、並びに、チャネル領域121より抵抗率が低いソース領域122及びドレイン領域123を有する酸化物半導体層120と、酸化物半導体層120の上方に設けられたゲート絶縁層130と、ゲート絶縁層130の上方で、かつ、チャネル領域121に対向する位置に設けられたゲート電極140と、酸化物半導体層120上に設けられ、かつ、ソース領域122及びドレイン領域123に接触する金属酸化物層150とを備え、金属酸化物層150は、酸化物半導体層120に含まれる第1金属より、酸素との結合解離エネルギーが高い第2金属の酸化物を主成分として含み、金属酸化物層150と酸化物半導体層120との界面層160における第2金属に対する酸素の第1濃度比は、金属酸化物層150のバルク層155における第2金属に対する酸素の第2濃度比より大きい。
【0143】
これにより、第2金属の酸素との結合解離エネルギーが第1金属の酸素との結合解離エネルギーより高いので、金属酸化物層150と酸化物半導体層120とが接触すると、酸化物半導体層120に含まれる酸素が金属酸化物層150に引き抜かれる。したがって、金属酸化物層150に接触した酸化物半導体層120のソース領域122及びドレイン領域123に酸素欠損が発生し、ソース領域122及びドレイン領域123を低抵抗化させることができる。よって、ゲート電極140とソース領域122及びドレイン領域123間との寄生容量を小さくすることができる。また、ソース領域122及びドレイン領域123からチャネル領域121までの寄生抵抗を小さくすることができ、より優れたトランジスタ特性を実現することができる。より優れたトランジスタ特性を実現することができる。
【0144】
また、本実施の形態に係る薄膜トランジスタ100の製造方法は、フレキシブル基板110の上方に酸化物半導体層120を形成する工程と、酸化物半導体層120の上方にゲート絶縁層130を形成する工程と、ゲート絶縁層130の上方にゲート電極140を形成する工程と、ゲート電極140を形成した後、加熱処理を行う工程と、加熱処理の後、反応性スパッタリングによって、酸化物半導体層120上に金属酸化物層150を形成することで、酸化物半導体層120の、金属酸化物層150に接触する領域を低抵抗化する工程とを含む。
【0145】
本願発明者らの検討によれば、ゲート電極140を形成した後に、アニール処理を行うことにより、アニール処理を行わない場合と比べて、薄膜トランジスタ100のTFT特性の信頼性を大幅に向上させることができる。
【0146】
なお、TFT特性の信頼性は、バイアス温度ストレス試験によって検証することができる。バイアス温度ストレス試験は、ゲート−ソース間に所定の電圧を印加させる前と後とにおけるTFTの閾値電圧の変化量を測定する試験である。バイアス温度ストレス試験には、ゲート−ソース間電圧が正の場合のPBTS(Positive Bias Temperature Stress)試験と、ゲート−ソース間電圧が負の場合のNBTS(Negative Bias Temperature Stress)試験とがある。
【0147】
本願発明者らは、90℃の温度で、±20Vの電圧をゲート−ソース間に2000秒間印加した。アニールを行わない場合は、TFTの閾値シフト量の絶対値が5V以上であったのに対して、350℃で1時間のアニールを行った場合は、閾値シフト量の絶対値を0.5V以下に低減することができた。
【0148】
また、反応性スパッタリングを用いることで、生産性を高くすると同時に、良質な金属酸化物層150を形成することができる。
【0149】
このとき、例えば、反応性スパッタリングではなく、金属薄膜を成膜した後、成膜した金属薄膜を酸化することで、金属酸化物層150を形成することもできる。例えば、特許文献2では、超薄膜の金属膜を酸化することで、金属酸化膜を形成しているが、このときの酸化が不十分である場合には、ドレイン電流が、酸化されなかった金属部分を介してゲート電極へリークしてしまうという課題がある。
【0150】
特に、大型の基板を用いた場合、必ずしも膜厚及び膜質の面内均一性が良好な金属薄膜が形成されるとは限らない。例えば、膜厚が大きな領域が形成された場合には、金属薄膜が十分に酸化されずに、導電性を有する領域が残る恐れがある。仮に、ゲート電極140と酸化物半導体層120とが導通すると、TFTとして動作しなくなる。
【0151】
また、金属薄膜の膜厚を10nmより小さくすることで、金属薄膜を十分に酸化することはできる。しかしながら、この場合は膜厚が薄すぎるために、面内での膜厚がばらついた場合には、極端に薄い領域が形成され、酸化物半導体層120の低抵抗化ができなくなる恐れがある。
【0152】
例えば、特許文献2では、バイアス温度ストレス試験の結果は良好であるものの、超薄膜の金属膜を半導体層上に形成することが求められる。このため、例えば、ディスプレイの製造プロセスで用いられる大型基板への膜形成が困難であることが分かった。
【0153】
また、特許文献1では、オフセット領域をプラズマに曝すことで、当該オフセット領域の半導体を容易に低抵抗化させることが開示されている。しかしながら、発明者らが検討した結果、プラズマが半導体にダメージを与え、結果として、バイアス温度ストレス試験(高温化での電圧印加試験)において、TFTの閾値電圧が大きくシフトするという課題が発生することが分かった。
【0154】
これらの問題に対して、本実施の形態によれば、反応性スパッタリングによって金属酸化物層150を形成することで、十分な膜厚(具体的には、10nm以上、好ましくは20nm以上)の金属酸化物層150を形成することができる。つまり、金属薄膜の酸化工程を行わないので、膜厚には制限されない。したがって、ゲート電極140と酸化物半導体層120との間の導電対策(リーク対策)も不要である。
【0155】
(他の実施の形態)
以上、1つ又は複数の態様に係る薄膜トランジスタ及びその製造方法、並びに、表示装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本発明の主旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したもの、及び、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0156】
例えば、上記の実施の形態では、チャネル領域121、ソース領域122及びドレイン領域123、ゲート絶縁層130並びにゲート電極140を自己整合的に形成したが、これに限らない。各々を独立したマスクを用いて異なる工程で形成してもよい。
【0157】
また、例えば、上記実施の形態では、酸化物半導体層に用いる酸化物半導体として、IGZOの透明アモルファス酸化物半導体を用いたが、これに限らず、IGO(In−Ga−O)などの多結晶酸化物半導体などを用いてもよい。
【0158】
また、例えば、上記の実施の形態では、薄膜トランジスタ100のチャネル層として酸化物半導体層120を例に挙げたが、これに限らない。
【0159】
また、上記の各実施の形態は、特許請求の範囲又はその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。