特許第6519079号(P6519079)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6519079
(24)【登録日】2019年5月10日
(45)【発行日】2019年5月29日
(54)【発明の名称】モニターヒンジ
(51)【国際特許分類】
   F16C 11/04 20060101AFI20190520BHJP
   G06F 1/16 20060101ALI20190520BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20190520BHJP
【FI】
   F16C11/04 F
   F16C11/04 B
   G06F1/16 312T
   G06F1/16 313F
   H04N5/64 581C
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-116154(P2015-116154)
(22)【出願日】2015年6月8日
(65)【公開番号】特開2017-2969(P2017-2969A)
(43)【公開日】2017年1月5日
【審査請求日】2018年5月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】592264101
【氏名又は名称】下西技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080621
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
(72)【発明者】
【氏名】川野 達実
【審査官】 日下部 由泰
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−133557(JP,A)
【文献】 特開2008−303920(JP,A)
【文献】 特開2004−309680(JP,A)
【文献】 特開2000−347580(JP,A)
【文献】 特開昭63−257813(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 11/00−11/12
G06F 1/16
H04N 5/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部における水平面に固定される第一固定部材と、
前記第一固定部材に対して相対回転不能に固定される第一回動軸と、
前記第一回動軸に対して相対回転不能に固定される第一カムと、
板状のモニターにおける表示面の裏側に形成されたモニター固定面に固定される第二固定部材と、
前記第一回動軸と平行となるように、前記第二固定部材に対して相対回転不能に固定される第二回動軸と、
前記第二回動軸に対して相対回転不能に固定される第二カムと、
前記第一回動軸を介して前記第一固定部材に対して回動可能に連結されるとともに、前記第二回動軸を介して前記第二固定部材に対して回動可能に連結される筒状の連結部材と、
前記第一カムの側に第一カム面が形成され、前記第一カムに対して近接離間する方向に移動可能に、前記連結部材の内部に収容される第一スライダと、
前記第二カムの側に第二カム面が形成され、前記第二カムに対して近接離間する方向に移動可能に、前記連結部材の内部に収容される第二スライダと、
前記第一スライダと前記第二スライダとの間に介挿され、前記第一スライダと前記第二スライダとを互いに離間する方向に付勢する圧縮バネと、を備え、
前記水平面に対する前記連結部材の回動方向と、前記連結部材に対する前記モニター固定面の回動方向とが逆方向となるように、前記連結部材及び前記モニターを回動させることにより、前記水平面と前記モニター固定面とが平行である閉状態と、前記水平面に対して前記モニター固定面が起立する開状態と、の間で遷移可能に、前記モニターと前記固定部とを連結するモニターヒンジであって、
前記第一カムは、前記水平面からの前記連結部材の回動領域の全域において、前記第一スライダを介して前記圧縮バネからの付勢力を受けることにより、前記連結部材が前記水平面から離間する回動を補助し、
前記第二カムは、前記連結部材からの前記モニター固定面の回動領域のうち、前記モニター固定面の開放側終端部において、前記第二スライダを介して前記圧縮バネからの付勢力を受けることにより、前記モニター固定面が前記連結部材から離間する回動を補助する、モニターヒンジ。
【請求項2】
前記モニター固定面の前記連結部材からの最大回動角度と、前記連結部材の前記水平面からの最大回動角度と、の差が90度未満に設定される、請求項1に記載のモニターヒンジ。
【請求項3】
前記第一スライダ、前記第二スライダ、及び、前記圧縮バネは、それぞれが前記第一回動軸の軸心方向に並んで複数組配設される、請求項1又は請求項2に記載のモニターヒンジ。
【請求項4】
前記連結部材には、該連結部材の軸心方向にケーブル挿通孔が開口されたガイド部材が配設される、請求項1から請求項3の何れか1項に記載のモニターヒンジ。
【請求項5】
前記連結部材には、該連結部材を被覆するカバーが配設され、
前記カバーが前記第二固定部材と当接することにより、前記第二固定部材と前記連結部材との回動を規制する、請求項1から請求項4の何れか1項に記載のモニターヒンジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば事務機器等の固定部に、板状のモニターを連結するモニターヒンジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ノート型PC等の事務機器の多くは、その固定部の上面に板状のモニターを具備するとともに、モニターを固定部に対して閉じた状態(閉状態)と開いた状態(開状態)とで遷移可能に構成されている。この際、モニターはモニターヒンジを介して固定部と連結され、モニターヒンジが回動することによってモニターが固定部に対して開閉可能とされる(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−122447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の如く従来技術に係るモニターヒンジにおいては、固定部側とモニター側との両方に回動支持部を設ける構成としている。また、モニターヒンジは、モニターの自重を支えたり、タッチパネル式のモニターに使用者がタッチした際の揺れを防止したりする必要がある。このため、従来技術においては、固定部側及びモニター側の回動支持部にトーションバネを配設して、モニターに対して付勢力を付与する構成が用いられる場合がある。しかし、モニターヒンジで充分な付勢力を付与するためには、双方の回動支持部にトーションバネを配設する必要があり、構成が大がかりになるため、モニターヒンジをコンパクト化することが困難であった。
【0005】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、モニターに対して充分な付勢力を付与しつつ、コンパクト化することが可能なモニターヒンジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下では、上記課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち、請求項1においては、固定部における水平面に固定される第一固定部材と、前記第一固定部材に対して相対回転不能に固定される第一回動軸と、前記第一回動軸に対して相対回転不能に固定される第一カムと、板状のモニターにおける表示面の裏側に形成されたモニター固定面に固定される第二固定部材と、前記第一回動軸と平行となるように、前記第二固定部材に対して相対回転不能に固定される第二回動軸と、前記第二回動軸に対して相対回転不能に固定される第二カムと、前記第一回動軸を介して前記第一固定部材に対して回動可能に連結されるとともに、前記第二回動軸を介して前記第二固定部材に対して回動可能に連結される筒状の連結部材と、前記第一カムの側に第一カム面が形成され、前記第一カムに対して近接離間する方向に移動可能に、前記連結部材の内部に収容される第一スライダと、前記第二カムの側に第二カム面が形成され、前記第二カムに対して近接離間する方向に移動可能に、前記連結部材の内部に収容される第二スライダと、前記第一スライダと前記第二スライダとの間に介挿され、前記第一スライダと前記第二スライダとを互いに離間する方向に付勢する圧縮バネと、を備え、前記水平面に対する前記連結部材の回動方向と、前記連結部材に対する前記モニター固定面の回動方向とが逆方向となるように、前記連結部材及び前記モニターを回動させることにより、前記水平面と前記モニター固定面とが平行である閉状態と、前記水平面に対して前記モニター固定面が起立する開状態と、の間で遷移可能に、前記モニターと前記固定部とを連結するモニターヒンジであって、前記第一カムは、前記水平面からの前記連結部材の回動領域の全域において、前記第一スライダを介して前記圧縮バネからの付勢力を受けることにより、前記連結部材が前記水平面から離間する回動を補助し、前記第二カムは、前記連結部材からの前記モニター固定面の回動領域のうち、前記モニター固定面の開放側終端部において、前記第二スライダを介して前記圧縮バネからの付勢力を受けることにより、前記モニター固定面が前記連結部材から離間する回動を補助するものである。
【0008】
請求項2においては、前記モニター固定面の前記連結部材からの最大回動角度と、前記連結部材の前記水平面からの最大回動角度と、の差が90度未満に設定されるものである。
【0009】
請求項3においては、前記第一スライダ、前記第二スライダ、及び、前記圧縮バネは、それぞれが前記第一回動軸の軸心方向に並んで複数組配設されるものである。
【0010】
請求項4においては、前記連結部材には、該連結部材の軸心方向にケーブル挿通孔が開口されたガイド部材が配設されるものである。
【0011】
請求項5においては、前記連結部材には、該連結部材を被覆するカバーが配設され、前記カバーが前記第二固定部材と当接することにより、前記第二固定部材と前記連結部材との回動を規制するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るモニターヒンジは、モニターに対して充分な付勢力を付与しつつ、コンパクト化することが可能となる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係るモニターヒンジ、モニター、及び固定部を示す右側面図。
図2】同じくモニターヒンジを示す斜視図。
図3】同じくモニターヒンジを示す平面図。
図4】カバーを外した状態のモニターヒンジを示す平面図。
図5】同じくモニターヒンジを示す正面図。
図6】(a)は同じくモニターヒンジを示す右側面図、(b)は図5におけるA−A線断面図。
図7】第一回動状態におけるモニターヒンジ、モニター、及び固定部を示す右側面図。
図8】第一回動状態におけるモニターヒンジを示す右側面図。
図9】第一回動状態におけるモニターヒンジを示す断面図。
図10】第二回動状態におけるモニターヒンジ、モニター、及び固定部を示す右側面図。
図11】第二回動状態におけるモニターヒンジを示す右側面図。
図12】第二回動状態におけるモニターヒンジを示す断面図。
図13】第三回動状態におけるモニターヒンジ、モニター、及び固定部を示す右側面図。
図14】第三回動状態におけるモニターヒンジを示す右側面図。
図15】第三回動状態におけるモニターヒンジを示す断面図。
図16】本発明の別実施形態に係るモニターヒンジを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
まず、図1から図6を用いて、本実施形態に係るモニターヒンジ1について説明する。モニターヒンジ1は、固定部2とタッチパネル式のモニター3とを連結する。具体的には図1に示す如く、固定部2における水平面2aと、モニター3における表示面3aの裏側に形成されたモニター固定面3bと、を連結する。そして、モニターヒンジ1は、水平面2aとモニター固定面3bとが平行である閉状態(図1を参照)と、水平面2aに対してモニター固定面3bが起立する開状態(図13を参照)と、の間で遷移可能とされている。なお、本実施形態において、モニター固定面3bに接続されている各種ケーブルについては図示及び説明を省略している。
【0015】
モニターヒンジ1は図1から図6に示す如く、主な構成部材として、第一固定部材11(11R・11L)と、第一回動軸12と、第一カム13と、第二固定部材21(21R・21L)と、第二回動軸22と、第二カム23と、連結部材31と、第一スライダ33と、第二スライダ34と、圧縮バネ35(35a・35b・35c)と、カバー41と、を備える。以下、順に説明する。
【0016】
第一固定部材11は、右側第一固定部材11Rと左側第一固定部材11Lとで構成され、それぞれが一枚の金属板をL字状に折り曲げて形成される。右側第一固定部材11R及び左側第一固定部材11Lにはそれぞれ、後述する如く第一回動軸12を支持する第一固定面11aが形成されている。
【0017】
第一固定部材11が固定部2における水平面2aに固定されることにより、第一固定面11a・11aは水平面2aに対して直交しつつ互いに平行となる位置に対向して配置される。第一固定面11aには、ガイド溝11bが第一固定面11aを貫通して開口されている。
【0018】
第一回動軸12は第一固定部材11に対して相対回転不能に固定される。具体的には、第一回動軸12は第一固定面11a・11aの双方に挿通されることにより、右側第一固定部材11R及び左側第一固定部材11Lの間に架け渡される。
【0019】
第一回動軸12に対しては、第一カム13が固定される。具体的には図6(b)に示す如く、第一カム13には軸方向に貫通する挿通孔13aが形成されており、この挿通孔13aに第一回動軸12を挿通した状態で第一回動軸12が第一固定部材11に固定されるのである。挿通孔13a及び第一回動軸12の挿通部分は非円形状に形成されているため、第一カム13は第一回動軸12に対して相対回転不能となる。また、同様に第一固定部材11と第一回動軸12も相対回転不能に固定されているため、第一カム13は第一固定部材11に対しても相対回転不能に配設されている。
【0020】
第二固定部材21は、右側第二固定部材21Rと左側第二固定部材21Lとで構成され、それぞれが一枚の金属板をL字状に折り曲げて形成される。右側第二固定部材21R及び左側第二固定部材21Lにはそれぞれ、後述する如く第二回動軸22を支持する第二固定面12aが形成されている。
【0021】
第二固定部材21がモニター3におけるモニター固定面3bに固定されることにより、第二固定面21a・21aはモニター固定面3bに対して直交しつつ互いに平行となる位置に対向して配置される。第二固定面21aの前側端部には当接部21bが形成されている。
【0022】
第二回動軸22は第二固定部材21に対して相対回転不能に、第一回動軸12と平行となるように固定される。具体的には、第二回動軸22は第二固定面21a・21aの双方に挿通されることにより、右側第二固定部材21R及び左側第二固定部材21Lの間に架け渡される。
【0023】
第二回動軸22に対しては、第二カム23が固定される。具体的には図6(b)に示す如く、第二カム23には軸方向に貫通する挿通孔23aが形成されており、この挿通孔23aに第二回動軸22を挿通した状態で第二回動軸22が第二固定部材21に固定されるのである。挿通孔23a及び第二回動軸22の挿通部分は非円形状に形成されているため、第二カム23は第二回動軸22に対して相対回転不能となる。また、同様に第二固定部材21と第二回動軸22も相対回転不能に固定されているため、第二カム23は第二固定部材21に対しても相対回転不能に配設されている。
【0024】
第一固定部材11には、第一回動軸12を介して筒状の連結部材31の一端部が第一固定部材11に対して回動可能に連結される。また、第二固定部材21には、第二回動軸22を介して連結部材31の他端部が第二固定部材21に対して回動可能に連結される。これにより、第二固定部材21が第一固定部材11に対して回動可能に連結される。即ち、固定部2に対してモニター3が回動可能に連結されるのである。図2から図4に示す如く、連結部材31の後部には、左右の外側に突出する係合突起36・36が形成されている。係合突起36は、第一固定部材11のガイド溝11bに挿入されることによりガイド溝11bと係合する。これにより、第一固定部材11に対する連結部材31の回動角度が規制される(図8及び図9を参照)。本実施形態においては図2及び図5に示す如く、連結部材31は角筒状に形成されているが、連結部材31を円筒状に構成しても差し支えない。
【0025】
連結部材31には、連結部材31の上面及び両側面を被覆するカバー41が配設される。連結部材31に対して第二固定部材21が回動した際、カバー41に第二固定部材21の当接部21bが当接することにより、連結部材31に対する第二固定部材21の回動角度が規制される。(図14を参照)。なお、当接部21bを連結部材31に当接させることにより、連結部材31に対する第二固定部材21の回動角度を規制する構成とすることも可能である。
【0026】
連結部材31の内部における第一固定部材11の側には、第一スライダ33が収容される。第一スライダ33は第一カム13に対して近接離間する方向に移動可能に、連結部材31に収容されている。第一スライダ33における第一カム13の側には第一カム面33aが形成されている。
【0027】
連結部材31の内部における第二固定部材21の側には、第二スライダ34が収容される。第二スライダ34は第二カム23に対して近接離間する方向に移動可能に、連結部材31に収容されている。第二スライダ34における第二カム23の側には第二カム面34aが形成されている。
【0028】
連結部材31の内部において、第一スライダ33と第二スライダ34との間には、圧縮バネ35(詳細には、三本の圧縮バネ35a・35b・35c)が介挿される。圧縮バネ35の付勢力により、第一スライダ33と第二スライダ34とは互いに離間する方向に付勢されている。
【0029】
本実施形態に係るモニターヒンジ1によれば、水平面2aに対する連結部材31の回動方向(右側面視で反時計回り)と、連結部材31に対するモニター固定面3bの回動方向(右側面視で時計回り)とが逆方向となるように、連結部材31及びモニター3を回動させることができる。これにより、図1に示す如く水平面2aとモニター固定面3bとが平行である閉状態と、図13に示す如く水平面2aに対してモニター固定面3bが起立する開状態と、の間で遷移可能としている。
【0030】
次に、図7から図15を用いて、モニターヒンジ1を閉状態から開状態に遷移させる手順について説明する。使用者はまず、図7から図9に示す如く、連結部材31を第一固定部材11に対して第一回動軸12回りに回動させる。この際、水平面2aに対する連結部材31の回動角度は、各図に示した第一仮想線S1(水平面2a上にあり、平面視で第一回動軸12の軸心方向と直交する直線)と第二仮想線S2(連結部材31の軸心方向の直線)とがなす角度で表される。本実施形態においては各図に示す如く、水平面2aに対する連結部材31の第一最大回動角度(係合突起36がガイド溝11bの一端側と当接するときの角度)α1は30°程度に設定される。
【0031】
本実施形態において、第一カム13は図6(b)及び図9に示す如く、水平面2aからの連結部材31の回動領域の全域(即ち、回動角度が0°からα1となるまで)において、第一スライダ33を介して圧縮バネ35からの付勢力を受けている。より具体的には、第一カム13は一部分が半径方向外側に突出して形成され、第一スライダ33の第一カム面33aは、下側に向かうに従って第一カム13から離間するように、第一スライダ33の移動方向に対して斜めに形成されている。そして、連結部材31が回動した際には、連結部材31の水平面2aからの回動角度が0°からα1となるまで、第一スライダ33が第一回動軸12に近接する。これにより、第一カム13は回動領域の全域において、連結部材31が水平面2aから離間する回動を補助する。
【0032】
使用者は次に、図10から図12に示す如く、モニター3及び第二固定部材21を連結部材31に対して第二回動軸22回りに回動させる。この際、連結部材31に対するモニター固定面3bの回動角度は、各図に示した第二仮想線S2と第三仮想線S3(モニター固定面3b上にあり、閉状態における平面視で第二回動軸22の軸心方向と直交する直線)とがなす角度で表される。
【0033】
本実施形態においては図9及び図12に示す如く、第二カム23及び第二スライダ34の第二カム面34aの形状は、連結部材31に対するモニター固定面3bの回動角度が0°から所定角度β1となるまで、第二スライダ34と第二回動軸22との距離は変化しないように形成されている。
【0034】
さらに、使用者が図12及び図15に示す如くモニター3及び第二固定部材21を回動させると、連結部材31に対するモニター固定面3bの回動角度が所定角度β1から第二最大回動角度(当接部21bがカバー41と当接するときの角度)β2となるまで、第二スライダ34と第二回動軸22との距離が小さくなるように形成されている。
【0035】
より具体的には、第二カム23は、連結部材31に対するモニター固定面3bの回動角度が0°から所定角度β1となるまでの部分が外側に突出する円弧状に形成され、第二スライダ34の第二カム面34aは、上部が上側に向かうに従って第二カム23から離間するように、第二スライダ34の移動方向に対して斜めに形成され、下部が第二スライダ34の移動方向に対して直交するように形成されている。このため、第二カム23は、連結部材31からのモニター固定面3bの回動領域のうち、モニター固定面3bの開放側終端部において、第二スライダ34を介して圧縮バネ35からの付勢力を受け、モニター固定面3bが連結部材31から離間する回動を補助している。これにより、開状態においてモニター3の自重を支えるとともに、タッチパネル式のモニター3に使用者がタッチした際の揺れ等を防止している。
【0036】
本実施形態において、所定角度β1は90°程度に設定され、第二最大回動角度β2は105°程度に設定される。即ち、本実施形態において、開状態におけるモニター固定面3bは水平面2aに対して、第二最大回動角度β2と第一最大回動角度α1との差である75°程度だけ起立する。このように、第二最大回動角度β2と、第一最大回動角度α1と、の差は90度未満に設定されている。即ち、開状態においてモニター3は表示面3aが前方のやや上方に向くように配置される。
【0037】
本実施形態に係るモニターヒンジ1においては上記の如く、連結部材31に第一スライダ33、第二スライダ34及び圧縮バネ35を収容し、第一回動軸12に配設した第一カム13及び第二回動軸22に配設した第二カム23を介して付勢力を付与する構成としている。これにより、モニターヒンジ1における回動支持部の構成を簡素化することができるため、モニターヒンジ1をコンパクト化することができる。また、圧縮バネ35の本数及びバネ強度を調整することにより、モニターヒンジ1による付勢力を容易に変更することができる。
【0038】
また、第二カム23が、連結部材31からのモニター固定面3bの回動領域のうち、モニター固定面3bの開放側終端部のみでモニター固定面3bが連結部材31から離間する回動を補助する構成としている。即ち、第二カム23は連結部材31に対するモニター固定面3bの回動角度が所定角度β1となるまではモニター固定面3bの回動を補助しないため、閉状態におけるモニター3の浮き上がりを防止することができる。
【0039】
次に、図16を用いて、別実施形態に係るモニターヒンジ101について説明する。モニターヒンジ101は、図1に示すモニターヒンジ1と同様に、固定部2とタッチパネル式のモニター3とを連結する。
【0040】
モニターヒンジ101は図16に示す如く、主な構成部材として、第一固定部材111(111R・111L)と、第一回動軸112と、第一カム113・113と、第二固定部材121(121R・121L)と、第二回動軸122と、第二カム123・123と、連結部材131R・131Lと、第一スライダ133R・133Lと、第二スライダ134R・134Lと、圧縮バネ135a・135bと、ガイド部材137R・137Lと、を備える。以下、順に説明する。
【0041】
第一固定部材111は、右側第一固定部材111Rと左側第一固定部材111Lとで構成され、それぞれが一枚の金属板をL字状に折り曲げて形成される。第一固定部材111は固定部2における水平面2aに固定される。
【0042】
第一回動軸112は第一固定部材111に対して相対回転不能に固定される。具体的には、第一回動軸112は右側第一固定部材111Rと左側第一固定部材111Lとに挿通されて、右側第一固定部材111R及び左側第一固定部材111Lの間に架け渡される。
【0043】
第一回動軸112に対しては、二個の第一カム113・113が相対回転不能に固定される。また、同様に第一固定部材111と第一回動軸112も相対回転不能に固定されているため、第一カム113は第一固定部材111に対しても相対回転不能に配設されている。
【0044】
第二固定部材121は、右側第二固定部材121Rと左側第二固定部材121Lとで構成され、それぞれが一枚の金属板をU字状に折り曲げて形成される。第二固定部材121はモニター3におけるモニター固定面3bに固定される。右側第二固定部材121R及び左側第二固定部材121Lの左右の外側には、ケーブル挿通孔121b・121bが開口されている。
【0045】
第二回動軸122は第二固定部材121に対して相対回転不能に、第一回動軸112と平行となるように固定される。具体的には、第二回動軸122は右側第二固定部材121R及び左側第二固定部材121Lの双方に挿通されることにより、右側第二固定部材121R及び左側第二固定部材121Lの間に架け渡される。
【0046】
第二回動軸122に対しては、二個の第二カム123・123が相対回転不能に固定される。また、同様に第二固定部材121と第二回動軸122も相対回転不能に固定されているため、第二カム123は第二固定部材121に対しても相対回転不能に配設されている。
【0047】
第一固定部材111には、第一回動軸112を介して、相対変位不能に連結された二本の筒状の連結部材131R・131Lの一端部が第一固定部材111に対して回動可能に連結される。また、第二固定部材121には、第二回動軸122を介して連結部材131R・131Lの他端部が第二固定部材121に対して回動可能に連結される。これにより、第二固定部材121が第一固定部材111に対して回動可能に連結される。即ち、固定部2に対してモニター3が回動可能に連結されるのである。
【0048】
連結部材131R・131Lの左右の外側には、連結部材131R・131Lの軸心方向にケーブル挿通孔137a・137aが開口されたガイド部材137R・137Lが配設される。ケーブル挿通孔137a・137aは、モニター3に接続される図示しないケーブルを挿通可能とされる。
【0049】
連結部材131R・131Lの内部における第一固定部材111の側には、第一スライダ133R・133Lが収容される。第一スライダ133R・133Lはそれぞれ、第一カム113に対して近接離間する方向に移動可能に、連結部材131R・131Lに収容されている。第一スライダ133R・133Lにおける第一カム113の側には第一カム面が形成されている。
【0050】
連結部材131R・131Lの内部における第二固定部材121の側には、第二スライダ134R・134Lが収容される。第二スライダ134R・134Lはそれぞれ、第二カム123に対して近接離間する方向に移動可能に、連結部材131R・131Lに収容されている。第二スライダ134R・134Lにおける第二カム123の側には第二カム面が形成されている。
【0051】
連結部材131R・131Lの内部において、第一スライダ133R・133Lと第二スライダ134R・134Lとの間には、圧縮バネ135a・135bが介挿される。圧縮バネ135a・135bの付勢力により、第一スライダ133R・133Lと第二スライダ134R・134Lとは互いに離間する方向に付勢されている。
【0052】
本実施形態に係るモニターヒンジ101によれば、水平面2aに対する連結部材131R・131Lの回動方向(右側面視で反時計回り)と、連結部材131R・131Lに対するモニター固定面3bの回動方向(右側面視で時計回り)とが逆方向となるように、連結部材131R・131L及びモニター3を回動させることができる。これにより、前記実施形態と同様に、水平面2aとモニター固定面3bとが平行である閉状態と、水平面2aに対してモニター固定面3bが起立する開状態と、の間で遷移可能としている。モニターヒンジ101を閉状態から開状態に遷移させる手順については前記実施形態と同様であるため、その説明は省略する。
【0053】
本実施形態に係るモニターヒンジ101においては上記の如く、第一スライダ133R・133L、第二スライダ134R・134L、及び、圧縮バネ135a・135bが、第一回動軸112の軸心方向(左右方向)に並んで二組配設される。これにより、それぞれで生じる付勢力を調整することが容易となる。なお、本実施形態においては第一スライダ、第二スライダ、及び、圧縮バネを二組配設したが、一組又は三組以上設ける構成とすることも可能である。
【0054】
本実施形態に係るモニターヒンジ101において、連結部材131R・131Lの左右の外側に、ケーブル挿通孔137a・137aが開口されたガイド部材137R・137Lが配設される。これにより、モニター3に接続される図示しないケーブルをケーブル挿通孔137a・137aに挿通可能とし、ケーブルの取り回しを容易にしている。
【符号の説明】
【0055】
1 モニターヒンジ
2 固定部
2a 水平面
3 モニター
3b モニター固定面
11 第一固定部材
12 第一回動軸
13 第一カム
21 第二固定部材
22 第二回動軸
23 第二カム
31 連結部材
33 第一スライダ
34 第二スライダ
35 圧縮バネ
図1
図2
図3
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図5
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