(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記本体部が前記収容部に収容されたときの前記ガスセンサの出力値に基づいて前記換気部の稼働時間、または前記換気部の稼働時の風量を制御する、請求項1または2記載のガス測定装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照し、本発明のガス測定装置(利用者の呼気中の特定のガス成分を測定する装置)のいくつかの実施形態について説明する。必要に応じてXYZ座標系を用いて図示および説明を行う。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態におけるガス測定装置1の外観構成を示す六面図である。ガス測定装置1は、例えば、本体部10と、収容部(クレードル)100とを備える。
本体部10は、利用者の呼気中の特定のガス成分を測定するガスセンサを備えた測定器である。ガス成分の測定時、本体部10は、収容部100から取り出された状態で使用される。測定終了後、本体部10は、
図1における−X方向に向かって収容部100の挿入部103に挿入されて、ガスセンサの出力値の制御動作が行われる。
図1は、本体部10が、収容部100の挿入部103に挿入された状態を示している。本体部10については後述する。
【0012】
収容部100は、本体部10を収容したときに、本体部10に備えられたガスセンサの出力値を安定化させるためのものである。収容部100は、本体部10を収容するための挿入部103を有する。さらに、収容部100は、その筐体の側面に収容部100の内部と外部とを連通させる孔部とし、収容部100の外部の空気を収容部の内部に取り込むための第1孔部101と、収容部の内部の空気を収容部の外部に排出するための第2孔部102とを有する。また、挿入部103には、本体部10の内部の空間と収容部100の内部の空間とを連通するための第1連通口110および第2連通口120が設けられている。
第1実施形態では、第1孔部101および第2孔部102が収容部100の筐体の同一の側面に設けられた例を説明するが、第1孔部101および第2孔部102は、筐体の上面や下面に設けてもよいし、一方の孔部と他方の孔部とを各々筺体の別面に設けてもよい。また、第1実施形態では、孔部は2つとしたが、1つでもよいし、3つ以上であってもよい。
また、収容部100は、本体部10内に設けられたガスセンサの測定結果を外部に出力するための端部であるコネクタ140を有する。例えば、コネクタ140には、表示機器Dと電気的に接続されたUSBケーブル等が接続される。表示機器Dは、例えば、携帯電話、携帯情報端末(Personal Data Assistance)、パーソナルコンピュータなどである。表示機器Dは、設定画面、測定結果を示す画面などにより、利用者に対して各種情報を表示する。本体部100と、表示機器Dとは、例えば、BLUETOOTH(登録商標)などにより、無線接続されてもよい。
【0013】
図2は、第1実施形態における本体部10の外観構成図である。
図2の左図は、本体部10を表側から見た図であり、右図は本体部10を裏側から見た図である。本体部10は、利用者の呼気を吹き込むための吹き込み口11と、吹き込み口11から吹き込まれた利用者の呼気を排出するための排出口12とを備える。排出口12は、吹き込み口11の裏側に設けられている。
吹き込み口11には取り付け取り外し可能な中空構造のアタッチメント(図示省略)が挿入状態で取り付けられ、更に、アタッチメントにはストロー(図示省略)が装着され、吹き込み口11にはストローおよびアタッチメントを介して利用者の呼気が吹き込まれる。
なお、ストローを装着しない形態のアタッチメントとし、吹き込み口11はそのアタッチメントを介して利用者の呼気が吹き込まれるものとしてもよい。また更に、アタッチメントも取り付けしない形態の吹き込み口11とし、その吹き込み口11はアタッチメントも介さず直接的に利用者の呼気が吹き込まれるものとしてもよい。
また、吹き込み口11と排出口12とは、パイプ60(後述)により接続されている。
【0014】
吹き込み口11および排出口12は、本体部10が収容部100に収容されたときに、それぞれ収容部に設けられた連通口110および連通口120と連通し、本体部10の内部の空間は、収容部100の内部の空間に連通される。
【0015】
図1に示すように、本体部10と収容部100とはケーブル130で接続される。ケーブル130は、収容部側において、換気部(後述)および収容部100のコネクタ140と接続されている。本体部10から換気部(後述)への制御信号は、このケーブル130経由で送信される。ケーブル130は、本体部10および収容部100から取り外し可能なケーブルであってもよい。本体部10は、ケーブル130および収容部100のコネクタ140に接続されたUSBケーブル等を介して外部の表示機器Dに接続される。
【0016】
図3は、第1実施形態における本体部10の内部構成を示す透視図である。本体部10には、着脱可能(交換可能)な半導体式ガスセンサユニット(第1ガスセンサユニット)20が取り付けられる。
図4は、半導体式ガスセンサ24と吹き込み口11から連通するパイプ60との接続部の状態を示す部分断面図である。半導体式ガスセンサユニット20は、本体部10に嵌合可能な筐体21の内部に、センサ基板23、半導体式ガスセンサ24、および電子部品(例えば、記憶部品)22を収容している。センサ基板23の一方の側には半導体式ガスセンサ24が搭載され、他方の側には電子部品22が搭載される。半導体式ガスセンサ24は、筐体21に設けられた孔部21Aを介して筐体21の外部に先端部を突出させる。半導体式ガスセンサ24は、その先端部がパイプ60に挿入されている。半導体式ガスセンサ24の先端部は筒状となっておりその内側に設けられた検知面には、酸化スズ(SnO
2)などが形成されており、アセトンなどの検出対象ガス、あるいはその他の干渉ガスが触れると電気抵抗が低下するようになっている。また、半導体式ガスセンサ24は、測定時に検知面の感度をあげるためのヒータおよび電極を備える。半導体式ガスセンサ24は、検知面における電気抵抗の低下に基づいて、検出対象ガスの濃度を検出する。
なお、第1実施形態においては、半導体式ガスセンサを備えることとしたが、IR(Infrared)吸収センサや膜型表面応力センサ等、他の方式のセンサでもいい。
【0017】
利用者の呼気には、ケトン体、エタノール、アセトアルデヒドなどの様々な種類のガスが含まれる。半導体式ガスセンサ24は、例えば、ケトン体の一種であるアセトンに対して高い感度を示す。アセトンは、脂質代謝の副産物であり、呼気におけるアセトンの濃度は脂質代謝の量を示す指標値となる。体内に糖質エネルギーが十分に存在する場合には、脂肪が燃焼されないため呼気におけるアセトンの濃度は低くなり、体内に糖質エネルギーが不足すると、脂肪が燃焼されるため呼気におけるアセトンの濃度は高くなる。
【0018】
本体部10の表面および半導体式ガスセンサユニット20の筐体21は、例えば、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂やポリカーボネードなどで形成される。
【0019】
本体部10は、第2ガスセンサユニット40をさらに備える。第2ガスセンサユニット40は、第2ガスセンサ41と、ソレノイドバルブ42とを備える。また、パイプ60には、その内空間と外空間とを繋ぐパイプ60Aが設けられており、このパイプ60Aと第2ガスセンサ41とがチューブ30により接続される。第2ガスセンサ41は、半導体式ガスセンサ24とは被毒寿命が異なるセンサである。ソレノイドバルブ42は、例えば、吹き込み口11に連通する本体部10内部の空間の圧力を測定する圧力センサ70(
図6参照)が基準値以上の圧力を検出してから所定時間(例えば数[sec]程度)経過後に作動し、第2ガスセンサ41の内部に負圧を発生させる。これによって、吹き込み口11に吹き込まれた呼気がパイプ60、パイプ60A、およびチューブ30を介して第2ガスセンサ41の内部に取り込まれる。なお、ソレノイドバルブ42が、圧力センサ70が基準値以上の圧力を検出してから所定時間経過後に作動することで、終末呼気を第2ガスセンサ41に取り込むことができる。
【0020】
また、本体部10は、メイン基板50を備える。
図5は、第1実施形態における本体部10を側面から(
図3における−X方向から)見た透視図である。メイン基板50には、後述するCPU(Central Processing Unit)73(制御部)などが搭載される。
図6は、第1実施形態における本体部10の制御関係の構成図である。本体部10は、前述した構成の他、例えば、タイマ71、電源72、ROM(Read Only Memory)74、RAM(Random Access Memory)75、および外部インターフェース76を備える。これらの構成要素は、I/O80を介して通信可能に接続されている。CPU73は、本体部10の各部を制御する。CPU73は、例えば、半導体式ガスセンサ24の検出値と第2ガスセンサ41の検出値の双方を加味して、本体部10の測定結果を確定する処理を行う。さらに、CPU73は、本体部10が収容部100に収容されたときに、収容部100に設けられた換気部の動作を制御する。ROM74には、CPU73が実行するプログラムなどが格納されている。RAM75は、例えば、CPU73が処理を行う際のワーキングメモリである。
【0021】
図7は、第1実施形態における収容部100の内部構成を示す断面図である。
図7は、
図1におけるガス測定装置1を7−7面に沿って切断した場合の断面図を示している。収容部100は、例えば、その筐体の内部に、吸着剤を収容するための第1吸着剤収容部104および第2吸着剤収容部105を備える。第1吸着剤収容部104および第2吸着剤収容部105の各々の内部には、活性炭などのガス吸着剤が収容される。活性炭に代えて(または加えて)、ゼオライト、モレキュラーシーブ、シリカゲルなどのガス吸着剤が収容されてもよい。
【0022】
さらに、収容部100は、例えば、その筐体の内部に、第1換気部106と、第2換気部107とを備える。第1換気部106は、収容部100の外部の空気を収容部100の内部に取り込む。第1換気部106は、例えば、第1孔部101に近接して配置されている。第2換気部107は、収容部100の内部の空気を収容部100の外部に排出する。第2換気部107は、例えば、第2孔部102に近接して配置されている。第1換気部106および第2換気部107は、例えば、ファンまたはポンプ、或いはその他の換気装置である。
【0023】
第1吸着剤収容部104は、例えば、第1換気部106に近接して配置されている。第1吸着剤収容部104に収容される吸着剤は、第1換気部106の稼働時に、収容部100の外部から取り込まれる空気の中からガスセンサの安定化を妨げる阻害ガスを除去する。また、この吸着剤は、第1換気部106の停止時に、収容部100の内部に存在する阻害ガスあるいは第1孔部101を介して外部から収容部100の内部に流入する阻害ガスを除去することもできる。
【0024】
第2吸着剤収容部105は、例えば、第2換気部107に近接して配置されている。第2吸着剤収容部105に収容される吸着剤は、第2換気部107が停止しているときに、第2孔部102を介して外部から収容部100の内部に流入する阻害ガスを除去する。
【0025】
第1実施形態においては、収容部100の内部に2つの吸着剤収容部を設ける例を説明するが、収容部100の内部に1つあるいは3つ以上の吸着剤収容部を設けてもよい。また、第1実施形態においては、第1換気部106が第1孔部101と第1吸着剤収容部104との間に配置され、第2換気部107が第2孔部102と第2吸着剤収容部105との間に配置される例を説明するが、第1吸着剤収容部104が第1孔部101と第1換気部106との間に配置され、第2吸着剤収容部105が第2孔部102と第2換気部107との間に配置されてもよい。また、第1実施形態においては、2つの換気部を設ける構成としたが、換気部は1つあるいは3つ以上でもよい。また、第1実施形態においては、換気部は孔部に近接して配置したが、連通口110または連通口120に近接した位置、つまり、本体部10に近接した位置に配置してもよい。また、第1実施形態においては、収容部100に設けた吸着剤収容部に吸着剤を収容する構成としたが、吸着剤収容部を設けずに、孔部にシャッター部を配設し、シャッター部の開閉により、収容部100の内部と外部とを連通させた状態と、収容部100の内部を密閉する状態とを切り替え可能な構成としてもよい。このような構成によれば、換気部の停止時あるいはガス測定装置の電源オフ時に、使用者がシャッター部を閉めることによって、収容部内部が密閉されるため、外部から阻害ガスが収容部の内部に流入することを防止することができる。また、換気部の停止あるいはガス測定装置の電源のオフに連動して、自動的にシャッター部を閉める構成としてもよい。さらに、換気部の駆動あるいはガス測定装置の電源のオンに連動して、自動的にシャッター部を開く構成としてもよい。
【0026】
収容部100に設けられた挿入部103には、着脱センサ108が設けられている。着脱センサ108は、本体部10が挿入部103に挿入されたときに接触子同士が接触することで通電し、電気信号を出力する電気式の着脱センサであってよい。あるいは、着脱センサ108は、本体部10が挿入部103に挿入されたときに挿入部103内で照射されていた光を本体部10が遮ることにより電気信号を出力する光学式の着脱センサであってよい。
【0027】
以下において、第1実施形態におけるガス測定装置1の動作について説明する。
図8は、第1実施形態の測定動作時におけるガス測定装置1の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0028】
まず、本体部10のCPU73は、利用者の呼気が吹き込まれたか否かを判断する(ステップS100)。具体的には、吹き込み口11に連通する本体部10内部の空間の圧力を測定する圧力センサ70が基準値以上の圧力を検出したか否かを判断する。圧力センサ70が基準値以上の圧力を検出した場合、CPU73は、例えば、半導体式ガスセンサ24および第2ガスセンサ41の双方の出力値を取得し、RAM75に記憶させる(ステップS110)。圧力センサ70が基準値以上の圧力を検出しなかった場合、利用者の呼気の吹き込みの検知が継続される。
【0029】
次に、CPU73は、取得した半導体式ガスセンサ24および第2ガスセンサ41の双方の出力値を用いて、ガスセンサの測定結果を導出する(ステップS120)。例えば、CPU73は、下記の式(1)に基づいて、ガスセンサの測定結果Concを導出する。式中、C1は半導体式ガスセンサ24の検出値であり、C2は第2ガスセンサ41の検出値である。また、k1、k2は係数であり、実験などにより予め求められた最適値が使用される。k2は、例えば負の値に設定される。なお、式(1)に代えて、C1およびC2を使用した二次以上の多項式によってガスセンサの測定結果Concを導出してもよいし、C1およびC2を座標とするマップによってガスセンサの測定結果Concを導出してもよい。また、利用者の性別や年齢、体格に応じて、ガス測定装置1の測定結果Concを導出するためのパラメータ(一例として係数k1、k2)を補正してもよい。また、半導体式ガスセンサ24および第2ガスセンサ41のいずれか一方の出力値を用いて測定結果を導出してもよい。
Conc=k1×C1+k2×C2 ‥(1)
【0030】
次に、CPU73は、導出された測定結果Concを、外部インターフェース76を使用し、ケーブル130および収容部100のコネクタ140に接続されたUSBケーブル等を介して外部の表示機器Dに出力する(ステップS130)。この結果、表示機器Dは、本体部10で導出された測定結果Concを利用者に表示する。以上により、本フローチャートの処理を終了する。
【0031】
図9は、第1実施形態における、ガスセンサの出力値の制御動作時のガス測定装置1の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、本体部10のCPU73は、収容部100に収容されたか否かを判断する(ステップS200)。具体的には、CPU73は、収容部100が挿入部103に挿入された際に着脱センサ108から出力される電気信号を検出することによって、本体部10が収容されたと判断する。
【0032】
次に、CPU73は、ガスセンサの出力値が安定しているか否かを判断する(ステップS210)。CPU73は、判断時におけるガスセンサの出力値(例えば、上記式(1)に基づいて算出された測定結果)と、測定が行われておらず且つ安定状態にあるときのガスセンサの出力値V
0とを比較することで、ガスセンサの出力値が安定しているか否かを判断する。例えば、CPU73は、判断時におけるガスセンサの出力値と、ガスセンサの出力値V
0との差異が所定の範囲内である場合には、ガスセンサの出力値が安定していると判断する。
【0033】
CPU73は、ガスセンサの出力値が安定していると判断した場合、本体部10の測定準備が完了していると判断し、本フローチャートの処理を終了する(ステップS260)。一方、CPU73は、ガスセンサの出力値が安定していないと判断した場合、換気部の稼働条件を決定する(ステップS220)。CPU73は、ガスセンサの出力値V
0に基づいて、換気部の停止条件である出力値の閾値V
Tを決定する。例えば、CPU73は、出力値V
0よりも高い値を閾値V
Tとして決定する。V
TをV
0よりも高い値とすることで、ガスセンサの出力値が安定状態以下にまで下がり、ガスセンサの出力値が安定状態に達するまでに時間を要してしまうことがない。
また、CPU73は、出力値V
0と、ガスセンサの測定済み出力値の最大値V
pとの双方に基づいて、換気部の停止条件である閾値V
Tを決定してもよい。CPU73は、例えば、以下の式(2)に基づいて、閾値T
0を決定する。このとき、換気部の停止条件に加えて、稼働時における換気部の風量の強度条件を決定してもよい。
V
T=(V
p−V
0)×0.2+V
0‥(2)
【0034】
次に、CPU73は、第1換気部106および第2換気部107を稼働させる制御信号を、第1換気部106および第2換気部107に送信する(ステップS230)。この信号に基づき、第1換気部106および第2換気部107が稼働される。
【0035】
次に、CPU73は、換気部の停止条件が満たされているか否かを判断する(ステップS240)。具体的には、CPU73は、ガスセンサの出力値が、閾値V
Tを下回っているか否かを判断する。
図10は、ガスセンサの出力値と測定時間との関係を示すグラフである。T1は、利用者が吹き込みを開始した時間を示し、T2は、本体部10が収容部100に収容された時間を示し、T3は、低濃度ガス測定時に出力値が閾値V
Tに達した時間を示し、T4は、高濃度ガス測定時に出力値が閾値V
Tに達した時間を示す。また、V
PKHは、高濃度ガス測定時の最大値を示し、V
PKLは、低濃度ガス測定時の最大値を示し、V
Tは、閾値を示し、V
0はガスセンサが安定状態にあるときの出力値を示す。低濃度ガスの測定時および高濃度ガス測定時のいずれにおいても、吹き込み開始後(T1)、ガスセンサの出力値は増大し、最大値を計測した後、徐々に低下する。本体部10を収容部100に収容した後も(T2)出力値は徐々に低下し、やがて閾値V
Tに達する。このとき(T3またはT4)、CPU73は、換気部の停止条件が満たされていると判断する。
【0036】
CPU73は、換気部の停止条件が満たされていると判断した場合、第1換気部106および第2換気部107を停止させる制御信号を、第1換気部106および第2換気部107に送信する(ステップS250)。一方、CPU73は、換気部の停止条件が満たされていないと判断した場合、引き続き、換気部の停止条件が満たされているか否かの監視を継続する。
【0037】
次に、CPU73は、測定準備が完了していると判断し、測定準備が完了していることを示す信号を、外部インターフェース76を使用し、ケーブル130および収容部100のコネクタ140に接続されたUSBケーブル等を介して外部の表示機器Dに送信する(ステップS260)。この結果、表示機器Dは、測定準備が完了している旨を利用者に表示する。以上により、本フローチャートの処理を終了する。
【0038】
以上説明した第1実施形態のガス測定装置1によれば、検出対象ガスの測定後、換気機能を備えた収容部100に本体部10を収容することで、本体部10内に残存する測定済みのガスが除去されるため、次の測定を行うことができるようになるまでに要する時間を短縮することができる。
【0039】
ここで、換気部の駆動時間を一定とすると、高濃度ガス測定時にはガスセンサの出力値が十分に低下する前に換気部が停止する場合がある。この場合、ガスセンサの出力値が安定状態に達するまでに時間を要してしまう。また、低濃度ガス測定時には、換気部の稼働時間が長すぎて、ガスセンサの出力値が安定状態以下にまで下がってしまう場合がある。この場合も、ガスセンサの出力値が安定状態に達するまでに時間を要してしまう。
これに対し、第1実施形態のガス測定装置1では、本体部10を収容部100に収容した後、ガスセンサの出力値を監視し、この出力値が閾値に達したときに換気部を停止するように制御を行う。これにより、測定時のガス濃度に関わらず、本体部10が次の測定を行うことができるようになるまでに要する時間を効率的に短縮することができる。
【0040】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について説明する。第1実施形態と比較して、第2実施形態に係るガス測定装置は、CPU73(制御部)が、換気部の稼働および停止を制御する方法が異なる。このため、構成などについては第1実施形態で説明した
図1並びに関連する記載を援用し、説明を省略する。
【0041】
図11は、第2実施形態における、ガスセンサの出力値の制御動作時のガス測定装置1の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、CPU73は、本体部10が、収容部100に収容されたか否かを判断する(ステップS300)。具体的には、CPU73は、収容部100の挿入部103に設けられた着脱センサ108を用いて、本体部10の挿入の有無を判断する。
【0042】
次に、CPU73は、ガスセンサの出力値が安定しているか否かを判断する(ステップS310)。例えば、CPU73は、判断時におけるガスセンサの出力値(例えば、上記式(1)に基づいて算出された測定結果)と、測定が行われておらず且つ安定状態にあるときのガスセンサの出力値V
0とを比較することで、ガスセンサの出力値が安定しているか否かを判断する。例えば、判断時におけるガスセンサの出力値と、ガスセンサの出力値V
0との差異が所定の範囲内である場合には、CPU73は、ガスセンサの出力値が安定していると判断する。
【0043】
CPU73は、ガスセンサの出力値が安定していると判断した場合、本体部10の測定準備が完了していると判断し、本フローチャートの処理を終了する(ステップS360)。一方、CPU73は、ガスセンサの出力値が安定していないと判断した場合、換気部の稼働条件を決定する(ステップS320)。CPU73は、ガスセンサの測定済み出力値の最大値V
pに基づいて、換気部の稼働時間T(あるいは停止時刻)を決定する。この場合、予め最大値V
pに応じた稼働時間を本体部10のROM74に記憶しておく。換気部の稼働条件を決定するときに、CPU73は、最大値V
pを検出し、ROM74を参照してこの最大値V
pに対応する稼働時間Tを読み出す。
なお、CPU73は、予め最大値V
pに応じた換気部の風量の強度条件を本体部10のROM74に記憶しておき、換気部の稼働条件を決定するときに、上記の稼働時間に代えて(あるいは、加えて)、最大値V
pに対応する換気部の風量の強度条件を読み出してもよい。
【0044】
次に、CPU73は、第1換気部106および第2換気部107を稼働させる信号を、第1換気部106および第2換気部107に送信する(ステップS330)。この信号に基づき、第1換気部106および第2換気部107が稼働される。同時に、CPU73は、タイマ71を駆動させ、第1換気部106および第2換気部107の駆動時間を計測させる。
【0045】
次に、CPU73は、換気部の停止条件が満たされているか否かを判断する(ステップS340)。具体的には、CPU73は、タイマ71の計測結果を参照し、第1換気部106および第2換気部107の稼働時間がステップS320において読み出された稼働時間Tに達しているか否かを判断する。
【0046】
CPU73は、換気部の停止条件が満たされていると判断した場合、第1換気部106および第2換気部107を停止させる信号を、第1換気部106および第2換気部107に送信する(ステップS350)。一方、CPU73は、換気部の停止条件が満たされていないと判断した場合、換気部の停止条件が満たされているか否かの監視を継続する。
【0047】
次に、CPU73は、測定準備が完了していると判断し、測定準備が完了していることを示す信号を、外部インターフェース76を使用し、ケーブル130および収容部のコネクタ140に接続されたUSBケーブル等を介して外部の表示機器Dに送信する(ステップS360)。この結果、表示機器Dは、測定準備が完了している旨を利用者に表示する。以上により、本フローチャートの処理を終了する。
【0048】
図12は、第2実施形態におけるガスセンサの出力値と測定時間との関係を示すグラフである。
図12において、T1は、利用者が吹き込みを開始した時間を示し、T2は、本体部10が収容部100に収容された時間を示し、T3は、換気部が稼働を開始した時間を示し、T4は、低濃度ガス測定時に換気部の稼働時間が稼働時間Tに達した時間を示し、T5は、高濃度ガス測定時に出力値が稼働時間Tに達した時間を示す。低濃度ガスを測定する場合、時間T1において、利用者による吹き込みが開始される。その後、
図12におけるBにおいて最大値を計測した後、時間T2において、本体部10が収容部100に収容される。その後、時間T3において、第1換気部106および第2換気部107が稼働される。その後、換気部の停止条件が満たされていると判断された場合、すなわち、時間T4において換気部が停止される。具体的には、時間T3からの経過時間が、ステップS320において読み出された稼働時間Tに達しているか否かが判断される。同様に、高濃度ガスを測定する場合、時間T1において、利用者による吹き込みが開始される。その後、
図12におけるAにおいて最大値を計測した後、時間T2において、本体部10が収容部100に収容される。その後、時間T3において、第1換気部106および第2換気部107が稼働される。その後、換気部の停止条件が満たされていると判断された場合、すなわち、時間T5において換気部が停止される。具体的には、時間T3からの経過時間が、ステップS320において読み出された稼働時間Tに達しているか否かが判断される。測定準備が完了していると判断した場合、CPU73は、測定準備完了していることを示す信号を、表示機器Dに送信する。
【0049】
以上説明した第2実施形態のガス測定装置1によれば、検出対象ガスの測定後、換気機能を備えた収容部100に本体部10を収容することで、本体部10内に残存する測定済みのガスが除去されるため、次の測定を行うことができるようになるまでに要する時間を短縮することができる。
【0050】
また、第2実施形態のガス測定装置1では、本体部10を収容部100に収容した後、ガスセンサの出力値の最大値V
pを検出し、ROM74を参照してこの最大値V
pに対応する稼働時間Tを読み出す。第1換気部106および第2換気部107を稼働させた後、稼働時間が稼働時間Tに達したときに第1換気部106および第2換気部107を停止するように制御を行う。これにより、本体部10が次の測定を行うことができるようになるまでに要する時間を効率的に短縮することができる。また、換気部の稼働後、ガスセンサの出力値を監視する必要がないため、処理負荷を軽減させることができる。
なお、CPU73は、ガスセンサの測定済み出力値の最大値V
pに代え、本体部10を収容部100に収納したときのガスセンサの出力値(
図12におけるA’およびB’)に基づいて、換気部の稼働時間T(あるいは停止時刻)を決定してもよい。測定後、本体部10を収容部100に収納するまでにかかる時間は利用者毎にばらつきがあるため、収容時のガスセンサの出力値に基づいて稼働時間を決定することで、このばらつきによる影響を回避することができる。
【0051】
(第3実施形態)
以下、第3実施形態について説明する。第1および第2実施形態のガス測定装置1は、本体部10が収容部100から取り出された状態で使用される着脱式のガス測定装置である。これに対して、第3実施形態におけるガス測定装置は、利用者によって収容部がスライド操作されて開状態でガス測定が行われるスライド式のガス測定装置である。第3実施形態において、本体部に設けられたCPU(制御部)が収容部に設けられた換気部の稼働および停止を制御する方法は、上記の第1および第2実施形態と同じである。
このため、以下においては、第3実施形態におけるガス測定装置の構造に関する説明を行い、換気部の制御方法に関しては、第1および第2実施形態において説明した
図8から12並びに関連する記載を援用し、説明を省略する。
図13は、第3実施形態におけるガス測定装置1Aを表側から見た外観構成図である。ガス測定装置1Aは、利用者によって収容部202が図中X方向にスライド操作されることによって、開状態と閉状態のいずれかに保持される。
【0052】
ガス測定装置1Aは、本体部201と、閉状態において本体部201の一部を覆う収容部202とを備える。本体部201の第1面における、開状態においてのみ露出する部分には、利用者の呼気を吹き込むための吹き込み口203が設けられている。
【0053】
吹き込み口203には取り付け取り外し可能な中空構造のアタッチメント(図示省略)が開状態において挿入状態で取り付けられ、更に、アタッチメントにはストロー(図示省略)が装着され、吹き込み口203にはストローおよびアタッチメントを介して利用者の呼気が吹き込まれる。
なお、ストローを装着しない形態のアタッチメントとし、吹き込み口203はそのアタッチメントを介して利用者の呼気が吹き込まれるものとしてもよい。また更に、アタッチメントも取り付けしない形態の吹き込み口203とし、その吹き込み口はアタッチメントも介さず直接的に利用者の呼気が吹き込まれるものとしてもよい。
【0054】
さらに、本体部201には、ガスセンサで測定された測定結果を外部に出力するための端部204が設けられている。端部204は、例えば、USBケーブルを介して、表示機器Dと接続されている。表示機器Dは、例えば、携帯電話、携帯情報端末(Personal Data Assistance)、パーソナルコンピュータなどである。表示機器Dは、設定画面、測定結果を示す画面などにより、利用者に対して各種情報を表示する。本体部201と、表示機器Dとは、例えば、BLUETOOTH(登録商標)などにより、無線接続されてもよい。
【0055】
ガス測定装置1Aの本体部201には、閉状態において収容部202と連続した表面形状をなすように形成されたベース部205が形成されている。ベース部205の収容部202に当接する側の端部には、収容部202の端部に対応する形状を有し、閉状態において収容部202と密着する部材206が取り付けられている。部材206は、ゴム(例えば、シリコンゴム)、エラストマーなどの弾性素材によって形成される。部材206には、図中Y方向に関する中央部付近において、利用者が開操作をしやすいように、図中−X方向に進むに連れて+Z方向にせり上がる傾斜を有する、つまみ部206Aが設けられている。
【0056】
収容部202には、その筐体の側面に収容部202の内部と外部とを連通させる孔部が設けられている。収容部202の第1面には、収容部202の外部の空気を収容部の内部に取り込むための第1孔部207が設けられている。第3実施形態では、第1孔部207が収容部202の第1面に設けられ、第2孔部208が、第1面と対向する収容部202の第2面に設けられた例を説明するが、第1孔部207および第2孔部208を収容部202の筐体の同一面に設けてもよいし、あるいは、収容部202の筐体の上面および下面の各々に設けてもよい。また、第3実施形態では、孔部は2つとしたが、1つでもよいし、3つ以上であってもよい。
【0057】
図14は、第3実施形態におけるガス測定装置1Aを裏側から見た外観構成図である。本体部201の第2面における、開状態においてのみ外部に露出する部分には、吹き込み口203から吹き込まれた利用者の呼気を排出するための排出口209が設けられている。排出口209は、吹き込み口203の裏側に設けられている。収容部202の第2面には、収容部202の内部の空気を収容部202の外部に排出するための第2孔部208が設けられている。また、吹き込み口203と排出口209とは、パイプ230(後述)により接続されている。なお、
図14において、つまみ部206Aは、図中−X方向に進むに連れて−Z方向にせり上がる傾斜を有する。
【0058】
図15は、第3実施形態におけるガス測定装置1Aの内部構成を示す透視図である。ガス測定装置1Aには、本体部201に対して着脱可能(交換可能)な半導体式ガスセンサユニット(第1ガスセンサユニット)210が取り付けられる。
図16は、半導体式ガスセンサ213と吹き込み口203から連通するパイプ230との接続部の状態を示す部分断面図である。半導体式ガスセンサユニット210は、本体部201に嵌合可能な筐体211の内部に、センサ基板212、半導体式ガスセンサ213、および電子部品(例えば、記憶部品)214を収容している。センサ基板212の一方の側には半導体式ガスセンサ213が搭載され、他方の側には電子部品214が搭載される。半導体式ガスセンサ213は、筐体211に設けられた孔部211Aを介して筐体211の外部に先端部を突出させる。半導体式ガスセンサ213は、その先端部がパイプ230に挿入されている。半導体式ガスセンサ213の先端部は筒状となっておりその内側に設けられた検知面には、酸化スズ(SnO
2)などが形成されており、アセトンなどの検出対象ガス、あるいはその他の干渉ガスが触れると電気抵抗が低下するようになっている。また、半導体式ガスセンサ213は、測定時に検知面の感度をあげるためのヒータおよび電極を備える。半導体式ガスセンサ213は、検知面における電気抵抗の低下に基づいて、検出対象ガスの濃度を検出する。
なお、第3実施形態においては、半導体式ガスセンサを備えることとしたが、IR(Infrared)吸収センサや膜型表面応力センサ等、他の方式のセンサでもいい。
【0059】
利用者の呼気には、ケトン体、エタノール、アセトアルデヒドなどの様々な種類のガスが含まれる。半導体式ガスセンサ213は、例えば、ケトン体の一種であるアセトンに対して高い感度を示す。アセトンは、脂質代謝の副産物であり、呼気におけるアセトンの濃度は脂質代謝の量を示す指標値となる。体内に糖質エネルギーが十分に存在する場合には、脂肪が燃焼されないため呼気におけるアセトンの濃度は低くなり、体内に糖質エネルギーが不足すると、脂肪が燃焼されるため呼気におけるアセトンの濃度は高くなる。
【0060】
本体部201の表面、収容部202、および半導体式ガスセンサユニット210の筐体211は、例えば、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂やポリカーボネードなどで形成される。また、部材206は、例えば、ゴム(例えばシリコンゴム)やエラストマーなどの弾性部材である。
【0061】
また、ガス測定装置1Aは、第2ガスセンサユニット220を備える。第2ガスセンサユニット220は、第2ガスセンサ221と、ソレノイドバルブ222とを備える。また、パイプ230には、その内空間と外空間とを繋ぐパイプ230Aが設けられており、このパイプ230Aと第2ガスセンサ221とがチューブ240により接続される。第2ガスセンサ221は、半導体式ガスセンサ213とは被毒寿命が異なるセンサである。ソレノイドバルブ222は、例えば、吹き込み口203に連通するガス測定装置1A内部の空間の圧力を測定する圧力センサ250(
図18参照)が基準値以上の圧力を検出してから所定時間(例えば数[sec]程度)経過後に作動し、第2ガスセンサ221の内部に負圧を発生させる。これによって、吹き込み口203に吹き込まれた呼気がパイプ230、パイプ230A、およびチューブ240を介して第2ガスセンサ221の内部に取り込まれる。なお、ソレノイドバルブ222が、圧力センサ250が基準値以上の圧力を検出してから所定時間経過後に作動することで、終末呼気を第2ガスセンサ221に取り込むことができる。
【0062】
また、ガス測定装置1Aは、メイン基板223を備える。
図17は、ガス測定装置1Aを側面から(
図15における−X方向から)見た透視図である。メイン基板223には、後述するCPU(Central Processing Unit)253などが搭載される。
図18は、ガス測定装置1Aの制御関係の構成図である。ガス測定装置1Aは、前述した構成の他、タイマ251、電源252、ROM(Read Only Memory)254、RAM(Random Access Memory)255、外部インターフェース256などを備える。CPU253は、本体部201の各部を制御する。CPU253は、例えば、半導体式ガスセンサ213の検出値と第2ガスセンサ221の検出値の双方を加味して、本体部201の測定結果を確定する処理を行う。さらに、CPU253は、本体部201が収容部202に収納されたときに、収容部202に設けられた換気部の動作を制御する。ROM254には、CPU253が実行するプログラムなどが格納されている。RAM255は、例えば、CPU253が処理を行う際のワーキングメモリである。
【0063】
CPU253は、例えば、式(3)に基づいて、ガス測定装置1Aの測定結果Concを導出する。式中、C1は半導体式ガスセンサ213の検出値であり、C2は第2ガスセンサ221の検出値である。また、k1、k2は係数であり、実験などにより予め求められた最適値が使用される。k2は、例えば負の値に設定される。なお、式(3)に代えて、C1およびC2を使用した二次以上の多項式によってガス測定装置1Aの測定結果Concを導出してもよいし、C1およびC2を座標とするマップによってガス測定装置1Aの測定結果Concを導出してもよい。また、利用者の性別や年齢、体格に応じて、ガス測定装置1Aの測定結果Concを導出するためのパラメータ(一例として係数k1、k2)を補正してもよい。また、半導体式ガスセンサ213および第2ガスセンサ221のいずれか一方の出力値を用いて測定結果を導出してもよい。
Conc=k1×C1+k2×C2 ‥(3)
【0064】
図19は、第3実施形態における収容部202の内部構成を示す断面図である。
図19は、
図13におけるガス測定装置1Aを19−19面に沿って切断した場合の断面図を示している。収容部202は、その筐体の内部に、吸着剤を収容するための第1吸着剤収容部271および第2吸着剤収容部272を備える。第1吸着剤収容部271および第2吸着剤収容部272の各々の内部には、活性炭などのガス吸着剤が収容される。なお、活性炭に代えて(または加えて)、ゼオライト、モレキュラーシーブ、シリカゲルなどのガス吸着剤が収容されてもよい。
【0065】
さらに、収容部202は、例えば、その筐体の内部に、第1換気部273と、第2換気部274とを備える。第1換気部273は、収容部202の外部の空気を収容部202の内部に取り込む。第1換気部273は、例えば、第1孔部207に近接して配置されている。第2換気部274は、収容部202の内部の空気を収容部202の外部に排出する。第2換気部274は、例えば、第2孔部208に近接して配置されている。第1換気部273および第2換気部274は、例えば、ファンまたはポンプ、或いはその他の換気装置である。
【0066】
第1吸着剤収容部271は、例えば、第1換気部273に近接して配置されている。第1吸着剤収容部271に収容される吸着剤は、第1換気部273の稼働時に、収容部202の外部から取り込まれる空気の中からガスセンサの安定化を妨げる阻害ガスを除去する。また、この吸着剤は、第1換気部273の停止時に、収容部202の内部に存在する阻害ガスあるいは第1孔部207を介して外部から収容部202の内部に流入する阻害ガスを除去することもできる。
【0067】
第2吸着剤収容部272は、例えば、第2換気部274に近接して配置されている。第2吸着剤収容部272に収容される吸着剤は、第2換気部274が停止しているときに、第2孔部208を介して外部から収容部202の内部に流入する阻害ガスを除去する。
【0068】
第3実施形態においては、収容部202の内部に2つの吸着剤収容部を設ける例を説明するが、収容部202の内部に1つあるいは3つ以上の吸着剤収容部を設けてもよい。また、第3実施形態においては、第1換気部273が第1孔部207と第1吸着剤収容部271との間に配置され、第2換気部274が第2孔部208と第2吸着剤収容部272との間に配置される例を説明するが、第1吸着剤収容部271が第1孔部207と第1換気部273との間に配置され、第2吸着剤収容部272が第2孔部208と第2換気部274との間に配置されてもよい。また、第3実施形態においては、2つの換気部を設ける構成としたが、換気部は1つあるいは3つ以上でもよい。また、第3実施形態においては、収容部202に設けた吸着剤収容部に吸着剤を収容する構成としたが、吸着剤収容部を設けずに、孔部にシャッター部を配設し、シャッター部の開閉により、収容部の内部と外部とを連通させた状態と、収容部の内部を密閉する状態とを切り替え可能な構成としてもよい。このような構成によれば、換気部の停止時あるいはガス測定装置の電源オフ時に、使用者がシャッター部を閉めることによって、収容部内部が密閉されるため、外部から阻害ガスが収容部の内部に流入することを防止することができる。また、換気部の停止あるいはガス測定装置の電源のオフに連動して、自動的にシャッター部を閉める構成としてもよい。さらに、換気部の駆動あるいはガス測定装置の電源のオンに連動して、自動的にシャッター部を開く構成としてもよい。
【0069】
本体部201に設けられたCPU253(制御部)は、第1換気部273および第2換気部274と電気的に接続されており、第1換気部273および第2換気部274に制御信号を送信する。
【0070】
第3実施形態において、CPU253が収容部202に設けられた換気部の稼働および停止を制御する方法は、上記の第1および第2実施形態と同じである。このため、換気部の制御方法に関しては、第1および第2実施形態において説明した
図8から12並びに関連する記載を援用し、説明を省略する。
【0071】
以上説明した第3実施形態のガス測定装置1Aによれば、検出対象ガスの測定後、換気機能を備えた収容部202に本体部201を収容することで、本体部201内に残存する測定済みのガスが除去されるため、次の測定を行うことができるようになるまでに要する時間を短縮することができる。
【0072】
また、第3実施形態のガス測定装置1Aでは、本体部201を収容部202に収容した後、ガスセンサの出力値を監視し、この出力値が予め設定した閾値に達したときに換気部を停止するように制御を行う。あるいは、ガスセンサの出力値の最大値に基づいて換気部の稼働および停止の制御を行う。これにより、本体部201が次の測定を行うことができるようになるまでに要する時間を効率的に短縮することができる。
【0073】
また、第3実施形態のガス測定装置1Aは、利用者によって収容部がスライド操作されて開状態で使用され、使用後は閉状態でガスセンサの出力値の制御動作を行う。このため、ガスセンサの出力値の制御動作を迅速かつ容易に行うことができる。
【0074】
以上、本発明を実施するための形態についていくつかの実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形および置換を加えることができる。例えば、上記の実施形態においては、換気部の稼働条件を制御するための制御部を本体部に設ける例を説明したが、制御部は、収容部の内部に設けられてもよい。