特許第6519155号(P6519155)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6519155
(24)【登録日】2019年5月10日
(45)【発行日】2019年5月29日
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/52 20060101AFI20190520BHJP
   B65D 5/54 20060101ALI20190520BHJP
【FI】
   B65D5/52 G
   B65D5/54 301J
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-237893(P2014-237893)
(22)【出願日】2014年11月25日
(65)【公開番号】特開2016-98024(P2016-98024A)
(43)【公開日】2016年5月30日
【審査請求日】2017年10月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【弁理士】
【氏名又は名称】伏見 俊介
(72)【発明者】
【氏名】坂本 直子
【審査官】 西山 智宏
(56)【参考文献】
【文献】 特許第4125070(JP,B2)
【文献】 英国特許出願公告第00916627(GB,A)
【文献】 特開2009−298463(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D5/00−5/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面板、前記前面板に対向するように配置された後面板、及び、前記前面板の縁部と前記後面板の縁部とにそれぞれ接続された第一の側面板、第二の側面板を有する筒部と、
前記第二の側面板の上端に連設され、前記第一の側面板の上端に接続して前記筒部の上方開口を覆う蓋板と、
前記筒部の下方開口を覆う底板と、
前記前面板に一端部が形成され、他端部が前記第一の側面板の前記上端に形成された帯状のジッパー部と、
を備え、
前記第一の側面板の上端と前記蓋板との接続、又は、前記第二の側面板の上端と前記蓋板との接続を解除して前記ジッパー部を前記一端部から前記他端部に向かって分離し、前記前面板における前記ジッパー部よりも上方の部分を含む表示部の少なくとも一部を前方に突出させ、
前記ジッパー部の前記一端部は、前記前面板における前記第二の側面板と前記前面板との間の罫線から離間した位置に形成され、
前記前面板において前記ジッパー部は、前記第一の側面板と前記第二の側面板とが対向する対向方向に延び、
前記表示部には、上下方向に延びる一対の折り目線が前記対向方向に間隔を開けて形成され、
前記前面板における前記ジッパー部よりも下方の部分である下部領域には、前記ジッパー部の前記一端部よりも前記第二の側面板側に、前記ジッパー部を構成する上方の第一の易破断線よりも上方に突出する凸部が設けられ、
前記前面板における前記罫線と前記凸部との間には、前記凸部の上端よりも下方であって、上下方向において前記第一の易破断線に等しい位置か前記第一の易破断線よりも下方に配置された第二の易破断線又は予破断線が形成されていることを特徴とする包装箱。
【請求項2】
前記ジッパー部の前記一端部には、前記前面板が半円状又はコ字状に連続的に切断された摘み部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
前記ジッパー部は前記第一の側面板の上端に沿って延び、
前記ジッパー部の前記他端部は、前記第一の側面板と前記後面板との間の接続部まで延びていることを特徴とする請求項1又は2に記載の包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品を収容して輸送に用いられるとともに、切り開くことで商品を陳列する際に用いられる包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商品を収容して輸送に用いる包装箱を、単に輸送に用いるだけでなく、包装箱を切り開いて包装箱を所定の形状に変形させることで商品の陳列に用いることが行われている。
この種の包装箱として、例えば特許文献1から3に記載されたものが知られている。
【0003】
包装箱は、前面板、後面板、側面板からなる角筒(筒部)と、この角筒の上部及び下部の開口をそれぞれ閉鎖する蓋及び底とからなる。前面板等には、切目線が設けられている。
箱状の形状で輸送された包装箱は、商店等おいて店員により収容した商品が外部から見えるように切り開かれる。具体的には、包装箱を切目線に沿って切断して展開すると、前面板の上側部分を含む表示部が前方に突出する。この表示部には、印刷等により商品に関する表示が施されている。前面板の上端にある天フラップを折り曲げて前面板の切欠きに差し込むと、表示部が前方に突出した状態が保持される。前方に突出した表示部により、消費者の注意を引くことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4125070号公報
【特許文献2】特許第4416561号公報
【特許文献3】特許第4321931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、店員による商品の陳列作業は忙しいこともあり、包装箱を切り開く時に包装箱から表示部が誤って破り取られてしまったり、勢いよく切り開いた際に切目線の延長線上の側面板まで破れてしまうという紙破れの問題がある。
包装箱を切り開く時の紙破れは、発明者が新たに見出した課題である。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、切り開く時に表示部が破り取られてしまうのを防止した包装箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の包装箱は、前面板、前記前面板に対向するように配置された後面板、及び、前記前面板の縁部と前記後面板の縁部とにそれぞれ接続された第一の側面板、第二の側面板を有する筒部と、前記第二の側面板の上端に連設され、前記第一の側面板の上端に接続して前記筒部の上方開口を覆う蓋板と、前記筒部の下方開口を覆う底板と、前記前面板に一端部が形成され、他端部が前記第一の側面板の前記上端に形成された帯状のジッパー部と、を備え、前記第一の側面板の上端と前記蓋板との接続、又は、前記第二の側面板の上端と前記蓋板との接続を解除して前記ジッパー部を前記一端部から前記他端部に向かって分離し、前記前面板における前記ジッパー部よりも上方の部分を含む表示部の少なくとも一部を前方に突出させ、前記ジッパー部の前記一端部は、前記前面板における前記第二の側面板と前記前面板との間の罫線から離間した位置に形成され、前記前面板において前記ジッパー部は、前記第一の側面板と前記第二の側面板とが対向する対向方向に延び、前記表示部には、上下方向に延びる一対の折り目線が前記対向方向に間隔を開けて形成され、前記前面板における前記ジッパー部よりも下方の部分である下部領域には、前記ジッパー部の前記一端部よりも前記第二の側面板側に、前記ジッパー部を構成する上方の第一の易破断線よりも上方に突出する凸部が設けられ、前記前面板における前記罫線と前記凸部との間には、前記凸部の上端よりも下方であって、上下方向において前記第一の易破断線に等しい位置か前記第一の易破断線よりも下方に配置された第二の易破断線又は予破断線が形成されていることを特徴としている。
【0008】
また、上記の包装箱において、前記ジッパー部の前記一端部には、前記前面板が半円状又はコ字状に連続的に切断された摘み部が設けられていることがより好ましい
【0009】
た、上記の包装箱において、前記ジッパー部は前記第一の側面板の上端に沿って延び、前記ジッパー部の前記他端部は、前記第一の側面板と前記後面板との間の接続部まで延びていることがより好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の包装箱によれば、切り開く時に表示部が破り取られてしまうのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態の包装箱を切り開く前の斜視図である。
図2】同包装箱を組み立てる前のブランクの平面図である。
図3】切り開いて展開状態にした同包装箱の斜視図である。
図4】本発明の第2実施形態の包装箱を切り開く前の斜視図である。
図5】同包装箱を組み立てる前のブランクの平面図である。
図6図5中の要部拡大図である。
図7】切り開いて展開状態にした同包装箱の斜視図である。
図8】本発明の第3施形態の包装箱を切り開く前の斜視図である。
図9】同包装箱を組み立てる前のブランクの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る包装箱の第1実施形態を、図1から図3を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施形態の包装箱1は、前面板11、前面板11に対向するように配置された後面板12、及び、前面板11の縁部と後面板12の縁部とにそれぞれ接続された第一の側面板13、第二の側面板14を有する筒部10と、筒部10の上方開口を覆う蓋板20と、筒部10の下方開口を覆う底板25と、前面板11に一端部30aが形成され、他端部30bが第一の側面板13の上端13aに形成された帯状のジッパー部30と、を備えている。
以下では、まず包装箱1を組み立てる前の図2に示すブランク1Aについて説明する。
【0013】
図2に示すように、ブランク1Aは、例えば未晒クラフト紙、晒クラフト紙、白板紙等のロール状に形成された各種の板紙を、罫線加工及び打抜き加工して形成したものである。
矩形状に形成された前面板11の第一の辺11aに沿う第一の方向Vの一方側には、第一の側面板13、後面板12がこの順で連設されている。前面板11の第一の方向Vの他方側には、第二の側面板14が連設されている。前面板11と第一の側面板13、第一の側面板13と後面板12、前面板11と第二の側面板14との間には、一部の符号を省略した罫線(折り目)が設けられている。罫線は、板紙の厚さを板紙の他の部分よりも薄くして折れやすくしたものである。これらの罫線は、前面板11の第一の辺11aに連なる第二の辺11bに沿う第二の方向Wに延びている。
【0014】
前面板11の第二の方向Wの一方側には、フラップ40が連設されている。前面板11の第二の方向Wの他方側には、底板片26が連設されている。前面板11とフラップ40、前面板11と底板片26の間には、符号を省略した罫線が設けられている。これらの罫線は、第一の方向Vに延びている。
【0015】
ジッパー部30は、前面板11に第一の方向Vに沿って形成されたジッパー片31と、第一の側面板13に形成されたジッパー片32、33とを有している。
ジッパー部30の一端部30a、すなわちジッパー片31の第一の方向Vの他方側の端部は、第二の側面板14と前面板11との間の罫線15上に形成されている。ジッパー部30の一端部30aには、前面板11がコ字状に連続的に切断されることで形成された摘み部34が設けられている。摘み部34のコ字状の切断線は、第一の方向Vの一方側が開口している。摘み部34には、例えば「OPEN」や、「こちら側から開封する」等の文字を印刷等により記載することが好ましい。このように構成することで、ジッパー部30を摘み部34から他端部30bに向かって分離するように店員に促すことができる。
ジッパー片32は、ジッパー片31の第一の方向Vの一方側の端部に一端部が連なるとともに、後面板12に近づくにしたがって上方開口を形成する第一の側面板13の上端13aに近づくように傾斜している。ジッパー片32の他端部は、第一の側面板13の中央部に達している。
【0016】
ジッパー片33は、ジッパー片32の他端部から第二の方向Wに沿って延びている。ジッパー片33の端部であるジッパー部30の他端部30bは、第一の側面板13の上端13a上に形成されている。
ジッパー部30は、ブランク1Aを組み立てた後で上方となる第二の方向Wの一方側の易破断線(第一の易破断線)35と、下方となる第二の方向Wの他方側の易破断線36と、摘み部34との間の領域として規定される。すなわち、摘み部34、及び易破断線35、36は、ジッパー部を構成している。この例では、易破断線35と易破断線36との距離は、例えば5mmから15mm程度の間の一定値である。
易破断線35、36は、前面板11が断続的に切断されて(前面板11が切断されている部分と切断されていない部分とを交互に配置して)形成されたものであり、前面板11の他の部分に比べて前面板11を破断させやすくなっている。易破断線35、36は、ジッパー部30の他端部30b側から一端部30a側に向かって破断させたときよりも、一端部30a側から他端部30b側に向かって破断させたときの方が容易に破断できるように、その形状が決められていることが好ましい。
【0017】
前面板11における摘み部34及びジッパー片31よりも第二の方向Wの一方側の部分である上部領域11c、フラップ40、及び、第一の側面板13におけるジッパー片32よりも第二の方向Wの一方側の部分で、表示部16を構成する。上部領域11c及びフラップ40における第一の方向Vの中央部には、第二の方向Wに延びる折り目線16aが形成されている。折り目線16aは、罫線と同様に構成したものである。折り目線16aは、上部領域11c及びフラップ40の全体にわたり形成されている。
表示部16における折り目線16aよりも第一の方向Vの一方側、第一の方向Vの他方側には、印刷等により表示P1、P2が設けられている。表示P1、P2には、例えば包装箱1内に収容される商品に関する図、写真、文字等が示される。
【0018】
前面板11における摘み部34及びジッパー片31よりも第二の方向Wの他方側(下方)の部分である下部領域11fには、第二の方向Wの他方側に向かって凸となるように湾曲した易破断線11dが形成されている。易破断線11dの両端部は、ジッパー部30の易破断線36に連なっている。前面板11の易破断線11d及び易破断線36に囲われた領域が、切取り領域11eとなる。
【0019】
第一の側面板13のジッパー部30よりも第一の方向Vの一方側の部分には、印刷等により表示P3が設けられている。
第一の側面板13の第二の方向Wの他方側には、底板片27が連設されている。第一の側面板13と底板片27との間には、符号を省略した罫線が設けられている。この罫線は、第一の方向Vに延びている。
底板片27には、切欠き27aが形成されている。底板片27の第一の側面板13及び前面板11にそれぞれ連なる隅部から斜めに、折り目線27bが形成されている。
【0020】
後面板12の中央部には、矩形状の易破断線12aが形成されている。後面板12の易破断線12aに囲われた領域が、切取り領域12bとなる。後面板12の切取り領域12bよりも第二の方向Wの一方側の部分には、スリット12cが設けられている。スリット12cは、後面板12を連続的に切断した切断線が、第二の方向Wの一方側に向かって凸となるように湾曲して構成されている。
【0021】
後面板12の第二の方向Wの一方側には、蓋板補助21が連設されている。後面板12の第二の方向Wの他方側には、底板片28が連設されている。後面板12と蓋板補助21、後面板12と底板片28との間には、符号を省略した罫線が設けられている。これらの罫線は、第一の方向Vに延びている。
蓋板補助21の中央部には、第二の方向Wの他方側に向かって凸となるように湾曲した易破断線21aが形成されている。蓋板補助21には、易破断線21aの端部から第一の方向Vに沿って後面板12の縁部まで延びる折り目線21bが一対形成されている。
蓋板補助21における易破断線21a及び折り目線21bよりも第二の方向Wの一方側の部分には、印刷等により表示P4が設けられている。表示P3、P4は、表示P1、P2と同様に構成される。
これらの表示P1、P2、P3、P4は、後述するように包装箱1を展開状態にしたときに、POP(Point Of Purchase advertising)の役割を果たす。
蓋板補助21の第二の方向Wの一方側には、フラップ41が連設されている。
【0022】
第二の側面板14には、スリット14aが設けられている。スリット14aは、第二の側面板14を連続的に切断した切断線が、四分円の円弧状に湾曲して構成されている。
第二の側面板14の第二の方向Wの一方側には、前述の蓋板20が連設されている。すなわち、蓋板20は第二の側面板14の上端に接続されている。第二の側面板14の第二の方向Wの他方側には、底板片29が連設されている。これら底板片26、27、28、29で、底板25を構成する。
第二の側面板14の第一の方向Vの他方側には、フラップ42が連設されている。
第二の側面板14と蓋板20との間には、易破断線43が設けられている。易破断線43は、第一の方向Vに延びている。
第二の側面板14と底板片29、第二の側面板14とフラップ42との間には、符号を省略した罫線が設けられている。これらの罫線は、第一の方向V、第二の方向Wにそれぞれ延びている。
【0023】
蓋板20の中央部には、印刷等により表示P6が設けられている。表示P6には、例えば包装箱1を切り開く時の手順や注意書きが、文章やイラストを用いて示されている。
底板片29には、切欠き29aが形成されている。底板片29の第二の側面板14及びフラップ42にそれぞれ連なる隅部から斜めに、折り目線29bが形成されている。
蓋板20の第二の方向Wの一方側には、フラップ44が連設されている。蓋板20とフラップ44との間には、符号を省略した罫線が設けられている。この罫線は第一の方向Vに延びている。
【0024】
以上のように構成されたブランク1Aを組み立てて箱状態の包装箱1とするのは、以下のような手順となる。
まず、フラップ42、第二の側面板14、前面板11、第一の側面板13、及び後面板12を表示P1、P2、P3が外側となるように罫線で折り曲げ、角筒状にする。フラップ42を後面板12の第一の方向Vの一方側の縁部に接着し、第二の側面板14、前面板11、第一の側面板13、及び後面板12で筒部10を構成する。
底板片26、27、28、29を罫線で内側に折り曲げ、筒部10を平坦な形状に潰しておく。底板片27、29を折り目線27b、29bで折り曲げ、底板片26と底板片27、底板片28と底板片29をそれぞれ接着する。筒部10を角筒状にしつつ、底板片27の切欠き27aと底板片29の切欠き29aとを係合させて、角筒状の筒部10の形状を保持する。
【0025】
筒部10内に図示しない商品を収容する。蓋板補助21、フラップ40を罫線で内側に折り曲げる。蓋板20、フラップ44を易破断線43、罫線で折り曲げる。蓋板補助21及びフラップ40と第一の側面板13との間にフラップ44を差し込むことで、第一の側面板13の上端13aに蓋板20を接続する。
こうして、ブランク1Aを図1に示す箱状態の包装箱1に組み立てる。商品を包装箱1に収容した状態で商店まで輸送する。
【0026】
商店では、店員はまず包装箱1の蓋板20に印刷された表示P6を読み、その手順に従って包装箱1を切り開き展開状態にする。
具体的には、まず、包装箱1を蓋板20が上方、底板25が下方となるように、すなわち、筒部10の軸線が上下方向Zに平行になるように配置する。このとき、第一の側面板と第二の側面板とが対向する対向方向Xは、水平面に平行な方向となる。前面板11において、ジッパー部30のジッパー片31は対向方向Xに延びている。すなわち、ジッパー片31が形成された範囲の易破断線35、36は、対向方向Xに延びている。
【0027】
蓋板補助21及びフラップ40と第一の側面板13との間からフラップ44を引き抜いて、第一の側面板13の上端13aと蓋板20との接続を解除する。第二の側面板14に対して蓋板20を引っ張ることで易破断線43を破り、第二の側面板14の上端と蓋板20との接続を解除する。こうして、図3に示すように包装箱1から蓋板20を除去する。除去した蓋板20は、包装箱1を展開状態にした後では不要になる部材である。
摘み部34を摘まみ、ジッパー部30を一端部30aから他端部30bに向かって前面板11や第一の側面板13から分離する。摘み部34の周囲の前面板11は連続的に切断されているため、前面板11から摘み部34を前方に容易に突出させる(めくる)ことができ、摘み部34を摘まみやすい。摘み部34が第二の側面板14と前面板11との間の罫線15上に形成されていることによっても、前面板11から摘み部34を前方にめくりやすくなり、摘み部34を摘まみやすい。
【0028】
ジッパー部30を分離する一端部30aから他端部30bへの向きが第二の側面板14と前面板11との間の罫線15に向かわず、罫線15から離間する向きとなっている。このため、ジッパー部30を勢いよく分離しても罫線15が破かれず、紙破れの問題が生じない。
ジッパー部30における他端部30bよりも先には蓋板20が無いため、ジッパー部30を分離するときに蓋板20を誤って破損してしまうことがない。
【0029】
罫線で折り曲げることで上部領域11cとフラップ40とが同一平面上に配置されるようにする。表示部16を折り目線16aで折り曲げて折り返す。表示部16の折り目線16aを前方に突出させた状態で第二の側面板14のスリット14aに表示部16の端部を差し込む。これにより、第二の側面板14に表示部16を係合させ、下部領域11fよりも表示部16が前方に突出した状態を保持する。
表示部16を折り目線16aで折り曲げたときに、折り曲げた表示部16の対向方向Xの一方側、他方側にそれぞれ表示P1、P2が配置される。そして、これらの表示P1、P2は下部領域11fよりも前方に突出している。このため、陳列棚等に配置された包装箱1に対して対向方向Xから近づく消費者が、表示P1、P2を容易に視認することができる。
【0030】
蓋板補助21の易破断線21aを破る。蓋板補助21を折り目線21bで折り返し、蓋板補助21の折り目線21b側を上方に突出させる。後面板12のスリット12cに蓋板補助21に連設されたフラップ41を差し込み、折り返された蓋板補助21が上方に突出した状態を保持する。蓋板補助21に印刷された表示P4は、包装箱1の前方から視認できる。
前面板11の易破断線11dを破り、前面板11から切取り領域11eを取り除く。後面板12の易破断線12aを破り、後面板12から切取り領域12bを取り除く。
こうして展開状態にした包装箱1を商品を収容した状態で陳列棚等に配置する。
【0031】
以上説明したように、本実施形態の包装箱1によれば、第一の側面板13の上端13a及び第二の側面板14の上端と蓋板20との接続を解除して蓋板20を除去してから、ジッパー部30を一端部30aから他端部30bに向かって分離する。ジッパー部30を分離する向きが第二の側面板14と表示部16との間の罫線15に向かわないため、箱状態の包装箱1を切り開く時に表示部16が第二の側面板14から破り取られてしまうのを防止することができる。
【0032】
摘み部34では前面板11がコ字状に連続的に切断されているため、摘み部34を容易に摘まむことができる。
摘み部34が第二の側面板14と前面板11との間の罫線15上に形成されていることで、前面板11から摘み部34を前方にめくりやすく、摘み部34を摘まみやすい。
【0033】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図4から図7を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図4に示すように、本実施形態の包装箱2は、第1実施形態の包装箱1に対して、前面板11に凸部50が設けられているとともに、表示部16に一対の折り目線16b、16cが形成されている。以下では、包装箱2の構成を、包装箱2を組み立てる前の図5に示すブランク2Aを用いて説明する。
【0034】
ブランク2Aでは、ジッパー部30の一端部30a、すなわち摘み部34は、前面板11における第二の側面板14と前面板11との間の罫線15から離間した位置に形成されている。
図6に示すように、前面板11の下部領域11fにおけるジッパー部30の一端部30aよりも第二の側面板14側には、ジッパー片31が形成された範囲の易破断線35よりも第二の方向Wの一方側、すなわち上方に突出する凸部50が設けられている。すなわち、凸部50における凸部50が突出する方向の先端の辺(凸部50の上端の辺)である上辺50aの方が、易破断線35よりも第二の方向Wの一方側にある。
この例では、凸部50は、前面板11がコ字状に連続的に切断されることで形成されている。凸部50のコ字状の切断線は、第二の方向Wの他方側が開口している。凸部50は摘み部34に連なっていて、前面板11が切断された部分が凸部50と摘み部34とで連続している。
【0035】
前面板11における罫線15と凸部50との間には、第一の方向V(図4における対向方向X)に延びる予破断線51が形成されている。予破断線51は、前面板11を連続的に切断することで形成されている。予破断線51の両端部は、凸部50、罫線15に連なっている。すなわち、前面板11が切断された部分が予破断線51と凸部50とで連続している。予破断線51は、第二の方向W(図4における上下方向Z)において易破断線35に等しい位置に配置されている。言い替えれば、予破断線51は、凸部50の上辺50aよりも第二の方向Wの他方側(下方)であって、易破断線35と同一直線上に配置されている。
【0036】
表示部16、すなわち前面板11の上部領域11c及びフラップ40には、第二の方向Wに延びる一対の折り目線16b、16cが第一の方向Vに間隔を開けて形成されている。表示部16における折り目線16bと折り目線16cとの間の部分が、帯状領域16dとなる。帯状領域16dには、印刷等により表示P8が設けられている。
前述の表示P1は、表示部16における帯状領域16dよりも第一の方向Vの一方側に設けられている。表示P2は、表示部16における帯状領域16dよりも第一の方向Vの他方側に設けられている。
【0037】
この例では、図5に示すように、第二の側面板14にスリット14aに代えてスリット14bが設けられている。スリット14bは、第一の方向Vの一方側に向かって凸となるように湾曲している。
【0038】
以上のように構成されたブランク2Aは、第1実施形態のブランク1Aと同様に組み立てられて箱状態の包装箱2となる。店員は、搬送された箱状態の包装箱2を、包装箱1と同様に配置し、蓋板20を除去する。摘み部34を摘まみ、ジッパー部30を一端部30aから他端部30bに向かって分離する。
上部領域11cとフラップ40とが同一平面上に配置されるようにした後で、図7に示すように表示部16を折り目線16b、16cで折り曲げて折り返す。
表示部16の帯状領域16dを、前方に突出させるとともに対向方向Xにほぼ平行に配置する。第二の側面板14と凸部50との間に折り返した表示部16を配置し、凸部50に表示部16を係止させる。第二の側面板14のスリット14bに表示部16の端部を差し込んで第二の側面板14に表示部16を係合させ、この状態を保持する。
折り曲げられた表示部16は、自身の弾性力により対向方向Xに広がろうとするが、第二の側面板14及び凸部50により表示部16が広がるのが防止される。
【0039】
第二の方向Wにおいて予破断線51は易破断線35に等しい位置に配置されているため、下部領域11fの上部の予破断線51と表示部16の下部の易破断線35との間に摩擦が生じる。このため、予破断線51から表示部16がズレにくくなる。
展開状態にした包装箱2を陳列棚等に配置すると、陳列棚に向かい合うように立った消費者の正面に表示部16の帯状領域16d(フェイス)が配置される。このため、消費者が表示P8を容易に視認することができる。
【0040】
以上説明したように、本実施形態の包装箱2によれば、切り開く時に表示部16が破り取られてしまうのを防止することができる。
さらに、表示部16に一対の折り目線16b、16cが形成されるとともに、前面板11の下部領域11fに凸部50が設けられている。このため、折り目線16b、16cで折り曲げた表示部16の帯状領域16dを消費者に向くように配置することができる。折り曲げた表示部16の形状を、第二の側面板14のスリット14bだけでなく、第二の側面板14及び凸部50でも保持することができる。
【0041】
なお、本実施形態では、凸部50は前面板11を連続的に切断することで形成されているとしたが、凸部は前面板11を断続的に切断することで形成されているとしてもよい。
予破断線は、図6に位置Lとして示すように、ジッパー片31が形成された範囲の易破断線35よりも第二の方向Wの他方側(下方)に配置されてもよい。
前面板11に予破断線51に替えて第二の易破断線が形成されてもよい。第二の易破断線は、前述の易破断線35と同様に構成した線である。
【0042】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図8及び図9を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図8に示すように、本実施形態の包装箱3は、第1実施形態の包装箱1に対して、蓋板20が連設される位置、及びジッパー部55の形状が異なる。以下では、包装箱3の構成を、包装箱3を組み立てる前の図9に示すブランク3Aを用いて説明する。
【0043】
ブランク3Aでは、蓋板20は、第一の側面板13の第二の方向Wの一方側に連設されている。
ジッパー部55は、前述のジッパー片31、32、33と、第一の側面板13の上端13aに沿って延びるジッパー片56を有している。
ジッパー部55の他端部55bであるジッパー片56の端部は、第一の側面板13と後面板12との間の接続部まで延びている。第一の側面板13と蓋板20との間のジッパー片56以外の部分には、易破断線58が設けられている。
【0044】
以上のように構成されたブランク3Aは、第1実施形態のブランク1Aと同様に組み立てられて図8に示す箱状態の包装箱3となる。この際に、蓋板補助21及びフラップ40と第二の側面板14との間にフラップ44を差し込むことで、第二の側面板14の上端に蓋板20を接続する。
箱状態の包装箱3を展開状態にするときには、摘み部34を摘まみ、ジッパー部55を一端部55aから他端部55bに向かって前面板11、第一の側面板13、及び蓋板20から分離する。ジッパー部55を分離することで、蓋板20の一部が第一の側面板13から分離する。なお、ジッパー部55を分離する際に誤って蓋板20が破れても、蓋板20は包装箱3を展開状態にした後では不要になる部材なので、問題無い。
易破断線58を破り、筒部10から蓋板20を除去する。
これ以降の包装箱3を展開状態にするための手順は、第1実施形態の包装箱1と同様である。
【0045】
以上説明したように、本実施形態の包装箱3によれば、切り開く時に表示部16が破り取られてしまうのを防止することができる。
さらに、包装箱3がジッパー部55を有するため、ジッパー部55を分離することで、第一の側面板13から蓋板20の一部が分離される。これにより、筒部10から蓋板20を除去する作業がほぼワンアクションで行えて、容易になる。
【0046】
以上、本発明の第1実施形態から第3実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。さらに、各実施形態で示した構成のそれぞれを適宜組み合わせて利用できることは、言うまでもない。
例えば、前記第1実施形態から第3実施形態では、摘み部34はコ字状であるとした。しかし、摘み部は前面板11が半円状等に連続的に切断されて構成されてもよい。
ジッパー部の一端部aに摘み部34が設けられなくてもよい。ジッパー部の一端部を刃物等を用いて連続的に切断することで、ジッパー部の一端部を容易に摘まむことができるからである。
【符号の説明】
【0047】
1、2、3 包装箱
10 筒部
11 前面板
12 後面板
13 第一の側面板
13a 上端
14 第二の側面板
15 罫線
16 表示部
16b、16c 折り目線
20 蓋板
25 底板
30、55 ジッパー部
30a、55a 一端部
30b、55b 他端部
34 摘み部
35 易破断線(第一の易破断線)
50 凸部
51 予破断線
X 対向方向
Z 上下方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9