(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。なお、
図1に示す矢印Hは鉛直方向を示し、矢印Wは水平方向であって装置幅方向を示す。
【0017】
(画像形成装置10)
図1は、画像形成装置10を正面側から見た構成を示す概略図である。この図に示されるように、画像形成装置10は、電子写真方式により用紙等の記録媒体Pに画像を形成する画像形成部12(形成部の一例)と、記録媒体Pを搬送する搬送装置50と、画像形成装置10の各部の動作を制御する制御部28と、を有している。以下、搬送装置50及び画像形成部12の具体的な構成について説明する。
【0018】
(搬送装置50)
図1に示されるように、搬送装置50は、記録媒体Pが収容される収容器51と、収容器51から後述の二次転写位置NTへ記録媒体Pを搬送する複数の搬送ロール52と、を有している。さらに、搬送装置50は、二次転写位置NTから後述の定着装置18へ記録媒体Pを搬送する複数の搬送ベルト58と、定着装置18から記録媒体Pの排出部(図示省略)へ向けて記録媒体Pを搬送する搬送ベルト54を有している。
【0019】
(画像形成部12)
図1に示されるように、画像形成部12は、トナー画像を形成するトナー画像形成部20と、トナー画像形成部20で形成されたトナー画像を記録媒体Pに転写する転写装置30と、記録媒体Pに転写されたトナー画像を加熱及び加圧して記録媒体Pに定着する定着装置18と、を有している。以下、トナー画像形成部20及び転写装置30の具体的な構成について説明する。
【0020】
トナー画像形成部20は、色ごとにトナー画像を形成するように複数備えられている。この実施形態では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)、銀色(V)の計5色のトナー画像形成部20が設けられている。この各色のトナー画像形成部20は、銀色(V)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の順で、後述の転写ベルト31の搬送方向の上流側から下流側に向けて配置されている。
【0021】
図1に示す(V)、(Y)、(M)、(C)、(K)は、上記各色に対応する構成部分を示している。なお、本明細書の説明では、(V)、(Y)、(M)、(C)、(K)の括弧を省略して、V、Y、M、C、Kと記載する場合がある。また、以下では、銀色(V)を除く、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)をまとめて「カラー色」と称する。
【0022】
(トナー画像形成部20)
各色のトナー画像形成部20は、用いるトナーを除き基本的に同様に構成されている。具体的には、各色のトナー画像形成部20は、
図2に示されるように、
図2における時計周り方向に回転する感光体ドラム21と、感光体ドラム21を帯電させる帯電器22と、を有している。さらに、各色のトナー画像形成部20は、帯電器22によって帯電された感光体ドラム21を露光して感光体ドラム21に静電潜像を形成する露光装置23と、露光装置23によって感光体ドラム21に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する現像装置24と、を有している。
【0023】
具体的には、露光装置36は、制御部28が取得した画像データに応じて変調された露光光を感光体ドラム21に照射して、感光体ドラム21に静電潜像を形成するようになっている。この静電潜像が、現像装置24によって現像されることで、画像データに基づくトナー画像が形成される。制御部28が取得する画像データとしては、例えば、外部装置(図示省略)で生成され該外部装置から取得した画像データなどがある。
【0024】
そして、トナー画像形成部20Vでは、銀色トナー112(
図9参照)を用いて、トナー画像を形成する。なお、以下、説明の便宜上、銀色トナーで形成されたトナー画像を「銀色画像」と称する。
【0025】
トナー画像形成部20Vで用いられる銀色トナー112は、
図9に示されるように、扁平顔料の一例としての顔料110とバインダー樹脂111とを含んで構成されている。顔料110は、アルミニウム等の金属で構成されている。そして、顔料110を平面に置いて側方から見ると、顔料110は、
図3(B)に示されるように、図中左右方向の寸法が図中上下方向の寸法に対して長くなる形状とされている。顔料110は、左右方向の寸法と上下方向の寸法との寸法比が、後述のカラー色トナーの顔料における当該寸法比よりも大きくされている。また、銀色トナーは、粒径が後述のカラー色トナーよりも大きくなっている。具体的には、カラー色トナーの体積平均粒径が、例えば4〜6μm程度とされるのに対して、銀色トナーの体積平均粒径は、例えば10μm程度とされる。
【0026】
また、
図3(B)に示す顔料110を図中上方から見ると、顔料110は、
図3(A)に示されるように、側方から見た形状に対して広がった形状とされ、顔料110は、顔料110を平面に置いた状態(
図3(B)参照)で、上方及び下方を向く一対の反射面110Aを有している。このように、顔料110は、扁平形状とされている。
【0027】
一方、トナー画像形成部20Y、20M、20C、20K(以下、20Y〜20Kと示す)は、カラー色トナーを用いて、トナー画像を形成する。カラー色トナーは、扁平顔料を含まず、扁平顔料以外の顔料(例えば、有機顔料、無機顔料)とバインダー樹脂とを含んで構成されている。当該顔料は、顔料110に比して、球形状に近い形状をしている。なお、以下、説明の便宜上、カラー色トナーで形成されたトナー画像を「カラー色画像」と称する。
【0028】
(転写装置30)
転写装置30は、
図1に示されるように、各色の感光体ドラム21のトナー画像を、転写ベルト31(中間転写体)に重畳して一次転写し、該重畳されたトナー画像を二次転写位置NTで記録媒体Pに二次転写するようになっている。具体的には、転写装置30は、転写ベルト31(中間転写体)と、一次転写ロール33と、二次転写ロール34(回転体の一例)を有する二次転写機構39(転写機構の一例)と、を備えている。以下、転写ベルト31、一次転写ロール33及び二次転写機構39の具体的な構成について説明する。
【0029】
(転写ベルト31)
転写ベルト31は、
図1に示されるように、無端状を成し、複数のロール32に巻き掛けられて姿勢が決められている。この実施形態では、転写ベルト31は、正面視で装置幅方向に長い逆鈍角三角形状の姿勢とされている。複数のロール32のうち、
図1に示すロール32Dは、図示しないモータの動力により転写ベルト31を矢印A方向に周回させる駆動ロールとして機能する。転写ベルト31は、矢印A方向に周回することで、一次転写された各色のトナー画像を、各色の一次転写位置Tから二次転写位置NTへ搬送するようになっている。
【0030】
また、複数のロール32のうち、
図1に示すロール32Tは、転写ベルト31に張力を付与する張力付与ロールとして機能する。複数のロール32のうち、
図1に示すロール32Bは、二次転写ロール34の対向ロール32Bとして機能する。対向ロール32Bには、前述の通り逆さ鈍角三角形状の姿勢とされた転写ベルト31の鈍角を成す下端側の頂部が巻き掛けられている。この転写ベルト31は、前述した姿勢で装置幅方向に延びる上辺部において、各色の感光体ドラム21に下方から接触している。
【0031】
なお、転写ベルト31の外周面側には、転写ベルト31の外周面を清掃する清掃装置35が設けられている。清掃装置35は、
図1に示されるように、転写ベルト31の周回方向において、二次転写位置NTの下流側で、かつ一次転写位置T(V)の上流側に配置されている。清掃装置35は、転写ベルト31の表面に残留したトナーを転写ベルト31の表面から掻き取るブレード35Aを備えている。
【0032】
(一次転写ロール33)
一次転写ロール33は、各感光体ドラム21のトナー画像を転写ベルト31に転写するロールであり、
図1に示されるように、転写ベルト31の内側に配置されている。各一次転写ロール33は、転写ベルト31を挟んで、対応する色の感光体ドラム21に対して対向配置されている。また、一次転写ロール33には、給電部37(
図2参照)によって、トナー極性とは逆極性の一次転写電圧(一次転写電流)が印加されるようになっている。これにより、トナー画像形成部20の感光体ドラム21と一次転写ロール33との間に転写電界が形成されて、感光体ドラム21に形成されたトナー画像に対して静電力が作用し、当該トナー画像が一次転写位置Tで転写ベルト31に転写される。
【0033】
(二次転写機構39)
二次転写機構39は、
図4に示されるように、二次転写部(転写部の一例)を構成する前述の二次転写ロール34(回転体の一例)と、二次転写ロール34の外周面を清掃する清掃部60と、を有している。また、二次転写機構39は、
図5及び
図6に示されるように、清掃部60(
図4参照)の後述の第2清掃ブラシ62に駆動力を伝達する伝達部80と、二次転写ロール34、清掃部60及び伝達部80が設けられたフレーム70(被支持体の一例)と、を有している。さらに、二次転写機構39は、
図7及び
図8に示されるように、フレーム70を引っ張る引張機構90を有している。
【0034】
以下、二次転写ロール34、清掃部60、伝達部80、フレーム70及び引張機構90の具体的な構成について説明する。なお、下記の説明で用いる前方、後方、上方、下方、左方(左側)及び右方(右側)は、それぞれ、図中に「前」、「後」、「上」、「下」、「左」、「右」にて示す矢印方向に対応する。これらの方向は、説明の便宜上定めた方向であるから、装置構成がこれらの方向に限定されるものではない。また、ここでの上下方向及び左右方向は、それぞれ、
図1に示す鉛直方向及び
図1に示す水平方向に対応する。
【0035】
(二次転写ロール34)
二次転写ロール34(回転体の一例)は、転写ベルト31に重畳されたトナー画像を記録媒体Pに転写するロールである。二次転写ロール34は、
図4に示されるように、対向ロール32Bとの間に転写ベルト31を挟むように配置されており、二次転写ロール34と転写ベルト31とは予め定められた荷重にて接触している。このように接触している二次転写ロール34と転写ベルト31の間が二次転写位置NTとされる。この二次転写位置NTには、収容器51から適時に記録媒体Pが供給されるようになっている。二次転写ロール34は、
図1における時計周り方向へ回転駆動される。
【0036】
また、二次転写ロール34には、給電部38によって、対向ロール32Bに負極性の電圧が印加され、対向ロール32Bと二次転写ロール34との間に電位差が生じる。すなわち、対向ロール32Bに負極性の電圧が印加されることで、対向ロール32Bの対向電極をなす二次転写ロール34にトナー極性と逆極性の二次転写電圧(正極性の電圧)が間接的に印加される。これにより、対向ロール32Bと二次転写ロール34との間に転写電界が形成されて、転写ベルト31のトナー画像に対して静電力が作用し、二次転写位置NTを通過する記録媒体Pに、転写ベルト31からトナー画像が転写される。
【0037】
(清掃部60)
清掃部60は、
図4に示されるように、二次転写ロール34のトナー(銀色トナー及びカラー色トナー)を吸着して除去する除去部材としての第1清掃ブラシ61及び第2清掃ブラシ62を有している。第1清掃ブラシ61及び第2清掃ブラシ62は、軸部61A、62Aと、軸部61A、62Aの外周にその全周にわたって設けられたブラシ部61B、62Bと、を有している。第1清掃ブラシ61及び第2清掃ブラシ62は、軸部61A、62Aが回転駆動されることで、回転するようになっている。第1清掃ブラシ61及び第2清掃ブラシ62は、一例として、二次転写ロール34の周回方向と同じ方向(
図4における時計方向)に回転するようになっている。なお、第1清掃ブラシ61及び第2清掃ブラシ62は、二次転写ロール34の周回方向と逆方向(
図4における反時計方向)に回転する構成であってもよい。また、第1清掃ブラシ61及び第2清掃ブラシ62が二次転写ロール34の周回方向と逆方向に回転する場合には、例えば、二次転写ロール34の周速度に対して周速度差を有して回転するように構成される。
【0038】
また、清掃部60は、第1清掃ブラシ61のブラシ部61Bに接触する第1金属ローラ63と、第2清掃ブラシ62のブラシ部62Bに接触する第2金属ローラ64と、を有している。
【0039】
さらに、清掃部60は、第1金属ローラ63に正極性の清掃電圧(クリーニング電圧)を印加する第1給電部65と、第2金属ローラ64に負極性の清掃電圧(クリーニング電圧)を印加する第2給電部66と、を有している。
【0040】
第1給電部65が、第1金属ローラ63に、正極性の清掃電圧を印加することで、二次転写ロール34と第1清掃ブラシ61と第1金属ローラ63とに直流に清掃電流(クリーニング電流)が流れる。これにより、二次転写ロール34に対して第1清掃ブラシ61が正極性となり、第1清掃ブラシ61に対して第1金属ローラ63が正極性となる。
【0041】
この構成により、二次転写ロール34上のトナーのうち、負極性に帯電したトナーが静電的に第1清掃ブラシ61に吸着されて移動した後、第1金属ローラ63に移動し、二次転写ロール34から除去される。
【0042】
また、第2給電部66が、第2金属ローラ64に、負極性の清掃電圧を印加することで、二次転写ロール34と第2清掃ブラシ62と第2金属ローラ64とに直流に清掃電流(クリーニング電流)が流れる。これにより、二次転写ロール34に対して第2清掃ブラシ62が負極性となり、第2清掃ブラシ62に対して第2金属ローラ64が負極性となる。
【0043】
これにより、二次転写ロール34上のトナーのうち、正極性に帯電したトナーが静電的に第2清掃ブラシ62に吸着されて移動した後、第2金属ローラ64に移動し、二次転写ロール34から除去される。
【0044】
なお、第1金属ローラ63及び第2金属ローラ64に移動したトナーは、ブレード等の除去部材(図示省略)により、第1金属ローラ63及び第2金属ローラ64から除去される。第1金属ローラ63及び第2金属ローラ64から除去されたトナーは、フレーム70に設けられた収容容器(図示省略)に収容(回収)される。
【0045】
(フレーム70)
フレーム70は、
図5及び
図6に示されるように、上部が開放された箱状に形成されている。具体的には、フレーム70は、底板71と、前板72と、後板74と、左側板76、右側板78と、を有している。前板72及び後板74は、二次転写ロール34の軸部34A及び第2清掃ブラシ62の軸部62Aの両端部に設けられた軸受部34B、62Dを介して、二次転写ロール34及び第2清掃ブラシ62を回転可能に支持している。二次転写ロール34は、具体的には、前板72及び後板74の上部で支持されている。
【0046】
また、図示はしないが、第1清掃ブラシ61も同様に、前板72及び後板74に回転可能に支持されている。さらに、図示はしないが、第1金属ローラ63及び第2金属ローラ64は、軸方向両端部が前板72及び後板74に固定されている。
【0047】
側板76には、開口部76Aが形成されている。また、側板76の上端には、側方(
図5における左側)に張り出した張出板77が形成されている。張出板77は、二次転写ロール34に沿って長さを有している。
【0048】
フレーム70は、後述の引出体100(支持体の一例)に対して、収容及び取り出しが可能とされている。すなわち、フレーム70は、後述の引出体100に着脱可能とされている。引出体100の具体的な構成については、後述する。
【0049】
(伝達部80)
伝達部80は、
図5及び
図6に示されるように、ギヤ83(第二ギヤの一例)と、ギヤ83の右上側でギヤ83と噛み合うギヤ84と、を有している。ギヤ83及びギヤ84は、フレーム70の後板74の後方側に配置されると共に、フレーム70の後板74に回転可能に支持されている。ギヤ84は、具体的には、第2清掃ブラシ62の軸部62Aにおける後方側の端部に固定されている。
【0050】
(引出体100)
引出体100は、
図5及び
図6に示されるように、上部が開放された箱状に形成されている。具体的には、引出体100は、底板101と、前板102と、後板104と、左側板106、右側板108と、を有している。
【0051】
左側板106及び右側板108のそれぞれには、画像形成装置本体150に対して引出体100を引出可能にするレール部材120が設けられている。このレール部材120は、前後方向に沿って延びるアウターレール122及びインナーレール124を有している。各アウターレール122は、画像形成装置本体150に固定されている。各インナーレール124は、左側板106及び右側板108に固定されている。
【0052】
引出体100が作業者によって前方へ引っ張られることで、各インナーレール124が各アウターレール122に対して前方へスライドし、引出体100が画像形成装置本体150の開口152から前方へ引き出される。また、引き出された引出体100が作業者によって後方へ押されることで、各インナーレール124が各アウターレール122に対して後方へスライドし、引出体100が画像形成装置本体150へ収納される。
【0053】
また、後板104の後方側には、駆動部としての駆動モータ130が取り付けられている。駆動モータ130の駆動軸136は、後板104の前方側に突出している。この駆動軸136には、後板104の前方側で駆動ギヤ131が固定されている。この駆動ギヤ131に噛み合うギヤ132(第一ギヤの一例)が、駆動ギヤ131の右斜め上側且つ後板104の前方側で、後板104に回転可能に支持されている。
【0054】
また、前板102の上端及び後板104の上端には、縁部の形状がUの字状とされた凹部110(切欠)が形成されている。この凹部110には、フレーム70が引出体100の内部へ引出体100の上方から収容(装着)される際に、フレーム70に設けられた二次転写ロール34の軸受部34Bが差し入れられる。これにより、フレーム70が引出体100の内部に収容された状態で、フレーム70は、凹部110の縁部によって、二次転写ロール34の軸部34Aを介して支持される。フレーム70は、二次転写ロール34の軸部34Aを介して支持されることで、二次転写ロール34の軸部34A周りに回転可能(移動可能)に引出体100に支持されている。
【0055】
また、前板102における左上部分と後板104における左上部分との間には、軸方向の一端部及び他端部のそれぞれが前板102及び後板104のそれぞれに固定された円筒状の円筒部材112が配置されている。この円筒部材112には、フレーム70が引出体100の内部へ引出体100の上方から収容される際に、フレーム70の張出板77が載せられる。これにより、フレーム70における二次転写ロール34の軸部34A周りの回転(移動)が規制される。
【0056】
そして、フレーム70の自重により、円筒部材112に張出板77が載せられた状態(接触した状態)が維持される。円筒部材112に張出板77が載せられた位置において、予め定められた噛合位置(基準位置)で、フレーム70に配置されたギヤ83と、引出体100に配置されたギヤ132とが噛み合うようになっている。
【0057】
本実施形態では、フレーム70は、引出体100に収容された状態では拘束(固定)されておらず、張出板77が円筒部材112から浮き上がることが許容されている。すなわち、フレーム70は、ギヤ132に対するギヤ83の噛み合いが浅くなる方向(
図5の矢印A方向)への二次転写ロール34の軸部34A周りの移動が許容されている。
【0058】
(引張機構90)
引張機構90は、
図7及び
図8に示されるように、軸体92と、固定板94と、引張バネ96(部材の一例)と、受け板98と、を有している。なお、
図5及び
図6では、引張機構90の図示を省略している。
【0059】
軸体92は、前後方向に長さを有しており、引出体100に左右方向に移動可能に支持されている。具体的には、軸体92は、一例として、軸体92の前端部(長さ方向一端部)及び後端部(軸方向他端部)のそれぞれが、前板102及び後板104に左右方向に沿って形成された長孔91のそれぞれに挿入されることで、引出体100に左右方向に移動可能に支持される。より具体的には、軸体92は、長孔91の右縁に接触する第一位置(
図7に示す位置)と、長孔91の左縁に接触する第二位置との間で、引出体100に左右方向に移動可能に支持される。
【0060】
固定板94は、一例として、一対が備えられている。各固定板94が、一例として、軸体92の前端部における前板72の後面側、及び軸体92の後端部における後板74の前面側のそれぞれに固定されている。
【0061】
引張バネ96は、固定板94と同様に、一例として、一対が備えられている。各引張バネ96は、一端部(自由端部)が固定板94に取り付けられ、他端部(固定端部)が引出体100の右側板108に取り付けられている。これにより、各引張バネ96は、弾性力により、各固定板94を介して軸体92を右側に引っ張っている。したがって、各引張バネ96による弾性力のみが軸体92に作用している状態(当該弾性力に対抗する対抗力が作用していない状態)では、軸体92は、第一位置(
図7に示す位置)に位置する。
【0062】
受け板98は、フレーム70の右側板78の下部に固定されている。受け板98は、右側板78から右側に張り出す張出部98Aと、張出部98Aの右端から下側に延びる受け部98Bと、受け部98Bの下端から右斜め下側に延びる誘導部98Cと、を有している。
【0063】
フレーム70が引出体100に収容される作業者の収容作業により、二次転写ロール34の軸受部34Bが引出体100の凹部110に差し入れられるように引出体100に対してフレーム70が下方へ移動することで、誘導部98Cが軸体92に対して上側から接触する。これにより、誘導部98Cが軸体92を押しながら左側へ誘導する。そして、フレーム70が引出体100に収容された状態において、軸体92は、受け部98Bと右側板78との間に配置され、各引張バネ96が、各固定板94及び軸体92を介して受け部98を右側に引っ張る。これにより、フレーム70が、二次転写ロール34の軸部34A周りに、ギヤ132に対するギヤ83の噛み合いが深くなる方向(
図5の矢印B方向)へ引っ張られる。
【0064】
このように、引張機構90では、フレーム70が引出体100へ装着される際に、フレーム70に設けられた受け板98(部材)が、引張バネ96の自由端部に設けられた軸体92(部材)を押して当該自由端部を移動させ、各引張バネ96が、フレーム70を引っ張る状態になる。すなわち、引張機構90では、フレーム70の引出体100への装着により、各引張バネ96が、フレーム70を引っ張る状態になる。
【0065】
なお、本実施形態では、二次転写ロール34の軸受部34Bが引出体100の凹部110に差し入れるためのガイド(案内部)及び、誘導部98Cが軸体92に対して上側から接触するためのガイド(案内部)を有していてもよい。また、軸体92には、受け板98に接触する回転可能なコロ等の回転体が設けられていてもよい。
【0066】
(本実施形態に係る作用)
本実施形態に係る画像形成装置において、銀色及びカラー色による画像を記録媒体Pに形成する場合には、各色の画像形成ユニット20、転写装置30及び定着装置40が作動される。これにより、各色の画像形成ユニット20において、トナー画像が形成される。具体的には、各色の画像形成ユニット20において、以下の画像形成工程(プロセス)にてトナー画像が形成される。
【0067】
すなわち、各色の感光体ドラム21は、回転されながら帯電器22によって帯電される。また、各露光装置23は、画像データに応じて各露光光Lを出射して、帯電した各感光体ドラム21に露光する。すると、各感光体ドラム21の表面に静電潜像が形成される。各感光体ドラム21に形成された静電潜像は、現像装置24から供給される現像剤によって現像される。これにより、各色の感光体ドラム21には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)、白色(W)及び銀色(V)、のトナー画像が形成される。
【0068】
各色の感光体ドラム21に形成された各色のトナー画像は、各色の感光体ドラム21と各色の一次転写ロール33との間に形成された転写電界において、周回する転写ベルト31に順次転写される。これにより、転写ベルト31には、各色のトナー画像が重畳されたトナー画像が形成される。この重畳されたトナー画像は、転写ベルト31の周回によって二次転写位置NTに搬送される。
【0069】
この二次転写位置NTにおいて、収容器51から搬送された記録媒体Pに、転写ベルト31に重畳されたトナー画像が転写される。記録媒体Pに転写されたトナー画像は、定着装置40で記録媒体Pに定着される。
【0070】
ここで、転写ベルト31に転写された銀色トナー112は、
図9に示されるように、転写ベルト31上において、分極化することで、銀色トナー112の長手方向が、転写ベルト31に対する直交方向に沿った状態(立ち上がった状態)となりやすい。また、各一次転写位置TVにおける転写電圧の印加により、電荷の注入が生じて分極化が促進され、転写ベルト31上に立った状態で存在するトナーの量が増加する。
【0071】
また、例えば、フレーム70が引張機構90を有せず無負荷状態(バネ等による負荷(荷重)が作用していない状態)である構成(比較例)では、フレーム70が移動しやすく、フレーム70に配置されたギヤ83と、引出体100に配置されたギヤ132との噛み合い状態が浅くなる場合がある。特に、清掃部60で除去されて収容容器(図示省略)に収容されるトナーの量が少ない場合(画像形成装置10の稼働初期)では、フレーム70の重量が軽いため、フレーム70が移動しやすく、ギヤ132に対するギヤ83の噛み合い状態が浅くなりやすい。ギヤ132に対するギヤ83の噛み合い状態が浅くなると、ギヤ132とギヤ83とががたつき、二次転写ロール34が振動する場合がある。
【0072】
そして、銀色画像を転写ベルト31から記録媒体Pに転写する際に、二次転写ロール34が振動すると、転写された銀色画像における銀色トナー112の顔料110の姿勢が振動周期に従って変化する。特に、前述のように、銀色トナー112が転写ベルト31上で立ち上がった状態(
図9参照)では、寝た状態である場合よりも転写ベルト31に対する接触面積が小さく、銀色トナー112の転写ベルト31に対する付着力が小さい。したがって、銀色トナー112の顔料110の姿勢の変化が生じやすい。
【0073】
この顔料110の周期的な姿勢の変化によって、定着後の銀色画像において、顔料110の姿勢の周期的なばらつきが生じる。すなわち、定着後の銀色画像において、
図10に示されるような顔料110の配向ムラが発生する。顔料110の配向ムラが発生すると、顔料110からの反射光によって視認される金属光沢感にムラが発生する。
【0074】
図10に示す一例では、記録媒体Pの搬送方向Dと交差する方向に帯状にされた暗部PAと明部PBとが、搬送方向Dに交互に並んだムラとなっている。このムラは、
図10の矢印X方向から見た場合に視認されるムラである。具体的には、暗部PAは、
図11(A)に示されるように、顔料110が視認方向Xに沿った姿勢とされ、視認側への反射光が相対的に低い状態となっている。一方、明部PBは、
図11(B)に示されるように、顔料110が視認方向Xに対面する姿勢とされ、視認側への反射光が相対的に高い状態となっている。なお、
図11(A)は、
図10の矢視Aにおける模式的な断面図であり、
図11(B)は、
図10の矢視Bにおける模式的な断面図である。
【0075】
これに対して、本実施形態では、引張機構90によって、フレーム70が、ギヤ132に対するギヤ83の噛み合いが深くなる方向(
図5の矢印B方向)へ引っ張られる。これにより、円筒部材112に張出板77が載せられた状態(接触した状態)が維持される。この円筒部材112に張出板77が載せられた位置において、予め定められた噛合位置(基準位置)で、ギヤ83とギヤ132とが噛み合う。
【0076】
これにより、ギヤ132に対するギヤ83との噛み合い状態が浅くならず、ギヤ132とギヤ83とのがたつきが抑制される。したがって、二次転写ロール34の振動が抑制されて、顔料110の周期的な姿勢のばらつきが抑制される。すなわち、定着後の銀色画像において、顔料110の配向ムラが抑制される。したがって、顔料110の配向ムラに起因する金属光沢感のムラも抑制され、画像不良が抑制される。
【0077】
また、本実施形態の引張機構90では、フレーム70の引出体100への装着により、各引張バネ96が、フレーム70を引っ張る状態になる。したがって、フレーム70の引出体100への収容作業(装着作業)を行うことで、各引張バネ96の取付作業などをしなくても、各引張バネ96がフレーム70を引っ張る状態になる。
【0078】
本実施形態では、二次転写ロール34がフレーム70の上部に配置されているため、フレーム70の上部における二次転写ロール34の軸部34A周りの移動が許容されている。一方、引張機構90の引張バネ96は、フレーム70の下部を引っ張る。このため、引張バネ96がフレーム70の上部を引っ張る場合に比べ、軸部34Aを中心とする回転モーメントの腕が長くなり、引張バネ96がフレーム70を引っ張る力が小さくて済む。したがって、引張バネ96として、引っ張り力が相対的に小さい小型のバネを用いれば足りる。
【0079】
(押し機構190)
本実施形態では、二次転写機構39は、引張機構90を有していたが、引張機構90に替えて、押し機構190を有していてもよい。
【0080】
押し機構190は、
図12及び
図13に示されるように、軸体192と、固定板194と、圧縮バネ196(部材の一例)と、装着部材197、受け板198と、を有している。
【0081】
軸体192は、前後方向に長さを有しており、引出体100に左右方向に移動可能に支持されている。具体的には、軸体192は、一例として、軸体192の前端部(長さ方向一端部)及び後端部(軸方向他端部)のそれぞれが、前板102及び後板104に左右方向に沿って形成された長孔191のそれぞれに挿入されることで、引出体100に左右方向に移動可能に支持される。より具体的には、軸体192は、長孔191の右縁に接触する第一位置(
図12に示す位置)と、長孔191の左縁に接触する第二位置との間で、引出体100に左右方向に移動可能に支持される。
【0082】
固定板194は、一例として、一対が備えられている。各固定板194が、一例として、軸体192の前端部における前板72の後面側、及び軸体192の後端部における後板74の前面側のそれぞれに固定されている。
【0083】
受け板198は、固定板194に固定されている。受け板198は、固定板194の下端部に固定された底部198Aと、底部198Aの左端から上方へ延びる受け部198Bと、受け部198Bの上端から左斜め上側に延びる傾斜部198Cと、を有している。
【0084】
圧縮バネ196は、固定板194と同様に、一例として、一対が備えられている。各圧縮バネ196は、一端部(自由端部)には装着部材197が装着され、他端部(固定端部)が引出体100の左側板106に取り付けられている。
【0085】
装着部材197は、左端側が開放され、右端側が閉鎖された円筒状に形成されている。装着部材197の右端面197Aは、右側に凸状にされている。右端面197Aが受け板198の受け部198Bに接触している。
【0086】
これにより、各圧縮バネ196は、弾性力により、各固定板194を介して軸体192を右側に引っ張っている。したがって、各圧縮バネ196による弾性力のみが軸体192に作用している状態では、軸体192は、第一位置(
図12に示す位置)に位置する。
【0087】
フレーム70が引出体100に収容される作業者の収容作業により、二次転写ロール34の軸受部34Bが引出体100の凹部110に差し入れられるように引出体100に対してフレーム70が下方へ移動することで、フレーム70の左側板76と底板71との角部73が傾斜部198Cに対して上側から接触する。これにより、下方へ移動するフレーム70が角部73を通じて受け板198を右側へ押す。そして、フレーム70が引出体100に収容された状態において、フレーム70の左側板76の下部が、受け板198の受け部198Bに接触し、各圧縮バネ196が、装着部材197、受け板198を介してフレーム70を右側へ押す。これにより、フレーム70が、二次転写ロール34の軸部34A周りに、ギヤ132に対するギヤ83の噛み合いが深くなる方向(矢印B方向)へ押される。
【0088】
このように、押し機構190では、フレーム70が引出体100へ装着される際に、フレーム70の角部73が、圧縮バネ196の自由端部に設けられた受け板198を押して当該自由端部を移動させ、圧縮バネ196が、フレーム70を押した状態になる。すなわち、押し機構190では、フレーム70の引出体100への装着により、各圧縮バネ196が、フレーム70を押した状態になる。
【0089】
(他の変形例)
また、本実施形態では、回転体の一例として、二次転写ロール34が用いられていたが、これに限られない。二次転写ロール34に替えて二次転写ベルト(転写部の一例)を用いる場合では、二次転写ベルトが巻き掛けられると共に、対向ロール32Bに対向するロールが回転体の一例として機能する。
【0090】
また、本実施形態では、駆動モータ130、駆動ギヤ131及びギヤ132、83、84は、第2清掃ブラシ62を回転するために用いられていたが、これに限られない。駆動モータ130、駆動ギヤ131及びギヤ132、83、84は、第1清掃ブラシ61、二次転写ロール34及びその他のロール等を回転させるために用いてもよい。
【0091】
また、本実施形態では、画像形成ユニット20Vは、銀色トナー112を用いたが、これに限られず、例えば、金色等の他の金属色のトナーを用いてもよい。金色のトナーの場合は、例えば、銀色の顔料(アルミニウム等)と、イエローの顔料とを含む。このように、扁平顔料を含むトナーにおいては、扁平顔料以外の顔料を含んでいてもよい。
【0092】
また、本実施形態では、フレーム70の引出体100への装着により、フレーム70又はフレーム70に設けられた部材が、引張バネ96又は圧縮バネ196の自由端部に設けられた部材に押して、当該自由端部を移動させて、フレーム70が押され又は引っ張られた状態になったが、これに限られない。例えば、フレーム70の引出体100への装着をセンサで検知し、この検知により、駆動力にて、引張バネ96又は圧縮バネ196の自由端部を移動させて、フレーム70が押され又は引っ張られた状態になる構成であってもよい。
【0093】
また、本実施形態では、フレーム70の下部を押し又は引っ張ったがこれに限られない。例えば、フレーム70の上部、具体的には、例えば、張出板77を下方へ押し又は引っ張る構成であってもよい。
【0094】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した変形例は、適宜、複数を組み合わせて構成してもよい。