(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記補正手段は、前記複数の受光素子ごとの前記複数の発光素子の受光光量の各々を等しい値にする係数を算出し、前記発光部の発光光量及び前記受光部の受光感度の補正を一度に行う
請求項2に記載の計測装置。
前記開口部と前記第1のレンズとの距離は前記第1のレンズの焦点距離と等しくされ、かつ前記開口部と前記第2のレンズとの距離は前記第2のレンズの焦点距離と等しくされた
請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の計測装置。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[第1の実施の形態]
図1ないし
図11を参照して、本実施の形態について詳細に説明する。まず、
図1ないし
図3を参照して、本実施の形態に係る計測装置10の構成の一例について説明する。
図1および
図2は、計測装置10が対象物の計測を行う場合の構成を示し、
図3は、計測装置10の発光・受光系の補正を行う場合の構成を示している。
【0024】
図1に示すように、計測装置10は、発光器14、光学系30、受光器18、及び制御部20を含んで構成されている。計測装置10は、−X方向に移動する対象物OBの微細領域にZ軸方向から順次光を照射し、各照射光に対する反射光の反射角度分布(光量分布の反射角度依存性)を取得する。取得した反射角度分布を用い、対象物OBの形状の変化や表面状態(シボ、エンボス、表面粗さ、表面欠陥、異物付着等)について、対象物OBとの距離や対象物OBの角度の変動に影響されずに計測がなされる。
【0025】
より詳細には、
図1に示すように、発光器14は、−X方向に移動する対象物OBが通過する計測領域Tに対して、装置上下方向(Z軸方向)の上方に配置されている。また、発光器14は、基板14A上Y軸方向に並べて実装され、−Z方向を発光方向とする複数の発光素子12を備えている。換言すれば、複数の発光素子12は、対象物OBの移動方向(−X方向)に対して直交(交差)する方向に並べられている。なお、
図1では、基板14AのY軸方向の一端部(図中右端)に配置された発光素子12を発光素子12Aと表記し、基板14AのY軸方向他端部(図中左端)に配置された発光素子12を発光素子12Bと表記し、基板14Aの中央に配置された発光素子12を発光素子12Cと表記している。
【0026】
本実施の形態に係る複数の発光素子12は、発光素子12Aから発光素子12Bまで、時間差を設けて順次発光されるように構成され、各発光素子12からの光が対象物OBの異なる位置に順次照射される。そして、対象物OBが計測領域Tにおいて−X方向に移動する間に、発光素子12Aから発光素子12Bまでの1周期の発光が複数回繰り返されるように構成されている。
図1には、発光素子12Cが発光した場合の照射光IFの光束を、
図2には、発光素子12Cから出射された照射光IFが対象物OBの表面200で反射された場合の反射光RFの光束を示している。
【0027】
発光素子12としては特に限定されないが、一例として、面発光レーザ(Vertical Cavity Surface Emitting Laser:VCSEL)、発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)等が用いられる。
【0028】
光学系30は、レンズ32、レンズ34、及びレンズ32とレンズ34との間に配置された絞り40を含み、いわゆる両側テレセントリックレンズとして構成されている。光学系30は、発光器14と対象物OBとの間に配置され、発光素子12から発光された照射光を対象物OBに導くと共に、対象物OBで反射された反射光を受光器18に導く。つまり、受光器18は、レンズ34から出射された発光素子12からの照射光が対象物OBで反射し、再度レンズ34を透過した光束の少なくとも一部を受光するように構成されている。また、本実施の形態では、レンズ32の光軸とレンズ34の光軸とが共通の光軸Mとされ、この光軸Mが、発光器14の発光素子12Cの中心、および後述する開口部42の中心を通っている。
【0029】
レンズ32は、一例として、平面視で円形状の凸レンズとされ、レンズ32の直径Jは、発光素子12Aから発光素子12BまでのY軸方向の寸法Dより長くされている。そのため、各発光素子12から発光された光のほぼすべてはレンズ32を透過し、レンズ32を透過した光は発散度合を変えられ、平行光とされてレンズ34に向かう。
【0030】
レンズ34は、一例として、平面視で円形状の凸レンズとされ、本実施の形態では、レンズ34の直径Gは、レンズ32の直径Jより長くされている。そして、レンズ34は、レンズ32から出射されてレンズ34を透過する光束を対象物OBの表面200に向けて集光する。なお、レンズ34の集光点の位置(焦点)を、必ずしも対象物OBの表面200の位置とする必要はない。集光点の位置を表面200の位置からずらし(デフォーカスし)、表面200上における照射光IFの照射径、つまり、対象物OBの照射領域の大きさを調整するようにしてもよい。なお、本実施の形態に係る照射径は、一例として数10μmφである。
【0031】
絞り40には、略円形状の開口部42が形成されており、この開口部42によって、発光素子12から発光されレンズ32を透過してレンズ34に入射する光束を絞る。より具体的には、絞り40は、板面をX−Y平面に平行とされた板状とされ、絞り40には、光軸Mの周囲でレンズ34側に屈曲して先細りとされた先端部が形成されている。この先端部が、開口部42を構成する開口縁42Aとされており、開口部42によって形成される円形状は光軸Mを中心軸としている。なお、本実施の形態に係る開口部42の直径は、一例として約1mmである。
【0032】
そして、Z軸方向において、この開口縁42Aとレンズ32との距離F1は、レンズ32の焦点距離f1と略等しくされ、開口縁42Aとレンズ34との距離F2は、レンズ34の焦点距離f2と略等しくされている。
【0033】
以上のように構成された本実施の形態に係る光学系30は、順次発光された各発光素子12からの光束を、発光素子12の位置によらずに、細く絞られかつ光軸Mに平行な照射光IFとして対象物OBに照射する(
図7参照)。換言すれば、各発光素子12を発光させて走査することにより、細く絞られ互いに平行な略円形の光束が対象物OBに順次照射される。さらに、本実施の形態に係る計測装置10では、照射光IFの光束のレンズ34による集光点付近に対象物OBを配置することにより、対象物OBにおける各照射光IFの照射領域がほぼ同径の微細な領域とされている。このことにより、計測装置10では、対象物OBの位置がZ軸方向で上下変動しても、ほぼ同じ照射径で各照射光が照射されるため、対象物OBの像のボケが極めて小さくされる。
【0034】
受光器18は、複数の受光素子16を含んで構成され、対象物OBで反射され光学系30のレンズ34を透過した反射光RFを受光する。本実施の形態に係る受光器18は、レンズ32とレンズ34との間に配置された絞り40の、Z軸方向下側に配置されている。
受光素子16としては、特に制限はないが、例えば、フォトダイオード(Photodiode:PD)、電荷結合素子(Charge−Coupled Device:CCD)等が用いられる。
【0035】
受光器18がレンズ32とレンズ34との間に配置されるため、受光素子16も同様に、レンズ32とレンズ34との間に配置される。ここで、受光素子16がレンズ32とレンズ34との間に配置されるとは、
図1に示されるように、レンズ34の外径端(表面R(radius)と裏面Rの仮想接点)を通ってZ軸方向に延びる線Pで構成される円筒面に対し内側に受光素子16が配置されることをいう。
【0036】
図4(a)に、受光器18の構成の一例を示す。
図4(a)は、受光器18を、Z軸方向から見た平面図である。
図1に示す受光器18は、
図4(a)のX−X’で切断した断面図を表している。
図4(a)に示すように、受光器18は、一例として、中央に略円形の開口部18Bを有する略円形の基板18Aの上に、複数の受光素子16(
図4(a)では、60個の例が示されている)が面状(アレイ状)に配置されて構成されている。計測装置10では、この複数の受光素子16の全体を受光領域RAとして反射光RFを受光する。なお、
図4(a)では、基板18A上の全面に複数の受光素子16を配置した形態の受光器18を例示しているが、これに限られず、反射光RFの受光範囲等に応じて受光素子16を基板18Aの一部に配置した形態の受光器18としてもよい。
【0037】
受光領域RAで受光される反射光RFの範囲は、一例として、光軸Mに平行な軸を中心とした角度0°〜40°の範囲の反射光RFである。この反射光RFが受光領域RAで受光されると、各受光素子16の受光光量により立体的な分布が形成される。完全拡散面において反射された場合のように、反射光RFが等方的な場合には、この立体的な分布の、Z軸を含む平面で切断した断面の形状は、
図4(b)に示すように略ガウス曲線となる。
なお、
図4(b)の横軸の受光素子番号1〜6は、
図4(a)に示した受光素子16の番号1〜6に対応している。また、受光領域RAにおける受光素子16と受光素子16との間では反射光RFが受光されないので、実際の出力分布は離散的となるが、
図4(b)ではこれを省略して図示している。
【0038】
さらに、計測装置10では、受光素子16の受光面と開口縁42AとがZ軸方向上同じ位置とされているので、受光素子16の受光面とレンズ34との距離F2は、レンズ34の焦点距離f2と同じ長さとされている。このため、対象物OBの位置がZ軸方向において上下に変動して、あるいは、Y軸方向において左右に変動して、異なる発光素子からの照射光IFが照射されても、対象物OBへの照射位置が同じである限り、受光領域RAにおける出力分布は常に一定となる。
【0039】
換言すれば、対象物OBとして照射径程度の大きさの微小な領域を仮定すると、この対象物OBがZ軸方向において上下に、あるいは、Y軸方向において左右に移動した場合、異なる発光素子12による異なる照射光IFで照射され、異なる反射光RFを反射することになるが、本実施の形態に係る計測装置10では、受光領域RAに含まれる受光素子16全体による出力分布は、反射光RFの発生位置によらず常に同じ出力分布となる。
【0040】
制御部20は、
図5に示すように、CPU(Central Processing Unit)100、ROM(Read Only Memory)102、およびRAM(Random Access Memory)104を含んで構成されている。CPU100は、計測装置10の全体を統括、制御し、ROM102は、計測装置10の制御プログラム、あるいは後述する補正処理プログラム等を予め記憶する記憶手段であり、RAM104は、制御プログラム等のプログラムの実行時のワークエリア等として用いられる記憶手段である。CPU100、ROM102、及びRAM104は、バスBUSによって相互に接続されている。
【0041】
バスBUSには、発光器14、受光器18、及び後述する補正ミラー50を駆動するモータ52が接続されており、発光器14、受光器18、及びモータ52の各々は、バスBUSを介してCPU100の制御を受ける。
【0042】
図6を参照して、制御部20による発光器14及び受光器18の制御について説明する。
図6(a)は、上述したように発光器14の発光素子12を順次発光させる場合において、ある発光素子12を発光させるための発光パルス信号P1を、
図6(b)は、次の発光素子12を発光させるための発光パルス信号P2を各々示している。
図6(a)、(b)に示すように、本実施の形態に係る発光器14の制御では、発光パルス信号P1と発光パルス信号P2との間に、予め定められた期間の無信号(0レベル)時間が設けられている(
図6の時刻t2、t4に対応する部分)。
図6(c)は、発光パルス信号P1、P2によって発光素子12から発生した照射光IFによる反射光RFを、受光器18で受光する際の読取パルスを示している。この読取パルスにより、受光器18に含まれる全受光素子16(つまり、受光領域RA内の受光素子16)の受光光量が読み取られ、出力分布を示す信号とされる。
【0043】
まず、発光パルス信号P1によって発生した照射光IFの反射光RFを、時刻t1において全受光素子16で読み取る。いま、全受光素子16の個数をk個とすると、各受光素子16からk個の受光信号Sr(1)、Sr(2)、・・・、Sr(k)が得られる。次に、時刻t2において、発光パルス信号P1と発光パルス信号P2との間の0レベルの受光光量を全受光素子16によって読み取る。全受光素子16で読み取られたk個の0レベルの受光信号をSr0(1)、Sr0(2)、・・・、Sr0(k)とする。次に、全受光素子16の反射光RFの受光信号と0レベルの受光信号との差分、すなわち、Sr(1)−Sr0(1)、Sr(2)−Sr0(2)、・・・、Sr(k)−Sr0(k)を算出し、このk個の差分値を受光光量の出力分布とする。発光パルス信号P2以降も同様にして出力分布を算出する。算出された出力分布は、RAM104等の記憶手段に一時的に記憶させてもよい。
【0044】
なお、上記のように、反射光RFの受光信号から無信号時の受光信号を減算して反射光RFによる出力分布を示す信号を生成するのは、外乱光による影響を除くためであり、外乱光の影響が無視できる場合には、反射光RFの受光信号をそのまま出力分布を示す信号としてもよい。また、この場合には、連続する発光パルス信号の間を空ける必要もなく、さらには、受光するタイミングは読取パルスで決まるので、一部が重なっていてもよい。
【0045】
次に、
図3を参照して、本実施の形態に係る発光・受光系補正を行う場合の、計測装置10の構成について説明する。
図3に示すように、計測装置10の発光器14に含まれる各発光素子12の出射光量の補正、及び受光器18に含まれる各受光素子16の受光感度の補正(発光・受光系補正)を行う場合には、対象物OBに代えて、対象物OBの位置に補正ミラー50を配置する。
【0046】
補正ミラー50は、その一端をモータ52の回転軸54に固定され、モータ52によって、図中Sで示される矢印の方向に回転が可能なように構成されている。本実施の形態に係るモータ52は、一例として、微小な回転角の設定がなされるステッピングモータを採用しているが、これに限られず、設定角度の精度等に応じて他の種類のモータを用いてもよい。なお、
図3では、補正ミラー50の紙面左端にモータ52を配置する形態を例示しているが、むろんこれに限られず、モータ52を補正ミラー50の紙面右端に配置してもよいし、補正ミラー50の中央に配置してもよい。なお、補正ミラーを用いた発光・受光系補正の詳細については後述する。
【0047】
次に、
図7を参照して、対象物OBの反射特性(例えば、表面の凹凸度合)を計測する場合の計測装置10の動作について説明する。
図7(a)ないし(c)は、発光器14の発光素子12A、12C、12Bが順次発光した場合の、照射光IFの光束、及び、照射光IFが対象物OBの表面200で反射し、受光器18に導かれる反射光RFの光束を各々示している。
【0048】
まず、対象物OBが−X方向に移動して、対象物OBの先端が計測領域Tに進入すると、時間差を設けて各発光素子12が順次発光し、対象物OBに向けて照射光IFが順次照射される。そして、対象物OBの後端が計測領域Tを通り抜けるまで、発光素子12Aから発光素子12Bまでの1周期の発光が繰り返される。先述したように、この発光素子12の発光制御は、制御部20によって実行される。
【0049】
各発光素子12で発光された照射光IFの光束は、レンズ32によって、レンズ34の方向に向くようにその発散度合が変えられる。レンズ32によって発散度合が変えられた光束は、絞り40によって絞られる(制限される)。絞り40によって絞られた光束はレンズ34によって集光され、Z軸方向(光軸Mに平行な方向)から対象物OBに照射される。換言すれば、対象物OBは、照射光IFのレンズ34による集光点付近に配置される。本実施の形態に係る照射光は、先述したように、対象物OBの表面200において、一例として数10μmφ程度まで集光される。
【0050】
対象物OBに照射された照射光IFは、対象物OBの表面200で反射し、反射光RF(
図7では、矢印付点線で示されている)を生成する。反射光RFの光束は、レンズ34によって、各受光素子16の方向に向かうように方向が変えられる。レンズ34を透過した反射光RFは、各受光素子16によって受光される。
【0051】
対象物OBの表面200の状態に応じ、照射光IFは様々な方向に反射されるが、本実施の形態では、先述したように、照射光のIFの表面200への入射点を通る、光軸Mに平行な軸を中心として0°〜40°の角度の範囲の反射光RFを受光する。従って、1個の発光素子12から発光される照射光IFに対応する受光器18の受光領域RAは、略円形となる。
図4(a)の受光領域RAは、その一例を示したものである。
【0052】
各受光素子16で受光された受光信号は、先述したように、制御部20の制御によって、予め定められたタイミングで読み取られる。読み取られた受光信号はRAM104等の記憶手段に一時的に記憶されてもよい。制御部20は、各発光素子12に対応する受光信号(輝度信号)を用いて受光領域RAにおける出力分布(受光プロファイル)を生成する。この出力分布には反射光RFの角度情報が含まれるので、例えば対象物OBの凹凸度合が計測される。
【0053】
次に、
図9ないし
図11を参照して、本実施の形態に係る発光・受光系補正について説明するが、その前に、
図8を参照して、発光・受光系補正の比較例について説明する。
図8は、比較例に係る計測装置90において発光・受光系補正を行う場合の動作を示している。
図8に示す発光・受光系補正は、発光素子の光量と受光素子の感度とを同時に補正する方式である。
【0054】
図8に示すように、計測装置90は、計測装置10と同様、複数の発光素子12を備えた発光器14、レンズ32、34、絞り40、及び複数の受光素子16を備えた受光器18を含んで構成されている。発光器14、レンズ32、34、絞り40、及び受光器18の機能は計測装置10と同様なので説明を省略する。発光・受光系補正を行う場合の計測装置90は、さらに、完全拡散素材で作製された基準サンプルDSを備える。
【0055】
完全拡散素材とは、表面が完全拡散面、すなわち反射光強度の分布が入射光の方向に依存せず、反射面を見込む立体角に比例するような面をとなっている素材である。従って、各発光素子12からの照射光IFに対して、反射面を見込む一定の立体角の範囲の反射光が得られるので、各発光素子12ごとの照射光IFを基準サンプルDSの表面で反射させ、全受光素子16で同時に受光させることができる。
【0056】
図8(a)ないし(c)は、各々発光素子12A、12C、12Bが順次発光された場合の、照射光IF、及び照射光IFが基準サンプルDSの表面で反射された反射光RFの光束を示している。ただし、照射光IFは光束の中心にあたる光線のみを示している。
【0057】
図8(a)ないし(c)の各図においては、基準サンプルDSの表面の特性によって、照射光IFの入射点において略等しい反射率で等方的に反射されることにより、反射光RFが各受光素子16で受光される。従って、各発光素子12を順次発光させ、光軸Mに平行な照射光IFを基準サンプルDSに照射することにより、各発光素子12ごとに反射光RFが各受光素子16に導かれ、制御部20の制御によって、全受光素子16における受光光量が測定される。
【0058】
図8(d)に、発光素子12A、12C、12Bが発光した場合の、受光器18における出力分布(受光光量分布)を示す。
図8(d)の各発光素子12に対応する出力分布は、照射光IFに対する反射面が完全拡散面に近い基準サンプルDSの表面なので、ガウス曲線に近似した分布となる。この発光素子12ごとの出力分布を元に、例えば、各出力分布のピーク値を求め、この各ピーク値を予め定められた基準、例えば各ピーク値のうちの最大値に合わせるように各出力分布に対する補正係数を算出する。
【0059】
以降の計測において、各発光素子12に対応する受光器18の受光出力に対しこの補正係数を乗ずることにより、シェーディング補正を行う。以上のようにして、比較例に係る発光・受光系の補正がなされる。本比較例に係る発光・受光系の補正方法によれば、各発光素子12ごとの照射光が同時に各受光素子16に導かれるので、発光・受光系の補正が比較的簡易になされる。
【0060】
しかしながら、完全拡散素材は、反射率は略均一であるものの、反射角度分布は均一とはいえない。さらに、反射率に関しても、一般的な計測装置で用いられる数mmφの照射光に対しては均一といえるが、本実施の形態に係る計測装置のように、数10μmφの照射光に対しては、もはや均一とはいえなくなる。照射スポットの面積比で、約1/10000のオーダーになるからでる。従って、計測装置に求められる計測の精度によっては、さらなる工夫を求められる場合もある。
【0061】
一方、発光素子12の光量のバラツキの補正(発光系補正)と、受光素子16の感度のバラツキの補正(受光系補正)とを個別に補正する方法としては、以下のような方法が考えられる。
【0062】
すなわち、発光系補正においては、計測装置の対象物OBへの照射光IFの入射点の位置に、Y軸方向(
図1参照)に移動可能な光量計測装置を備えさせる。そして、発光素子12を順次発光させ、光学系の光軸Mに平行に照射光を順次照射し、発光素子12ごとの光量を、光量計測装置をY軸方向に移動させつつで測定する。あるいは、平面視で全発光素子12が照射する領域を包含する面積において均一な感度を有する光量計測装置を用いて、全発光素子12の光量を一括して測定するという方法も考えられる。しかしながら、前者の場合は、装置が複雑になり、後者の場合は光量計測装置のコストアップにつながり、また、受光回路が複雑になってしまう。
【0063】
一方、受光系補正においては、計測装置の対象物OBへの照射光IFの入射点の位置に、Y軸方向(
図1参照)に移動可能で、かつ基準光量の光を発光するとともに、Y−Z平面内で照射角度を可変とされた補正用光源を備えさせる。そして、補正用光源からの出射光の照射角度を変えながら全受光素子16に受光させて受光素子16ごとの感度を測定する。しかしながら、この方式では、補正用光源の移動機構、照射角度可変機構が必要となり、装置が複雑になってしまう。
【0064】
また、上記のような発光系、受光系を個別に補正する方法よりも、上記比較例に係る発光・受光系補正のように、発光素子12の光量バラツキと、受光素子16の感度のバラツキを一体として、一度に補正される補正方法の方が手順が少ない点でより好ましい。
【0065】
そこで、本実施の形態に係る計測装置10では、
図3に示すように、発光・受光系補正用の補正ミラー50を備え、発光系、受光系が一度にシェーディング補正されるように構成されている。本実施の形態に係る補正ミラー50は、表面202で鏡面反射する全反射鏡であり、例えば、ガラスあるいは金属に金属薄膜をコーティングしたものを用いる。むろん、補正ミラー50としては、全反射鏡に限られず半透過鏡であってもよいし、他の構造のミラーであってもよい。
【0066】
図9を参照して、本実施の形態に係る発光・受光系補正について説明する。
図9(a)ないし(c)は、各々発光素子12A、12C、12Bが発光した場合の、照射光IFの光束、及び、照射光IFの光束が予め定められた傾斜角θで傾けられた補正ミラー50で反射した反射光RFの光束を各々示している。
図9(a)ないし(c)に示すように、本実施の形態において、各発光素子12A、12C、12Bを発光させることは、すなわち、対象物OBへの光軸Mに平行な照射光IF、つまりは反射光RFの位置を変えていることに対応する。
【0067】
図9(a)ないし(c)では、照射光IFの光束を中心の1本の光線のみを示している。また、本実施の形態に係る補正ミラー50は鏡面反射するので、反射光RFも極めて細い光束となる(
図9(a)ないし(c)では、1本の光線で示している)。従って、以下の説明においては、各発光素子12からの照射光IFに対する反射光RFは、1つの受光素子16で受光される(同時に複数の受光素子16で受光されることはない)ものとして説明する。
【0068】
本実施の形態に係る発光・受光系補正においては、補正ミラー50の傾斜角θを固定した状態で発光素子12を順発光させ、1つの受光素子16で各発光素子12による反射光RFの受光光量を測定する。そして、補正ミラー50の傾斜角θを変えて受光させる受光素子16を順次移動させ同じ測定を繰り返して、全発光素子12による発光と、全受光素子16による受光とを組み合わせた測定値を取得し、この測定値を使用して各発光素子12及び各受光素子16の組み合わせごとのシェーディング補正係数を算出し、発光・受光系補正を行う。
【0069】
ここで、
図4(a)に示すように、本実施の形態に係る受光器18は面状に配置された受光素子16を備えているので、各受光素子16に入射させる発光素子12からの照射光IFを2次元で走査する必要がある。しかしながら、図示が煩雑になるので、以下の説明では、各受光素子16への照射光IFは、モータ52により1次元、すなわちY−Z平面内で走査されるものとする。なお、2次元で走査する場合には、モータ52に代えて、ゴニオステージ等の回転軸が2軸で傾斜可能な機構を用いればよい。
【0070】
図9(a)は、補正ミラー50を傾斜角θ1に設定し、発光素子12Aを発光させ、受光素子番号1の受光素子16(
図4(a)参照。以下、受光素子番号iの受光素子を「受光素子16−i」と表記する)で受光する場合の状態を示している。同様に、
図9(b)は、発光素子12Cを発光させ受光素子16−1で受光する場合の状態を、
図9(c)は、発光素子12Bを発光させ受光素子16−1で受光する場合の状態を、各々示している。以上のようにして、補正ミラー50の傾斜角θがθ1の状態において各発光素子12を発光させ、受光素子16−1で各発光素子12の発光光量を測定する。このように、本実施の形態に係る計測装置10では、上述した光学系30の特性により、照射光IFに対する反射面の角度が同じであれば、同じ受光素子16で受光される。
【0071】
次に、受光素子16−2で受光されるように補正ミラー50の傾斜角θをθ2に設定し、各発光素子12を発光させ、各発光素子12の発光光量を受光素子16−2で測定する。以上の操作を受光素子16−3、16−4、16−5、及び16−6に対して行うことにより、
図9(d)に示す光量出力の測定結果が得られる。本実施の形態に係る計測装置10では、
図9(d)に示す各発光素子12の発光光量を各受光素子16で測定した光量出力の測定結果を用いて、シェーディング補正するための補正係数を算出し、発光・受光系補正を行う。
【0072】
なお、本実施の形態に係る計測装置10では、上述したように、発光素子12の発光タイミングの制御、受光素子16による受光信号の読み取りタイミングの制御、補正ミラー50の傾斜角θの設定制御等は、制御部20によって実行される。
【0073】
次に、
図10及び
図11を参照して、本実施の形態に係る発光・受光系補正を行うための補正処理プログラムについて説明する。
図10は、本実施の形態に係る補正処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、
図11は、補正処理プログラムで呼び出すシェーディング補正係数算出処理サブルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。
図10に示す処理は、例えば、ユーザにより図示しない入力部を介して実行開始の指示がなされると、制御部20のCPU100がROM102等の記憶手段から本補正処理プログラムを読み込み、実行する。また、本補正処理プログラムでは、各発光素子12からの照射光IFをある受光素子16で受光させるための、補正ミラー50の傾斜角θが予め定められ、ROM102等の記憶手段に記憶されているものとする。
【0074】
図10に示すように、ステップS100で、最初の受光素子16で反射光RFが受光されるように、補正ミラー50の傾斜角θを設定する。つまり、補正ミラー50の傾斜角が予め定めた角度θとなるように、モータ52を制御する。各受光素子16に対応する傾斜角θの各値がROM102等の記憶手段に記憶されている場合は、ROM102等から該傾斜角θを読み出しつつ、モータ52を制御する。
【0075】
次のステップS102では、最初の発光素子12を発光させる。
次のステップS104では、ステップS100で設定された受光素子16で受光光量を測定し、測定値を取得する。取得した受光光量は、RAM104等の記憶手段に一旦記憶させておいてもよい。
【0076】
次のステップS106では、全発光素子について発光が終了したか否か判定する。当該判定が否定判定となった場合には、ステップS108で次の発光素子12が発光されるように設定して、ステップS102に戻り、発光素子12による発光を継続する。一方、当該判定が肯定判定となった場合には、ステップS110に移行する。
【0077】
ステップS110では、全傾斜角、つまり全受光素子16について測定が終了したか否かについて判定する。当該判定が否定判定となった場合には、ステップS112で次の傾斜角へ移行する準備をした後ステップS100に戻り、補正ミラー50の傾斜角の設定を継続する。一方、当該判定が肯定判定となった場合には、ステップS114に移行する。
【0078】
ステップS114では、それまでに得られた
図9(d)に示すような光量出力の測定値を使用してシェーディング補正用の係数を算出するためのシェーディング補正係数算出処理サブルーチンを呼び出す。
【0079】
次のステップS116では、以降のシェーディング補正に備え、ステップS114で算出したシェーディング補正係数をRAM104、あるいは図示しないNVM(Non Volatile Memory)等の記憶手段に記憶させた後、本補正処理プログラムを終了する。
【0080】
次に、
図11を参照して、シェーディング補正係数算出処理サブルーチンについて説明する。本実施の形態におけるシェーディング補正係数とは、
図9(d)に示すような各受光素子16ごとの各発光素子12の光量出力の測定値を1つの値に揃えるため、すなわち、
図9(d)に示す18個の測定値をある1つの値とするために、各測定値に乗ずるべき係数をいう。
【0081】
まず、上記補正処理プログラムのステップS110で肯定判定となった時点で、RAM104等の記憶手段には、以下のような測定値が記憶されている。すなわち、受光素子16−iにおいて測定された発光素子12Aの光量出力をViA、発光素子12Cの光量出力をViC、発光素子12Bの光量出力をViBと表記すると、以下の18個の測定値が記憶されている。
受光素子16−1について、(V1A,V1C,V1B)
受光素子16−2について、(V2A,V2C,V2B)
受光素子16−3について、(V3A,V3C,V3B)
受光素子16−4について、(V4A,V4C,V4B)
受光素子16−5について、(V5A,V5C,V5B)
受光素子16−6について、(V6A,V6C,V6B)
図9(d)には、上記のうちの受光素子16−3についての測定値が表記されている。
【0082】
まず、ステップS200では、第1目標値を算出する。第1目標値とは、各受光素子16−iで測定された各発光素子12の光量出力(ViA,ViC,ViB)を1つの値に揃えるための、各受光素子16−iごとの代表値である。第1目標値を算出する方法は、最大値、最小値、平均値、中央値等、いずれの方法によってもよいが、本実施の形態では、最大値を用いている。
【0083】
この場合、光量出力(ViA,ViC,ViB)のうちの最大値をVimと表記すれば、
図9(d)に示す測定結果を参照して、各受光素子16−iについての第1目標値は以下のようになる。
受光素子16−1について、(V1m=V1C)
受光素子16−2について、(V2m=V2C)
受光素子16−3について、(V3m=V3C)
受光素子16−4について、(V4m=V4C)
受光素子16−5について、(V5m=V5C)
受光素子16−6について、(V6m=V6C)
なお、第1目標値として他の算出方法、例えば平均値を用いる場合は、受光素子16−iについての測定値の平均値をViaとして、Via=(ViA+ViC+ViB)/3を第1目標値とすればよい。
【0084】
次のステップS202では、ステップS200で算出した第1目標値を用いて、第1補正係数群(aiA、aiC、aiB)(i=1〜6)を算出する。第1補正係数群は、受光素子16−iにおける各測定値をVimに揃えるための係数であるので、以下のように算出される。
(a1A、a1C、a1B)=(V1m/V1A,V1m/V1C,V1m/V1B)
(a2A、a2C、a2B)=(V2m/V2A,V2m/V2C,V2m/V2B)
(a3A、a3C、a3B)=(V3m/V3A,V3m/V3C,V3m/V3B)
(a4A、a4C、a4B)=(V4m/V4A,V4m/V4C,V4m/V4B)
(a5A、a5C、a5B)=(V5m/V5A,V5m/V5C,V5m/V5B)
(a6A、a6C、a6B)=(V6m/V6A,V6m/V6C,V6m/V6B)
受光素子16−iの光量出力の各測定値に対して上記第1補正係数群を乗ずることにより、受光素子16−iの各測定値がVimに揃えられる。
【0085】
次のステップS204では、第2目標値を算出する。第2目標値は、一定の値に揃えられた各受光素子16−iの測定値をさらに1つの値に揃えるため目標値である。本実施の形態では、第2目標値として、各受光素子16−iで揃えられた値Vim、すなわち第1目標値の最大値Vmを用いる。
図9(d)の場合における具体的なVmの値は、Vm=V3Cである。ただし、第2目標値は最大値に限定されず、各Vimのうちの最小値、各Vimの平均値、各Vimの中央値等のいずれの算出方法を用いてもよく、また、第1の目標値の算出方法と同じ算出方法を用いる必要もない。
【0086】
次のステップS206では、ステップS204で算出した第2目標値を用いて、第2補正係数群(bi)(i=1〜6)を算出する。第2補正係数群は、受光素子16−iにおいて一定値に揃えられたVimを、さらに1つの値Vmに揃えるための係数であるので、以下のように算出される。
(b1,b2,b3,b4,b5,b6)=(Vm/V1m,Vm/V2m,Vm/V3m,Vm/V4m,Vm/V5m,Vm/V6m)
【0087】
次のステップS208では、各受光素子16−iの全測定値を1つの値に揃えるためのシェーディング補正係数群(ciA,ciC,ciB)(i=1〜6)を算出す。すなわち、ステップS202及びステップS206における算出結果から、シェーディング補正係数群(ciA,ciC,ciB)(i=1〜6)は、以下のように算出される。
(c1A,c1C,c1B)=(b1・a1A,b1・a1C,b1・a1B)
(c2A,c2C,c2B)=(b2・a2A,b2・a2C,b2・a2B)
(c3A,c3C,c3B)=(b3・a3A,b3・a3C,b3・a3B)
(c4A,c4C,c4B)=(b4・a4A,b4・a4C,b4・a4B)
(c5A,c5C,c5B)=(b5・a5A,b5・a5C,b5・a5B)
(c6A,c6C,c6B)=(b6・a6A,b6・a6C,b6・a6B)
算出後、
図10に示す補正処理プログラムのステップS116に戻る。
【0088】
なお、上記実施の形態では、補正ミラー50の傾斜角を予め求めておく形態を例示して説明したが、各受光素子16−iに入射させるための傾斜角が不明な場合において、予め傾斜角を算出するためには以下のような方法によればよい。すなわち、いずれか1つの発光素子12を発光させ、補正ミラー50を、受光器18における全受光素子16で受光されるのに充分な範囲、つまり、
図9に示す受光素子16−1で受光されるのに充分な傾斜角θmから、受光素子16−6で受光されるのに充分な傾斜角−θmまで連続的に変化させ、傾斜角θの変化ごとに、傾斜角θと対応させて受光素子16で光量出力を読み取る。
すると、1つの発光素子12に対する
図9(d)と同様の測定値が取得されるので、その測定値から各受光素子16−iに対応する角度を算出する。むろん、
図4(a)に示すように、平面的に配置された受光素子16を測定対象とする場合には、α軸、β軸の2軸に対する2つの角度(θα、θβ)を算出する。このようにして、上記補正処理プログラムで設定すべき傾斜角が予め求められる。
【0089】
また、上記実施の形態では、各受光素子16における各発光素子12ごとの光量出力を測定するに際し、まず補正ミラー50の傾斜角θを設定し、順次発光素子12を発光させる形態を例示して説明したが、これに限られない。1つの発光素子12を発光させ、補正ミラー50の傾斜角θを予め定められた角度に順次設定するという操作を各発光素子12について行っても、
図9(d)と同様の結果が得られる。また、各受光素子16に対して設定すべき補正ミラー50の傾斜角θが不明な場合において、1つの発光素子12を発光させ、補正ミラー50の傾斜角θを連続的に変化させるという操作を各発光素子12について行っても、
図9(d)と同様の結果が得られるので、その測定結果を用い、
図11に示すシェーディング補正係数算出処理サブルーチンによりシェーディング補正係数を算出してもよい。
【0090】
また、上記実施の形態では、各受光素子16において測定される光量出力が分布を持たない場合(測定値が唯一定まる場合)を例示して説明したが、受光素子16が受光面内において感度分布をもち、光量出力が分布として測定される場合には、例えばその分布のピーク値を採用すればよい。
【0091】
また、上記実施の形態では、発光・受光系補正をシェーディング補正で行う形態を例示して説明したがこれに限られない。例えば、第1の補正係数群の代替として、各発光素子12の駆動電流を変えて各受光素子16における測定値を1つの値に揃えるようにしてもよい。
【0092】
以上詳述したように、本実施の形態に係る計測装置10によれば、補正ミラー50の回転という簡易な構成で発光・受光系補正が行われるので、計測装置10に標準的に備え、計測装置10の出荷時のみならず、出荷後のユーザによる補正あるいは校正の用途に用いてもよい。
【0093】
[第2の実施の形態]
図12を参照して、本実施の形態に係る計測装置10Aについて説明する。本実施の形態は、上記実施の形態に係る計測装置10の発光・受光系補正の精度を向上させた形態である。計測装置10Aは、計測装置10の絞り40を、より開口径の小さい開口部42Bを有する絞り40Aに変更したものである。従って、同じ構成には同じ符号を付して説明を省略する。
【0094】
図12に示すように、絞り40Aを通過した照射光IFの光束は一定の幅を有していると共に、レンズ34で集光した後も一定の角度幅をもって拡散していく。すなわち、
図12に点線円Pで示すように、絞り40Aを通過した照射光IFの光束は一旦レンズ34の焦点Fで集光した後一定の角度幅で拡散して補正ミラー50の表面202の入射点Cに入射する。本実施の形態では、この角度幅は約1°となっている。
【0095】
このため、補正ミラー50における照射光IFの反射角度には、上記角度幅分の誤差(不確定性)を含むことになる。したがって、計測装置10Aにおいて、より微細な傾斜の差異や、より微細な反射角度分布を計測したい場合には、照射光IFの光束及び反射光RFの光束をさらに細くする必要がある。
【0096】
そのための手段として、計測装置10Aでは、上記計測装置10の絞り40を、より開口径の小さい開口部42Bを有する絞り40Aに変更し、絞り40Aを通過した後の照射光IFの光束をより細くするようにしている。より具体的には、計測装置10の絞り40の開口径は1mmφ程度であるが、計測装置10Aの絞り40Aの開口径は1mmφ以下、例えば0.5mmφ程度とする。このようにすることにより、反射光RFの光束がより細くなるので、より精度の高い発光・受光系補正が行われる。絞り40Aの変更方法は、絞り40とは別途準備しておき、発光・受光系補正の際に交換するようにしてもよいし、開口部42の開口径が調整可能なように絞り40を構成してもよい。
【0097】
ここで、絞り40Aの開口部42Bの開口径を小さくすることにより、照射光IF、すなわち反射光RFの光量が減少し、受光素子16の受光感度未満になる虞もあるので、受光素子16の最小受光感度を下限として、開口部42Bの開口径の可変範囲を決めるのが望ましい。
【0098】
なお、上記各実施の形態では、発光器14として、一方向に一列だけ発光素子12を配列させた形態を例示して説明したが、これに限られず、複数列配列させた形態としてもよい。また、その際列ごとに発光素子12の発光波長を異ならせてもよい。列ごとに発光素子12の発光波長を異ならせて発光させることにより、例えば、対象物OBの表面200における反射光の波長依存性が計測される。
【0099】
また、上記各実施の形態では、レンズ32及びレンズ34を略円形の凸レンズとした形態を例示して説明したが、これに限られず、他の形態のレンズ、例えば非球面レンズ等を用いてもよい。さらに、各レンズにおいて、光束が透過されない不要部分を削除してもよい。これにより、計測装置10がさらに小型化される。