(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記含水ケイ酸塩鉱物(C)は、該含水ケイ酸塩鉱物(C)の90質量%以上が、湿式ふるい分け試験において目開き5μmのふるい網を通過するものである、請求項1または2に記載のエアフィルタ用基材。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔エアフィルタ用基材(湿式抄造不織布)〕
本発明のエアフィルタ用基材は、集塵性能を担うメルトブロー不織布等からなるエアフィルタ用濾材と積層され、該エアフィルタ用濾材を補強するためのものであって、湿式抄紙法により製造された湿式抄造不織布からなる。
湿式抄造不織布は、平均繊維径7〜20μmのガラス繊維(A)と、平均繊維径7〜20μmの合成有機繊維(B)と、繊維状の含水ケイ酸塩鉱物(C)と、を含む。
【0012】
(ガラス繊維(A))
ガラス繊維(A)の種類には特に制限はなく、生産量の多いEガラスの他、高強度のSガラス、耐酸性に優れるCガラス等を使用できる。コストの観点からは、安価なEガラスを使用することが好ましい。ガラス繊維(A)を含有することにより、湿式抄造不織布は、常温および高温のいずれの条件下でもこわさに優れ、空気を処理する際に差圧がかかってもプリーツが歪みにくい。
ガラス繊維(A)は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0013】
ガラス繊維(A)の繊維長には特に制限はないが、長さ加重平均繊維長が、1〜15mmであることが好ましく、5〜12mmがより好ましい。長さ加重平均繊維長が上記範囲の下限値以上であると、得られる湿式抄造不織布のこわさがより優れる傾向にあり、上記範囲の上限値以下であると、得られる湿式抄造不織布の地合いが優れる傾向にある。ガラス繊維(A)は、異なる繊維長のものを併用してもよい。また、繊維長が上記範囲であると、湿式抄紙法により不織布を製造しやすい。
本明細書において、長さ加重平均繊維長は、100本の繊維の繊維長を顕微鏡観察により測定し、平均した値である。
【0014】
ガラス繊維(A)の繊維径は、平均繊維径として、7〜20μmであり、8〜18μmが好ましい。上記範囲の下限値以上であれば、湿式抄造不織布の目開きが充分となり、通気性に優れる。上記範囲の上限値以下であれば、湿式抄造不織布中において、ガラス繊維(A)同士が交差する結着点が充分に形成され、こわさが優れる。ガラス繊維(A)は、異なる繊維径のものを併用してもよい。
本明細書において、平均繊維径は、100本の繊維の繊維径を顕微鏡観察により測定し、平均した値である。
【0015】
ガラス繊維(A)の長手方向に垂直な断面形状には、特に制限はなく、円形(丸断面)でも、他の形状でもよい。断面が円形以外であるガラス繊維(A)の場合、その繊維径としては、該ガラス繊維の長手方向の端面の外接円を想定したときの該外接円の直径を採用する。
【0016】
(合成有機繊維(B))
エアフィルタ基材は、エアフィルタ用濾材と積層された後に、濾過面積を大きくし、かつ捕集効率を上げる目的で、通常、プリーツ加工が施される。合成有機繊維(B)は、エアフィルタ基材に対して、プリーツ加工時の山および谷の折り癖のつきやすさ、すなわち、折れ適性を付与するために使用される。
【0017】
合成有機繊維(B)は、湿式抄造不織布中において、繊維状を維持している。
このような合成有機繊維(B)としては、湿式抄造不織布の製造過程における加熱(乾燥工程の熱等。)によって溶融しない繊維が使用され、熱可塑性樹脂繊維、再生繊維等が挙げられる。
具体的には、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリブテン繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、キュプラ繊維、アセテート繊維、ポリ塩化ビニル繊維、アクリル繊維、ポリエステル繊維(PET繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維)、ポリウレタン繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ポリアミドイミド繊維、ポリイミド繊維、ポリアリレート繊維、ポリエーテルイミド繊維、ポリビニルアルコール繊維、ビニロン繊維、ポリカーボネート繊維、エチレンビニルアセテート繊維、エチレンビニルアルコール繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維等が挙げられる。
なかでも、折れ適性を付与する効果に優れる点等から、PET繊維が好ましい。
合成有機繊維(B)は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0018】
合成有機繊維(B)の繊維長には特に制限はないが、長さ加重平均繊維長が、1〜15mmであることが好ましく、5〜12mmがより好ましい。長さ加重平均繊維長が上記範囲の下限値以上であると、得られる湿式抄造不織布のこわさがより優れる傾向にあり、上記範囲の上限値以下であると、得られる湿式抄造不織布の地合いが優れる傾向にある。合成有機繊維(B)は、異なる繊維長のものを併用してもよい。また、繊維長が上記範囲であると、湿式抄紙法により不織布を製造しやすい。
【0019】
合成有機繊維(B)の繊維径は、平均繊維径として、7〜20μmであり、10〜18μmが好ましく、15〜18μmがより好ましい。上記範囲の下限値以上であれば、湿式抄造不織布の目開きが充分となり、エアフィルタ用基材としての通気性に優れる。上記範囲の上限値以下であれば、湿式抄造不織布中において、合成有機繊維(B)同士が交差する結着点が充分に形成され、こわさが優れる。合成有機繊維(B)は、異なる繊維径のものを併用してもよい。
【0020】
合成有機繊維(B)の長手方向に垂直な断面形状には、特に制限はなく、円形(丸断面)でも、他の形状でもよい。断面が円形以外である合成有機繊維(B)の場合、その繊維径としては、該合成有機繊維(B)の長手方向の端面の外接円を想定したときの該外接円の直径を採用する。
【0021】
なお、湿式抄造不織布の製造においては、後述のように、融点の異なる2種以上の熱可塑性樹脂が複合化し、より低融点の部分のみが溶融して有機バインダー成分として作用する、複合繊維を用いてもよい。このような複合繊維を用いた場合、該複合繊維において湿式抄造不織布中の製造工程中の加熱により溶融しない部分は、湿式抄造不織布中で繊維状をほぼ維持しているため、合成有機繊維として取り扱う。
【0022】
(含水ケイ酸塩鉱物(C))
湿式抄造不織布は、繊維状の含水ケイ酸塩鉱物(C)を含有する。含水ケイ酸塩鉱物(C)を含有することにより、湿式抄造不織布(C)のこわさ、折れ適性が優れる。また、耐熱性が優れ、高温条件下でも変形しにくい。たとえば、エアフィルタが、自動車等のエアコンのフィルタ(キャビンフィルタ)として使用される場合、夏季の車内は高温になるため、耐熱性に優れることが好ましい。エアフィルタ基材の耐熱性を高めるためには、湿式抄造不織布の製造にあたって、たとえば、ガラス転移温度が非常に高い合成有機繊維(B)と組み合わせることも考えられるが、含水ケイ酸塩鉱物(C)を用いることにより、特にガラス転移温度が高い合成有機繊維(B)と組み合わせなくても、耐熱性を高めることができる。
【0023】
含水ケイ酸塩鉱物(C)としては、繊維状の鉱物であるセピオライト、パリゴルスカイト、ワラストナイト、アタパルジャイト等が挙げられる。なかでも、湿式抄造不織布に対してこわさを付与する効果に優れる点から、β型セピオライトが好ましい。セピオライトには、成因の違いにより、高温高圧化における熱水作用を受け、結晶化度が高く、長繊維で明瞭な繊維状形態を示すα型(従来、山皮とも呼ばれる。)と、浅海底や湖底での堆積作用を成因とし、結晶化度が低く、短繊維(塊状または粘土状形態である。)のβ型とがある。β型セピオライトは、上述のとおり、湿式抄造不織布に対して充分なこわさを付与できる点に加えて、結晶性シリカを殆ど含まず、人体に対する安全性が高い点からも好ましい。
【0024】
含水ケイ酸塩鉱物(C)としては、SiO
2の含有量が55〜65質量%、Al
2O
3の含有量が1〜4質量%、MgOの含有量が15〜30質量%、Fe
2O
3の含有量が0.1〜2質量%、CaOの含有量が0.1〜1質量%、Na
2Oの含有量が0.001〜0.2質量%、K
2Oの含有量が0.1〜1質量%、強熱減量(1000℃で1時間加熱した場合の質量減少率。)が5〜15質量%の組成を有するものが好ましい(ただし、SiO
2+Al
2O
3+MgO+Fe
2O
3+CaOの含有量+Na
2O+K
2O+強熱減量=100質量%。)。
【0025】
含水ケイ酸塩鉱物(C)の嵩密度としては、通気性、こわさ、折れ適性のバランスをより向上させる観点から、300〜550g/Lが好ましく、350〜500g/Lがより好ましく、400〜450g/Lが特に好ましい。
本明細書において、含水ケイ酸塩鉱物(C)の嵩密度は、JIS K 5101−12に準拠して求めた値である。
【0026】
含水ケイ酸塩鉱物(C)のpHとしては、8〜9.5が好ましい。
本明細書において、含水ケイ酸塩鉱物(C)のpHは、含水ケイ酸塩鉱物の5質量%水溶液の25℃における値である。
【0027】
含水ケイ酸塩鉱物(C)の粘度としては、通気性、こわさ、折れ適性のバランスをより向上させる観点から、20〜80Pa・sが好ましく、30〜70Pa・sがより好ましく、45〜55Pa・sが特に好ましい。
本明細書において、含水ケイ酸塩鉱物(C)の粘度は、含水ケイ酸塩鉱物の6質量%水溶液を調製し、該水溶液を5分間撹拌した後に、B型粘度計を用い25℃で測定した値である。
【0028】
含水ケイ酸塩鉱物(C)の吸油量としては、主体繊維への定着性の点から、200〜400%が好ましく、250〜350%がより好ましく、270〜300%が特に好ましい。
本明細書において、含水ケイ酸塩鉱物(C)の吸油量は、JIS K 5101に準拠して求めた値である。
【0029】
含水ケイ酸塩鉱物(C)は、該含水ケイ酸塩鉱物(C)の90質量%以上が、湿式ふるい分け試験において、目開き5μmのふるい網を通過するものであることが好ましく、95質量%以上が、上記ふるい網を通過するものであることがより好ましい。このような含水ケイ酸塩鉱物(C)は、湿式抄造不織布に対してこわさを付与する効果により優れる。
本明細書において、湿式ふるい分け試験は、JIS Z 8815に準拠する。
【0030】
含水ケイ酸塩鉱物(C)は、詳しくは後述するように、湿式抄紙法でガラス繊維(A)および合成有機繊維(B)を抄紙するときに、これらの繊維と共に抄紙用の原料スラリーに加え、混抄してもよいし(内添)、スプレー塗布、カーテン塗布、含浸塗布、バー塗工、ロール塗工、ブレード塗工等の方法により、湿式抄紙後の不織布に付与してもよい(外添塗布)。また、内添と外添塗布とを併用してもよいが、詳しくは後述するように、湿式抄造不織布のこわさがより優れる点から、外添塗布が好ましい。
【0031】
(有機バインダー成分)
湿式抄造不織布は、通常、繊維同士を結合する有機バインダー成分を含有する。有機バインダー成分としては、湿式抄造不織布の製造工程中の加熱により溶融することにより、バインダー機能を奏する熱可塑性樹脂が挙げられる。
有機バインダー成分として使用される熱可塑性樹脂としては、たとえば、ポリエチレン、塩化ビニル樹脂、(メタ)アクリル酸エステル樹脂、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール(以下、「PVA」ともいう。)、エチレンビニルアルコール共重合体等が挙げられる。また、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)等のゴム系エマルジョンなどを使用してもよい。有機バインダー成分は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0032】
湿式抄造不織布の製造に用いる有機バインダー成分の形態には、特に制限はなく、繊維状、粒子状、エマルション、液状等のいずれであってもよい。なお、繊維状の有機バインダー成分を用いた場合、該有機バインダー成分は、製造工程中の加熱による溶融を経ているため、製造後の湿式抄造不織布においては繊維状を維持していない。
また、有機バインダー成分は、詳しくは後述するように、湿式抄紙法でガラス繊維(A)および合成有機繊維(B)を抄紙するときに、これらの繊維と共に抄紙用の原料スラリーに加え、混抄してもよいし(内添)、スプレー塗布、カーテン塗布、含浸塗布、バー塗工、ロール塗工、ブレード塗工等の方法により、湿式抄紙後の不織布に付与してもよい(外添塗布)。また、内添と外添塗布とを併用してもよく、特に制限はない。
【0033】
なお、上述のように、融点の異なる2種以上の熱可塑性樹脂が複合化し、より低融点の部分が溶融して有機バインダー成分として作用する複合繊維を使用してもよい。複合繊維としては、芯鞘繊維、サイドバイサイド繊維等が挙げられる。芯鞘繊維としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等の高融点の熱可塑性樹脂からなる芯部の周りに、ポリエチレン等の低融点の熱可塑性樹脂からなる鞘部が形成された繊維等が挙げられる。このような複合繊維を用いた場合、複合繊維の低融点の部分については、湿式抄造不織布中の製造工程中の加熱により溶融するため、有機バインダー成分として取り扱い、湿式抄造不織布中の製造工程中の加熱により溶融しない部分については、繊維状をほぼ維持しているため、上述のとおり、合成有機繊維(B)として取り扱う。
【0034】
有機バインダー成分としては、湿式抄造時の湿紙強度確保の点から、繊維状あるいは粒状等の形態のPVA樹脂を用いることが好ましい。また、こわさ向上の効果と通気性の観点から、アクリル樹脂エマルション等の形態のアクリル樹脂を用いることが好ましい。
【0035】
(任意成分)
本発明のエアフィルタ用基材である湿式抄造不織布は、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて、任意成分の1種以上を含有できる。
任意成分としては、エポキシ系、イソシアネート系、カルボジイミド系、オキサゾリン系等の架橋剤;アミノ基、エポキシ基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、メルカプトロ基等の官能基を有するシランカップリング剤等のバインダー助剤が挙げられる。バインダー助剤を用いる場合、有機バインダー成分(固形分)の100質量部に対して、10質量部以下が好ましい。
【0036】
任意成分としては、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、増粘剤、造核剤、中和剤、滑剤、ブロッキング防止剤、分散剤、流動性改良剤、離型剤、難燃剤、発泡剤、着色剤、濡れ剤などの添加剤が挙げられる。これらの成分の含有割合は、通常、湿式抄造不織布に対して5質量%以下である。
【0037】
任意成分としては、木材パルプ(針葉樹パルプ、広葉樹パルプ)などのセルロース繊維;綿、羊毛、絹、麻等の天然繊維も挙げられる。木材パルプは、叩解パルプでも未叩解パルプでもよい。
【0038】
また、任意成分として、コロイダルシリカ、水ガラス、珪酸カルシウム、アルミナゾル、アルコキシラン等の他の無機バインダーを併用することができる。
また、含水ケイ酸塩鉱物(C)を外添塗布する場合には、詳しくは後述するように、含水ケイ酸塩鉱物(C)を含有するスラリー(外添塗布液)に、分散剤、保水剤、粘度調整剤、pH調整剤等を必要に応じ添加してもよく、得られた湿式抄造不織布にこれらが含まれていてもよい。
【0039】
(各成分の含有量)
湿式抄造不織布における、ガラス繊維(A)と合成有機繊維(B)との合計含有量に対するガラス繊維(A)の含有量は、30〜70質量%が好ましく、35〜65質量%がより好ましく、40〜60質量%が特に好ましい。ガラス繊維(A)の含有量が上記範囲の下限値以上であれば、湿式抄造不織布のこわさに優れる。上記範囲の上限値以下であれば、折れ適性に優れる。
湿式抄造不織布における、ガラス繊維(A)と合成有機繊維(B)との合計含有量に対するガラス繊維(A)の含有量の割合は、湿式抄造不織布の製造に用いたガラス繊維(A)と合成有機繊維(B)との合計質量に対するガラス繊維(A)の質量の割合と等しい。
【0040】
湿式抄造不織布100質量%中のガラス繊維(A)と合成有機繊維(B)との合計含有量は、60〜90質量%が好ましく、65〜85質量%がより好ましく、70〜80質量%が特に好ましい。該合計含有量が上記範囲内であれば、こわさ、折れ適性、通気性がバランス良く優れた湿式抄造不織布が得られやすい。
【0041】
湿式抄造不織布100質量%中の含水ケイ酸塩鉱物(C)の含有量は、0.1〜8質量%であり、0.5〜7質量%が好ましく、1.0〜5質量%がより好ましく、1.5〜3質量%が特に好ましい。含水ケイ酸塩鉱物(C)の含有量が上記下限値以上であると、含水ケイ酸塩鉱物(C)を使用することによる、湿式抄造不織布のこわさ、折れ適性が充分に向上する。上記上限値以下であると、湿式抄造不織布の目開きが充分であり、エアフィルタ用基材としての通気性に優れる。
【0042】
湿式抄造不織布100質量%中の含水ケイ酸塩鉱物(C)の含有量は、詳しくは実施例において説明するが、得られた湿式抄造不織布をるつぼに入れ、加熱して得られた灰分の元素分析結果から求める。
【0043】
湿式抄造不織布100質量%中の有機バインダー成分の含有量は、10〜40質量%が好ましく、15〜35質量%がより好ましく、20〜30質量%が特に好ましい。有機バインダー成分の含有量が上記下限値以上であると、ガラス繊維(A)や合成有機繊維(B)が充分に結合する。加えて、湿式抄造不織布の強度が十分となる。上記上限値以下であると、湿式抄造不織布の折れ適性が優れる。
【0044】
有機バインダー成分としてPVAとアクリル樹脂エマルションを使用する場合には、PVAとアクリル樹脂エマルションアクリル樹脂(固形分)との合計含有量に対するPVAの含有量は、85〜97質量%が好ましく、90〜95質量%が特に好ましい。上記下限値以上であると、湿式抄造不織布のこわさが十分に得られる。上記上限値以下であると、湿式抄造不織布の目開きが充分であり、エアフィルタ用基材としての通気性に優れる。
【0045】
(通気性、通気抵抗、屈曲力、加熱圧縮強度、坪量、厚み)
湿式抄造不織布のJIS L 1096:2010A法(フラジール形法)による通気性は、330cm
3/cm
2/s以上が好ましく、350cm
3/cm
2/s以上がより好ましく、380cm
3/cm
2/s以上が特に好ましい。通気性が上記範囲の下限値以上であると、湿式抄造不織布の通気性に優れる。通気性は、500cm
3/cm
2/s以下が好ましく、450cm
3/cm
2/s以下がより好ましく、400cm
3/cm
2/s以下が特に好ましい。通気性を上記範囲の上限値以下とすることにより、湿式抄造不織布のこわさの向上を図ることができる。
【0046】
湿式抄造不織布の通気抵抗は、25〜38Pa・s/mが好ましく、27〜36Pa・s/mがより好ましい。通気抵抗が上記範囲の下限値以上であれば、こわさに優れ、上記範囲の上限値以下であれば、通気性に優れ、空気を処理する際の圧力損失を抑制できる。
通気抵抗は、通気性の値を一定圧力の通気に対して発生する抵抗力に換算することで求められる。
【0047】
湿式抄造不織布のISO2493による屈曲力は、50〜200mNが好ましく、60〜180mNがより好ましい。屈曲力が上記範囲の下限値以上であれば、こわさに優れ、上記範囲の上限値以下であれば、加工性に優れる。
【0048】
湿式抄造不織布の通気抵抗/屈曲力で表される比率は、200〜450s/m
2が好ましく、210〜400s/m
2がより好ましい。比率を上記範囲内とすることにより、通気性、こわさ、折れ適性のバランスをより向上させることができる。
【0049】
湿式抄造不織布のISO12192(JIS P−8126)による加熱圧縮強度は、10〜40Nが好ましく、16〜30Nがより好ましい。加熱圧縮強度が上記範囲の下限値以上であれば、耐熱性に優れ、上記範囲の上限値以下であれば、加工性に優れる。
【0050】
湿式抄造不織布の坪量は、たとえば20〜50g/m
2が好ましく、28〜48g/m
2がより好ましい。坪量が上記範囲の下限値以上であれば、湿式抄造不織布のこわさが優れ、上記範囲の上限値以下であれば、通気性に優れ、空気を処理する際の圧力損失を抑制できる。
【0051】
湿式抄造不織布の厚さをJIS P 8118:1998法に準じて加圧面間圧力50kPa±5kPaで測定するとき、たとえば200〜350μmが好ましい。厚さが上記範囲の下限値以上であれば、湿式抄造不織布のこわさが優れる傾向にあり、上記範囲の上限値以下であれば、通気性に優れ、空気を処理する際の圧力損失を抑制できる傾向にある。
【0052】
〔エアフィルタ用基材の製造方法〕
上述の本発明のエアフィルタ用基材は、以下の工程(i)および工程(ii)を有する製造方法により、製造できる。
工程(i):ガラス繊維(A)と合成有機繊維(B)とを含有する原料スラリーを湿式抄紙して不織布を製造する工程。
工程(ii):工程(i)で得られた不織布に対して、含水ケイ酸塩鉱物(C)を含有するスラリーを付着させる工程。
【0053】
(工程(i))
工程(i)では、まず、ガラス繊維(A)と合成有機繊維(B)とを含有する原料スラリーを調製する。原料スラリーは、媒体として、通常、水を含む。
原料スラリーは、上述の有機バインダー成分や任意成分を必要に応じて含むことができる。原料スラリーは、有機バインダー成分として、たとえばPVAを含有することが好ましい。
【0054】
なお、有機バインダー成分は、原料スラリーに添加する以外に、後述のように、工程(i)で得られた不織布に対して、有機バインダー成分を含む液をスプレー塗布、カーテン塗布、含浸塗布、バー塗布、ロール塗布、ブレード塗布等の方法で付着(外添塗布)させてもよい。外添塗布の対象である不織布は、乾燥後の乾燥不織布でも、乾燥前の湿潤ウェブであってもよい。
【0055】
また、原料スラリーに、有機バインダー成分やその他の成分を添加する場合には、最終的に得られる湿式抄造不織布中の各含有量が、上述した範囲内となるように、その使用量を調整することが好ましい。
【0056】
原料スラリーは、含水ケイ酸塩鉱物(C)を含んでもよい。これにより、含水ケイ酸塩鉱物(C)が湿式抄造不織布に内添される。しかしながら、湿式抄造不織布に充分なこわさを付与する点からは、含水ケイ酸鉱物(C)を外添塗布により付与することが好ましい。そのため、原料スラリーが含水ケイ塩鉱物(C)を含有する場合、その含有量は、製造後の湿式抄造不織布に含まれる含水ケイ酸塩鉱物(C)の全量中、50質量%以下となる量に留めることが好ましく、30質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。
【0057】
工程(i)における湿式抄紙は、上述した各成分と水(媒体)を含有する原料スラリーを調製し、該原料スラリーを公知の抄紙機で抄紙する方法により行える。抄紙機としては、円網抄紙機、傾斜型抄紙機、長網抄紙機、短網抄紙機が挙げられ、これら抄紙機の同種または異種を組み合わせて多層抄紙を行ってもよい。
抄紙後の脱水および乾燥の方法に特に制限はなく、たとえばヤンキードライヤー、シリンダードライヤー、エアドライヤー、赤外線ドライヤー等の公知のドライヤーを用いることができる。
なお、工程(i)では乾燥を行わずに、工程(ii)に移行してもよい。すなわち、湿潤ウェブに対して、工程(ii)において、含水ケイ酸塩鉱物(C)を含有するスラリーを付着させてもよい。
【0058】
(工程(ii))
工程(ii)では、工程(i)で得られた不織布に対して、含水ケイ酸塩鉱物(C)を含有するスラリーを付着させ、外添塗布する。上述のとおり、外添塗布の対象である不織布は、乾燥後の不織布であっても乾燥前の湿潤ウェブであってもよい。
このように外添塗布により含水ケイ酸塩鉱物(C)を付与すると、こわさにより優れる湿式抄造不織布が得られる。その理由は以下のように考えられる。
【0059】
含水ケイ酸塩鉱物(C)を内添する場合には、含水ケイ酸塩鉱物(C)を添加した原料スラリーを湿式抄紙するが、この場合、含水ケイ酸塩鉱物(C)は抄紙用ワイヤーをすり抜けやすく、繊維長の短い含水ケイ酸塩鉱物(C)を用いた場合には、抄紙用ワイヤーをよりすり抜けやすい。そのため、含水ケイ酸塩鉱物(C)が抄紙用ワイヤーをすり抜けてしまわないように、原料スラリーに凝集剤を添加し、含水ケイ酸塩鉱物(C)を凝集させて凝集体とする方法が採られる。凝集体とすることにより、含水ケイ酸塩鉱物(C)が抄紙用ワイヤーをすり抜けず、含水ケイ酸塩鉱物(C)の歩留まりが向上する。また、抄紙時の濾水性にも優れる。しかしながら、このように抄紙時に含水ケイ酸塩鉱物(C)を凝集させると、得られる湿式抄造不織布には含水ケイ酸塩鉱物(C)の凝集体が不均一に点在することになる。これに対して、含水ケイ酸塩鉱物(C)を外添塗布した場合には、含水ケイ酸塩鉱物(C)を凝集させる必要がないため、含水ケイ酸塩鉱物(C)を湿式抄造不織布に均一に分布させることができる。外添塗布によれば、このように含水ケイ酸塩鉱物(C)が湿式抄造不織布に均一に分布するため、内添の場合よりも、得られる湿式抄造不織布全体としてのこわさが向上するものと考えられる。
以上の理由から、含水ケイ酸塩鉱物(C)は、外添塗布のみにより、付与することが特に好ましい。
【0060】
外添塗布の具体的な方法としては、スプレー塗布、カーテン塗布、ロール塗布、バー塗布、ブレード塗布等を採用できる。また、工程(i)で得られた不織布を、含水ケイ酸塩鉱物(C)を含有するスラリーに含浸する含浸塗布を採用してもよい。含浸塗布によれば、得られる湿式抄造不織布の表面だけでなく内部にも、含水ケイ酸塩鉱物(C)が均一に分布しやすい点で好ましい。外添塗布後には、上述のドライヤーを用いて、脱水および乾燥を行う。
【0061】
含水ケイ酸塩鉱物(C)を含有するスラリーは、上述の有機バインダー成分や任意成分を必要に応じて含むことができる。たとえば、その他の成分としては、分散剤、保水剤、粘度調整剤、pH調整剤等が挙げられる。
また、含水ケイ酸塩鉱物(C)を含有するスラリーとは別に、上述の有機バインダー成分や任意成分の1種以上を含む任意成分スラリーを調製し、外添塗布してもよい。任意成分スラリーの外添塗布は、含水ケイ酸塩鉱物(C)を含有するスラリーの外添塗布の前であっても後であっても同時であってもよい。たとえば有機バインダー成分としてアクリル樹脂エマルション等の形態のアクリル樹脂を付与する場合には、工程(i)と工程(ii)の間、すなわち、工程(i)で得られた不織布に対して、含水ケイ酸塩鉱物(C)を含有するスラリーを外添塗布する前に、有機バインダー成分を含有するスラリーを外添塗布することが好ましい。任意成分スラリーの外添塗布は、乾燥後の乾燥不織布に対して行っても、乾燥前の湿潤ウェブに対して行ってもよい。
【0062】
なお、ここで有機バインダー成分やその他の成分を用いる場合には、最終的に得られる湿式抄造不織布中の各含有量が、すでに上述した範囲内となるように、その使用量を調整することが好ましい。
【0063】
なお、本発明においては、含水ケイ酸塩鉱物(C)を用いることでこわさに優れる湿式抄造不織布が得られることから、熱ロールで融着する工程は必要としない。
【0064】
〔エアフィルタ〕
本発明のエアフィルタ用基材は、上述の湿式抄造不織布からなる。該エアフィルタ用基材に、集塵性能を担うメルトブロー不織布等からなる濾材を貼り合わせて積層体とし、該積層体にプリーツ加工を施した後、たとえばフェルトや紙製の枠体に接着固定することにより、エアフィルタが得られる。該エアフィルタにおいては、エアフィルタの面方向に対して略垂直な方向に沿って、被処理流体である空気が通過する。該エアフィルタは、たとえば、建物の室内や自動車等の車内で使用される空気清浄機、エアコン、掃除機やコピー機等の排気処理等に使用される。
【実施例】
【0065】
以下、実施例および比較例によって、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により限定されない。
なお、実施例7は参考例である。
【0066】
<各種測定および評価方法>
(1)坪量
一定面積に切り出したサンプルの重量を電子天秤にて実測し、坪量を算出した。
【0067】
(2)厚さ
JIS P 8118:1998法に準じて、株式会社東洋精機製作所製の測厚計を用い加圧面間圧力50kPa±5kPaで測定した。
【0068】
(3)通気性
JIS L 1096:2010A法(フラジール形法)に準じて、差圧125Paにおいて、通気性を測定した。本発明者の検討の結果、通気性が330[cm
3/cm
2/s]以上であると、エアフィルタ用基材として充分な通気性を備えていることが判明した。
【0069】
(4)通気抵抗
以下の式を用い、上記方法で測定された通気性の値を通気抵抗(単位流量の通気に対して発生する抵抗力)に変換した。
通気抵抗[kPa・s/m]=12.5/通気性[cm
3/cm
2/s]
【0070】
(5)こわさ(屈曲力)
ISO2493に準拠して、15度、10mmでの屈曲力(mN)を、抄造時MD方向について測定した。屈曲力は、こわさ(風圧に抗するシートの強さ)の指標となる。
【0071】
(6)比率(通気抵抗/屈曲力)
以下の式に示すように、屈曲力に対する通気抵抗の比率を定義した。該比率は、単位流量の空気(被処理流体)へのエアフィルタ用基材の抵抗力(耐変形性)の指標となる。本発明者の検討の結果、比率(通気抵抗/屈曲力)が400[s/m
2]以下であると、プリーツ加工されたエアフィルタ用基材に、空気(被処理流体)により大きな差圧がかかったときでも、変形しにくく、耐変形性に優れることが判明した。
比率(通気抵抗/屈曲力)[s/m
2]=通気抵抗×1000[Pa・s/m]/屈曲力[mN]
【0072】
(7)耐熱性(加熱圧縮強度)
抄造時MD方向についての70℃雰囲気下における圧縮強度(N)を、ISO12192(JIS P−8126)に準拠したリングクラッシュ法にて測定した。本発明者の検討の結果、70℃雰囲気下でのリングクラッシュ法測定値が17N以上であると、高温条件下において、プリーツ加工されたエアフィルタ用基材に空気(被処理流体)により大きな差圧がかかったときでも、変形しにくく、耐熱性に優れることが判明した。
【0073】
(8)折れ適性
折れ癖のつきやすさの指標として、10mm×30mmのサンプル(湿式抄造不織布)を各長辺の中央同士を結ぶ線に沿って半分に折りたたみ、折り目を95℃程度に加熱してから開放したときの開き角度を測定した。なお、開き角度は、開放してから30秒経過した時の角度を測定し、以下のように評価した。
○:55度未満、
△:55度以上。
【0074】
(9)湿式抄造不織布に対する各成分の含有量
ガラス繊維(A)および合成有機繊維(B)の含有量は、抄紙用の原料スラリーの配合量より求めた。
【0075】
含水ケイ酸塩鉱物(C)の含有量は、以下の手順で求めた。なお、ここでは例として繊維状含水ケイ酸塩鉱物をセピオライトとするが、組成が既知である任意の繊維状含水ケイ酸塩鉱物で同様の手順で求めることができる。
(1)標準サンプルとして、既知の量のガラス繊維とセピオライトを含有する湿式抄造不織布を、3水準以上用意する。
(2)(1)で用意した湿式抄造不織布が含有するMgとSiのmol比を計算する。セピオライトの構造式は「Si
12 Mg
8O
30(OH)
4 (OH
2)
4 ・8H
2O」であり、水和水を除いた分子量は1150.4であるから、焼成後質量1150.4gのセピオライト中にはSiを12mol、Mgを8mol含有することになる。よって、たとえば標準サンプルがガラス繊維(SiO
2、分子量60)を40質量%、セピオライトを3質量%含有する場合、MgとSiのmol比は、以下のようになる。
Rms={3×(8÷1150.4)} ÷ {3×(12÷1150.4) + 40×(1÷60)}=0.030
(3)各標準サンプルに蛍光X線分析を施し、得られたMgとSiのピーク強度比に対する含有MgとSiのmol比の検量線を作成する。
(4)分析対象の湿式抄造不織布に蛍光X線分析を施す。得られたMgとSiのピーク強度比と、(3)で作成した検量線から、分析対象の湿式抄造不織布が含有するMgとSiのmol比Rms1が得られる。
(5)分析対象の湿式抄造不織布が含有するガラス繊維の質量比がGs%、セピオライトの質量比がCs%であるとすると、(2)と同様に次の関係が成り立つことになる。
Rms1= {(8÷1150.4)×Cs} ÷ {(12÷1150.4)×Cs + (1÷60)×Gs}
(6)湿式抄造不織布を(約1.5g)をるつぼに入れ、525℃で2時間加熱し灰分(残渣)を得る。得られた灰分の坪量に対する質量比As%とすると次の関係が成り立つことになる。
As= Cs+Gs
よって湿式抄造不織布におけるセピオライトの含有量は、下記式より求められる。
Cs[%]= 1150.4×Rms1×As÷ (480+430.4×Rms1)
【0076】
アクリル樹脂の含有量は、以下の手順で求めた。
(1)分析対象の湿式抄造不織布(坪量W(g/m
2))約1.5gを精秤し、これをるつぼに入れ、525℃で2時間加熱し、得られた灰分(残渣)の質量(W1(g))を測定する。
(2)別途、標準サンプルとして、分析対象の湿式抄造不織布と同様の処方(ただし、アクリル樹脂は用いない)により湿式抄造不織布を作製する。
(3)分析対象の湿式抄造不織布と同量の標準サンプルをるつぼに入れ、525℃で2時間加熱し、得られた灰分(残渣)の質量(W2)を測定する。
(4)下記式より、分析対象の湿式抄造不織布に対するアクリル樹脂の含有量を求める。
アクリル樹脂の含有量={(W2−W1)/W2}×W
【0077】
<実施例1>
平均繊維径が12μm、繊維長が13mmのガラス繊維(A):40質量%と、合成有機繊維(B)として平均繊維径が17μm、繊維長が15mmのPET繊維:40質量%と、有機バインダー成分である粒子状のPVA20質量%(ガラス繊維とPET繊維とPVAの合計100質量%。)とを水中に分散させて混合し、固形分濃度(ガラス繊維とPET繊維とPVAの合計の濃度。)が0.2質量%となるように調整して、抄紙用の原料スラリーを得た。
得られた抄紙用の原料スラリーを用いて、湿式抄紙法にてランダムな配列のウェットウェブを形成した。
ついで、得られたウェットウェブに対して、アクリル樹脂(有機バインダー成分)を水に分散させた分散液と、繊維状の含水ケイ酸塩鉱物(C)としてβ型セピオライト(「Pangel HV(商品名)」、TOLSA社製)を水に分散させた分散液とを順次スプレー、乾燥し、坪量38g/m
2の湿式抄造不織布(エアフィルタ基材)を得た。
得られた湿式抄造不織布中の各成分の含有量を表1に、各評価結果を表2に示す。
【0078】
なお、「Pangel HV(商品名)」(TOLSA社製)の組成、物性等は以下のとおりである。
β型セピオライトを85質量%含有(その他の成分を15質量%含む。)。
組成:
SiO
2:60.5質量%、
Al
2O
3:2.4質量%、
MgO:23.8質量%、
Fe
2O
3:0.9質量%、
CaO:0.5質量%、
Na
2O:0.1質量%、
K
2O:0.5質量%、
強熱減量(1000℃で加熱した場合の質量減少率。):11.3質量%。
嵩密度:425g/L、
pH(25℃):8.8、
粘度(25℃):51Pa・s、
BET法による表面積:310m
2/g、
湿式ふるい分け試験において目開き5μmのふるい網を通過する割合:96.5質量%。
【0079】
<実施例2、4、8>
β型セピオライトの含有量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、湿式抄造不織布(エアフィルタ基材)を得た。
得られた湿式抄造不織布中の各成分の含有量を表1に、各評価結果を表2に示す。
【0080】
<実施例3、5>
湿式抄紙法において、坪量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、湿式抄造不織布(エアフィルタ基材)を得た。
得られた湿式抄造不織布中の各成分の含有量を表1に、各評価結果を表2に示す。
【0081】
<実施例6>
使用したガラス繊維の種類を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、湿式抄造不織布(エアフィルタ基材)を得た。
得られた湿式抄造不織布中の各成分の含有量を表1に、各評価結果を表2に示す。
【0082】
<実施例7>
ガラス繊維およびPET繊維の量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、湿式抄造不織布(エアフィルタ基材)を得た。
得られた湿式抄造不織布中の各成分の含有量を表1に、各評価結果を表2に示す。
【0083】
<比較例1>
セピオライトを使用しない以外は、実施例1と同様にして、湿式抄造不織布(エアフィルタ基材)を得た。
得られた湿式抄造不織布中の各成分の含有量を表1に、各評価結果を表2に示す。
【0084】
<比較例2>
セピオライトの含有量と坪量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、湿式抄造不織布(エアフィルタ基材)を得た。
得られた湿式抄造不織布中の各成分の含有量を表1に、各評価結果を表2に示す。
【0085】
<比較例3>
使用したガラス繊維の種類を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、湿式抄造不織布(エアフィルタ基材)を得た。
得られた湿式抄造不織布中の各成分の含有量を表1に、各評価結果を表2に示す。
【0086】
【表1】
【0087】
【表2】
【0088】
<考察>
表1および表2に示すように、適切な繊維径のガラス繊維(A)および合成有機繊維(B)(PET繊維)を含み、かつ、含水ケイ酸塩鉱物(C)(β型セピオライト)を適切な含有量で含む各実施例の湿式抄造不織布(エアフィルタ用基材)は、通気性、こわさ(屈曲力)および耐熱性(加熱圧縮強度)、折れ適性をバランスよく備えていた。また、比率(通気抵抗/屈曲力)が小さく、耐変形性に優れていた。
また、実施例1、実施例2、実施例4および実施例8の結果から、セピオライトの含有量の増加に伴い、こわさおよび耐熱性は増加し、通気性および耐変形性は低下する傾向が認められた。
実施例3および実施例5の結果から、坪量が小さくなると通気性および耐変形性が上がり、こわさおよび耐熱性は低下する傾向が認められた。
実施例1および実施例6の結果から、繊維径の大きなガラス繊維(A)を用いることによって通気性および耐変形性が向上する傾向が認められた。
実施例1および実施例7の結果から、ガラス繊維(A)の含有量が減少し、合成有機繊維(B)の含有量が増加することに伴い、通気性およびこわさが低下する傾向が認められた。
一方、含水ケイ酸塩鉱物(C)を含まない比較例1の湿式抄造不織布(エアフィルタ用基材)は、こわさおよび耐熱性の低下が顕著であり、折れ適性も低下した。
また、含水ケイ酸塩鉱物(C)を過剰に含む比較例2の湿式抄造不織布(エアフィルタ用基材)は、こわさおよび耐熱性は優れるものの、通気性が低下した。
また、繊維径の小さなガラス繊維(A)を用いた比較例3の湿式抄造不織布(エアフィルタ用基材)は、通気性の低下が顕著であり、かつ、比率(通気抵抗/屈曲力)が大きく、耐変形性に劣ることが示唆された。