(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記再生する工程の前に前記鋳型砂を複数に分ける工程をさらに含み、複数に分けられた前記鋳型砂に対して、前記再生する工程、及び、前記分級する工程をそれぞれ行うこと、を特徴とする請求項1に記載の鋳型砂の再生方法。
前記配合する工程で配合された砂を複数に分ける工程をさらに含み、複数に分けられた前記配合された砂に対して、前記再生する工程、及び、前記分級する工程をそれぞれ行うこと、を特徴とする請求項5に記載の鋳型砂の再生方法。
生型鋳造設備で使用される中子が加熱脱水硬化型水ガラスプロセスの場合、前記主型中子混合砂の異物を除去した後に前記主型中子混合砂を400℃以上に加熱する工程、及び、前記砂塊の異物を除去した後に前砂塊を400℃以上に加熱する工程をさらに含むこと、を特徴とする請求項5から8のいずれか一項に記載の鋳型砂の再生方法。
前記乾式の機械再生設備の前に、前記鋳型砂に前記乾式の機械再生設備を通過させるか、又は、前記鋳型砂を前記再生設備の入口に戻すかを選択する第3の切り替え設備をさらに備えたこと、を特徴とする請求項16に記載の鋳型砂の再生設備。
前記主型中子混合砂異物除去設備の後ろに前記主型中子混合砂を400℃以上に加熱する加熱設備、及び、前記砂塊異物除去設備の後ろに、前記砂塊を400℃以上に加熱する加熱設備をさらに備えたこと、を特徴とする請求項21から24のいずれか一項に記載の鋳型砂の再生設備。
前記磁選設備は、磁束密度0.15T〜0.5Tの能力を有する、半磁外輪式の磁選設備であること、を特徴とする請求項16から26のいずれか一項に記載の鋳型砂の再生設備。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明による鋳型砂の再生方法及び再生設備を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。
【0018】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
図1は、第1の実施の形態に係る鋳型砂の再生設備の概略構成図である。再生設備1は、乾燥設備D、磁選設備M、切り替え設備V1、切り替え設備V2、バイパス系BP1、バイパス系BP2、乾式の機械再生設備R、分級設備C、切り替え設備V3、送還系PL1、及び、集塵設備DCを備えている。
【0019】
乾燥設備Dは、生型鋳造設備から排出される鋳型砂Sを乾燥させる。乾燥設備Dは、切り替え設備V1を介して鋳型砂Sの注入口と接続される。乾燥設備Dは、鋳型砂Sに含まれる水分量を後述する管理値以下になるまで乾燥を行うことのできる能力を有していればどのような方式であるかは問わないが、例えば、電気若しくはガスなどの熱源により空気を加熱しながら送風機で熱風を鋳型砂に通気し、水分を乾燥させる方式のものが挙げられる。なお、管理値以下の水分量まで乾燥するためにどの程度の能力が必要とされるかは、事前に乾燥前の水分量を試験的に測定しておき、管理値以下の水分量に乾燥するために必要な熱量を求めた上で、決定しておく。乾燥設備Dは、鋳型砂Sを90℃以上に加熱する能力を有する乾燥設備であることが好ましい。
【0020】
磁選設備Mは、生型鋳造設備から排出される鋳型砂Sを磁選し、鋳型砂Sから磁着物を除去する。なお、磁着物とは、金属と砂粒が溶着した状態の砂粒のことである。磁選設備Mは、バイパス系BP1及び切り替え設備V2を介して乾燥設備Dと接続される。磁選設備Mは、鋳型砂S内の磁着物の量を後述する管理値以下になるまで磁選を行うことのできる能力を有していればどのような方式であるかは問わないが、例えば回転するドラムの内側半周部に永久磁石を配置し、ドラム上に鋳型砂を通過させ、永久磁石の磁力により非磁性体と磁着物を分離する方式のものが挙げられる。なお、管理値以下の磁着物量にまで下げるのにどの程度の能力が必要とされるかは、事前に磁選前の磁着物量を試験的に測定しておき、管理値以下の磁着物量に磁選するために必要な能力を求めた上で、決定しておく。また、磁選設備の磁束密度は、磁着物量の測定に用いた磁石の磁束密度と同じものを選定する必要がある。磁選設備Mは、磁束密度0.15T〜0.5Tの能力を有する、半磁外輪式の磁選設備とすることが好ましい。
【0021】
乾燥設備Dの手前には切り替え設備V1が、磁選設備Mの手前には切り替え設備V2が備えられており、それぞれバイパス系BP1、及び、バイパス系BP2が接続している。生型鋳造設備から排出される鋳型砂Sに含まれる水分の測定値が管理値を超えていない場合は、切り替え設備V1で鋳型砂Sが乾燥設備Dを通過せずにバイパス系BP1を通過するように選択することが可能な構成となっている。
【0022】
また、生型鋳造設備から排出される鋳型砂Sに含まれる磁着物の測定値が管理値を超えていない場合は、切り替え設備V2で鋳型砂Sが磁選設備Mを通過せずにバイパス系BP2を通過するように選択することが可能な構成となっている。このような構成により、生型鋳造設備から排出される鋳型砂Sが、乾燥設備D、及び、磁選設備Mの両方を経由して乾式の機械再生設備Rに運ばれるか、それらの一方の設備を経由して乾式の機械再生設備Rに運ばれるか、又は、いずれの設備も経由せずに直接乾式の機械再生設備Rに運ばれるかをそれぞれ選択することが可能である。
【0023】
乾式の機械再生設備Rは、生型鋳造設備から排出される鋳型砂Sの表面に付着した炭化物、焼結物、金属化合物などを剥離し、鋳型砂Sの再生を行う。乾式の機械再生設備Rは、磁選設備Mの後ろに接続されている。乾式の機械再生設備Rは、強熱減量を後述する管理値以下にできる能力を有していればどのような方式であるかは問わない。
【0024】
分級設備Cは、再生された鋳型砂Sを比重分級方式により分級し、回収すべき砂粒と集塵すべき炭化物、焼結物、金属化合物などの微粉を分離する。分級設備Cは、乾式の機械再生設備Rの後ろに接続されている。分級設備Cは、再生された鋳型砂S内の全粘土分の量が後述する管理値以下になるまで微粉を除去できる能力を有していればどのような方式であるかは問わない。
【0025】
分級設備Cの後には、分級された再生砂(鋳型砂S)を再生設備1から排出するか、分級された再生砂を乾式の再生設備Rの投入口に戻して再度再生処理をするかを切り替えるための切り替え設備V3が備えられており、切り替え設備V3には、分級された再生砂を乾式の機械再生設備Rへ戻すための送還系PL1が接続している。分級された再生砂の強熱減量と全粘土分とが管理値以下になっていない場合には、分級された再生砂を乾式の機械再生設備Rへ戻すことが可能な構成となっている。
【0026】
集塵設備DCは、分級設備Cと接続されており、分級設備Cで発生したダスト(微粉)を集塵する。
【0027】
次に、本鋳型砂の再生設備1を構成する、上記の各設備の具体的な例について説明する。
【0028】
(乾燥設備の第1の例)
初めに、乾燥設備Dを説明する。
図2は、乾燥設備Dの第1の例である流動層式の熱風乾燥設備の構造を示す、概略断面図である。流動層式の熱風乾燥設備である乾燥設備Dは、鋳型砂Sを90℃以上に加熱することにより、鋳型砂Sを乾燥させる。乾燥設備Dは、風箱D1、底板D2、沈降室D3、砂排出口D4、砂投入口D5、堰D6、熱風送風管D7、及び、集塵口D8を備えている。
【0029】
風箱D1は、乾燥設備Dの下部に設けられ、熱風送風管D7から送られてきた熱風が風箱D1を経由して沈降室D3に送風される。底板D2は、風箱D1の上部に置かれ、投入された鋳型砂Sが上面に留まる様になっている。底板D2には、風箱D1からの熱風を沈降室D3に送風する空気噴出口D2aが設けられている。沈降室D3は、乾燥設備Dの上部に設けられ、熱風を受けた鋳型砂Sを重力により底板D2側へ沈降させる。砂排出口D4は、底板D2の先端に設置され、機体下方に開口している。乾燥後の鋳型砂Sは砂排出口D4から排出される。砂投入口D5は、風箱D1の上部に設置され、機体上方に開口している。乾燥前の鋳型砂Sは砂投入口D5から投入される。なお、底板D2は、砂排出口D4側が低くなり、砂投入口D5側が高くなるように、わずかに傾斜させてある。
【0030】
堰D6は、底板D2上の砂排出口D4に隣接した位置に設けられている。堰D6は流動した鋳型砂Sを一時的に堰き止める。熱風送風管D7は、風箱D1の底部に設置され、図示されていない熱風発生装置に接続されている。熱風送風管D7は、熱風発生装置により発生された熱風を送風する。集塵口D8は、沈降室D3の上端に設置され、図示されていない集塵装置に接続されている。鋳型砂Sに付着していた塵が集塵口D8を経由して集塵装置に集められる。
【0031】
図2において、砂投入口D5から鋳型砂Sを投入すると同時に、熱風発生装置が発生させた熱風が熱風送風管D7に送風される。送風された熱風は、風箱D1に流れ込み、さらに、底板D2の空気噴出口D2aを通じて沈降室D3に送風される。すると、底板D2上に溜まっていた鋳型砂Sは、熱風を受けることにより水分が蒸発により減少する。次第に、鋳型砂Sは流動化し、底板D2上を滑動するとともに一部は沈降室D3内で浮遊を始める。この時、鋳型砂Sに付着していた塵は鋳型砂Sと分離する。滑動した鋳型砂Sは、底板D2の傾斜に沿って砂排出口側D4の方へ進んだ後、堰D6によって滑動を停止する。よって、鋳型砂Sは、この部分で層を形成し始める。さらに、連続して砂投入口D5から鋳型砂Sを投入すると、鋳型砂Sの層は堰D6を越え、砂排出口D4から排出される。
【0032】
この時、集塵口D8から集塵を行うことで、乾燥設備D(沈降室D3)内を浮遊している塵と鋳型砂Sは集塵口D8に向けて浮遊移動するが、鋳型砂Sは集塵口D8に到達する前に重力により落下する。その結果、塵と熱風(空気)が集塵口D8から排出され、鋳型砂Sは砂排出口D4から排出される。
【0033】
ここで、乾燥される鋳型砂Sが水分を蒸発させるのに十分な温度まで加熱されないと、水分の管理値以下にまで鋳型砂Sを乾燥させることができない。そのためには乾燥設備D内での鋳型砂Sの温度を90℃以上になるよう加熱することが必要であり、鋳型砂Sの供給量及び砂投入口D5と砂排出口D4との間で最大何%の水分を蒸発させねばならないのか事前に検討して、熱風発生装置から供給する熱量を決定しておく必要がある。
【0034】
さらに、効率よく乾燥を行うためには、熱風送風管D7から風箱D1,空気噴出口D2a、沈降室D3を通り集塵口D8に至る熱風の流れが常に存在し、かつ、機体外への熱風の漏出がないようにすることが必要である。そのためには、熱風送風管D7から送風される熱風の風量と集塵口D8での集塵風量が等しいか、若しくは集塵口D8での集塵風量の方が大きいことが必要である。
【0035】
(乾燥設備の第2の例)
図3は、乾燥設備Dの第2の例である内燃式ロータリーキルン方式の乾燥設備の構造を示す、概略断面図である。内燃式ロータリーキルン方式の熱風乾燥設備である乾燥設備Dは、鋳型砂Sを90℃以上に加熱することにより、鋳型砂Sを乾燥させる。乾燥設備Dは、円筒D101、砂投入口D102、バーナーD103、砂排出口D104、砂排出口D105、攪拌板D106、支持台D107、及び、駆動源D108を備えている。
【0036】
円筒D101は、乾燥設備Dの中心に配置され、回転可能に支持されている。円筒D101は、投入された鋳型砂Sが円筒内に留まる様になっている。砂投入口D102は、円筒D101の一端に設けられている。乾燥前の鋳型砂Sは砂投入口D102から投入される。バーナーD103は、円筒D101内の砂投入口D102の反対端側に、円筒D101の略中心部に挿入されて配置されている。バーナーD103に着火することにより、円筒D101の内部を昇温する。砂排出口D104は、バーナーD103の下方に配設され、円筒D101の下方へ開口している。乾燥後の鋳型砂Sは砂排出口D104から排出される。砂排出口D105は、バーナーD103の上方に配設され、円筒D101の上方へ開口している。
【0037】
攪拌板D106は、円筒D101内面に螺旋状に複数配設されている。円筒D101が回転することにより、攪拌板D106は円筒D101内の鋳型砂Sを攪拌する。支持台D107は、円筒D101下方に配設され、円筒D101を回転可能に支持する。駆動源D108は、円筒D101下方に配設され、円筒D101を回転させる。なお、円筒D101は、砂投入口D102側が高く、砂排出口D104側が低くなるよう、わずかに傾斜した状態で支持台D107に支持されている。
【0038】
図3において、あらかじめバーナーD103に着火し、円筒D101内部を昇温しておく。その状態で円筒D101を回転させ、砂投入口D102から鋳型砂Sを投入する。鋳型砂Sは昇温された円筒D101内で攪拌板D106によって攪拌されながら昇温し、乾燥する。その後、鋳型砂Sは砂排出口D104に達したところで、砂排出口D104より排出される。
【0039】
ここで、乾燥される鋳型砂Sが水分を蒸発させるのに十分な温度まで加熱されないと、水分の管理値以下にまで鋳型砂を乾燥させることができない。そのためには乾燥設備内Dでの鋳型砂Sの温度を90℃以上になるよう加熱することが必要であり、鋳型砂Sの供給量及び砂投入口D102と砂排出口D104との間で最大何%の水分を蒸発させねばならないのか事前に検討して、バーナーD103から供給する熱量を決定しておく必要がある。
【0040】
なお、乾燥設備Dの構成はこれら二つに限られるものではなく、鋳型砂Sを90℃以上に加熱できる構造のものであれば、どのようなものでも構わない。例えば振動搬送しながら熱風を送風して乾燥させる機構の乾燥設備でも構わないし、熱風を送風しながら連続的に鋳型砂Sを攪拌して乾燥させる方式の乾燥設備でも構わないし、加熱源を円筒外部に配設した外燃式ロータリーキルンのような乾燥設備を用いても、問題はない。
【0041】
乾燥設備Dは、鋳型砂Sを90℃以上に加熱する能力を有するので、砂粒に残留する水分を効率的に管理値以下にまで乾燥することが可能である。
【0042】
(磁選設備)
次に、磁選設備Mを説明する。
図4は、磁選設備Mの概略断面図である。磁選設備Mは、鋳型砂Sを0.15T〜0.5Tの範囲内である磁束密度によって磁選し、鋳型砂Sから磁着物を除去する。磁選設備Mは、半磁外輪式の磁選設備である。磁選設備Mは、永久磁石M1、回転ドラムM2、入口側ダンパーM3、出口側分離板M4、砂投入口M5、砂排出口M6、磁着物排出口M7、及び、筐体M8を備えている。
【0043】
永久磁石M1は、設備の中心に固定され、鋳型砂Sの搬送範囲内に磁力を付与するよう配置される。回転ドラムM2は、永久磁石M1の外周に密接配置され、図示しない動力源により回転する機構を有する。回転ドラムM2は、上端M2a、及び、下端M2cを有する。入口側ダンパーM3は、回転ドラムM2の直上に配置され、自在に開度を調整できる機構を有する。出口側分離板M4は、回転ドラムM2の直下に回転ドラムM2との間に空隙を有するように配置され、自在に開度を調整できる機構を有する。砂投入口M5は、回転ドラムM2の直上に入口側ダンパーM3と隣接して配置される。砂排出口M6は、回転ドラムM2の直下で出口側分離板M4と筐体M8との間の永久磁石M1側で下方に開口する。磁着物排出口M7は、回転ドラムM2の直下で出口側分離板M4と筐体M8との間の反砂排出口M6側で下方に開口する。筐体M8は、磁選設備Mの全体を覆っている。
【0044】
図4において、入口側ダンパーM3を定量切り出し(取り出し)が可能な状態になるよう調整した上で、回転ドラムM2を反時計回りに回転させた状態で砂投入口M5から鋳型砂Sを投入すると、回転ドラムM2の上端M2aの位置から、回転ドラムM2の上に層を成した状態で鋳型砂Sが搬送される。回転ドラムM2の回転が進み回転ドラムM2の中間点M2bを通過すると、鋳型砂Sは回転ドラムM2から落下し、砂排出口M6から排出される。磁着物Eは回転ドラムM2の下端M2cまで搬送され、そこで回転ドラムM2から落下する。この時、出口側分離板M4を鋳型砂排出口M6側に倒すと、回転ドラムM2の下端M2cで落下する磁着物Eのうち磁着物排出口M7から排出される割合が増加し、反対に出口側分離板M4を磁着物排出口M7側に倒すと、回転ドラムM2の下端M2cで落下する磁着物Eのうち砂排出口M6から排出される割合が増加する。したがって、出口側分離板M4の位置は、磁着物Eの歩留まりを勘案して、適切な位置に調整しておく必要がある。
【0045】
また、磁選の効率は、磁束密度以外に回転ドラムM2の上に層を成した鋳型砂Sの厚さによっても決まる。この厚さが過剰となると、たとえ適切な磁束密度の磁選を行ったとしても、磁着物Eは回転ドラムM2の中間点M2bから回転ドラムM2の下端M2cまでの間に落下してしまい、鋳型砂S内に引き続き滞留してしまう。そのため、回転ドラムM2の上に層を成した鋳型砂Sの厚さが5mm以下となるよう、鋳型砂Sの供給量を勘案して、永久磁石M1の直径及び横幅を選定する必要がある。
【0046】
磁選設備Mは、磁束密度0.15T〜0.5Tの能力を有する、半磁外輪式であるので、鋳型砂Sに残留する磁着物を、効率的に除去することが可能である。
【0047】
(乾式の機械再生設備の第1の例)
次に、乾式の機械再生設備Rを説明する。
図5は、乾式の機械再生設備Rの第1の例である機械再生設備の概略断面図である。
図6は、
図5におけるA−A矢視図であり、
図7は、
図5におけるB−B矢視図であり、
図8は、
図7におけるC−C矢視図である。乾式の機械再生設備Rは、鋳型砂Sの表面に付着した炭化物、焼結物、金属化合物などを剥離し、鋳型砂Sの再生を行う。
【0048】
第1の例においては、乾式の機械再生設備Rは、連続式で下端に砂落し口を設けた砂供給シュートR2、砂供給シュートR2の下方において水平回転自在に配設された回転ドラムR4、及び、回転ドラムR4内に配設された1個以上のローラーR12を備えている。
【0049】
より具体的には、角筒部R1aの下部に角錐部R1bを連結した処理槽R1の上端部には漏斗状の砂供給シュートR2が吊設されており、砂供給シュートR2の下端は図示されないゲートを介して常に一定流量の砂が流下される砂供給口R3が設けられている。砂供給シュートR2の下方には、回転ドラムR4が配設されており、回転ドラムR4は、円形底板R4aの周端から斜め上外方に延びる傾斜周壁R4bと、傾斜周壁R4bの上端から内側に張り出す堰R4cと、をそれぞれ一体的に連結した構成にされている。
【0050】
回転ドラムR4とモーターR9との間の接続は特に制限されるものではないが、例えば、回転ドラムR4における円形底板R4aの下面中央部には回転軸R5が固着されており、回転軸R5は中空状の支持フレームR6上に取付けられた軸受R7を介して、回転自在に支持されている。回転軸R5の下端にはVプーリーR8aが取付けられていて、処理槽R1の外側において、支持フレームR6上に取付けられたモーターR9の回転軸R10にVベルトR11及びVプーリーR8bを介して、伝動可能に連結されている。回転ドラムR4内には傾斜周壁R4bに対して若干の隙間を設け、かつ、傾斜周壁R4bに対し直角にして2個のローラーR12、R12が配設されており、ローラーR12、R12の上面中央部には支持軸R13、R13が相対的に回転可能にして連結されている。
【0051】
支持軸R13、R13の上端は横方向(ローラーR12、R12に平行)に延びる支持アームR14、R14の一端に固着されており、支持アームR14、R14の他端部は軸受R15、R15を介して垂直回転可能に支持されて支持アームR14、R14に交差する方向に延びる水平軸R16、R16の一端に連結されている。水平軸R16、R16の他端は角筒部R1aを貫通して外部に突出されて回転アームR17、R17の上端に固着されている。さらに2本の回転アームR17、R17の下端間はシリンダーR18により連結されていて、全体としてローラー加圧機構Pを構成している。すなわち常時、回転アームR17、水平軸R16、アームR14、を介してローラーR12、R12に対し傾斜周壁R4b方向に一定圧力をかけた状態にしている。なおシリンダーR18に代えて圧縮コイルばねを介して回転アームR17、R17の下端間を連結しても同様の作用効果が得られる。
【0052】
このような構成にされたものは、モーターR9を駆動させて回転ドラムR4を
図6の矢印方向に回転させた状態で砂供給シュートR2内に鋳型砂Sを供給する。これにより砂供給口R3から一定量の鋳型砂Sが回転ドラムR4の円形底板R4aの中央部へ連続的に供給される。供給された鋳型砂Sは回転ドラムR4の遠心力により外方向へ移動され、更に傾斜周壁R4bの内面に遠心力により押え付けられながら堆積してゆき、その厚さを増して砂層Lを形成する。この砂層Lは厚さが傾斜周壁R4bとローラーR12、R12との隙間よりも厚くなるとローラーR12、R12は鋳型砂Sとの摩擦力で回転を始める。さらに時間が経過すると砂層Lはさらに厚さを増して堰R4cをのり越える。その後は堰R4cの幅にほぼ等しい厚さに一定に保たれる。
【0053】
この状態で砂層Lは回転ドラムR4と共に回転し、ローラーR12、R12の位置に来るとローラーR12、R12と回転ドラムR4の傾斜周壁に挾まれて一定の加圧力を受けると共に砂内部に剪断作用を生じ、これにより鋳型砂Sの表面の付着物は剥離、除去され砂再生が成される。この砂再生は、ローラーR12により一定圧力で加圧された状態での剪断作用により行なわれるものであるため、効率よく付着物が剥離されると共に砂の破砕が少ない。再生された砂は堰R4cをのり越えて処理槽R1の下方へ落下してゆき、引き続き、
図1に示される分級設備Cへと送られる。以上のように回転ドラムR4内への鋳型砂Sの供給、回転ドラムR4内での砂再生及び砂再生の排出が連続して行なわれ、鋳型砂Sが連続的に再生されてゆく。
【0054】
上記の構成において、回転ドラムR4の周壁R4bを上外方に延びる上広がりの傾斜面にした理由は、遠心力で砂層Lを形成する場合重力の影響で下方ほど堆積層の内径が小さくなるので砂層Lの厚さを上下方向にわたって一定にするためのものであり、これによりローラーR12、R12による均等な加圧がなされ、より効率の良い砂再生が成される。また上記の構成においてはローラーR12を2個配設しているが、1個でもよく、また、3つ以上でもよい。
【0055】
さらにローラーR12、R12の外周部の材質を砥石などの研磨材にすることにより、砂再生作用のほかに、回転ドラムR4の傾斜周壁R4bとローラーR12、R12に挾まれた砂は研磨材による研磨作用を同時に受け、再生効率を更に向上させることができる。またローラーR12、R12は傾斜周壁R4bの方向へ一定圧力をかけた状態にされているため若干の摩耗等があっても鋳型砂Sを一定圧力で加圧することができ、砂再生の安定化を測ることが可能となる。
【0056】
また、機械再生設備Rにおいて、再生の強さとはモーターR9の負荷電流によって表されるのだが、モーターR9の負荷電流は、砂層Lの厚さと、ローラー加圧機構Pの加圧力によって決定される。したがって、堰R4cの幅とローラー加圧機構Pの加圧力を最適なものに調整することで、最も効率的な再生を行うことが可能となる。
【0057】
なお、シリンダーR18の動力は空圧、水圧、油圧、電動など特に制限するものではないが、特に空圧油圧複合シリンダーを採用することで、加圧力を調整する際に迅速に反応させることが可能となる。
【0058】
このような構成を取ることにより、機械再生設備Rは、非常に効率よく再生を行うことが可能となる。
【0059】
(乾式の機械再生設備の第2の例)
図9は、乾式の機械再生設備Rの第2の例である機械再生設備の概略断面図であり、
図10は、乾式の機械再生設備Rの第2の例における、投入砂流量とモーターの目標電流値との相対関係を示すグラフであり、
図11は、乾式の機械再生設備Rの第2の例における、フローチャートである。乾式の機械再生設備Rは、鋳型砂Sの表面に付着した炭化物、焼結物、金属化合物などを剥離し、鋳型砂Sの再生を行う。
【0060】
第2の例においては、乾式の機械再生設備Rは、砂(鋳型砂S)を投入するため下端に砂落し口を有する砂投入部R101と、砂投入部R101の下方において水平方向に回転自在に配設される回転ドラムR102と、回転ドラムR102をモーターR103により回転させるモーター駆動手段R104と、回転ドラムR102内において隙間を設けて配置されたローラーR105、R105と、ローラーR105、R105にシリンダーR106、R106が連結されて、ローラーR105、R105を回転ドラムR102に向けて押しつけるローラー加圧機構R107、R107とを備える鋳型砂再生設備に、砂投入部の砂落し口に設置され、投入される砂流量を検出する砂流量検出器R108と、モーター駆動手段R104の電流値を検出する電流検出器R109と、シリンダーR106、R106の圧力制御手段R110と、制御手段R111とが備えられている。
【0061】
回転ドラムR102は、円形底板R102aの周端から斜め上外方に延びる傾斜周壁R102bおよび傾斜周壁R102bの上端から内側に張り出す堰R102cを連結した構成にされている。ローラーR105、R105は、傾斜周壁R102bに対して若干の隙間を設けて配置されている。また、回転ドラムR102を囲むようにシュートR112が設けられている。これにより、ローラーR105、R105により一定圧力で加圧された状態で剪断作用が行われ再生された砂(鋳型砂S)は、堰R102cを乗り越えてシュートR112に集められたのち分級設備Cへと送られる。
【0062】
モーター駆動手段R104は特に限定されるものではないが、回転ドラムR102をモーターR103とベルトで駆動させる機構を用いることができる。この構成においては、回転ドラムR102における円形底板R102aの下面中央部には門形フレームR113に取り付けられた軸受部R114に軸支される回転軸R115aが固着されている。回転軸R115aの下端にはプーリーR116aが取付けられている。また、機体の外側には、フレームR117にモーターR103が取付けられている。これにより、回転ドラムR102は、このモーターR103の回転軸R115bに取り付けられるプーリーR116bとプーリーR116aに巻きつけられるベルトR118により、モーターR103の駆動力が伝動可能にされている。
【0063】
ローラー加圧機構R107は、ローラーR105をシリンダーR106で加圧させる機構を用いることができれば、とくに限定されるものではない。本構成では、ローラーR105の上端面に固着される連結具R119と、連結具R119に挿通して支持される軸R120と、軸R120に連結されるアームR121と、アームR121に連結されるシリンダーR106とからなる機構にされている。また、このシリンダーR106は、そのロッドがアームR121の上端部に回動自在に連結されている。なお、本構成では、2個のローラーR105が配設されているが、ローラーR105の個数は適宜選定することができる。
【0064】
砂流量検出器R108は、砂投入部R101の砂落し口に設置され、投入される砂流量を検出することができる検出器であれば、とくに限定されるものではないが、たとえばロードセルなどで一定の高さから落下する砂の荷重を測定する装置を用いることができる。また、電流検出器R109は、モーター駆動手段R104の電流値を検出することができる検出器であれば、とくに限定されるものではないが、たとえば電流表示に用いられる変流器の信号を数値データに変換する装置を用いることができる。
【0065】
さらに、圧力制御手段R110は、シリンダーR106の加圧力を調整できる機構であれば、とくに限定されるものではないが、本構成では、油圧配管R122に接続される電磁切替弁R123、圧力制御弁R124、油圧ポンプR125及び油圧タンクR126からなる機構とされている。この圧力制御弁R124は、送られてくるオイルを制御手段R111の出力信号の大きさに比例した圧力に制御してシリンダーR106側に送り出すようにされている。なお、本構成では、シリンダーR106が油圧シリンダーとされているが、空圧シリンダー、空圧油圧複合シリンダーまたは電動シリンダーとすることができる。この場合、シリンダーの種類に応じて適宜シリンダーの加圧力を調整できる機構を採用することができる。
【0066】
制御手段R111は、砂流量検出器R108により検出される砂流量に応じてシリンダーR106によるローラーR105の加圧力を調整する構成にされている。本構成では、あらかじめ設定された、回転ドラムR102に投入されるべき砂流量と、砂流量に応じたモーターR103の電流値との相対関係を維持するように、砂流量検出器R108により検出された砂流量に対応するモーターR103の電流値を算出する目標電流演算部と、算出された砂流量に対応するモーターR103の目標電流値と運転中の実測したモーターR103の電流値とを比較する比較部と、比較部の結果に基づいて運転中のモーターR103の電流値を目標電流値になるようにシリンダーR106によるローラーR105の加圧力を調整する制御部とからなる構成にされている。具体的には、演算内容は負の帰還量を算出している。つまり、目標の電流値に近づくためには、現在の設定圧力を、どれだけ上げるべきか、下げるべきか、またはそのままでよいかを算出している。
【0067】
相対関係は、仕様により決定される砂流量と再生砂に要求される研磨の程度の違いにより決定される電流値、たとえば研磨し易い砂は80〜100A程度、研磨し難い砂は100〜120A程度とに基づいて、回転ドラムR102に投入される砂流量を再生するのに必要なモーターR103の電流値を目標電流値として求めることができる。たとえば、砂流量が2〜5t/h程度を対象とした設備を考えると、
図10に示されるように、砂流量5t/hを再生するときに必要なモーターR103の電流値を100Aとすると、回転ドラムR102に投入される砂流量が4t/hである場合、砂流量に応じたモーターR103の目標電流値は88Aとなる。本構成では、砂流量が5t/hから4t/hに減少したとき、運転中のモーターR103の電流値を目標電流値88AになるようにシリンダーR106によるローラーR105の加圧力を調整する。
【0068】
なお、本構成における相対関係は、投入砂流量に応じた電流値の調整を直線で表しているが、曲線で表される場合についても同様の制御を行うことができる。
【0069】
また、比較部は、投入された砂流量に対応するモーターR103の目標電流値と運転中の実測したモーターR103の電流値とを比較したのち、シリンダーR106によるローラーR105の加圧力に対する増加減率を算出する演算部を具備しているのが好ましい。たとえば、つぎの式(1)から得られる増加減率(増圧率または減圧率)を1秒周期で演算してシリンダーR106の加圧力を調整する。ここで、感度とは増加減率が急激に変化することを調整するためのものであり、たとえば0.2とすることができる。
【0070】
(数1)
増加減率=(目標電流値/実測の電流値−1)×感度+1・・・(1)
【0071】
具体的な加圧力の演算例としては、目標電流値=88A、実測の電流値=80Aにて、感度=0.2とした場合、増加減率=(88/80−1)×0.2+1=1.02となり、現在の圧力設定値が100kPaなら、1秒後の圧力設定値を100×1.02=102kPaとする。
【0072】
また、本構成では、制御手段R111に付加される機能として、処理砂の累計重量値を算出する演算手段を備えている。この演算手段は、砂流量検出器R108により測定した砂流量を処理時間について積分演算を行い、処理砂の累計重量値を算出する。たとえば、測定した砂流量を処理時間について積分演算を行う方法としては、サンプリング時間を1秒に設定するとともに、処理開始時点の砂量小計をゼロとして、砂処理中の砂量をつぎの式(2)により1秒毎に演算を行う。
【0073】
(数2)
砂量小計=砂量小計+毎時砂流量×1/3600・・・(2)
【0074】
ついで、この砂処理中の砂量を積分演算したのち、処理完了時点の処理砂の累計重量値(砂累計値)は、つぎの式(3)により算出することができる。
【0075】
(数3)
砂量累計=砂量累計+砂量小計・・・(3)
【0076】
なお、ここで、累計を求める手順を小計と累計の二段階に分けたのは演算精度を確保するためである。たとえば2〜5t/hを処理する場合、1秒当り0.6〜1.4kgの砂が流れるので、1年のうち2000時間の稼動では、処理砂の量は(0.6〜1.4)×3600×2000=4320000〜10080000kgとなる。演算処理では、有効数字7桁で浮動小数点まで演算をさせているので、累計が小さい間はそのまま積算しても高精度の演算ができる。ところが、長い間累計をリセットしないと前述の様に、演算結果が7桁を越えることもあり得る。この場合は、小さい方の有効数字が失われ、全く加算されなくなるという不具合が発生する。そこで、再生処理毎に一旦、小計を取り、小さい方の数字を3程度桁移動させた後、累計に加算することにより高精度の演算を行っている。
【0077】
そして、算出される処理砂の累計重量値は、表示装置、たとえばパーソナルコンピュータや、グラフィックタッチパネルなどに表示し、メモリーカードなどに記録する。本構成では、この記録される処理砂の累計重量値の情報(データ)を、鋳型造型工程における砂量の管理や、設備の消耗部品、たとえばローラーR105や回転ドラムR102の交換時期の管理に役立てることができる。
【0078】
このようにして構成された設備は、
図11のフローチャートにしたがって動作する。本構成では、再生する砂流量が5t/hである設備を対象とし、使用されるモーターの目標電流値を100Aとする。このときの相対関係は
図10に示される。そこで、回転ドラムに投入される砂流量と砂流量に応じたモーターの目標電流値との相対関係を設定し、記憶させる(ステップS1)。次に、砂再生設備を起動する。そして、回転ドラムに砂の投入を開始する(ステップS2)。次に、砂投入部に設置した砂流量検出器にて、現在の投入砂流量を算出する(ステップS3)。次に、相対関係から投入砂流量に応じたモーターの目標電流値を算出する(ステップS4)。
【0079】
次に、現在(運転中)のモーターの電流値(実測電流値)を算出し、投入された砂流量に対応するモーターの目標電流値と比較する(ステップS5、S6)。次に、シリンダーによるローラーの加圧力に対する増加減率を算出する(ステップS7)。次に、式(1)から得られる増加減率をサンプリング時間、たとえば1秒ごとに算出し、シリンダーの加圧力設定値を増減し、モーターの電流値を増減させる。なお、このときの感度は0.2とした(ステップS8)。
【0080】
本構成では、投入される砂流量に対応するモーターの目標電流値に合わせてシリンダーの加圧力を制御することで再生砂の品質を向上させることができる。
【0081】
また、本構成では、再生設備における主要データを運転している最中に記録し、採取記録を分析することで設備の稼動状態や砂性状の変化を監視して、適正範囲を超える場合は対処を促すための警報を発することで、大きな問題発生を防止することにより再生砂の品質管理ができる。監視としては、ディスプレイ画面に表示して適正範囲を超える場合はその理由と対処方法を表示する。主要データとしては、投入された砂流量、モーターの電流値、シリンダーの伸びおよび加圧力の設定値を挙げることができる。たとえば投入砂流量の極端な減少は、ローラーを急加熱し、割れを引き起こすこともあるため、砂流量を監視する。
【0082】
目標電流値とモーターの電流値が異なることから電流値の変動を管理するため、モーターの電流値を記録し、監視する。シリンダーの伸びが適正範囲(たとえば70〜110mm)を超えた時だけ異常表示をするのでは、それまでの過程が不明となるので記録を行う。また、砂性状やローラーの加圧力などの値が変化していないのにも関わらず、シリンダーの伸びが大きくなる場合はローラーや回転ドラムの摩耗が考えられるため、シリンダーの伸びを監視する。このシリンダーの伸びは、シリンダーR106のロッドに位置センサー、たとえばリニアゲージR127、R127を連結して測定することができる。また、ローラーの加圧力にも制御可能な範囲があるため、ローラーの加圧力も監視する。
【0083】
そこで、本構成では、主要データを運転中記録する記録部と、記録される主要データをそれぞれ適正な範囲にあるか否かを判定する判定部と、判定部の結果、主要データが適正な範囲外となった場合は対処を促す警報を発する警報指令部とを具備するのが好ましい。
【0084】
このような構成を取ることにより、機械再生設備Rは、供給される砂(鋳型砂S)の性状の変動に合わせて常に最適の条件にローラーの加圧力が最適な状態に制御され、再生砂の性状を常に一定に保つことが可能となる。
【0085】
(圧縮空気噴射手段)
次に、乾式の機械再生設備Rに用いられる圧縮空気噴射手段を説明する。
図12は、圧縮空気噴射手段2の概略構成図である。圧縮空気噴射手段2は、乾式の機械再生設備Rの傾斜周壁に付着堆積している堆積微粉に圧縮空気を噴射してこれを除去する。これは、再生によって鋳型砂Sから剥離した微粉が傾斜周壁に付着堆積して層を形成して固着することで、加圧が不十分になり再生効率が著しく低下することがあるので、微粉堆積層が固着する前に、圧縮空気を噴射してこれを除去するためである。
【0086】
圧縮空気噴射手段2は、図示しない圧縮空気源からの圧縮空気の圧力を調整する圧力調整弁R201、圧力調整弁R201からの圧縮空気の流量を調整する流量調整弁R202、圧力調整弁R201および流量調整弁R202を貫流した圧縮空気を噴射するノズルR203、及び、圧力調整弁R201及び流量調整弁R202を制御する制御手段R204で構成される。また、本図では、処理槽が、水平面内で回転可能に配設された円形底板R205a、円形底板205aの周端から斜め上外方に延びる傾斜周壁R205b、及び、傾斜周壁R205bの上端から内側に張り出す堰R205cをそれぞれ一体的に連結した回転ドラムR205と、傾斜周壁R205b上を転がり自在に軸支されて配設されたローラーR206とで構成され、ノズルR203が処理槽内に配設され、ノズルR203の先端は傾斜周壁R205bに対向している。
【0087】
ここで、回転ドラムR205は、上述した乾式の機械再生設備の回転ドラムR4及びR102に相当し、円形底板R205aは、上述した乾式の機械再生設備のR4a及びR102aに相当し、傾斜周壁R205bは、上述した乾式の機械再生設備の傾斜周壁R4b及びR102bに相当し、堰R205cは、上述した乾式の機械再生設備の堰R4c及びR102cに相当し、ローラーR206は、上述した乾式の機械再生設備のローラーR12及びR105に相当する。
【0088】
そしてローラーR206はシリンダーR207とローラー加圧機構R208を介して連結されており、さらにシリンダーロッドには位置センサーR209が接続され、シリンダーロッドの伸びの情報を、制御手段R204へ送る。制御手段R204には、噴射条件選定手段として、堆積微粉の成長速度によって決まる、固有の圧縮空気の圧力と流量、そして噴射時間の条件が記憶されている。
【0089】
ここで、シリンダーR207は、上述した乾式の機械再生設備のシリンダーR18及びR106に相当し、ローラー加圧機構R208は、上述した乾式の機械再生設備のローラー加圧機構P及びR107に相当する。
【0090】
このように構成したものは、加圧開始時の位置センサーR209の情報を制御手段R204で記憶し、その後引き続き位置センサーR209の情報を連続的に制御手段R204で収集することにより、シリンダーR207のロッドの伸びの変化を制御手段R204の情報として取得する。ここで例えば、加圧開始時と比較してシリンダーロッドの伸びが10mm減少したとすると、シリンダーロッドの総長さと加圧制御機構の長さの比率から決定されるローラーR206と傾斜周壁R205bとの距離の関係から、制御手段R204で微粉堆積層の厚さを演算する。そして、あらかじめ設定した噴射条件となる微粉堆積層の厚さに達したら、微粉堆積層に圧縮空気を噴射してこの微粉堆積層を除去する。
【0091】
設定した噴射条件となる微粉堆積層に達する時間が短い(例えば略5分)場合は、微粉は付着性が高いことが推定されるので、制御手段R204に記憶された噴射条件選定手段のうち、例えば圧縮空気の圧力が高く、風量が多く、そして噴射時間が長いものを選択することになる。反対に、設定した噴射条件となる微粉堆積層に達する時間が長い(例えば略15分)場合は、微粉は付着性が低いことが推定されるので、制御手段R204に記憶された噴射条件選定手段のうち、例えば圧縮空気の圧力が低く、風量が少なく、そして噴射時間が短いものを選択することになる。またこれらとは別に、噴射条件選定手段として一定の時間間隔(例えば3分に1回)を選択できるようにし、一定の時間間隔で微粉堆積層の厚さと関係なく圧縮空気を噴射することで、微粉堆積層の成長を未然に防止するようにしてもよい。
【0092】
圧縮空気噴射手段2を用いることにより、堆積微粉がローラーで加圧されて固着し、加圧力を最適な状態に制御出来なくなることを防止することが可能となる。
【0093】
(分級設備C)
次に、分級設備Cを説明する。
図13は、分級設備Cの概略断面図である。分級設備Cは、再生された鋳型砂Sを比重分級方式により分級し、回収すべき砂粒と集塵すべき炭化物、焼結物、金属化合物などの微粉とを分離する。分級設備Cは、風箱C1、底板C2、沈降室C3、砂排出口C4、砂投入口C5、堰C6、送風管C7、及び、集塵口C8を備えている。
【0094】
風箱C1は、分級設備Cの下部に設けられ、送風管C7から送られてきた空気が風箱C1を経由して沈降室C3に送風される。底板C2は、風箱C1の上部に置かれ、投入された鋳型砂Sが上面に留まる様になっている。底板C2には、風箱C1からの風(空気)を沈降室C3に送風する空気噴出口C2aが設けられている。沈降室C3は、分級設備Cの上部に設けられ、風を受けた鋳型砂Sがその中で流動(浮遊)する。砂排出口C4は、沈降室C3の先端に設置され、機体下方に開口している。鋳型砂Sは砂排出口C4から排出される。砂投入口C5は、風箱C1の上部に設置され、機体上方に開口している。再生された鋳型砂Sは砂投入口C5から投入される。なお、底板C2は、砂排出口C4側が低くなり、砂投入口C5側が高くなるように、わずかに傾斜させてある。
【0095】
堰C6は、底板C2上の砂排出口C4に隣接した位置に設けられている。堰C6は流動(浮遊)した鋳型砂Sを一時的に堰き止める。送風管C7は、風箱C1の底部に設置され、図示されていない送風機に接続されている。送風管C7は、送風機が発生させた風を送風する。集塵口C8は、沈降室C3の上端に設置され、図示されていない集塵装置に接続されている。鋳型砂Sから分離した炭化物、焼結物、金属化合物などの微粉が集塵口C8を経由して集塵装置に集められる。
【0096】
図13において、砂投入口C5から鋳型砂Sを投入すると同時に、送風機により発生された風(空気)が送風管C7に送風される。送風された風は、風箱C1に流れ込み、さらに、底板C2の空気噴出口C2aを通じて沈降室C3に送風される。すると、底板C2上に溜まっていた鋳型砂Sは、風を受けることにより流動化し、底板C2上を滑動するとともに一部は分級設備C(沈降室C3)内で浮遊を始める。この時、鋳型砂Sに付着していた炭化物、焼結物、金属化合物などは鋳型砂Sと分離する。浮遊した鋳型砂Sは、底板C2の傾斜に沿って砂排出口側C4の方へ進んだ後、堰C6によって滑動を停止する。よって、鋳型砂Sは、この部分で層を形成し始める。さらに、連続して砂投入口C5から鋳型砂Sを投入すると、鋳型砂Sの層は堰C6を越え、砂排出口C4から排出される。
【0097】
この時、集塵口C8から集塵を行うことで、分級設備C(沈降室C3)内を浮遊している炭化物、焼結物、金属化合物などと鋳型砂Sは集塵口C8に向けて浮遊移動するが、再利用可能な鋳型砂Sは集塵口C8に到達する前に重力により落下し、砂排出口C4から排出される。一方、鋳型砂Sから離した炭化物、焼結物、金属化合物などは、鋳型砂Sと比較して質量が軽いため重力による落下は起こらず、空気とともに集塵口C8から排出される。このようにして、鋳型砂Sから分離される。
【0098】
分級設備Cは比重分級法を用いているので、複雑な構造を持たずに砂粒と微粉とを効率的に分級することが可能となる。
【0099】
なお、前述した乾燥設備Dの第1の例である流動層式の熱風乾燥設備と、分級設備Cとは構造的に類似している。例えば、熱風送風管D7に接続されている熱風発生装置を送風機に切り替えることにより、乾燥設備Dを分級設備Cとして使用することができる。また、送風管C7に接続されている送風機を熱風発生装置に切り替えることにより、分級設備Cを乾燥設備Dとして使用することができる。よって、乾燥設備Dを分級設備Cに、又は、分級設備Cを乾燥設備Dに流用することが可能である。
【0100】
(再生方法)
次に、第1の実施の形態に係る再生設備1を用いた鋳型砂の再生方法について説明する。本再生方法で用いられる生型鋳造設備から排出される鋳型砂Sは、水分が含まれている可能性、及び/又は、磁着物が付着している可能性がある砂である。例えば、水分が含まれている可能性がある砂とは、砂処理設備で古砂がオーバーフローしたオーバーフロー砂が挙げられる。また、磁着物が付着している可能性がある砂とは、ショットブラスト工程から排出された製品付着砂が挙げられる。
【0101】
オーバーフロー砂は、砂粒表面に、ベントナイトと生型添加剤が付着し、さらに、砂粒表面に、ベントナイトが焼結してできるオーリティクスと呼ばれる多孔質の焼結層が形成されている。ベントナイトと生型添加剤が砂粒表面に残留したままでは、生型砂の通気度と充填性を低下させる。また、生型添加剤がガス化すると、鋳物のガス欠陥の原因ともなる。さらに、オーリティクスが過剰に残留すると、鋳型の充填性を低下させると同時に耐火度を下げる原因ともなる。従って、オーバーフロー砂では、砂粒表面のベントナイトと生型添加剤を除去し、さらに砂粒表面のオーリティクスを剥離し、除去することが必要である。
【0102】
製品付着砂は、非常に苛烈な熱履歴を受けているためにベントナイトが焼結してオーリティクスに変化している。それ以外の生型添加剤や中子粘結剤も多くの部分がガス化して揮発しているが、一部は炭化した状態で砂粒表面に残留している。それ以上に重要なのは、この砂には磁着物(金属と砂粒が溶着した状態の砂粒)が多く存在することである。磁着物が過剰な砂が鋳型に混入すると鋳物の焼き付き欠陥の原因となるとともに、中子に使用した場合に中子用粘結剤の強度発現不良の原因ともなる。従って、製品付着砂では、磁着物を磁選により除去した上で、表面の炭化物を除去することが必要である。
【0103】
図14は、第1の実施の形態に係る再生設備1を用いた鋳型砂の再生方法を示すフローチャートである。本再生方法に用いられる鋳型砂Sは、前述した様に、水分が含まれている可能性、及び/又は、磁着物が付着している可能性がある。
【0104】
初めに、鋳型砂Sに含まれる水分量、及び、磁着物量を測定する(第一工程)。砂の水分量を測定するために、公知の測定方法を用いることができる。例えば、水分量の測定方法として、JIS Z 2601 附属書5「鋳物砂の水分試験方法」が挙げられる。
【0105】
また、砂の磁着物量を測定するために、公知の測定方法を用いることができる。例えば、磁着物量の測定方法として、AFS(American Foundry Society)発行のMold & Core Test Handbook 3rd Editionで規定されている、Testing Procedure AFS 5101−00−S “MAGNETIC MATERIAL, REMOVAL AND DETERMINATION”が挙げられる。この手順書では磁着物を分離するために用いる磁石の磁束密度に関する規定がないが、本発明で規定される磁着物の測定を行うには、磁束密度0.15T〜0.5Tの磁石を用いることが必要である。
【0106】
鋳型砂Sに含まれる水分量の測定値が管理値を越えていた場合、乾燥設備Dで鋳型砂Sを乾燥させる(第二工程)。ここで、水分量の管理値は、0.5%であることが好ましい。水分量が0.5%以下であれば、再生設備1の中で棚吊りを起こすことがなく、また、水分量が多いことに起因する中子強度発現不良などの問題を発生させることがないためである。
【0107】
鋳型砂Sに含まれる磁着物量の測定値が管理値を越えていた場合、磁選設備Mで、鋳型砂Sを磁選する(第二工程)。ここで、磁着物量の管理値は、5.0%であることが好ましい。磁着物量が5.0%以下であれば、再生砂を使用することによる鋳物の焼き付き欠陥や、残留金属分が原因である中子強度発現不良などの問題を発生させることがないためである。
【0108】
鋳型砂Sに含まれる水分量の測定値が管理値を越えていなかった場合、鋳型砂Sは乾燥設備Dで乾燥する必要がないため、切り替え設備V1を用いて鋳型砂Sがバイパス系BP1を通過するように設定する(第二工程)。
【0109】
鋳型砂Sに含まれる磁着物量の測定値が管理値を越えていなかった場合、鋳型砂Sは磁選設備Mで磁選する必要がないため、切り替え設備V2を用いて鋳型砂Sがバイパス系BP2を通過するように設定する(第二工程)。
【0110】
鋳型砂Sに含まれる水分量、及び、磁着物量の測定値が管理値を越えていなかった場合、鋳型砂Sは乾燥設備Dで乾燥する必要、及び、磁選設備Mで磁選する必要がないため、切り替え設備V1を用いて鋳型砂Sがバイパス系BP1を通過するように設定し、切り替え設備V2を用いて鋳型砂Sがバイパス系BP2を通過するように設定する(第二工程)。なお、このように、バイパス系BP1とバイパス系BP2の両方を通過する経路を、バイパス系BP3と呼ぶ。
【0111】
次に、乾式の機械再生設備Rで鋳型砂Sの再生を行う(第三工程)。再生処理により、鋳型砂Sの強熱減量は減少する。
【0112】
次に、再生された鋳型砂Sを比重分級法の分級設備Cで分級する(第四工程)。分級処理により、鋳型砂Sの全粘土分は減少する。
【0113】
第三工程(再生処理)、及び、第四工程(分級処理)を経た鋳型砂S(再生砂)は、強熱減量、及び、全粘土分がともに減少しているが、最終的には、それぞれの数値を管理値以下にする必要がある。従って、鋳型砂Sの強熱減量、及び、全粘土分が管理値を越えている場合、再度、第三工程(再生処理)、及び、第四工程(分級処理)に鋳型砂Sを通過させるため、切り替え設備V3を用いて鋳型砂Sが送還系PL1を経由して乾式の機械再生設備Rへ戻るように設定する。そして、鋳型砂Sは、乾式の機械再生設備R、及び、分級設備Cを再び通過する。本工程は、鋳型砂Sの強熱減量、及び、全粘土分の測定値が管理値以下になるまで繰り返される。
【0114】
一方、鋳型砂Sの強熱減量、及び、全粘土分が管理値以下になっている場合、切り替え設備V3を用いて鋳型砂Sが再生設備1から排出されるように設定し、鋳型砂Sは再生設備1から排出される。これにより再生処理は終了する。
【0115】
ここで、強熱減量の管理値は、0.6%であることが好ましい。強熱減量が0.6%以下であれば、砂粒表面に付着した揮発分が注湯時にガス化して鋳物欠陥の原因となったり、中子に使用した際に硬化反応を阻害したりするなどの問題を発生させることがないためである。砂の強熱減量を測定するために、公知の測定方法を用いることができる。例えば、強熱減量の測定方法として、JIS Z 2601 附属書6「鋳物砂の強熱減量試験方法」が挙げられる。
【0116】
また、全粘土分の管理値は、0.6%であることが好ましい。全粘土分が0.6%以下であれば、砂粒表面に付着した揮発分が注湯時にガス化して鋳物欠陥の原因となったり、中子に使用した際に硬化反応を阻害したりするなどの問題を発生させることがないためである。また、鋳型砂S全体の微粉が増加することによる鋳型砂Sの通気度低下や充填性低下などの鋳型砂Sの品質を低下させる問題も発生させることがないためである。砂の全粘土分を測定するために、公知の測定方法を用いることができる。例えば、全粘土分の測定方法として、JIS Z 2601 附属書1「鋳物砂の粘土分試験方法」が挙げられる。
【0117】
乾式の機械再生設備R、及び、分級設備C(再生処理、及び、分級処理)を通過させる回数のことをパスと称する。最初のパスを1パスと称し、通過させる回数が増すに従い、以降2パス、3パスなどと称する。
【0118】
管理値以下の強熱減量、及び、管理値以下の全粘土分とするのに何パス必要とするかは、あらかじめ試験的に砂を再生し、何パスで管理値以下の強熱減量、及び、管理値以下の全粘土分に達するのか確認することにより決定される。
【0119】
上述したように、集塵設備DCは、分級設備Cと接続されており、分級設備Cで発生したダスト(微粉)を集塵することが可能となっている。ここで、1パス目で発生するダストは主に砂粒表面に付着していたベントナイト及び生型添加剤である。そのため、これらのダストはベントナイト及び生型添加剤の代替物として混練工程で再利用することが可能である。したがって、この工程で発生するダストはそれ以降のパスで集塵されるダストとは独立に回収してもよい。例えば、1パス目に集塵設備DCで集塵されたダストを、2パス目開始前に排出するなどして2パス以降のダストと独立して回収するようにすることで、再利用可能な1パス目のダストを他のダストと混合させることなく、有効に再利用することが可能となる。
【0120】
また、一般に焙焼炉を用いた熱再生では、鋳型砂Sを800℃程度まで加熱する必要があるが、本実施の形態の乾燥設備Dでは、鋳型砂Sを90℃以上105℃以下で加熱すればよいため、エネルギー消費量を抑えることができ、再生に必要なコストを削減することが可能となる。
【0121】
このように、第1の実施の形態に係る鋳型砂の再生方法及び再生設備によれば、生型鋳造設備から排出される水分及び磁着物が含まれた鋳型砂を乾式の機械再生のみで再生することができる。その結果、湿式再生を使用する場合に発生する廃水の中和処理・不純物の分離処理が不要となり、熱再生を使用する場合の多大なエネルギー消費量を削減することができ、再生設備を小型化かつ簡略化することができるので、砂再生に要する効率を上げ、砂再生にかかるコストを削減することが可能となる。
【0122】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態では、乾燥設備での乾燥工程、及び/又は、磁選設備での磁選工程を経た鋳型砂に対して、再度、鋳型砂に含まれる水分量、及び、磁着物量を測定し、それぞれの数値が管理値以下になるまで、乾燥設備での乾燥工程、及び/又は、磁選設備での磁選工程を繰り返す。第2の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。本実施の形態に係る鋳型砂の再生方法及び再生設備のうち、第1の実施の形態と異なる部分を説明する。他の部分については第1の実施の形態と同様であるので、上述した説明を参照し、ここでの説明を省略する。
【0123】
図15は、第2の実施の形態に係る鋳型砂の再生設備の概略構成図である。再生設備11は、乾燥設備D、磁選設備M、切り替え設備V1、切り替え設備V2、バイパス系BP1、バイパス系BP2、乾式の機械再生設備R、分級設備C、切り替え設備V3、送還系PL1、集塵設備DC、切り替え設備V4、及び、送還系PL2を備えている。
【0124】
磁選設備Mと乾式の機械再生設備Rとの間には、乾燥設備Dでの乾燥工程、及び/又は、磁選設備Mでの磁選工程を経た鋳型砂Sを機械再生設備Rへそのまま送るか、鋳型砂Sを切り替え設備V1の手前に戻して再度、乾燥処理、及び/又は、磁選処理をするかを切り替えるための切り替え設備V4が備えられており、切り替え設備V4には、鋳型砂Sを乾燥設備D、及び/又は、磁選設備Mへ戻すための送還系PL2が接続している。鋳型砂Sに含まれる水分量、及び、磁着物量を測定し、それぞれの数値が管理値以下になっていない場合には、鋳型砂Sを乾燥設備D、及び/又は、磁選設備Mへ戻すことが可能な構成となっている。
【0125】
(再生方法)
次に、第2の実施の形態に係る再生設備11を用いた鋳型砂の再生方法について説明する。
図16は、第2の実施の形態に係る再生設備11を用いた鋳型砂の再生方法を示すフローチャートである。本再生方法に用いられる鋳型砂Sは、前述した様に、水分が含まれている可能性、及び/又は、磁着物が付着している可能性がある。
【0126】
初めに、鋳型砂Sに含まれる水分量、及び、磁着物量を測定する(第一工程)。鋳型砂Sに含まれる水分量の測定値が管理値を越えていた場合、乾燥設備Dで鋳型砂Sを乾燥させる(第二工程)。ここで、水分量の管理値は、0.5%であることが好ましい。鋳型砂Sに含まれる磁着物量の測定値が管理値を越えていた場合、磁選設備Mで鋳型砂Sを磁選する(第二工程)。ここで、磁着物量の管理値は、5.0%であることが好ましい。鋳型砂Sに含まれる水分量の測定値が管理値を越えていなかった場合、鋳型砂Sは乾燥設備Dで乾燥する必要がないため、切り替え設備V1を用いて鋳型砂Sがバイパス系BP1を通過するように設定する(第二工程)。鋳型砂Sに含まれる磁着物量の測定値が管理値を越えていなかった場合、鋳型砂Sは磁選設備Mで磁選する必要がないため、切り替え設備V2を用いて鋳型砂Sがバイパス系BP2を通過するように設定する(第二工程)。
【0127】
鋳型砂Sに含まれる水分量、及び、磁着物量の測定値が管理値を越えていなかった場合、鋳型砂Sは乾燥設備Dで乾燥する必要、及び、磁選設備Mで磁選する必要がないため、切り替え設備V1を用いて鋳型砂Sがバイパス系BP1を通過するように設定し、切り替え設備V2を用いて鋳型砂Sがバイパス系BP2を通過するように設定する(第二工程)。なお、このように、バイパス系BP1とバイパス系BP2の両方を通過する経路を、バイパス系BP3と呼ぶ。
【0128】
次に、鋳型砂Sに含まれる水分量、及び、磁着物量を再度測定する(第三工程)。鋳型砂Sに含まれる水分量の測定値が管理値を越えていた場合、及び/又は、鋳型砂Sに含まれる磁着物量の測定値が管理値を越えていた場合、再度、第二工程(乾燥工程、及び/又は、磁選工程)に鋳型砂Sを通過させるため、切り替え設備V4を用いて鋳型砂Sが送還系PL2を経由して切り替え設備V1の手前へ戻るように設定する(第三工程)。そして、鋳型砂Sは、乾燥設備D、及び/又は、磁選設備Mを再び通過する。本工程は、鋳型砂Sに含まれる水分量、及び、磁着物量の測定値が管理値以下になるまで繰り返される。鋳型砂Sに含まれる水分量、及び、磁着物量の測定値が管理値以下の場合、切り替え設備V4を用いて鋳型砂Sが機械再生設備Rへ送られるように設定し、鋳型砂Sは乾式の機械再生設備Rへ送られる(第三工程)。
【0129】
次に、乾式の機械再生設備Rで鋳型砂Sの再生を行う(第四工程)。再生処理により、鋳型砂Sの強熱減量は減少する。次に、再生された鋳型砂Sを比重分級法の分級設備Cで分級する(第五工程)。分級処理により、鋳型砂Sの全粘土分は減少する。
【0130】
第四工程(再生処理)、及び、第五工程(分級処理)を経た鋳型砂S(再生砂)は、強熱減量、及び、全粘土分がともに減少しているが、最終的には、それぞれの数値を管理値以下にする必要がある。従って、鋳型砂Sの強熱減量、及び、全粘土分が管理値を越えている場合、再度、第四工程(再生処理)、及び、第五工程(分級処理)に鋳型砂Sを通過させるため、切り替え設備V3を用いて鋳型砂Sが送還系PL1を経由して乾式の機械再生設備Rへ戻るように設定する。
【0131】
一方、鋳型砂Sの強熱減量、及び、全粘土分が管理値以下になっている場合、切り替え設備V3を用いて鋳型砂Sが再生設備1から排出されるように設定する。これにより再生処理は終了する。ここで、強熱減量の管理値は、0.6%であることが好ましい。また、全粘土分の管理値は、0.6%であることが好ましい。
【0132】
このように、第2の実施の形態に係る鋳型砂の再生方法及び再生設備によれば、鋳型砂に含まれる水分量、及び、磁着物量が管理値以下になるまで、乾燥設備での乾燥工程、及び/又は、磁選設備Mでの磁選工程を繰り返すことができるので、鋳型砂に含まれる水分量、及び、磁着物量を確実に管理値以下にすることが可能となる。
【0133】
(第3の実施の形態)
第1の実施の形態では、生型鋳造設備から排出される鋳型砂は、水分が含まれている可能性、及び/又は、磁着物が付着している可能性がある砂に対する再生方法及び再生設備について説明したが、第3の実施の形態では、生型鋳造設備から排出される様々な種類の鋳型砂Sを一度に再生する方法及び再生設備について説明する。第3の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。本実施の形態に係る鋳型砂の再生方法及び再生設備のうち、第1の実施の形態と異なる部分を説明する。他の部分については第1の実施の形態と同様であるので、上述した説明を参照し、ここでの説明を省略する。
【0134】
図17は、第3の実施の形態に係る鋳型砂の再生設備の概略構成図である。再生設備21は、オーバーフロー砂回収設備PO、乾燥設備D、オーバーフロー砂異物除去設備IO、オーバーフロー砂貯蔵槽SSO、製品付着砂回収設備PS、製品付着砂異物除去設備IS、磁選設備M、製品付着砂貯蔵槽SSS、主型中子砂混合砂回収設備PL、解砕設備L、主型中子混合砂異物除去設備IL、主型中子混合砂貯蔵槽SSL、砂塊及び砂回収設備PC、解砕設備L、砂塊及び砂異物除去設備IC、砂塊及び砂貯蔵槽SSC、砂切り出し/配合設備F、乾式の機械再生設備R、分級設備C、切り替え設備V3、送還系PL1、及び、集塵設備DCを備えている。
【0135】
オーバーフロー砂回収設備POは、生型鋳造設備の砂処理設備(図示せず)から排出されたオーバーフロー砂(鋳型砂S)を回収する。オーバーフロー砂回収設備POの構造としては、例えば、生型鋳造設備の砂搬送系を流れる一定流量以上の回収砂をスクレーパーでかき取り、砂搬送系から分離回収するものが挙げられる。乾燥設備Dは、オーバーフロー砂回収設備POに回収されているオーバーフロー砂を乾燥させる。オーバーフロー砂異物除去設備IOは、乾燥後のオーバーフロー砂の異物を除去する。オーバーフロー砂異物除去設備IOは、回転式篩や振動式篩など、公知の構造の設備を使用することができる。オーバーフロー砂貯蔵槽SSOは、異物除去後のオーバーフロー砂を貯蔵する。オーバーフロー砂貯蔵槽SSOは、公知の構造を有するサンドホッパーを使用することができる。
【0136】
製品付着砂回収設備PSは、製品付着砂(鋳型砂S)を回収する。製品付着砂回収設備PSの構造としては、例えば、ショットブラストから排出されたショット玉及び製品付着砂を、比重分級して製品付着砂を取り出す構造のものが挙げられる。製品付着砂異物除去設備ISは、製品付着砂の異物を除去する。製品付着砂異物除去設備ISの構造としては、回転式篩や振動式篩など、公知の構造の設備を使用することができる。磁選設備Mは、異物除去後の製品付着砂を磁選し、製品付着砂から磁着物を除去する。製品付着砂貯蔵槽SSSは、磁着物除去後の製品付着砂を貯蔵する。製品付着砂貯蔵槽SSSは、公知の構造を有するサンドホッパーを使用することができる。
【0137】
主型中子砂混合砂回収設備PLは、主型中子砂混合砂(鋳型砂S)を回収する。主型中子砂混合砂回収設備PLの構造としては、例えば、鋳型から取り出した鋳物製品に打撃若しくは振動を加えて鋳物製品に付着した主型中子混合砂を剥落させ回収する方式のものが挙げられる。解砕設備Lは、主型中子混合砂を解砕する。解砕設備Lの構造としては、例えば、主型中子混合砂に振動を加えて砂粒を摩擦させることで解砕するものが挙げられる。主型中子混合砂異物除去設備ILは、主型中子混合砂の異物を除去する。主型中子混合砂異物除去設備ILは、回転式篩や振動式篩など、公知の構造の設備を使用することができる。主型中子混合砂貯蔵槽SSLは、異物除去後の主型中子混合砂を貯蔵する。主型中子混合砂貯蔵槽SSLは、公知の構造を有するサンドホッパーを使用することができる。
【0138】
砂塊及び砂回収設備PCは、中子砂落とし工程から排出された砂塊及び砂(鋳型砂S)を回収する。砂塊及び砂回収設備PCは、例えば、鋳物製品内に残留した中子に打撃若しくは振動を加えて鋳物製品内に残った中子を剥落させ回収する方式のものが挙げられる。解砕設備Lは、砂塊及び砂を解砕する。解砕設備Lの構造としては、例えば、砂塊及び砂に振動を加えて砂粒を摩擦させることで解砕するものが挙げられる。砂塊及び砂異物除去設備ICは、砂塊及び砂の異物を除去する。砂塊及び砂異物除去設備ICは、回転式篩や振動式篩など、公知の構造の設備を使用することができる。砂塊及び砂貯蔵槽SSCは、異物除去後の砂塊及び砂を貯蔵する。砂塊及び砂貯蔵槽SSCは、公知の構造を有するサンドホッパーを使用することができる。
【0139】
砂切り出し/配合設備Fは、オーバーフロー砂貯蔵槽SSO、製品付着砂貯蔵槽SSS、主型中子混合砂貯蔵槽SSL、及び、砂塊及び砂貯蔵槽SSCに貯蔵された砂(鋳型砂S)を、その割合が常に一定となるように切り出して(取り出して)、これらの砂を配合する。砂切り出し/配合設備Fの構造としては、例えば、貯蔵工程の後に定量切り出し用スライドゲートを設け、スライドゲートから排出された砂を振動フィーダー若しくはスクリューコンベアで配合するものが挙げられる。
【0140】
乾式の機械再生設備Rは、配合された鋳型砂Sの表面に付着した炭化物、焼結物、金属化合物などを剥離し、鋳型砂Sの再生を行う。分級設備Cは、再生された鋳型砂Sを比重分級方式により分級し、回収すべき砂粒と集塵すべき炭化物、焼結物、金属化合物などの微粉を分離する。分級設備Cの後には、分級された再生砂(鋳型砂S)を再生設備21から排出するか、分級された再生砂を乾式の再生設備Rの投入口に戻して再度再生処理をするかを切り替えるための切り替え設備V3が備えられており、切り替え設備V3には、分級された再生砂を乾式の機械再生設備Rへ戻すための送還系PL1が接続している。集塵設備DCは、分級設備Cと接続されており、分級設備Cで発生したダスト(微粉)を集塵する。
【0141】
(解砕設備L)
次に、本鋳型砂の再生設備21を構成する、解砕設備Lについて説明する。
図18は、解砕設備Lの正面図であり、
図19は、解砕設備Lの平面図であり、
図20は、
図19におけるA−A断面図である。解砕設備Lは、上面が解放された円筒形の容器L1が、支柱L2に、例えばコイルバネなどの弾性体L3を介して支持されている。容器L1の上部は漏斗状に開口したシュートL4を有しており、さらに、容器L1及びシュートL4の外縁には、弾性体L3を支持する台座L5が複数配設されている。容器L1の下面には取付板L6を介して振動機L7が取り付けられている。容器L1の内面には、スリットL8が穿設されたライナーL9が全周にわたって、容器L1の内面に取り付けられた取付座L10a、L10bに、螺子L11a、L11bにより螺接されている。容器L1の側面には排出口L12が取り付けられており、さらにライナーL9上に滞留した異物を取り出すための扉L13がハンドルL14により固定されている。
【0142】
解砕設備Lを用いる解砕方法を以下に説明する。まず、容器L1に主型中子混合砂、または、砂塊及び砂を投入する。次に振動機L7を作動させ、ライナーL9上の主型中子混合砂、または、砂塊及び砂同士による衝突及び摩擦、乃至主型中子混合砂、または、砂塊及び砂とライナーL9との衝突及び摩擦により、解砕を行う。解砕されスリットL8の幅よりも細かくなった砂粒は、スリットL8を通過してライナーL9と容器L1との間の空間を移動し、排出口L12を通じて解砕設備L外に排出される。
【0143】
なお、スリットL8の幅は、広すぎると解砕が不十分な主型中子混合砂、または、砂塊及び砂が排出されたり、更には異物が排出されたりする恐れがある。一方で、狭すぎると解砕された砂粒の排出が進まず、容器L1内に滞留したままとなる恐れがある。そのため、スリットL8の幅は、2mm〜5mmの間であることが望ましい。加えて、ライナーL9上の主型中子混合砂、または、砂塊及び砂を効率よく解砕しかつ排出するためには、容器L1の円周に沿ってこれらを移動させるような振動を発生させることが望ましい。そのためには、振動機L7をその中心線が設置床面に対して略45°の角度となるように設置することが望ましい。さらには、
図18では1台の振動機L7を使用しているが、代わりに2台の振動機L7を、取付板L6の左右にそれぞれの中心線がX字を描くように取り付ければ、2台の振動機が発生させる垂直方向の振動の位相が逆になることで垂直方向の振動が打ち消され、容器L1の円周方向の振動のみとなるため、このような取り付け方法を採用しても良い。_
【0144】
(再生方法)
次に、第3の実施の形態に係る再生設備21を用いた鋳型砂の再生方法について説明する。
図22は、第3の実施の形態に係る再生設備21を用いた鋳型砂の再生方法を示すフローチャートである。
【0145】
生型鋳造設備から排出される鋳型砂Sの内、砂処理設備から排出されたオーバーフロー砂は、オーバーフロー砂回収設備POに回収される(第一工程の1)。
【0146】
第1の実施の形態で説明したように、オーバーフロー砂は、砂粒表面に、ベントナイトと生型添加剤が付着し、さらに、砂粒表面に、ベントナイトが焼結してできるオーリティクスと呼ばれる多孔質の焼結層が形成されている。ベントナイトと生型添加剤が砂粒表面に残留したままでは、生型砂の通気度と充填性を低下させる。また、生型添加剤がガス化すると、鋳物のガス欠陥の原因ともなる。さらに、オーリティクスが過剰に残留すると、鋳型の充填性を低下させると同時に耐火度を下げる原因ともなる。従って、オーバーフロー砂では、砂粒表面のベントナイトと生型添加剤を除去し、さらに砂粒表面のオーリティクスを剥離し、除去することが必要である。
【0147】
次に、オーバーフロー砂を乾燥設備Dで水分量が管理値以下になるまで乾燥させる(第二工程の1)。ここで、水分量の管理値は、0.5%であることが好ましい。乾燥は、第1の実施の形態で説明した方法を用いて行うことが可能である。次に、オーバーフロー砂異物除去設備IOで、乾燥後のオーバーフロー砂の異物を除去する(第二工程の1)。最後に、異物除去後のオーバーフロー砂を、オーバーフロー砂貯蔵槽SSOに貯蔵する(第二工程の1)。
【0148】
生型鋳造設備から排出される鋳型砂Sの内、製品付着砂は、製品付着砂回収設備PSに回収される(第一工程の2)。
【0149】
第1の実施の形態で説明したように、製品付着砂は、非常に苛烈な熱履歴を受けているためにベントナイトが焼結してオーリティクスに変化している。それ以外の生型添加剤や中子粘結剤も多くの部分がガス化して揮発しているが、一部は炭化した状態で砂粒表面に残留している。それ以上に重要なのは、この砂には磁着物(金属と砂粒が溶着した状態の砂粒)が多く存在することである。磁着物が過剰な砂が鋳型に混入すると鋳物の焼き付き欠陥の原因となるとともに、中子に使用した場合に中子用粘結剤の強度発現不良の原因ともなる。従って、製品付着砂では、磁着物を磁選により除去した上で、表面の炭化物を除去することが必要である。
【0150】
次に、製品付着砂異物除去設備ISで、製品付着砂の異物を除去する(第二工程の2)。次に、異物除去後の製品付着砂を磁選設備Mで製品付着砂の磁着物量が管理値以下になるまで磁選する(第二工程の2)。ここで、磁着物量の管理値は、5.0%であることが好ましい。磁選は、第1の実施の形態で説明した方法を用いて行うことが可能である。最後に、磁選後の製品付着砂を、製品付着砂貯蔵槽SSSに貯蔵する(第二工程の2)。
【0151】
生型鋳造設備から排出される鋳型砂Sの内、主型中子混合砂は、主型中子砂混合砂回収設備PLに回収される(第一工程の3)。
【0152】
主型中子混合砂は、溶湯の熱により高温にさらされた状態となるので、水分は非常に少ない。また、ベントナイトはほぼ焼結してオーリティクス化している。さらに、炭素質の生型添加剤や中子の有機系粘結剤は揮発しているか、あるいは炭化して砂粒表面に付着している。オーリティクスが過剰となった場合の問題点は上述のとおりであるが、砂粒表面に付着した炭化物も注湯の際ガス欠陥の原因となったり、中子砂に使用した際に強度発現不良が発生したりするなどの問題がある。従って、主型中子混合砂も、これらの残留物を再生処理で除去することが必要である。
【0153】
次に、解砕設備Lで、主型中子混合砂を解砕する(第二工程の3)。次に、主型中子混合砂異物除去設備ILで、解砕後の主型中子混合砂の異物を除去する(第二工程の3)。最後に、異物除去後の主型中子混合砂を、主型中子混合砂貯蔵槽SSLに貯蔵する(第二工程の3)。
【0154】
生型鋳造設備から排出される鋳型砂Sの内、中子砂落とし工程から排出された砂塊及び砂は、砂塊及び砂回収設備PCに回収される(第一工程の4)。
【0155】
中子砂落とし工程から排出された砂塊及び砂は、生型砂の成分はほとんど含有していないが、中子粘結剤の残留物の一部が砂粒表面に付着している。これらの残留物も上述のとおり注湯の際ガス欠陥の原因となったり、中子砂に使用した際に強度発現不良が発生したりするなどの問題がある。従って、中子砂落とし工程から排出された砂塊及び砂も、これらの残留物を再生処理で除去することが必要である。
【0156】
次に、解砕設備Lで、中子砂落とし工程から排出された砂塊及び砂を解砕する(第二工程の4)。次に、砂塊及び砂異物除去設備IC、解砕後の砂塊及び砂の異物を除去する(第二工程の4)。最後に、異物除去後の砂塊及び砂を、砂塊及び砂貯蔵槽SSCに貯蔵する(第二工程の4)。
【0157】
オーバーフロー砂貯蔵槽SSO、製品付着砂貯蔵槽SSS、主型中子混合砂貯蔵槽SSL、及び、砂塊及び砂貯蔵槽SSCに貯蔵された砂(鋳型砂S)は、砂切り出し/配合設備Fによりこれらの貯蔵槽から切り出される(取り出される)砂(鋳型砂S)の割合が常に一定となるよう砂を切り出して(取り出して)配合される(第三工程)。
【0158】
次に、乾式の機械再生設備Rで配合された鋳型砂Sの表面に付着した炭化物、焼結物、金属化合物などを剥離し、鋳型砂Sの再生を行う(第四工程)。再生は、第1の実施の形態で説明した方法を用いて行うことが可能である。再生処理により、鋳型砂Sの強熱減量は減少する。
【0159】
次に、再生された鋳型砂Sを比重分級法の分級設備Cで分級する(第五工程)。分級は、第1の実施の形態で説明した方法を用いて行うことが可能である。分級処理により、鋳型砂Sの全粘土分は減少する。
【0160】
第四工程(再生処理)、及び、第五工程(分級処理)を経た鋳型砂S(再生砂)は、強熱減量、及び、全粘土分がともに減少しているが、最終的には、それぞれの数値を管理値以下にする必要がある。従って、鋳型砂Sの強熱減量、及び、全粘土分が管理値を越えている場合、再度、第四工程(再生処理)、及び、第五工程(分級処理)に鋳型砂Sを通過させるため、切り替え設備V3を用いて鋳型砂Sが送還系PL1を経由して乾式の機械再生設備Rへ戻るように設定する。そして、鋳型砂Sは、乾式の機械再生設備R、及び、分級設備Cを再び通過する。本工程は、鋳型砂Sの強熱減量、及び、全粘土分の測定値が管理値以下になるまで繰り返される。
【0161】
一方、鋳型砂Sの強熱減量、及び、全粘土分が管理値以下になっている場合、切り替え設備V3を用いて鋳型砂Sが再生設備1から排出されるように設定し、鋳型砂Sは再生設備1から排出される。これにより再生処理は終了する。ここで、強熱減量の管理値は、0.6%であることが好ましい。また、全粘土分の管理値は、0.6%であることが好ましい。
【0162】
集塵設備DCは、分級設備Cと接続されており、分級設備Cで発生したダスト(微粉)を集塵することが可能となっている。ここで、1パス目で発生するダストは主に砂粒表面に付着していたベントナイト及び生型添加剤である。そのため、これらのダストはベントナイト及び生型添加剤の代替物として混練工程で再利用することが可能である。したがって、この工程で発生するダストはそれ以降のパスで集塵されるダストとは独立に回収してもよい。例えば、1パス目に集塵設備DCで集塵されたダストを、2パス目開始前に排出するなどして2パス以降のダストと独立して回収するようにすることで、再利用可能な1パス目のダストを他のダストと混合させることなく、有効に再利用することが可能となる。
【0163】
本実施の形態に用いられる、中子に使用される造型法とは、例えば、フラン樹脂酸硬化自硬性プロセス、フラン樹脂SO
2ガス硬化型プロセス、フラン樹脂熱硬化型プロセス、フェノール樹脂熱硬化型プロセス、フェノール樹脂過熱水蒸気硬化型プロセス、フェノール樹脂エステル硬化型自硬性プロセス、フェノール樹脂酸硬化型自硬性プロセス、フェノール樹脂蟻酸メチルガス硬化型プロセス、フェノール樹脂CO
2ガス硬化型プロセス、フェノール樹脂ウレタン化反応自硬性プロセス、フェノール樹脂ウレタン化反応アミンガス硬化プロセス、油変成アルキド樹脂ウレタン化反応自硬性プロセス、ポリオール樹脂ウレタン化反応自硬性プロセス、水ガラスフェロシリコン自硬性プロセス、水ガラスダイカルシウムシリケート自硬性プロセス、水ガラスエステル自硬性プロセス、水ガラスCO
2ガス硬化プロセスが挙げられる。なお、上述した水ガラス各プロセスは、加熱を行わず機械再生のみで、非晶質ケイ酸塩水和物及び金属酸化物を、許容される残留量まで減少させられることが経験上明らかであるので、加熱は必要としない。
【0164】
このように、第3の実施の形態に係る鋳型砂の再生方法及び再生設備によれば、生型鋳造設備から排出される様々な種類の鋳型砂を乾式の機械再生のみで再生することができる。その結果、湿式再生を使用する場合に発生する廃水の中和処理・不純物の分離処理が不要となり、熱再生を使用する場合の多大なエネルギー消費量を削減することができ、再生設備を小型化かつ簡略化することができるので、砂再生に要する効率を上げ、砂再生に係るコストを削減することが可能となる。
【0165】
また、第3の実施の形態に係る鋳型砂の再生方法及び再生設備によれば、生型鋳造設備各所から排出されるそれぞれ性状の異なる鋳型砂を分離した状態で前処理を行い、常に一定の比率となるよう切り出しと配合を行った上で乾式の機械再生を行い、さらに微粉を除去するので、常に再生砂の性状を一定に保つことが可能となる。従って、再生砂をそのまま再利用することが可能となる。
【0166】
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態では、生型鋳造設備で使用される中子が加熱脱水硬化型水ガラスプロセスの場合について説明する。第4の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。本実施の形態に係る鋳型砂の再生方法及び再生設備のうち、第3の実施の形態と異なる部分を説明する。他の部分については第3の実施の形態と同様であるので、上述した説明を参照し、ここでの説明を省略する。
【0167】
図22は、第4の実施の形態に係る鋳型砂の再生設備31の概略構成図である。再生設備31は、オーバーフロー砂回収設備PO、乾燥設備D、オーバーフロー砂異物除去設備IO、オーバーフロー砂貯蔵槽SSO、製品付着砂回収設備PS、製品付着砂異物除去設備IS、磁選設備M、製品付着砂貯蔵槽SSS、主型中子砂混合砂回収設備PL、解砕設備L、主型中子混合砂異物除去設備IL、加熱設備TR、主型中子混合砂貯蔵槽SSL、砂塊及び砂回収設備PC、解砕設備L、砂塊及び砂異物除去設備IC、加熱設備TR、砂塊及び砂貯蔵槽SSC、砂切り出し/配合設備F、乾式の機械再生設備R、分級設備C、切り替え設備V3、送還系PL1、及び、集塵設備DCを備えている。
【0168】
加熱設備TRは、鋳型砂Sを400℃以上に加熱する。本実施の形態では、加熱設備TRは2つ設けられている。その1つは、主型中子混合砂異物除去設備ILと主型中子混合砂貯蔵槽SSLの間に設けられ、異物除去後の主型中子混合砂を加熱する。もう1つは、砂塊及び砂異物除去設備ICと砂塊及び砂貯蔵槽SSCの間に設けられ、異物除去後の砂塊及び砂を加熱する。
【0169】
生型鋳造設備で使用される中子が加熱脱水硬化型水ガラスプロセスの場合、水ガラスの主成分である非晶質ケイ酸塩水和物及び金属酸化物がわずかでも残留していると、中子砂に使用した際に著しい強度発現不良が発生したりするなどの問題を発生させる。したがって、この場合には、主型中子混合砂、及び中子砂落とし工程から排出された砂塊及び砂を加熱することにより、それらに残留している非晶質ケイ酸塩水和物を加熱してガラス化させると同時に、金属酸化物をその内部に封止する。その後に、乾式の機械再生を行うので、鋳型の強度発現に対して有害となる非晶質ケイ酸塩水和物及び金属酸化物を、無害化させることが可能となる。
【0170】
(再生方法)
次に、第4の実施の形態に係る再生設備31を用いた鋳型砂の再生方法について説明する。
図23は、第4の実施の形態に係る再生設備を用いた鋳型砂の再生方法を示すフローチャートである。
【0171】
生型鋳造設備から排出される鋳型砂Sの内、砂処理設備から排出されたオーバーフロー砂は、オーバーフロー砂回収設備POに回収される(第一工程の1)。次に、オーバーフロー砂を乾燥設備Dで水分量が管理値以下になるまで乾燥させる(第二工程の1)。ここで、水分量の管理値は、0.5%であることが好ましい。次に、オーバーフロー砂異物除去設備IOで、乾燥後のオーバーフロー砂の異物を除去する(第二工程の1)。最後に、異物除去後のオーバーフロー砂を、オーバーフロー砂貯蔵槽SSOに貯蔵する(第二工程の1)。
【0172】
生型鋳造設備から排出される鋳型砂Sの内、製品付着砂は、製品付着砂回収設備PSに回収される(第一工程の2)。次に、製品付着砂異物除去設備ISで、製品付着砂の異物を除去する(第二工程の2)。次に、異物除去後の製品付着砂を磁選設備Mで製品付着砂の磁着物量が管理値以下になるまで磁選する(第二工程の2)。ここで、磁着物量の管理値は、5.0%であることが好ましい。最後に、磁選後の製品付着砂を、製品付着砂貯蔵槽SSSに貯蔵する(第二工程の2)。
【0173】
生型鋳造設備から排出される鋳型砂Sの内、主型中子混合砂は、主型中子砂混合砂回収設備PLに回収される(第一工程の3)。次に、解砕設備Lで、主型中子混合砂を解砕する(第二工程の3)。次に、主型中子混合砂異物除去設備ILで、解砕後の主型中子混合砂の異物を除去する(第二工程の3)。次に、異物除去後の主型中子混合砂を400℃以上に加熱する(第二工程の3)。最後に、加熱後の主型中子混合砂を、主型中子混合砂貯蔵槽SSLに貯蔵する(第二工程の3)。
【0174】
生型鋳造設備から排出される鋳型砂Sの内、中子砂落とし工程から排出された砂塊及び砂は、砂塊及び砂回収設備PCに回収される(第一工程の4)。次に、解砕設備Lで、中子砂落とし工程から排出された砂塊及び砂を解砕する(第二工程の4)。次に、砂塊及び砂異物除去設備ICで、解砕後の砂塊及び砂の異物を除去する(第二工程の4)。次に、異物除去後の砂塊及び砂を400℃以上に加熱する(第二工程の4)。最後に、加熱後の砂塊及び砂を、砂塊及び砂貯蔵槽SSCに貯蔵する(第二工程の4)。
【0175】
オーバーフロー砂貯蔵槽SSO、製品付着砂貯蔵槽SSS、主型中子混合砂貯蔵槽SSL、及び、砂塊及び砂貯蔵槽SSCに貯蔵された砂は、砂切り出し/配合設備Fによりこれらの貯蔵槽から切り出される砂の割が常に一定となるよう砂を切り出して配合される(第三工程)。
【0176】
次に、乾式の機械再生設備Rで配合された鋳型砂Sの表面に付着した炭化物、焼結物、金属化合物などを剥離し、鋳型砂Sの再生を行う(第四工程)。次に、再生された鋳型砂Sを比重分級法の分級設備Cで分級する(第五工程)。鋳型砂Sの強熱減量、及び、全粘土分が管理値を越えている場合、再度、第四工程(再生処理)、及び、第五工程(分級処理)に鋳型砂Sを通過させるため、切り替え設備V3を用いて鋳型砂Sが送還系PL1を経由して乾式の機械再生設備Rへ戻るように設定する。
【0177】
一方、鋳型砂Sの強熱減量、及び、全粘土分が管理値以下になっている場合、切り替え設備V3を用いて鋳型砂Sが再生設備1から排出されるように設定し、鋳型砂Sは再生設備1から排出される。これにより再生処理は終了する。ここで、強熱減量の管理値は、0.6%であることが好ましい。また、全粘土分の管理値は、0.6%であることが好ましい。
【0178】
このように、第4の実施の形態に係る鋳型砂の再生方法及び再生設備によれば、生型鋳造設備で使用される中子が加熱脱水硬化型水ガラスプロセスの場合でも、生型鋳造設備各所から排出される主型中子混合砂、及び、中子砂落とし工程から排出された砂塊及び砂を加熱し、それらに残留している非晶質ケイ酸塩水和物をガラス化させると同時に、金属酸化物をその内部に封止する。その後に、乾式の機械再生を行うので、鋳型の強度発現に対して有害となる非晶質ケイ酸塩水和物及び金属酸化物を、無害化させることが可能となる。
【0179】
(第5の実施の形態)
第5の実施の形態は、第1の実施の形態における再生設備R及び分級設備Cを、直列及び並列に複数配置する構成としたものである。第5の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。本実施の形態に係る鋳型砂の再生方法及び再生設備のうち、第1の実施の形態と異なる部分を説明する。他の部分については第1の実施の形態と同様であるので、上述した説明を参照し、ここでの説明を省略する。
【0180】
図24は、第5の実施の形態に係る鋳型砂の再生設備の概略構成図である。再生設備41は、乾燥設備D、磁選設備M、切り替え設備V1、切り替え設備V2、バイパス系BP1、バイパス系BP2、4つの乾式の機械再生設備R411、R412、R421、及び、R422、4つの分級設備C411、C412、C421、及び、C422、切り替え設備V3、送還系PL1、及び、2つの集塵設備DC、及び、DOを備えている。
【0181】
乾式の機械再生設備R411、R412、R421、及び、R422は、生型鋳造設備から排出される鋳型砂Sの表面に付着した炭化物、焼結物、金属化合物などを剥離し、鋳型砂Sの再生を行う。乾式の機械再生設備R411、R412、R421、及び、R422は、全て同一の機構を有するが、強熱減量を管理値以下にできる能力を有していればどのような方式であるかは問わない。
【0182】
分級設備C411、C412、C421、及び、C422は、再生された鋳型砂Sを比重分級方式により分級し、回収すべき砂粒と集塵すべき炭化物、焼結物、金属化合物などの微粉を分離する。分級設備C411、C412、C421及びC422は、全て同一の機構を有するが、再生された鋳型砂S内の全粘土分の量が管理値以下になるまで微粉を除去できる能力を有していればどのような方式であるかは問わない。
【0183】
バイパス系BP2の後ろに接続された乾式の機械再生設備R411は、分級設備C411、乾式の機械再生設備R412、及び分級設備C412と直列に接続され、その後ろで切り替え設備V3と接続している。同様に、バイパス系BP2の後ろに接続された乾式の機械再生設備R421は、分級設備C421、乾式の機械再生設備R422、及び、分級設備C422と直列に接続され、その後ろで切り替え設備V3と接続している。別の見方をすれば、乾式の機械再生設備R411、分級設備C411、乾式の機械再生設備R412、及び、分級設備C412の構成と、乾式の機械再生設備R421、分級設備C421、乾式の機械再生設備R422、及び、分級設備C422の構成は、バイパス系BP2と切り替え設備V3の間で並列に配置されている。
【0184】
分級設備C412、及び、C422の後には、分級された再生砂(鋳型砂S)を再生設備41から排出するか、分級された再生砂を乾式の再生設備R411、及び、R421の投入口に戻して再度再生処理をするかを切り替えるための切り替え設備V3が備えられており、切り替え設備V3には、分級された再生砂を乾式の機械再生設備R411、分級設備C411、乾式の機械再生設備R412、及び、分級設備C412の経路、及び、乾式の機械再生設備R421、分級設備C421、乾式の機械再生設備R422、及び、分級設備C422の経路へ戻すための送還系PL1が接続している。分級された再生砂の強熱減量と全粘土分とが管理値以下になっていない場合には、分級された再生砂を、乾式の機械再生設備R411、分級設備C411、乾式の再生設備R412、及び、分級設備C412の経路、及び、乾式の機械再生設備R421、分級設備C421、乾式の機械再生設備R422、及び、分級設備C422の経路へ戻すことが可能な構成となっている。
【0185】
集塵設備DCは、分級設備C411、及び、C421と接続されており、分級設備C411、及び、C421で発生したダスト(微粉)を集塵する。集塵設備DOは、分級設備C412、及び、C422と接続されており、分級設備C412、及び、C422で発生したダスト(微粉)を集塵する。
【0186】
(再生方法)
次に、第5の実施の形態に係る再生設備41を用いた鋳型砂の再生方法について説明する。
図25は、第5の実施の形態に係る再生設備41を用いた鋳型砂の再生方法を示すフローチャートである。本再生方法に用いられる鋳型砂Sは、第1の実施の形態で説明した様に、水分が含まれている可能性、及び/又は、磁着物が付着している可能性がある。
【0187】
初めに、鋳型砂Sに含まれる水分量、及び、磁着物量を測定する(第一工程)。鋳型砂Sに含まれる水分量の測定値が管理値を越えていた場合、乾燥設備Dで鋳型砂Sを乾燥させる(第二工程)。ここで、水分量の管理値は、0.5%であることが好ましい。鋳型砂Sに含まれる磁着物量の測定値が管理値を越えていた場合、磁選設備Mで鋳型砂Sを磁選する(第二工程)。ここで、磁着物量の管理値は、5.0%であることが好ましい。鋳型砂Sに含まれる水分量の測定値が管理値を越えていなかった場合、鋳型砂Sは乾燥設備Dで乾燥する必要がないため、切り替え設備V1を用いて鋳型砂Sがバイパス系BP1を通過するように設定する(第二工程)。鋳型砂Sに含まれる磁着物量の測定値が管理値を越えていなかった場合、鋳型砂Sは磁選設備Mで磁選する必要がないため、切り替え設備V2を用いて鋳型砂Sがバイパス系BP2を通過するように設定する(第二工程)。
【0188】
鋳型砂Sに含まれる水分量、及び、磁着物量の測定値が管理値を越えていなかった場合、鋳型砂Sは乾燥設備Dで乾燥する必要、及び、磁選設備Mで磁選する必要がないため、切り替え設備V1を用いて鋳型砂Sがバイパス系BP1を通過するように設定し、切り替え設備V2を用いて鋳型砂Sがバイパス系BP2を通過するように設定する(第二工程)。なお、このように、バイパス系BP1とバイパス系BP2の両方を通過する経路を、バイパス系BP3と呼ぶ。
【0189】
次に、乾式の機械再生設備R411、及び、R421で鋳型砂Sの再生をそれぞれ行う(第三工程)。再生処理により、鋳型砂Sの強熱減量は減少する。次に、再生された鋳型砂Sを比重分級法の分級設備C411、及び、C421で分級する(第四工程)。分級処理により、鋳型砂Sの全粘土分は減少する。
【0190】
次に、分級設備C411、及び、C421から集塵されるダストを集塵設備DCで単独に回収する。前述したように、最初(1パス目)で発生するダストは主に砂粒表面に付着していたベントナイト及び生型添加剤である。したがって、この工程で発生するダストを独立に回収することにより、これらのダストをベントナイト及び生型添加剤の代替物として鋳型砂の混練を行う際に再利用することが可能となる。
【0191】
次に、一度、再生処理を行ったそれぞれの鋳型砂Sを、乾式の機械再生設備R412、及び、R422で、再度、再生を行う(第三工程)。再度の再生処理により、鋳型砂Sの強熱減量は減少する。次に、再生された鋳型砂Sを比重分級法の分級設備C412、及び、C422で再度分級する(第四工程)。分級処理により、鋳型砂Sの全粘土分は減少する。
【0192】
2回の第三工程(再生処理)、及び、2回の第四工程(分級処理)を経た鋳型砂S(再生砂)は、強熱減量、及び、全粘土分がともに減少しているが、最終的には、それぞれの数値を管理値以下にする必要がある。従って、鋳型砂Sの強熱減量、及び、全粘土分が管理値を越えている場合、再度、第三工程(再生処理)、及び、第四工程(分級処理)に鋳型砂Sを通過させるため、切り替え設備V3を用いて鋳型砂Sが送還系PL1を経由して乾式の機械再生設備R411、及び、R421へ戻るように設定する。
【0193】
一方、2回の第三工程(再生処理)、及び、2回の第四工程(分級処理)によって、鋳型砂Sの強熱減量、及び、全粘土分が管理値以下になっている場合、切り替え設備V3を用いて鋳型砂Sが再生設備1から排出されるように設定する。これにより再生処理は終了する。ここで、強熱減量の管理値は、0.6%であることが好ましい。また、全粘土分の管理値は、0.6%であることが好ましい。
【0194】
なお、集塵設備DOは、分級設備C412、及び、C422で発生したダスト、及び、分級設備C411、及び、C421で2回目以降に発生したダストを集塵する。
【0195】
このように、第5の実施の形態に係る鋳型砂の再生方法及び再生設備によれば、異なる機構を持った再生設備を組み合わせて構成する必要がなくなり、処理量と強熱減量及び全粘土分の管理値に合わせて容易に再生設備の構成を決定することが可能となる。
【0196】
また、第5の実施の形態に係る鋳型砂の再生方法及び再生設備によれば、処理量及び必要とされる処理能力など工程に対する負荷の変動に応じて適宜不要な工程を停止できるので、第1の実施の形態よりも柔軟に負荷変動に対応することが可能となる。
【0197】
また、第5の実施の形態に係る鋳型砂の再生方法及び再生設備によれば、2回の再生処理、及び、2回の分級処理を一度に行うことができるので、切り替え設備を用いて鋳型砂を、再生処理、及び、分級処理に戻す回数を減らすことが可能となる。
【0198】
また、第5の実施の形態に係る鋳型砂の再生方法及び再生設備によれば、生型鋳造設備から排出される水分及び磁着物が含まれた鋳型砂を乾式の機械再生のみで再生することができる。その結果、湿式再生を使用する場合に発生する廃水の中和処理・不純物の分離処理が不要となり、熱再生を使用する場合の多大なエネルギー消費量を削減することができ、再生設備を小型化かつ簡略化することができるので、砂再生に要する効率を上げ、砂再生にかかるコストを削減することが可能となる。
【0199】
(第6の実施の形態)
第6の実施の形態は、第2の実施の形態における再生設備R及び分級設備Cを、直列及び並列に複数配置する構成としたものである。第6の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。本実施の形態に係る鋳型砂の再生方法及び再生設備のうち、第2の実施の形態と異なる部分を説明する。他の部分については第2の実施の形態と同様であるので、上述した説明を参照し、ここでの説明を省略する。
【0200】
図26は、第6の実施の形態に係る鋳型砂の再生設備の概略構成図である。再生設備51は、乾燥設備D、磁選設備M、切り替え設備V1、切り替え設備V2、バイパス系BP1、バイパス系BP2、4つの乾式の機械再生設備R411、R412、R421、及び、R422、4つの分級設備C411、C412、C421、及び、C422、切り替え設備V3、送還系PL1、及び、2つの集塵設備DC、DO切り替え設備V4、及び、送還系PL2を備えている。
【0201】
乾式の機械再生設備R411、R412、R421、及び、R422は、生型鋳造設備から排出される鋳型砂Sの表面に付着した炭化物、焼結物、金属化合物などを剥離し、鋳型砂Sの再生を行う。乾式の機械再生設備R411、R412、R421、及び、R422は、全て同一の機構を有するが、強熱減量を管理値以下にできる能力を有していればどのような方式であるかは問わない。
【0202】
分級設備C411、C412、C421、及び、C422は、再生された鋳型砂Sを比重分級方式により分級し、回収すべき砂粒と集塵すべき炭化物、焼結物、金属化合物などの微粉を分離する。分級設備C411、C412、C421、及び、C422は、全て同一の機構を有するが、分級設備Cは、再生された鋳型砂S内の全粘土分の量が管理値以下になるまで微粉を除去できる能力を有していればどのような方式であるかは問わない。
【0203】
切り替え設備V4の後ろに接続された乾式の機械再生設備R411は、分級設備C411、乾式の機械再生設備R412、及び分級設備C412と直列に接続され、その後ろで切り替え設備V3と接続している。同様に、切り替え設備V4の後ろに接続された乾式の機械再生設備R421は、分級設備C421、乾式の機械再生設備R422、及び、分級設備C422と直列に接続され、その後ろで切り替え設備V3と接続している。別の見方をすれば、乾式の機械再生設備R411、分級設備C411、乾式の機械再生設備R412、及び、分級設備C412の構成と、乾式の機械再生設備R421、分級設備C421、乾式の機械再生設備R422、及び、分級設備C422の構成は、切り替え設備V4と切り替え設備V3の間で並列に配置されている。
【0204】
分級設備C412、及び、C422の後には、分級された再生砂(鋳型砂S)を再生設備41から排出するか、分級された再生砂を乾式の再生設備R411、及び、R421の投入口に戻して再度再生処理をするかを切り替えるための切り替え設備V3が備えられており、切り替え設備V3には、分級された再生砂を乾式の機械再生設備R411、分級設備C411、乾式の機械再生設備R412、及び、分級設備C412の経路、及び、乾式の機械再生設備R421、分級設備C421、乾式の機械再生設備R422、及び、分級設備C422の経路へ戻すための送還系PL1が接続している。分級された再生砂の強熱減量と全粘土分とが管理値以下になっていない場合には、分級された再生砂を、乾式の機械再生設備R411、分級設備C411、再生設備R412、及び、分級設備C412の経路、及び、乾式の機械再生設備R421、分級設備C421、乾式の機械再生設備R422、及び、分級設備C422の経路へ戻すことが可能な構成となっている。
【0205】
集塵設備DCは、分級設備C411、及び、C421と接続されており、分級設備C411、及び、C421で発生したダスト(微粉)を集塵する。集塵設備DOは、分級設備C412、及び、C422と接続されており、分級設備C412、及び、C422で発生したダスト(微粉)を集塵する。
【0206】
(再生方法)
次に、第6の実施の形態に係る再生設備51を用いた鋳型砂の再生方法について説明する。
図27は、第6の実施の形態に係る再生設備51を用いた鋳型砂の再生方法を示すフローチャートである。本再生方法に用いられる鋳型砂Sは、第2の実施の形態で説明した様に、水分が含まれている可能性、及び/又は、磁着物が付着している可能性がある。
【0207】
初めに、鋳型砂Sに含まれる水分量、及び、磁着物量を測定する(第一工程)。鋳型砂Sに含まれる水分量の測定値が管理値を越えていた場合、乾燥設備Dで鋳型砂Sを乾燥させる(第二工程)。ここで、水分量の管理値は、0.5%であることが好ましい。鋳型砂Sに含まれる磁着物量の測定値が管理値を越えていた場合、磁選設備Mで鋳型砂Sを磁選する(第二工程)。ここで、磁着物量の管理値は、5.0%であることが好ましい。鋳型砂Sに含まれる水分量の測定値が管理値を越えていなかった場合、鋳型砂Sは乾燥設備Dで乾燥する必要がないため、切り替え設備V1を用いて鋳型砂Sがバイパス系BP1を通過するように設定する(第二工程)。鋳型砂Sに含まれる磁着物量の測定値が管理値を越えていなかった場合、鋳型砂Sは磁選設備Mで磁選する必要がないため、切り替え設備V2を用いて鋳型砂Sがバイパス系BP2を通過するように設定する(第二工程)。
【0208】
鋳型砂Sに含まれる水分量、及び、磁着物量の測定値が管理値を越えていなかった場合、鋳型砂Sは乾燥設備Dで乾燥する必要、及び、磁選設備Mで磁選する必要がないため、切り替え設備V1を用いて鋳型砂Sがバイパス系BP1を通過するように設定し、切り替え設備V2を用いて鋳型砂Sがバイパス系BP2を通過するように設定する(第二工程)。なお、このように、バイパス系BP1とバイパス系BP2の両方を通過する経路を、バイパス系BP3と呼ぶ。
【0209】
次に、鋳型砂Sに含まれる水分量、及び、磁着物量を再度測定する(第三工程)。鋳型砂Sに含まれる水分量の測定値が管理値を越えていた場合、及び/又は、鋳型砂Sに含まれる磁着物量の測定値が管理値を越えていた場合、再度、第二工程(乾燥工程、及び/又は、磁選工程)に鋳型砂Sを通過させるため、切り替え設備V4を用いて鋳型砂Sが送還系PL2を経由して切り替え設備V1の手前へ戻るように設定する(第三工程)。そして、鋳型砂Sは、乾燥設備D、及び/又は、磁選設備Mを再び通過する。本工程は、鋳型砂Sに含まれる水分量、及び、磁着物量の測定値が管理値以下になるまで繰り返される。鋳型砂Sに含まれる水分量、及び、磁着物量の測定値が管理値以下の場合、切り替え設備V4を用いて鋳型砂Sが機械再生設備Rへ送られるように設定し、鋳型砂Sは乾式の機械再生設備Rへ送られる(第三工程)。
【0210】
次に、乾式の機械再生設備R411、及び、R421で鋳型砂Sの再生をそれぞれ行う(第四工程)。再生処理により、鋳型砂Sの強熱減量は減少する。次に、再生された鋳型砂Sを比重分級法の分級設備C411、及び、C421で分級する(第五工程)。分級処理により、鋳型砂Sの全粘土分は減少する。
【0211】
次に、分級設備C411、及び、C421から集塵されるダストを集塵設備DCで単独に回収する。前述したように、最初(1パス目)で発生するダストは主に砂粒表面に付着していたベントナイト及び生型添加剤である。したがって、この工程で発生するダストを独立に回収することにより、これらのダストをベントナイト及び生型添加剤の代替物として鋳型砂の混練を行う際に再利用することが可能となる。
【0212】
次に、一度、再生処理を行ったそれぞれの鋳型砂Sを、乾式の機械再生設備R412、及び、R422で、再度、再生を行う(第四工程)。再度の再生処理により、鋳型砂Sの強熱減量は減少する。次に、再生された鋳型砂Sを比重分級法の分級設備C412、及び、C422で再度分級する(第五工程)。分級処理により、鋳型砂Sの全粘土分は減少する。
【0213】
2回の第四工程(再生処理)、及び、2回の第五工程(分級処理)を経た鋳型砂S(再生砂)は、強熱減量、及び、全粘土分がともに減少しているが、最終的には、それぞれの数値を管理値以下にする必要がある。従って、鋳型砂Sの強熱減量、及び、全粘土分が管理値を越えている場合、再度、第四工程(再生処理)、及び、第五工程(分級処理)に鋳型砂Sを通過させるため、切り替え設備V3を用いて鋳型砂Sが送還系PL1を経由して乾式の機械再生設備R411、及び、R421へ戻るように設定する。
【0214】
一方、2回の第四工程(再生処理)、及び、2回の第五工程(分級処理)によって、鋳型砂Sの強熱減量、及び、全粘土分が管理値以下になっている場合、切り替え設備V3を用いて鋳型砂Sが再生設備1から排出されるように設定する。これにより再生処理は終了する。ここで、強熱減量の管理値は、0.6%であることが好ましい。また、全粘土分の管理値は、0.6%であることが好ましい。
【0215】
なお、集塵設備DOは、分級設備C412、及び、C422で発生したダスト、及び、分級設備C411、及び、C421で2回目以降に発生したダストを集塵する。
【0216】
このように、第6の実施の形態に係る鋳型砂の再生方法及び再生設備によれば、異なる機構を持った再生設備を組み合わせて構成する必要がなくなり、処理量と強熱減量及び全粘土分の管理値に合わせて容易に再生設備の構成を決定することが可能となる。
【0217】
また、第6の実施の形態に係る鋳型砂の再生方法及び再生設備によれば、処理量及び必要とされる処理能力など工程に対する負荷の変動に応じて適宜不要な工程を停止できるので、第2の実施の形態よりも柔軟に負荷変動に対応することが可能となる。
【0218】
また、第6の実施の形態に係る鋳型砂の再生方法及び再生設備によれば、2回の再生処理、及び、2回の分級処理を一度に行うことができるので、切り替え設備を用いて鋳型砂を、再生処理、及び、分級処理に戻す回数を減らすことが可能となる。
【0219】
また、第6の実施の形態に係る鋳型砂の再生方法及び再生設備によれば、鋳型砂に含まれる水分量、及び、磁着物量が管理値以下になるまで、乾燥設備での乾燥工程、及び/又は、磁選設備Mでの磁選工程を繰り返すことができるので、鋳型砂に含まれる水分量、及び、磁着物量を確実に管理値以下にすることが可能となる。
【0220】
(第7の実施の形態)
第7の実施の形態は、第3の実施の形態における再生設備R及び分級設備Cを、直列及び並列に複数配置する構成としたものである。第6の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。本実施の形態に係る鋳型砂の再生方法及び再生設備のうち、第3の実施の形態と異なる部分を説明する。他の部分については第2の実施の形態と同様であるので、上述した説明を参照し、ここでの説明を省略する。
【0221】
図28は、第7の実施の形態に係る鋳型砂の再生設備の概略構成図である。再生設備61は、オーバーフロー砂回収設備PO、乾燥設備D、オーバーフロー砂異物除去設備IO、オーバーフロー砂貯蔵槽SSO、製品付着砂回収設備PS、製品付着砂異物除去設備IS、磁選設備M、製品付着砂貯蔵槽SSS、主型中子砂混合砂回収設備PL、解砕設備L、主型中子混合砂異物除去設備IL、主型中子混合砂貯蔵槽SSL、砂塊及び砂回収設備PC、解砕設備L、砂塊及び砂異物除去設備IC、砂塊及び砂貯蔵槽SSC、砂切り出し/配合設備F、4つの乾式の機械再生設備R411、R412、R421、及び、R422、4つの分級設備C411、C412、C421、及び、C422、分級設備C、切り替え設備V3、送還系PL1、及び、2つの集塵設備DC、及び、DOを備えている。
【0222】
4つの乾式の機械再生設備R411、R412、R421、及び、R422は、配合された鋳型砂Sの表面に付着した炭化物、焼結物、金属化合物などを剥離し、鋳型砂Sの再生を行う。乾式の機械再生設備R411、R412、R421、及び、R422は、全て同一の機構を有するが、強熱減量を管理値以下にできる能力を有していればどのような方式であるかは問わない。
【0223】
分級設備C411、C412、C421、及び、C422は、再生された鋳型砂Sを比重分級方式により分級し、回収すべき砂粒と集塵すべき炭化物、焼結物、金属化合物などの微粉を分離する。分級設備C411、C412、C421、及び、C422は、全て同一の機構を有するが、再生された鋳型砂S内の全粘土分の量が管理値以下になるまで微粉を除去できる能力を有していればどのような方式であるかは問わない。
【0224】
砂切り出し/配合設備Fの後段に配置された乾式の機械再生設備R411は、分級設備C411、乾式の機械再生設備R412、及び分級設備C412と直列に接続され、その後ろで切り替え設備V3と接続している。同様に、バイパス系BP2の後ろに接続された乾式の機械再生設備R421は、分級設備C421、乾式の機械再生設備R422、及び、分級設備C422と直列に接続され、その後ろで切り替え設備V3と接続している。別の見方をすれば、乾式の機械再生設備R411、分級設備C411、乾式の機械再生設備R412、及び、分級設備C412の構成と、乾式の機械再生設備R421、分級設備C421、乾式の機械再生設備R422、及び、分級設備C422の構成は、バイパス系BP2と切り替え設備V3の間で並列に配置されている。
【0225】
分級設備C412、及び、C422の後には、分級された再生砂(鋳型砂S)を再生設備41から排出するか、分級された再生砂を乾式の再生設備R411、及び、R421の投入口に戻して再度再生処理をするかを切り替えるための切り替え設備V3が備えられており、切り替え設備V3には、分級された再生砂を乾式の機械再生設備R411、分級設備C411、乾式の機械再生設備R412、及び、分級設備C412の経路、及び、乾式の機械再生設備R421、分級設備C421、乾式の機械再生設備R422、及び、分級設備C422の経路へ戻すための送還系PL1が接続している。分級された再生砂の強熱減量と全粘土分とが管理値以下になっていない場合には、分級された再生砂を、乾式の機械再生設備R411、分級設備C411、再生設備R412、及び、分級設備C412の経路、及び、乾式の機械再生設備R421、分級設備C421、乾式の機械再生設備R422、及び、分級設備C422の経路へ戻すことが可能な構成となっている。
【0226】
集塵設備DCは、分級設備C411、及び、C421と接続されており、分級設備C411、及び、C421で発生したダスト(微粉)を集塵する。集塵設備DOは、分級設備C412、及び、C422と接続されており、分級設備C412、及び、C422で発生したダスト(微粉)を集塵する。
【0227】
(再生方法)
次に、第7の実施の形態に係る再生設備61を用いた鋳型砂の再生方法について説明する。
図29は、第7の実施の形態に係る再生設備61を用いた鋳型砂の再生方法を示すフローチャートである。
【0228】
生型鋳造設備から排出される鋳型砂Sの内、砂処理設備から排出されたオーバーフロー砂は、オーバーフロー砂回収設備POに回収される(第一工程の1)。次に、オーバーフロー砂を乾燥設備Dで水分量が管理値以下になるまで乾燥させる(第二工程の1)。ここで、水分量の管理値は、0.5%であることが好ましい。次に、オーバーフロー砂異物除去設備IOで、乾燥後のオーバーフロー砂の異物を除去する(第二工程の1)。最後に、異物除去後のオーバーフロー砂を、オーバーフロー砂貯蔵槽SSOに貯蔵する(第二工程の1)。
【0229】
生型鋳造設備から排出される鋳型砂Sの内、製品付着砂は、製品付着砂回収設備PSに回収される(第一工程の2)。次に、製品付着砂異物除去設備ISで、製品付着砂の異物を除去する(第二工程の2)。次に、異物除去後の製品付着砂を磁選設備Mで製品付着砂の磁着物量が管理値以下になるまで磁選する(第二工程の2)。ここで、磁着物量の管理値は、5.0%であることが好ましい。最後に、磁選後の製品付着砂を、製品付着砂貯蔵槽SSSに貯蔵する(第二工程の2)。
【0230】
生型鋳造設備から排出される鋳型砂Sの内、主型中子混合砂は、主型中子砂混合砂回収設備PLに回収される(第一工程の3)。次に、解砕設備Lで、主型中子混合砂を解砕する(第二工程の3)。次に、主型中子混合砂異物除去設備ILで、解砕後の主型中子混合砂の異物を除去する(第二工程の3)。最後に、主型中子混合砂を、主型中子混合砂貯蔵槽SSLに貯蔵する(第二工程の3)。
【0231】
生型鋳造設備から排出される鋳型砂Sの内、中子砂落とし工程から排出された砂塊及び砂は、砂塊及び砂回収設備PCに回収される(第一工程の4)。次に、解砕設備Lで、中子砂落とし工程から排出された砂塊及び砂を解砕する(第二工程の4)。次に、砂塊及び砂異物除去設備IC、解砕後の砂塊及び砂の異物を除去する(第二工程の4)。最後に、砂塊及び砂を、砂塊及び砂貯蔵槽SSCに貯蔵する(第二工程の4)。
【0232】
オーバーフロー砂貯蔵槽SSO、製品付着砂貯蔵槽SSS、主型中子混合砂貯蔵槽SSL、及び、砂塊及び砂貯蔵槽SSCに貯蔵された砂は、砂切り出し/配合設備Fによりこれらの貯蔵槽から切り出される砂の割合が常に一定となるよう砂を切り出して配合される(第三工程)。
【0233】
次に、乾式の機械再生設備R411、及び、R421で鋳型砂Sの再生をそれぞれ行う(第四工程)。再生処理により、鋳型砂Sの強熱減量は減少する。次に、再生された鋳型砂Sを比重分級法の分級設備C411、及び、C421で分級する(第五工程)。分級処理により、鋳型砂Sの全粘土分は減少する。
【0234】
次に、分級設備C411、及び、C421から集塵されるダストを集塵設備DCで単独に回収する。前述したように、最初(1パス目)で発生するダストは主に砂粒表面に付着していたベントナイト及び生型添加剤である。したがって、この工程で発生するダストを独立に回収することにより、これらのダストをベントナイト及び生型添加剤の代替物として鋳型砂の混練を行う際に再利用することが可能となる。
【0235】
次に、一度、再生処理を行ったそれぞれの鋳型砂Sを、乾式の機械再生設備R412、及び、R422で、再度、再生を行う(第四工程)。再度の再生処理により、鋳型砂Sの強熱減量は減少する。次に、再生された鋳型砂Sを比重分級法の分級設備C412、及び、C422で再度分級する(第五工程)。分級処理により、鋳型砂Sの全粘土分は減少する。
【0236】
2回の第四工程(再生処理)、及び、2回の第五工程(分級処理)を経た鋳型砂S(再生砂)は、強熱減量、及び、全粘土分がともに減少しているが、最終的には、それぞれの数値を管理値以下にする必要がある。従って、鋳型砂Sの強熱減量、及び、全粘土分が管理値を越えている場合、再度、第四工程(再生処理)、及び、第五工程(分級処理)に鋳型砂Sを通過させるため、切り替え設備V3を用いて鋳型砂Sが送還系PL1を経由して乾式の機械再生設備R411、及び、R421へ戻るように設定する。
【0237】
一方、2回の第四工程(再生処理)、及び、2回の第五工程(分級処理)によって、鋳型砂Sの強熱減量、及び、全粘土分が管理値以下になっている場合、切り替え設備V3を用いて鋳型砂Sが再生設備1から排出されるように設定する。これにより再生処理は終了する。ここで、強熱減量の管理値は、0.6%であることが好ましい。また、全粘土分の管理値は、0.6%であることが好ましい。
【0238】
なお、集塵設備DOは、分級設備C412、及び、C422で発生したダスト、及び、分級設備C411、及び、C421で2回目以降に発生したダストを集塵する。
【0239】
このように、第7の実施の形態に係る鋳型砂の再生方法及び再生設備によれば、異なる機構を持った再生設備を組み合わせて構成する必要がなくなり、処理量と強熱減量及び全粘土分の管理値に合わせて容易に再生設備の構成を決定することが可能となる。
【0240】
また、第7の実施の形態に係る鋳型砂の再生方法及び再生設備によれば、処理量及び必要とされる処理能力など工程に対する負荷の変動に応じて適宜不要な工程を停止できるので、第3の実施の形態よりも柔軟に負荷変動に対応することが可能となる。
【0241】
また、第7の実施の形態に係る鋳型砂の再生方法及び再生設備によれば、2回の再生処理、及び、2回の分級処理を一度に行うことができるので、切り替え設備を用いて鋳型砂を、再生処理、及び、分級処理に戻す回数を減らすことが可能となる。
【0242】
また、第7の実施の形態に係る鋳型砂の再生方法及び再生設備によれば、生型鋳造設備から排出される様々な種類の鋳型砂を乾式の機械再生のみで再生することができる。その結果、湿式再生を使用する場合に発生する廃水の中和処理・不純物の分離処理が不要となり、熱再生を使用する場合の多大なエネルギー消費量を削減することができ、再生設備を小型化かつ簡略化することができるので、砂再生に要する効率を上げ、砂再生にかかるコストを削減することが可能となる。
【0243】
また、第7の実施の形態に係る鋳型砂の再生方法及び再生設備によれば、生型鋳造設備各所から排出されるそれぞれ性状の異なる鋳型砂を分離した状態で前処理を行い、常に一定の比率となるよう切り出しと配合を行った上で乾式の機械再生を行い、さらに微粉を除去するので、常に再生砂の性状を一定に保つことが可能となる。従って、再生砂をそのまま生型鋳造設備で再利用することが可能となる。
【0244】
(第8の実施の形態)
第8の実施の形態は、第4の実施の形態における再生設備R及び分級設備Cを、直列及び並列に複数配置する構成としたものである。第8の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。本実施の形態に係る鋳型砂の再生方法及び再生設備のうち、第4の実施の形態と異なる部分を説明する。他の部分については第4の実施の形態と同様であるので、上述した説明を参照し、ここでの説明を省略する。
【0245】
図30は、第8の実施の形態に係る鋳型砂の再生設備71の概略構成図である。再生設備71は、オーバーフロー砂回収設備PO、乾燥設備D、オーバーフロー砂異物除去設備IO、オーバーフロー砂貯蔵槽SSO、製品付着砂回収設備PS、製品付着砂異物除去設備IS、磁選設備M、製品付着砂貯蔵槽SSS、主型中子砂混合砂回収設備PL、解砕設備L、主型中子混合砂異物除去設備IL、加熱設備TR、主型中子混合砂貯蔵槽SSL、砂塊及び砂回収設備PC、解砕設備L、砂塊及び砂異物除去設備IC、加熱設備TR、砂塊及び砂貯蔵槽SSC、砂切り出し/配合設備F、4つの乾式の機械再生設備R411、R412、R421、及び、R422、4つの分級設備C411、C412、C421、及び、C422、切り替え設備V3、送還系PL1、及び、2つの集塵設備DC、及び、DOを備えている。
【0246】
4つの乾式の機械再生設備R411、R412、R421、及び、R422は、配合された鋳型砂Sの表面に付着した炭化物、焼結物、金属化合物などを剥離し、鋳型砂Sの再生を行う。乾式の機械再生設備R411、R412、R421、及び、R422は、全て同一の機構を有するが、強熱減量を管理値以下にできる能力を有していればどのような方式であるかは問わない。
【0247】
分級設備C411、C412、C421、及び、C422は、再生された鋳型砂Sを比重分級方式により分級し、回収すべき砂粒と集塵すべき炭化物、焼結物、金属化合物などの微粉を分離する。分級設備C411、C412、C421、及び、C422は、全て同一の機構を有するが、再生された鋳型砂S内の全粘土分の量が管理値以下になるまで微粉を除去できる能力を有していればどのような方式であるかは問わない。
【0248】
砂切り出し/配合設備Fの後段に配置された乾式の機械再生設備R411は、分級設備C411、乾式の機械再生設備R412、及び分級設備C412と直列に接続され、その後ろで切り替え設備V3と接続している。同様に、バイパス系BP2の後ろに接続された乾式の機械再生設備R421は、分級設備C421、乾式の機械再生設備R422、及び、分級設備C422と直列に接続され、その後ろで切り替え設備V3と接続している。別の見方をすれば、乾式の機械再生設備R411、分級設備C411、乾式の機械再生設備R412、及び、分級設備C412の構成と、乾式の機械再生設備R421、分級設備C421、乾式の機械再生設備R422、及び、分級設備C422の構成は、バイパス系BP2と切り替え設備V3の間で並列に配置されている。
【0249】
分級設備C412、及び、C422の後には、分級された再生砂(鋳型砂S)を再生設備41から排出するか、分級された再生砂を乾式の再生設備R411、及び、R421の投入口に戻して再度再生処理をするかを切り替えるための切り替え設備V3が備えられており、切り替え設備V3には、分級された再生砂を乾式の機械再生設備R411、分級設備C411、乾式の機械再生設備R412、及び、分級設備C412の経路、及び、乾式の機械再生設備R421、分級設備C421、乾式の機械再生設備R422、及び、分級設備C422の経路へ戻すための送還系PL1が接続している。分級された再生砂の強熱減量と全粘土分とが管理値以下になっていない場合には、分級された再生砂を、乾式の機械再生設備R411、分級設備C411、再生設備R412、及び、分級設備C412の経路、及び、乾式の機械再生設備R421、分級設備C421、乾式の機械再生設備R422、及び、分級設備C422の経路へ戻すことが可能な構成となっている。
【0250】
集塵設備DCは、分級設備C411、及び、C421と接続されており、分級設備C411、及び、C421で発生したダスト(微粉)を集塵する。集塵設備DOは、分級設備C412、及び、C422と接続されており、分級設備C412、及び、C422で発生したダスト(微粉)を集塵する。
【0251】
(再生方法)
次に、第8の実施の形態に係る再生設備71を用いた鋳型砂の再生方法について説明する。
図31は、第8の実施の形態に係る再生設備71を用いた鋳型砂の再生方法を示すフローチャートである。
【0252】
生型鋳造設備から排出される鋳型砂Sの内、砂処理設備から排出されたオーバーフロー砂は、オーバーフロー砂回収設備POに回収される(第一工程の1)。次に、オーバーフロー砂を乾燥設備Dで水分量が管理値以下になるまで乾燥させる(第二工程の1)。ここで、水分量の管理値は、0.5%であることが好ましい。次に、オーバーフロー砂異物除去設備IOで、乾燥後のオーバーフロー砂の異物を除去する(第二工程の1)。最後に、異物除去後のオーバーフロー砂を、オーバーフロー砂貯蔵槽SSOに貯蔵する(第二工程の1)。
【0253】
生型鋳造設備から排出される鋳型砂Sの内、製品付着砂は、製品付着砂回収設備PSに回収される(第一工程の2)。次に、製品付着砂異物除去設備ISで、製品付着砂の異物を除去する(第二工程の2)。次に、異物除去後の製品付着砂を磁選設備Mで製品付着砂の磁着物量が管理値以下になるまで磁選する(第二工程の2)。ここで、磁着物量の管理値は、5.0%であることが好ましい。最後に、磁選後の製品付着砂を、製品付着砂貯蔵槽SSSに貯蔵する(第二工程の2)。
【0254】
生型鋳造設備から排出される鋳型砂Sの内、主型中子混合砂は、主型中子砂混合砂回収設備PLに回収される(第一工程の3)。次に、解砕設備Lで、主型中子混合砂を解砕する(第二工程の3)。次に、主型中子混合砂異物除去設備ILで、解砕後の主型中子混合砂の異物を除去する(第二工程の3)。次に、異物除去後の主型中子混合砂を400℃以上に加熱する(第二工程の3)。最後に、加熱後の主型中子混合砂を主型中子混合砂貯蔵槽SSLに貯蔵する(第二工程の3)。
【0255】
生型鋳造設備から排出される鋳型砂Sの内、中子砂落とし工程から排出された砂塊及び砂は、砂塊及び砂回収設備PCに回収される(第一工程の4)。次に、解砕設備Lで、中子砂落とし工程から排出された砂塊及び砂を解砕する(第二工程の4)。次に、砂塊及び砂異物除去設備IC、解砕後の砂塊及び砂の異物を除去する(第二工程の4)。次に、異物除去後の砂塊及び砂を400℃以上に加熱する(第二工程の4)。最後に、加熱後の砂塊及び砂を、砂塊及び砂貯蔵槽SSCに貯蔵する(第二工程の4)。
【0256】
オーバーフロー砂貯蔵槽SSO、製品付着砂貯蔵槽SSS、主型中子混合砂貯蔵槽SSL、及び、砂塊及び砂貯蔵槽SSCに貯蔵された砂は、砂切り出し/配合設備Fによりこれらの貯蔵槽から切り出される砂の割が常に一定となるよう砂を切り出して配合される(第三工程)。
【0257】
次に、乾式の機械再生設備R411、及び、R421で鋳型砂Sの再生をそれぞれ行う(第四工程)。再生処理により、鋳型砂Sの強熱減量は減少する。次に、再生された鋳型砂Sを比重分級法の分級設備C411、及び、C421で分級する(第五工程)。分級処理により、鋳型砂Sの全粘土分は減少する。
【0258】
次に、分級設備C411、及び、C421から集塵されるダストを集塵設備DCで単独に回収する。前述したように、最初(1パス目)で発生するダストは主に砂粒表面に付着していたベントナイト及び生型添加剤である。したがって、この工程で発生するダストを独立に回収することにより、これらのダストをベントナイト及び生型添加剤の代替物として鋳型砂の混練を行う際に再利用することが可能となる。
【0259】
次に、一度、再生処理を行ったそれぞれの鋳型砂Sを、乾式の機械再生設備R412、及び、R422で、再度、再生を行う(第四工程)。再度の再生処理により、鋳型砂Sの強熱減量は減少する。次に、再生された鋳型砂Sを比重分級法の分級設備C412、及び、C422で再度分級する(第五工程)。分級処理により、鋳型砂Sの全粘土分は減少する。
【0260】
2回の第四工程(再生処理)、及び、2回の第五工程(分級処理)を経た鋳型砂S(再生砂)は、強熱減量、及び、全粘土分がともに減少しているが、最終的には、それぞれの数値を管理値以下にする必要がある。従って、鋳型砂Sの強熱減量、及び、全粘土分が管理値を越えている場合、再度、第四工程(再生処理)、及び、第五工程(分級処理)に鋳型砂Sを通過させるため、切り替え設備V3を用いて鋳型砂Sが送還系PL1を経由して乾式の機械再生設備R411、及び、R421へ戻るように設定する。
【0261】
一方、2回の第四工程(再生処理)、及び、2回の第五工程(分級処理)によって、鋳型砂Sの強熱減量、及び、全粘土分が管理値以下になっている場合、切り替え設備V3を用いて鋳型砂Sが再生設備1から排出されるように設定する。これにより再生処理は終了する。ここで、強熱減量の管理値は、0.6%であることが好ましい。また、全粘土分の管理値は、0.6%であることが好ましい。
【0262】
なお、集塵設備DOは、分級設備C412、及び、C422で発生したダスト、及び、分級設備C411、及び、C421で2回目以降に発生したダストを集塵する。
【0263】
このように、第8の実施の形態に係る鋳型砂の再生方法及び再生設備によれば、異なる機構を持った再生設備を組み合わせて構成する必要がなくなり、処理量と強熱減量及び全粘土分の管理値に合わせて容易に再生設備の構成を決定することが可能となる。
【0264】
また、第8の実施の形態に係る鋳型砂の再生方法及び再生設備によれば、処理量及び必要とされる処理能力など工程に対する負荷の変動に応じて適宜不要な工程を停止できるので、第4の実施の形態よりも柔軟に負荷変動に対応することが可能となる。
【0265】
また、第8の実施の形態に係る鋳型砂の再生方法及び再生設備によれば、2回の再生処理、及び、2回の分級処理を一度に行うことができるので、切り替え設備を用いて鋳型砂を、再生処理、及び、分級処理に戻す回数を減らすことが可能となる。
【0266】
また、第8の実施の形態に係る鋳型砂の再生方法及び再生設備によれば、生型鋳造設備で使用される中子が加熱脱水硬化型水ガラスプロセスの場合でも、生型鋳造設備各所から排出される主型中子混合砂、及び、中子砂落とし工程から排出された砂塊及び砂を加熱し、それらに残留している非晶質ケイ酸塩水和物をガラス化させると同時に、金属酸化物をその内部に封止する。その後に、乾式の機械再生を行うので、鋳型の強度発現に対して有害となる非晶質ケイ酸塩水和物及び金属酸化物を、無害化させることが可能となる。
【実施例1】
【0267】
第1の実施の形態の再生設備1を用い、生型砂をシェル中子に再生する目的で、5パス再生を行い、再生砂の性状及び中子の物性を評価した。中子の物性を評価するにあたっては、フェノール樹脂2.0%(対砂)、ヘキサメチレンテトラミン15%(対樹脂)、ステアリン酸カルシウム0.1%(対砂)の配合でレジンコーテッドサンド(以下RCSと略す)を調製し、このRCSを評価した。また、評価方法は、日本鋳造技術普及協会(JACT)の定めるJACT試験法SM−1「曲げ強さ試験法」に準拠した、幅10mm×高さ10mm×長さ60mmの寸法を有し、250℃で60秒間焼成して成形した試験片を用いて評価を行った。
【実施例2】
【0268】
第1の実施の形態の再生設備1を用い、生型砂をシェル中子に再生する目的で、10パス再生を行い、再生砂の性状及び中子の物性を評価した。RCSの調製方法及び物性の評価方法は実施例1と同様である。
【0269】
比較例1として、生型砂をシェル中子に再生する目的で、焙焼後遠心摩擦型鋳物砂再生装置を使用して6パス再生を行い、再生砂の性状及び中子の物性を評価した。RCSの調製方法及び物性の評価方法は実施例1と同様である。
【0270】
比較例2として、生型砂をシェル中子に再生する目的で、バッチ式の砥石研磨型鋳物砂再生装置を使用して30分再生を行い、再生砂の性状及び中子の物性を評価した。RCSの調製方法及び物性の評価方法は実施例1と同様である。
【0271】
比較例3として、生型砂をシェル中子に再生する目的で、バッチ式の砥石研磨型鋳物砂再生装置を使用して45分再生を行い、再生砂の性状及び中子の物性を評価した。RCSの調製方法及び物性の評価方法は実施例1と同様である。
【0272】
比較例4として、生型砂をシェル中子に再生する目的で、バッチ式の砥石研磨型鋳物砂再生装置を使用して60分再生を行い、再生砂の性状及び中子の物性を評価した。RCSの調製方法及び物性の評価方法は実施例1と同様である。
【0273】
比較例5として、再生前の状態の鋳型砂で、砂の性状及び中子の物性を評価した。RCSの調製方法及び物性の評価方法は実施例1と同様である。
【0274】
比較例6として、実施例1及び2、及び、比較例1〜5に使用しているものと同じ銘柄の砂(スプレードライヤー法によるムライト系人工砂)の未使用状態、所謂新砂で、砂の性状及び中子の物性を評価した。RCSの調製方法及び物性の評価方法は実施例1と同様である。
【0276】
表1に実施例1及び2、及び、比較例1〜6の砂性状及び中子の物性の結果の一覧を示す。実施例1及び2での結果は、比較例1〜6全ての結果より良好なものであった。特に、スプレードライヤー法によるムライト系人工砂は機械再生の困難な砂であり、従来方式である比較例1〜4での評価結果は、新砂の評価結果である比較量6より劣るものであった。これに対して、実施例1及び2での結果は新砂の評価結果である比較例6をも上回っていた。このことは、第1の実施の形態の再生設備1を用いて鋳型砂を再生した場合、新砂よりも品質の良い再生砂を作り出すことが可能であることを意味する。実際、新砂よりも再生砂の評価結果が劣っている場合は再生砂のみで生産した中子を使用できないため、新砂の一部を再生砂に置き換えることしかできない。このため、全ての再生砂を中子として消費できない。一方、新砂よりも再生砂の評価結果が優れていれば、再生砂のみで生産した中子を使用できることになり、全ての再生砂を中子として消費することが可能となる。
【実施例3】
【0277】
第1の実施の形態の実施例1の構成の設備を用い、硅砂を主成分とする生型砂をフェノールウレタン自硬性中子に再生する目的で、3パス再生を行い、再生砂の性状及び中子の物性を評価した。中子砂はフェノール樹脂0.85%(対砂)、ポリイソシアネート0.85%(対砂)、硬化触媒0.1%(対砂)の配合で調製を行い、評価方法はJACT試験法HM−1「圧縮強さ試験法」に準拠して行った。
【0278】
比較例7として、硅砂を主成分とする生型砂をフェノールウレタン自硬性中子に再生する目的で、連続式の遠心摩擦型鋳物砂再生装置を使用して実施例7と同じ処理量ならびに所要動力で10パス再生を行い、再生砂の性状及び中子の物性を評価した。中子砂の調製方法及び物性の評価方法は実施例3と同様である。
【0280】
表2に実施例3と比較例7の再生砂の性状及び中子の物性の結果を示す。実施例3と比較例7との比較では、ほぼ同程度の砂性状であるが、実施例3は比較例7よりも強度が優れている。また、同程度の砂性状にまで再生するのに同じ処理量、所要動力で比較例7では10パスを要するが、実施例3では3パスで十分である。この結果から、実施例3は比較例7と比較して、エネルギー消費量の点で優れているといえる。
【実施例4】
【0281】
第1の実施の形態の再生設備1を用い、硅砂を主成分とする生型砂をフェノールウレタンコールドボックス中子に再生する目的で、あらかじめ0.3Tの磁束密度の磁選機で磁選を行った後3パス再生を行い、再生砂の性状及び中子の物性を評価した。中子砂はフェノール樹脂1.0%(対砂)、ポリイソシアネート1.0%(対砂)の配合で調整を行い、評価方法はJACT試験法SM−1「曲げ強さ試験法」に準じた、幅10mm×高さ10mm×長さ60mmの寸法を有し、ブロー条件0.4MPa×3秒、ガッシング・パージ条件各々0.2MPa×10秒で成形した試験片を用いて評価を行った。
【0282】
比較例8として、第1の実施の形態の再生設備1を用い、硅砂を主成分とする生型砂をフェノールウレタンコールドボックス中子に再生する目的で、3パス再生を行い、再生砂の性状及び中子の物性を評価した。中子砂の調製方法及び物性の評価方法は実施例4と同様である。
【0284】
表3に実施例4と比較例8の再生砂の性状及び中子の物性の結果を示す。実施例4と比較例8との比較では、あらかじめ磁選を行い、磁着物量の少ない実施例4の方が、強度が優れている。同じ再生方式であっても、磁着物量が多い砂では強度が下がる傾向であることが明らかである。
【実施例5】
【0285】
第1の実施の形態の再生設備1を用い、硅砂を主成分とする生型砂を再生した際に発生した1パス目のダストの活性粘土分、全粘土分及び強熱減量を測定した。活性粘土分の測定方法はAFS発行のMold & Core Test Handbook 3rd Editionで規定されている、Testing Procedure AFS 2210−00−S “METHYLENE BLUE CLAY TEST, ULTRASONIC METHOD, MOLDING SAND”に準拠し、ベントナイト係数は4.5を採用した。また、全粘土分の測定方法は、前述した、JIS Z 2601 附属書1「鋳物砂の粘土分試験方法」に準拠して行った。強熱減量の試験方法は、前述した、JIS Z 2601 附属書6「鋳物砂の強熱減量試験方法」に準拠して行った。
【0286】
比較例9として、第1の実施の形態の再生設備1を用い、硅砂を主成分とする生型砂を再生した際に発生した2パス目のダストの活性粘土分、全粘土分及び強熱減量を測定した。活性粘土分、全粘土分及び強熱減量の測定方法は、実施例5と同様である。
【0288】
表4に実施例5と比較例9のダストの活性粘土分、全粘土分及び強熱減量の結果を示す。実施例5と比較例9との比較では、1パス目のダストでは活性粘土分、全粘土分、及び、強熱減量のいずれもが比較例9よりも高い値を示している。このことは、実施例5の方がより多くの有効なベントナイト及び石炭粉など揮発性の添加物を含有していることと、比較例9の方が不揮発性かつ有効なベントナイトではない成分、すなわち再生によって研摩された砂粒の微粉などを多く含有していることを示している。
【実施例6】
【0289】
第1の実施の形態の再生設備1を用い、硅砂を主成分とする生型砂を主型添加用硅砂代替砂に再生する目的で、6パス再生を行い、再生砂の性状を評価した。その上、再生砂を1t/日の割合で主型へ添加し、1ヶ月経過した後の主型砂の性状を評価した。
【0290】
比較例10として、実施例6の再生砂で代替される前の主型添加用硅砂の性状を評価した。その上、新砂を1t/日の割合で主型へ添加した際の主型砂の性状を評価した。
【0292】
オーリティクスが不足すると、鋳型砂の保水機能が失われるため、鋳型砂に添加した水分が蒸発し、鋳型砂に起因する鋳物不良を引き起こすことになる。一方で、オーリティクスが過剰な場合は、鋳型砂の充填密度低下や鋳物の焼き付き不良などの原因ともなる。そのため、鋳物の材質や対象となる製品の要求仕様によっても異なるが、一般的に鋳鉄鋳物を生産する生型鋳造設備で使用される主型砂では、オーリティクスを略20%で管理することが多い。
【0293】
表5において実施例6と比較例10の結果を比較してみると、オーリティクスの割合は若干比較例10の方が高いものの、いずれもほぼ同等の値であった。クォーツの割合は実施例6の方が比較例10に対して著しく改善されている。この結果より、実施例6に示される再生砂の性状まで再生を行ったものであれば、新砂を添加したものとほぼ同じ水準で、保水性を維持するのに十分な割合となるよう主型砂のオーリティクスを維持しながら、さらにクォーツが増加することで過剰なオーリティクスに起因する焼き付きなどの欠陥を防止することができることが明らかとなった。
【0294】
なお、第5〜第8の実施の形態では、全て同一の機構を有する再生設備R及び分級設備Cを直列及び並列に配置している。これらの台数が何台必要であるかは、あらかじめ試験を行って必要な処理量及び処理能力を検証し、最大限必要な台数を用意しておく必要がある。
【0295】
また、第5〜第8の実施の形態では、全て同一の機構を有する再生設備、及び、分級設備を直列に2台、及び並列に2台、配置しているが、要求される処理量、要求される再生砂の品質、及び、要求される処理能力によっては、直列、及び、並列に何台配置してもよく、直列のみの配置や並列のみの配置としてもよい。
【0296】
さらに、第5〜第8の実施の形態では、全て同一の機構を有する再生設備及び分級設備を用いているが、異なる機構を有する再生設備R及び分級設備Cを用いてもよい。
【0297】
また、第5〜第8の実施の形態では、1パス目の分級装置Cは集塵装置DCで、2パス目以降の分級装置Cは集塵装置DOですることで、1パス目のダストと2パス目以降のダストを分離して回収するようにしている。このため、再利用可能な1パス目のダストを他のダストと混合させることなく、有効に再利用することが可能となる。