【実施例】
【0027】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
図1は、実施例に係るX線CT装置の概略図および表示装置のブロック図である。
【0028】
図1に示すように、本実施例に係るX線CT装置1は、対象物Oを撮像する撮像部2と、対象物Oを載置するステージ3と、そのステージ3を駆動するステージ駆動部4と、撮像部2を駆動する撮像駆動部5と、撮像部2のX線管21に管電流や管電圧を与えるために高電圧を発生する高電圧発生部6と、撮像部2のX線検出器22によって得られた投影データに対して再構成処理を行う再構成処理部7とを備えている。
【0029】
撮像部2は、対象物OにX線を照射するX線管21と、X線管21から照射され対象物Oを透過したX線を検出するX線検出器22とを備えている。X線検出器22については、イメージインテンシファイア(I.I)やフラットパネル型X線検出器(FPD: Flat Panel Detector)などに例示されるように、特に限定されない。本実施例では、X線検出器22としてフラットパネル型X線検出器(FPD)を例に採って説明する。X線管21は、本発明におけるX線源に相当する。
【0030】
FPDは、画素に対応して縦横に並べられた複数の検出素子からなり、X線を検出素子が検出して、検出されたX線のデータ(電荷信号)をX線検出信号として出力する。このようにして、X線管21からX線を対象物Oに向けて照射し、FPDからなるX線検出器22がX線を検出してX線検出信号を出力する。そして、X線検出信号に基づく画素値を画素(検出素子)に対応付けて並べることで投影データを取得する。
【0031】
ステージ駆動部4は、図示を省略するモータや駆動軸などから構成され、ステージ3を図中のZ軸心周りに水平面内で回転させる。ステージ3の水平面内での回転によって対象物OもZ軸心周りに水平面内で回転し、複数の投影データを取得する。
【0032】
撮像駆動部5は、ステージ駆動部4と同様に、図示を省略するモータや駆動軸などから構成されている。X線検出器22にX線管21が対向するようにそれぞれを移動させてX線CT撮影を行う。また、X線管21またはX線検出器22を水平方向(図中のX方向)に移動させて、X線CT撮影における拡大率を変更することも可能である。また、X線管21またはX線検出器22をX軸に対して傾斜させて、対象物Oの斜め方向から撮像することも可能である。
【0033】
高電圧発生部6は、高電圧を発生させて管電流や管電圧をX線管21に与えることで、X線管21からX線が発生して、対象物Oに対してX線を照射する。再構成処理部7は、複数の投影データを用いて、フィルター補正逆投影法(FBP: Filtered Back Projection) ,逐次近似法あるいはそれらを組み合わせた手法などの公知の再構成処理を実行することで、対象物Oに関する再構成画像を取得する。
【0034】
X線CT装置1に用いられるCT用ソフトウェア機能を有した表示装置30は、メモリ部8と入力部9とモニタ10とコントローラ11とを備えている。そしてオペレータ(ユーザ)の操作環境としては、表示装置30はグラフィカルユーザインタフェース(GUI)で構成されている。
【0035】
メモリ部8は、コントローラ11を介して、X線検出器22で得られた投影データや再構成処理部7で得られた再構成画像などのデータを書き込んで記憶し、適宜必要に応じて読み出して、コントローラ11を介して、投影データや再構成画像をモニタ10に送り込んで出力する。メモリ部8は、ROM(Read-only Memory)やRAM(Random-Access Memory)やハードディスクなどに代表される記憶媒体で構成されている。
【0036】
その他に、本実施例では、メモリ部8は、アイコンおよびそれに登録されたプリセットに関するプリセットテーブル8Aを備えている。CT撮像条件を設定する際に、コントローラ11を介して、プリセットテーブル8Aに記憶されたアイコンおよび複数のCT撮像条件のプリセットをモニタ10の表示画面(すなわち、
図2のCT撮像条件設定画面10A)に読み出す。
【0037】
このように、複数のCT撮像条件のプリセットが登録されたアイコンを、画質に関連する2次元の指標として空間分解能および濃度分解能にてモニタ10の表示画面(
図2のCT撮像条件設定画面10A)に配置するように表示装置30を構成する。そして、アイコンを選択することにより、選択された当該アイコンに対応したCT撮像条件を設定するように表示装置30を構成する。具体的なCT撮像条件設定については詳しく後述する。
【0038】
入力部9は、ユーザが入力したデータや命令をコントローラ11に送り込む。入力部9は、キーボードと、マウスやジョイスティックやトラックボールやタッチパネルなどに代表されるポインティングデバイスで構成されている。
【0039】
モニタ10は、本実施例のCT撮像条件設定のための画面(すなわち、
図2のCT撮像条件設定画面10A)が表示されるように構成されている。その他に、CT撮像した後に、投影データや再構成画像をモニタ10に表示する。CT撮像条件設定画面についても詳しく後述する。
【0040】
コントローラ11は、X線CT装置1および表示装置30を構成する各部分を統括制御する。上述したように、CT撮像条件を設定する際に、コントローラ11を介して、プリセットテーブル8Aに記憶されたアイコンおよび複数のCT撮像条件のプリセットをモニタ10の表示画面に読み出す。そして、後述する撮像条件入力決定ボタン10f(
図2を参照)をユーザがクリックすることにより、当該CT撮像条件を決定するための入力を行い、決定された当該CT撮像条件に基づいてCT撮像を行うために、CT撮像条件に基づく制御命令をコントローラ11からステージ駆動部4や撮像駆動部5や高電圧発生部6に送り込む。なお、CT撮像した後には、X線検出器22で得られた投影データや再構成処理部7で得られた再構成画像などのデータを、コントローラ11を介して、メモリ部8に書き込んで記憶、あるいはモニタ10に送り込んで出力表示する。
【0041】
本実施例では、再構成処理部7やコントローラ11は、中央演算処理装置(CPU)などで構成されている。なお、再構成処理部7については、GPU(Graphics Processing Unit) などで構成されてもよい。
【0042】
次に、CT撮像条件設定について、
図2〜
図4を参照して説明する。
図2は、実施例に係る表示装置におけるCT撮像条件設定画面の一態様であり、
図3は、実施例に係るCT撮像条件設定のフローチャートであり、
図4は、アイコンおよびそれに登録されたプリセットに関するテーブルの一態様である。
【0043】
図2に示すように、モニタ10は、CT撮像条件設定画面10Aが表示されるように構成されており、複数(
図2では9つ)のアイコン10aをCT撮像条件設定画面10A(表示画面)に配置している。複数(本実施例では9つ)のCT撮像条件がプリセットとして予め作成されており、各々のプリセットがアイコン10aにそれぞれ対応づけられて登録されている。各々のアイコン10aを、画質に関連する2次元の指標にてCT撮像条件設定画面10A(表示画面)に配置している。
【0044】
本実施例では、当該指標は空間分解能(すなわちCT画像サイズ)10bおよび濃度分解能(コントラスト)10cであり、アイコン10aをCT撮像条件設定画面10A(表示画面)に各指標(空間分解能10bおよび濃度分解能10c)毎に沿って縦横に並べて配置している。
図2では、横軸を空間分解能10bとするとともに、縦軸を濃度分解能10cとして、3×3のアイコン10aを縦軸・横軸に沿って縦横に並べて配置している。
【0045】
なお、撮像時間を表すアイコンをプリセットに対応づけて、各々のアイコン10aに併記してもよい。ユーザが任意のアイコン10aを例えばマウスでクリックして選択すると、選択されたアイコン10aとそれ以外の残りのアイコン10aとを区別するために、選択されたアイコン10aをハイライト表示(強調表示)するのが好ましい。
【0046】
また、CT撮像条件を選択した際に、選択された当該条件に対応した出力画像の目安となるイメージ図としてプレビュー画像10dを表示する。イメージ図については、特に限定されない。例えば、予め得られた再構成画像をイメージ図としてもよいし、写真や模式図をイメージ図としてもよい。
【0047】
また、設定されたCT撮像条件を表示する撮像条件表示部10eをCT撮像条件設定画面10A(表示画面)に表示する。
図2では、CT撮像条件設定画面10A(表示画面)の右側に撮像条件表示部10eを表示しているが、撮像条件表示部10eの表示位置については、特に限定されない。なお、図中に記載されている「スキャン回数」とは、対象物(ワーク)の高さを変えながら複数回CT撮像する回数のことを示し、「マルチ積算回数」とは、同じ位置で複数回CT撮像する回数のことを示し、「BHCデータ」とは、ビームハードニング補正データのことを示す。撮像条件表示部10eは、本発明における撮像条件表示手段に相当する。
【0048】
また、撮像条件入力決定ボタン10f(
図2では「スタート」で表記)をCT撮像条件設定画面10A(表示画面)に表示する。撮像条件入力決定ボタン10fは、本発明における撮像条件入力決定手段に相当する。
図2における「スタート」ボタンはCT撮像の実行を開始する機能を兼ねているので、このボタンを押すことによってCT撮像が開始される。
【0049】
また、撮像対象の材質の選択が可能なドロップダウンリスト10gをCT撮像条件設定画面10A(表示画面)に表示する。
図2では、材質として樹脂を選択しているが、その他に例えば軽金属や重金属や電子部品・電器部品などがドロップダウンリスト10gに一覧表示されており、樹脂を含むこれらから1つを選択することが可能である。
【0050】
その他に、項目10hをCT撮像条件設定画面10A(表示画面)に表示する。
図2では、CT撮像条件設定画面10A(表示画面)の上側に項目10hを表示しているが、項目10hの表示位置については、特に限定されない。また、項目10hに表示する内容についても、特に限定されない。例えば、
図2に示すように、選択された材質(
図2では樹脂)を項目10hの左側に表示し、設定された空間分解能(CT画像サイズ)(
図2ではボクセルサイズ)を項目10hの中央に表示し、設定された総スキャン時間を項目10hの右側に表示する。
【0051】
撮像条件は、概略、
図3のフローチャートに示すように決定される。まず材質を選択する(ステップS1)。次に2次元に配置された撮像条件アイコンの中から目的に合ったアイコンを選択する(ステップS2)。そうすると個別の撮像条件が撮像条件表示部に表示されるからそれを確認する(ステップS3)。その撮像条件が適当であれば撮像条件の設定は終了する。もし条件が不適当であると思われる場合にはステップS2に戻って撮像条件アイコンを選択しなおす。撮像条件の一部を変更する場合には、撮像条件表示部に表示された条件を直接変更するようにしてもよい。
【0052】
撮像条件の設定を例示する。材質が樹脂である場合について述べる。
図4に示すように、プリセット01をアイコン01に対応づけて登録する。以下、同様にプリセット02をアイコン02に対応づけて登録し、以下同様に最終的にプリセット09をアイコン09に対応づけて登録したら、樹脂毎に9つのプリセット01〜09をアイコン01〜09に対応づけて登録したテーブルを作成する。同様に、他の材質として、例えば軽金属毎に9つのプリセット11〜19をアイコン11〜19に対応づけて登録したテーブルを作成し、重金属毎に9つのプリセット21〜29をアイコン21〜29に対応づけて登録したテーブルを作成する。このテーブル作成作業は装置の工場出荷時に行われて、予め設定されているので、必ずしもオペレータ(ユーザ)が個別に行う必要はない。
【0053】
(ステップS1)材質の選択
撮像する対象物(ワーク)から材質を選択する。例えば、対象物が樹脂で構成されている場合には、ユーザはドロップダウンリスト10g(
図2を参照)をクリックして一覧から樹脂を選択する。プリセットテーブル8A(
図1を参照)に記憶された、樹脂毎に9つのプリセット01〜09をアイコン01〜09に対応づけて登録したテーブル(
図4を参照)をCT撮像条件設定画面10A(
図2を参照)に読み出す。
【0054】
(ステップS2)撮像条件アイコンの選択
ユーザは、CT撮像条件設定画面10A(表示画面)に配置されたアイコン10a(
図2を参照)から該当するアイコンをクリックして選択する。選択された当該アイコンに対応したCT撮像条件を撮像条件表示部10e(
図2を参照)に表示する。このとき、プレビュー画像10d(
図2を参照)を表示し、CT撮像条件の空間分解能や総スキャン時間を項目10h(
図2を参照)に表示する。
【0055】
(ステップS3)撮像条件の確認
ユーザは、プレビュー画像10d、撮像条件表示部10eに表示されたCT撮像条件(撮像時間や分解能など)から撮像条件を確認する。
【0056】
撮像条件が適切でないとユーザが判断(
図3では「NG」で表記)したら、ステップS2に戻る。撮像条件が最適であるとユーザが判断(
図3では「OK」で表記)したら、撮像条件入力決定ボタン10f(
図2を参照)をユーザがクリックすることにより、当該CT撮像条件を決定して、一連の撮像条件設定を終了する(
図3では「End」で表記)。
【0057】
そして、
図2に表示されたスタートボタン10fを押すと、
図3のステップS1〜S3で決定された当該CT撮像条件に基づく制御命令をコントローラ11(
図1を参照)からステージ駆動部4(
図1を参照)や撮像駆動部5(
図1を参照)や高電圧発生部6(
図1を参照)に送り込んで、CT撮像条件に基づいてCT撮像を行う。
【0058】
本実施例に係る表示装置30によれば、複数のCT撮像条件がプリセットとして予め作成されており、各々のプリセットがコントロール(
図2ではアイコン10a)として予め作成されており、各々のプリセットがコントロール(アイコン10a)にそれぞれ対応づけられて登録されている。各々のコントロール(アイコン10a)を、画質に関連する2次元の指標(本実施例では
図2に示す空間分解能10bおよび濃度分解能10c)にて表示画面(
図2ではCT撮像条件設定画面10A)に配置し、ユーザが任意のコントロール(アイコン10a)を選択することにより、選択された当該コントロール(アイコン10a)に対応したCT撮像条件が選択される。指標は、画質に関連するものであり、2次元からなるので、CT撮像条件を十分に理解していないユーザでも、コントロール(アイコン10a)を視覚で確認して選択するだけで、最適なCT撮像条件を直感的に、少ない手順で選択して設定することができる。また、CT撮像した後に、さらなる画質改善を求めて再撮像する場合、求められる画質に対して何を選択するのかが明確になっているので、CT撮像条件を簡単に変更することができる。その結果、操作性に優れ、最適なCT撮像条件を直感的に、少ない手順で設定することができる。
【0059】
ここで、本明細書でのコントロールは、「課題を解決するための手段」の欄でも述べたように、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)における仮想的なツールを意味し、「ウィジェット(Widget)」とも呼ばれる。選択を含んだ入力設定を行うコントロールとして、本実施例では、
図2に示すようにアイコン10aを用いている。上述したように、アイコン10aは、物事を簡単な絵柄で記号化して表現したものである。
【0060】
本実施例では、指標は、
図2に示すように空間分解能(CT画像サイズ)10bおよび濃度分解能(コントラスト)10cである。ユーザが空間分解能,濃度分解能の少なくともいずれか一方に対応した任意のコントロール(アイコン10a)を選択することにより、選択された当該コントロール(アイコン10a)に対応したCT撮像条件が選択される。指標は、画質に関連した空間分解能10bおよび濃度分解能10cであり、2次元からなるので、CT撮像条件を十分に理解していないユーザでも、コントロール(アイコン10a)を視覚で確認して選択するだけで、最適なCT撮像条件を直感的に、少ない手順で選択して設定することができる。また、CT撮像した後に、さらなる画質改善を求めて再撮像する場合、画像に求められる空間分解能10bまたは濃度分解能10cに対して何を選択するのかが明確になっているので、CT撮像条件を簡単に変更することができる。その結果、空間分解能10b,濃度分解能10cの少なくともいずれか一方に対応したコントロール(アイコン10a)を選択することにより、操作性に優れ、最適なCT撮像条件を直感的に、少ない手順で設定することができる。
【0061】
また、
図2に示すように、CT撮像条件を選択した際に、選択された当該条件に対応した出力画像の目安となるイメージ図としてプレビュー画像10dを表示するのが好ましい。選択された当該条件に対応した出力画像の目安となるイメージ図としてプレビュー画像10dを表示することにより、選択された条件でどのような出力画像が得られるかのイメージ図としてプレビュー画像を表示することができ、CT撮像条件を選択した際にどのように出力画像が変化するのかを表示することができる。また、CT撮像や再構成処理しなくてもプレビュー画像10dからどのような出力画像が得られるかを確認することができる。
【0062】
また、
図2に示すように、コントロールをアイコン10aとして表示画面(CT撮像条件設定画面10A)に各指標(空間分解能10bおよび濃度分解能10c)毎に沿って縦横に並べて配置するのが好ましい。上述したように、アイコン10aは、物事を簡単な絵柄で記号化して表現したものであるので、ユーザがアイコン10aを認識しやすく、最適なCT撮像条件をより一層直感的に設定することができる。
【0063】
また、
図2に示すように、設定されたCT撮像条件を表示する撮像条件表示手段(
図2では撮像条件表示部10e)を備えるのが好ましい。設定されたCT撮像条件を確認するとともに、その場で修正することもできる。
【0064】
また、
図2に示すように、設定されたCT撮像条件を決定するための入力を行う撮像条件入力決定手段(
図2では撮像条件入力決定ボタン10f)を備え、当該撮像条件入力決定手段(撮像条件入力決定ボタン10f)への入力により、決定された当該CT撮像条件に基づいてCT撮像を行う。設定されたCT撮像条件が最適であるとユーザが判断したら、撮像条件入力決定手段(撮像条件入力決定ボタン10f)への入力を行うことにより、当該CT撮像条件を決定するための入力を行う。そして、決定された当該CT撮像条件に基づいてCT撮像を行う。
【0065】
また、本実施例のように、材質の選択が可能なコントロール(本実施例では
図2に示すドロップダウンリスト10g)を表示画面にさらに設け、当該コントロール(ドロップダウンリスト10g)を選択した際に、選択された当該コントロール(ドロップダウンリスト10g)に対応した各材質毎にCT撮像条件を設定するのが好ましい。コントロール(ドロップダウンリスト10g)を材質毎にさらに設け、画質に関連する2次元の指標(空間分解能10bおよび濃度分解能10c)に合わせてコントロール(ドロップダウンリスト10g)を配置する。コントロール(ドロップダウンリスト10g)を選択することにより、指標(空間分解能10bおよび濃度分解能10c)および材質に対応したCT撮像条件設定に必要なパラメータが全て設定される。したがって、CT撮像条件を十分に理解していないユーザでも、対象物(ワーク)の材質・求められる画像の画質から最適なCT撮像条件を選択することができる。
【0066】
また、本実施例では、上述した材質の選択が可能なコントロールは、
図2に示すようにドロップダウンリスト10gである。ドロップダウンリスト10gで、材質の選択が可能なコントロールを構成することにより、材質の選択が可能なコントロールをユーザが選択しやすく、材質・画質から最適なCT撮像条件を選択することができる。ドロップダウンリスト10gは、ユーザが一覧から1つの値を選択することを可能にしたものである。
【0067】
また、本実施例に係るX線CT装置1によれば、操作性に優れ、最適なCT撮像条件を直感的に、少ない手順で設定することができる本実施例に係る表示装置30を備えることにより、CT撮像前に最適なCT撮像条件を予め設定することができる。したがって、CT撮像を再度行う必要がない。また、たとえCT撮像条件が適切でなかったとしても、本実施例のように例えばプレビュー画像10dを表示することにより、CT撮像前にCT撮像条件を再設定(変更)することができ、最適な再構成画像が得られるまでCT撮像を何回も繰り返す必要がない。
【0068】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0069】
(1)上述した実施例では、マウスでクリックすることにより、コントロール(上述した実施例ではアイコン10a)を選択し、ドロップダウンリスト10g(
図2を参照)をクリックして一覧から材質を選択したが、入力部9(
図1を参照)をタッチパネルで構成することで、モニタ10(
図1を参照)が入力部9の機能を兼用して、ユーザがタッチパネルのコントロールを指で押して選択してもよい。
【0070】
(2)上述した実施例では、
図1に示す撮影態様であったが、トモシンセシス(tomosynthesis) などに例示されるように、断層撮影に関する撮影態様については特に限定されない。
【0071】
(3)上述した実施例では、複数のCT撮像条件のプリセットが登録されたコントロールとして、
図2に示すようにアイコン10aを用いたが、選択を含んだ入力設定を行うコントロールであれば、
図2に示すドロップダウンリスト10gをコントロールとして用いてもよい。その他に、選択を含んだ入力設定を行うコントロールとして、例えば、コンボボックスやラジオボタンやチェックボックスやタブなどがある。コンボボックスは、ユーザが値を直接入力することもできるし、既存のオプションから選択することもできるようにしたものである。ラジオボタンは、「オプションボタン」とも呼ばれ、事前定義された選択肢のうち1つを選択する場合に使用され、1つのボタンを選択(押下)すると、前回に選択(押下)されていたボタンが選択(押下)されていない状態に戻り、常に1つのボタンのみが選択(押下)されるようにしたものである。チェックボックスは、いくつかあるオプションから複数の項目を選択するのに使用されるようにしたものである。タブは、ドキュメントを切り替えて表示するためのものであり、タブの選択により管理するドキュメントを切り替えて表示させる仕組みとなっているものである。
【0072】
(4)上述した実施例では、材質の選択が可能なコントロールは、
図2に示すようにドロップダウンリスト10gであったが、上述したようなコンボボックス,ラジオボタン,チェックボックスまたはタブであってもよい。
【0073】
(5)上述した実施例では、指標は、
図2に示すように空間分解能(CT画像サイズ)10bおよび濃度分解能(コントラスト)10cであったが、画質に関連する2次元の指標であれば、空間分解能や濃度分解能以外でもよい。例えば、明暗や色柄の範囲を表現したダイナミックレンジや、ノイズに関するSN比などから2つのパラメータを選択して、選択された当該パラメータを、画質に関連する2次元の指標として用いてもよい。また、空間分解能または濃度分解能のいずれかから1つのパラメータを選択するとともに、ダイナミックレンジやSN比などから1つのパラメータを選択して、選択されたこれらのパラメータを、画質に関連する2次元の指標として用いてもよい。
【0074】
(6)上述した実施例では、
図2に示すように、CT撮像条件を選択した際に、選択された当該条件に対応した出力画像の目安となるイメージ図としてプレビュー画像10dを表示したが、必ずしもプレビュー画像を表示する必要はない。ただし、CT撮像や再構成処理しなくても、どのような出力画像が得られるかを確認するために、上述した実施例のようにプレビュー画像を表示するのが好ましい。
【0075】
(7)上述した実施例では、
図2に示すように、コントロールをアイコン10aとして表示画面(CT撮像条件設定画面10A)に各指標(空間分解能10bおよび濃度分解能10c)毎に沿って縦横に並べて配置したが、コントロールを、各指標毎に独立で表示してもよい。例えば、上述した実施例のように、指標が上述した空間分解能(すなわち解像度)および濃度分解能(コントラスト)である場合に、
図5に示すように、解像度、コントラストのそれぞれの設定の組み合わせにて、撮像条件をそれぞれ設定することができる。
【0076】
(8)上述した実施例では、設定されたCT撮像条件を表示する撮像条件表示手段(
図2では撮像条件表示部10e)を備えたが、必ずしも撮像条件表示手段(撮像条件表示部10e)を備える必要はない。ただし、設定されたCT撮像条件を確認するために、上述した実施例のように撮像条件表示手段(撮像条件表示部10e)を備えるのが好ましい。
【0077】
(9)上述した実施例では、設定されたCT撮像条件を決定するための入力を行う撮像条件入力決定手段(
図2では撮像条件入力決定ボタン10f)が撮像開始のボタンを兼ねるものであったが、それぞれを別のボタンとしてもよい。設定されたCT撮像条件が適切でないのにも関わらずCT撮像が自動的に行われてしまうのを防止するために、撮像開始ボタンとは別に撮像条件入力決定手段(撮像条件入力決定ボタン10f)を備えてもよい。すなわち、CT撮像条件が適切であるか否かを確認して、撮像条件が最適であるとユーザが判断した後に、撮像条件入力決定手段(撮像条件入力決定ボタン10f)への入力を行うことにより、当該CT撮像条件を決定するための入力を行い、あらためて撮像開始ボタンが押された時点で決定された当該CT撮像条件に基づいてCT撮像を行うようにしてもよい。
【0078】
(10)上述した実施例では、上述した実施例では、材質の選択が可能なコントロール(上述した実施例では
図2に示すドロップダウンリスト10g)を表示画面にさらに設け、当該コントロール(ドロップダウンリスト10g)を選択した際に、選択された当該コントロール(ドロップダウンリスト10g)に対応した各材質毎にCT撮像条件を設定したが、対象物(ワーク)が1種類であれば、必ずしも各材質毎にCT撮像条件を設定する必要はない。
【0079】
(11)ユーザが、プリセットを任意に変更あるいは追加するように構成してもよいし、選択する材質の内容を任意に変更あるいは材質の種類を任意に追加するように構成してもよい。このように、登録されたCT撮像条件のプリセットを編集可能に構成してもよい。