(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記止水パネルが立て起こされて立設された状態において、前記止水パネルの前記水域に面する前記一方の面と前記収納部の少なくとも一部との間に、遮水シートが設けられていて、前記水域の側から見て、前記止水パネルと前記収納部の間の隙間が、前記遮水シートによって塞がれていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の洪水防止止水構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであって、洪水の発生が予見される出水期のみに立設して供用することができ、かつ、迅速に供用可能な状態に構築することができる洪水防止止水構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下の洪水防止止水構造により、前記課題を解決したものである。
【0010】
即ち、本発明に係る洪水防止止水構造は、水域の岸に沿って設けられる洪水防止止水構造であって、立て起こす方向およびその反対方向に回動可能で、立設および横臥が可能な止水パネルと、立設した前記止水パネルを支持する支持部材と、を有してなり、前記止水パネルは、立て起こされて立設された状態において、対向する最大面積の面のうちの一方の面が前記水域に面するように配置されることを特徴とする洪水防止止水構造である。
【0011】
ここで、「前記止水パネルを支持する」とは、前記止水パネルを直接支持する場合だけでなく、他の部材を介して支持する場合も含む概念である。本願の他の箇所の記載においても、同様の記載については同様に解釈するものとする。
【0012】
前記水域の岸に沿って地盤の表面部に設けられた収納部をさらに備えさせ、前記止水パネルが、前記収納部に横臥状態で収納可能であるようにすることが好ましい。
【0013】
前記止水パネルは、上方から見て、前記収納部の領域内で立て起こして立設可能であることが好ましい。
【0014】
前記収納部は、前記水域の岸に沿って水平方向に延びる平板状の板状部と、上方から見て前記水域の岸に沿う方向に対して直交する位置関係に相当して、かつ前記板状部の両端部に、前記水域の岸に沿う方向に延びるように設けられていて、上方に突出する2列の凸部と、を備えていて、前記収納部には、前記板状部と前記2列の凸部によって溝部が形成されており、前記止水パネルおよび前記支持部材が、前記収納部の前記溝部の中に収納可能であるように構成してもよい。
【0015】
前記洪水防止止水構造は、さらに、回動機構部を備えており、前記回動機構部は、回動軸ならびに該回動軸の回りを回動可能な回動部位および該回動軸に対する位置が固定された固定部位を有してなり、前記回動部位は、前記止水パネルが立設された状態において、前記止水パネルの下端部に取り付けられており、前記固定部位は、前記収納部に固定されており、前記止水パネルは、前記回動機構部の前記回動軸の回りを回動して、立て起こす方向およびその反対方向に回動できるように構成してもよい。
【0016】
ここで、「前記止水パネルの下端部に取り付けられ」とは、前記止水パネルの下端部に直接取り付けられる場合だけでなく、他の部材を介して前記止水パネルの下端部に取り付けられる場合も含む概念であり、「前記収納部に固定」とは、前記収納部に直接固定される場合だけでなく、他の部材を介して前記収納部に固定される場合も含む概念である。本願の他の箇所の記載においても、同様の記載については同様に解釈するものとする。
【0017】
また、「止水パネルの下端部」とは、止水パネルの下端のことだけを意味するのではなく、止水パネルの下端を含んで一定の広がりを有する部位のことである。本願の他の箇所の記載においても、同様の記載については同様に解釈するものとする。
【0018】
前記支持部材は棒状部材であり、前記止水パネルが立て起こされて立設された状態において、前記支持部材の一端は前記止水パネルに連結され、前記支持部材の他端は前記収納部に連結され、前記支持部材は、前記止水パネルと前記収納部との間を架け渡す斜材となるように構成してもよい。
【0019】
ここで、「前記止水パネルに連結され」とは、前記止水パネルに直接連結される場合だけでなく、他の部材を介して前記止水パネルに連結される場合も含む概念であり、「前記収納部に連結され」とは、前記収納部に直接連結される場合だけでなく、他の部材を介して前記収納部に連結される場合も含む概念である。本願の他の箇所の記載においても、同様の記載については同様に解釈するものとする。
【0020】
また、斜材とは、水平方向に対して斜めになっている棒状部材のことである。
【0021】
前記止水パネルが立て起こされて立設された状態において、前記止水パネルの前記水域に面する前記一方の面と前記収納部の少なくとも一部との間に、遮水シートが設けられていて、前記水域の側から見て、前記止水パネルと前記収納部の間の隙間が、前記遮水シートによって塞がれているように構成してもよい。
【0022】
ここで、遮水シートとは遮水性を有するシート状の素材のことである。
【0023】
前記止水パネルは、立て起こされて立設された状態において、長手方向が前記水域の岸に沿う方向となるように配置されてもよい。
【0024】
前記止水パネルは、立て起こされて立設された状態において、前記水域に面する前記一方の面が、略鉛直面となるようにしてもよい。
【0025】
前記洪水防止止水構造は、さらに、下端部板状体を備えており、前記止水パネルが立て起こされて立設された状態において、前記下端部板状体は、長手方向が前記水域の岸に沿う方向となるように配置されるとともに、対向する最大面積の面のうちの一方の面が下面となるように前記止水パネルの下端部に取り付けられているように構成してもよい。
【0026】
前記洪水防止止水構造は、さらに、側端部板状体を備えており、前記止水パネルが立て起こされて立設された状態において、前記側端部板状体は、前記止水パネルの、前記水域の岸に沿う方向の両端部に取り付けられ、前記止水パネルの下端部から上端部にわたって配置され、前記側端部板状体の対向する最大面積の面は、前記止水パネルと直交し、前記止水パネルは、前記水域の岸に沿って複数設けられ、前記止水パネルが立て起こされて立設された状態において、前記水域の岸に沿う方向に隣り合う前記止水パネルに取り付けられた前記側端部板状体のうち、隣接する前記側端部板状体同士の間、および隣接する前記止水パネルの側端同士の間の少なくとも一部に、前記側端部板状体および前記止水パネルの略高さ方向に目地材が設けられているように構成してもよい。
【0027】
隣接する前記側端部板状体同士は、構造的に連結されていることが好ましい。
【0028】
ここで、「構造的に連結」とは、所定の力を伝達できるように考慮して連結されていることを意味する。
【0029】
隣接する前記側端部板状体同士は、ボルトによって構造的に連結してもよい。
【0030】
前記洪水防止止水構造は、さらに、上端部板状体を備えており、前記止水パネルが立て起こされて立設された状態において、前記上端部板状体は、長手方向が前記水域の岸に沿う方向となるように配置されるとともに、対向する最大面積の面のうちの一方の面が上面となるように前記止水パネルの上端部に取り付けられているように構成してもよい。
【0031】
前記止水パネルは、鋼板を有してなるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、洪水の発生が予見される出水期のみに立設して供用することができ、かつ、迅速に供用可能な状態に構築することができる洪水防止止水構造を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態では、適用対象となる水域の岸として河川の岸を取り上げて説明するが、本発明の適用対象となる水域の岸が河川の岸に限定されるわけではない。
【0035】
(1)第1実施形態
(1−1)第1実施形態に係る洪水防止止水構造の構成
本発明の第1実施形態に係る洪水防止止水構造10は、洪水のおそれがない通常の時期には止水パネル部20を横臥状態にして収納部50に収納しており、洪水の発生が予見される出水期のみに止水パネル部20を立設して、洪水防止止水構造としての供用を行う。以下の説明では、原則として、洪水防止止水構造10が立設状態にあることを念頭に置いて説明する。また、上下について言及している記載は、特段の記載がない限り、洪水防止止水構造10が立設状態にあるものとして上下の方向を判断するものとする。
【0036】
図1は、本発明の第1実施形態に係る立設状態の洪水防止止水構造10を示す断面図(河川102の岸に沿う方向と直交する平面で切断した断面図で、
図2および
図3のI−I線断面図)であり、
図2は、
図1のII−II線断面図であり、
図3は、
図1のIII−III線断面図である。
図4は、本発明の第1実施形態に係る洪水防止止水構造10が横臥状態(収納状態)にあるときの状態を上方から見た上面図であり、
図5は、
図4のV−V線断面図である。なお、
図4においては、遮水シート70の記載を省略し、
図5においては、支持部材40の記載を省略している。
【0037】
本発明の実施形態に係る洪水防止止水構造10は、止水パネル部20と、支持部材40と、収納部50と、回動機構部60と、遮水シート70と、を有してなる。また、洪水防止止水構造10は、
図2〜
図4に示すように、河川102の岸に沿う方向に、複数配置されている。
【0038】
以下、各部位(止水パネル部20、支持部材40、収納部50、回動機構部60、遮水シート70)について順に説明する。
【0039】
(1−1−1)止水パネル部20の構成
止水パネル部20は、立て起こす方向およびその反対方向に回動可能で、立設および横臥が可能な部位であり、立設状態において、洪水の水圧を直接的に受け止める部位である。止水パネル部20は、立設状態において支持部材40から支持されることで、立設状態が維持される。また、止水パネル部20は、横臥状態で収納部50に収納される。
【0040】
止水パネル部20は、止水パネル22と、下端部板状体24と、側端部板状体26と、上端部板状体28と、中央部板状体30と、中間部板状体32と、U型連結部材34と、目地材36とを有してなる。
【0041】
止水パネル22は、例えば厚さ6mmほどの鋼板からなるパネルで、板状体である。止水パネル22は、立設状態において、その外面22A(
図1参照)が河川102の側に位置して河川102に面する略鉛直面となり、その長手方向が河川102に沿う方向となる。河川102が氾濫して水があふれ出たとき、立設状態の止水パネル22が、あふれ出た水を直接的に堰き止める。また、止水パネル22の大きさは、幅(河川102に沿う方向の幅)が4m程度で、高さが1m程度である。止水パネル22の厚さおよび大きさは、洪水時に想定される水圧や洪水防止止水構造10の高さ等に応じて、適宜に変更してもよい。
【0042】
止水パネル22の外面22Aは、止水パネル22の内外面のうち、立設状態において河川102に面する面のことであり、横臥状態において上面となる面である。また、止水パネル22の内面22Bは、立設状態において陸側104を向く面であり、横臥状態において下面となる面である。また、止水パネル22の外面22Aおよび内面22Bは、止水パネル22の対向する最大面積の面である。
【0043】
止水パネル22の内面22Bには、下端部板状体24、側端部板状体26、上端部板状体28、中央部板状体30、中間部板状体32が溶接で取り付けられており、それらの板状体によって、4m×1m程度の大きさの鋼板である止水パネル22は補強されている。なお、下端部板状体24、側端部板状体26、上端部板状体28、中央部板状体30、中間部板状体32はいずれも鋼板である。
【0044】
図4および
図5に示す横臥状態(収納状態)において、止水パネル22の上面を車両等の重量物が通行する場合には、適宜に止水パネル22の厚さを厚くするとともに、止水パネル22の内面22Bに適宜に密な間隔でリブ材等をさらに設けて補強する。
【0045】
また、止水パネル22の上方に適宜に蓋材等を設けて、車両等の重量物の荷重が直接的に止水パネル22の上面に加わらないようにしてもよい。
【0046】
なお、止水パネル22の表面に、防食のための処理を施してもよく、防食のための処理としては、例えば、モルタル吹き付けや亜鉛メッキ、塗装等を挙げることができる。
【0047】
下端部板状体24は、厚さ12mmで幅(止水パネル22の内面22Bと直交する方向の幅)100mm程度の細長い鋼板からなる板状体である。下端部板状体24は、長手方向が止水パネル22の幅方向(河川102に沿う方向)となるように配置されて、その下面24Aの位置が止水パネル22の下端よりもわずかに(例えば20〜30mm程度)上となるような位置において、止水パネル22の内面22Bに、対向する最大面積の面のうちの一方の面が下面24Aとなるように、溶接で取り付けられる。下端部板状体24は、止水パネル22の河川102に沿う方向の端から端まで達するように配置されており、下端部板状体24の長さは、止水パネル22の幅(河川102に沿う方向の幅)と同じ長さであり、4m程度である。下端部板状体24は、止水パネル22を補強する役割を有する。
【0048】
また、下端部板状体24の下面24Aには、回動機構部60の回動部位64が溶接で取り付けられており、下端部板状体24は、回動機構部60と連結するための部位としての役割も有する。
【0049】
上端部板状体28は、厚さ12mmで幅(止水パネル22の内面22Bと直交する方向の幅)100mm程度の細長い鋼板からなる板状体である。上端部板状体28は、長手方向が止水パネル22の幅方向(河川102に沿う方向)となるように配置されて、その上面28Aの位置が止水パネル22の上端と略一致するような位置において、止水パネル22の内面22Bに、対向する最大面積の面のうちの一方の面が上面28Aとなるように、溶接で取り付けられる。上端部板状体28は、止水パネル22の河川102に沿う方向の端から端まで達するように配置されており、上端部板状体28の長さは、止水パネル22の幅(河川102に沿う方向の幅)と同じ長さであり、4m程度である。上端部板状体28は、止水パネル22を補強する役割を有する。
【0050】
なお、下端部板状体24および上端部板状体28の形状は前記した形状(厚さ12mm、幅100mm、長さ4m程度)に限定されるわけではなく、厚さ、幅、長さを適宜に変更してもよい。ただし、下端部板状体24および上端部板状体28の長さは、止水パネル22の幅(本第1実施形態では4m程度)に合わせることが、補強効果の点で好ましい。
【0051】
側端部板状体26は、厚さ12mmで幅(止水パネル22の内面22Bと直交する方向の幅)100mm、長さ1000mm程度の細長い鋼板からなる板状体であり、対向する最大面積の面が止水パネル22の内面22Bと直交するような配置状態で、長手方向が上下方向(止水パネル部20の立設状態における上下方向)となるように、止水パネル22の内面22Bの両端部(河川102に沿う方向の両端部)に溶接で取り付けられている。また、側端部板状体26の下端は下端部板状体24の上面に当接して溶接され、側端部板状体26の上端は上端部板状体28の下面に当接して溶接されている。
【0052】
止水パネル22の内面22Bの両端部に取り付けられた側端部板状体26のうちの一方には、
図2および
図3に示すように、内側(止水パネル22の中央寄りの側)の側面26Aの上端寄りの位置にU型連結部材34が溶接で取り付けられている。止水パネル部20が立設状態にある時、U型連結部材34の下辺部34A(
図7参照)に、支持部材40の上端連結部44が連結して、止水パネル部20は、U型連結部材34を介して支持部材40によって支持される。
【0053】
また、隣り合う洪水防止止水構造10の隣接する側端部板状体26同士の間および隣り合う洪水防止止水構造10の隣接する止水パネル22の側端同士の間には、目地材36が設けられ、隣接する側端部板状体26同士の間および隣接する止水パネル22の側端同士の間の隙間が塞がれる。
【0054】
また、隣接する側端部板状体26同士の間を目地材36で塞ぐだけでなく、隣接する側端部板状体26同士をボルト26B等によって構造的に連結することが好ましい。このようにすることで、隣り合う洪水防止止水構造10同士は構造的に連結されることになり、洪水時に流木等が1つの洪水防止止水構造10に衝突しても、その際に加わる外力は隣の洪水防止止水構造10にも伝達されるので、流木等が衝突した洪水防止止水構造10が倒壊することを防止することができる。
【0055】
以上のことから、側端部板状体26は、4m×1m程度の大きさの面を有する止水パネル22を補強する役割だけでなく、止水パネル部20を構成する部材の1つとして、支持部材40からの支持力を受け止める役割を有し、さらに、必要に応じて、隣接する側端部板状体26同士の間に目地材36を保持し、隣接する側端部板状体26同士の間および隣接する止水パネル22の側端同士の間の隙間を塞ぐ役割、および、隣り合う洪水防止止水構造10同士を構造的に連結する役割を果たすこともできる。
【0056】
なお、本実施形態では、隣接する側端部板状体26同士をボルト26Bによって構造的に連結しているため、止水パネル22の内面22Bの両端部に取り付けられた側端部板状体26のうちの一方のみにU型連結部材34を設けて支持部材40に支持させるようにしたが、ボルト26Bを設けない場合には、止水パネル22の内面22Bの両端部に取り付けられた側端部板状体26の両方にU型連結部材34を設けて支持部材40に支持させるようにする。
【0057】
また、側端部板状体26の形状は前記した厚さ(12mm)および幅(100mm)に限定されるわけではなく、厚さおよび幅を適宜に変更してもよい。
【0058】
中央部板状体30は、厚さ12mmで幅(止水パネル22の内面22Bと直交する方向の幅)100mm、長さ1000mm程度の細長い鋼板からなる板状体であり、対向する最大面積の面が止水パネル22の内面22Bと直交するような配置状態で、長手方向が上下方向(止水パネル部20の立設状態における上下方向)となるように、止水パネル22の内面22Bの中央部(河川102に沿う方向の中央部)に溶接で取り付けられている。また、中央部板状体30の下端は下端部板状体24の上面に当接して溶接され、中央部板状体30の上端は上端部板状体28の下面に当接して溶接されている。さらに、
図2および
図3に示すように、中央部板状体30の側面30Aの上端寄りの位置にU型連結部材34が溶接で取り付けられている。止水パネル部20が立設状態にある時、U型連結部材34の下辺部34A(
図7参照)には、支持部材40の上端連結部44が連結して、止水パネル部20は、U型連結部材34を介して支持部材40によって支持される。
【0059】
したがって、中央部板状体30は、4m×1m程度の大きさの面を有する止水パネル22を補強する役割だけでなく、止水パネル部20を構成する部材の1つとして、支持部材40からの支持力を受け止める役割を有する。
【0060】
なお、中央部板状体30の形状は前記した形状(厚さ12mm、幅100mm、長さ1000mm程度)に限定されるわけではなく、厚さ、幅、長さを適宜に変更してもよい。ただし、中央部板状体30の長さは、止水パネル22の高さ(本第1実施形態では1m程度)に合わせることが、補強効果の点で好ましい。また、U型連結部材34が溶接で取り付けられる上端部の省略は不可である。
【0061】
中間部板状体32は、厚さ12mmで幅(止水パネル22の内面22Bと直交する方向の幅)100mm、長さ1000mm程度の細長い鋼板からなる板状体であり、対向する最大面積の面が止水パネル22の内面22Bと直交するような配置状態で、長手方向が上下方向(止水パネル部20の立設状態における上下方向)となるように、止水パネル22の内面22Bの中間部(止水パネル22の河川102に沿う方向の中央部と両端部との間の中間地点)に溶接で取り付けられている。また、中間部板状体32の下端は下端部板状体24の上面に当接して溶接され、中間部板状体32の上端は上端部板状体28の下面に当接して溶接されている。中間部板状体32は、止水パネル22を補強する役割を有する。
【0062】
なお、中間部板状体32の形状は前記した形状(厚さ12mm、幅100mm、長さ1000mm程度)に限定されるわけではなく、厚さ、幅、長さを適宜に変更してもよい。ただし、中間部板状体32の長さは、止水パネル22の高さ(本第1実施形態では1m程度)に合わせることが、補強効果の点で好ましい。
【0063】
目地材36は、隣接する側端部板状体26同士の間および隣接する止水パネル22の側端同士の間の隙間を塞ぐ役割を有する。また、目地材36は、止水パネル22の熱膨張および熱収縮を吸収する役割も有する。
【0064】
また、目地材36は、河川102の側とその反対側とを連通する隙間を残さないように、河川102に沿う方向に隣り合う止水パネル22に取り付けられた側端部板状体26のうち、隣接する側端部板状体26同士の間、および隣接する止水パネル22の側端同士の間の少なくとも一部に、側端部板状体26および止水パネル22の略高さ方向に途切れることなく、一列状に設けられる。
【0065】
目地材36としては、弾力性があって形状追従性に優れた材料を採用することが好ましく、また、屋外での使用となるため、紫外線劣化しにくい材料を採用することが好ましい。具体的には、例えば、エラスタイトや紫外線劣化しにくいゴム等を採用することができる。
【0066】
本第1実施形態に係る洪水防止止水構造10では、隣接する側端部板状体26同士の間および隣接する止水パネル22の側端同士の間の隙間が、前述のように目地材36で塞がれるので、本第1実施形態に係る洪水防止止水構造10は、止水性能に優れる。また、目地材36が配置される領域の幅(止水パネル22の内面22Bと直交する方向の幅)は、側端部板状体26の幅(止水パネル22の内面22Bと直交する方向の幅)である100mmに止水パネル22の厚さ6mmを加えた長さである106mmもあり、目地材36によって水を遮断する領域の幅が大きくなり、本第1実施形態に係る洪水防止止水構造10は、止水性能がより高められている。
【0067】
なお、上端部板状体28および中間部板状体32は、止水パネル22に取り付けることが原則であるが、適宜に省略することも可能である。
【0068】
また、目地材36は、隣接する側端部板状体26同士の間、および隣接する止水パネル22の側端同士の間の隙間を全て埋め尽くすように配置するのが原則であるが、隣接する側端部板状体26同士の間および止水パネル22の側端同士の間の隙間に配置する目地材36の一部を省略することも可能である。ただし、目地材36は、河川102の側とその反対側(陸側104)とを連通する隙間を残さないように、河川102に沿う方向に隣り合う止水パネル22に取り付けられた側端部板状体26のうち、隣接する側端部板状体26同士の間、および隣接する止水パネル22の側端同士の間の少なくとも一部に、側端部板状体26および止水パネル22の略高さ方向に途切れることなく、一列状に配置することが必要である。
【0069】
(1−1−2)支持部材40の構成
支持部材40は、立設状態の止水パネル部20を支持する部材である。
【0070】
支持部材40は、支柱部42と、上端連結部44と、下端連結部46と、を有してなる。
【0071】
支柱部42は、支持部材40の本体部となる部位で、角筒状の形状の鋼管であり、その断面形状は、具体的には例えば、外形が100mm×100mm程度の角形である。ただし、支柱部42の前記した寸法は、具体的な寸法例を示しただけであり、支柱部42の形状が、前記した寸法に限定されるわけではない。また、支柱部42の形状は角筒状でなくてもよく、例えば円筒状であってもよい。
【0072】
図6は、止水パネル部20のU型連結部材34と支持部材40の上端連結部44との連結部(中央部板状体30における連結部)を拡大して示す拡大図(河川102の岸に沿う方向から見た拡大図)であり、
図7は、
図6のVII−VII線断面図である。
図6は、中央部板状体30における連結部を示しているが、側端部板状体26における連結態様(U型連結部材34と支持部材40の上端連結部44との連結態様)も同様である。
【0073】
上端連結部44は、止水パネル部20のU型連結部材34と連結するとともに支柱部42と接続する部位であり、支柱部42の上端に取り付けられている。
【0074】
上端連結部44は、先端連結鋼板44Aと、エンドプレート44Bと、を有してなる。
【0075】
先端連結鋼板44Aは、
図6に示すように、細長い楕円状の鋼板を2等分したような形状であり、その先端部には、U型連結部材34に挿通される貫通孔44A1が設けられている。先端連結鋼板44Aの貫通孔44A1をU型連結部材34が挿通して、支持部材40はU型連結部材34と連結している。先端連結鋼板44Aの厚さは、具体的には例えば12mm程度である。
【0076】
エンドプレート44Bは、角筒状の支柱部42の上端部に当接して溶接されている鋼板であり、先端連結鋼板44Aを支柱部42と良好に連結させる役割を有する。角筒状の鋼管である支柱部42に先端連結鋼板44Aを直接溶接して連結させようとしても、良好な連結は困難であるが、角筒状の支柱部42と先端連結鋼板44Aとの間にエンドプレート44Bを介在させて、角筒状の支柱部42とエンドプレート44Bとの間で溶接するとともに、先端連結鋼板44Aとエンドプレート44Bとの間で溶接することによって、角筒状の支柱部42と先端連結鋼板44Aとを良好に連結させることができる。
【0077】
エンドプレート44Bの大きさは、角筒状の支柱部42の断面(長手方向と直交する平面で切断した断面)の外形よりも一回り大きいことが好ましく、具体的には例えば、角筒状の支柱部42の外周面よりも外側の部位の幅が、全周にわたって10mm程度となるような大きさが標準的である。
【0078】
なお、
図2では、エンドプレート44Bがコの字状に描かれているが、これは、支柱部42が水平方向に対して斜めになっているため、エンドプレート44Bも、水平方向に対して斜めになっていることが原因であり、実際には、エンドプレート44Bは、支柱部42の外周の全周にわたって、一定の幅だけはみ出した状態になっている。
【0079】
止水パネル部20が立設状態にある時、U型連結部材34の下辺部34A(
図7参照)には、支持部材40の上端連結部44の先端連結鋼板44Aが連結して、止水パネル部20は、U型連結部材34を介して支持部材40によって支持される。先端連結鋼板44AとU型連結部材34との連結をより安定させるため、U型連結部材34の下辺部34Aに割ピン用の貫通孔34B(
図7参照)を設けておき、U型連結部材34の下辺部34Aに先端連結鋼板44Aを連結させた後、前記割ピン用の貫通孔34Bに割ピン(図示せず)を差し込み、先端連結鋼板44AがU型連結部材34の下辺部34Aから移動できないようにしておくことが好ましい。
【0080】
下端連結部46は、収納部50と連結する部位であり、支柱部42の下端に取り付けられたフランジ鋼板である。
図1に示すように、支柱部42の下端は、支柱部42の長手方向に対して約45°に切断されており、その切断面に下端連結部46は溶接で取り付けられている。
【0081】
下端連結部46には、ダボ46Aが挿通するダボ貫通孔が設けられており、下端連結部46は、ダボ46Aによって収納部50の板状部52の上面に設けられた固定鋼板52Aに固定される。固定鋼板52Aは、アンカー52Bによって、収納部50の板状部52の上面に固定されており、また、固定鋼板52Aには、ダボ46Aが挿通するダボ貫通孔が設けられている。さらに、板状部52の上面には、固定鋼板52Aのダボ貫通孔の下の位置に、ダボ46Aが挿入されるダボ穴52Cが設けられている。つまり、ダボ46Aを、下端連結部46のダボ貫通孔および固定鋼板52Aのダボ貫通孔に挿通させ、さらにダボ穴52Cに差し込むことにより、下端連結部46は、ダボ46Aによって収納部50の板状部52の上面に設けられた固定鋼板52Aに固定される。
【0082】
下端連結部46を、板状部52の上面に設けられた固定鋼板52Aにダボ46Aを用いて固定することで、止水パネル部20は、
図1に示すように、水平方向に対して約45度の角度をなす斜材である支持部材40によって支持されて、立設状態が維持される。
【0083】
また、支持部材40は、止水パネル部20が横臥状態のとき、
図4に示すように、収納部50に収納可能である。
【0084】
(1−1−3)収納部50の構成
収納部50は、横臥状態の止水パネル部20および支持部材40を収納する部位であり、河川102に沿って地盤100の表面部に設けられている。
【0085】
収納部50は、板状部52と、凸部54、56とを有してなる。
【0086】
板状部52は、河川102の岸に沿って水平方向に延びる細長い平板状のコンクリート部材からなるが、コンクリート以外の材質で形成してもよい。
【0087】
凸部54、56は、上方から見て前記水域の岸に沿う方向に対して直交する位置関係にあり、かつ、凸部54、56は、板状部52の両端部に、河川102の岸に沿う方向に延びるように設けられていて、上方に突出する2列の凸部であり、コンクリート製であるが、コンクリート以外の材質で形成してもよい。
【0088】
収納部50には、板状部52と2列の凸部54、56によって溝部58が形成されている。凸部54は河川102に近い方の凸部であり、凸部56は河川102から遠い方の凸部である。
【0089】
止水パネル部20および支持部材40は、
図4および
図5に示すように、止水パネル部20が横臥している状態において、収納部50の溝部58の中に収納可能である。
【0090】
また、
図1〜
図5に示すように、止水パネル22は、上方から見て、収納部50の領域内で横臥と立設が可能であり、河川102の急な増水等によって、河川102に沿って洪水防止止水構造を構築する必要が生じた場合でも、他の場所から部材を運搬することなく、収納部50に収納した止水パネル部20を立て起こして支持部材40に支持させることで、立設状態の洪水防止止水構造10を構築することができる。
【0091】
(1−1−4)回動機構部60の構成
回動機構部60は、止水パネル部20を立て起こすように回動させて立設状態にするとともに、止水パネル部20をその反対方向に回動させて横臥状態にすることを可能とする部位である。
【0092】
回動機構部60は、回動軸62ならびに該回動軸62の回りを回動可能な回動部位64および該回動軸62に対する位置が固定された固定部位66を有してなる。
【0093】
回動軸62は、止水パネル部20が回動する際の軸となる部位であり、丸鋼で構成されている。
【0094】
回動部位64は、止水パネル22の下端部および下端部板状体24の下面24Aに取り付けられており、固定部位66は、凸部54に固定されており、止水パネル部20は、回動機構部60の回動軸62の回りを回動して、立て起こす方向およびその反対方向に回動することができる。なお、固定部位66は、板状部52に固定するようにしてもよい。
【0095】
回動部位64は、
図1に示すように、細長い楕円状の鋼板を2等分したような形状であり、その一端部(立設状態における上端部)は下端部板状体24の下面24Aおよび止水パネル22の内面22Bの下端部に溶接されており、他端部(立設状態における下端部)には回動軸62が挿通される回動軸貫通孔64Aが設けられている。回動部位64の厚さは、具体的には例えば12mm程度である。
【0096】
固定部位66は、
図1に示すように、細長い楕円状の鋼板を2等分したような形状であり、その一端部(河川102寄りの端部)は収納部50の凸部54に埋め込まれて固定されており、他端部(陸側104寄りの端部)には回動軸62が挿通される回動軸貫通孔66Aが設けられている。
【0097】
回動軸62は、回動部位64の回動軸貫通孔64Aと固定部位66の回動軸貫通孔66Aとを挿通しており、止水パネル部20は、回動軸62を中心軸として回動できるようになっている。
【0098】
(1−1−5)遮水シート70
図1に示すように、止水パネル部20が立て起こされて立設された状態において、止水パネル22の水域に面する外面22Aの下部と収納部50の凸部54の上面との間を架け渡すように、遮水シート70が外面22Aの下部ならびに凸部54の上面および凸部54の河川側の面に取り付けられていて、河川102の側から見て、止水パネル22と収納部50との間の隙間が、遮水シート70によって塞がれている。このため、止水パネル22と収納部50との間の隙間から、陸側104へと水が浸入することが防止されている。
【0099】
遮水シート70は、遮水性を有するシート状の素材であり、止水パネル22を横臥状態から立設状態に立て起こしても、その動きに追従できるような柔軟性も有する素材である。遮水シート70として、具体的には例えば、帆布を用いることができる。
【0100】
遮水シート70は、
図5に示すように、止水パネル部20が横臥した状態の時から取り付けておいてもよいが、止水パネル部20を立設する際に取り付けてもよい。
【0101】
(1−2)第1実施形態に係る洪水防止止水構造の構築方法
第1実施形態に係る洪水防止止水構造10を構築する構築方法としては、具体的には例えば、工場においてプレキャストコンクリート部材で収納部50を作製して現場に搬入して設置する方法と、現場でコンクリートを打設して収納部50を構築する方法があり、どちらを採用するかは、現場の状況や求められる工期等に応じて決定すればよい。ここでは、工場においてプレキャストコンクリート部材で収納部50を作製して、現場に搬入して設置する方法について、以下説明する。
【0102】
(ステップS1)工場において、プレキャストコンクリート部材で収納部50を作製する。その際、回動機構部60の固定部位66の一端を、収納部50の凸部54に埋め込んで固定する。
【0103】
また、止水パネル部20を工場で製作するとともに、さらに作製した止水パネル部20に、回動機構部60の回動部位64を取り付ける。
【0104】
(ステップS2)河川102の岸において、河川102に沿う方向に、収納部50の形状に合わせて穴を掘る。
【0105】
(ステップS3)工場で製作した収納部50を、河川102の岸の所定の位置にステップS2で掘った穴に設置する。その際、回動機構部60の固定部位66の一端を埋め込んだ凸部54が河川102に近い側となるように留意する。
【0106】
(ステップS4)回動機構部60の回動部位64を取り付けた止水パネル部20(ステップS1で作製)を現場に搬入し、収納部50の凸部54に埋め込んで固定された固定部位66に、回動部位64を回動軸62を介して連結し、止水パネル部20を収納部50内に設置する。
【0107】
以上のようにして、本第1実施形態に係る洪水防止止水構造10を構築することができる。
【0108】
なお、前述したように、現場でコンクリートを打設して収納部50を構築してもよい。
【0109】
また、以上説明した構築方法では、現場に設置した収納部50に、止水パネル部20を取り付けるようにしたが、収納部50への止水パネル部20の取り付けも工場において行ってしまって、現場での作業をさらに少なくするようにしてもよい。
【0110】
(1−3)第1実施形態に係る洪水防止止水構造の効果
本第1実施形態に係る洪水防止止水構造10においては、止水パネル部20を立て起こす方向およびその反対方向に回動させることが可能で、止水パネル部20を立設させた状態にすることおよび横臥させた状態にすることが可能である。
【0111】
したがって、本第1実施形態に係る洪水防止止水構造10は、洪水のおそれがない通常の時期は止水パネル部20を横臥状態にして収納部50に収納しておくことができ、洪水の発生が予見される出水期のみに止水パネル部20を立設して、洪水防止止水構造としての供用を行うことができる。
【0112】
したがって、洪水のおそれがない通常の時期は、洪水防止止水構造10は収納部50に収納しておいて、供用しないようにすることができるので、本第1実施形態に係る洪水防止止水構造10は、景観が重視される景勝地等に好適に用いることができる。
【0113】
また、横臥状態(収納状態)における止水パネル部の上方を車両が通行できるようにした場合には、河川に沿う道路に、本第1実施形態に係る洪水防止止水構造10を適用することもでき、この場合、洪水のおそれがない通常の時期は、止水パネル部20を横臥状態(収納状態)にしておくことにより、道路幅員を全く狭めないようにすることができる。
【0114】
また、本第1実施形態に係る洪水防止止水構造10の止水パネル部20、支持部材40および回動機構部60は、ほとんどの部位が鋼材で製作可能であり、軽量化でき、現場への運搬時および据え付け時の作業性に優れる。また、収納部50はプレキャスト化可能であり、本第1実施形態に係る洪水防止止水構造10のほとんどの部分は、工場で製作して組み立てられた状態で現場に搬入することが可能であるので、現場作業の軽減および容易化を実現することができ、現場での工期も短くすることができる。
【0115】
また、隣接する側端部板状体26同士の間および隣接する止水パネル22の側端同士の間の隙間が、目地材36で塞がれ、また止水パネル部20と収納部50との間の隙間は遮水シート70で塞がれるので、本第1実施形態に係る洪水防止止水構造10は、止水性能に優れる。
【0116】
また、隣接する側端部板状体26同士の間を目地材36で塞ぐだけでなく、隣接する側端部板状体26同士をボルト26B等によって構造的に連結した場合には、隣り合う洪水防止止水構造10同士は構造的に連結されることになり、洪水時に流木等が1つの洪水防止止水構造10に衝突しても、その際に加わる外力は隣の洪水防止止水構造10にも伝達されるので、流木等が衝突した洪水防止止水構造10が倒壊することを防止することができる。
【0117】
(2)第2実施形態
図8は、本発明の第2実施形態に係る立設状態の洪水防止止水構造80を示す断面図(河川102の岸に沿う方向と直交する平面で切断した断面図で、
図9および
図10のVIII−VIII線断面図)であり、
図9は、
図8のIX−IX線断面図であり、
図10は、
図8のX−X線断面図である。
【0118】
第1実施形態に係る洪水防止止水構造10においては、止水パネル部20が立設状態にある時、U型連結部材34の下辺部34Aには、支持部材40の上端連結部44が連結して、止水パネル部20は、U型連結部材34を介して支持部材40によって支持されるが、止水パネル部20が横臥状態にある時でも、支持部材40の上端連結部44の貫通孔44A1にはU型連結部材34が挿通しており、止水パネル部20と支持部材40とは連結された状態にある。
【0119】
これに対し、本第2実施形態に係る洪水防止止水構造80においては、止水パネル部82はU型連結部材34を備えておらず、止水パネル部82が横臥状態にある時、支持部材40は止水パネル部82と連結しておらず、止水パネル部82が立設状態にある時のみ、
図8〜
図10に示すように、支持部材40はボルト84によって側端部板状体26および中央部板状体30と連結し、止水パネル部82に連結される。
【0120】
上記以外の点は、本第2実施形態に係る洪水防止止水構造80は、第1実施形態に係る洪水防止止水構造10と同様であるので、第1実施形態に係る洪水防止止水構造10と対応する部材及び部位には同一の符号を付して説明は省略する。
【0121】
本第2実施形態に係る洪水防止止水構造80においては、前述したように、止水パネル部82が横臥状態にある時、支持部材40は止水パネル部82と連結しておらず、支持部材40と止水パネル部82とは別体となっている。しかしながら、洪水防止止水構造としての供用がなされておらず止水パネル部82が横臥状態(収納状態)にある時でも、支持部材40およびボルト84を止水パネル部82と一緒に収納部50に収納して保管しておくようにする。このように収納して保管しておくことにより、洪水防止止水構造としての供用が必要となった時、迅速に止水パネル部82を立設して、洪水防止止水構造80を構築することができる。
【解決手段】水域102の岸に沿って設けられる洪水防止止水構造であって、立て起こす方向およびその反対方向に回動可能で、立設および横臥が可能な止水パネル22と、立設した止水パネル22を支持する支持部材40と、を有してなり、止水パネル22は、立て起こされて立設された状態において、対向する最大面積の面のうちの一方の面22Aが水域102に面するように配置される。