特許第6519734号(P6519734)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社サタケの特許一覧

特許6519734カントリーエレベータにおけるサイロ用昇降機の建屋
<>
  • 特許6519734-カントリーエレベータにおけるサイロ用昇降機の建屋 図000002
  • 特許6519734-カントリーエレベータにおけるサイロ用昇降機の建屋 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6519734
(24)【登録日】2019年5月10日
(45)【発行日】2019年5月29日
(54)【発明の名称】カントリーエレベータにおけるサイロ用昇降機の建屋
(51)【国際特許分類】
   E04H 7/22 20060101AFI20190520BHJP
   A01F 25/00 20060101ALI20190520BHJP
   A01F 25/14 20060101ALI20190520BHJP
【FI】
   E04H7/22
   A01F25/00 E
   A01F25/14
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-49388(P2015-49388)
(22)【出願日】2015年3月12日
(65)【公開番号】特開2016-169510(P2016-169510A)
(43)【公開日】2016年9月23日
【審査請求日】2018年2月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(72)【発明者】
【氏名】中本 昭彦
(72)【発明者】
【氏名】清家 暢隆
【審査官】 小池 俊次
(56)【参考文献】
【文献】 特開平5−301052(JP,A)
【文献】 特開平11−075528(JP,A)
【文献】 特開平05−007424(JP,A)
【文献】 米国特許第04563844(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 7/22
A01F 25/00
A01F 25/14
B65G 65/30−65/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械室建屋と並設される穀物貯留用のサイロを二列状に配列するとと
もに、前記サイロ列の上部には各サイロに穀物を振分け投入するための横送り
コンベアを横設し、互いに隣接する前記サイロ4基で囲まれる空間をそれぞ
れ間隙サイロに形成してなるカントリーエレベータにおいて、
前記サイロ4基で囲まれる空間のうち最も前記機械室に近い空間には前
記間隙サイロに代えて前記横送コンベアと連絡するサイロ用昇降機を立設す
るとともに、前記サイロの天板部に、前記サイロ用昇降機の上部を覆う建屋を
設け、さらに、前記サイロ用昇降機の排出用シュートを前記横送コンベアの搬
送始端側に接続したことを特徴とするカントリーエレベータ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は大規模穀物乾燥調整貯蔵施設(カントリーエレベータ)に係り、特に、カントリーエレベータにおける穀物貯留サイロに穀物を投入する昇降機の建屋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カントリーエレベータは周知である(例えば、特許文献1乃至3を参照)。
この種のカントリーエレベータにおいては、生産者から穀物を受け入れるとともに夾(きょう)雑物を除去する荷受・粗選設備、生籾を乾燥する乾燥機、乾燥後の籾米を精選する精選設備、精選後の籾米を籾摺りする調製設備、及び玄米の出荷設備等を備える。そして、前記各設備類を収納する機械室建屋が設けられるとともに、この機械室建屋に近接して籾米を貯留するサイロが設置される。前記サイロは、通常、二列状に8乃至10基程度の本サイロ(主サイロ)が近接して連設されるとともに、各本サイロ間で形成される空間を間隙サイロ(副サイロ)に形成する。
【0003】
前記機械室建屋内の各設備は昇降機(バケットエレベータ)や横送りコンベア(フローコンベア等)からなる各種搬送機によって互いに接続されている。そして、これらの設備と前記サイロ列とを連絡するサイロ用昇降機が立設され、前記各設備と各サイロとの間で穀物の移動が行われる(特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に記載されるように、少なくとも高さ20m以上のこの種の穀物貯留サイロへ穀物を投入するための昇降機は、機械室建屋内における前記各設備用昇降機の高さに比して著しく大きい。そのため、該サイロ用昇降機は、サイロ列と機械室建屋との間にあって、専用の昇降機用建屋を必要とした。該昇降機用建屋の設置工事は危険な高所作業が多く、工期も長くなり、カントリーエレベータの製造コスト高を招いていた。
【0005】
特許文献2においては、サイロ列の一側中央に近接してサイロ用昇降機を立設するとともに、該サイロ昇降機の上部を覆う屋根部材を設けた記載があるが、この場合は、屋根で覆われるサイロ昇降機の上部以外は風雨にさらされることとなり、該昇降機の耐久性の問題や雨漏りの懸念が残る。このサイロ昇降機全体を覆うためには地上から建屋を構築することになり、前述のように、コストをかけて危険な長期工事を余儀なくされる。
なお、屋外用の耐久性の高い昇降機を用いることも選択できるが、この場合は、昇降機自体がかなり高額なものとなり、コスト高が解消できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭63−32067
【特許文献2】実公昭63−26348
【特許文献3】特開平5−301052
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、建設工事を安全に、比較的短期間に、かつコスト安にすることができるカントリーエレベータにおけるサイロ用昇降機の建屋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、
機械室建屋と並設される穀物貯留用のサイロを二列状に配列するとと
もに、前記サイロ列の上部には各サイロに穀物を振分け投入するための横送り
コンベアを横設し、互いに隣接する前記サイロ4基で囲まれる空間をそれぞ
れ間隙サイロに形成してなるカントリーエレベータにおいて、
前記サイロ4基で囲まれる空間のうち最も前記機械室に近い空間には前
記間隙サイロに代えて前記横送コンベアと連絡するサイロ用昇降機を立設す
るとともに、前記サイロの天板部に、前記サイロ用昇降機の上部を覆う建屋を
設け、さらに、前記サイロ用昇降機の排出用シュートを前記横送コンベアの搬
送始端側に接続したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のカントリーエレベータのサイロ用昇降機は、互いに近接するサイロ4基で形成される空間の一つに前記サイロ用昇降機を立設するとともに、前記サイロの天板部に前記サイロ用昇降機の上部を覆う屋根構築物を設けたので、サイロ用昇降機専用の建屋を地上部分から造り上げる必要がなく、工期が短縮され、安全で安価な工事でカントリーエレベータの建築コストを大幅に軽減できる。
【0011】
また、本発明は、サイロ用昇降機を、サイロ列で形成される空間のうち最も前記機械室に近い空間内に設けるので、機械室建屋内の各設備から該サイロ用昇降機までの搬送経路短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態におけるカントリーエレベータの斜視図。
図2図1のカントリーエレベータの平面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施の形態におけるカントリーエレベータの斜視図であり、図2は、図1のカントリーエレベータの平面図を示す。
機械室建屋1内には、荷受ホッパ3、粗選装置4等からなる荷受・粗選設備2と、枝梗を除去する脱芒(ぼう)機や脱ぷ粒除去装置等からなる精選設備5と、籾摺り機7等からなる調製設備6と、計量・包装装置や玄米タンク9等を備えた出荷設備8と、が順に設けられ、これらの機器や設備を互いに接続するための昇降機や各種コンベア等の搬送機器が格納される。
【0014】
前記機械室建屋1の屋外には複数の穀物乾燥機11を格納する乾燥建屋10が設けられるとともに、前記調製設備6の近くには、籾摺り工程で発生する籾殻を一時収納する籾殻タンク12が設置される。
【0015】
前記荷受・粗選設備2の近傍に穀物貯留用の二列状のサイロ列13が設けられる。すなわち、10基の本サイロ13a〜13jが二列状に設置され、互いに近接する本サイロ13b,13c,13g,13hで囲まれる空間を間隙サイロ14bに、本サイロ13c,13d,13h,13iで囲まれる空間を間隙サイロ14cに、本サイロ13d,13e,13i,13jで囲まれる空間を間隙サイロ14dに形成するとともに、本サイロ13a,13b,13f,13gで囲まれる空間を昇降機用空間14aとなし、前記荷受・粗選設備2に最も近い空間14aにはサイロ用昇降機15a,15bを立設する。
このとき、前記サイロ用昇降機15a,15bの上部は前記サイロ列13の天板の高さから上方に5m以上突出することとなる。
【0016】
前記サイロ用昇降機15a,15bの上部に設けた排出用シュート(鎖線参照)は、前記サイロ列13の天板に横設した、フローコンベア等からなる一対の上部横送りコンベア16a,16bの搬送始端側に接続される。前記横送りコンベア16a,16bは前記本サイロ13a〜13j及び間隙サイロ13k〜13mに各自動シャッター装置17を介して振分け投入されるように設けられる一方、これら各サイロ13の下方には、各サイロ13から払い出される穀物を機械室建屋1内の各設備や乾燥建屋10内の穀物乾燥機11に搬送する下部横送りコンベアが配設される(図示せず)。
【0017】
前記サイロ列13の天板部には、前記上部横送りコンベア16a,16bを覆う屋根構築物である横送りコンベア用上屋18と、サイロ用昇降機15a,15bの上部を覆う昇降機用建屋19を、それぞれ設ける。この場合、サイロ列13の天板部上での工事になるので、地上部から築き上げる場合に比べて高い足場を組み上げる必要はなく、工事の危険性は低減され、工期も短縮される。
これにより、前記サイロ用昇降機15a,15bの上部は前記昇降機用建屋19に覆われるとともに、その下方は、互いに近接するサイロ13a,13b,13f,13gで形成される空間14内に格納されることとなる。
なお、本実施形態においては、サイロ用昇降機と横送りコンベアを各二つずつの2系列で構成したが、必要に応じて3又は4系列で構成することもでき、この場合は、前記空間14内にサイロ用昇降機が3又は4基立設される。
【0018】
次に、本発明の実施の形態におけるカントリーエレベータにおける荷受工程から出荷工程までの概略について説明する。
本発明の実施の形態におけるカントリーエレベータにおいて、荷受ホッパ3で荷受けした生籾等は、粗選装置4により粗選・計量された後、サイロ用昇降機15a及び上部横送りコンベア16aを経て本サイロ13a〜13jに投入され貯留される。
【0019】
前記本サイロ13a〜13jに一旦貯留された生籾は、前記各サイロ13a〜13jの下端排出部から払い出され、フローコンベアや昇降機等によって穀物乾燥機11a〜11fに供給される。前記穀物乾燥機11a〜11fを通過して乾燥作用を受けた生穀物は、前記サイロ用昇降機15a,15bのいずれかにより揚穀され、上部横送りコンベア16a,16bのいずれかを経て間隙サイロ13k〜13mのいずれかに投入されテンパリングが行われる。
【0020】
こうして、前記生籾は、穀物乾燥機11a〜11fと間隙サイロ13k〜13mとの間を循環搬送されて水分率が18%まで予備的に乾燥されると、いずれかの本サイロ13a〜13jに貯留される。
前記本サイロ13a〜13jに貯留された半乾籾は、再度前記本サイロ13a〜13jから取り出されて穀物乾燥機11a〜11fに供給され、前記間隙サイロ13k〜13mを使って循環を繰り返しながら水分率15%程度まで仕上げ乾燥が行われ、再び本サイロ13a〜13j内に貯留される。
【0021】
収穫時期が終わると、前記本サイロ13a〜13j内の乾燥籾は、順次取り出されて精選設備5において精選が行われ、精選された穀物となって前記本サイロ13a〜13jに長期間貯留される。そして、出荷計画に基づいて、随時、籾摺り機6によって玄米とし、玄米タンク9に投入し、計量袋詰めされて出荷される。
なお、前記本サイロ13a〜13jにおける貯留工程において、前記本サイロ13a〜13jいずれかの穀物を、前記間隙サイロ13k〜13mを使って、別の本サイロ13a〜13jいずれかに入替えるローテーションを行って穀物の変質を防止する。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は、カントリーエレベータにおけるサイロ用昇降機を、従来からサイロ間に形成される空間内に立設するとともに、サイロ天板部に前記サイロ用昇降機の上部を覆う屋根構築物を設けることで専用の建屋を構築する必要がなくなるため、極めて有用である。
【符号の説明】
【0023】
1 機械室建屋
2 荷受・粗選設備
3 荷受ホッパ
4 粗選装置
5 精選設備
6 籾摺り機
7 籾摺り機
8 出荷設備
9 玄米タンク
10 乾燥建屋
11 穀物乾燥機
12 籾殻タンク
13 サイロ列
13a〜13j 本サイロ
14a 昇降機用空間
14b〜14d 間隙サイロ
15a,15b サイロ用昇降機
16a,16b 上部横送りコンベア
17 自動シャッター装置
18 横送りコンベア用上屋
19 昇降機用建屋
図1
図2