特許第6519744号(P6519744)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6519744穀物乾燥機の外板連結金具及びその取り付け方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6519744
(24)【登録日】2019年5月10日
(45)【発行日】2019年5月29日
(54)【発明の名称】穀物乾燥機の外板連結金具及びその取り付け方法
(51)【国際特許分類】
   F26B 17/14 20060101AFI20190520BHJP
   F16B 5/06 20060101ALI20190520BHJP
   F16B 2/14 20060101ALI20190520BHJP
   F26B 25/12 20060101ALI20190520BHJP
   F16B 5/07 20060101ALI20190520BHJP
【FI】
   F26B17/14 P
   F16B5/06 A
   F16B2/14 A
   F26B25/12 A
   F16B5/07 D
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-168218(P2015-168218)
(22)【出願日】2015年8月27日
(65)【公開番号】特開2017-44427(P2017-44427A)
(43)【公開日】2017年3月2日
【審査請求日】2018年6月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(72)【発明者】
【氏名】新野 功
(72)【発明者】
【氏名】佐々本 悟
【審査官】 西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−184684(JP,A)
【文献】 特開平11−169151(JP,A)
【文献】 実開平02−117498(JP,U)
【文献】 実開昭50−039364(JP,U)
【文献】 実開平02−032587(JP,U)
【文献】 米国特許第02134008(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 1/00−25/22
F16B 2/00− 2/26
F16B 5/00− 5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向の断面がくさび状の固定金具と、
該固定金具を差し込み可能な受入口を対向した二つの側面板で形成した係止部と該係止部の端部に台座部とを設けてなる受け金具とを有し、
少なくとも一対の外板のうち、一方の外板に設けた連結用の連結口に、前記受け金具の係止部を挿入して取り付けた後、他方の外板に設けた連結用の連結口を前記係止部に挿入し、前記連結口から突出した前記受入口に、前記固定金具を差し込んで外板同士を連結する穀物乾燥機の外板連結金具において、
前記受け金具の係止部は、前記受入口が外側に向けて拡がるように、前記側面板の距離が拡大する方向に働く保持力を持ち、該保持力によって前記係止部が前記連結口の開口縁に押し当てられ前記連結口に取り付け可能であることを特徴とする穀物乾燥機の外板連結金具。
【請求項2】
長手方向の断面がくさび状の固定金具と、
該固定金具を差し込み可能な受入口を対向した二つの側面板で形成した係止部と該係止部の端部に台座部とを設けてなる受け金具とを有し、
少なくとも一対の外板のうち、一方の外板に設けた連結用の連結口に、前記受け金具の係止部を挿入して取り付けた後、他方の外板に設けた連結用の連結口を前記係止部に挿入し、前記連結口から突出した前記受入口に、前記固定金具を差し込んで外板同士を連結する穀物乾燥機の外板連結金具において、
前記受け金具の対向する二つの側面板の外側の面の少なくとも一方に、前記台座部よりも上方の位置に突起を設け、前記一方の外板に受け金具を取り付けた時点で、前記固定金具を前記受け金具に差し込む方向に対して交差する方向の前記連結口の幅よりも、前記突起を含む前記受け金具の前記方向の幅を大きくすることを特徴とする穀物乾燥機の外板連結金具。
【請求項3】
前記受け金具は、前記係止部の二つの側面板がそれぞれ外側に拡がるように、断面がテーパー状の打ち込み金具を前記係止部に嵌め込んだ状態で前記外板の連結口に打ち込むことによって、該連結口に圧入して取り付けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の穀物乾燥機の外板連結金具の取り付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀物乾燥機の組み立てにおいて、天板や側壁などの外板を相互に連結する際に使用する外板連結金具とその取り付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、穀物乾燥機の組み立てにおいて、貯留タンクの側壁等を構成する外板を連結する際に、くさび状の固定金具と該固定金具を受ける受け金具とから構成される外板連結金具が用いられている。この種の外板連結金具としては、例えば、特許文献1には、外板に、前記受け金具が挿入可能な連結口を設け、該連結口を重ね合わせた状態にする。そして、該連結口に前記受け金具の凸状の係止部を当該受け金具の台座部が外板に当接するまで挿入し、次いで、前記固定金具を前記係止部に形成した受入口に差し込み、ハンマ等で打ち込むことで、二枚の外板が固定されるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3027706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の外板連結金具は、穀物乾燥機の組み立て現場で、作業者が手作業する時、外板の連結口を重ね合わせ、その状態を維持したまま受け金具を挿入する必要があり、特に、大型の穀物乾燥機など、前記連結金具が多数あるので、大変手間となり作業時間が長くなるという問題点があった。
【0005】
そこで、本発明は上記問題点にかんがみて、外板を連結する作業時間を短縮することが可能な外板連結金具を提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、長手方向の断面がくさび状の固定金具と、前記固定金具を差し込み可能な受入口を対向する二つの側面板で形成し、下方に台座部を設けた受け金具とを有し、少なくとも一対の外板のうち、一方の外板に設けた連結用の連結口に、前記受け金具の受入口を含む上方部分を挿入して取り付けてから、他方の外板に設けた連結用の連結口に、前記受け金具を挿入し、前記連結口から突出した前記受入口に、前記固定金具を差し込んで前記一対の外板を連結する穀物乾燥機の外板連結金具において、前記受け金具は、前記受入口が外側に向けて拡がるように、前記対向する二つの側面板の距離が拡大する方向に働く保持力を持ち、該保持力によって前記側面板の外側の面を前記連結口の開口縁に押し当てて前記連結口に取り付ける、という技術的手段を講じるものとした。
【0007】
また、長手方向の断面がくさび状の固定金具と、前記固定金具を差し込み可能な受入口を対向する二つの側面板で形成し、下方に台座部を設けた受け金具とを有し、少なくとも一対の外板のうち、一方の外板に設けた連結用の連結口に、前記受け金具の受入口を含む上方部分を挿入して取り付けてから、他方の外板に設けた連結用の連結口に、前記受け金具を挿入し、前記連結口から突出した前記受入口に、前記固定金具を差し込んで前記一対の外板を連結する穀物乾燥機の外板連結金具において、前記受け金具の対向する二つの側面の外側の面の少なくとも一方に、前記台座部よりも上方の位置に突起を設け、前記一方の外板に受け金具を取り付けた時点で、前記固定金具を前記受け金具に差し込む方向に対して交差する方向の前記連結口の幅よりも、前記突起を含む前記受け金具の前記方向の幅を大きくする、という技術的手段を講じるものとした。
【0008】
さらに、前記受け金具は、前記係止部の二つの側面板がそれぞれ外側に拡がるように、断面がテーパー状の打ち込み金具を前記係止部に嵌め込んだ状態で、前記外板の連結口に打ち込むことによって、該連結口に圧入して取り付けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、一方の外板に設けた連結用の連結口に、受け金具の受入口を含む上方部分を挿入して取り付けた後、他方の外板に設けた連結口を、前記受け金具に挿入し、次いで、前記連結口から突出した前記受入口に、固定金具を差し込んで一対の外板を連結する穀物乾燥機の外板連結金具において、前記受入口の幅が外側に拡大する方向に働く保持力を前記受け金具に待たせて、該保持力によって前記受け金具の側面板を前記連結口の開口縁に押し当てて前記受け金具を前記連結口に取り付ける構造としたので、一度連結口に取り付けた受け金具がその連結口から外れることはない。このため、一方の外板に受け金具が取り付けられた状態で、他方の外板の連結口を前記受け金具に挿入することで組み立て作業が容易になり、組立時間が短縮でき、作業効率が向上する。
【0010】
また、請求項2に記載の発明によれば、一方の外板に設けた連結用の連結口に、受け金具の受入口を含む上方部分を挿入して取り付けた後、他方の外板に設けた連結口を、前記受け金具に挿入し、次いで、前記連結口から突出した前記受入口に、固定金具を差し込んで一対の外板を連結する穀物乾燥機の外板連結金具において、前記受け金具の上方に突起を設けることで、固定金具を受け金具に差し込む方向に対して交差する方向の連結口の幅よりも前記突起を含む前記受け金具の前記方向の幅を大きくするので、一度連結口に取り付けた受け金具がその連結口から外れることはない。このため、一方の外板に受け金具が取り付けられた状態で、他方の外板の連結口を前記受け金具に挿入することで組み立て作業が容易になり、組立時間が短縮でき、作業効率が向上する。
【0011】
さらに、請求項3に記載の発明によれば、テーパー状の打ち込み金具を受け金具の係止部に嵌め込んだ状態で、前記受け金具を前記外板の連結口に打ち込んで圧入するので、該圧入時に、前記受け金具の対向する二つの側面板の距離が、該側面板の外側の面が連結口の開口縁に接するまで拡大するとともに、それぞれの側面板に前記拡大する方向に働く保持力が生じ、該保持力によって前記側面板が前記開口縁に押し当てられる状態になるので、前記受け金具を前記連結口に容易に取り付けることが可能となる。このため、一方の外板に受け金具が取り付けられた状態で、他方の外板と連結する作業を行うことができるので、作業効率が向上する。また、前記受け金具の側面板の外側の面で、台座部よりも上方の位置に突起を設ける場合は、何らかの原因で前記保持力が弱まるなどして、前記受け金具が連結口から抜け落ちそうになっても、前記突起が連結口の開口縁に引っかかる構造としたので、一度取り付けた受け金具が連結口から落下することはなく、該落下による作業の中断などの無駄な時間が生じることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、受け金具30の外板への取り付け方を説明するための図である。
図2図2は、一対の外板を連結する方法を説明するための図である。
図3図3は、固定金具2の受け金具30への差し込み方を説明するための図である。
図4図4は、外板連結金具1で一対の外板を連結した状態を示す図である。
図5図5は、打ち込み金具3の使い方を説明するための図である。
図6図6は、打ち込み金具3を使用した状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1図4は、本発明の実施の形態を示し、外板連結金具1の構造や外板連結金具1を使用した一対の外板51及び52を連結する方法を示したものである。
【0015】
外板連結金具1は、固定金具2と受け金具30とからなる。固定金具2は、厚さ3mm〜10mm程度の板材からなり、上面21には長手方向に傾斜が設けられていて、側面22がくさび状の形状となっている。受け金具30は、係止部31とその下方の台座部32とからなり、係止部31には、固定金具2の厚さよりも少し幅の広い受入口35が形成されているとともに、係止部31の下部に連続して、係止部31よりも幅の広い台座部32が形成されている。受入口35の形状は逆U字形であって、受け金具30は、一枚の板を折り曲げて形成されるものである。
【0016】
また、外板51及び52には、図1図2に示すように、それぞれ連結片51a及び51bが設けられている。連結片51a及び51bには、受け金具30の係止部31が挿入可能であるとともに台座部32よりも幅が狭い連結口10がそれぞれ形成されている。
【0017】
本発明では、一対の外板51及び52を外板連結金具1で接続する際に、まず、図1及び図2に示すように、一方の外板51の連結口10に受け金具30の受入口35を含む上方部分を先行して取り付ける。その際、受入口35のうち、連結片51aから突出している部分に、固定金具2の長手方向の3分の1以上が挿入可能となるように、固定金具2及び受入口35の高さ方向の寸法を設定することが好ましい。
【0018】
ここで、外板51の連結口10への受け金具30の取り付け方法を図5及び図6に基づいて説明する。図5及び図6は、図1のA−A線部分の外板51の断面図であって、受け金具30の取り付け方法を説明するための図である。これらの図に示すように、受け金具30の取り付けには、打ち込み金具3を使用する。打ち込み金具3は、受け金具30の受入口35に嵌め込んで使用するものであり、嵌め込み部5は、符号Dで示す断面の幅が上方が狭くなるテーパー状になっている。また、横幅(図2の符号Cで示す方向)は、受け金具30の係止部31の側面板33よりも少し狭くなっている。この打ち込み金具3を受け金具30の受入口35に嵌め込み、その状態で、打ち込み面4をハンマ等でたたいて、外板51の連結口50に受入金具30の係止部31を圧入する。圧入する際に、打ち込み金具3の嵌め込み部5はテーパー状になっているので、図6に示すように、嵌め込み部5の形状に合わせて、受け金具30の受入部35が外側に向けて拡がるとともに、受け金具30の対向する二つの側面板33のそれぞれの外側の面が連結口10の開口縁11に押し当てられて当接する。そして、受け金具35には、対向する二つの側面板33の距離が拡大する方向に働く力(以下、「保持力」という)が生じるので、該保持力によって、受け金具30は外板51の連結口10に固定して取り付けられる。
【0019】
また、受け金具30の側面板33には、一つ以上の突起34を設けてもよい(図6では2個)。該突起34を含む符号Dで示す方向の受け金具30の幅の大きさは、連結口10への取り付け前は連結口の幅(符号Dで示す方向)以下とし、連結口10への取り付け後は前記幅よりも大きくなるようにする。この様にすることで、受け金具30の前記保持力が弱くなって、側面板33が開口縁11に押し当てられなくなっても、突起34を含む受入金具30の幅(符号Dで示す方向)が、連結口10の前記幅よりも小さくならないので、取り付け後の受け金具30が連結口11から落下することを防ぐことができる。
【0020】
ところで、突起34は、係止部31を形成する板材を受入口35の内側となる面からポンチなどで打ち込むことで設けることができる。また、突起34を溶接や接着により前記側面板に設けるようにしてもよい。
【0021】
受け金具30の外板51への取り付け後、図2に示すように、連結する一対の外板の他方の外板52の連結口10に、外板51に取り付け済みの受け金具30の係止部31を挿入する。該挿入の際に、前記受け金具30は外板51に固定されているので、連結する作業者は、受け金具30を手で押さえる必要はなく、この作業を容易に行うことができる。なお、外板52の連結口10は、外板51の連結口10よりも大きくすることで、前記挿入が行いやすくなる。
【0022】
受け金具30の外板52の連結口10への挿入後、図3及び図4に示すように、固定金具2を高さ方向の寸法が小さい方から受入口35へ差し込み、ハンマ等を用いて固定金具2を強く打ち込んで、受け金具30の台座部32と固定金具2とで連結片51a及び52aを挟み付けて、二枚の外板51及び52を連結する。
【0023】
このように、本発明によれば、外板51及び52への加工および外板連結金具1(固定金具2及び受け金具30)の取付作業のいずれにおいても、特別な道具や技能を必要とすることなく、極めて簡単に外板51及び52を連結することができる。
【0024】
また、外板連結金具1(固定金具2及び受け金具30)を取り外す際には、固定金具2を、取り付けたときとは逆の方向にハンマ等で打ち付けて、固定金具2を受入口35から外し、その後受け金具30を連結口10から抜き取ることによって、容易に外すことができる。
【0025】
なお、固定金具2と受入口35との摩擦抵抗を大きくするために、固定金具2の上面21に、例えば硬質の合成ゴム等のような摩擦抵抗が大きい材質を貼り付けてもよい。この場合、若干弾力性のある素材を貼り付けると、摩擦抵抗が大きくなって自然に抜けにくくなると同時に、取り付けや取り外し時には大きな力を必要とせずに打ち込むことができる。
【0026】
しかも、本発明の外板連結金具1は、構造が単純であるとともに、外板の連結片に係止部31が挿入可能な連結口を開けるだけで使用できる。
【0027】
ところで、受け金具30の受入口35の形状は、逆U字形に限定されるわけではなく、例えばU字形として、上方から外板51及び52のそれぞれの連結口に挿入してもよい。また、矩形状等のその他の形状であってもよい。
【0028】
本発明は、上記実施の形態に限るものでなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいてその構成を適宜変更できることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、穀物乾燥機に限定されることはなく、板等の一対の連結対象物の連結に使用することができるものである。
【符号の説明】
【0030】
1 外板連結金具2 固定金具3 打ち込み金具10 連結口11 開口縁21 上面22 側面30 受け金具31 係止部32 台座部33 側面板34 突起35 受入口51 外板51a 連結片52 外板52a 連結片
図1
図2
図3
図4
図5
図6