(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6519775
(24)【登録日】2019年5月10日
(45)【発行日】2019年5月29日
(54)【発明の名称】止水機能を有するフレキシブルバック
(51)【国際特許分類】
E02B 3/04 20060101AFI20190520BHJP
【FI】
E02B3/04 301
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2015-29726(P2015-29726)
(22)【出願日】2015年2月18日
(65)【公開番号】特開2016-151147(P2016-151147A)
(43)【公開日】2016年8月22日
【審査請求日】2018年2月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000229162
【氏名又は名称】日本ソリッド株式会社
(72)【発明者】
【氏名】波多野 倫
【審査官】
佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−082718(JP,A)
【文献】
特開2010−248715(JP,A)
【文献】
特開2001−040629(JP,A)
【文献】
特開2005−016051(JP,A)
【文献】
特開平10−147919(JP,A)
【文献】
特開平02−225708(JP,A)
【文献】
特開昭49−111437(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0103981(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略立方形フレキシブルバックの稜部および側壁面に、その上縁部から下縁部に亙り、帯体、袋体および弾性体から選択された少なくとも1種の遮蔽材を設けることを特徴とする止水機能を有するフレキシブルバック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、河川決壊時の止水、護岸埋立地の堤防の腹付、海底養浜等の陸上、海中、河川、ダム等の土木工事用に用いるフレシキブルバックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、土木工事用に用いるフレシキブルバックとしては、透水性シートまたは不透水性シートで形成されたフレシキブルバックに少なくとも比重が、1以上の物質を封入してなるバック体であって、該バック体の外周の適宜箇所に、適宜「巾」と適宜「長さ」であって、適当数の「穴」を備えていて、バック体相互の連接機能を有する連接片を設けた連接可能なバック体が知られている(特許文献1)。またその他として透水性シートまたは不透水性シートで形成されたフレシキブルバックであって六角形の立方体の形状を有し、かつ上面部に充填物投入口を設けたフレキシブルバックが知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平7−91821号公報
【特許文献2】特開2009−24474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のバック体は、連接機能を付与したものであり、止水防止効果については十分なものではなかった。また特許文献2のフレシキブルバックは、止水のためにフレシキブルバックの側面に襞を設けたり、隙間に緩衝材を挾着させたりする方法により用いられていた。しかしながら襞を設けてもある程度の効果はあるが、未だ完全なものではなかった。緩衝材を挟着させる方法も作業が繁雑になり、長い工事期間を要することから未だ満足し得るものではなかった。
そこで本発明者は作業が容易で、かつ止水効果の高いフレキシブルバックについて種々研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち、本発明は、フレキシブルバックの上縁部から下縁部に亙り、帯体、袋体および弾性体から選択された少なくとも1種の遮蔽材を設けてなる、止水機能を有するフレキシブルバックである。
【発明の効果】
【0006】
本発明のフレキシブルバックを連接させることにより、遮蔽材が自由に変形可能なために、フレキシブルバック間に生ずる隙間の形状に合わせて変形するので高い止水効果が得られる。また遮蔽材としてもフレキシブルバックに容易に付設することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】フレキシブルバックの稜部に帯体を設けたフレキシブルバックの斜視図
【
図2】帯体を袋状に構成した時のフレキシブルバックの稜部の部分斜視図
【
図3】フレキシブルバックの側壁面に袋体を設けたフレキシブルバックの斜視図
【
図4】フレキシブルバックの側壁面に弾性体を設けたフレキシブルバックの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のフレキシブルバックの形態としては、袋形のフレコン、略立方形の土嚢等種々の形態のものが使用できる。本発明のフレキシブルバックの形成シート材としては、透水性シート、不透水性シートのいずれも使用することができる。透水性シートとしては、例えば天然あるいは合成の糸、紐で編織された織布、網状シートあるいはまた金網等が用いられる。不透水性シートとしては、編織布の片面または両面に合成樹脂膜を貼合してなる、いわゆるターポリン、その他ゴム引布等が用いられる。
【0009】
本発明のフレキシブルバックに設けられる帯体、袋体に用いられる素材としては、前記した透水性シートおよび不透水性シートのいずれも使用することができる。また弾性体に用いられる素材としては、スポンジ、海綿等の軟質発泡物質、ゴム、合成樹脂、氷嚢状の袋体等が挙げられる。
【0010】
次に本発明の遮蔽材を設けたフレキシブルバックについて説明する。
図1は、立方形のフレキシブルバック1の稜部に遮蔽材として、帯体2を設けたフレキシブルバックの斜視図である。帯体2はフレキシブルバックを成形した後、付設してもよいが、
図2に示すようにフレキシブルバックを成形する際に稜部に弛みをもたせて縫い合わせることによって袋状の帯体3として設けることもできる。袋状の帯体3の場合は、必要により、該袋状の帯体3内に砂、砂利、水等の充填材を充填することができる。
【0011】
図3は立方形のフレキシブルバック1の側壁面部に遮蔽材として袋体4を設けたフレキシブルバックの斜視図である。この袋体4は、立方形のフレキシブルバックを成形した後、縫製等により付設したり、また
図2に示すようにフレキシブルバックを成形する際の弛みを持たせて縫い合わせることによっても成形させることもできる。成形された袋体4の内には前記したような充填材を充填することもできる。
【0012】
図4はフレキシブルバックの側壁面に遮蔽材としてスポンジ状の弾性体5を設けたフレキシブルバックの斜視図である。弾性体5は、例えば接着剤等でフレキシブルバックの側壁面に付設することができる。
またスポンジ状の弾性体5の形状は短冊形の他、
図5に示すように蛇腹型とすることによって圧縮度が高くなるため、隣接するフレキシブルバックの形状に合わせて変形するので、止水効果が一層高められる。さらに
図6に示すように氷嚢状の袋体6を用いることもできる。この氷嚢状の袋体6には必要により上部に栓7を設けることが好ましい。この氷嚢状の袋体6には、水あるいは加圧した水を充填することによって、隣接するフレキシブルバックとの隙間を完全に塞ぐことができる。
またこの氷嚢状の袋体6をフレキシブルバックに付設する方法としては、氷嚢状の袋体6の形状に合わせたネット体に入れ、該ネット体の上部および下部に係止具を設け、この係止具をフレキシブルバックに設けられた係止部に固定することによって付設することができる(図示せず)。
【0013】
本発明の遮蔽材は、長方形の形状が好ましく、実質的にフレキシブルバックの上縁部から下縁部に亙り設けることが必要である。その取付け方法も鉛直状、斜め状等に設けることができる。
またこの遮蔽材は、必ずしもフレキシブルバックの上縁部から下縁部に亙り設ける必要はなく、フレキシブルバックを設置した時に形成される形状における上縁部および下縁部を構成する部分に設置されていればよい。さらに遮蔽材は必要によりフレキシブルバックの側壁面および稜部の任意の箇所に設けることができる。この遮蔽材は、1個または複数個間隔を置いて設けることができる。また遮蔽材は、フレキシブルバックに設ける場合、異なる位置に設けた複数の種々のフレキシブルバックを使用すると、遮蔽材によるシール箇所が増えるので一層止水効果が高められる。
【0014】
本発明のフレキシブルバックは、上部に充填材を入れる投入口を設け、また必要により底部に充填材を取り出す排出口を設けることが好ましい(図示せず)。
【符号の説明】
【0015】
1・・・・・フレキシブルバック
2・・・・・帯体
4・・・・・袋体
5・・・・・弾性体