特許第6519839号(P6519839)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6519839冷却設備、及びこれを備えるコンバインドサイクルプラント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6519839
(24)【登録日】2019年5月10日
(45)【発行日】2019年5月29日
(54)【発明の名称】冷却設備、及びこれを備えるコンバインドサイクルプラント
(51)【国際特許分類】
   F01K 9/00 20060101AFI20190520BHJP
   F01K 23/10 20060101ALI20190520BHJP
   F02C 7/224 20060101ALI20190520BHJP
【FI】
   F01K9/00 D
   F01K23/10 A
   F02C7/224
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-189910(P2014-189910)
(22)【出願日】2014年9月18日
(65)【公開番号】特開2016-61227(P2016-61227A)
(43)【公開日】2016年4月25日
【審査請求日】2017年6月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100210572
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100126893
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 哲男
(72)【発明者】
【氏名】藤田 和徳
【審査官】 西中村 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特表平08−506643(JP,A)
【文献】 特開2005−098240(JP,A)
【文献】 特開平07−119487(JP,A)
【文献】 特開2001−323807(JP,A)
【文献】 特開昭64−008304(JP,A)
【文献】 特表平11−506181(JP,A)
【文献】 特開平01−219465(JP,A)
【文献】 特開平03−003902(JP,A)
【文献】 特開平07−139370(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/047489(WO,A1)
【文献】 特許第2775851(JP,B2)
【文献】 特開2008−232047(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01K 9/00
F01K 23/10
F02C 7/22− 7/224
F17C 1/00−13/12
C10L 3/00− 3/12
DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気タービンを駆動した蒸気を冷却して水に戻す復水器冷媒を復水器に供給する冷媒供
給ラインと、
前記冷媒供給ラインに設けられ、ガスタービンの燃料として用いられる液化ガスと前記
復水器冷媒とを熱交換させて前記液化ガスを加熱及び気化すると共に前記復水器冷媒を冷
却する冷却部とを備え、
前記冷媒供給ラインは、
前記冷却部が途中に設けられた冷媒供給ライン本体と、
前記冷却部を迂回して前記冷媒供給ライン本体に接続される供給バイパスラインとを有
する冷却設備。
【請求項2】
前記冷却部は、
前記液化ガスと熱交換することで第一中間冷媒を冷却する液化ガス熱交換部と、
前記液化ガス熱交換部と接続され、冷却された前記第一中間冷媒が流通する第一中間冷
媒流通ラインと、
前記第一中間冷媒流通ラインに設けられ、流通する前記第一中間冷媒を利用して前記復
水器冷媒を冷却する第一中間冷却部とを有する請求項1に記載の冷却設備。
【請求項3】
前記第一中間冷却部は、
冷却された前記第一中間冷媒と熱交換することで第二中間冷媒を冷却する第一中間冷媒
熱交換部と、
第一中間冷媒熱交換部に接続され、冷却された前記第二中間冷媒が流通する第二中間冷
媒流通ラインと、
前記第二中間冷媒流通ラインに設けられ、流通する第二中間冷媒を利用して前記復水器
冷媒を冷却する第二中間冷却部と、を有する請求項2に記載の冷却設備。
【請求項4】
前記復水器冷媒として海水を利用し、
前記蒸気を冷却した後に前記海水を海へ排出する請求項1から請求項3のいずれか一項
に記載の冷却設備。
【請求項5】
前記供給バイパスラインには、流通させる前記復水器冷媒の流量を調整する供給バイパス弁が設けられている請求項1に記載の冷却設備。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のガスタービンの冷却設備と、
前記ガスタービンと、
前記ガスタービンから排出される排ガスによって蒸気を生成させる排熱回収ボイラと、
前記排熱回収ボイラで生成された前記蒸気で駆動する前記蒸気タービンと、
前記復水器と、を備えるコンバインドサイクルプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却設備、及びこれを備えるコンバインドサイクルプランに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンと蒸気タービンとを組み合わせて構成されるコンバインドサイクルプラントでは、ガスタービンから排出される高温の排ガスの排熱を利用して蒸気を生成し、この蒸気によって蒸気タービンが駆動されている。
【0003】
このようなコンバインドサイクルプラントでは、出力を向上させるために、ガスタービンの吸気を冷却し、ガスタービンの圧縮機の吸気量(質量流量)を増大させる構成が用いられる場合がある。例えば、特許文献1に記載の液化天然ガス複合サイクル発電プラントでは、ガスタービンの圧縮機に供給される燃焼用空気が吸気冷却器に通されることで、メタンハイドレート貯蔵槽内のメタンハイドレードスラリーや水と熱交換される。そのため、この液化天然ガス複合サイクル発電プラントでは、一定温度まで燃焼用空気が冷却され、圧縮機の吸気量が増大される。したがって、この液化天然ガス複合サイクル発電プラントでは、吸気量が増大することで、ガスタービンの出力が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−200884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ガスタービンの圧縮機の燃焼用空気を冷却させて吸気量を増大させた場合、燃焼温度を同じ温度に維持しようとする限り、燃焼器で用いられる燃料の消費量も増加してしまい、コンバインドサイクルプラントとして熱効率の向上は見込み難い。そのため、ガスタービンの燃料消費量を増加させずに蒸気タービンの出力を向上させることで、コンバインドサイクルプラントでの発電効率を向上させたいという要望がある。
【0006】
本発明は、上記要望に応えるためになされたものであって、蒸気タービンの出力を向上させることが可能な冷却設備、及びこれを備えるコンバインドサイクルプランを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明の第一の態様としての冷却設備は、蒸気タービンを駆動した蒸気を冷却して水に戻す復水器冷媒を復水器に供給する冷媒供給ラインと、前記冷媒供給ラインに設けられ、ガスタービンの燃料として用いられる液化ガスと前記復水器冷媒とを熱交換させて前記液化ガスを加熱及び気化すると共に前記復水器冷媒を冷却する冷却部とを備え、前記冷媒供給ラインは、前記冷却部が途中に設けられた冷媒供給ライン本体と、前記冷却部を迂回して前記冷媒供給ライン本体に接続される供給バイパスラインとを有する。
【0008】
このような構成によれば、冷却部で液化ガスを利用して復水器冷媒を冷却し、冷却した復水器冷媒を冷媒供給ラインで復水器まで送ることで、蒸気タービンの駆動に用いられた蒸気を冷却することができる。したがって、液化ガスによって冷却された復水器冷媒で蒸気を冷却することで、復水器の真空度を向上させ、蒸気タービンの仕事量を増加させることができる。これにより、液化ガスの冷熱エネルギーを回収して、蒸気タービンを駆動した蒸気を冷却するためのエネルギーとして有効に利用することができる。
【0009】
また、上記冷却設備では、前記冷却部は、前記液化ガスと熱交換することで第一中間冷媒を冷却する液化ガス熱交換部と、前記液化ガス熱交換部と接続され、冷却された前記第一中間冷媒が流通する第一中間冷媒流通ラインと、前記第一中間冷媒流通ラインに設けられ、流通する前記第一中間冷媒を利用して前記復水器冷媒を冷却する第一中間冷却部とを有していてもよい。
【0010】
このような構成によれば、液化ガスを利用して液化ガス熱交換部で第一中間冷媒を冷却した後に、冷却された第一中間冷媒を利用して第一中間冷却部で復水器冷媒を冷却することで、液化ガスを利用して間接的に復水器冷媒を冷却できる。そのため、液化ガスと第一中間冷媒、第一中間冷媒と復水器冷媒とのそれぞれの温度差を小さくすることができる。したがって、復水器冷媒が凍結してしまうことを防ぎながら、復水器冷媒を冷却する一手段を提供することができる。これにより、液化ガスの冷熱エネルギーを回収することができ、蒸気タービンを駆動した蒸気を冷却するためのエネルギーとして有効に利用することができる。
【0011】
また、上記冷却設備では、前記第一中間冷却部は、冷却された前記第一中間冷媒と熱交換することで第二中間冷媒を冷却する第一中間冷媒熱交換部と、第一中間冷媒熱交換部に接続され、冷却された前記第二中間冷媒が流通する第二中間冷媒流通ラインと、前記第二中間冷媒流通ラインに設けられ、流通する第二中間冷媒を利用して前記復水器冷媒を冷却する第二中間冷却部と、を有していてもよい。
【0012】
このような構成によれば、液化ガスによって冷却された第一中間冷媒を利用し、第一中間冷媒熱交換部で第二中間冷媒を冷却した後に、冷却した第二中間冷媒によって第二中間冷却部で復水器冷媒を冷却できる。即ち、液化ガスを利用して復水器冷媒を冷却するまでに、二段階の冷媒を介して間接的に冷却することができる。このように、運用温度帯が異なる複数の中間冷媒サイクルから構成することで、各熱交換部を流れる二流体間の温度差をさらに小さくすることができる。これにより、各熱交換部あたりの熱負荷を小さくすることができ、各熱交換部としてコンパクトな構成のものを使用できる。また、運用温度帯が異なる複数の中間冷媒サイクルから構成することで、例えばプラント補機向け軸冷水(あるいはその冷却)等のプラントサイクルへの流用も可能とし得る。したがって、復水器冷媒が凍結してしまうことを防ぎながら、復水器冷媒を冷却する一手段を提供することができる。これにより、液化ガスを気化させる際に生じる冷熱エネルギーを回収することができ、蒸気タービンを駆動した蒸気を冷却するためのエネルギーとして有効に利用することができる。
【0013】
また、上記冷却設備では、前記復水器冷媒として海水を利用し、前記蒸気を冷却した後に前記海水を海へ排出してもよい。
また、上記冷却設備では、前記供給バイパスラインには、流通させる前記復水器冷媒の流量を調整する供給バイパス弁が設けられていてもよい。
【0014】
また、本発明の第二の態様としてのコンバインドサイクルプラントは、前記冷却設備と、前記ガスタービンと、前記ガスタービンから排出される排ガスによって蒸気を生成させる排熱回収ボイラと、前記排熱回収ボイラで生成された前記蒸気で駆動する前記蒸気タービンと、前記復水器と、を備える。
【0015】
このような構成によれば、ガスタービンの燃料消費量を増加させずに蒸気タービンの出力を向上させることで、コンバインドサイクルプラント全体としての熱効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、液化ガスを利用して復水器冷媒を冷却することで、ガスタービンの燃料消費量を増加させずに蒸気タービンの出力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第一実施形態におけるコンバインドサイクルプラントを示す系統図である。
図2】本発明の第一実施形態における冷却方法を説明するフロー図である。
図3】本発明の第二実施形態におけるコンバインドサイクルプラントを示す系統図である。
図4】本発明の第二実施形態における冷却方法を説明するフロー図である。
図5】本発明の第三実施形態におけるコンバインドサイクルプラントを示す系統図である。
図6】本発明の第三実施形態における冷却方法を説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
《第一実施形態》
以下、本発明に係る第一実施形態について図1及び図2を参照して説明する。
コンバインドサイクルプラント1は、図1に示すように、液化ガスを燃料として運転されるガスタービン2と、ガスタービン2に燃料を供給する燃料供給部3と、ガスタービン2から排出される排ガスの排熱を利用することによって蒸気Saを生成する排熱回収ボイラ4と、排熱回収ボイラ4で生成された蒸気Saで駆動する蒸気タービン5と、蒸気タービン5を駆動した蒸気Sbを水Wに戻す復水器6と、復水器6中で戻された水Wを排熱回収ボイラ4に送る給水ポンプ7と、復水器6に蒸気Sbを冷却するための復水器冷媒を供給する冷却設備8と、を備えている。
【0025】
ガスタービン2は、空気を圧縮する圧縮機21と、圧縮機21で圧縮された空気中で燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成する複数の燃焼器22と、高温高圧の燃焼ガスにより駆動するタービン23とを備えている。タービン23のタービンロータと圧縮機21の圧縮機ロータとは、同一の軸線を中心として回転するもので、相互に連結されて、ガスタービンロータ24をなしている。このガスタービンロータ24には、例えば、不図示の発電機の発電機ロータが接続され、回転することで発電機を駆動させる。タービン23から排気された燃焼ガスは、排気ガスとして排熱回収ボイラ4に供給される。
【0026】
燃料供給部3は、燃焼器22に燃料を供給する。本実施形態の燃料供給部3は、液化ガスの中でも−160℃程度の低温の液化天然ガス(LNG)Gを気化させて燃焼器22に供給する。本実施形態の燃料供給部3は、液化天然ガスGを貯蔵する貯蔵タンク31と、貯蔵タンク31から燃焼器22まで液化天然ガスGを供給する燃料供給ライン32と、燃料供給ライン32に設けられて液化天然ガスGを加熱して気化させる燃料加熱部33とを有している。
【0027】
貯蔵タンク31は、−160℃程度の液化天然ガスGを液化した状態で貯蔵している。
燃料供給ライン32は、貯蔵タンク31から燃焼器22まで接続される配管である。
燃料加熱部33は、燃料供給ライン32の途中に設けられて、液化天然ガスGを蒸発させて気化させる。本実施形態の燃料加熱部33は、後述する冷却設備8で冷却部80としても利用される。
【0028】
排熱回収ボイラ4は、給水ポンプ7によって送られてきた水Wを排ガスによって加熱して蒸気Saを発生させる。排熱回収ボイラ4は、発生させた蒸気Saを蒸気タービン5に供給する。
【0029】
蒸気タービン5は、排熱回収ボイラ4より供給された蒸気Saにより、膨張仕事をして蒸気タービンロータ51を回転させる。蒸気タービンロータ51は、ガスタービンロータ24とは別軸で構成され、独立して回転する。蒸気タービン5は、蒸気タービンロータ51を回転させた蒸気Saを復水器6に排出する。
なお、蒸気タービンロータ51は、本実施形態のように別軸の構造であることに限定されるものではなく、ガスタービンロータ24と相互に連結され、同一の軸線を中心として回転する構造であってもよい。
【0030】
復水器6は、蒸気タービン5から排出される蒸気Sbを冷却して水Wに戻す。復水器6は、冷却設備8から供給される復水器冷媒と蒸気Sbとを熱交換させて、蒸気Sbを冷却することで凝縮させて水Wに戻す。
給水ポンプ7は、復水器6で蒸気Sbから戻された水Wを排熱回収ボイラ4へ圧送する。
【0031】
冷却設備8は、復水器6に冷却された復水器冷媒を供給する。冷却設備8は、復水器冷媒を復水器6に供給する冷媒供給ライン81と、冷媒供給ライン81に設けられて液化天然ガスGを利用して復水器冷媒を冷却する冷却部80とを備える。
【0032】
冷媒供給ライン81は、蒸気タービン5を駆動した蒸気Sbを冷却する復水器冷媒を復水器6に供給する。本実施形態の冷媒供給ライン81は、復水器冷媒として海水Aを海から取水して復水器6に送り込む。冷媒供給ライン81は、蒸気タービン5から供給された蒸気Sbを冷却した後に、復水器6に送り込んだ海水Aを再び海へ排出する。
【0033】
本実施形態の冷媒供給ライン81は、配管である冷媒供給ライン本体811と、冷却部80よりも上流側で取水した海水Aを冷却部80に向けて圧送する取水ポンプ812と、冷却部80よりも下流側で冷却部80によって冷却された海水Aを復水器6に向けて圧送する復水器冷媒ブースターポンプ813と、冷却部80を通過させないように冷却部80を迂回して冷媒供給ライン本体811を接続する供給バイパスライン814とを有する。供給バイパスライン814には、流通させる海水Aの流量を調整する供給バイパス弁814aが設けられている。
【0034】
冷却部80は、冷媒供給ライン本体811の途中に設けられ、ガスタービン2の運転に用いられる液化天然ガスGを利用して海水Aを冷却する。本実施形態の冷却部80は、液化天然ガスGを気化させる燃料加熱部33である。即ち、第一実施形態の燃料加熱部33は、燃料供給ライン32と冷媒供給ライン81とに跨って配置されている。冷却部80は、液化天然ガスGを気化させる際に液化天然ガスGと海水Aとを熱交換することで、液化天然ガスGを加熱すると共に、海水Aを冷却する。
【0035】
次に、上記コンバインドサイクルプラント1の作用について説明する。
第一実施形態のコンバインドサイクルプラント1によれば、燃料供給部3の貯蔵タンク31内の液化天然ガスGが燃料供給ライン32を介して燃料加熱部33に送られて気化される。気化された液化天然ガスGは、燃料加熱部33から燃料供給ライン32を介して燃焼器22に供給される。燃焼器22では、供給された液化天然ガスGと圧縮機21で生成された圧縮空気とによって燃焼ガスが生成される。生成された燃焼ガスは、タービン23に送られて、タービン23を駆動させる。タービン23が駆動することで、ガスタービンロータ24が回転し、不図示の発電機によって発電が行われる。
【0036】
タービン23を駆動させた後の燃焼ガスは、排ガスとしてタービン23から排出されて排熱回収ボイラ4に送られる。排熱回収ボイラ4では、復水器6から供給される水Wが排ガスによって加熱されて蒸気Saが生成される。生成された蒸気Saは、蒸気タービン5に送られて、蒸気タービン5を駆動させる。蒸気タービン5を駆動した後の蒸気Sbは、復水器6に送られて復水器冷媒である海水Aによって冷却されることで、凝縮されて水Wに戻る。凝縮されて蒸気Sbから戻された水Wは給水ポンプ7によって再び排熱回収ボイラ4に送られる。
【0037】
次に、復水器6に供給される復水器冷媒を冷却する冷却方法S100について説明する。
第一実施形態の冷却方法S100では、図2に示すように、ガスタービン2の運転に用いられる液化天然ガスGを利用して復水器冷媒を冷却する冷却工程S10と、蒸気タービン5を駆動した蒸気Sbを冷却する復水器冷媒を復水器6に供給する冷媒供給工程S80と、冷却された復水器冷媒を用いて復水器6で蒸気Sbを冷却する蒸気冷却工程S90とを含んでいる。
【0038】
冷却工程S10は、事前に復水器冷媒を低温の液化天然ガスGを利用して冷却する。第一実施形態の冷却工程S10は、冷却部80である燃料加熱部33を用いて、液化天然ガスGと復水器冷媒とを熱交換させることで、復水器冷媒を冷却する。具体的には、冷却工程S10では、取水ポンプ812を駆動させることで、冷媒供給ライン本体811を介して海から海水Aを取水し、燃料加熱部33に供給する。
【0039】
また、冷却工程S10では、燃料供給ライン32を介して液化天然ガスGを貯蔵タンク31から燃料加熱部33に供給する。冷却工程S10では、供給された液化天然ガスGと海水Aとを熱交換し、液化天然ガスGを加熱及び気化させると共に、海水Aを冷却する。
【0040】
冷媒供給工程S80は、冷却部80で冷却された復水器冷媒を復水器6まで送る。本実施形態の冷媒供給工程S80は、燃料加熱部33で冷却された海水Aを復水器冷媒ブースターポンプ813で冷媒供給ライン本体811を介して復水器6まで圧送する。
【0041】
蒸気冷却工程S90は、冷却された復水器冷媒によって、復水器6で蒸気Sbを冷却して凝縮させる。本実施形態の蒸気冷却工程S90は、冷媒供給ライン本体811を介して復水器6に供給された海水Aと、蒸気タービン5から送られてきた蒸気Sbとを熱交換し、蒸気Sbを水Wに戻すと共に、海水Aが加熱される。蒸気冷却工程S90では、加熱された海水Aが復水器6から排出され、冷媒供給ライン本体811を介して海に排出される。
【0042】
上記のような冷却設備8や冷却方法S100によれば、冷却工程S10において冷却部80である燃料加熱部33で液化天然ガスGを気化させる際の熱を利用して海水Aを冷却することができる。冷却された海水Aを冷媒供給ライン81で復水器6まで送ることで、液化天然ガスGを利用して蒸気タービン5の駆動に用いられた蒸気Sbを冷却することができる。したがって、液化天然ガスGによって冷却された海水Aで蒸気Sbを冷却することで、復水器6の真空度を向上させ、蒸気タービン5の入口側と出口側とに圧力差を生じさせ、蒸気タービンの仕事量を増加させることができる。これにより、蒸気Sbを冷却するためのエネルギーとして液化天然ガスGの冷熱エネルギーを回収して、蒸気タービン5を駆動した蒸気Sbを冷却するためのエネルギーとして有効に利用でき、蒸気タービン5の出力を向上させることができる。
【0043】
また、冷却部80で冷却された上で復水器冷媒として供される海水Aを利用し、蒸気タービン5を駆動した蒸気Sbを復水器6で冷却した後に再び海に戻すことで、冷却部80が無い場合に比べて、海に戻す海水温度を抑えることが出来るため、環境負荷を抑えながら復水器冷媒を復水器6に供給することができるといえる。
【0044】
例えば、蒸気タービン5だけではなく、ガスタービン2の吸気も冷却させた場合には、ガスタービン2の吸気量(質量流量)が増加することで、燃焼温度を同じ温度に維持しようとする限り、使用される燃料の消費量が増加してタービン23の排ガスの熱量も増加してしまう。排ガスの熱量が増加することで、排ガスを利用して排熱回収ボイラ4で生成される蒸気Saの保有熱量(基本的には、蒸発量)も上昇してしまう。そのため、蒸気タービン5を駆動した蒸気Sb冷却するために、復水器6で用いられた後の海水Aの温度も上昇してしまう。その結果、海へ排出する海水Aの温度も高くなってしまい、環境負荷がより一層高くなってしまう。
【0045】
また、上記のようなコンバインドサイクルプラント1によれば、ガスタービン2で使用される燃料の消費量を増加させずに、蒸気タービン5の出力を向上させることで、コンバインドサイクルプラント1全体としての熱効率を向上させることができる。
【0046】
仮に、ガスタービン2の吸気を冷却させてガスタービン2の出力を増大させる場合には、ガスタービン2で使用される燃料の消費量も増加してしまう。そのため、ガスタービン2の出力を増加させても、コンバインドサイクルプラント1の熱効率を向上させることは見込み難い。
【0047】
一方、ガスタービン2ではなく、復水器冷媒の温度を下げて復水器真空度を向上させることによって蒸気タービン5の出力を向上させることにおいては、ガスタービン2で使用される燃料の消費量を変化させる必要はない。これにより、コンバインドサイクルプラント1全体としての熱効率を向上させることができる。
【0048】
《第二実施形態》
次に、図3及び図4を参照して第二実施形態のコンバインドサイクルプラント1aについて説明する。
第二実施形態においては第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。この第二実施形態のコンバインドサイクルプラント1aは、冷却設備8aの冷却部80aの構成について第一実施形態と相違する。
【0049】
第二実施形態の冷却部80aは、復水器冷媒である海水Aを液化天然ガスGで直接冷却せずに、第一中間冷媒Bを利用して間接的に冷却する。具体的には、第二実施形態の冷却部80aは、図3に示すように、液化天然ガスGと熱交換することで第一中間冷媒Bを冷却する液化ガス熱交換部82と、液化ガス熱交換部82と接続され、冷却された第一中間冷媒Bが流通する第一中間冷媒流通ライン83と、第一中間冷媒流通ライン83に設けられ、流通する第一中間冷媒Bを利用して海水Aを冷却する第一中間冷却部84とを有する。
【0050】
液化ガス熱交換部82は、第一実施形態で冷却部80として利用された燃料加熱部33である。即ち、第二実施形態の燃料加熱部33aは、燃料供給ライン32と第一中間冷媒流通ライン83とに跨って配置されている。液化ガス熱交換部82は、液化天然ガスGを気化させる際に液化天然ガスGと第一中間冷媒Bとを熱交換することで、液化天然ガスGを加熱すると共に、第一中間冷媒Bを冷却する。本実施形態の第一中間冷媒Bには、不凍液であるエチレングリコール等が用いられる。
【0051】
第一中間冷媒流通ライン83は、液化ガス熱交換部82である燃料加熱部33aで冷却された第一中間冷媒Bを第一中間冷却部84に送り、第一中間冷却部84から排出された第一中間冷媒Bを再び燃料加熱部33aに送り込む。即ち、第一中間冷媒流通ライン83は、燃料加熱部33aと第一中間冷却部84との間を接続し、第一中間冷媒Bを循環させている。
【0052】
本実施形態の第一中間冷媒流通ライン83は、配管である第一中間冷媒流通ライン本体831と、冷却された第一中間冷媒Bを第一中間冷却部84に向けて圧送する第一中間ブースターポンプ832と、第一中間冷却部84を通過させないように第一中間冷却部84を迂回して第一中間冷媒流通ライン本体831を接続する第一中間バイパスライン833とを有する。第一中間バイパスライン833には、流通させる第一中間冷媒Bの流量を調整する第一中間バイパス弁833aと、空気を利用して第一中間冷媒Bを加熱するエアヒータ833bとが設けられている。
【0053】
第一中間冷却部84は、第一中間冷媒流通ライン83と冷媒供給ライン81とを跨ぐように第一中間冷媒流通ライン本体831の途中に設けられている。第一中間冷却部84は、液化ガス熱交換部82で冷却された第一中間冷媒Bを利用して取水した海水Aを冷却する。本実施形態の第一中間冷却部84は、第一中間冷媒Bと海水Aとを熱交換させる熱交換器である。第一中間冷却部84は、第一中間冷媒Bと海水Aとを熱交換させることで、第一中間冷媒Bを加熱すると共に、海水Aを冷却する。
【0054】
また、第二実施形態の供給バイパスライン814は、第一中間冷却部84を通過させないように第一中間冷却部84を迂回して冷媒供給ライン本体811と接続される。
【0055】
次に、第二実施形態の冷却方法S101について説明する。
第二実施形態の冷却方法S101では、図4に示すように、冷却工程S11が第一実施形態の冷却工程S10と異なっている。第二実施形態の冷却工程S11は、低温の液化天然ガスGを間接的に利用して復水器冷媒を冷却する。
【0056】
具体的には、第二実施形態の冷却工程S11は、液化天然ガスGと熱交換することで第一中間冷媒Bを冷却する液化ガス熱交換工程S20と、液化ガス熱交換工程S20で冷却された第一中間冷媒Bを流通させる第一中間冷媒流通工程S30と、流通する第一中間冷媒Bを利用して海水Aを冷却する第一中間冷却工程S40とを有する。
【0057】
液化ガス熱交換工程S20は、液化ガス熱交換部82である燃料加熱部33aを用いて、液化天然ガスGと第一中間冷媒Bとを熱交換させることで、第一中間冷媒Bを冷却する。具体的には、液化ガス熱交換工程S20では、第一中間冷媒流通ライン83を循環している第一中間冷媒Bを燃料加熱部33aに供給する。
【0058】
また、液化ガス熱交換工程S20では、燃料供給ライン32を介して液化天然ガスGを貯蔵タンク31から燃料加熱部33aに供給する。液化ガス熱交換工程S20は、燃料加熱部33aに供給された第一中間冷媒Bと液化天然ガスGとを熱交換し、液化天然ガスGを加熱して気化させると共に、第一中間冷媒Bを冷却する。
【0059】
第一中間冷媒流通工程S30は、液化ガス熱交換部82で冷却された第一中間冷媒Bを第一中間冷却部84まで送る。本実施形態の第一中間冷媒流通工程S30は、燃料加熱部33aで冷却された第一中間冷媒Bを第一中間ブースターポンプ832で第一中間冷媒流通ライン本体831を介して第一中間冷却部84まで圧送する。
【0060】
第一中間冷却工程S40は、熱交換器である第一中間冷却部84を用いて、第一中間冷媒Bと海水Aとを熱交換させることで、海水Aを冷却する。具体的には、第一中間冷却工程S40は、第一中間冷却部84に送られてきた第一中間冷媒Bと、冷媒供給ライン本体811を介して海で取水されて第一中間冷却部84に供給された海水Aとを熱交換させて、第一中間冷媒Bを加熱すると共に、海水Aを冷却する。
【0061】
第一実施形態と同様に、冷媒供給工程S80及び蒸気冷却工程S90が実施されることで、冷却された海水Aは復水器6で蒸気Sbを冷却するために使用される。
【0062】
上記のような冷却設備8a及び冷却方法S101によれば、液化ガス熱交換工程S20において液化天然ガスGを利用して液化ガス熱交換部82で第一中間冷媒Bを冷却した後に、第一中間冷却工程S40において冷却された第一中間冷媒Bを利用して第一中間冷却部84で海水Aを冷却することで、液化天然ガスGを利用して間接的に海水Aを冷却できる。そのため、液化天然ガスGと第一中間冷媒B、第一中間冷媒Bと海水Aとのそれぞれの温度差を小さくすることができる。
【0063】
したがって、液化天然ガスGが−160℃のような低温であっても、海水Aが凍結してしまうことを防ぎながら、海水Aを冷却する一手段を提供することができる。また、各熱交換部を流れる二流体間の温度差が小さくなることで、燃料加熱部33aや第一中間冷却部84への熱負荷を小さくすることができる。これにより、液化天然ガスGを気化させる際に生じる冷熱エネルギーを回収することができ、蒸気Sbを冷却するためのエネルギーとして有効に利用することができる。
【0064】
《第三実施形態》
次に、図5及び図6を参照して第三実施形態のコンバインドサイクルプラント1bについて説明する。
第三実施形態においては第一実施形態や第二実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。この第三実施形態のコンバインドサイクルプラント1bは、冷却部80bの第一中間冷却部84bの構成について第二実施形態と相違する。
【0065】
第三実施形態の第一中間冷却部84bは、復水器冷媒である海水Aを第一中間冷媒Bで直接冷却せずに、第二中間冷媒Cを利用して、さらに間接的に冷却する。具体的には、第三実施形態の第一中間冷却部84bは、図5に示すように、冷却された第一中間冷媒Bと熱交換することで第二中間冷媒Cを冷却する第一中間冷媒熱交換部85と、冷却された第二中間冷媒Cが流通する第二中間冷媒流通ライン86と、流通する第二中間冷媒Cを利用して海水Aを冷却する第二中間冷却部87と、を有する。
【0066】
第一中間冷媒熱交換部85は、第一中間冷媒流通ライン本体831の途中に設けられ、液化ガス熱交換部82で冷却された第一中間冷媒Bを利用して第二中間冷媒Cを冷却する。本実施形態の第一中間冷媒熱交換部85は、第一中間冷媒Bと第二中間冷媒Cとを熱交換させる熱交換器である。
【0067】
本実施形態の第一中間冷媒熱交換部85は、第一中間冷媒流通ライン83と第二中間冷媒流通ライン86とに跨って配置されている。第一中間冷媒熱交換部85は、第一中間冷媒Bと第二中間冷媒Cとを熱交換させることで、第一中間冷媒Bを加熱すると共に、第二中間冷媒Cを冷却する。本実施形態の第二中間冷媒Cには、循環水が用いられる。
【0068】
第二中間冷媒流通ライン86は、第一中間冷媒熱交換部85で冷却された第二中間冷媒Cを第二中間冷却部87に送り、第二中間冷却部87から排出された第二中間冷媒Cを再び第一中間冷媒熱交換部85に送り込む。即ち、第二中間冷媒流通ライン86は、第一中間冷媒熱交換部85と第二中間冷却部87との間を接続し、第二中間冷媒Cを循環させている。
【0069】
本実施形態の第二中間冷媒流通ライン86は、配管である第二中間冷媒流通ライン本体861と、冷却された第二中間冷媒Cを第二中間冷却部87に向けて圧送する第二中間ブースターポンプ862と、を有する。
【0070】
第二中間冷却部87は、第二中間冷媒流通ライン本体861と冷媒流通ライン本体とを跨ぐように第二中間冷媒流通ライン本体861の途中に設けられている。第二中間冷却部87は、第一中間冷媒熱交換部85で冷却された第二中間冷媒Cを利用して取水した海水Aを冷却する。本実施形態の第二中間冷却部87は、第二中間冷媒Cと海水Aとを熱交換させる熱交換器である。第二中間冷却部87は、第二中間冷媒Cと海水Aとを熱交換させることで、第二中間冷媒Cを加熱すると共に、海水Aを冷却する。
【0071】
次に、第三実施形態の冷却方法S102について説明する。
第三実施形態の冷却方法S102では、図6に示すように、冷却工程S12の第一中間冷却工程S41が第二実施形態の第一中間冷却工程S40と異なっている。第三実施形態の第一中間冷却工程S41は、液化天然ガスGによって冷却された低温の第一中間冷媒Bを間接的に利用して、復水器冷媒を冷却する。
【0072】
具体的には、第三実施形態の第一中間冷却工程S41は、冷却された第一中間冷媒Bと熱交換することで第二中間冷媒Cを冷却する第一中間冷媒熱交換工程S50と、冷却された第二中間冷媒Cを流通させる第二中間冷媒流通工程S60と、流通する第二中間冷媒Cを利用して海水Aを冷却する第二中間冷却工程S70とを有する。
【0073】
第一中間冷媒熱交換工程S50は、熱交換器である第一中間冷媒熱交換部85を用いて、第一中間冷媒Bと第二中間冷媒Cとを熱交換させることで、第二中間冷媒Cを冷却する。具体的には、第一中間冷媒熱交換工程S50は、第一中間冷媒流通ライン本体831から第一中間冷媒熱交換部85に供給された第一中間冷媒Bと、第二中間冷媒流通ライン本体861を介して第一中間冷媒熱交換部85に供給された第二中間冷媒Cとを熱交換させて、第一中間冷媒Bを加熱すると共に、第二中間冷媒Cを冷却する。
【0074】
第二中間冷媒流通工程S60は、第一中間冷媒熱交換部85で冷却された第二中間冷媒Cを第二中間冷却部87まで送る。本実施形態の第二中間冷媒流通工程S60は、第一中間冷媒熱交換部85で冷却された第二中間冷媒Cを第二中間ブースターポンプ862で第二中間冷媒流通ライン本体861を介して第二中間冷却部87まで圧送する。
【0075】
第二中間冷却工程S70は、熱交換器である第二中間冷却部87を用いて、第二中間冷媒Cと海水Aとを熱交換させることで、海水Aを冷却する。具体的には、第二中間冷却工程S70は、第二中間冷媒流通ライン本体861から第二中間冷却部87に供給された第二中間冷媒Cと、冷媒供給ライン本体811を介して海で取水されて第二中間冷却部87に供給された海水Aとを熱交換させて、第二中間冷媒Cを加熱すると共に、海水Aを冷却する。
【0076】
第一実施形態や第二実施形態と同様に、冷媒供給工程S80及び蒸気冷却工程S90が実施されることで、冷却した海水Aは復水器6で蒸気Sbを冷却するために使用される。
【0077】
上記のような冷却設備8b及び冷却方法S102によれば、液化天然ガスGによって冷却された第一中間冷媒Bを利用し、第一中間冷媒熱交換工程S50において第一中間冷媒熱交換部85で第二中間冷媒Cを冷却した後に、冷却した第二中間冷媒Cによって第二中間冷却工程S70において第二中間冷却部87で海水Aを冷却している。即ち、液化天然ガスGを利用して海水Aを冷却するまでに、二段階の冷媒を介して間接的に冷却することができる。このように、運用温度帯が異なる複数の中間冷媒サイクルから構成することで、各熱交換部を流れる二流体間の温度差をさらに低減することができる。これにより、各熱交換部あたりの熱負荷を小さくすることができ、各熱交換部としてコンパクトな構成のものを使用できる。また、運用温度帯が異なる複数の中間冷媒サイクルから構成することで、例えばプラント補機向け軸冷水(あるいはその冷却)等のプラントサイクルへの流用も可能とし得る。したがって、液化天然ガスGが−160℃程度のような低温であっても海水Aが凍結してしまうことを防ぎながら、現有設備構成にフレキシブルに対応させつつ、海水Aを冷却する一手段を提供することができる。
【0078】
また、各熱交換部を流れる二流体間の温度差を小さくすることができる。即ち、燃料加熱部33aや第一中間冷媒熱交換部85や第二中間冷却部87への熱負荷を小さくすることができる。これにより、液化天然ガスGを気化させる際に生じる冷熱エネルギーを回収することができ、蒸気Sbを冷却するためのエネルギーとして有効に利用することができる。
【0079】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0080】
なお、本発明の復水器冷媒は、本実施形態のように海水Aに限定されるものでなく、復水器6で蒸気Sbを冷却可能な冷媒であればよい。例えば、復水器冷媒は、冷却塔から供給される循環水でもよく、河川等から取水した河川水であってもよい。
【0081】
また、第一中間冷媒Bや第二中間冷媒Cは、本実施形態に限定されるものではなく、冷媒として使用可能であればよい。例えば、第二中間冷媒Cは、本実施形態で第一中間冷媒Bとして使用されるグリコールでもよい。
【0082】
また、液化ガス熱交換部82は本実施形態のように燃料加熱部33、33aに限定されるものではなく、第一中間冷媒Bと液化天然ガスGとを熱交換させることが可能な熱交換器であればよい。
【符号の説明】
【0083】
1、1a、1b…コンバインドサイクルプラント 2…ガスタービン 21…圧縮機 22…燃焼器 23…タービン 24…ガスタービンロータ G…液化天然ガス 3…燃料供給部 31…貯蔵タンク 32…燃料供給ライン 33、33a…燃料加熱部 4…排熱回収ボイラ S…蒸気 5…蒸気タービン 51…蒸気タービンロータ 6…復水器 W…水 7…給水ポンプ 8…冷却設備 81…冷媒供給ライン 811…冷媒供給ライン本体 812…取水ポンプ 813…復水器冷媒ブースターポンプ 814…供給バイパスライン 814a…供給バイパス弁 A…海水 80、80a、80b…冷却部 S100,S101,S102…冷却方法 S10、S11、S12…冷却工程 S80…冷媒供給工程 S90…蒸気冷却工程 82…液化ガス熱交換部 B…第一中間冷媒 83…第一中間冷媒流通ライン 831…第一中間冷媒流通ライン本体 832…第一中間ブースターポンプ 833…第一中間バイパスライン 833a…第一中間バイパス弁 833b…エアヒータ 84、84b…第一中間冷却部 S20…液化ガス熱交換工程 S30…第一中間冷媒流通工程 S40、S41…第一中間冷却工程 C…第二中間冷媒 85…第一中間冷媒熱交換部 86…第二中間冷媒流通ライン 861…第二中間冷媒流通ライン本体 862…第二中間ブースターポンプ 87…第二中間冷却部 S50…第一中間冷媒熱交換工程 S60…第二中間冷媒流通工程 S70…第二中間冷却工程
図1
図2
図3
図4
図5
図6