(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記外側濾過部材の下端部は、前記内側濾過部材の下端部より高い位置にあり、且つ、前記内側壁の上端面と同等位置にあることを特徴とする請求項1に記載のフィルタエレメント。
前記外側壁は、前記下部エンドキャップに、前記内側壁を取り囲むように形成されていて、該外側壁と前記内側壁とは、放射状に配置された複数のリブ状の連結壁により連結されていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のフィルタエレメント。
前記下部エンドキャップは、別構成されて相互に嵌合し合う内側キャップ部材と外側キャップ部材とを有していて、前記内側キャップ部材に前記内側壁が形成され、前記外側キャップ部材に前記外側壁と前記液体排出孔とが形成されていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のフィルタエレメント。
入口ポート及び出口ポートを備えたヘッドと、該ヘッドに連結された中空のハウジング本体とからなるハウジング、及び、前記ハウジング本体の内部に軸線を垂直に向けて収容された中空のフィルタエレメント、を有し、前記フィルタエレメントは、中央空間部の回りを取り囲む内側濾過部材と、該内側濾過部材の外周を取り囲む外側濾過部材とを有していて、前記入口ポートから前記中央空間部内に導入された圧縮空気が、前記内側濾過部材から前記外側濾過部材を通過する間に濾過されて、前記出口ポートから流出するように構成された空気圧フィルタであって、
前記フィルタエレメントの前記内側濾過部材及び外側濾過部材の上端部には、前記入口ポートと中央空間部とを結ぶ導入口を有する上部エンドキャップが取り付けられ、前記内側濾過部材及び外側濾過部材の下端部には、前記中央空間部の下端部を塞ぐ下部エンドキャップが取り付けられ、
前記内側濾過部材の下端部外周は、前記下部エンドキャップに形成された内側壁で取り囲まれ、前記外側濾過部材の下端部外周は、圧縮空気の流れを遮断する外側壁で取り囲まれ、該外側壁の上端面は前記内側壁の上端面より高い位置にあり、
前記外側壁の、前記内側壁より上方で前記外側濾過部材の外周を取り囲んでいる壁部分の上下幅は、前記内側壁の、前記内側濾過部材の外周を取り囲んでいる壁部分の上下幅より大きく、
前記外側壁と前記内側壁との間には、前記内側濾過部材及び外側濾過部材で捕集された液体を前記ハウジング本体の内部に排出するための液体排出路が形成され、該液体排出路は、前記下部エンドキャップの下面に開放する液体排出孔に連通している、
ことを特徴とする空気圧フィルタ。
前記外側壁は、前記下部エンドキャップに、前記内側壁を取り囲むように形成されていて、該外側壁と前記内側壁とは、放射状に配置された複数のリブ状の連結壁により連結されていることを特徴とする請求項6から8の何れかに記載の空気圧フィルタ。
前記下部エンドキャップは、別構成されて相互に嵌合し合う内側キャップ部材と外側キャップ部材とを有していて、前記内側キャップ部材に前記内側壁が形成され、前記外側キャップ部材に前記外側壁と前記液体排出孔とが形成されていることを特徴とする請求項6から8の何れかに記載の空気圧フィルタ。
前記外側キャップ部材は、前記ハウジング本体の内部に係止することにより、前記フィルタエレメントの下端部を支持する支持ブロックを兼ねていることを特徴とする請求項10に記載の空気圧フィルタ。
【背景技術】
【0002】
圧縮空気によって空気圧シリンダや空気圧モータ等の空気圧アクチュエータを作動させる場合、塵埃や、油分及び水分等の液体が混入していない清浄な圧縮空気を使用することが要求される。このため、通常、前記空気圧アクチュエータに圧縮空気を供給する空気圧回路には、該圧縮空気から前記塵埃や液体等の異物を除去するための空気圧フィルタが使用されている。
【0003】
前記空気圧フィルタは、例えば特許文献1に開示されているように、入口ポートと出口ポートとを有するフィルタケースの内部に、前記異物を除去するためのフィルタ本体を収容した構成を有している。このフィルタ本体は、中空の濾過部材と、該濾過部材の上端及び下端に取り付けられた上部キャップ及び下部キャップとを有していて、前記上部キャップは、前記入口ポートを前記濾過部材の中空部に連通させる連通孔を有し、前記下部キャップは、前記濾過部材の中空部の下端部を塞ぐ役目を果たすものである。
【0004】
そして、前記入口ポートからの圧縮空気が、前記上部キャップの連通孔を通じて前記濾過部材の中空部内に供給されると、該圧縮空気は、前記濾過部材を内側から外側へと通過する間に濾過されて前記異物が除去され、浄化された圧縮空気が、前記出口ポートから流出する。
一方、前記圧縮空気から分離された油分や水分等の液体は、前記濾過部材に沿って流下する間に、小さい粒子同士が結合を繰り返すことにより次第に大きな液体粒子に成長し、前記下部キャップ内まで流下して一旦滞留したあと、該下部キャップから前記フィルタケースの内部に順次滴下し、ドレンとして排出される。
【0005】
ところが、前記従来の空気圧フィルタは、圧縮空気の流速が速い場合、前記濾過部材の下端部近辺や前記下部キャップの上面近辺においては、前記濾過部材中に高密度で含まれる液体や、前記下部キャップ内に溜まった液体が、前記圧縮空気の速い流れと接触して飛散し、浄化後の該圧縮空気中に再び混入し易いという問題がある。特に、前記下部キャップ内の液体が該下部キャップをオーバーフローする際に、該下部キャップの縁上にある液体が前記圧縮空気の流れによって飛散し易い。
【0006】
一方、特許文献2には、このような問題を解決することができるフィルタエレメントが開示されている。このフィルタエレメントは、塵埃を除去する中空状をした小径の濾過層と、液体を捕集する中空状をした大径のドレン層とを、内外二重に配設すると共に、前記濾過層及びドレン層の上端と下端とに上部キャップと下部キャップとを取り付け、前記ドレン層の下端部を、前記下部キャップの側面外周から下面の一部を包み込むように延在させたものである。
【0007】
このフィルタエレメントにおいて、圧縮空気が前記濾過槽から前記ドレン層を通過する間に該ドレン層で液体が捕集されると、該液体は、該ドレン層を伝って下方に流れ、前記下部キャップの下面に位置するドレン層部分から滴下するため、前記圧縮空気の流れと接触することがなく、このため、該圧縮空気中に再び混入するのが防止される。
【0008】
しかし、前記フィルタエレメントにおいては、前記ドレン層の下端部を、下部キャップの側面外周から下面の一部を包み込むような特殊な形に形成しなければならないため、その製造に手間とコストがかかるという欠点がある。均一な筒状をしたドレン層を前記形に変形させるようにすると、皺が寄りやすいため、その作業が非常に面倒になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の技術的課題は、濾過される圧縮空気の流速が速い場合でも、濾過部材で捕集された液体が浄化後の圧縮空気中に再び混入するのを確実に防止することができる、構成が簡単な空気圧フィルタ及びフィルタエレメントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するため、本発明によれば、圧縮空気中に混入した塵埃及び液体を除去するための中空状をしたフィルタエレメントが提供される。
前記フィルタエレメントは、中央空間部の回りを取り囲む内側濾過部材と、該内側濾過部材の外周を取り囲む外側濾過部材とを有していて、前記中央空間部内に導入された圧縮空気が、前記内側濾過部材から前記外側濾過部材を通過する間に濾過されて前記塵埃及び液体が除去されるように構成されている。
前記内側濾過部材及び外側濾過部材の軸線方向の一端である上端部には、前記中央空間部内に圧縮空気を導入するための導入口を有する上部エンドキャップが取り付けられ、前記内側濾過部材及び外側濾過部材の軸線方向の他端である下端部には、前記中央空間部の下端部を塞ぐ下部エンドキャップが取り付けられている。
前記内側濾過部材の下端部外周は、前記下部エンドキャップに形成された内側壁で取り囲まれ、前記外側濾過部材の下端部外周は、圧縮空気の流れを遮断する外側壁で取り囲まれ、前記外側壁の上端面は前記内側壁の上端面より高い位置に
あり、前記外側壁の、前記内側壁より上方で前記外側濾過部材の外周を取り囲んでいる壁部分の上下幅は、前記内側壁の、前記内側濾過部材の外周を取り囲んでいる壁部分の上下幅より大きく、前記外側壁と前記内側壁との間には、前記内側濾過部材及び外側濾過部材で捕集された液体を外部に排出するための液体排出路が形成され、該液体排出路は、前記下部エンドキャップの下面に開放する液体排出孔に連通している。
【0012】
また、本発明によれば、入口ポート及び出口ポートを備えたヘッドと、該ヘッドに連結された中空のハウジング本体とからなるハウジングを有していて、前記ハウジング本体の内部に、前記フィルタエレメントが軸線を垂直に向けて収容された空気圧フィルタが提供される。
【0013】
本発明の好ましい構成態様によれば、前記フィルタエレメントにおける前記外側濾過部材の下端部は、前記内側濾過部材の下端部より高い位置にあり、且つ、前記内側壁の上端面と同等位置にある。
更に、前記外側壁の内周面と前記外側濾過部材の外周面との間には、前記液体排出路に通じる隙間が形成されていても良い。
【0014】
本発明において好ましくは、前記外側壁が、前記下部エンドキャップに、前記内側壁を取り囲むように形成されていて、該外側壁と前記内側壁とは、放射状に配置された複数のリブ状の連結壁により連結されていることである。
また、前記下部エンドキャップは、別構成されて相互に嵌合し合う内側キャップ部材と外側キャップ部材とを有していて、前記内側キャップ部材に前記内側壁が形成され、前記外側キャップ部材に前記外側壁と前記液体排出孔とが形成されていても良い。
この場合、前記外側キャップ部材は、前記フィルタエレメントの下端部を支持する支持ブロックを兼ねることもできる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、内側濾過部材から外側濾過部材を通過する圧縮空気の流れは、該内側濾過部材及び外側濾過部材の下端部近辺で、前記外側濾過部材の下端部外周を取り囲む外側壁により遮られ、その流速が低下するため、前記内側濾過部材及び外側濾過部材の下端部近辺に高密度で含まれる液体や、下部エンドキャップ内に溜まった液体が、前記圧縮空気の流れと接触して飛散することがなく、この結果、浄化後の該圧縮空気中に液体が再び混入するのが確実に防止される。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1及び
図2には、本発明に係るフィルタエレメント1を用いた空気圧フィルタが示されている。この空気圧フィルタは、ハウジング2の内部に、中空状をした前記フィルタエレメント1を、リング状をした仕切り部材3を介して、軸線Lを垂直に向けて収容したもので、
図1に点線の矢印で示すように、入口ポート4から流入した圧縮空気が、前記フィルタエレメント1の中心の中央空間部6内に導入されて、内側濾過部材7から外側濾過部材8へと通過する間に濾過され、油分や水分等の液体と塵埃とが除去されることにより浄化された圧縮空気が、前記フィルタエレメント1の外周を取り巻く外側空間部9から、出口ポート5を通じて外部に流出するように構成されている。
【0018】
前記ハウジング2は、エア配管を接続するための前記入口ポート4及び出口ポート5を備えたヘッド11と、該ヘッド11の下部に連結された中空のハウジング本体12とを備えている。
【0019】
前記ヘッド11は、平面視矩形状をしていて、相反する2つの側面のうちの一方の側面に前記入口ポート4が形成され、他方の側面に前記出口ポート5が形成されている。前記入口ポート4は、導管13内に形成された入口側流路14を通じて前記フィルタエレメント1の中心の前記中央空間部6に連通し、前記出口ポート5は、前記導管13を取り巻く出口側流路15、及び、前記仕切り部材3に形成された連通孔16を通じて、前記フィルタエレメント1の外周とハウジング2の内周との間に形成された前記外側空間部9に連通している。
【0020】
前記ハウジング本体12は、上下に細長い円筒状をしていて、その上端部は開放し、下端部は、下に向けて凸形をなす部分球面状の底部12aで覆われている。
前記ハウジング本体12の上端部には、外周方向に張り出すフランジ部12bが形成され、該フランジ部12bが、前記仕切り部材3の外周のフランジ部3aと共に、前記ヘッド11の下面と固定部材17の上端部との間に挟持されて固定されることにより、該ハウジング本体12が前記ヘッド11に連結されている。図中の符号18は、前記フランジ部12bとヘッド11との間に介設されたシール部材である。
【0021】
前記固定部材17は、リング状をしていて、前記ハウジング本体12の外周に嵌め付けられ、前記フランジ部12b,3aをヘッド11との間に挟持する前記固定位置で、前記ハウジング本体12の外周に巻き付けて固定された係止部材19で下から支持されることにより、前記固定位置に保持されている。
【0022】
また、前記ハウジング本体12の内底面の近くには、前記フィルタエレメント1の下端部を支持するリング状の支持ブロック21が配設されている。この支持ブロック21の内周面には、前記ハウジング本体12の中心に向けて放射状に張り出す複数のフィン状をした支持壁21aが形成され、該支持壁21aの下端部が前記ハウジング本体12の底部12aに当接して係止し、前記該支持壁21aの上に、前記フィルタエレメント1の下端部が当接して支持されている。
【0023】
前記支持ブロック21より下方の空間部22は、前記フィルタエレメント1で捕集された液体即ちドレンを溜めるためのドレン溜めを形成しており、該空間部22には、前記フィルタエレメント1の下部エンドキャップ24に形成された液体排出路25が、該下部エンドキャップ24の下面に開放する液体排出孔25aを通じて連通し、前記フィルタエレメント1で捕集されたドレンが、前記液体排出路25から前記液体排出孔25aを通じて前記空間部22内に滴り落ちるようになっている。
【0024】
前記ハウジング本体12の底部の中央位置には、前記空間部22内に溜まったドレンを排出するためのドレン排出弁26が設けられている。このドレン排出弁26は、ドレンコックを回転操作してドレン排出口を開閉する手動操作式の弁であっても、ドレンの液位や空間部の圧力等に応じてドレン排出口を自動的に開閉する自動式の弁であっても良いが、何れの形式の弁を使用する場合であっても、その構成は既に公知であるから、ここでの詳細な説明は省略する。
【0025】
次に、前記フィルタエレメント1について詳細に説明する。このフィルタエレメント1は、
図3−
図6に詳細に示すように、前記中央空間部6を取り囲む中空状をした小径の前記内側濾過部材7と、該内側濾過部材7の外周を取り囲む中空状をした大径の前記外側濾過部材8とを有し、これら内側濾過部材7及び外側濾過部材8は、前記フィルタエレメント1の軸線Lを取り囲んで同心状且つ内外二重に配設されている。
【0026】
前記内側濾過部材7は、前記外側濾過部材8よりも圧縮空気の流れの上流側に位置し、主として、該圧縮空気中に含まれる塵埃と、ミスト状あるいは液滴状をした油分や水分等の液体とを捕集するものである。この内側濾過部材7は、プリーツ状に折曲した濾材を円筒状に丸めることにより形成されており、この内側濾過部材7が、パンチングメタルで形成された小径の内側支持筒28と大径の外側支持筒29との間に、これら内側支持筒28及び外側支持筒29と同心状に介設されている。
前記内側濾過部材7は、プリーツ状に折曲しているため、平坦なシート状の濾材をそのまま丸めて形成したものに比べ、濾過面積が拡大されている。しかし、濾過面積をそれほど大きくする必要がない場合には、平坦なシート状の濾材を円筒状に丸めて形成した通常の濾過部材を使用することもできる。
【0027】
一方、前記外側濾過部材8は、前記内側濾過部材7よりも圧縮空気の流れの下流側に位置し、主として、前記内側濾過部材7で捕集された油分や水分等の液体を前記下部エンドキャップまで導く役目を果たすもので、前記外側支持筒29の外周に、該外側支持筒29を介して前記内側濾過部材7の外周を取り囲むように配設されている。
【0028】
前記内側濾過部材7及び外側濾過部材8は、例えば、直径が数μm−数十μm程度の微細な化学繊維を、規則的にあるいは不規則的に積層して形成した繊維シートや、積層した化学繊維を接着剤や融着あるいは絡着等の方法で接合して形成した不織布、セラミック製微細粒子の集合体、あるいは合成樹脂製多孔質シート等により形成することができる。また、前記内側濾過部材7は、前記外側濾過部材8より細径の繊維を使用して空隙率(目の粗さ)を小さくすることにより、微細な塵埃や、油分あるいは水分等の細かいミストを確実に捕集することができる程度に緻密に形成され、これに対して前記外側濾過部材8は、前記内側濾過部材7より太径の繊維を使用して空隙率(目の粗さ)を大きくすることにより、前記内側濾過部材7が捕集した油分や水分等の液体を下部エンドキャップ24まで速やかに導くことができるように形成されている。従って、前記内側濾過部材7は細目の濾過部材であり、前記外側濾過部材8は粗目の濾過部材であるということができる。
【0029】
前記内側濾過部材7及び外側濾過部材8の上端部には、円環状をした上部エンドキャップ23が接着剤で固定され、前記内側濾過部材7及び外側濾過部材8の下端部には、円形の皿形をした前記下部エンドキャップ24が取り付けられている。この下部エンドキャップ24も接着剤で固定することができる。
【0030】
前記上部エンドキャップ23の中央には、導入口31を内部に有する連通管30が、該上部エンドキャップ23の上下両方向に突出するように形成され、該連通管30の上半部30aが、
図1に示すように、前記導管13の下端部にシール部材32を介して気密に接続されている。これにより、前記導入口31で、前記導管13内の入口側流路14と前記内側濾過部材7の内部の前記中央空間部6とが接続され、前記入口ポート4からの圧縮空気が前記中央空間部6内に導入されるようになっている。
【0031】
また、前記上部エンドキャップ23の直径方向の外周端には、下部エンドキャップ24側に向けて下向きに延びる外周壁23aが形成され、該外周壁23aの外周面に前記仕切り部材3の内周面が当接している。前記連通管30の下半部30bと前記外周壁23aとの間には、環状の覆い部33が形成され、該覆い部33内に、前記内側支持筒28、内側濾過部材7、外側支持筒29、及び外側濾過部材8の上端部がそれぞれ嵌合して、前記覆い部33の平らな内底面33aに当接している。
【0032】
一方、前記下部エンドキャップ24は、前記中央空間部6の下端部を閉塞するもので、
図7及び
図8からも明らかなように、該下部エンドキャップ24の上面中央に位置して前記中央空間部6内に嵌合する円柱状の中央突部36と、該下部エンドキャップ24の外周端からやや内側に寄った位置に前記中央突部36を取り囲むように形成された環状の内側壁37と、前記下部エンドキャップ24の外周端に形成されて前記内側壁37の回りを間隔をおいて取り囲む環状の外側壁38と、これら内側壁37と外側壁38との間に形成された前記液体排出路25と、前記下部エンドキャップ24の下面に開口して前記液体排出路25に連通する液体排出孔25aとを有している。
【0033】
前記中央突部36と内側壁37と外側壁38とは、前記上部エンドキャップ23側に向けて前記軸線Lと平行に延びており、前記外側壁38の高さHoは、前記内側壁37の高さHiより高く、前記中央突部36の高さと同じである。従って、前記外側壁38の上端面38aは、前記内側壁37の上端面37aより上方位置、即ち、前記軸線L方向の高い位置にある。前記中央突部36の上端面36aは水平面である。
【0034】
前記内側壁37の外周面と前記外側壁38の内周面とは、放射状に位置する複数のリブ状連結壁40により連結され、隣接する連結壁40,40間に前記液体排出路25及び液体排出孔25aが形成されている。前記連結壁40の上端面40aは、前記内側壁37の上端面37aと同じ高さにあって、水平をなし、該連結壁40の下端面40bは、上向きに湾曲する曲面に形成されている。
従って、前記液体排出路25は、前記外側壁38の、前記内側壁37より上方に延出している壁部分38bより低い位置に形成されていることになる。
【0035】
そして、前記中央突部36と内側壁37とで囲まれた環状の液溜室41内に、前記内側支持筒28と内側濾過部材7と外側支持筒29との下端部が嵌合し、各々の下端部が前記液溜室41の平らな内底面41aに当接しており、前記内側濾過部材7の下端部外周は、前記内側壁37により、前記外側支持筒29を介して取り囲まれている。従って、前記内側支持筒28と内側濾過部材7と外側支持筒29との下端部は、軸線L方向の同じ位置に揃えられていることになる。
前記外側支持筒29の外周面は、前記内側壁37の内周面に接触しているが、該内周面との間に僅かな間隙を介して近接した状態に配置されていても良い。
【0036】
一方、前記外側濾過部材8の下端部は、前記内側濾過部材7の下端部より上方位置にあって、前記内側壁37の上端面37a及び前記連結壁40の上端面40aに当接するか、又は僅かな隙間を介して近接した状態に配設され、該外側濾過部材8の下端部外周は、前記外側壁38の前記壁部分38bによって取り囲まれている。
【0037】
前記外側濾過部材8の下端部外周と前記外側壁38の内周との間には、隙間42が形成され、この隙間42が前記液体排出路25に連通することより、前記ハウジング本体12の下端の空間部22が、前記液体排出路25及び隙間42を介して前記外側空間部9に連通している。しかし、前記隙間42を設けることなく、前記外側濾過部材8の下端部外周を前記外側壁38の内周に接触させることにより、該外側濾過部材8の下端部で前記液体排出路25の上面全体を覆っても良い。
【0038】
前記外側壁38の高さHoを内側壁37の高さHiより高くする理由は、前記内側濾過部材7及び外側濾過部材8の下端部近辺を通過する圧縮空気の流速を部分的に低下させることにより、捕集した液体の再飛散を防止するためである。即ち、前記圧縮空気の流速が速い場合、前記内側濾過部材7及び外側濾過部材8の下端部近辺に高密度で含まれる液体や、前記下部エンドキャップ24内に溜まった液体が、該圧縮空気の流れと接触することにより飛散し、浄化後の該圧縮空気中に再び混入し易い。特に、前記液溜室41内の液体が前記内側壁37をオーバーフローする際に、該内側壁37の上端面上に位置する液体や前記外側濾過部材8の下端部に浸透した液体が、前記圧縮空気の速い流れに運ばれて飛散し易い。
【0039】
そこで、
図6から明らかなように、前記外側壁38の高さHoを前記内側壁37の高さHiより高くすることにより、前記内側濾過部材7及び外側濾過部材8の下端部近辺を通過する圧縮空気の流れを前記外側壁38の壁部分38bにより遮断して、その部分の流速を低下させるようにし、それにより、前記下部エンドキャップ24内に溜まった液体や、前記内側壁37をオーバーフローする液体、あるいは前記内側濾過部材7及び外側濾過部材8の下端部近辺に高密度で含まれる液体が、圧縮空気の流れと接触して飛散するのを防止し、浄化後の圧縮空気中に液体が再び混入するのを防止するようにしている。
【0040】
このような液体の飛散防止効果は、前述したように、前記外側壁38の高さHoを内側壁37の高さHiより高くすることにより得ることができるが、その効果を高めるために好ましくは、前記外側壁38が前記外側濾過部材8の下端部を取り囲む壁部分38bの上下幅hoを、前記内側壁37が前記内側濾過部材7の下端部を取り囲む壁部分37bの上下幅hiの、1/2倍以上にすることであり、より好ましくは、前記壁部分38bの上下幅hoを、前記壁部分37bの上下幅hiと同等か又はそれより大きくすることである。図示した例では、前記壁部分38bの上下幅hoが、前記壁部分37bの上下幅hiの2倍に形成されている。
【0041】
前記構成を有する空気圧フィルタは、空気圧回路中に接続され、空気圧シリンダや空気圧モータ等の空気圧アクチュエータに供給される圧縮空気を濾過する。そのときの動作は次の通りである。
【0042】
前記入口ポート4から圧縮空気が、前記入口側流路14及び連通孔16を通じてフィルタエレメント1の中心の中央空間部6に導入されると、該圧縮空気は、多孔の前記内側支持筒28から、前記内側濾過部材7、多孔の前記外側支持筒29、及び前記外側濾過部材8を次々に通過して外側空間部9に達し、その間に、前記内側濾過部材7及び外側濾過部材8により、該圧縮空気中の塵埃と、油分や水分などの液体とが除去される。このとき、前記内側濾過部材7は、主として、圧縮空気中の塵埃とミスト状あるいは液滴状をした液体とを捕集する役目を果たし、前記外側濾過部材8は、主として、前記内側濾過部材7が捕集した液体を下部エンドキャップ24に導く役目を果たす。そして、浄化された圧縮空気が、前記外側空間部9から、前記出口側流路15、前記仕切り部材3に形成された連通孔16を通じて、前記出口ポート5から流出する。
【0043】
前記内側濾過部材7で捕集された液体は、最初は微細な粒子であったものが次第に凝集して大きな粒子になっていき、それに伴って、重力の作用により前記内側濾過部材7及び外側濾過部材8に沿って流下し、流下する間に互いに結合して更に大きな液体粒子となり、前記下部エンドキャップ24に達する。
【0044】
前記内側濾過部材7に沿って流下した液体は、前記下部エンドキャップ24の液溜室41内に一時的に滞留したあと、後続の液体の流下によって前記内側壁37を少しずつオーバーフローし、前記液体排出路25内において、前記内側壁37の外周面及び前記連結壁40を伝って前記空間部22内に滴り落ちる。
【0045】
また、前記外側濾過部材8に沿って流下した液体は、前記液体排出路25内において、前記内側壁37の外周面や、前記連結壁40の側面、あるいは前記外側壁38の内周面等を伝って前記空間部22内に滴り落ちるが、前記外側濾過部材8の下端面から直接前記液体排出路25内を落下する場合もある。
【0046】
このとき、前記連結壁40を伝う液体は、該連結壁40の下端面40bが上向きに湾曲しているため、該下端面40bに沿って前記内側壁37側か又は外側壁38側に流れて行き、該内側壁37又は外側壁38の下端部から滴下する。
【0047】
また、前記中央空間部6から前記内側濾過部材7及び外側濾過部材8を通過する圧縮空気の流れのうち、前記内側濾過部材7及び外側濾過部材8の下端部近辺を通る流れは、前記外側壁38の壁部分38bにより遮断され、その部分の流速が低下させられる。このため、前記下部エンドキャップ24の液溜室41内に溜まった液体や、前記内側壁37をオーバーフローする液体、あるいは前記内側濾過部材7及び外側濾過部材8の下端部近辺に高密度で含まれる液体が、前記圧縮空気の流れによって飛散することがなく、従って、飛散した液体が浄化後の該圧縮空気中に再び混入することがない。
【0048】
前記ハウジング2の底部の空間部22内に溜まったドレンは、必要に応じて前記ドレン排出弁26を開放することにより排出される。
【0049】
図9は、フィルタエレメントの第2実施形態の下端部を断面にして示すものである。この第2実施形態のフィルタエレメント1Aは、下部エンドキャップ24Aの構成が前記第1実施形態のフィルタエレメント1の下部エンドキャップ24と相違している。即ち、前記下部エンドキャップ24Aは、底壁44上に内側壁37と外側壁38とを同心状に形成して、該内側壁37と外側壁38との間に、全周に渡って連続する環状の液体排出路25を形成し、該液体排出路25の底部に、該液体排出路25を前記下部エンドキャップ24の下面に開放させる1つ又は複数の液体排出孔25aを形成したものである。
前記フィルタエレメント1Aのその他の構成は、前記第1実施形態のフィルタエレメント1と同じである。
【0050】
図10は、フィルタエレメントの第3実施形態の下端部を断面にして示すものである。この第3実施形態のフィルタエレメント1Bは、下部エンドキャップ24Bの構成が前記第1実施形態のフィルタエレメント1の下部エンドキャップ24と相違している。即ち、前記下部エンドキャップ24Bは、金属焼結体で形成された多孔質の底壁45上に、内側壁37と外側壁38と中央突部36とを同心状に一体化したもので、前記内側壁37と外側壁38との間に形成された環状の液体排出路25を、前記底壁45の内部の連続する気孔を液体排出孔25aとして前記下部エンドキャップ24の下面に連通させている。
前記フィルタエレメント1Bのその他の構成は、前記第1実施形態のフィルタエレメント1と同じである。
なお、前記多孔質の底壁45は、前記環状の液体排出路25の底部だけに設け、液溜室41及び中央突部36の底部は無孔の底壁としても良い。
【0051】
図11は、フィルタエレメントの第4実施形態の下端部を示すもので、このフィルタエレメント1Cを空気圧フィルタに組み込んだ状態の断面図である。このフィルタエレメント1Cは、下部エンドキャップ24Cが、互いに別構成されて相互に嵌合し合う内側キャップ部材46aと外側キャップ部材46bとにより形成されている。
【0052】
前記内側キャップ部材46aは、前記中央空間部6の下端部を覆う部材で、中央突部36と内側壁37とを有している。これに対して前記外側キャップ部材46bは、皿形をした部材で、外側壁38と前記液体排出孔25aとを有すると共に、内周面に、前記内側キャップ部材46aの下端部外周を支持するリブ状をした複数の内側支持壁48を放射状に有している。また、前記外側キャップ部材46bの外面には、ハウジング本体12の内部に係止するリブ状の外側支持壁49が放射状に取り付けられ、それによって該外側キャップ部材46bは、フィルタエレメント1Cの下端部を前記ハウジング本体12の内部に支持する支持ブロックとしての機能を兼備している。液体排出路25は、前記内側壁37と外側壁38との間に形成されている。
なお、前記外側キャップ部材46bの底壁は、円錐面状に形成し、中央部に前記液体排出孔25aを設けても良い。
【0053】
前記外側キャップ部材46bは、前記外側支持壁49を持たないように構成することにより、前記支持ブロックとしての機能をなくし、下部エンドキャップ24Cとしての機能だけを有するように構成することもできる。
また、前記内側キャップ部材46aと外側キャップ部材46bとは、互いに分離自在であっても良いが、前記内側支持壁48で相互に接合することにより、一体に形成することもできる。
【0054】
前記第4実施形態のフィルタエレメント1Cのその他の構成は、前記第1実施形態のフィルタエレメント1と同じであるので、両者の主要な同一構成部分に第1実施形態と同じ符号を付してその説明は省略する。
【0055】
なお、図示した実施形態において、前記フィルタエレメント1の断面形状は円形であるが、その断面形状は、円形以外であっても良い。例えば、四角形や六角形等の多角形であっても良く、その場合、前記上部エンドキャップ及び下部エンドキャップも同様の形に形成される。
また、前記各実施形態において、前記フィルタエレメントには、内側濾過部材7の内側に、圧縮空気中に含まれる比較的大きな塵埃等を前もって除去することにより前記内側濾過部材7を保護する中空状のプリフィルターを配置することもできる。このプリフィルターは、前記内側支持筒28の内側又は外側のどちらに配置しても良い。
【0056】
さらに、前記実施形態では、前記内側濾過部材7が細目に形成され、前記外側濾過部材8が粗目に形成されているが、その逆に、前記内側濾過部材7を粗目に形成し、前記外側濾過部材8を細目に形成することもできる。