(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の一実施例に基づいて説明する。
【0022】
図1は、本実施形態に係る携帯端末装置認証システム1を示す構成図である。同図に示される携帯端末装置認証システム1は、自動車や原動機付自転車等の車両に適用され、同車両の施錠時の利用を制限する。携帯端末装置認証システム1は、機械的な鍵を使わずに、携帯端末装置200を認証することで、車両の施錠、解錠、エンジン始動等の制御対象にあたる装置を駆動させることができる。
【0023】
例えば、小型車両であるスクータVの車体フレームには、エンジンEおよび変速機(不図示)を含むパワーユニットPが揺動可能に支承され、パワーユニットPによって駆動される後輪WFが該パワーユニットPの後部に軸支される。パワーユニットPは、施錠状態にある場合、駆動が制限される(駆動制限状態)。スクータVの車体フレームの前部には、ハンドルHが設けられており、ハンドルHは、連結軸を介して前輪WRの向きを調整可能に支持される。ハンドルHは、施錠状態にある場合、上記の連結軸の回転がハンドルロック部16により制限される。ハンドルロック部16は、連結軸の回転を制限する機構を含むアクチュエータ部18を備える。
【0024】
なお、パワーユニットPには、キックペダル6の踏込み操作により、パワーユニットPに含まれる発電機Gを駆動し得るキック作動部7が設けられる。例えば、スクータVは、バッテリ上がりが生じた場合に、キック作動部7のキック動作により発電して得られた電力を利用することができる。
【0025】
スクータVには、バッテリBが搭載されており、バッテリBの充電状態(端子電圧)に応じて、パワーユニットPの始動方法が切り替わる。
【0026】
バッテリBには、発電機Gが発電した電力が変換部8を介して供給される。エンジンEが駆動されている場合には、エンジンEによって発電機Gが駆動される。例えば、キック作動部7のキックペダル6を踏込み操作することにより発電機Gから出力される電力によりバッテリBが充電される。この場合、変換部8は、整流器およびレギュレータとして機能する。
【0027】
さらに、バッテリBに蓄えた電力を発電機Gに供給して、発電機GをエンジンEのスターターとして用いてもよい。この場合、変換部8は、発電機Gをモーターとして機能させるように電力を供給する。
【0028】
また、エンジンEが備える点火プラグ(不図示)には、メインリレー(MRY)12の状態に応じて、点火回路13から点火電力が供給される。
【0029】
ところで、たとえば携帯端末装置200がスクータVに対応する正規のものであると照合された場合、車載装置100は、各種制限状態を解除する。各種制限状態には、ハンドルHの施錠、パワーユニットPの駆動制限が含まれる。なお、携帯端末装置200がスクータVに対応する正規のものであることを、携帯端末装置200が正当である、ということがある。
【0030】
(車載装置100の構成)
車載装置100は、電源部20と、車載側制御部30と、車載側送信部40と、車載側受信部50と、駆動回路部61と、入力回路部62と、メインスイッチ状態取得部63と、メインリレー駆動部64とを備える。さらに、車載装置100は、スターター駆動部65を備えるように構成してもよい。
【0031】
電源部20は、バッテリBまたは発電機Gを電源とし、バッテリBの端子電圧を、電圧+Vregを基準に安定化して車載側制御部30等の各部に供給する。車載側制御部30等の各部は、安定化された直流電圧をそれぞれの電源にする。電源部20は、バッテリBの端子電圧の予め定められた閾値電圧VTH以下の電圧低下を監視して、検出結果を出力する。
【0032】
車載側送信部40は、携帯端末装置200を呼び出すリクエスト信号を送信する。車載側送信部40から送信される信号をLF信号という場合がある。リクエスト信号(LF信号)には、携帯端末装置200を特定する識別情報(以下、「携帯端末装置識別情報」と称する)と、複数の認証処理用の情報(以下、「認証用情報」と称する)とが含まれる。本実施形態では、説明を簡略化するために、リクエスト信号に含まれる複数の認証用情報として、第1の認証用情報と、第2の認証用情報と、第3の認証用情報との3種類を代表して説明するが、認証用情報は、これら情報のみに限定されるものでない。例えば、第4等の認証用情報が含まれていてもよい。認証用情報は、「認証用信号」の一例である。
【0033】
車載側受信部50は、外部の装置によって送信された信号を受信する。例えば、車載側受信部50は、携帯端末装置200によって送信される信号を受信する。以下、携帯端末装置200から送信され、車載側受信部50が受信する信号をRF信号と称して説明する場合がある。RF信号の搬送周波数は、前述のLF信号の搬送周波数に対して比較的高い。
【0034】
駆動回路部61は、メインスイッチ11の導通状態でアクチュエータ部18を駆動する。メインスイッチ11は、例えば、物理的なキー(鍵)によって導通状態、或いは非導通状態にされる。なお、アクチュエータ部18は、車両の走行を不能とするためにハンドルHをロックするハンドルロック部16に含まれ、ハンドルロック部16の施錠および解錠状態を切換える。
【0035】
メインスイッチ11が導通状態である場合、駆動回路部61は、アクチュエータ部18を駆動してハンドルHをアンロックしてロック状態を保持させる。また、メインスイッチ11が非導通状態である場合、駆動回路部61は、アクチュエータ部18を駆動してハンドルHをアンロックしてアンロック状態を保持させる。
【0036】
入力回路部62は、起動スイッチ17からの信号を受け付ける。起動スイッチ17は、例えば、ハンドルHに設けられ、オン状態、あるいはオフ状態になるように乗員によって操作される。
【0037】
メインスイッチ状態取得部63は、乗員の操作に応じて導通することを可能としたメインスイッチ11の導通状態を取得する。
【0038】
メインリレー駆動部64は、車載側制御部30の制御により、メインリレー14のオン状態とオフ状態とを切換える。
【0039】
スターター駆動部65は、車載側制御部30からの制御により、パワーユニットPを始動させるための駆動信号を供給する。例えば、スターター駆動部65は、発電機GをエンジンEのスターターとして利用する際の駆動信号を変換部8に供給する。
【0040】
車載側制御部30は、始動制御部31と、通信制御部32と、判定部33と、駆動制御部34と、記憶部35とを備える。始動制御部31と、通信制御部32と、判定部33と、駆動制御部34とのうち一部または全部は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサがプログラムを実行することにより機能するソフトウェア機能部である。また、これらのうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア機能部であってもよい。また、記憶部35は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等で実現される。プロセッサが実行するプログラムは、予め記憶部35に格納されていてもよいし、外部装置からダウンロードされてもよい。また、プログラムを格納した可搬型記憶媒体が図示しないドライブ装置に装着されることで記憶部35にインストールされてもよい。
【0041】
例えば、記憶部35は、車載側制御部30の各部を機能させるためのプログラム、及び、車載装置100に対応する携帯端末装置200の識別情報などを保持する。
【0042】
始動制御部31は、リクエスト信号の送信要求を検知する。リクエスト信号の送信要求は、例えば、起動スイッチ17の操作などに起因する。例えば、始動制御部31は、メインスイッチ11がオフ状態、すなわち、ハンドルHがロック状態(車両の走行が不可能な状態)であり、起動スイッチ17がオン状態である場合に、リクエスト信号の送信要求を検知する。
【0043】
通信制御部32は、始動制御部31によってリクエスト信号の送信要求が検知された場合に、車載側送信部40を制御してリクエスト信号を送信させる。より具体的には、通信制御部32は、メインスイッチ11がオフ状態、すなわち、ハンドルHがロック状態(車両の走行が不可能な状態)である場合において、起動スイッチ17がオン状態になったときに、車載側送信部40にリクエスト信号を送信させる。
【0044】
なお、通信制御部32が車載側送信部40にリクエスト信号を送信させる状況において、バッテリBには、リクエスト信号の送信要求に応じてリクエスト信号を送信する際に必要となる電力が蓄えられているものとする。
【0045】
一方、リクエスト信号の送信に要する電力がバッテリBに蓄えられていない場合、メインスイッチ11がオン状態となって、車載装置100に電力を供給する発電機Gを駆動するキック作動部7が操作され、必要な電力がバッテリBに蓄電されるまで、車載側制御部30は、待機する。
【0046】
判定部33は、車載側受信部50によって受信された信号を解読し、解読した結果に基づいて、車載側受信部50によって受信された信号がリクエスト信号に対する信号であるか否かを判定する。以下、リクエスト信号に対する信号を、「アンサー信号」と称する。
【0047】
例えば、判定部33は、車載側受信部50によって受信された信号が、リクエスト信号の送信先である携帯端末装置200によって送信されたアンサー信号であると判定できた場合に、車載側受信部50の受信元の装置(この場合携帯端末装置200)が予め定められた正規の装置であると判定し、認証に成功したと判定する。この判定の結果により、判定部33は、車載装置100と携帯端末装置200との組合せが正当なものであり、少なくとも車載装置100と携帯端末装置200の一方を正当なものであると判定する。
【0048】
一方、判定部33は、車載側受信部50によって受信された信号が、リクエスト信号の送信先である携帯端末装置200によって送信されたアンサー信号であると判定できない場合に、車載側受信部50の受信元の装置が予め定められた正規の装置でないと判定し、認証に失敗したと判定する。例えば、判定部33は、携帯端末装置200と異なる装置から信号が送られてきた場合に、この装置を正規の装置でないと判定する。この判定の結果により、判定部33は、車載装置100と携帯端末装置200との組合せが正当なものではなく、少なくとも車載装置100と携帯端末装置200の一方を正当なものでないと判定する。
【0049】
また、判定部33は、入力回路部62から入力される信号に基づいて、起動スイッチ17の動作状態を判定する。
【0050】
また、判定部33は、車載側受信部50によって信号が受信されたか否かを判定する。
【0051】
駆動制御部34は、判定部33の判定結果に応じて、ハンドルHのロック状態と、エンジンEの始動制限とを制御する。例えば、駆動制御部34は、判定部33によって認証に成功したと判定された場合、すなわち、車載側受信部50によって受信された信号が、リクエスト信号の送信先である携帯端末装置200によって送信されたアンサー信号である場合に、駆動制御部34は、ハンドルのロック状態を解除し、エンジンEの始動制限を解除する。例えば、駆動制御部34は、駆動回路部61を介してハンドルロック部16のアクチュエータ部18を駆動させて、ハンドルのロック状態を解除する。駆動制御部34は、スターター駆動部65を介して、発電機Gを駆動させることで、エンジンEを始動させる。
【0052】
(携帯端末装置200の構成)
携帯端末装置200は、車載装置100により認証される。車載装置100の記憶部35には、携帯端末装置200の識別情報が記憶されている。携帯端末装置200は、携帯側受信部210と、携帯側送信部220と、携帯側制御部230とを備える。
【0053】
携帯側受信部210は、車載装置100によって送信されるリクエスト信号を受信する。携帯側送信部220は、携帯側制御部230によって生成されたアンサー信号を、リクエスト信号の受信元である車載装置100に送信する。なお、携帯側受信部210は、互いに異なる複数の方向を軸にした感度特性(指向性)を有するように構成してもよい。
【0054】
携帯側制御部230は、例えば、信号強度測定部231と、信号判定部232と、信号生成部233と、受信制御部234とを備える。信号強度測定部231は、携帯側受信部210によって受信されたリクエスト信号の信号強度を測定する。なお、携帯側受信部210が互いに異なる複数の方向を軸にした感度特性を有する場合、信号強度測定部231は、当該複数の軸ごとに検出された信号強度を軸ごとに測定してもよい。
【0055】
信号判定部232は、信号強度測定部231による測定結果に基づいて、携帯側受信部210によって受信されたリクエスト信号を判定する。信号生成部233は、携帯側受信部210によって受信されたリクエスト信号に応じたアンサー信号を生成し、携帯側送信部220に送信させる。受信制御部234は、携帯側受信部210が受信した結果に基づいて、車載装置100によって送信されるリクエスト信号を受信可能に制御する。なお、携帯側受信部210が、互いに異なる複数の方向を軸にした感度特性を有する場合、信号判定部232は、信号強度測定部231により、当該複数の軸ごとに検出された信号の測定結果を整理して、整理した後の測定結果を判定するようにしてもよい。
【0056】
なお、携帯側受信部210と、携帯側送信部220と、携帯側制御部230とのうち一部または全部は、CPU等のプロセッサがプログラムを実行することにより機能するソフトウェア機能部としてもよい。また、これらのうち一部または全部は、LSIやASIC等のハードウェア機能部であってもよい。また、携帯側制御部230が記憶部(不図示)を備えていてもよく、同記憶部がROMやRAM、HDD、フラッシュメモリ等で実現されてもよい。プロセッサが実行するプログラムは、予め上記記憶部に格納されていてもよいし、外部装置からダウンロードされてもよい。また、プログラムを格納した可搬型記憶媒体が図示しないドライブ装置に装着されることで、上記プログラムが上記記憶部にインストールされてもよい。
【0057】
図2は、車載側送信部40の構成の一例を示す図である。車載側送信部40は、例えば、駆動部41と共振部42を備える。駆動部41は、車載側制御部30から供給される信号の電力を増幅して共振部42を駆動する。共振部42は、送信用アンテナ43とコンデンサ44とを備える。送信用アンテナ43は、コイルを含み、例えば、コンデンサ44とともにLC型の共振回路を形成する。同図に例示する共振部42は、直列共振回路として構成したものである。なお、共振部42の共振周波数をf0で示す。送信用アンテナ43は、共振部42の共振によるエネルギーから生成される電波を、大気中に放射する。
【0058】
上記のように構成した車載側送信部40は、共振周波数f0を中心周波数とするバンドパスフィルタとして機能する。例えば、車載側制御部30から車載側送信部40に供給される信号は、予め定められた周期Tに従って繰り返されるパルス信号(ディジタル信号)であってもよく、その波形が矩形であってもよい。パルス信号の周期Tの逆数(1/T)が、共振周波数f0近傍の所定の値(周波数f1)になるように定められるものとする。共振部42は、共振周波数f0を中心周波数とする所望の帯域以外の成分を減衰させる。なお、上記のパルス信号列を成す信号には、共振周波数f0近傍の周波数f1の成分と、周波数f1を基本周波数とする高調波成分とが含まれているが、上記の高調波成分を、共振部42が減衰させることにより、車載側送信部40から送信される電波の送信周波数帯域が制限される。
【0059】
車載側制御部30は、例えば、ASK(amplitude-shift keying)やPSK(phase-shift keying)等の変調方式の信号を生成するための信号DMODを生成し、信号DMODを車載側送信部40に供給する。信号DMODは、周波数f1のパルス信号列を含む。例えば、変調方式をASKとした場合、通信制御部32は、送信するデータの論理(1または0)に応じて、信号DMODのDUTY(デューティ比)を50%と0%の何れか(或いは50%と100%の何れか)を選択して、選択したDUTYの信号DMODを車載側送信部40に供給する。或いは、変調方式をPSKの一方式であるBPSK(binary phase-shift keying)とした場合、通信制御部32は、信号DMODのDUTYを50%にして、送信するデータの論理(1または0)に応じて信号DMODの位相を制御して反転させる。通信制御部32は、位相を制御した信号MODを車載側送信部40に供給する。車載側送信部40から送信する信号の変調方式は、上記以外のものを適宜用いることができる。また、変調方式は、複数の種類の変調方式を選択することができ、それぞれの変調方式を時分割で切り替えてもよい。
車載側制御部30は、認証用信号を生成する際には、信号DMODのDUTYとして上記の値と異なるものを選択する場合がある。認証用信号を生成するための信号DMODのDUTY制御の詳細については後述する。
【0060】
図3は、携帯側受信部210の構成の一例を示す図である。携帯側受信部210は、例えば、受信用アンテナ211と、受信回路部212と、局部発振部213と、ミキサー214と、復調部215とを備える。
【0061】
受信回路部212は、受信用アンテナ211によって受信された信号の増幅や、ノイズ除去、オフセット調整、フィルタリング処理等を行って、ミキサー214に出力する。例えば、受信回路部212は、オフセット測定部216と、可変利得増幅部(以下、VGAという。)217とを備える。VGA217は、制御に応じた利得で信号を増幅する。VGA217が増幅する信号は、例えば、受信用アンテナ211によって受信された信号から生成された信号であって、オフセット測定部216により信号のオフセットが測定された信号としてもよい。VGA217は、受信用アンテナ211によって受信された信号から生成された信号を所望の利得で増幅して、ミキサー214に供給する電力レベルに調整する。オフセット測定部216は、VGA217が所望の利得で増幅する信号のオフセットを測定する。
【0062】
ミキサー214は、受信回路部212によって出力された信号の周波数を、局部発振部213によって出力された信号に基づいて変換する。例えば、ミキサー214は、受信回路部212によって出力された信号の周波数と局部発振部213によって出力された信号の周波数との差から生じたビート信号を復調部215に出力する。
【0063】
復調部215は、ミキサー214によって出力された信号を、上述した車載側送信部40の変調方式に対する復調を行い、復調した信号を携帯側制御部230に出力する。
【0064】
(リクエスト信号のフレーム構造)
図4を参照して、本実施形態のLF通信にて送信するリクエスト信号のフレーム構造について説明する。
図4は、本実施形態のLF通信にて送信するリクエスト信号のフレーム構造を示す説明図である。以下、リクエスト信号のフレーム構造をパターンLFPと称して説明する。
【0065】
パターンLFPのフレーム伝送に要する時間をTLFPとして示す。
図4に示すように、例えば、パターンLFPは、携帯端末装置用情報と、認証用情報とを含む。携帯端末装置用情報は、少なくともトレーニングデータTDと、同期パターンSYNC1と、識別情報IDkとを含み、認証用情報は、第1の認証用情報AUD1と、第2の認証用情報AUD2と、第3の認証用情報AUD3を含む。さらに、携帯端末装置用情報は、誤り訂正情報ECC1などのデータを含めてもよい。
【0066】
トレーニングデータTDは、車載側送信部40がパターンLFPを送信する際に最初に送信されるように配置されている。トレーニングデータTDには、携帯端末装置200がパターンLFPを受信する際に携帯側受信部210の調整に要する信号パターンが割り付けられる。なお、トレーニングデータTDのことを、プリアンブルということがある。
【0067】
同期パターンSYNC1は、車載側送信部40が例えばトレーニングデータTDの次に送信するように配置されている。同期パターンSYNC1には、携帯側受信部210がトレーニングデータTDによるトレーニングを終えた後に、各種情報を抽出する際に指標とする信号パターンと、パターン種別を識別する情報が含まれる。
【0068】
識別情報IDkは、パターンLFPの送信先(宛先)にあたる携帯端末装置を特定する識別情報である。
【0069】
誤り訂正情報ECC1は、パターンLFPにおいて、受信した識別情報IDkなどの各データの誤り検出や誤り訂正を行うための情報である。誤り訂正情報ECC1は、パターンの種類ごとに、誤り検出や誤り訂正の対象範囲、及び、誤り検出や誤り訂正の手法などを適宜定めることができる。
【0070】
パターンLFPに含まれる第1の認証用情報AUD1と第2の認証用情報AUD2と第3の認証用情報AUD3は、例えば、認証処理に必要とされる情報(暗号鍵、暗号文など)を示す。認証処理の方法には、一般的なアルゴリズムを適用することができる。認証処理は、車載装置100において暗号化された情報を、携帯端末装置200により復号化してされ、復号化した情報の判定を携帯端末装置200と車載装置100の何れかで実施するようにしてもよい。以下の実施形態では、第1の認証用情報AUD1と第2の認証用情報AUD2と第3の認証用情報AUD3の各部の信号の振幅に認証処理に必要とされる情報を付与した場合を例示する。
【0071】
(車載側制御部30の処理)
以下、
図5を参照して、本実施形態の車載側制御部30の処理について説明する。
図5は、車載側制御部30の処理の流れの一例を示すフローチャートである。本フローチャートの処理は、メインスイッチ11がオフ状態、すなわち、ハンドルHがロック状態(車両の走行が可能な状態)で実施されるものとする。
【0072】
まず、判定部33は、入力回路部62から入力される信号に基づいて、起動スイッチ17の動作状態を判定する(ステップS100)。起動スイッチ17がオフ状態である場合、車載側制御部30は、本フローチャートの処理を終了する。
【0073】
一方、通信制御部32は、起動スイッチ17がオン状態である場合、送信パターン情報テーブル(
図6)を参照して、リクエスト信号の送信パターンを選択する(ステップS102)。
【0074】
例えば、送信パターンを定める情報には、認証用情報の種類、認証用情報の送出を継続する時間などの情報が含まれる。認証用情報の種類、認証用情報の送出を継続する時間などの情報が、送信パターンを示す情報として送信パターン情報テーブルに格納される。
通信制御部32は、送信パターン情報テーブルに格納された送信パターンから、上記のリクエスト信号に付加する認証用情報の送信パターンを選択する。
【0075】
通信制御部32は、決定した送信パターンに基づいて、信号DMODのDUTYを継続する時間を調整する。また、通信制御部32は、認証用情報の種類を特定する情報から、認証用情報の送出を継続する期間に供給する信号DMODのDUTYを決定する。通信制御部32は、各認証用情報を送出する際の信号DMODのDUTYを調整することによってリクエスト信号の信号強度を変更する。例えば、第1の認証用情報AUD1と第2の認証用情報AUD2と第3の認証用情報AUD3とを設ける場合、通信制御部32は、第1の認証用情報AUD1が送出される際の電波の信号強度と、第2の認証用情報AUD2が送出される際の電波の信号強度と、第3の認証用情報AUD3が送出される際の電波の信号強度とが異なるように信号DMODのDUTYを決定する。
【0076】
次に、通信制御部32は、リクエスト信号を送信する(ステップS104)。通信制御部32は、例えば、予め定められた複数の送信パターンの何れかに従って、上記のリクエスト信号を送信する。
【0077】
例えば、通信制御部32は、第1の認証用情報AUD1を送出する時間TAUD1と、第2の認証用情報AUD2を送出する時間TAUD2と、第3の認証用情報AUD3を送出する時間TAUD3とを規定する送信パターンを予め定めて、記憶部35に記憶させておく。
図6は、送信パターンを記憶する送信パターン情報テーブルの一例を示す図である。送信パターン情報テーブルは、第1の認証用情報AUD1を送出する時間TAUD1と、第2の認証用情報AUD2を送出する時間TAUD2と、第3の認証用情報AUD3を送出する時間TAUD3とを送出する時間(ミリ秒)を記憶する。通信制御部32は、例えば、送信パターン情報テーブルから送信パターンを選択する際に、乱数などを用いて、上記の送信パターンを不規則に決定する。この際、時間TAUD1と時間TAUD2と時間TAUD3のそれぞれの値は一致していてもよいし、相違していてもよい。これによって、通信制御部32は、時間TAUD1と時間TAUD2と時間TAUD3とに関する情報の秘匿性を向上させることができる。
【0078】
通信制御部32は、決定した時間TAUD1と時間TAUD2と時間TAUD3とに関する情報を記憶部35に記憶させておき、再度、時間TAUD1と時間TAUD2と時間TAUD3を設定した際は、例えば、前回記憶させた情報の上に今回設定した時間TAUD1と時間TAUD2と時間TAUD3の情報を上書きする。すなわち、通信制御部32は、時間TAUD1と時間TAUD2と時間TAUD3を設定する度に、記憶部35内の時間TAUD1と時間TAUD2と時間TAUD3の情報を更新する。
【0079】
さらに、通信制御部32は、例えば、
図4に示すようなフレーム構造のリクエスト信号を携帯端末装置200に送信する。通信制御部32は、出力する信号のDUTYを、送信パターンに基づいて決定したDUTYに設定して、車載側送信部40に携帯端末装置用情報を送信させる。
【0080】
例えば、通信制御部32は、出力する信号のDUTYを、所定のDUTY1に設定して、車載側送信部40に時間TAUD1をかけて第1の認証用情報AUD1を送信させる。また、通信制御部32は、出力する信号のDUTYを、所定のDUTY2に設定して、車載側送信部40に時間TAUD2をかけて第2の認証用情報AUD2を送信させる。また、通信制御部32は、出力する信号のDUTYを、所定のDUTY3に設定して、車載側送信部40に時間TAUD3をかけて第3の認証用情報AUD3を送信させる。
【0081】
通信制御部32は、このようにして設定したDUTY(DUTY1、DUTY2、DUTY3)と送信時間(時間TAUD1、TAUD2、TAUD3)とに基づいて、リクエスト信号を携帯端末装置200に送信する。
【0082】
次に、判定部33は、車載側受信部50によってアンサー信号が受信されたか否かを判定する(ステップS108)。車載側受信部50によってアンサー信号が受信されない場合、車載側制御部30は、アンサー信号が受信されるまで待機する。
【0083】
一方、判定部33は、車載側受信部50によってアンサー信号が受信された場合には、車載側受信部50によって受信されたアンサー信号に含まれる情報であって、認証用情報を受信した結果を示す情報から、差分信号の検出回数(差分信号検出回数)が0回であったか否かを判定する(ステップS110)。上記の場合の差分信号とは、第1の認証用情報AUD1に対する第2の認証用情報AUD2または第3の認証用情報AUD3のことであり、第1の認証用情報AUD1の受信信号強度(信号の強度値)に比べて受信信号強度(信号の強度値)が所定量以下の信号であって、更に受信信号強度(信号の強度値)が小さな無効信号として扱うものを除いた信号のことである。
【0084】
判定部33は、車載側受信部50によって受信された信号の情報に基づいて、判定条件を満たすか否かを判定する(ステップS112)。判定条件とは、例えば、車載側受信部50の通信相手である携帯端末装置200の判定、また、携帯端末装置200から受信したアンサー信号から、携帯端末装置200が受信した信号が正規のリクエスト信号であるか否かの判定する際の基準にする条件(判定条件)のことである。判定部33は、例えば、その判定条件を満たす場合に、携帯端末装置200が受信した信号が正規のリクエスト信号であり、さらに、アンサー信号を送付した携帯端末装置200を正規の装置であると判定し、携帯端末装置200の認証に成功したと判定する。上記の判定条件の一例として、「無効信号として検出された回数が0回である場合」、または、「第1の認証用情報AUD1を送出した時間に対して定めた回数と、第1の認証用情報AUD1の受信信号強度とが同等の強度にあると判定された回数が一致する場合」などが挙げられる。
【0085】
判定部33は、上記の判定条件を満たす場合、車載側受信部50によって受信された信号が、リクエスト信号の送信先である携帯端末装置200により送信されたアンサー信号であると判定する。この判定に併せて、アンサー信号に含まれる携帯機ID情報が一致したか、RSSI強度(第1の認証情報AUD1の受信強度)が所定閾値以上であるか、および暗号用データの復号による暗号用データが一致したか等のそれぞれの状況が検出できた場合、判定部33は、車載側受信部50の通信相手である携帯端末装置200を正規の装置であると判定し、その認証に成功したと判定する(ステップS114)。
【0086】
一方、判定部33は、差分信号の検出回数(差分信号検出回数)が1回以上あった場合、または、上記の判定条件を満たさない場合に、車載側受信部50によって受信された信号が、リクエスト信号の送信先である携帯端末装置200により送信されたアンサー信号でないと判定する。判定部33は、車載側受信部50の通信相手である装置を正規の装置でないと判定し、認証に失敗したと判定する。つまり、本実施の形態の携帯端末装置認証システムでは、仮に、判定部33において、上記の携帯機ID情報の一致等の確認がなされたとしても(中継器を使用したリレーアタックにより正規携帯機との通信がなされたとしても)、認証用情報の送信時間と受信時間の一致がなければ、車載側受信部50の通信相手である装置を正規の装置でないと判定する(ステップS116)。
【0087】
ステップS114の処理の後、車載側制御部30(駆動制御部34)は、各部の駆動部(ソレノイド)を駆動させて各部の施錠状態を解錠するように制御する(ステップS118)。これによって本フローチャートの処理が終了する。
【0088】
(携帯側制御部230の処理)
以下、
図7から
図11を参照して、本実施形態の携帯側制御部230の処理について説明する。
【0089】
図7は、携帯側制御部230の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、携帯側制御部230は、リクエスト信号の受信処理を実施する。このリクエスト信号の受信処理では、携帯端末装置200の携帯側受信部210の受信感度特性を最適化する。リクエスト信号の受信処理として、例えば、携帯側制御部230は、携帯側受信部210によってリクエスト信号の受信が開始されたか否かを判定する(ステップS205)。携帯側受信部210によってリクエスト信号の受信が開始されない場合、本フローチャートの処理を終了する。
【0090】
一方、信号判定部232は、携帯側受信部210によってリクエスト信号の受信が開始された場合、リクエスト信号のフレーム構造(パターンLFP)において第1の認証用情報AUD1の受信が開始されたか否か、すなわち、リクエスト信号のフレーム構造において携帯端末装置用情報(LFデータ)の期間が終了したか否かを判定する(ステップS210)。
【0091】
例えば、信号判定部232は、リクエスト信号の受信開始時、すなわち、リクエスト信号のフレーム構造において、携帯端末装置用情報が開始されるのに応じて時間のカウントを開始し、携帯端末装置用情報の期間が満了したことにより、携帯端末装置用情報(LFデータ)の期間が終了したと判定する。
【0092】
信号判定部232は、リクエスト信号のLFデータの期間が満了するまで待機する。一方、リクエスト信号のLFデータの期間が満了した後、携帯側制御部230は、信号測定処理を実施する(ステップS220)。信号測定処理の詳細は後述する。
【0093】
次に、信号生成部233は、所定のフレーム構造を有するアンサー信号を生成して、携帯側送信部220に送信させる(ステップS230)。これによって、本フローチャートの処理が終了する。
【0094】
携帯側制御部230は、強度が変動する信号に対して、最初に受信した信号の強度に基づいて、次に受信する強度に対する閾値を自動的に設定し、複数の信号の強度が予め期待された程度に変動しているか否かを判定する。
【0095】
図8は、ステップS220における携帯側制御部230の信号測定処理を説明する図である。同図には、信号測定処理の対象とする携帯端末装置200が受信したリクエスト信号が示されている。
リクエスト信号のうち、第1の認証用情報AUD1と第2の認証用情報AUD2と第3の認証用情報AUD3が観測される時刻t0から時刻t7までの期間に実施される処理について説明する。携帯側制御部230は、時刻t0から時刻t7までの期間に複数回の測定を実施する。例えば、以下の説明では、同図に示すようにM1からM6の6回に分けて測定を実施する場合を例に挙げて説明する。各回の測定を実施する時刻は、時刻t0を基準に計時した時刻t1から時刻t6に実施する。時刻t1から時刻t6は、時刻t0から時刻t1までを時間T1に、時刻t1以降は周期T2で定める。
【0096】
図8(a)に、模式化した信号波形を示す。第1の認証用情報AUD1と第2の認証用情報AUD2と第3の認証用情報AUD3のそれぞれの振幅は、W1とW2とW3で観測される。第1の認証用情報AUD1と第2の認証用情報AUD2と第3の認証用情報AUD3のそれぞれが規定の信号として受信されている場合は、W1>W2>W3の関係にある。
【0097】
図8(b)に、各回の測定で検出された振幅の検出値を示す。時刻t1における測定回M1と、時刻t2における測定回M2の検出値は、W1である。時刻t3における測定回M3と、時刻t4における測定回M4の検出値は、W2である。時刻t5における測定回M5と、時刻t6における測定回M6の検出値は、W3である。携帯側制御部230は、M1の検出値W1を基準にして、下記の式(1)に示す関係が成り立つように第1の閾値TH1と第2の閾値TH2とを定める。
【0098】
TH1=(W1−d1)
TH2=(W1−d2)
W3<TH2<W2<TH1<W1 ・・・(1)
【0099】
上記の式(1)において、d1とd2は、携帯側制御部230により定数として予め定められ、例えば、その値が図示されない携帯端末装置200の記憶部に格納されている。以下の説明において、d1を、検出値W1の信号(第1の信号)より振幅が小さな検出値W2の信号(第2の信号)を識別可能な差分閾値(第1閾値)と呼び、d2を、検出値W2より振幅が小さな検出値W3の信号(第3の信号)を識別可能な無効閾値(第2閾値)と呼ぶ。
なお、上記の式(1)において、携帯側制御部230は、第1の閾値TH1と第2の閾値TH2を差分演算により算出するものとして説明したが、W1に対して所定の係数を乗算または除算して求めてもよい。例えば、携帯側制御部230は、第1の閾値TH1をW1の80%に、第2の閾値TH2をW1の50%にするように算出してもよい。
【0100】
図9は、信号測定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0101】
携帯側制御部230は、0からN1までの値をとる測定回数カウンタを用いて、測定回数を計数する。
図8に示す例では、N1=6である。携帯側制御部230は、1からN2までの値をとる通常信号検出回数カウンタを用いて、測定値が(TH1<W1)と検出された測定回数を計数する。携帯側制御部230は、0からN3までの値をとる差分信号検出回数カウンタを用いて、測定値が(TH2<W2<TH1)と検出された測定回数を計数する。携帯側制御部230は、0からN4までの値をとる無効信号検出回数カウンタを用いて、測定値が(W3<TH2)と検出された測定回数を計数する。上記の「通常信号検出回数カウンタ」と「差分信号検出回数カウンタ」と「無効信号検出回数カウンタ」は、変数として定義され、例えば、それらの値が、図示されない携帯端末装置200の記憶部の記憶領域に格納される。例えば、「測定回数カウンタ」と「通常信号検出回数カウンタ」と「差分信号検出回数カウンタ」と「無効信号検出回数カウンタ」のそれぞれは、初期化処理により、0と1と0と0とに設定される。
【0102】
まず、携帯側制御部230は、測定回数カウンタの値に基づいて、今回の測定が1回目であるか否かを判定する(ステップS402)。測定回数カウンタの値は、測定回数を示す。例えば、携帯側制御部230は、測定回数カウンタの値が1か否かを判定する。
【0103】
上記のステップS402の判定により、今回の測定が1回目であると判定された場合、後述する1回目の測定を実施する前に、受信制御部234は、オフセット測定部216により、リクエスト信号のフレーム構造(パターンLFP)において第1の認証用情報AUD1に対応する信号のオフセットを測定させる。なお、オフセットの測定値が予め定められた範囲に無い場合には、受信制御部234は、オフセット測定部216を制御して、オフセットの値が予め定められた所望の範囲に収まるように、オフセットを調整する(ステップS404)。受信制御部234は、再度測定したオフセットの測定値が予め定められた範囲に入った段階でその調整を終え、調整を終えてから以下に示す一連の処理を終えるまでその調整値に固定にする。受信制御部234は、調整後のオフセットの測定値のデータを、図示しない記憶部に記憶させる。
【0104】
受信制御部234は、携帯側受信部210の受信感度特性を調整するために、各認証用情報を受信する際に適した測定レンジを決定する。例えば、携帯側受信部210は、VGA217を有しており、VGA217の増幅率を調整することにより、携帯側受信部210の増幅率を所望の増幅率に設定することができる。換言すれば、受信制御部234は、VGA217を制御してAGC(Automatic Gain Control)として機能させて、そのAGCの機能によりVGA217の出力信号レベルを最適化した増幅率を取得する。なお、最適化した結果の増幅率は、量子化された離散的な値をとる。その増幅率としては、増幅率が大きい方から順に、例えば、54dB(デシベル)、36dB、18dB、0dB、−18dBなどの値にする。受信制御部234は、VGA217の増幅率を上記の値に調整しつつ、VGA217の出力信号の信号レベルを測定し、測定された信号レベルが所望の範囲に収まるようにVGA217の増幅率を最適化する。なお、上記のとおり可変範囲が広範囲に渡る場合には、VGA217を複数の段階に分けて構成してもよい、複数の系統に対応させて切り換えるようにしてもよい。
【0105】
上記のように、受信制御部234は、最適化した測定レンジに適した増幅率になるように、VGA217の増幅率を調整し、調整を終えてから以下に示す一連の処理を終えるまで、VGA217の増幅率を固定にして、携帯側受信部210の測定レンジを設定する(ステップS406)。
【0106】
信号強度測定部231は、認証用信号の強度値として、第1の認証用情報AUD1に対応する信号の受信信号強度を測定して受信信号強度値(RSSI
1)を得る。なお、RSSI
1は、以降の測定回において、当該測定回の判定処理の基準値として利用される(ステップS408)。例えば、RSSI
1は、上述の
図8のM1における測定値W1に対応する。
【0107】
受信制御部234は、通常信号検出回数カウンタの値に1を加算して(ステップS410)、その加算後の値に更新して、更新後の値を通常信号検出回数カウンタに書き込み、ステップS424の処理に進める。通常信号検出回数カウンタの値は、測定値が(TH1<W1)と検出された測定回数を示す。
【0108】
ステップS402の判定において、測定回が2回目以上と判定された場合、信号強度測定部231は、認証用信号の強度値として、測定回に対応する認証用情報AUDに対応する信号の受信信号強度を測定して受信信号強度値(RSSI
N)を得る(ステップS412)。
信号判定部232は、ステップS412において取得したRSSI
1から定めた無効閾値d2に基づいて、検出した信号を無効信号と判定すべきか否かを判定する(ステップS414)。
ステップS414の判定において、検出した信号を無効信号と判定した場合には、受信制御部234は、無効信号検出回数のカウンタの値に1を加算して(ステップS416)、その加算後の値に更新して、更新後の値を無効信号検出回数カウンタに書き込み、ステップS424の処理に進める。無効信号検出回数カウンタの値は、測定値が(W3<TH2)と検出された測定回数を示す。
【0109】
一方、ステップS414の判定において、検出した信号を無効信号と判定しなかった場合には、受信制御部234は、信号判定部232により、1回目の測定回のステップS408において取得したRSSI
1と、今回の測定回のステップS412において取得したRSSI
Nとの差が、差分閾値以上か否かを判定する。例えば、受信制御部234は、ステップS412において取得したRSSI
1から定めた差分閾値d1に基づいて、検出した信号を差分信号と判定すべきか否かを判定する(ステップS418)。
【0110】
ステップS418の判定において、RSSI
1とRSSI
Nとの差が、差分閾値以上であると判定した場合には、受信制御部234は、差分信号検出回数のカウンタの値に1を加算して、その加算後の値に更新して、更新後の値を差分信号検出回数カウンタに書き込み(ステップS420)、ステップS424の処理に進める。差分信号検出回数カウンタの値は、測定値が(TH2<W2<TH1)と検出された測定回数を示す。
【0111】
一方、ステップS418の判定において、RSSI
1とRSSI
Nとの差が、差分閾値以上でないと判定した場合には、受信制御部234は、通常信号検出回数に1を加算して(ステップS422)、その加算後の値に更新して、更新後の値を通常信号検出回数カウンタに書き込み、ステップS424の処理に進める。
【0112】
ステップS410、ステップS416、ステップS420、または、ステップS422の何れかの処理を終えた後、受信制御部234は、測定回数に1を加算して(ステップS424)、その加算後の値に更新して、更新後の値を測定回数カウンタに書き込む。
【0113】
受信制御部234は、測定回数カウンタの値に基づいて、規定回数の測定が終了したか否かを判定する(ステップS426)。
【0114】
ステップS426の判定において、規定回数の測定が終了したと判定した場合には、受信制御部234は、リクエスト信号に対する測定を終了させる(ステップS428)。これによって、受信制御部234は、本フローチャートの処理を終了する。
【0115】
一方、ステップS426の判定において、規定回数の測定が終了していないと判定した場合には、受信制御部234は、リクエスト信号に対する測定を継続させる(ステップS430)。これによって、受信制御部234は、本フローチャートの処理を終了する。
【0116】
図10を参照して、携帯端末装置認証システム1の処理について説明する。同図は、携帯端末装置認証システム1の処理の流れの一例を示すタイミングチャートである。
【0117】
同図には、(a)起動スイッチ、(b)制御部起動、(c)制御部初期化処理、(d)メインスイッチ、(e)メインスイッチ判定値、(f)LF送信、(g)携帯機処理、(h)RF受信、(i)RFデータ判定、(j)ソレノイド制御、及び、(k)解錠の各状態が示される。
【0118】
時刻t10に起動スイッチ17の操作の検出(0V)により、車載側制御部30に対して制御部起動が指示(「制御部起動:オン(ON)」)される。この指示に応じて、車載側制御部30は、初期化処理を実施して時刻t15までに終了する。初期化処理には、車載側制御部30の周辺部にあたる入出力ポートの設定処理や車載側受信部50の初期状態の調整等の処理などが含まれる。
【0119】
車載側制御部30は、メインスイッチ状態取得部63によるメインスイッチ11の導通状態の取得結果に基づいて、メインスイッチ11が、オフ(OFF)の状態にあることを検出し、メインスイッチの判定結果(メインスイッチ判定値)をオフ(OFF)にした状態を継続する。
【0120】
車載側制御部30は、車載側制御部30に登録されている携帯機に応じた「スマート認証通信」のためのLF信号を下記のように順に送信する。
【0121】
時刻t21において、車載装置100は、リクエスト信号の送信を開始して、時刻t22においてその送信を終了する。時刻t21から時刻t22までの間に、携帯端末装置200は、例えば、第1の認証用情報AUD1と、第2の認証用情報AUD2と、第3の認証用情報AUD3の信号の組を含むリクエスト信号を送信する。
携帯端末装置200は、リクエスト信号を受信する。この受信により、携帯端末装置200は、受信したリクエスト信号から抽出した信号の信号強度に応じて、受信感度特性を調整する。
【0122】
時刻t21から時刻t22までの間に、携帯端末装置200は、例えば、第1の認証用情報AUD1と、第2の認証用情報AUD2と、第3の認証用情報AUD3の信号を含むリクエスト信号を送信する。
【0123】
携帯端末装置200は、リクエスト信号を受信して、リクエスト信号に基づいて認証処理を実施する。認証処理では、例えば、第1の認証用情報AUD1と、第2の認証用情報AUD2と、第3の認証用情報AUD3の信号の強度値の差分情報を用いた認証処理を実施する。例えば、携帯端末装置200は、上記の
図6に示した送信パターン情報テーブルに示す回数の情報を記憶しておき、当該パターンに対応する回数を検出した際に、車載装置100からのリクエスト(要求)が携帯端末装置200に対するものと認証してもよい。認証処理の結果、車載装置100からのリクエスト(要求)が携帯端末装置200に対するものと認証した場合、携帯端末装置200は、時刻t22以降に携帯端末装置200からのアンサー信号(RFA)の送信を開始する。車載装置100は、車載側受信部50により送信されたアンサー信号(RFA)を受信する。
【0124】
時刻t23において、車載装置100は、受信したアンサー信号(RFA)に基づいて携帯端末装置200の認証(RFデータ判定)を実施する。例えば、携帯端末装置200の認証は、受信したアンサー信号(RFA)が正規のアンサー信号として規定されたものに一致するか否かを半地するようにしてもよい。車載装置100は、携帯端末装置200の認証が成功した場合(時刻t24)、車載側制御部30(駆動制御部34)は、各部のソレノイドを駆動させて各部の施錠状態を解錠するように制御する。時刻t25以降に各部の施錠状態が解錠される。
【0125】
(アンサー信号のフレーム構造)
図11は、本実施形態のRF通信にて送信するアンサー信号のフレーム構造を示す説明図である。以下、アンサー信号のフレーム構造をパターンRFAと称して説明する。
【0126】
同図に示すように、例えば、パターンRFAは、車載装置用情報と、第1の認証用情報AUD1の受信回数NAUD1#を示す情報と、第2の認証用情報AUD2の受信回数NAUD2#を示す情報と、第3の認証用情報AUD3の受信回数NAUD3#を示す情報と、誤り訂正情報ECC2などを含む。車載装置用情報は、少なくともトレーニングデータTDと、同期信号SYNC2と、識別情報を含む。さらに、車載装置用情報は、誤り訂正情報ECC2などのデータを含めてもよい。なお、パターンRFAのフレーム構造を有するアンサー信号の送出には、時間TRFAを要するものとする。
【0127】
トレーニングデータTDは、パターンRFAを送信する際に最初に送信されるように配置されている。トレーニングデータTDには、車載装置100がパターンRFAを受信する際に車載側受信部50の調整に要する信号パターンが割り付けられる。
【0128】
同期信号SYNC2は、例えばトレーニングデータTDの次に送信するように配置されている。同期信号SYNC2には、車載側受信部50がトレーニングデータTDによるトレーニングを終えた後に、各種情報を抽出する際に指標とする信号パターンと、パターン種別を識別する情報が含まれる。
【0129】
誤り訂正情報ECC2は、パターンRFAにおいて、受信した受信回数NAUD1#を示す情報などの各データの誤り検出や誤り訂正を行うための情報である。誤り訂正情報ECC2は、パターンの種類ごとに、誤り検出や誤り訂正の対象範囲、及び、誤り検出や誤り訂正の手法などを適宜定めることができる。
【0130】
なお、通信制御部32は、第1の認証用情報AUD1の受信回数NAUD1#を示す情報と、第2の認証用情報AUD2の受信回数NAUD2#を示す情報と、第3の認証用情報AUD3の受信回数NAUD3#を示す情報と等の情報を、他の情報に関連付けてパターンRFAの一部に割り付けるようにしてもよい。例えば、第1の認証用情報AUD1の受信回数NAUD1#を示す情報と第1の認証用情報AUD1の受信信号強度を関連付けてもよい。その際、通信制御部32は、第1の認証用情報AUD1の受信回数NAUD1#を示す情報と第1の認証用情報AUD1の受信信号強度回数NAUD1#を示す情報とに、予め定めた係数を乗じて線形加算することによって、1つの情報にすることができる。このように、1つの情報にしたことにより、個々の情報を個別にパターンRFAに割つけることなく、多くの情報を短いフレーム長のパターンとして送信することができる。上記は第1の認証用情報AUD1について示したが、第2の認証用情報AUD2と第3の認証用情報AUD3についても同様である。
【0131】
車載装置100の判定部33は、同図に示すようなフレーム構造(RFA)を有するアンサー信号から、第1の認証用情報AUD1の受信回数NAUD1#と、第2の認証用情報AUD2の受信回数NAUD2#と、第3の認証用情報AUD3の受信回数NAUD3#と、を取得する。判定部33は、例えば、差分閾値(第1閾値)に基づいて「通常」の信号(第1の信号)と判別した回数と「差分信号(第2の信号)」と判別した回数とを含む情報に基づいて、車載側受信部50によって受信されたアンサー信号から、携帯端末装置200が受信した信号が正規のリクエスト信号であるか否かを判定する。判定部33は、この判定により、「通常」の信号(第1の信号)と判別した回数と「差分信号(第2の信号)」と判別した回数とを含む情報に基づいて、車載側受信部50によって受信された信号が正規のアンサー信号であると判定することができる。
【0132】
(DUTYと信号強度との関係)
図12から
図14を参照して、DUTYと信号強度との関係について説明する。
図12は、DUTYを50%にしたパルス列を含む信号と信号強度との関係を示す図である。
【0133】
通信制御部32は、振幅(波高値)をA、パルス幅をτの矩形波(パルス信号)を含む信号を供給する。その信号のパルス信号が周期Tで繰り返されるものであるとすれば、その信号の周波数成分には、周波数f
1(=1/T)の成分と、周波数f
1を基本周波数とする高調波成分とが含まれる。
【0134】
通信制御部32がDUTYを50%にした信号を供給する場合、その信号には、周波数f
1(=1/T)の成分と、周波数f
1を基本周波数とする奇数次の高調波成分とが含まれる。奇数次(例えば、3次、5次、7次、9次)の高調波の周波数は、f
3、f
5、f
7、f
9で示される。パルス信号の振幅Aで、周波数f
1の信号成分の信号強度が規格化されて、その信号強度が1にされた場合、n次高調波の周波数の信号強度は、(1/n)になる。要するに周波数f
3、f
5、f
7、f
9、…の信号強度は、それぞれ(1/3)、(1/5)、(1/7)、(1/9)、…になる。なお、上記の各周波数の信号成分のうち周波数f
1以外の成分は、共振部42によって減衰される。前述のとおり共振部42がLC共振回路として構成されている場合、共振部42の信号の透過域の周波数帯BPFは、共振回路のQ値により決定される。共振部42は、上記の透過域以外の帯域の信号を、透過域の信号に比べて大きな減衰率で減衰させることにより、周波数f
1の成分を抽出することができる。
【0135】
図13と
図14は、DUTYを50%と異なる値にしたパルス列を含む信号と信号強度との関係を示す図である。
【0136】
奇数次(3次、5次、7次、9次)の高調波の周波数は、上記と同様にf
3、f
5、f
7、f
9で示される。偶数次(2次、4次、6次、8次)の高調波の周波数は、f
2、f
4、f
6、f
8で示される。通信制御部32が、DUTYを50%と異なる値にした信号を供給する場合、その信号には、周波数f
1(=1/T)の成分と、周波数f
1を基本周波数とする奇数次の高調波成分と、偶数次の高調波成分とが含まれる。DUTYを50%と異なる値にした信号の場合、DUTYの大きさによって各周波数の信号強度が異なる値をとる。ここで、
図13のグラフがDUTYを40%にした場合を例示し、
図14のグラフがDUTYを20%にした場合を例示する。
図13と
図14に示すように、DUTYを50%と異なる値にした信号の各周波数の信号強度は、前述の
図12に示したDUTYを50%にした信号の場合と異なる傾向を示す。
図13と
図14に示す線Lは、DUTYに基づいて算出される各周波数の信号強度の値を示す。例えば、周波数が0近傍の点(点PA)の信号強度が、DUTY(パルス幅τ/周期T)にパルス信号の振幅Aを乗じた値の2倍の値になり、パルス幅τの逆数(1/τ)の周波数の自然数倍の周波数(点PB)の信号強度が、0になる。例えば、上記のDUTYの値は、0%<DUTY<50%(=0.5)にする。線Lは、上記の点PAと点PBの間を補間する線になる。以下の説明では、前述のDUTYを50%にした場合と対比するため、DUTYを50%の場合の周波数f
1の信号強度を1として扱う。
【0137】
なお、
図12から
図14に示す各周波数の信号成分のうち周波数f
1以外の成分は、共振部42の共振特性によって減衰される。例えば、共振部42がLC共振回路として構成されており、共振部42の信号の透過域の周波数帯は、共振回路のQ値により決定される。共振部42は、上記の透過域以外の帯域の信号を、透過域の信号に比べて減衰することにより、高調波成分を除いた周波数f
1の周波数成分を抽出することができる。
【0138】
(DUTYと認証用情報との関係)
DUTYと認証用情報との関係について説明する。前述の
図6に示した認証用情報には、予め定められたDUTYが対応付けられており、通信制御部32は、決定された認証用情報の種類に基づいて、認証用情報に対応するDUTYの信号を供給する。通信制御部32は、複数の認証用情報のうちから所望の認証用情報を選択し、選択したDUTYの信号を送信する。
【0139】
複数の認証用情報には、第1の認証用情報AUD1と第2の認証用情報AUD2と第3の認証用情報AUD3が含まれる。例えば、通信制御部32は、送信パターンを記憶する送信パターン情報テーブル(
図6)を参照して、複数の認証情報を送信するパターンを選択する。通信制御部32は、選択したパターンに基づいて、認証用情報の種類とその認証用情報を継続して送信する時間を決定する。例えば、通信制御部32は、認証用情報の種類に対するDUTYの対応付けを下記のように決定する。第1の認証用情報AUD1を送出する際のDUTYをDUTY1に、第2の認証用情報AUD2を送出する際のDUTYをDUTY2に、第3の認証用情報AUD3を送出する際のDUTYをDUTY3にする。例えば、DUTY1とDUTY2とDUTY3は、「第1デューティ比」と「第2デューティ比」と「第3デューティ比」の一例である。
【0140】
DUTY1とDUTY2とDUTY3には、認証用信号の信号強度に所望の値が得られるように、それぞれのDUTYの値が予め決定されている。DUTY1を例えば50%に、DUTY2を50%より所定量α1だけ異なる値に、DUTY3を50%より所定量α2だけ異なる値にする。ここで、|α1|<|α2|<50にすると、0<(50−|α2|)<(50−|α1|)<50になる。上記のようにα1とα2を決定することにより、DUTY1とDUTY2とDUTY3の順にDUTYが50%からの乖離量が大きくなる。上記のようにDUTYを定めて、信号DMODの周波数をf0にしたパルス信号列を、通信制御部32が共振部42に供給した場合、送信用アンテナ43から送信される電波の信号強度は、DUTY1がもっとも高くなり、続いてDUTY2、DUTY3の順に低くなる。
【0141】
パルス信号列の周波数f0と振幅が共通の矩形波で、DUTYが異なる場合、DUTYが50%に近い信号程、周波数f0の周波数成分が大きくなり、一方、DUTYが50%からの差が大きくなる程、DUTYが50%の場合に対比して、周波数f0の周波数成分の信号強度が相対的に小さくなり、高調波成分の信号強度が相対的に大きくなる。
【0142】
例えば、所定量α1を10%、所定量α2を30%にする。前者は、DUTY2を50%より所定量α1だけ異なる値(DUTY=0.4)にした
図13に対応する。後者は、DUTY3が50%より所定量α2ほど異なる値(DUTY=0.2)にした
図14に対応する。
【0143】
図15は、
図12から
図14に例示した場合の周波数f
1の信号強度の違いを示す説明図である。
図15に示すようにDUTYが異なる値をとる場合の周波数f
1の信号強度は、互いに異なる値になる。
図12のようにDUTYを50%にした場合、周波数f
1の信号強度は、1になる。
図13のようにDUTYを40%にした場合、周波数f
1の信号強度は、約0.6になる。
図14のようにDUTYを20%にした場合、周波数f
1の信号強度は、約0.4になる。以上に示したように、DUTYを50%にした信号の場合が、周波数f
1のエネルギーを多く含み、DUTYが0%に近くなるほど、周波数f
1のエネルギーを含む量が少なくなる。
【0144】
例えば、上記のようにして、通信制御部32は、DUTYが異なる複数の信号から選択した信号を、前述のリクエスト信号に対応させて車載側送信部40に供給する。車載側送信部40は、通信制御部32から供給された信号のDUTYに対応する信号強度の認証用信号を送信する。
【0145】
通信制御部32が車載側送信部40に供給する複数の信号には、少なくともDUTY1の信号とDUTY2の信号とが含まれている。車載側送信部40は、DUTYが異なる2種類の信号から2種類の認証用信号を生成して、送信してもよい。車載側送信部40により生成された認証用信号は、2段階の信号強度を有する。携帯端末装置200は、少なくとも2段階の信号強度を有する認証用信号に基づいた認証処理を行うようにしてもよい。また、通信制御部32が車載側送信部40に供給する複数の信号には、更に、DUTY1とDUTY2に対してDUTYが異なるDUTY3の信号が含まれていてもよい。携帯端末装置認証システム1は、DUTY1とDUTY2とDUTY3とを適宜選択することにより、信号強度が互いにに異なる信号を利用した認証処理を実施することができる。
【0146】
図16と
図17は、携帯端末装置認証システム1による効果を示す図である。
図16と
図17に示すグラフは、車載装置100と携帯端末装置200との距離を変えて、携帯端末装置200において検出された信号の組の信号強度の測定結果を示す。
図16では、比較的遠くに位置する携帯端末装置200から車載装置100の解錠処理を行えるように、携帯端末装置200の受信感度特性を定めた一例を示す。この図に示すように、W1からW3に示すグラフは、それぞれが、第1の認証用情報AUD1と第2の認証用情報AUD2と第3の認証用情報AUD3の受信強度を示す。約40(cm)から250(cm)の範囲で、W1からW3が分離しており、信号強度の違いを検出可能なことが分かる。この図に示す信号強度に対応するように、携帯端末装置200の受信感度特性を定めることにより、受信感度特性を調整しなくても上記の認証方法が適用可能である。ただし、約40(cm)以下の範囲については、受信レベルが飽和してしまい、W1からW3を分離して受信できない。
【0147】
図17は、
図16の測定条件に対して、携帯端末装置200の受信感度特性を調整した場合の測定結果を示す。
図17に示す測定結果の測定条件では、
図16に示した場合の測定条件より携帯端末装置200受信感度を低減させている。これにより、
図16に占め鵜結果では、W1からW3が分離していなかった約40(cm)以下の範囲において、分離して受信できたことが示されている。
【0148】
このように、携帯端末装置認証システム1であれば,携帯端末装置200の受信感度特性を、実際に受信した信号の強度に基づいて調整することにより、認証用信号として用いる第1の認証用情報AUD1と第2の認証用情報AUD2と第3の認証用情報AUD3について信号強度が互いに異なる信号として受信することが可能になる。
【0149】
上記の実施形態によれば、実施形態の携帯端末装置認証システム1(車載装置100)の車載側制御部30は、デューティ比が異なる複数の指示信号を生成し、前記生成した指示信号を前記リクエスト信号に対応させて前記車載側送信部に供給する。車載側送信部40は、供給された複数の指示信号のDUTYに対応する信号強度の認証用信号を生成し、前記認証用信号を含む前記リクエスト信号を携帯端末装置200に送信する。車載側送信部40は、供給された複数の指示信号のDUTYに対応する信号強度の認証用信号を生成し、生成した認証用信号を含むリクエスト信号を携帯端末装置200に送信する。
【0150】
また、携帯側制御部230は、第1の認証用信号の第1強度値と、第2の認証用信号の第2強度値とに基づいた処理結果を送信させ、車載側制御部30は、リクエスト信号の正当性を判定してもよい。
【0151】
また、携帯側制御部230は、第1の認証用信号の第1強度値と、第2の認証用信号の第2強度値とに基づいて、リクエスト信号の正当性を判定してもよい。
【0152】
また、車載側制御部30は、DUTY1の指示信号を第1時間の間、続けて出力すると共に、DUTY2の指示信号を第2時間の間、続けて出力し、携帯端末装置200は、認証用信号を測定し、車載側制御部30は、前記第1時間と前記第2時間と、第1強度値の第1検出時間と第2強度値の第2検出時間とを比較し、当該比較の結果に基づいて、車載装置100または携帯端末装置200の正当性を判定してもよい。
【0153】
また、車載側制御部30は、携帯側制御部230が第1閾値に基づいて前記第1の認証用信号と判別した回数と前記第2の認証用信号と判別した回数とを含む情報に基づいて、車載装置100または携帯端末装置200の正当性を判定してもよい。
【0154】
また、車載側制御部30は、予め定められたパターンのうちから不規則に決定された送信時間の前記認証用信号を車載側送信部40に送信させてもよい。
【0155】
このような携帯端末装置認証システム1であれば、送信する認証用信号の強度を調整して、認証のセキュリティ性を向上させることができる。なお、携帯端末装置認証システム1は、少なくとも、携帯端末装置200が受信した信号が正規のリクエスト信号であるか否かの判定の結果から、車載装置100または携帯端末装置200の正当性を判定する。
【0156】
以下、実施形態の変形例について説明する。
上述した実施形態における携帯端末装置認証システム1は、例えば、乗用車等の車両ドアを有する自動車に適用されてもよい。この場合、携帯端末装置200が車載装置100によって認証されたときに、車両ドアの施錠を解錠するようにしてもよい。
【0157】
また、上述した実施形態における携帯端末装置認証システム1は、携帯端末装置200が受信した信号が正規のリクエスト信号であるか否かの判定を、携帯端末装置200側、すなわち、携帯側制御部230が実施するようにしてもよい。例えば、携帯側制御部230が、車載側制御部30の処理として上記で説明した判定処理を実施することにより、携帯端末装置200側で判定の結果を得ることができる。なお、上記の場合、携帯側制御部230は、上記の判定の結果をアンサー信号に含めて、車載装置100宛に送信したり、携帯端末装置200が備える表示部に表示したり、車載装置100以外の外部の装置に通知して出力させたり、するように制御してもよい。
【0158】
また、上述した実施形態における携帯端末装置認証システム1において、リクエスト信号に含まれる認証用情報の送出(送信)時の信号強度(出力)を、共振部42に供給する信号のDUTYによって共振部42による減衰量が異なることを利用して、変化させるものとして説明したが、これに限られない。例えば、共振部42のように上記の周波数f
1を透過するバンドパスフィルタ回路等によって、認証用情報ごとの信号強度(あるいは利得)に差異を持たせてもよい。また、上記フィルタ回路は、アナログ回路やディジタル回路、またはこれら回路の組み合わせで実現されてもよく、例えば、車載側制御部30が、正弦波、又は、高調波成分を抑圧した周期性信号を生成して、駆動部41に供給してもよい。
【0159】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0160】
例えば、上記の実施形態において、車載側制御部30は、第1の認証用信号の第1強度値と、第2の認証用信号の第2強度値とに基づいた処理結果を送信させて、車載側制御部30がリクエスト信号の正当性を判定するものとして説明したが、携帯側制御部230は、第1の認証用信号の第1強度値と、第2の認証用信号の第2強度値とに基づいて、リクエスト信号の正当性を判定するようにしてもよい。これにより、アンサー信号を送信しない携帯端末装置200であっても、車載装置100の認証処理を実行できる。