(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
用紙載置面を有した装置本体と、この装置本体に設けられ前記用紙載置面に載置された用紙に加工を施す処理機構と、前記装置本体に収納位置から使用位置までの間でスライド可能に設けられ前記使用位置において前記用紙載置面に載置される用紙の位置決めを行うゲージとを具備した用紙処理装置であって、
前記装置本体に、前記ゲージのスライド動作中に前記ゲージを昇降させるゲージ昇降機構を設けているものであり、
前記ゲージが、前記装置本体にスライド可能に支持されたゲージ本体と、このゲージ本体の外方端部に設けられ前記用紙の縁を係止するストッパとを備えたものであり、
前記ゲージ本体が、内方端から外方端に向かって漸次上下厚み寸法が減少する形状をなしており、内方端部の下面のみを前記装置本体の底面に常時摺接させている用紙処理装置。
用紙載置面を有した装置本体と、この装置本体に設けられ前記用紙載置面に載置された用紙に加工を施す処理機構と、前記装置本体に収納位置から使用位置までの間でスライド可能に設けられ前記使用位置において前記用紙載置面に載置される用紙の位置決めを行うゲージとを具備した用紙処理装置であって、
前記装置本体に、前記ゲージのスライド動作中に前記ゲージを昇降させるゲージ昇降機構を設けているものであり、
前記ゲージ昇降機構が、前記装置本体と前記ゲージ本体との間に設けられたスライドカム機構により前記ゲージ本体を昇降させるようにしたものであり、
前記スライドカム機構が、前記ゲージ本体の側面に突設された下レールと、この下レールよりも内方端側に位置させて前記ゲージ本体の側面に突設された上レールと、前記装置本体の内側面に突設され前記下レールの内方端に係わり合って前記ゲージ本体を降下方向に案内する下案内面及び前記上レールの外方端に係わり合って前記ゲージ本体を上昇方向に案内する上案内面を有した案内突条とを備えている用紙処理装置。
前記ゲージが、前記装置本体にスライド可能に支持されたゲージ本体と、このゲージ本体の外方端部に設けられ前記用紙の縁を係止するストッパとを一体に形成したものである請求項1又は2記載の用紙処理装置。
【背景技術】
【0002】
従来から、用紙に綴じ用の孔を形成するためのパンチ(例えば、特許文献1参照)や、複数枚の用紙を綴じることができる綴じ機(例えば、特許文献2参照)といった用紙処理装置が知られている。
【0003】
ところで上記の用紙処理装置のうち、一例としてパンチについて着目すると、従来のものは用紙を位置決めするために、用紙受け面を有したパンチ本体に対して突没可能に支持されたゲージを備えたものがある。かかるゲージには、先端側に用紙の端縁を当接させるストッパが立設されており、当該ゲージ全体をパンチ本体に対して突没進退させることにより、立設されたストッパの位置を調整し用紙の位置決めに供するようにしている。特に上記特許文献1記載のものは、使用の際にのみストッパをゲージから起立し得るよう、ストッパがゲージに対し動作可能に構成されている。
【0004】
ところが、このようなものでは、ゲージがパンチ本体に対して突没するようにすべく、ストッパはパンチ本体に対し起立していない状態で収容される。すなわちパンチ本体にストッパが収容される姿勢のままでは用紙を位置決め出来ない。そのため、使用者は使用する都度必ず所定の位置にストッパの位置を合わせる必要があった。つまりこれまでのものは、使用の際に例外なく、ゲージを所期の位置にセットするための操作に加え、ストッパの位置を用紙の端縁に当接し得る位置に調整するという、最小限でも複数の動作を必要とされる。その結果、ゲージの使用自体が使用者に煩雑であるという印象を与えてしまっていた。更に、ゲージを使用しない場合であっても、ストッパが起立した状態であれば、当該ストッパが用紙に干渉してしまい作業性を損ねる場合もあった。換言すれば、これまでのゲージでは、ゲージを動作させる動作に加え、ゲージを使用可能な状態とするための格別な動作を要するものとなっていた。そして斯かる格別な動作が、使用者にゲージの取り扱いが煩雑であるという印象を与えてしまうおそれを有していた。
【0005】
そしてこのようなゲージは勿論、パンチに適用している場合のみならず、例えば綴じ機やステープラといったものに適用しても同様の不具合が発生する。すなわちこれまでのゲージであれば用紙処理装置に適用すると、例外なく上記したような不具合を招来し得るものとなっていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような不具合に着目したものであり、少なくともゲージを所期の位置に確実にセットするための操作が行い易い用紙処理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0009】
すなわち本発明に係る用紙処理装置は、用紙載置面を有した装置本体と、この装置本体に設けられ前記用紙載置面に載置された用紙に加工を施す処理機構と、前記装置本体に収納位置から使用位置までの間でスライド可能に設けられ前記使用位置において前記用紙載置面に載置される用紙の位置決めを行うゲージとを具備した用紙処理装置であって、前記装置本体に、前記ゲージのスライド動作
中に前記ゲージを昇降させるゲージ昇降機構を設けていることを
前提とする。
【0010】
ここで、「ゲージを昇降」とは、ゲージ全体が昇降動作を行うもののみに限られない。すなわち、スライド動作を利用するものであれば、ゲージ全体の昇降動作であっても、ゲージの特定の一部のみの昇降動作を行うであってもよい。ここで、ゲージの特定の一部のみの昇降動作の例としては、ゲージと一体又は別体に設けられたストッパが回転しながらストッパの上端位置が変化しながら昇降するような態様が挙げられる。加えて、例えばゲージの一部であるストッパが折り畳まれた状態から起立、及び、起立した状態から倒伏するという往復動作を伴うスライド動作によりゲージ自体の一部であるストッパの上端が昇降するような動作をも含まれる概念である。また勿論、上述したゲージの一部の回転、起立/倒伏動作はゲージ全体の昇降とともに行ってもよいのはいうまでもない。加えて本発明に係るゲージ昇降機構とは、ゲージがストッパを有さないものに対し、使用位置では用紙に作用し易い位置まで昇降するような態様も含まれる概念である。
【0011】
このようなものであれば、ゲージ昇降機構により、ゲージをスライド動作させれば自ずと昇降させることで使用者にとって所要の使用位置とすることができる。その結果、使用者はゲージの使用に際しスライド動作のみを行えば良い。すなわち本発明によれば、少なくともゲージを所期の位置に確実にセットするための操作が行い易い用紙処理装置を提供することができる。
【0012】
使用位置において用紙への処理を行い易いゲージ昇降機構の具体的な構成として、前記ゲージが、前記装置本体にスライド可能に支持されたゲージ本体と、このゲージ本体の外方端部に設けられ前記用紙の縁を係止するストッパとを備えたものであり、前記ゲージ昇降機構が、
前記収納位置において前記ストッパの上端が前記用紙載置面よりも下又は略面一に位置するとともに前記使用位置において前記ストッパの上端が前記用紙載置面よりも上に位置するように前記ゲージを昇降させる
ものとなっている。このようなものであれば、収納位置ではストッパの上端を用紙載置面に面一か、用紙載置面よりも下に位置付けて、ゲージを用紙に干渉しない好適な位置、姿勢で装置本体内に収納させることができる。
【0013】
前記ゲージのスライド動作を安定させるための有効な構成として、前記装置本体が、前記用紙載置面を有したベースと、このベースの下面側に装着される受底とを備えたものであり、前記受底に、前記ゲージ本体を下側から支持する底面と、前記ゲージ本体を側面から案内する案内側面とを具備するゲージ保持部を設けている。
【0014】
また、ゲージの正確なスライド動作とゲージ昇降機構による昇降動作とを簡素な構成によって両立させるためには、前記ゲージ本体を、内方端から外方端に向かって漸次上下厚み寸法が減少する形状をなしたものとし、内方端部の下面のみを前記ゲージ保持部の底面に常時摺接させる構成とすることが望ましい。斯かる構成によれば、具体的にはゲージの外方端のみを昇降させれば確実なゲージ昇降機構の動作が実現される。
【0015】
前記ゲージ昇降機構が、前記装置本体と前記ゲージ本体との間に設けられたスライドカム機構により前記ゲージ本体を昇降させるようにし
ているので、ゲージによる正確な用紙の位置決めと確実な昇降とを両立することができる。
【0016】
そして、ゲージの安定した動作を実現するための具体的な構成としては、前記スライドカム機構が、前記ゲージ本体の側面に突設された下レールと、この下レールよりも内方端側に位置させて前記ゲージ本体の側面に突設された上レールと、前記ゲージ保持部の内側面に突設され前記下レールの内方端に係わり合って前記ゲージ本体を降下方向に案内する下案内面及び前記上レールの外方端前記に係わり合って前記ゲージ本体を上昇方向に案内する上案内面を有した案内突条とを備えている構成を挙げることができる。
【0017】
加えて、ゲージのさらなる構成の簡素化を実現するためには、前記ゲージを、ゲージ本体とストッパとを一体に形成したものとすることが好ましい。
【0018】
そして本発明は、前記処理機構が、用紙に孔を形成するためのものに好適に適用することが可能である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、少なくともゲージを所期の位置に確実にセットするための操作が行い易い用紙処理装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態を、
図1〜
図13を参照して説明する。
【0022】
この実施形態は、本発明に係る用紙処理装置を、手動操作により図示しない用紙に綴じ用の孔を形成するための二穴固定式事務用孔あけ器であるパンチAに適用したものである。
【0023】
パンチAは、用紙受け面11を有しその用紙受け面11の奥端に用紙の前後方向の位置決めを行うための係止壁12を備えたパンチ本体1と、パンチ本体1の用紙受け面11にセットされた用紙に抜き刃21(
図5〜
図7)を貫通させて該用紙に孔をあける穿孔機構2と、パンチ本体1に支持され用紙の左右方向の位置決めを行うためのゲージGとを具備してなる。すなわち本実施形態に係るパンチAは、用紙載置面Mを有した装置本体たるパンチ本体1と、このパンチ本体1に設けられ用紙載置面Mに載置された用紙に穿孔という加工を施す処理機構たる穿孔機構2と、パンチ本体1に収納された収納位置(s)から使用位置であるガイド位置(g)までの間でスライド可能に設けられガイド位置(g)において用紙載置面Mに載置される用紙の位置決めを行うゲージGとを具備した用紙処理装置である。
【0025】
パンチ本体1は、上側に略平面状をなす、用紙載置面Mである用紙受け面11を有し下側が開放されたベースBと、ベースBの下開口部mを開閉可能に閉塞する受底Uとを備えている。
【0026】
ベースBは、金属製のもので、平面視において略縦長矩形状をなしている。ベースBは、上面を用紙受け面11とした天壁b1と、天壁b1の周縁部から下方に向かって延出する前後壁、及び、左右の側壁とを備えている。ベースBは、前後壁、及び、左右の側壁によって下方に開口する下開口部mを構成する。
【0027】
天壁b1は、前側の部位に、穿孔されるべき用紙の下面側を支持するための用紙受け面11を備えている。天壁b1は、用紙受け面11に対応する部位の2箇所に穿孔操作時に抜き刃21が通過する抜き孔13を有している。天壁b1は、用紙受け面11の奥端である後端部に、用紙の端縁を当接させて奥行き方向への移動を禁止するための壁である係止壁12を備えている。天壁b1には、中央部分に、左右の抜き孔13ピッチの中心を示す目印16を露出させるための目印露出窓14が設けられている。
【0028】
穿孔機構2は、作動ハンドル22と、作動ハンドル22が上下に回転操作されることによって上下進退する抜き刃21を主体に構成されたものである。すなわち、穿孔機構2は、パンチ本体1の用紙受け面11にセットされた用紙に作動ハンドル22の作動により抜き刃21を貫通させて、用紙に孔をあけるものである。この実施形態では、穿孔機構2は、抜き刃21の先端側を用紙に孔をあけるべく抜き孔13内に位置させる操作位置と作動バネである図示しないスプリングの弾性反発力により抜き刃21を抜き孔13外に位置させる待機位置との間で回動可能な作動ハンドル22を備えている。抜き刃21と作動ハンドル22とは、中間部材24を介して相互に接続している。すなわちこの穿孔機構2が、用紙に加工を施す本発明に係る処理機構に該当する。なお、穿孔機構2は、既知の構成であるため、詳細な説明を省略する。
【0029】
ここで、本実施形態に係るパンチAは、ゲージGが、パンチ本体1にスライド可能に支持されたゲージ本体3と、このゲージ本体3の外方端部に設けられ用紙の縁を係止するストッパ4とを備えたものであり、ゲージGのスライド動作を利用してゲージGを昇降させるゲージ昇降機構Xを設けていることを特徴とする。具体的には、パンチ本体1に、収納位置(s)においてストッパ4の上端4aが用紙載置面M以下に位置するとともにガイド位置(g)においてストッパ4の上端4aが用紙載置面Mよりも上に位置するようにゲージGのスライド動作を利用してゲージGを昇降させるゲージ昇降機構Xを設けている。
【0030】
以下、受底Uにおける特にゲージ保持部5の構成及びゲージGの構成について説明する。
【0031】
受底Uは、パンチ本体1に対してベースBの下面側に着脱可能に取り付けられるもので、樹脂により形成されている。受底Uは、その一側にゲージGを支持するためのゲージ保持部5を有している。受底Uは、ベースBの下開口部mを閉塞する蓋機能を具備する受底本体u1と、受底本体u1の右側縁から平面視において外方に突出するように配されたゲージ保持部5とを備えている。
【0032】
受底本体u1は、平面視において略矩形状をなすものであり、下面が家具の天板等の載置面Mに添設し得るようになっている。受底本体u1は、底壁s1と、底壁s1の周縁部から上方に向かって延出する前後壁s2、s3、及び、左右の側壁s4、s5とを備え、これらによって囲まれた空間に用紙を穿孔する際に形成される抜けかすを収容するとともにゲージ保持部5を配置している。受底本体u1の後角部分は、底壁s1に設けられたヒンジ部15を介して部分的に開閉可能になっており、抜けかすを廃棄する際の利便性を向上させている。左右の側壁s4、s5の上面部分には、用紙を受けるための用紙受け面17と、係止壁12とともに用紙の端部を位置決めするための係止壁18とを有している。すなわち本実施形態では用紙受け面11及びこの受底本体u1に設けた用紙受け面11とともに、用紙載置面Mを構成している。左の側壁s4における用紙受け面17、係止壁18近傍には、収納位置(s)にあるゲージGのストッパ4を収容するためのストッパ収容部19が設けられている。
【0033】
ゲージ保持部5は、受底本体u1よりも前側に位置している。このゲージ保持部5はゲージ本体3を下側から支持する底面51と、ゲージ本体3を側面から案内する案内側面52とを具備する。底面51は、ゲージ本体3に係り合うことでゲージ3を位置決めする複数の凹部56と、これら複数の凹部56間に形成された平面でありゲージ本体3を摺接させる摺接面57とを有している。案内側面52は、外方端近傍に、前後両側から突出させて形成した案内突条53を有している。この案内突条53は正面視において、内方端から外方端へ向けて上方へ湾曲しながら傾斜した形状をなす。本実施形態ではこの案内突条53の上面をゲージ本体3に係り合うときにゲージ本体3を上昇方向に案内する上案内面54としている。そしてこの案内突条53の下面をゲージ本体3に係り合うときにゲージ本体3を下降方向に案内する下案内面55としている。これら上案内面54及び下案内面55とゲージ本体3との具体的な係り合いに関しては後に詳述する。
【0034】
ゲージGは、用紙に形成される孔の位置を定めるために、用紙のパンチ本体1に対する位置決めを行うものである。ゲージGは、用紙の位置決めを行い得る位置、すなわち、パンチ本体1から外側方に突出するガイド位置(g)からパンチ本体1に沿うように配される収納位置(s)までの間でスライド動作し得るゲージ本体3と、ゲージ本体3に対して移動可能に設けられガイド位置(g)において用紙の端部を案内するストッパ4とを備えている。そしてゲージGは、ゲージ本体3とストッパ4とを一体に形成した樹脂製のものである。
【0035】
ゲージ本体3は、細長いブロック状のものであり、上面を構成する用紙支持面31は、ガイド位置(g)において、パンチ本体1の用紙受け面11のやや下方に位置付けられるように設定されている。また、ゲージ本体3の用紙支持面31は、ガイド位置(g)においてはパンチ本体1との相対位置に拘わらず、常に用紙受け面11に対し一定の高さ位置となるように設定されている。なお用紙支持面31には、用紙サイズに合わせたガイド用の目盛りを表示するようにしてもよい。またゲージ本体3は、側面側において外方端の縁部の一部に突設された下レール33と、この下レール33よりも内方端側の左右方向略全域に位置させてゲージ本体の側面上端に突設された上レール32とを有している。そして本実施形態ではゲージ本体3は、内方端から外方端に向かって漸次上下厚み寸法が減少する形状をなすように下側全域に亘ってテーパ面34を形成している。加えて内方端部の下面のみをやや突出させて摺接凸部36を形成し、この摺接凸部36をゲージ保持部5の底面51に常時接するようにしている。具体的に説明すると、この摺接凸部36近傍に前後2つの切欠35を設けこれら切欠35間の領域を弾性変形部37とすることで、摺接凸部36はゲージ保持部5の底面51に常時弾性反発力を蓄積した状態で摺接する。
【0036】
ストッパ4は、用紙の端部に当接可能に立設された内面である当接面41と、収納位置(s)において受底本体u1の右側の側壁に略面一となるように形成された外面42とを有している。このストッパ4は、収納位置(s)では受底本体u1のストッパ収容部19に収容されるとともに上端4aが用紙受け面17以下となるように位置付けられる。
【0037】
パンチAは、ゲージ本体3とパンチ本体1との間に、ゲージ本体3を節度停止(クリックストップ)させるための節度機構を設けている。具体的にはこの節度機構は、収納位置(s)及びガイド位置(g)における複数の位置、具体的には所定の用紙サイズに対応した複数の位置においてゲージ本体3をパンチ本体1に対し節度停止(クリックストップ)させるものである。具体的に説明すると、ゲージ保持部5の底面51には、収納位置(s)及びガイド位置(g)における、一般的に用いられるA4、B5等の、所定の規格に準拠した各用紙サイズをストッパ4がそれぞれ位置決めし得る位置でゲージ本体3の摺接凸部36が凹部56に係り合い得るように、当該凹部56の位置を設定している。そして上述した通り、摺接凸部36は底面51に対し常に弾性反発力を蓄積しながら接しているため、ゲージ本体3をスライドさせる際には摺接凸部36は摺接面57を弾性付勢しているか凹部56に対し弾性係合している。これにより、ゲージGの正確な位置決めを容易に実現し得る節度機構が実現されている。
【0038】
しかして本実施形態では、
図8〜
図13に示すように、収納位置(s)においてストッパ4の上端4aが用紙載置面M以下に位置するとともにガイド位置(g)においてストッパ4の上端4aが用紙載置面Mよりも上に位置するようにゲージGのスライド動作を利用してゲージGを昇降させるゲージ昇降機構Xを設けている。
【0039】
図8では、ゲージGが収納位置(s)にある状態を示している。この状態では、案内突条53はゲージ本体3の上レール32、下レール33の両方に接した状態となっている。特にゲージ本体3では下レール33は下案内面55の内、下端に形成された挟持平面55bと底面51との間に挟み込まれ、収納位置(s)に位置決めされた状態にある。併せて上レール32は上案内面54に設けられた湾曲面54aに僅かに接した状態となっている。
図8に示す状態からゲージGをゲージ保持部5から引き出す動作を開始すると、
図9に示すように下レール33と案内突条53とが離間するとともに、上レール32は上案内面54の内、湾曲面54aに摺接しながら上昇を開始する。そして
図10に示した状態では、ストッパ4の上端4aは用紙受け面17すなわち用紙載置面Mよりも完全に上昇し、
図11に示す、用紙を位置決めし得るガイド位置(g)では、上レール32は上案内面54の内、上端に形成された支持平面上に載ることで、ゲージ本体3が上昇した状態が好適に維持される。
【0040】
そして、ゲージGをガイド位置(g)から収納位置(s)とすべく例えばストッパ4を押し込む等によりゲージ本体3を内方端へ向けてスライド動作させると、
図12に示すように上レール32と上案内面54とが離間するとともに下レール33と下案内面55が接触する。そして更なるスライド動作によって、下レール33は
図13に示すように下案内面55のうち湾曲面55aに摺接しながらゲージ本体3が下降してゆき、再び
図8に示す収納位置(s)となる。このように、ゲージ昇降機構Xが、上レール32、下レール33及び案内突条53がスライドカム機構を構成することによって、ゲージ本体3を昇降させる。換言すればゲージ昇降機構Xとは、パンチ本体とゲージ本体3との間に設けられたスライドカム機構によりゲージ本体3を昇降させるようにしたものである。
【0041】
以上のような構成とすることにより、本実施形態に係る用紙処理装置たるパンチAは、ゲージGのスライド動作を利用してゲージGを昇降させるにより、ゲージGをスライド動作させれば自ずと使用位置たるガイド位置(g)から収納位置(s)までの往復動作が実現される。その結果、使用者はゲージGの使用に際しスライド動作のみを行えば良い。すなわち本発明によれば、少なくともゲージGを所期の位置に確実にセットするための操作が行い易いパンチAの提供に寄与している。
【0042】
また本実施形態では、ゲージ昇降機構Xにより、ストッパ4の上端4aを用紙載置面Mよりも上から用紙載置面M以下、具体的には略面一な上下位置まで昇降させているので、収納位置(s)でのゲージGの用紙への干渉を有効に回避せしめている。
【0043】
ゲージGのスライド動作を安定させるための有効な構成として本実施形態では、受底Uに、ゲージ本体3を下側から支持する底面51と、ゲージ本体3を側面から案内する案内側面52とを具備するゲージ保持部5を設けている構成を適用している。
【0044】
また、ゲージGの正確なスライド動作とゲージ昇降機構Xによる昇降動作とを簡素な構成によって両立させるために本実施形態では、ゲージ本体3を、内方端から外方端に向かって漸次上下厚み寸法が減少するテーパ面34を設けつつ、内方端部の下面のみを摺接凸部36によりゲージ保持部5の底面51に常時摺接させている。これにより、ゲージGの外方端のみを昇降させるという簡素な構成であってもゲージ昇降機構Xの確実な動作を実現している。
【0045】
そして本実施形態では、ゲージ昇降機構Xが、パンチ本体1とゲージ本体3との間に設けられたスライドカム機構によりゲージ本体3を昇降させるようにしており、これにより、ゲージGによる正確な用紙の位置決めと確実な昇降とを両立せしめている。
【0046】
そして、ゲージGの安定した動作を実現するための有効な構成として本実施形態では、スライドカム機構が、ゲージ本体3の側面に突設された下レール33と、この下レール33よりも内方端側に位置させてゲージ本体3の側面に突設された上レール32と、ゲージ保持部5の内側面に突設され前記下レール33の内方端に係わり合って前記ゲージ本体3を降下方向に案内する下案内面55及び上レール32の外方端に係わり合ってゲージ本体3を上昇方向に案内する上案内面54を有した案内突条53とを備えたものとしている。
【0047】
加えて、ゲージGのさらなる構成の簡素化を実現するために本実施形態では、ゲージGを、ゲージ本体3とストッパ4とを一体に形成している。
【0048】
そして本実施形態では、処理機構として穿孔機構2を有したパンチAに適用することによって、パンチAの用紙への正確な穿孔を実現させている。
【0049】
<変形例>
以下、本実施形態に係る変形例について
図14に示して説明する。当該変形例において上記実施形態に係る構成要素に相当するものに対しては同じ符号を付すとともに、その詳細な説明を省略するものとする。
【0050】
上記実施形態ではゲージ昇降機構Xによるゲージ本体3の上昇及び下降の両方をスライドカム機構によって実現したが、本発明のゲージ昇降機構Xは斯かる構成に限られない。すなわち、本変形例に示すように、付勢手段X1によってゲージGの上昇又は下降を案内するものとしても良い。
【0051】
同図に示すゲージ昇降機構Xでは、例えばパンチ本体の内方端側に案内突条53を設けるとともに、この案内突条53よりも外方端側にゲージ本体3を下方から上方へ付勢する付勢手段を構成している。具体的に説明すると、同図上側に示すように収納位置(s)では上下二つ形成された案内突条53の挟持平面55b間にゲージ本体3のレールを挟持させることによってストッパ4の上端4aを図示しない用紙載置面M以下に位置付けている。そしてゲージ本体3をスライド動作させることにより案内突条53とレールとの係り合いを解除すると、付勢手段X1によりゲージ本体3が上方へ付勢され、ガイド位置(g)が実現される。
【0052】
このようなものであっても、上記実施形態同様、ゲージGを所期の位置に確実にセットするための操作が行い易い用紙処理装置たるパンチAの提供が実現される。
【0053】
以上、本発明の実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0054】
例えば、上記実施形態ではゲージ昇降機構がゲージの上下動のみを促している態様を開示したが、勿論、スライド動作によってゲージの回転や前後動を併せて行うことにより、ストッパの状態を用紙載置面よりも上に位置付け得るようにしたものであってもよい。また上記実施形態では用紙処理装置の一例としてパンチを開示したが勿論、本発明は綴じ機やステープラを始めとした用紙処理装置に広く適用可能である。またゲージ本体やストッパの具体的な態様はストッパの有無をも含め、上記実施形態のものに限定されることはなく、既存のものを含め、種々の態様のものを適用することができる。
【0055】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。