(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電流制限部は、電流検出用のセンストランジスタ、前記制御トランジスタ、抵抗およびダイオードを含み、前記センストランジスタと前記制御トランジスタとが、NMOSトランジスタの場合に、
前記センストランジスタのゲートは、前記メイントランジスタのゲートおよび前記制御トランジスタのドレインに接続し、前記センストランジスタのドレインは、前記電源に接続し、前記センストランジスタのソースは、前記制御トランジスタのゲートおよび前記抵抗の一端に接続し、前記制御トランジスタのソースは前記抵抗の他端と、前記ダイオードのアノードと接続し、前記ダイオードのカソードは、前記メイントランジスタのソースと、前記負荷の一端に接続する、ことを特徴とする請求項2記載の半導体装置。
前記過電流が検出された場合に、前記メイントランジスタのゲート電圧を、あらかじめ設定した電圧でクランプし、クランプした設定電圧にもとづいて、前記過電流よりも低い定電流を前記メイントランジスタから出力させる定電流制御部をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
前記定電流制御部は、前記メイントランジスタに流れる前記電流が前記電流制限値以上であり、かつ自己の動作電圧が、前記電流制限駆動電圧よりも高く設定された定常電流生成電圧以上になった場合に前記定電流を前記メイントランジスタから出力させることを特徴とする請求項5記載の半導体装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施の形態を図面を参照して説明する。なお、本明細書および図面において実質的に同一の機能を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する場合がある。
【0017】
(第1の実施の形態)
図1は半導体装置の構成例を示す図である。第1の実施の形態の半導体装置1は、メイントランジスタm0および電流制限部1aを備え、半導体装置1は、メイントランジスタm0を介して、負荷3に接続している。
【0018】
メイントランジスタm0は、負荷3への電力供給を行う。電流制限部1aは、メイントランジスタm0のゲート電圧を制御する制御トランジスタm2を含み、メイントランジスタm0に流れる電流iを制限する電流制限機能を有する。
【0019】
また、電流制限部1aは、負荷3が定常状態で動作するときの動作電流よりも大きな電流(大電流)が流れていることを判別するための電流制限値Ithを有している。
さらに、電流制限部1aは、メイントランジスタm0を流れる電流iが電流制限値Ith以上であり、かつ制御トランジスタm2の動作電圧が電流制限駆動電圧V1以上になった場合に、メイントランジスタm0から過電流が流れていることを検出して、電流制限機能を駆動する。
【0020】
なお、制御トランジスタm2の動作電圧は、電流制限機能を駆動するための電圧である(電流制限部1aの動作電圧ともいえる)。また、電流制限駆動電圧V1は、メイントランジスタm0に流れる電流が電流制限値Ithまで上昇したときの制御トランジスタm2のゲートに生じる所定電圧に、補正電圧を加えた電圧である(後述する)。
【0021】
ここで、
図1に示す波形は、電流制限部1aの動作を説明するためのものであり、縦軸は電流または電圧、横軸は時間である。グラフg1は、制御トランジスタm2の動作電圧を示し、グラフg2は、メイントランジスタm0から負荷3へ流れる電流iを示している。
【0022】
時間帯Taにおいて、メイントランジスタm0を流れる電流iが電流制限値Ith以上であり、かつ動作電圧が電流制限駆動電圧V1以上になっている。このような2つの条件を共に満たす場合には、電流制限部1aは、メイントランジスタm0から過電流が流れていることを検出して、電流制限機能を駆動し、過電流の抑制を図る。逆に、2つの条件を共に満たさない場合には、電流制限機能は非駆動とする(駆動しない)。
【0023】
このように、半導体装置1の電流制限部1aは、メイントランジスタm0から過電流が流れていることを検出すると、過電流を抑制する電流制限機能を駆動する。
また、この電流制限機能は、メイントランジスタm0を流れる電流iが電流制限値Ith以上であり、かつ制御トランジスタm2の動作電圧が電流制限駆動電圧V1以上になるという2つの条件が満たされた場合に駆動される。このような半導体装置1の構成により、負荷3の安定起動および過電流の検出精度の向上を図ることが可能になる。
【0024】
次に本技術の詳細を説明する前に、IPSの一般的な構成・動作と、解決すべき課題について
図2〜
図4を用いて説明する。
(IPSの構成・動作)
まず、電源側に半導体デバイスを配置し、GND側に負荷を配置したハイサイド型のIPSの構成・動作について説明する。
【0025】
図2はIPSの構成例を示す図である。IPS100は、負荷動作回路11、電流制限回路12およびトランジスタM0を備える半導体デバイスであり、出力端子OUTから出力する電流で負荷3を動作させる。負荷3は、例えば、モータ、ソレノイド、リレー等のL負荷(誘導性負荷)である。
【0026】
負荷動作回路11は、制御回路11a、チャージポンプ(昇圧回路)11bおよび保護回路11cを含む。また、電流制限回路12は、トランジスタM1、M2および抵抗R1を含む。
【0027】
トランジスタM0は、パワー半導体素子であって、例えば、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)が使用される。なお、トランジスタM0〜M2には、例えば、NチャネルのMOSFETが使用される。
【0028】
各素子の接続関係について、制御回路11aの入力端は、IPS100の入力端子INに接続し、制御回路11aの出力端は、チャージポンプ11bの入力端に接続する。
チャージポンプ11bの出力端は、トランジスタM0のゲート、トランジスタM1のゲートおよびトランジスタM2のドレインに接続する。トランジスタM0、M1のドレインは、IPS100の電源電圧端子VCCに接続する。
【0029】
トランジスタM1のソースは、トランジスタM2のゲートと、抵抗R1の一端と接続する。トランジスタM2のソースは、抵抗R1の他端、IPS100の出力端子OUTおよびトランジスタM0のソースに接続する。
【0030】
出力端子OUTは、モータ等の負荷3の一端に接続し、電源電圧端子VCCは、バッテリBATの正極端子に接続する。バッテリBATの負極端子は、負荷3の他端と、GNDに接続する。
【0031】
なお、以降の説明では、トランジスタM0をメイントランジスタM0、トランジスタM1をセンス(sense:検出)トランジスタM1とも呼ぶ。さらに、ゲート電圧制御用のトランジスタであるトランジスタM2を制御トランジスタM2、抵抗R1をセンス抵抗R1とも呼ぶ。
【0032】
ここで、制御回路11aは、上位(例えば、ECU(Engine Control Unit))から送信された入力信号Sinを、入力端子INを介して受信すると、入力信号Sinと、回路内部に設定された閾値とのレベル比較を行い、比較結果にもとづいてチャージポンプ11bを制御する。
【0033】
例えば、制御回路11aは、入力信号Sinのレベルが閾値レベルを超える場合は、負荷3を動作させるものと判断し、メイントランジスタM0をオンするためにチャージポンプ11bのチャージ機能をイネーブル(enable)状態にする。
【0034】
また、制御回路11aは、入力信号Sinのレベルが閾値レベルを下回る場合は、負荷3の動作を停止するものと判断し、メイントランジスタM0をオフさせるために、チャージポンプ11bのチャージ機能をディセーブル(disable)状態にする。
【0035】
チャージポンプ11bは、制御回路11aによってチャージ機能がイネーブル化されると、電源電圧VCCよりも高い電圧を持つ電圧信号を生成して出力する。すなわち、メイントランジスタM0を完全なオン状態(フルオン状態)にするために要する電圧を生成して、メイントランジスタM0のゲートに印加する。
【0036】
保護回路11cは、IPS100の各内部回路を保護するための回路であり、例えば、過電圧、過熱などを検出し、検出結果にもとづく保護処理を行う。例えば、保護回路11cが、デバイスの過熱状態を検出したような場合は、チャージポンプ11bの駆動を停止したりする。
【0037】
電流制限回路12は、メイントランジスタM0のソースから負荷3に向かって流れる電流を制限するための制御を行う。例えば、負荷3が短絡した場合などに、過電流が流れないように電流制限を行って、負荷短絡時の保護を行う。
【0038】
メイントランジスタM0は、チャージポンプ11bから出力された電圧がゲートに印加されることで、負荷3を動作させるに要する所定の電流を出力し、出力端子OUTを介して負荷3に流す。
【0039】
なお、メイントランジスタM0のゲートと、センストランジスタM1のゲートは互いに接続している。このため、チャージポンプ11bがイネーブル状態になれば、メイントランジスタM0とセンストランジスタM1には、同じゲート電圧が印加され、双方共にオンすることになる。
【0040】
ただし、メイントランジスタM0に流れる電流と、センストランジスタM1に流れる電流とは、センス比にもとづいて決定されており、互いの電流量は異なっている。
例えば、双方共にオンした場合、センストランジスタM1に流れる電流(I
M1とする)を1とした場合、メイントランジスタM0に流れる電流(I
M0とする)は、10000程度であり、センス比は、I
M1:I
M0=1:10000としている。
【0041】
したがって、出力端子OUTからは、メイントランジスタM0およびセンストランジスタM1両方からの電流が出力するが、上記のように、負荷3を動作させる主電流は、メイントランジスタM0から流れる電流である。
【0042】
次にチャージポンプ11bの昇圧動作について説明する。
図3はチャージポンプの昇圧動作を説明するための図である。チャージポンプ11bは、NチャネルMOSのトランジスタM11、ダイオードD2およびコンデンサC1、C2を含む。
【0043】
各素子の接続関係について、コンデンサC1の一端は、電源電圧VCCと、ダイオードD2のアノードと接続し、コンデンサC1の他端は、トランジスタM11のドレインに接続する。
【0044】
コンデンサC2の一端は、電源電圧VCCと、ダイオードD2のカソードに接続し、コンデンサC2の他端およびトランジスタM11のソースは、GNDに接続する。
ここで、例えば、トランジスタM11のゲートに、HレベルとLレベルとが繰り返すパルス信号が印加されるとする。パルス信号がHレベルのとき、トランジスタM11はオンする。
【0045】
この場合、コンデンサC1に対して、電源電圧VCCから容量が充電される(コンデンサC1の端子電圧がVCCまでチャージされる)。
一方、パルス信号がLレベルになると、トランジスタM11がオフするので、ポイントP1の電位は、トランジスタM11がオンのときの電位よりも上昇する。すると、コンデンサC1に充電されていた電荷が、ダイオードD2を介して、コンデンサC2へ流れることになる。
【0046】
このとき、コンデンサC2では、電源電圧VCCによる充電と、コンデンサC1から流れてきたVCC分の電荷による充電とが行われるので、ポイントP2の電位は、VCCの2倍まで上昇することになる。
【0047】
このような構成によって、チャージポンプ11bは、メイントランジスタM0をフルオンさせるに十分な電圧信号を生成している。なお、VCCのn倍の昇圧を行う場合は、原理的には上記のような回路構成をn段設けることになる。
【0048】
次に電流制限回路12の通常動作モードおよび電流制限動作モードについて、
図2を用いて説明する。通常動作モードは、過電流の発生が無く(負荷3の短絡が無く)、メイントランジスタM0から負荷3に対して、所定の電流を流す正常運用時における動作である。
【0049】
また、電流制限動作モードは、負荷3が短絡して過電流が流れるような状態になったときに、メイントランジスタM0から負荷3に流れる電流を制限する動作である。
最初に通常動作モードについて説明する。上述のように、センストランジスタM1に流れる電流量は、メイントランジスタM0から流れる電流量に比べて非常に小さい。
【0050】
このため、負荷3が正常に動作している場合、センストランジスタM1のソースに接続している電流センスポイントCS(Current Sense)の電位が、制御トランジスタM2の閾値電圧を超えるほど上昇することはない。
【0051】
なお、以降では、電流センスポイントCSを単にポイントCSと呼ぶ。また、ポイントCSの電圧をCS電圧V
CS、制御トランジスタM2の閾値電圧をV
thとする。
ポイントCSは、制御トランジスタM2のゲートに接続しているので、CS電圧V
CSが制御トランジスタM2の閾値電圧V
thを超えない場合、制御トランジスタM2はオフ状態となる。
【0052】
このため、通常動作モードでは、チャージポンプ11bから出力される昇圧された電圧信号がそのままメイントランジスタM0のゲートに印加されるので、メイントランジスタM0から、負荷3を動作させるための所定の電流が流れることになる。
【0053】
次に電流制限動作モードについて説明する。負荷3が短絡したとき、出力端子OUTはGND電位になり、メイントランジスタM0から出力端子OUTを介して過電流が流れる。過電流が流れると、バッテリ電圧の変動や、過電流通電による周辺部品の誤動作および破壊に至るおそれがあるので、過電流の抑制が行われる。
【0054】
メイントランジスタM0から過電流が流れれば、センストランジスタM1に対しても、通常動作モードで流れていた電流より大きな電流が流れることになる。
この場合、センストランジスタM1のソースに接続しているポイントCSのCS電圧V
CSが、通常動作モードのときの電位よりも上昇するが、制御トランジスタM2の閾値電圧V
thを超えるほど上昇すると、制御トランジスタM2は、オン状態になる。
【0055】
制御トランジスタM2のドレインは、チャージポンプ11bの出力端に接続している。したがって、制御トランジスタM2がオンすると、制御トランジスタM2は、チャージポンプ11bの出力端に内部で接続している、チャージポンプ11b内の容量から充電電荷をゲート電流の形で引き抜くことになる。このため、メイントランジスタM0のゲート電圧は低下する。
【0056】
メイントランジスタM0のゲート電圧が低下すれば、メイントランジスタM0から流れる電流が制限されて、過剰に流れていた電流量が減少していく。このような電流制限の動作によって、過電流を抑制している。
【0057】
このように、負荷3が短絡して、メイントランジスタM0に過電流が流れた場合、センス抵抗R1の上段側のポイントCSのCS電圧V
CSが上昇する。電流制限動作モードでは、このときに、制御トランジスタM2をオンさせて、メイントランジスタM0のゲート電圧を制御することで、メイントランジスタM0に流れる電流を制限している。
【0058】
次に電流制限動作モードで駆動するための条件について説明する。IPS100の電流制限回路12が電流制限動作モードになるためには2つの条件がある。
1つ目の条件は、メイントランジスタM0から流れる電流が、あらかじめ設定した過電流制限値を超えることである。過電流制限値は、メイントランジスタM0から流れる電流に対して、過電流とみなせる閾値であって、過電流の最小の値である。
【0059】
なお、メイントランジスタM0からどの程度の電流が流れれば、過電流とみなすかの過電流制限値を決めることで、センス抵抗R1の抵抗値が決まることになる。
ここで、ポイントCSのCS電圧V
CS、センス抵抗R1の抵抗値R
1、センストランジスタM1を流れる電流I
M1の関係は、オームの法則から以下の式(1)となる。
【0060】
V
CS=R
1・I
M1・・・(1)
電流制限動作モードにおいて、CS電圧V
CSが、制御トランジスタM2の閾値電圧V
th以上(V
CS≧V
th)になると、制御トランジスタM2はオンする。
【0061】
この場合、センス抵抗R1の抵抗値R
1が小さいと、上記の式(1)からわかるように、抵抗R1に大きな電流I
M1が流れないと、V
CS≧V
thとはならない。逆に、抵抗R1の抵抗値R
1が大きい場合、式(1)から、抵抗R1に小さな電流I
M1が流れても、V
CS≧V
thとなることがわかる。
【0062】
したがって、このような関係を考慮しながら、センス抵抗R1の抵抗値R
1を決定することになる。すなわち、メイントランジスタM0から過電流制限値の電流が流れたときにセンストランジスタM1に流れる電流I
M1と、センス抵抗R1の抵抗値R
1との乗算値が、制御トランジスタM2の閾値電圧V
th以上の値になるように、センス抵抗R1の抵抗値R
1が決定される。
【0063】
このように、CS電圧V
CSが、制御トランジスタM2の閾値電圧V
th以上発生した場合に、電流制限動作モードとなる。また、CS電圧V
CSが閾値電圧V
th以上になるためには、回路構成上、IPS100の電源電圧端子VCCと、出力端子OUTとの間の電圧(VCC−OUT間電圧)が、閾値電圧V
th以上になることが必要である。
【0064】
例えば、制御トランジスタM2の閾値電圧V
thを1Vとすると、CS電圧V
CSが1V以上発生した場合に電流制限動作モードとなるが、この場合、CS電圧V
CSに1V以上発生させるには、VCC−OUT間電圧が1V以上要することになる。
【0065】
したがって、電流制限回路12が、電流制限動作モードで駆動するための2つ目の条件は、VCC−OUT間電圧が制御トランジスタM2の閾値電圧V
th以上になることである。
【0066】
以上、IPS100の電流制限回路12が、電流制限動作モードになるための条件をまとめると、メイントランジスタM0から流れる電流が過電流制限値を超え、かつVCC−OUT間電圧が制御トランジスタM2の閾値電圧V
th以上となることが条件となる。
【0067】
なお、VCC−OUT間電圧は、メイントランジスタM0のドレインソース間電圧と等しいので、VCC−OUT間電圧をメイントランジスタM0のドレインソース間電圧としてもよい。
【0068】
(解決すべき課題)
次に過電流制限値と突入電流との関係について説明する。
図4は過電流制限値と突入電流を示す図である。縦軸は電流、横軸は時間である。
【0069】
過電流制限値IOC(Incoming Over Current)は、上述のように、過電流発生有無の閾値である。したがって、メイントランジスタM0を流れる電流の値が、過電流制限値IOC以上になった場合は、負荷短絡が生じて過電流が発生している状態とみなす。
【0070】
逆に、メイントランジスタM0を流れる電流の値が、過電流制限値IOC未満の場合は、過電流ではないものと検出される。
ここで、IPS100が動作させる負荷3をモータとする。IPS100から、モータを動作させるための電流を時間T1から流すと、時間T1〜T2の区間において、突入電流(始動電流)が発生し、時間T2以降では、定常状態で電流が流れる。
【0071】
このように、モータのようなL負荷である電気機器では、電流を流し始めた最初の時間帯では(モータ起動時では)、突入電流と呼ばれる電流が流れ、一定時間経過すると定常状態の電流が流れて動作するという特性を有している。
【0072】
一方、過電流制限値IOCは、バッテリ電圧の変動や、過電流通電による周辺部品の誤動作および破壊を防止するために、可能な限り低く設定するのが好ましい。また、過電流制限値IOCを低くすることで、デバイスの許容通電電流を下げることができるため、高い信頼性や、チップサイズの縮小化等のコストダウンが可能になる。
【0073】
しかしながら、モータ起動時には、
図4に示すような突入電流が流れるので、過電流制限値IOCを設定する場合、過電流制限値IOCを突入電流の最大瞬時値よりも高く設定しなければならない。
【0074】
なぜなら、モータのような電気機器は、
図4に示すような突入電流が流れた後に定常状態に移行することで、安定に起動することができるので、突入電流を制限してしまうとモータが安定して起動しないおそれがあるからである。
【0075】
もし、過電流制限値IOCを突入電流の最大瞬時値よりも低く設定してしまうと、突入電流が過電流制限値IOCを超えて、モータ起動時に電流制限動作モードになってしまう。すると、本来流れるべきはずの突入電流が、電流制限回路12によって制限されてしまうので、安定したモータ起動が行えなくなってしまう。
【0076】
したがって、過電流制限値IOCは、突入電流の最大瞬時値よりも高く設定することになるが、逆に、このような設定を行うと、定常状態時の電流値と突入電流の最大瞬時値との間の範囲Hで生じる電流を過電流の発生として検出することができなくなる。すなわち、過電流の検出範囲が狭くなってしまい、過電流の検出精度が低下するという問題がある。
【0077】
本技術はこのような点に鑑みてなされたものであり、負荷の安定起動および過電流の検出精度の向上を図った半導体装置および電流制限方法を提供するものである。
(第2の実施の形態)
次に本技術の半導体装置をIPSに適用した場合について以降詳しく説明する。
図5はIPSの構成例を示す図である。第2の実施の形態のIPS10は、負荷動作回路11、電流制限回路12−1、定電流制御回路13およびメイントランジスタM0を備える。
【0078】
IPS10は、
図2の構成に対して、新たな電流制限回路12−1および定電流制御回路13(定電流制限部)を備えた構成になっている。電流制限回路12−1は、センストランジスタM1、制御トランジスタM2、抵抗R1およびダイオードD1を含む。また、定電流制御回路13は、ラッチ回路13aおよびクランプ回路13bを含む。
【0079】
なお、メイントランジスタM0は、
図1のメイントランジスタm0に対応し、電流制限回路12−1は、
図1の電流制限部1aに対応して、電流制限部1aの制御・機能を実現する。
【0080】
定電流制御回路13は、過電流発生時に、メイントランジスタM0のゲート電圧を、あらかじめ設定した電圧でクランプし、クランプした設定電圧にもとづいて、過電流よりも低い定電流をメイントランジスタM0から安定的に出力させるものである。
【0081】
電流制限回路12−1および定電流制御回路13の回路内の各素子の接続関係を記すと、ラッチ回路13aの端子a1は、電源電圧端子VCC、トランジスタM0のドレインおよびトランジスタM1のドレインに接続する。
【0082】
ラッチ回路13aの端子a2は、抵抗R1の他端、トランジスタM2のソース、クランプ回路の端子b2およびダイオードD1のアノードに接続する。
ラッチ回路13aの端子a3は、クランプ回路13bの端子b3に接続し、ラッチ回路13aのセット端子STは、トランジスタM2のゲート、トランジスタM1のソースおよび抵抗R1の一端と接続する。
【0083】
クランプ回路13bの端子b1は、チャージポンプ11bの出力端、トランジスタM2のドレイン、トランジスタM0、M1のゲートに接続する。ダイオードD1のカソードは、トランジスタM0のソースと、負荷3の一端と接続する。
【0084】
このように、電流制限回路12−1および定電流制御回路13は、電源電圧端子VCCと、出力端子OUTとの間に挿入されて、電源電圧端子VCCと、出力端子OUTとの間の電圧であるVCC−OUT間電圧によって駆動する構成になっている。
【0085】
ここで、ラッチ回路13aのセット端子STには、CS電圧V
CSが入力している。また、ラッチ回路13aのリセット端子RSには、リセット信号が入力される。例えば、IPS10の入力端子INに入力信号Sinが入力したときに、上位からリセット信号が送信されることで、ラッチ状態がリセットされるものである。
【0086】
クランプ回路13bは、負荷短絡時などの過電流発生時において、メイントランジスタM0のゲート電圧をあらかじめ設定した設定電圧にクランプして、ゲート電圧を低下させる。
【0087】
次にラッチ回路13aとクランプ回路13bの回路構成の概略について説明する。
図6はラッチ回路とクランプ回路の構成例を示す図である。なお、ラッチ回路13aについては、セット端子STおよび端子a1〜a3周辺の回路構成を示している。
【0088】
ラッチ回路13aは、PチャネルMOSのトランジスタM5、NチャネルMOSのトランジスタM6およびインバータIC1、IC2を含む。クランプ回路13bは、NチャネルMOSのトランジスタM7とダイオードD3を含む。
【0089】
各素子の接続関係について、ラッチ回路13aのセット端子STは、トランジスタM5のゲートと、トランジスタM6のゲートと接続する。トランジスタM5のソースは、端子a1を介して、IPS10の電源電圧端子VCCに接続し、トランジスタM6のソースは、端子a2を介して、ダイオードD1のアノード等に接続し、IPS10の出力端子OUTに接続する。
【0090】
トランジスタM5のドレインは、トランジスタM6のドレインと、インバータIC1の入力端と接続する。インバータIC1の出力端は、インバータIC2の入力端に接続し、インバータIC2の出力端は、端子a3を介して、クランプ回路13bの端子b3に接続する。
【0091】
クランプ回路13bの端子b3は、トランジスタM7のゲートに接続する。トランジスタM7のドレインは、ダイオードD3のカソードに接続し、ダイオードD3のアノードは、チャージポンプ11bの出力端やメイントランジスタM0のゲート等に接続する。トランジスタM7のソースは、端子b2を介して、ダイオードD1のアノード等に接続し、IPS10の出力端子OUTに接続する。
【0092】
次に電流制限回路12、12−1における制御トランジスタM2の動作電圧について説明する。最初に
図2で示した電流制限回路12内の制御トランジスタM2の動作電圧について説明する。
【0093】
メイントランジスタM0から過電流が流れる場合、制御トランジスタM2をオンさせて、メイントランジスタM0のゲート電圧を低下させる。これは、メイントランジスタM0から流れる電流が過電流制限値まで上昇したときに(過電流制限値に達したときに)、制御トランジスタM2がオンするということである。
【0094】
したがって、メイントランジスタM0から流れる電流が過電流制限値まで上昇したときの制御トランジスタM2のゲートに生じる所定電圧とは、制御トランジスタM2の閾値電圧V
thとしてよく、該所定電圧が閾値電圧V
thに達することで、制御トランジスタM2がオンして、電流制限動作モードが駆動することになる。
【0095】
すなわち、電流制限回路12の制御トランジスタM2の動作電圧は、メイントランジスタM0から流れる電流が過電流制限値まで上昇したときの制御トランジスタM2のゲートに生じる所定電圧に等しい。
【0096】
例えば、制御トランジスタM2の閾値電圧V
thが1Vの場合、過電流発生時にCS電圧V
CSに1V以上発生させて制御トランジスタM2をオンさせるので、メイントランジスタM0から流れる電流が過電流制限値まで上昇したときの制御トランジスタM2のゲートに生じる所定電圧は1Vになる。したがって、制御トランジスタM2の動作電圧は1Vである。
【0097】
次に電流制限回路12−1内の制御トランジスタM2の動作電圧について説明する。
図5の電流制限回路12−1では、制御トランジスタM2のソース側にダイオードD1を追加した構成になっている。
【0098】
このような構成で、電流制限回路12−1が電流制限動作モードになるには、すなわち、過電流発生時に制御トランジスタM2をオンさせるには、上記の所定電圧に対して、さらに、ダイオードD1の順方向電圧(順方向に電流を流したときの電圧降下)を加えた電圧を要することになる。なお、以降では、ダイオードD1の順方向電圧(以下、順方向電圧Vf)を補正電圧とし、所定電圧に補正電圧を加えた電圧を電流制限駆動電圧とする。
【0099】
電流制限駆動電圧(制御トランジスタM2をオンさせるための動作電圧)は、制御トランジスタM2の閾値電圧V
thと、ダイオードD1の順方向電圧Vfとの和である。ダイオードD1が通電することで、制御トランジスタM2がオンするが、過電流発生時に、制御トランジスタM2をオンさせるには、制御トランジスタM2の閾値電圧V
thと、ダイオードD1の順方向電圧Vfとの和が、ポイントCSに生じないと、ダイオードD1が通電しない。
【0100】
すなわち、メイントランジスタM0を流れる電流が過電流制限値まで上昇したときの制御トランジスタM2のゲートに生じる所定電圧に、補正電圧を加えた電流制限駆動電圧以上になった場合に、制御トランジスタM2をオンさせるに要する動作電圧となる。
【0101】
例えば、制御トランジスタM2の閾値電圧V
thが1Vであり、ダイオードD1の順方向電圧Vfを0.6Vとすると、電流制限回路12−1の制御トランジスタM2のゲート電圧は、1.6V以上にならないと、オンしないことになる。なお、補正電圧に関しては、ダイオードを複数段シリーズに接続して、任意の値に変更することが可能である。
【0102】
なお、上記では、ダイオードを追加して、ダイオードの順方向電圧分大きくした電圧を電流制限回路12−1の動作電圧としたが、ダイオードを追加せず、その代わりにサイズの大きなメイントランジスタM0を使用することで、メイントランジスタM0のドレインソース間電圧を下げる方向で対応することも可能である。
【0103】
次に定電流制御回路13の動作電圧について説明する。ラッチ回路13aは、
図6に示すように、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)構成であるので、PMOSトランジスタM5と、NMOSトランジスタM6それぞれの閾値電圧を1.5Vとすると、動作電圧は合計3Vとなる。
【0104】
また、上記のダイオードD1の順方向電圧Vfも合わせれば、3.6Vとなる。すなわち、ラッチ回路13aの動作電圧は3.6V以上となる。クランプ回路13bもラッチ回路13aと同じ電圧で動作する。したがって、定電流制御回路13が駆動する電圧(以下、定電流生成電圧とも呼ぶ)は、3.6V以上要することになる。
【0105】
ここで、電流制限回路12−1と定電流制御回路13とが駆動するための条件についてまとめて説明する。まず、電流制限回路12−1が電流制限機能を駆動するための条件の1つ目は、メイントランジスタM0を流れる電流が電流制限値以上になることである。電流制限値とは、負荷3が定常状態で動作するときの動作電流よりも大電流が流れていることを判別するための閾値である。
【0106】
さらに2つ目の条件は、制御トランジスタM2をオンさせるときの動作電圧が、メイントランジスタM0を流れる電流が電流制限値まで上昇したときの制御トランジスタM2のゲートに生じる所定電圧に、補正電圧を加えた電流制限駆動電圧以上になることである。これら2つの条件が満たされた場合に、電流制限回路12−1は、メイントランジスタM0から過電流が流れていることを検出して電流制限機能を駆動する。
【0107】
一方、定電流制御回路13が駆動するための条件の1つ目は、メイントランジスタM0に流れる電流が電流制限値以上になることである。さらに2つ目の条件は、定電流制御回路13の動作電圧が、電流制限駆動電圧よりも高く設定した定常電流生成電圧以上になることである。
【0108】
これら2つの条件が満たされた場合に、定電流制御回路13は、メイントランジスタM0のゲート電圧を、設定電圧でクランプし、クランプした設定電圧にもとづいて、過電流よりも低い定電流をメイントランジスタM0から出力させる。
【0109】
次にIPS10の動作について、負荷短絡が生じていないモータ起動時の動作と、負荷短絡時の動作とに分けてさらに詳しく説明する。
図7は負荷短絡が生じていないモータ起動時の動作波形を示す図である。縦軸は電流または電圧、横軸は時間tである。グラフk1は、メイントランジスタM0のドレインソース間電圧VDSの遷移である。グラフk2は、メイントランジスタM0を流れる電流の遷移である。
【0110】
なお、電流制限回路12−1内の制御トランジスタM2がオンして、電流制限回路12−1が電流制限動作モードとなるための動作電圧は、上述したように、所定電圧(制御トランジスタM2の閾値電圧V
th)+補正電圧(ダイオードD1の順方向電圧Vf)である。また、この動作電圧は、IPS10の回路構成上、VCC−OUT間電圧に等しく、また、ドレインソース間電圧VDSに等しい。以降では、ドレインソース間電圧VDSとして説明する。
【0111】
〔t0≦t<t1〕モータは動作していない状態であり、メイントランジスタM0はオフである。したがって、メイントランジスタM0のドレインソース間電圧VDSには、電源電圧VCCが直接かかっており、VDS=VCCである。また、メイントランジスタM0から流れる電流もゼロである。
【0112】
〔t=t1〕IPS10の入力端子INを介して入力信号Sinが入力され、モータの起動が開始する。なお、モータは、L負荷なので、誘導起電力Vは、V=L・(di/dt)と表せる(L:インダクタンス、di/dt:時間に対する電流の変化量)。
【0113】
〔t1<t≦t2〕モータに電流が流れると、メイントランジスタM0のオン抵抗が小さくなり、ドレインソース間電圧VDSは、モータの誘導起電力Vとして使用される。したがって、ドレインソース間電圧VDSが急激に減少し始める。また、メイントランジスタM0から突入電流が流れ始めて電流値が上昇していく。
【0114】
〔t2<t<t3〕ドレインソース間電圧VDS(第1ドレインソース間電圧に該当)は、制御トランジスタM2のおよそ閾値電圧V
thまで降下する。また、突入電流の上昇が続く。
【0115】
〔t3≦t≦t4〕ドレインソース間電圧VDSは、閾値電圧V
thの値を維持する。また、電流制限値IOC1(
図1の電流制限値Ithに対応する)は、突入電流の最大瞬時値Imよりも低く設定されており、突入電流の最大瞬時値Imは、電流制限値IOC1を超えている。また、ドレインソース間電圧VDSは、閾値電圧V
thと略等しい。
【0116】
このような状態において、
図2のIPS100の場合を考えると、電流制限動作モードになるための条件が満たされてしまうので、メイントランジスタM0に対して電流制限がかかり、突入電流が制限されることになる。
【0117】
これに対し、
図5に示した本技術のIPS10の場合では、過電流は、電流制限値IOC1以上になっていても、ドレインソース間電圧VDSは、電流制限駆動電圧V1未満であり、さらに定常電流生成電圧V2未満になっている(VDS<V1、VDS<V2)。これにより、電流制限回路12−1が電流制限動作モードになるための条件は満たしておらず、定電流制御回路13が駆動する条件も満たしていない。
【0118】
すなわち、VDS<V1なので、電流制限回路12−1は、電流制限動作モードに移行せず、また、VDS<V2なので、定電流制御回路13も駆動しない。したがって、メイントランジスタM0を流れる電流の値が電流制限値IOC1以上になっても、このときの突入電流に制限がかかることはない。
【0119】
〔t4<t≦t5〕ドレインソース間電圧VDSは、閾値電圧V
thの値を維持する。また、突入電流は減少している。
〔t5<t〕ドレインソース間電圧VDSは、閾値電圧V
thの値を維持する。突入電流が流れる状態が終わって定常状態に移行し、メイントランジスタM0からは所定の電流が流れる。
【0120】
このように、負荷短絡が生じていないモータ起動時の動作においては、ドレインソース間電圧VDSは、モータの誘導起電力に使用されるため、IPS10の電源電圧端子VCCと、出力端子OUTとの間に電圧は、ほとんどかからない状態となる(モータのL成分に電圧がかかるためである)。
【0121】
したがって、突入電流が電流制限値IOC1以上になっても、電流制限回路12−1および定電流制御回路13には、電流制限駆動電圧V1および定電流生成電圧V2をそれぞれ超えるほどの電圧がかからないので、電流制限動作モードに移行することはなく、定電流生成制御も駆動しない。このため、突入電流に電流制限がかかることはないので、電流制限値IOC1を超えるモータの突入電流を通電させることが可能になる。
【0122】
図8は負荷短絡時の動作波形を示す図である。縦軸は電流または電圧、横軸は時間tである。グラフk11は、メイントランジスタM0のドレインソース間電圧VDS(第2ドレインソース間電圧に該当)の遷移である。グラフk12は、メイントランジスタM0を流れる電流の遷移である。
【0123】
〔t0≦t<t11〕モータは動作していない状態であり、メイントランジスタM0はオフである。したがって、メイントランジスタM0のドレインソース間電圧VDSには、電源電圧VCCが直接かかっており、VDS=VCCである。また、メイントランジスタM0から流れる電流もゼロである。
【0124】
〔t=t11〕負荷短絡が生じ、負荷短絡の状態のときに、IPS10の入力端子INを介して入力信号Sinが入力されたとする。負荷短絡しているので、出力端子OUTがGND電位となるから、ドレインソース間電圧VDSには、電源電圧VCCがかかることになる。
【0125】
〔t11<t<t12〕負荷短絡しており、ドレインソース間電圧VDSは、電源電圧VCCに略等しい。また、メイントランジスタM0から過電流が流れ、電流値が上昇していく。
【0126】
〔t=t12〕負荷短絡状態であり、ドレインソース間電圧VDSは、電源電圧VCCの値を略維持する。また、過電流は、電流制限値IOC1に達する。
このとき、ドレインソース間電圧VDSは、電流制限駆動電圧V1以上で、さらに定電流生成電圧V2以上であり(VDS≧V1、VDS≧V2)、かつ過電流は、電流制限値IOC1以上となっている。
【0127】
VDS≧V1なので、電流制限回路12−1は、電流制限動作モードに移行する。また、VDS≧V2なので、定電流制御回路13が駆動する。
〔t12<t≦t13〕負荷短絡状態であり、ドレインソース間電圧VDSは、電源電圧VCCの値を略維持する。電流制限回路12−1は、電流制限動作モードになって、制御トランジスタM2がオンし、メイントランジスタM0のゲート電圧を低下させるので、メイントランジスタM0を流れる電流が減少していく。
【0128】
〔t13<t≦t14〕負荷短絡状態であり、ドレインソース間電圧VDSは、電源電圧VCCの値を略維持する。定電流制御回路13は、メイントランジスタM0から流れる電流値が、あらかじめ設定した定電流Icになるまで、メイントランジスタM0のゲート電圧を大幅に低下させる。なお、定電流制御回路13は、時間t12でアクティブになってから一定時間遅延後に動作している。
【0129】
〔t14<t〕負荷短絡状態であり、ドレインソース間電圧VDSは、電源電圧VCCの値を略維持する。定電流制御回路13の制御によって、メイントランジスタM0からは定電流Icが流れる。
【0130】
このように、負荷短絡時の動作において、負荷3が短絡して過電流が流れ、過電流が電流制限値IOC1以上で、かつドレインソース間電圧VDSが電流制限駆動電圧V1以上になると、メイントランジスタM0のゲート電圧を低くする。これにより、メイントランジスタM0のオン抵抗が増大することで、メイントランジスタM0を流れる電流が制限される。
【0131】
また、これと同時に、ドレインソース間電圧VDSは、定電流生成電圧V2以上になると、定電流制御回路13内のラッチ回路13aおよびクランプ回路13bが駆動する。
これにより、メイントランジスタM0のゲート電圧を設定電圧に急激にクランプするので、メイントランジスタM0から設定電圧にもとづく定電流を出力させることができ、所望の値まで安定的に低くした電流に制限することができる。
【0132】
以上説明したように、電流制限回路12−1および定電流制御回路13は、突入電流が発生する状態のときのVCC−OUT間電圧では動作しないように、動作電圧を高く設定している。
【0133】
これにより、過電流が電流制限値以上になっても突入電流には制限はかからないので、負荷を安定起動させることが可能になる。また、電流制限値を突入電流の最大瞬時値よりも低く設定することができるので、過電流の検出幅も増加させることができ、過電流の検出精度の向上を図ることが可能になる。
【0134】
以上説明したように、本技術によれば、電流制限値を突入電流の最大瞬時値よりも低く設定できるので、負荷短絡時にバッテリ電圧の変動や過電流通電による周辺部品の誤動作や破壊を防止することが可能になる。
【0135】
また、電流制限値を低く設定することによって、負荷短絡時においても、高い信頼性を確保でき、パワー半導体素子の定格通電電流を下げることが可能である。さらに、パワー半導体素子等のチップサイズの低減化も可能になり、コストダウンに貢献することができる。さらにまた、負荷起動時の突入電流には影響しないため、安定した負荷の起動が可能になる。
【0136】
以上、実施の形態を例示したが、実施の形態で示した各部の構成は同様の機能を有する他のものに置換することができる。また、他の任意の構成物や工程が付加されてもよい。