(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、一実施形態に係る携帯型電子機器について説明する。以下に示す実施形態の構成は例示であり、本携帯型電子機器は実施形態の構成に限定されない。
【0009】
<第1実施形態>
図1は、複数の電力供給源に接続されたスマートフォン1の一例を示す図である。
図1では、スマートフォン1およびスマートフォン2が例示されている。スマートフォン1は、ACアダプタ13によって家庭用電源に接続されている。また、スマートフォン1は、Universal Serial Bus(USB)ケーブル3によってスマートフォン2と接続されている。スマートフォン1は、家庭用電源およびスマートフォン2から給電される。
【0010】
スマートフォン1およびスマートフォン2は、携帯型電子機器である。スマートフォン1は、電源端子11、USB端子12を備える。スマートフォン2は、電源端子21、USB端子22を備える。スマートフォン1は、「携帯型電子機器」の一例である。
【0011】
ACアダプタ13は、スマートフォン1に付属するACアダプタである。ACアダプタ13は、電源プラグ13aおよびコネクタ13bを有する。電源プラグ13aは、家庭用電源に接続される。コネクタ13bは、スマートフォン1の電源端子11に接続される。ACアダプタ13によって、スマートフォン1は家庭用電源から給電されることが可能となる。
【0012】
USB端子12、22は、USB規格に則った端子である。USB端子12、22は、接続された相手の機器との情報の送受信および電力の授受を行う端子を有する。USBケーブル3は、USB端子12、22を相互に接続するケーブルである。USBケーブル3は、その両端にコネクタ3aを有する。
図1では、コネクタ3aの一方がスマートフォン1のUSB端子12、他方がスマートフォン2のUSB端子22に接続されている。スマートフォン2は、USBケーブル3によってUSB端子22に接続されたスマートフォン1に対して電力を供給できる。また、スマートフォン1およびスマートフォン2は、USBケーブル3によって情報の送受信が可能である。
【0013】
ACアダプタ13またはスマートフォン2によってスマートフォン1に供給される電流は、スマートフォン1を稼働させるための稼働電流およびスマートフォン1に内蔵されている二次電池の充電に用いる充電電流として用いられる。稼働電流は、スマートフォン1の動作負荷に応じて増減する。つまり、スマートフォン1の動作負荷が高くなると、稼働電流は増大する。また、スマートフォン1の動作負荷が低くなると、稼働電流は小さくなる。
【0014】
また、図示を省略しているが、スマートフォン1およびスマートフォン2は、無線による通信手段を有する。無線による通信手段とは、例えば、無線LAN、携帯電話の電話回線、Bluetooth(登録商標)、Infrared Data Association(IrDA)等である。すなわち、スマートフォン1およびスマートフォン2は、無線による通信手段によっても情報の送受信が可能である。
【0015】
図2は、比較例の充電制御回路200の一例である。充電制御回路200は、例えば、スマートフォン1に内蔵されている二次電池を充電する回路である。充電制御回路200は、スイッチ201、CHARGER-IC202、BATTERY203を有する。
図2において、DC INは、ACアダプタ13からの入力、VbusはUSB端子12からの入力を示している。ACアダプタ13またはUSB端子12から供給される電流は、CHARGER-IC202を経由してBATTERY203に供給される。充電制御回路200では、ACアダプタ13およびUSB
端子12から供給される電力をスイッチ201で排他的に切り替える。また、スイッチ201は、ACアダプタ13から供給される電力を優先する。そのため、充電制御回路200では、ACアダプタ13およびUSB端子12の双方から電源の供給が可能な状態であっても、スマートフォン1はUSB端子12から供給される電力を用いることができない。
【0016】
そのため、スマートフォン1の動作負荷が高くなり、稼働電流と充電電流の和がACアダプタ13の定格電流を超えるようになると、充電制御回路200のCHARGER-IC202は充電電流を減少させることで、ACアダプタ13の定格電流の範囲内での稼働電流の確保を行う。その結果、スマートフォン1の充電時間が長時間化する虞がある。
【0017】
そこで、第1実施形態では、稼働電流と充電電流の和がACアダプタ13の定格電流を超えた場合でも、複数の電力供給源からの給電を活用することで、充電電流の減少を抑制する充電制御回路を提案する。
図3は、第1実施形態の電力供給の概略の一例を示す図である。スマートフォン1は、ACアダプタ13によって家庭用電源に接続されている。また、スマートフォン1は、USBケーブル3によってスマートフォン2と接続されている。スマートフォン1は、家庭用電源およびスマートフォン2から電力の供給を受ける。
【0018】
スマートフォン1は、ACアダプタ13から電流Iaの供給を受ける。また、スマートフォン1は、スマートフォン2からUSB端子12を介して電流Iuの供給を受ける。スマートフォン1では、供給された電流Iaおよび電流Iuの電流を加算して、稼働電流および充電電流として利用する。
【0019】
スマートフォン1は、例えば、USB端子12を介してスマートフォン2と通信することで、スマートフォン2から供給される電流の大きさを制御してもよい。このような処理により、スマートフォン1は、例えば、スマートフォン2の二次電池の充電容量に応じてスマートフォン2から供給される電流の大きさを制御可能となる。USB端子12は、「通信部」の一例である。
【0020】
図4は、第1実施形態に係る充電制御回路100の一例である。充電制御回路100は、スイッチ101、CHARGER-IC102、BATTERY203およびパルス発生部104を有す
る。スイッチ101は、パルス発生部104から供給されるパルスによって切り替えられる。すなわち、充電制御回路100では、スイッチ101は、スマートフォン1にACアダプタ13が接続され、DC INから電流Iaが供給され得る場合でも、Vbusから供給され
る電流Iuも使用するようにパルス発生部104によって制御される。すなわち、充電制御回路100は、パルス発生部104によってDC INおよびVbusを排他的に切り替えるこ
とで、双方から供給される電流を使用する。なお、
図4において
図2と同様の構成要素については、同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0021】
図5Aおよび
図5Bは、第1実施形態に係る電力供給の概略を示す図である。
図5Aでは、第1実施形態に係る充電制御回路100の一例が記載されている。
図5Aでは、スイッチ101、ACアダプタ13から供給される電流Ia、スマートフォン2からUSB端子12経由で供給される電流Iu、稼働電流Ip、充電電流Ib、稼働電流Ipと充電電流Ibとの和である電流Io、パルス発生部104およびBATTERY203が例示されてい
る。電流Iaおよび電流Iuは、スイッチ101によって排他的に切り替えられる。すなわち、電流Iaが充電制御回路100に供給されている間は、電流Iuは充電制御回路100に供給されない。また、電流Iuが充電制御回路100に供給されている間は、電流Iaは充電制御回路100に供給されない。なお、電流IoがACアダプタ13の定格電流の範囲内の場合、スイッチ101は電流Iaの供給を有効にしている。
【0022】
パルス発生部104は、電流IoとACアダプタ13の定格電流との関係に応じてスイッチ101を切り替えるパルスを発生させる。電流Ioの電流の大きさがACアダプタ13の定格電流を超えると、パルス発生部104は、スイッチ101に対して電流の供給を電流Iaから電流Iuに切り替えるパルスを発生する。このような処理により、ACアダプタ13の定格電流を守りつつ、電流Iuによって電流Ioを確保する事が可能となる。「電流Ioの電流の大きさがACアダプタ13の定格電流を超え」ることは、「所定の条件」の一例である。
【0023】
図5Bは、スマートフォン2から供給される電流Iu、ACアダプタ13から供給される電流Iaおよび電流Iuと電流Iaの和である電流Ioのタイムチャートの一例である。
図5Bでは、横軸が時間を示している。
図5Bは、縦に3段構成となっており、各段の縦軸は電流を示している。
図5Bの最上段のタイムチャートは、Iuの供給期間の一例である。中央の段のタイムチャートは、電流Iaの供給期間の一例である。最下段のタイムチャートは、電流Ioの供給期間の一例である。3つのタイムチャートを比較すると、電流Iaの非供給期間に電流Iuが供給され、電流Ioとしては均一な電流が供給されていることがわかる。
【0024】
タイムチャートに記載のTは、電流Iaおよび電流Iuの切り替えの周期である。タイムチャートに記載のtは、Tの内の電流Iuの供給期間である。電流Iuの供給期間tを電流Iu、電流Io、周期Tを用いて表すと、「t=電流Iu/電流Io×周期T」となる。すなわち、tを増加させることで、電流Iuからの供給量が増加する。その結果、電流Iaを供給するACアダプタ13の負荷が軽減される。また、tを調整することで、電流Iuを供給するスマートフォン2の負荷を調整することが可能となる。すなわち、Iaは(T−t)/Tのデューティで繰り返されるパルス電流となる。
【0025】
図6は、第1実施形態に係るパルス発生部104の一例を示す図である。パルス発生部104は、電力の供給元をACアダプタ13とスマートフォン2との間で切り替えるパルスを発生させる。パルス発生部104は、電流Ioの大きさがACアダプタ13の定格電流を超えるとスマートフォン2からの電力供給を有効にするパルスを発生させる。また、パルスの幅、すなわちスマートフォン2から供給される電流を有効にする期間の長さは、電流Ioが大きいほど長くなる。パルス発生部104は、電流Ioの大きさがACアダプタ13の定格電流の範囲内である場合、スマートフォン2からの電力供給を有効にするパルスを発生させない。パルス発生部104から供給されるパルスによって、充電制御回路100のスイッチ101は、電力の供給元をACアダプタ13とスマートフォン2との間で切り替える。
【0026】
パルス発生部104には、ACアダプタ13からのDC INおよびスマートフォン2から
のVbusから電流が供給される。パルス発生部104は、センス抵抗104a、電流検出アンプ111、入力抵抗112、負帰還抵抗113、C(1)からC(8)までのコンパレータ114、RC(1)からRC(8)およびR(X)の抵抗115を有する。パルス発生部は、さらに、発振器116、カウンタ117、デコーダ118、フリップフロップ119、複数のAND回路120、OR回路121およびインバータ122を有する。また、
図6において、センス抵抗104aが通る回路と抵抗115が通る回路の交点を抵抗115による電圧降下の基準点B1とする。
【0027】
センス抵抗104aは、電流Ioを検出する抵抗器である。電流検出アンプ111は、電流Ioを検出に用いられる増幅回路である。入力抵抗112および負帰還抵抗113によって、電流検出アンプ111のゲインは、(入力抵抗111の抵抗値)/(負帰還抵抗113の抵抗値)となっている。パルス発生部104では、このゲインを調整することで、電流検出アンプ111の出力がACアダプタ13の定格電流の大きさに調整されている。
【0028】
抵抗115は、電流検出アンプ111の出力と比較される比較電圧を生成する抵抗である。抵抗115は、直列に接続された複数の抵抗RC(1)からRC(8)およびRC(X)を有する。抵抗115それぞれの抵抗値は、ACアダプタ13の定格電流に応じて適宜定めればよい。また、第1実施形態では周期Tを8分割するため、抵抗115の数は9個となっている。
【0029】
コンパレータ114は、電流検出アンプ111から出力されるセンス抵抗104aの両端で検出される電圧と基準点B1の電位を起点として抵抗115によって電圧降下した比較電圧とを比較する。比較の結果、抵抗115を経由した比較電圧の大きさが電流検出アンプ111から出力される電圧の大きさ以上の場合、コンパレータ114の出力は1になる。また、比較の結果、抵抗115を経由した比較電圧の大きさが電流検出アンプ111から出力される電流の大きさより小さい場合、コンパレータ114の出力は0になる。すなわち、コンパレータ114の出力は、比較電流の大きさがACアダプタ13の定格電流以上の場合に1となる。すなわち、電流Ioの大きさが、ACアダプタ13の定格電流の範囲内である場合、全てのコンパレータ114は、0を出力する。電流Ioの大きさが、ACアダプタ13の定格電流より少し大きくなると、C(1)のコンパレータ114の出力が1になる。以降、電流Ioの大きさが大きくなるにしたがって、コンパレータ114の出力はC(2)からC(8)の順に1になる。コンパレータ114の出力は、後述するデコーダ118の出力における7の順序パルスごとにフリップフロップ119に取り込まれる。センス抵抗104a、電流検出アンプ111、入力抵抗112、負帰還抵抗113、抵抗115およびコンパレータ114は、「監視部」の一例である。
【0030】
発振器116は、周期的な電気信号であるクロック信号を出力する。発振器116が出力するクロック信号の周波数は、電流Iaおよび電流Iuの切り替えの周期Tと周期Tを分割する数に応じて適宜定めればよい。
【0031】
カウンタ117は、発振器116から供給されるクロック信号に応じて0から7までの信号を2進数で出力する。なお、カウンタ117が出力する信号の基数は、電流Iaおよび電流Iuの切り替えの周期Tを分割する数に応じて適宜定めればよい。第1実施形態では周期Tを8分割するため、カウンタ117の出力は0から7となっている。なお、カウンタ117の下に記載されているC0からC2は、2進数の桁数を示している。すなわち、C0は2進数の1桁目を示し、C1は2進数の2桁目を示し、C2は2進数の3桁目を示している。
【0032】
デコーダ118は、0番から7番の端子118aを有する。デコーダ118は、カウンタ117から供給される2進数の信号に基づいて、0番から7番の端子118aから1を出力する。この出力は、順序パルス(Walking 1 Pulse)とも称される。デコーダ118
は、例えば、カウンタ117から0の信号が供給されると、端子118aのうち0番の端子から1をパルスとして出力する。出力されたパルスは、端子118aの0番の端子に接続されているAND回路120に出力される。
【0033】
フリップフロップ119は、コンパレータ114それぞれの出力を記憶する。フリップ
フロップ119は、記憶したコンパレータ114の出力をAND回路120に出力する。
【0034】
AND回路120は、フリップフロップ119に記憶されたコンパレータ114の出力およびデコーダ118からの出力の論理積を演算する。AND回路120は、デコーダ118の端子118a毎に用意される。その結果、コンパレータ114の出力は、0から7の順序パルスによって順番に有効にされる。AND回路120は、演算結果をOR回路121に出力する。
【0035】
OR回路121は、複数のAND回路120からの出力の論理和を演算する。OR回路121によって論理和を演算することで、AND回路120からの出力は順序パルス0を起点とし順序パルス7に向けて電流Ioの大きさに応じた幅を持つパルスとなる。OR回路121による演算結果は、Vbusからの電流供給をオンにする信号として用いられる。また、OR回路121は、演算結果をインバータ122にも出力する。
【0036】
インバータ122は、OR回路121からの出力を反転する。すなわち、OR回路121が1を出力した場合、インバータ122は0を出力する。また、OR回路121が0を出力した場合、インバータ122は1を出力する。インバータ122の出力はACアダプタ13からの電流供給をオンにする信号として用いられる。インバータ122によってOR回路121からの信号が反転されることで、VbusとDC INとが排他的に切り替えられる
。デコーダ118、AND回路120、OR回路121およびインバータ122は、「制御部」の一例である。
【0037】
図7は、第1実施形態に係る電流供給のタイムチャートの一例を示す図である。
図7の各段の縦軸は電流を示している。
図7では、ACアダプタ13の定格電流を1Aと仮定している。また、スマートフォン2が接続されているUSB端子12の定格電流を0.6Aと仮定している。
図7のタイムチャートでは、横軸が時間を表している。
図7の横軸では、周期Tが示され、また、周期Tを8分割した期間それぞれに0から7の番号が割り当てられている。また、
図7のタイムチャートでは、DC INおよびVbusのペアが一つの段を形
成している。また、
図7の各段の縦軸は、電流を示している。DC INおよびVbusそれぞれ
の実線は電流の測定値、点線は電流の平均値を示している。(0)から(3)の数字は、説明の便宜上各段に付した番号を示している。(0)段のタイムチャートでは、電流はACアダプタ13から供給されており、スマートフォン2からは供給されていない。すなわち、(0)段のタイムチャートは、電流IoがACアダプタ13の定格電流の範囲に収まっている状態を例示している。(1)段から(3)段のタイムチャートでは、電流IoがACアダプタ13の定格電流の範囲に収まっていない状態が例示されている。(1)段から(3)段に向かって、次第に電流Ioが大きくなり、そのため、電流Iuが供給される期間が増加している。
【0038】
図7の(0)段では、上述の通り、電流IoがACアダプタ13の定格電流の範囲に収まっている状態が例示されている。すなわち、全てのコンパレータ114の出力は0となっている。この状態では、ACアダプタ13から1Aの電流が供給されている。また、USB端子12を経由して供給される電流Iuは0Aとなっている。
【0039】
図7の(1)段では、電流Ioが1.14Aとなっている。すなわち、
図7では、電流IoがACアダプタ13の定格電流の1Aを超えた状態が例示されている。この状態では、例えば、C(0)のコンパレータ114の出力が1となる。その結果、周期Tを分割した期間のうち、0番目の期間において1.14Aの電流Iuが供給される。また、電流Ioを賄うため、一時的には電流IaはACアダプタ13の定格電流1Aを超える1.14Aとなっている。しかしながら、電流Iaを周期T全体で平均すると1Aとなり、ACアダプタ13の定格電流の範囲内に収まっている。また、電流Iuも、一時的にUSB端子
12の定格電流0.6Aを超える1.14Aとなっている。しかしながら、電流Iuを周期T全体で平均すると0.142Aとなり、USB端子12の定格電流の範囲内に収まっている。
【0040】
図7の(2)段では、電流Ioが1.33Aとなっており、(1)段と同様、電流IoがACアダプタ13の定格電流の1Aを超えた状態が例示されている。(2)段では、電流Ioがさらに増大しているため、C(0)およびC(1)のコンパレータ114の出力が1となる。その結果、周期Tを分割した期間のうち、0番目から1番目の期間において1.33Aの電流Iuが供給される。また、電流Ioを賄うため、一時的には電流IaはACアダプタ13の定格電流1Aを超える1.33Aとなっている。しかしながら、電流Iaを周期T全体で平均すると1Aとなり、ACアダプタ13の定格電流の範囲内に収まっている。また、電流Iuも、一時的にUSB端子12の定格電流0.6Aを超える1.33Aとなっている。しかしながら、電流Iuを周期T全体で平均すると0.333Aとなり、USB端子12の定格電流の範囲内に収まっている。
【0041】
図7の(3)段では、電流Ioが1.6Aとなっており、(1)段および(2)段と同様、電流IoがACアダプタ13の定格電流の1Aを超えた状態が例示されている。(3)段では、電流Ioがさらに増大しているため、C(0)、C(1)およびC(2)のコンパレータ114の出力が1となる。その結果、周期Tを分割した期間のうち、0番目から2番目の期間において1.6Aの電流Iuが供給される。また、電流Ioを賄うため、一時的には電流IaはACアダプタ13の定格電流1Aを超える1.6Aとなっている。しかしながら、電流Iaを周期T全体で平均すると1Aとなり、ACアダプタ13の定格電流の範囲内に収まっている。また、電流Iuも、一時的にはUSB端子12の定格電流0.6Aを超える1.6Aとなっている。しかしながら、電流Iuを周期T全体で平均すると0.6Aとなり、USB端子12の定格電流の範囲内に収まっている。
【0042】
上記の説明の通り、
図7のタイムチャートを参照すると、ACアダプタ13およびUSB端子12の定格電流を守りながらスマートフォン1が要する電流Ioを確保できていることがわかる。
【0043】
第1実施形態では、電流IoがACアダプタ13の定格電流を超えると、電流の供給をACアダプタ13からUSB端子12に切り替えた。その結果、ACアダプタ13の定格電流を守りつつ、USB端子12からの電流Iuによって電流Ioを確保できる。また、第1実施形態の充電制御回路100は、USB端子12から電流Iuの供給を受けることで、充電電流Ibの減少を抑制できる。
【0044】
第1実施形態では、充電制御回路100は、ACアダプタ13およびスマートフォン2から供給される電流を合算して利用した。その結果、ACアダプタ13をより小さい定格電流としてもスマートフォン1の稼働電流を賄う事が可能となる。その結果、ACアダプタ13を小型化する事が可能となる。
【0045】
以上で開示した実施形態は各種変形する事ができる。第1実施形態では、スマートフォン1が「携帯型電子機器」の一例として用いられた。しかしながら、「携帯型電子機器」はスマートフォン1に限定されない。「携帯型電子機器」は、二次電池を備え、複数の電源から電流の供給を受け得る携帯型電子機器であれば様々な物を採用可能である。「携帯型電子機器」は、例えば、携帯電話、ノートパソコン、タブレット端末、電子書籍リーダーまたはウェアラブルコンピュータ等である。
【0046】
第1実施形態では、スマートフォン1は、ACアダプタ13およびスマートフォン2から電流の供給を受けた。しかしながら、スマートフォン1に電流を供給する手段は、AC
アダプタ13およびスマートフォン2の組み合わせに限定されない。スマートフォン1は、例えば、複数のUSB接続可能な機器から電流を供給されてもよい。
【0047】
第1実施形態では、周期Tを8分割したが、周期Tを分割する数に特に限定は無い。周期Tを分割する数は製品の特長等に応じて適宜定めればよい。周期Tを分割する数を変更する場合、その数に応じて抵抗115およびコンパレータ114の数量等を変更すれば対応可能である。
【0048】
第1実施形態では、パルス発生部104を複数の論理回路、増幅回路を組み合わせて実現した。しかしながら、パルス発生部104を実現する形態に限定は無い。たとえば、パルス発生部104は、Digital Signal Processor(DSP)によって実現する事も可能である。
【0049】
<第2実施形態>
第1実施形態では、スマートフォン1はACアダプタ13およびスマートフォン2からの給電を受けた。第2実施形態では、スマートフォン1はUSBケーブル3によって接続されたスマートフォン2と通信することで、スマートフォン2から供給される電流の大きさを制御する。
【0050】
図8は、第2実施形態に係る通信制御部150の一例を示す図である。通信制御部150は、プロセッサ151、レジスタ部151a、メモリ151b、および通信部153を有する。プロセッサ151、レジスタ部151a、メモリ151bおよび通信部153は、バス154aによって相互に接続されている。電源部155は、CHARGER-IC102およびBATTERY203を含む。通信制御部150とパルス発生部104とは、バス154bに
よって相互に接続されている。電源部155および通信制御部150は、バス154cによって相互に接続されている。通信制御部150と補助記憶部151aとは、バス154dによって相互に接続されている。通信制御部150は、スマートフォンに備えられているディスプレイおよびタッチパッドが接続されていてもよい。
【0051】
通信制御部150は、スマートフォン1に接続されたスマートフォン2と通信することで、スマートフォン2によって供給可能な電流の大きさを受信する。通信制御部150は、スマートフォン2によって供給可能な電流の大きさに応じて電流Iuの供給期間tを設定する。通信制御部150は、供給期間tを設定する事で、スマートフォン2から供給される電流の大きさを制御する。通信制御部150は、System on Chip(SoC)を核として構成された一般的なスマートフォンの機能として実現されるシステムであって、通信部153はその一部である。通信部153はSoCチップセットの基本機能である、無線、ないしは、電力を供給するUSBインターフェースそのものであって良い。
【0052】
プロセッサ151は、演算処理装置である。レジスタ部151aおよびメモリ151bは、揮発性の記憶部である。レジスタ部151aメモリ151bは、プロセッサ101から直接アクセスされる記憶部として例示される。レジスタ部151aは、例えば、フリップフロップ回路によって実現される。メモリ151bは、Random Access Memory(RAM)およびRead Only Memory(ROM)を含む。
【0053】
補助記憶部152は、不揮発性の記憶部である。補助記憶部152は、各種のプログラムおよび各種のデータを読み書き自在に記録媒体に格納する。補助記憶部152は外部記憶装置とも呼ばれる。補助記憶部152には、各種プログラム、各種テーブル等が格納される。補助記憶部152には、通信部153を介して接続される外部装置等とのデータの受け渡しを行う通信インターフェースプログラムも記憶される。
【0054】
補助記憶部152は、例えば、Erasable Programmable ROM(EPROM)、ソリッドステートドライブ(Solid State Drive、SSD)、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive、HDD)等である。また、補助記憶部152は、例えば、Compact Disc(CD)ドライブ装置、Digital Versatile Disc(DVD)ドライブ装置、Blu−ray(登録商標) Disc(BD)ドライブ装置等である。
【0055】
通信部153は、例えば、スマートフォン2とのインターフェースである。通信部153は、接続された外部の装置と通信を行う。通信部153は、USB端子および無線による通信手段を含む。例えば、通信部153がUSB端子のように給電能力を有する場合、通信部153は、スマートフォン2から供給された電流を電源部155に供給する事が可能である。
【0056】
図9は、通信制御部150がスマートフォン2から供給される電流の大きさを制御する処理の流れの一例を示す図である。以下、
図9を参照して、通信制御部150の処理について説明する。
【0057】
T1では、スマートフォン1のUSB端子12にスマートフォン2が接続される。通信制御部150は、接続されたスマートフォン2から、スマートフォン2が供給可能な電流の大きさを受信する。以下、スマートフォン2によって供給可能な電流の大きさを供給可能電流の大きさと称する。プロセッサ151は、受信した供給可能電流の大きさをレジスタ部151aに記憶する。
【0058】
T2では、通信制御部150は、受信したスマートフォン2の供給可能電流の大きさに応じてIuの供給期間tを決定する。プロセッサ151は、決定した供給期間tをパルス発生部104に通知する。パルス発生部104は、通知された供給期間tに応じてパルスの幅を調整する。
【0059】
図10は、通信制御部150によるスマートフォン2から供給される電流の大きさを監視する処理の一例を示す図である。以下、
図10を参照して、通信制御部150によるスマートフォン2から供給される電流の大きさを監視する処理について説明する。
【0060】
T11では、通信制御部150は、スマートフォン2から供給される電流の大きさを測定する。T12では、通信制御部150は、
図9のT1でレジスタ部151aに記憶した供給可能電流の大きさとT11で測定した電流の大きさとを比較する。T11で測定した電流の方が供給可能電流より大きい場合(T12でYES)、処理はT13に進められる。T11で測定した電流が供給可能電流未満である場合(T12でNO)、処理はT11に戻される。
【0061】
T13では、通信制御部150は、電流Iuの供給期間tを短くする。通信制御部150は、供給期間tを短くすることで、スマートフォン2から供給される電流の大きさを小さくすることが可能である。
【0062】
第2実施形態では、通信制御部150は、1台のスマートフォン2から供給される電流の大きさを制御した。しかしながら、通信制御部150は、複数のスマートフォン2それぞれと通信することで、複数のスマートフォン2それぞれから供給される電流の大きさを制御してもよい。この場合、例えば、スマートフォン1が複数のUSB端子12を備え、それぞれのUSB端子12に複数のスマートフォン2それぞれが接続されればよい。
【0063】
第2実施形態では、通信制御部150は、スマートフォン2から供給可能電流の大きさ
を受信した。通信制御部150は、供給可能電流の大きさに応じて電流Iuの供給期間tを設定した。その結果、第2実施形態の通信制御部150は、スマートフォン2によってスマートフォン1に給電されることによるスマートフォン2の電力不足の発生を抑制する事が可能である。
【0064】
第2実施形態では、スマートフォン2からスマートフォン1に電流が供給された。この場合、パルス発生部104は、電流の供給を受ける側であるスマートフォン1のものが用いられる。したがって、電流を供給する側であるスマートフォン2は、パルス発生部104を備えなくともよい。
【0065】
以上で開示した実施形態はそれぞれ組み合わせる事ができる。