(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段による制御により、前記袋容器からの前記原料の払出し後、当該袋容器の前記封止部の挟持を解除することにより、当該袋容器を下方に落下させることを特徴とする請求項1又は2に記載の飲料用原料の払出し装置。
前記袋容器保持手段は、上方に開放するボックス状に形成されるとともに、上下方向の中央付近を通る前記水平軸線を中心として回転可能に構成され、上方から投入された前記袋容器を、起立姿勢に保持した状態で収容する収容ホルダを有していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の飲料用原料の払出し装置。
前記収容ホルダが前記水平軸線を中心として回転することによって前記袋容器を上下反転させた際に、前記上側第1ホルダ部と前記上側第2ホルダ部による前記スペース部の挟持を解除するために、当該上側第2ホルダ部の前記ホルダ部本体が当接し、当該ホルダ部本体のそれ以上の回転を阻止する不動のストッパを、さらに備え、
前記駆動部材は、前記ホルダ部本体の前記ストッパへの当接後の回転により、前記上側第1ホルダ部を前記ホルダ部本体から離す方向に押圧するように構成されていることを特徴とする請求項6に記載の飲料用原料の払出し装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の飲料ディスペンサでは、袋容器を開封する際に、その下端部をカッターで切断している。このため、袋容器の切断の際に、袋容器内の原料がカッターに付着しやすく、そのカッターの切れ具合が短期間で低下するおそれがある。この場合には、袋容器を適切に切断できず、その結果、袋容器からの原料の払出しを安定して行うことができなくなる。また、使用後の袋容器については、飲料ディスペンサの次回の利用に備えて、操作者が再度、セット扉を開放して、空の袋容器を取り出し、廃棄する必要がある。このため、飲料ディスペンサの利用者にとって、使用後の後処理が煩雑であるという問題もある。
【0006】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、飲料用の原料が封入された袋容器を切断する切断刃に原料が付着するのを防止できることにより、袋容器から原料を安定して払い出すことができ、また、使用済みの袋容器の廃棄を簡単に行うことができる飲料用原料の払出し装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、飲料の調理時に、所定量の飲料用の原料が封入された細長い袋容器を開封し、袋容器から原料を払い出す飲料用原料の払出し装置であって、袋容器を上下方向に沿って延びる起立姿勢に保持することにより、袋容器内の上部に原料が無いスペース部を存在させる袋容器保持手段と、水平に移動自在の切断刃を有し、この切断刃によってスペース部を横断させながら袋容器の所定位置を切断することにより、袋容器を開封する袋容器開封手段と、袋容器の所定位置よりも下側のスペース部を挟持するためのスペース部挟持手段と、袋容器の下端部において封止された封止部を挟持するための封止部挟持手段と、袋容器を、
袋容器自体の長さ方向の中央付近を通る水平軸線を中心として所定角度、回転させることにより、袋容器を上下反転させるための袋容器反転手段と、袋容器開封手段、スペース部挟持手段、封止部挟持手段、及び袋容器反転手段を制御する制御手段と、を備え、制御手段による制御により、袋容器を開封するとともに袋容器のスペース部及び封止部を挟持した後、袋容器を上下反転させ、その後、袋容器のスペース部の挟持を解除することにより、袋容器の開封された部分から原料を下方に払い出すことを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、所定量の飲料用の原料が封入された細長い袋容器が、袋容器保持手段により、上下方向に沿って延びる起立姿勢に保持される。これにより、袋容器内の上部には、原料の無いスペース部が存在することになる。また、上記の袋
容器開封手段、スペース部挟持手段、封止部挟持手段、及び袋容器反転手段が制御手段で制御されることにより、上部にスペース部を有する袋容器の開封、及びその袋容器からの原料の払出しが、以下のように行われる。
【0009】
まず、袋容器開封手段の切断刃によって、スペース部を横断させながら袋容器の所定位置を切断する。これにより、袋容器の上端部が開封される。また、この開封とともに、スペース部挟持手段及び封止部挟持手段により、袋容器のスペース部及び下端部の封止部をそれぞれ挟持する。次いで、袋容器反転手段により、上記の袋容器を、
それ自体の長さ方向の中央付近を通る水平軸線を中心として所定角度、回転させ、上下反転する。これにより、袋容器の開封された部分である開封部は、袋容器の下端に位置する。その後、スペース部挟持手段による袋容器のスペース部の挟持を解除する。これにより、袋容器内の原料は、自重により、袋容器の開封部から下方に払い出される。
【0010】
以上のように、袋容器を開封する際の切断刃は、原料が無いスペース部を横断しながら、袋容器の所定位置を切断するので、切断刃に原料が付着するのを防止することができる。これにより、原料の付着によるカッターの切れ具合の低下が生じる従来と異なり、長期間にわたって、切断刃の良好な切れ具合を確保することができ、それにより、袋容器から原料を安定して払い出すことができる。また、上端部が開封された袋容器を上下反転する場合に、スペース部を挟持しているので、その反転中に、原料が袋容器から漏れ出るのを抑制することができる。
【0011】
請求項2に係る発明は、飲料の調理時に、所定量の飲料用の原料が封入された細長い袋容器を開封し、袋容器から原料を払い出す飲料用原料の払出し装置であって、袋容器を上下方向に沿って延びる起立姿勢に保持することにより、袋容器内の上部に原料が無いスペース部を存在させる袋容器保持手段と、水平に移動自在の切断刃を有し、この切断刃によってスペース部を横断させながら袋容器の所定位置を切断することにより、袋容器を開封する袋容器開封手段と、袋容器の所定位置よりも下側のスペース部を挟持するためのスペース部挟持手段と、袋容器の下端部において封止された封止部を挟持するための封止部挟持手段と、袋容器を、
袋容器自体の長さ方向の中央付近を通る水平軸線を中心として所定角度、回転させることにより、袋容器を上下反転させるための袋容器反転手段と、袋容器開封手段、スペース部挟持手段、封止部挟持手段、及び袋容器反転手段を制御する制御手段と、を備え、制御手段による制御により、袋容器のスペース部及び封止部を挟持した後、袋容器を上下反転させ、その後、袋容器を開封してから、袋容器のスペース部の挟持を解除することにより、袋容器の開封された部分から原料を下方に払い出すことを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、請求項1と同様、袋容器保持手段によって、所定量の飲料用の原料が封入された細長い袋容器が起立姿勢に保持され、上部にスペース部を有する袋容器の開封、及びその袋容器からの原料の払出しが、以下のように行われる。
【0013】
まず、スペース部挟持手段及び封止部挟持手段により、袋容器のスペース部及び下端部の封止部をそれぞれ挟持する。次いで、袋容器反転手段により、上記の袋容器を、
それ自体の長さ方向の中央付近を通る水平軸線を中心として所定角度、回転させ、上下反転する。この場合、袋容器のスペース部は、袋容器の下部、より具体的には、スペース部挟持手段で挟持された部位の下側に位置する。その後、袋容器開封手段の切断刃によって、スペース部を横断させながら、袋容器の所定位置、すなわち、スペース部挟持手段で挟持された部位よりも下側の位置を切断する。これにより、袋容器の下端部が開封される。そして、スペース部挟持手段による袋容器のスペース部の挟持を解除する。これにより、袋容器内の原料は、自重により、袋容器の開封された下端部から下方に払い出される。
【0014】
以上のように、袋容器を上下反転させてから、その下部の所定位置を切断刃によって切断する場合も、前記請求項1と同様、切断刃に原料が付着するのを防止でき、それにより、袋容器から原料を安定して払い出すことができる。また、袋容器を上下反転する際には袋容器が未開封であるので、その反転中に、原料が袋容器から漏れ出ることはない。
【0015】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の飲料用原料の払出し装置において、制御手段による制御により、袋容器からの原料の払出し後、袋容器の封止部の挟持を解除することにより、袋容器を下方に落下させることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、袋容器からの原料の払出し後、袋容器の封止部、すなわち上下反転後における袋容器の上端部の封止部の挟持を解除する。これにより、空の袋容器が、その自重により、下方に落下する。したがって、払出し装置の下方に、空の袋容器を収容するゴミ箱などを設置することにより、使用済みの袋容器の廃棄を簡単に行うことができる。
【0017】
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の飲料用原料の払出し装置において、袋容器保持手段は、上方に開放するボックス状に形成されるとともに、上下方向の中央付近を通る水平軸線を中心として回転可能に構成され、上方から投入された袋容器を、起立姿勢に保持した状態で収容する収容ホルダを有していることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、袋容器保持手段として、上方に開放するボックス状の収容ホルダを採用することにより、袋容器の収容ホルダの上方から投入するだけで、その袋容器を起立姿勢に容易に保持することができる。また、収容ホルダを、その上下方向の中央付近を通る水平軸線を中心として回転させることにより、内部に収容した袋容器を、容易に上下反転させることができる。
【0019】
請求項5に係る発明は、請求項4に記載の飲料用原料の払出し装置において、収容ホルダは、水平軸線を中心として回転可能な下側第1ホルダ部と、この下側第1ホルダ部に対向するように配置され、下側第1ホルダ部と協働して、収容ホルダの下半部を構成しかつ封止部挟持手段として機能し、水平軸線を中心として回転可能な下側第2ホルダ部と、下側第1ホルダ部の上側に配置され、水平軸線を中心として回転可能な上側第1ホルダ部と、下側第2ホルダ部の上側に、上側第1ホルダ部に対向するように配置され、上側第1ホルダ部と協働して、収容ホルダの上半部を構成しかつスペース部挟持手段として機能し、水平軸線を中心として回転可能な上側第2ホルダ部と、を有しており、袋容器反転手段は、単一のモータと、このモータの動力を伝達し、下側第1ホルダ部及び上側第2ホルダ部を回転駆動する動力伝達機構と、を有しており、スペース部挟持手段は、上側第1ホルダ部に連結され、所定の大きさ以上のトルクが作用しない限り、上側第1ホルダ部を不動に保持する上側用トルクリミッタを有し、封止部挟持手段は、下側第2ホルダ部に連結され、所定の大きさ以上のトルクが作用しない限り、下側第2ホルダ部を不動に保持する下側トルクリミッタを有していることを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、上方に開放するボックス状の収容ホルダは、その下半部が、互いに対向する下側第1ホルダ部及び下側第2ホルダ部によって構成され、上半部が、互いに対向する上側第1ホルダ部及び上側第2ホルダ部によって構成されている。また、下側第1ホルダ部及び下側第2ホルダ部は、前記水平軸線を中心として回転可能であり、協働して、収容ホルダに収容された袋容器の下端部の封止部を挟持する封止部挟持手段として機能する。一方、上側第1ホルダ部及び上側第2ホルダ部は、前記水平軸線を中心として回転可能であり、協働して、収容ホルダに収容された袋容器の上部のスペース部を挟持するスペース部挟持手段として機能する。
【0021】
また、袋容器反転手段は、単一のモータを有しており、このモータの動力を伝達する動力伝達機構を介して、下側第1ホルダ部及び上側第2ホルダ部が回転駆動される。一方、下側第2ホルダ部及び上側第1ホルダ部にはそれぞれ、下側トルクリミッタ及び上側トルクリミッタが連結されている。つまり、4つのホルダ部は、それらの回転中心である水平軸線を間にしたときの対角線上に位置する1組のホルダ部が、モータ及び動力伝達機構によって回転駆動され、他の1組のホルダ部が、トルクリミッタに連結されている。
【0022】
これにより、4つのホルダ部で構成される収容ホルダを、前記水平軸線を中心として所定方向、具体的には、下側第1ホルダ部が下側第2ホルダ部に接近し当接する方向、及び上側第2ホルダ部が上側第1ホルダ部に接近し当接する方向に回転させた場合、これらの4つのホルダ部は次のように動作する。
【0023】
すなわち、下側第1ホルダ部が下側第2ホルダ部に当接するまでは、下側第2ホルダ部は、下側用トルクリミッタの作用により、不動の状態に維持される。同様に、上側第2ホルダ部が上側第1ホルダ部に当接するまでは、上側第1ホルダ部は、上側用トルクリミッタの作用により、不動の状態に維持される。そして、下側第1ホルダ部及び上側第2ホルダ部がそれぞれ、下側第2ホルダ部及び上側第1ホルダ部に当接後もさらに回転することにより、下側第1ホルダ部及び下側第2ホルダ部の下端部間で、袋容器の下端部の封止部を挟持するとともに、上側第2ホルダ部及び上側第1ホルダ部の上端部間で、袋容器の上部のスペース部を挟持しながら、袋容器を上下反転させることができる。以上のように、単一のモータを駆動源として、袋容器の上下のスペース部及び封止部の挟持、並びに袋容器の上下反転を、比較的容易に行うことができる。
【0024】
請求項6に係る発明は、請求項5に記載の飲料用原料の払出し装置において、上側第2ホルダ部は、動力伝達機構に係合し、水平軸線を中心として回転駆動される駆動部材と、この駆動部材に水平軸線と平行な他の水平軸線を中心として回動可能に支持されたホルダ部本体と、駆動部材とホルダ部本体に連結され、ホルダ部本体を上側第1ホルダ部側に付勢するばねと、を有していることを特徴とする。
【0025】
この構成によれば、動力伝達機構に係合する駆動部材が上側第1ホルダ部側に回転駆動されるのに伴い、ホルダ部本体は、駆動部材と一体に上側第1ホルダ部側に回転し、この上側第1ホルダ部との間で、袋容器のスペース部を挟持する。この場合、ホルダ部本体は、ばねによって上側第1ホルダ部側に付勢されているので、袋容器のスペース部を、より強固に挟持することができる。その結果、袋容器の上端部の開封後に、その袋容器を上下反転させる場合でも、その反転中に、原料が袋容器から漏れ出るのをより一層抑制することができる。
【0026】
請求項7に係る発明は、請求項6に記載の飲料用原料の払出し装置において、収容ホルダが水平軸線を中心として回転することによって袋容器を上下反転させた際に、上側第1ホルダ部と上側第2ホルダ部によるスペース部の挟持を解除するために、上側第2ホルダ部のホルダ部本体が当接し、ホルダ部本体のそれ以上の回転を阻止する不動のストッパを、さらに備え、駆動部材は、ホルダ部本体のストッパへの当接後の回転により、上側第1ホルダ部をホルダ部本体から離す方向に押圧するように構成されていることを特徴とする。
【0027】
この構成によれば、上側第1ホルダ部と上側第2ホルダ部によって、袋容器の上部のスペース部を挟持した状態で、収容ホルダを、前記水平軸線を中心として回転させ、上下反転させる。この場合、上側第2ホルダ部のホルダ部本体は、不動のストッパに当接し、それ以上の回転が阻止される。また、上側第2ホルダ部の駆動部材は、上記ホルダ部本体のストッパへの当接後のさらなる回転により、上側第1ホルダ部をホルダ部本体から離す方向に押圧する。これにより、上側第1ホルダ部と上側第2ホルダ部による袋容器のスペース部の挟持が解除される。このように、収容ホルダを回転させて上下反転させるだけで、袋容器のスペース部の挟持の解除を容易に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
図1及び
図2は、本発明の一実施形態による飲料用原料の払出し装置を適用した原料払出し装置を示している。この原料払出し装置1は、カップ式自動販売機や飲料ディスペンサなどに内蔵され、所定の袋容器に封入された飲料用の原料を、飲料の調理時に、その袋容器から払い出すためのものである。
【0030】
図3(a)は、原料払出し装置1で用いられる袋容器を示している。この袋容器Bは、プラスチックフィルムなどから成り、所定の長さ及び幅を有する細長いスティック状に形成され、両端部(
図3の上下端部)の封止部F、Fが圧着によって封止されている。また、この袋容器Bには、1杯分の所定の飲料(例えば、コーヒー、カフェオレ、ココア、抹茶)を調理するのに要する粉状の原料Gが所定量(例えば12g)、封入されている。同図(c)に示すように、袋容器Bを起立させた状態では、原料Gがその自重により、袋容器B内のほぼ下半部に存在する一方、袋容器B内の上部には、原料Gが無いスペース部Sが存在する。また、後述するように、袋容器Bが開封される際には、スペース部Sを横断するよう袋容器Bの所定位置Pが切断される。なお、以下の説明では、原料が封入された上記のスティック状の袋容器Bを「原料スティックB」というものとする。
【0031】
図1及び
図2に示すように、原料払出し装置1は、上ケース2、中ケース3及び下ケース4の3つのケースが上から順に積み重なった状態で外装及び上下方向の仕切りが形成され、台座5上に設置されている。この台座5は、所定形状の金属板を折曲げ加工することなどにより、所定高さを有しかつ下方に開放するコ字状に形成されている。また、台座5には、前後の垂直な側板6、7に、矩形状の開口6a、7aがそれぞれ形成されるとともに、天板8に所定形状の開口8aが形成されている。
【0032】
上ケース2には、中央に原料スティックBの投入口11が形成されるとともに、その後ろ側に、後述する開封スライダ22を駆動するための駆動ボックス12(袋容器開封手段)が設置されている。投入口11は、上ケース2を上下方向に貫通しており、平面形状が原料スティックBの横断面よりも一回り大きくかつ前後方向に縦長に形成されている。
【0033】
また、駆動ボックス12についての詳細な図示は省略するが、この駆動ボックス12には、モータと、その動力を伝達するための複数のギヤが内蔵され、加えて、鉛直軸線を中心として回転し、開封スライダ22に係合する駆動カム13(
図5参照)が設けられている。原料スティックBの開封時に、上記モータが作動することにより、駆動カム13が1回転するようになっている。
【0034】
中ケース3は底面が開放するボックス状に、下ケース4は上面が開放するボックス状に形成されている。中ケース3の天板21には、その前半部中央に、前記上ケース2の投入口11に合致する開口21aが形成されている。一方、下ケース4の底板には、前記台座5の天板8の開口8aとほぼ同様の形状及びサイズの開口が形成されている。また、中ケース3の天板21上には、開封スライダ22(袋容器開封手段)が左右方向にスライド自在に設けられている。
【0035】
図4及び
図5に示すように、開封スライダ22は、スライダ本体23と、このスライダ本体23上でスライド自在に設けられ、原料スティックBの開封時に、その上端部を押さえるための押圧スライダ24と、この押圧スライダ24を所定方向に付勢する2つの圧縮ばね25、25と、スライダ本体23に取り付けられ、原料スティックBの上端部を切断するための切断刃26とを備えている。
【0036】
スライダ本体23は、平面形状がほぼ正方形に形成され、前記駆動カム13に係合するカム係合部27と、このカム係合部27の前面左半部から前方に延びるように形成され、押圧スライダ24を、載置した状態で左右方向にスライド自在に支持する押圧スライダ支持部28とを有している。カム係合部27には、上方に開放しかつ前後方向に所定長さ延びる係合溝27aが形成されており、この係合溝27aに、前記駆動カム13の係合凸部13aが摺動自在に係合している。
【0037】
一方、押圧スライダ支持部28には、その左側壁28aに、各圧縮ばね25の一端部が係止され、左側壁28aの下部に、押圧スライダ24の後端部が貫通した状態で係合する開口28bが形成されている。また、押圧スライダ支持部28の右端部には、切断刃26がねじ止めされている。この切断刃26は、スライダ本体23のスライド方向である左右方向に対して、刃26aが所定角度で傾斜するように、具体的には、刃26aの後ろ側ほど右方に突出するように、押圧スライダ支持部28に取り付けられている。
【0038】
押圧スライダ24は、その右端部に、所定の厚さを有しかつ原料スティックBの横幅よりも若干長く形成された押圧部24aを有している。また、押圧スライダ24の押圧部24aの上側には、各圧縮ばね25の一端部を係止する右側壁24bが設けられている。さらに、押圧スライダ24の左端部には、押圧スライダ支持部28の開口28bを貫通し、その開口28bの下縁部に係合することによって、押圧スライダ24のそれ以上の右方へのスライドを阻止するストッパ24cが設けられている。
【0039】
このように構成された開封スライダ22では、駆動ボックス12内のモータの作動によって、駆動カム13が1回転することにより、スライダ本体23が、
図5(a)及び(b)に示す待機位置と、同図(c)及び(d)に示す切断位置との間で、左右方向に1往復するようにスライドする。なお、同図(a)に示すように、スライダ本体23が待機位置に位置するときには、切断刃26の大部分が、押圧スライダ24で覆われた状態になる。
【0040】
また、スライダ本体23が切断位置に向かって右方に移動すると、その途中で、押圧スライダ24は、押圧部24aを介して、上ケース2の投入口11の右側壁11aの下端部に、原料スティックBの上端部を押し付けた状態で当接し、それ以上の移動が阻止される。(
図14(b)参照)その後、スライダ本体23がさらに右方に移動すると、両圧縮ばね25、25によって、押圧スライダ24が投入口11の右側壁11aにさらに強く付勢されることで、押圧スライダ24の押圧部24aと、投入口11の右側壁11aとの間に、原料スティックBの上端部、より具体的には、所定位置Pよりも若干上側の部位が、強固に挟持される。そして、スライダ本体23のさらなる右方への移動に伴い、これに固定された切断刃26が、押圧スライダ24の押圧部24aよりも右方に移動しながら、原料スティックBの上端部の所定位置Pを切断する。これにより、原料スティックBは、開封され、その上端部の切れ端Beが完全に分離される(
図14(c)参照)。
【0041】
次に、
図6、7及び8を参照しながら、中ケース3と下ケース4内に収容され、原料スティックBを上下反転するための上下反転装置31(袋容器反転手段)について説明する。
【0042】
この上下反転装置31は、上方に開放し、原料スティックBを収容するボックス状の収容ホルダ32(袋容器保持手段)と、この収容ホルダ32を、その上下方向及び左右方向の中央付近を通って前後方向に延びる水平軸線を中心として、回転駆動する収容ホルダ駆動機構33と、収容ホルダ32の後述する右上ホルダ部50及び左下ホルダ部60の回転を規制するためのトルクリミッタ機構34とを備えている。
【0043】
図7及び
図8(b)に示すように、収容ホルダ32は、上記水平軸線と同心の後述する支軸33a、34aを中心とするように配置され、収容ホルダ32の右下半部及び底部を構成する右下ホルダ部40(封止部挟持手段、下側第1ホルダ部)と、右上半部を構成する右上ホルダ部50(スペース部挟持手段、上側第1ホルダ部)と、左下半部を構成する左下ホルダ部60(封止部挟持手段、下側第2ホルダ部)と、左上半部を構成する左上ホルダ部70(スペース部挟持手段、上側第2ホルダ部、ホルダ部本体)と、この左上ホルダ部70を駆動するための駆動フラッパ80(スペース部挟持手段、上側第2ホルダ部、駆動部材)とを備えている。これらのホルダ部40、50、60、70及び駆動フラッパ80はいずれも、プラスチックの成形品で構成されている。また、
図8(b)に示すように、待機状態における収容ホルダ32では、右下ホルダ部40と左下ホルダ部60が互いに左右方向に所定間隔を隔ててほぼ平行に対向し、それらの上側に配置された右上ホルダ部50と左上ホルダ部70も、互いに左右方向に所定間隔を隔ててほぼ平行に対向する。
【0044】
図7に示すように、右下ホルダ部40は、その本体を構成しかつ正面形状が横長矩形状の本体壁41と、その下端部から直角に屈曲して左方に所定長さ延びる底壁42と、本体壁41の前端部及び後端部からそれぞれ直角に屈曲して左方に所定長さ延びる前壁43及び後壁44で構成されている。本体壁41の下端部には、対向する左下ホルダ部60側に突出する複数の凸部41a(
図8(b)参照)が設けられている。また、底壁42の左端部には、左下ホルダ部60を下方から回り込み、直角に屈曲して上方に突出するストッパ42a(
図8(b)参照)が設けられている。さらに、前壁43の上端部には、トルクリミッタ機構34の支軸34aが係合しかつその支軸34aに相対的に回転可能な係合凹部43aが形成されている。一方、後壁44の上端部には、収容ホルダ駆動機構33の支軸33aが貫通しかつその支軸33aと一体に回転可能な軸孔44aが形成されている。加えて、後壁44には、軸孔44aの直ぐ下側に、収容ホルダ駆動機構33の後述する駆動軸93に係合する係合凸部44bが設けられている。
【0045】
右上ホルダ部50は、その本体を構成しかつ正面形状が横長矩形状の本体壁51と、その前端部及び後端部からそれぞれ直角に屈曲して左方に所定長さ延びる前壁52及び後壁53で構成されている。本体壁51の内面上端部には、原料スティックBを挟持する際に滑りを防止するための滑り防止プレート54が取り付けられている。また、本体壁51の前端上部には、後述する前開口アーム111を駆動するためのアーム駆動部55が設けられている。さらに、前壁52の下端部には、トルクリミッタ機構34の支軸34aが貫通する軸孔52aが形成されるとともに、その軸孔52aの上側に、上下方向に所定長さ延びかつ前方に突出し、後述する前トルクリミッタ101に連結部材103を介して係合する係合リブ52bが設けられている。また、後壁53の下端部には、収容ホルダ駆動機構33の支軸33aが貫通する軸孔53a(
図8(a)参照)が形成されている。
【0046】
また、
図7に示すように、左下ホルダ部60は、その本体を構成しかつ正面形状が横長矩形状の本体壁61と、その前端部及び後端部からそれぞれ直角に屈曲して右方に所定長さ延びる前壁62及び後壁63で構成されている。本体壁61の内面下端部には、前記右上ホルダ部50の滑り防止プレート54と同様の滑り防止プレート64が取り付けられている。前壁62の上端部には、トルクリミッタ機構34の支軸34aが貫通する軸孔62aが形成されている。また、前壁62の前面には、軸孔62aの外側に、トルクリミッタ機構34の後述する後トルクリミッタ102に嵌合した状態で係合するトルクリミッタ係合部62bが設けられている。さらに、後壁63の上端部には、収容ホルダ駆動機構33の支軸33aが係合しかつその支軸33aに相対的に回転可能な係合凹部63a(
図8(a)参照)が形成されている。
【0047】
左上ホルダ部70は、その本体を構成しかつ正面形状が横長矩形状の本体壁71と、その上端部から直角に屈曲して左方に所定長さ延びる上壁72と、本体壁71の上半部及び上壁72に連なる前壁73及び後壁74で構成されている。本体壁71の下端部には、前方及び後方にそれぞれ突出し、駆動フラッパ80に回動自在に係合する前後2つの係合凸部71a、71aが設けられている。また、上壁72には、前端部及び後端部にそれぞれ、上方に突出し、収容ホルダ32が上下反転した際に、下ケース4の底板に形成された後述するストッパ4bにそれぞれ当接する当接凸部72a、72aが設けられている。さらに、前壁73及び後壁74には、駆動フラッパ80の後述する前壁82及び後壁83に係合する係合凸部73a、74aが設けられている。また、前壁73及び後壁74の本体壁71と反対側の端部(
図7の左端部)にはそれぞれ、後述する引張りコイルばね86、87の一端部を係止するばね係止部73b、74bが設けられている。
【0048】
駆動フラッパ80は、左上ホルダ部70の本体壁71の背面側(
図7の左方)に斜めに配置され、横長矩形状の本体壁81と、この本体壁81の前端部及び後端部から直角に屈曲して連なる前壁82及び後壁83で構成されている。本体壁81の下端部には、左上ホルダ部70の本体壁71の下端を下回るように突出する下壁81aが設けられている。また、前壁82には、その下端部に、トルクリミッタ機構34の支軸34aが貫通する軸孔82aが形成されるとともに、その軸孔82aの左斜め上方に、左上ホルダ部70の下端前部の係合凸部71aを回動自在に支持する支持孔82bが形成されている。加えて、前壁82の上部には、引張りコイルばね86の一端部を係止するばね係止部82cが設けられている。
【0049】
一方、後壁83には、その下端部に、収容ホルダ駆動機構33の支軸33aが貫通しかつその支軸33aと一体に回転可能な軸孔83aが形成されるとともに、その軸孔83aの左斜め上方に、左上ホルダ部70の下端後部の係合凸部71aを回動自在に支持する支持孔83bが形成されている。また、後壁83の上部には、引張りコイルばね87の一端部を係止するばね係止部83cが設けられている。さらに、後壁83には、右方に延びかつ右上ホルダ部50の本体壁51の背面(右面)に回り込むように形成されたストッパ83dが設けられている。また、後壁83には、軸孔83aの上方に、収容ホルダ駆動機構33の後述する駆動軸93に係合する係合凸部83eが設けられている。
【0050】
上記の左上ホルダ部70と駆動フラッパ80では、前側のばね係止部73b、82c間、後側のばね係止部74b、83c間にそれぞれ、2つの引張りコイルばね86、87が設けられている。したがって、これらのばね86、87により、左上ホルダ部70は、下端部の係合凸部71aを中心として、対向する右上ホルダ部50側に付勢されている。
【0051】
また、以上のように構成された収容ホルダ32では、
図7及び
図8(a)に示すように、左下ホルダ部60、右上ホルダ部50、駆動フラッパ80及び右下ホルダ部40のそれぞれの前壁62、52、82及び43が、前側から後ろ側に向かって順に重なるとともに、互いに合致する各前壁の軸孔62a、52a及び82a、並びに係合凹部43aに、トルクリミッタ機構34の支軸34aが挿通されている。
【0052】
加えて、右下ホルダ部40、駆動フラッパ80、右上ホルダ部50及び左下ホルダ部60のそれぞれの後壁44、83、53及び63が、後ろ側から前側に向かって順に重なるとともに、互いに合致する各後壁の軸孔44a、83a及び53a、並びに係合凹部63aに、収容ホルダ駆動機構33の支軸33aが挿通されている。
【0053】
図6〜
図8に示すように、収容ホルダ駆動機構33は、モータ91と、その動力を伝達するギヤボックス92と、水平に延び、ギヤボックス92の出力軸(図示せず)に連結された駆動軸93と、この駆動軸93に同心に挿入された状態で取り付けられ、前端部が収容ホルダ32の後ろ側の軸孔44a、83a及び53a、並びに係合凹部63aに挿通された前記支軸33aなどで構成されている。
【0054】
駆動軸93は、プラスチックの成形品で構成されており、所定の径及び長さを有する軸本体94と、その後端に連なり、軸本体94よりも大きい径を有する拡径部95と、軸本体94の前端部に設けられ、右下ホルダ部40及び駆動フラッパ80にそれぞれ係合する2つの係合凹部96、97を有している。軸本体94には、前方に開放し、断面D字状の挿入穴94aが形成されており、この挿入穴94aに支軸33aが挿入されている。したがって、駆動軸93が回転することにより、これと一体に支軸33aも回転する。
【0055】
拡径部95には、後方に開放し、ギヤボックス92の出力軸に嵌合する嵌合凹部95aが形成されている。また、拡径部95の外周面の所定位置には、駆動軸93の回転角度位置を検出するための2つの検出凸部95b、95bが設けられている。これらの検出凸部95b、95bが、拡径部95付近の上側及び右側にそれぞれ配置されたマイクロスイッチ98、98をON/OFFすることによって、駆動軸93の回転角度位置が検出される。
【0056】
また、軸本体94の前端部の係合凹部96及び97は、右下ホルダ部40の係合凸部44b及び駆動フラッパ80の係合凸部83eにそれぞれ、駆動軸93の回転方向に不動な状態で係合している。したがって、駆動軸93が回転すると、それに伴い、右下ホルダ部40及び駆動フラッパ80は、所定の相対角度を維持したまま、駆動軸93と一体に回転する。
【0057】
図6〜
図8に示すように、トルクリミッタ機構34は、前記支軸34aと、これに挿通された状態で取り付けられた前後2つのトルクリミッタ(以下、それぞれを適宜、「前トルクリミッタ101」及び「後トルクリミッタ102」という)と、前トルクリミッタ101に連結された円筒状の連結部材103などで構成されている。支軸34aは、その前端部において、直交する固定ピン104を介して、下ケース4に固定されている(
図2参照)。つまり、支軸34aは回転不能になっている。
【0058】
また、前後のトルクリミッタ101、102についての詳細な図示は省略するが、これらはいずれも、支軸34aと一体に回転する内輪と、その外側のハウジングと、これらの内輪とハウジングの間に介在し、所定の摩擦力を生じさせるための摩擦機構とを有している。このようなトルクリミッタ101、102では、支軸34aに不動に支持された内輪に対し、所定の大きさ未満のトルクがハウジングに作用しても、そのハウジングは内輪と同様に不動である一方、所定の大きさ以上のトルクがハウジングに作用すると、そのハウジングはスリップし、回転可能になる。このように、両トルクリミッタ101、102ではいずれも、所定の大きさ以上のトルクが作用しない限り、ハウジングが不動に保持される。
【0059】
前トルクリミッタ101は、ハウジングが連結部材103に連結され、その連結部材103が右上ホルダ部50の係合リブ52bに係合している。つまり、前トルクリミッタ101のハウジングは、連結部材103を介して、右上ホルダ部50に連結されている。一方、後トルクリミッタ102は、連結部材103の内側に収容された状態で配置され、ハウジングが、トルクリミッタ係合部62bにおいて左下ホルダ部60に連結されている。
【0060】
以上のように、前後のトルクリミッタ101及び102がそれぞれ連結された右上ホルダ部50及び左下ホルダ部60は、所定の大きさ以上のトルクが作用したときには、そのトルクが作用する方向に回動する一方、それ以外のときには、そのときの位置に維持される。
【0061】
なお、前記開封スライダ22を駆動する駆動ボックス12内のモータ、及び上下反転装置31における収容ホルダ駆動機構33のモータ91は、図示しないマイクロコンピュータを有する制御装置(制御手段)によって制御される。
【0062】
図9は、開封された原料スティックBを上下反転させた際に、その開封された部分である開封部を強制的に開口させる開口装置110を示している。この開口装置110は、下ケース4の底板上にかつ収容ホルダ32の下方に配置されており(
図6参照)、開閉自在に設けられた前後2つの開口アーム(以下、それぞれ適宜「前開口アーム111」及び「後開口アーム112」という)と、両開口アーム111、112を閉鎖する方向に付勢するねじりばね113で構成されている。両開口アーム111、112はいずれも、平面形状がほぼ横長矩形状に形成され、その左端部に、下ケース4の底板に立設された支軸4a、4aが下方から挿通されている。これにより、両開口アーム111、112は、対応する支軸4aを支点として、回動可能に支持されている。また、前後の開口アーム111、112には、両支軸4a、4aの間に、互いに左右方向に重なった状態で当接する当接部111a、112aが設けられている。
【0063】
さらに、前開口アーム111の右前端部には、収容ホルダ32が上下反転した際に右上ホルダ部50のアーム駆動部55が当接することにで、両開口アーム111、112を開放させる開放用凸部111bが設けられている。また、前記ねじりばね113は、後開口アーム112の支軸4aに取り付けられており、この後開口アーム112を時計方向に付勢している。
【0064】
以上のように構成された開口装置110は、待機状態では、
図10(a)に示すように、両開口アーム111、112の右側部分が、互いに所定間隔を隔てて、左右方向に平行に延びる閉鎖状態になる。一方、収容ホルダ32の上下反転の際には、
図10(b)に示すように、右上ホルダ部50のアーム駆動部55が、前開口アーム111の開放用凸部111bに当接することにより、前開口アーム111を
図10の時計方向に回動させる。これに伴い、前開口アーム111の当接部111aが、後開口アーム112の当接部112aを、ねじりばね113の付勢力に抗して右方に押圧することにより、後開口アーム112が反時計方向に回動する。その結果、両開口アーム111、112の右側部分は、右方に向かって間隔が次第に大きくなる開放状態になる。
【0065】
また、
図2及び
図6に示すように、下ケース4内には、収容ホルダ32の右方の所定位置に、上端部が開封された原料スティックBを上下反転させる際に、その原料スティックBの開封部を案内するためのガイド部材120が設けられている。このガイド部材120は、収容ホルダ32を上下反転する際の回転軸線から所定距離、離れた円弧状のガイド面120aを有している。また、上記の所定距離は、開封された原料スティックBが上下反転される際に、その開封側の端部が折れ曲がるような所定長さに設定されている。
【0066】
次に、
図11〜
図15を参照しながら、原料払出し装置1による原料スティックBからの原料Gの払出し動作について説明する。なお、原料払出し装置1の待機状態では、前述した
図6及び
図8に示すように、上下反転装置31の収容ホルダ32は、上ケース2の投入口11の真下において、上方に開放した状態に保持されている。また、以下の説明では、原料払出し装置の1の各部品の回転方向については、原料払出し装置1をその前方から見たときの状態で説明するものとする。
【0067】
まず、原料払出し装置1の上方から投入口11に原料スティックBが投入されると、その原料スティックBは、原料払出し装置1内に落下し、
図11(a)に示すように、上下方向に沿って延びる起立姿勢に保持された状態で収容ホルダ32に収容される。
【0068】
次いで、駆動ボックス12内のモータが作動し、待機位置に位置する駆動カム13が半回転する。これにより、開封スライダ22が右方に移動し、以下のようにして、原料スティックBの上端部の所定位置Pを切断し、開封する。
【0069】
図14は、開封スライダ22による原料スティックBの開封動作を順に示している。開封スライダ22が、同図(a)に示す待機位置から右方に移動すると、まず、同図(b)に示すように、押圧スライダ24の押圧部24aが、原料スティックBの上側の封止部付近を、投入口11の右側壁11aの下端部に押し付けた状態で、これに当接する。この場合、開封スライダ22のうち、スライダ本体23のみがさらに右方への移動が可能である一方、押圧スライダ24は、それ以上の移動が阻止される。
【0070】
この状態において、開封スライダ22のスライダ本体23がさらに右方へ移動すると、押圧スライダ24は、両圧縮ばね25、25によって、右方により強く付勢され、それにより、投入口11の右側壁11aとの間で、原料スティックBの上端部を強固に挟持する。そして、
図14(c)に示すように、開封スライダ22のスライダ本体23が右方の切断位置へさらに移動することにより、これと一体の切断刃26が原料スティックBの所定位置Pを切断する。これにより、原料スティックBの上端部が開封される。なお、原料スティックBから切り離された切れ端Beは、開封スライダ22が左方の待機位置に戻るまでは、投入口11の右側壁11aと開封スライダ22の押圧スライダ24とで挟まれた状態のまま、投入口11内に保持される。
【0071】
以上のようにして原料スティックBを開封した後、収容ホルダ駆動機構33のモータ91が作動し、駆動軸93が時計方向に約200度回転する。これに伴い、収容ホルダ32も、駆動軸93(支軸33a、34a)を中心として、これと一体に同じ角度、回転し、それにより、上端部が開封された原料スティックBを上下反転することにより、その原料スティックBから原料Gを下方に払い出す(
図12(b)参照)。
【0072】
ここで、収容ホルダ32が回転する際の各ホルダ部40、50、60及び70、並びに駆動フラッパ80の動作について、具体的に説明する。まず、
図11(a)に示す待機位置から、駆動軸93が約20度、時計方向に回転すると、同図(b)に示すように、駆動軸93と一体に右下ホルダ部40及び駆動フラッパ80も、時計方向に約20度回転する。またこの場合、駆動フラッパ80の回転に伴い、この駆動フラッパ80に両
引張りコイルばね86、87を介して連結されている左上ホルダ部70も、時計方向に約20度回転する。
【0073】
ただしこの場合、右上ホルダ部50及び左下ホルダ部60は、待機位置のまま保持される。これは、前述したように、右上ホルダ部50及び左下ホルダ部60が、トルクリミッタ機構34の前トルクリミッタ101及び後トルクリミッタ102にそれぞれ連結されており、駆動軸93が待機位置から約20度回転するまでに右上ホルダ部50及び左上ホルダ部60に作用するトルクがそれ程大きくないからである。
【0074】
したがって、駆動軸93が待機位置から時計方向に約20度回転すると、左上ホルダ部70の本体壁71の上端部が右上ホルダ部50の本体壁51の上端部に当接し、これにより、原料スティックBの上端部が左上ホルダ部70と右上ホルダ部50とで挟持される。加えて、右下ホルダ部40の本体壁41の凸部41aが左下ホルダ部60の本体壁61の下端部に当接し、これにより、原料スティックBの下端部、具体的には、原料スティックBの下側の封止部Fが右下ホルダ部40と左下ホルダ部60とで挟持される。
【0075】
上記の状態から、駆動軸93が時計方向にさらに回転すると、収容ホルダ32は、原料スティックBの上下端部を挟持した状態のまま、駆動軸93と一体に時計方向に回転する。この場合、前後のトルクリミッタ101、102にそれぞれ連結された右上ホルダ部50及び左下ホルダ部60は、駆動軸93と一体に回転する左上ホルダ部70及び右下ホルダ部40によってそれぞれ、所定の大きさ以上のトルクで押圧される。このため、右上ホルダ部50及び左下ホルダ部60は、左上ホルダ部70、駆動フラッパ80及び右下ホルダ部40とともに、時計方向に回転する。
【0076】
また、収容ホルダ32が上記のように回転する途中において、その収容ホルダ32に収容・挟持された原料スティックBは、
図11(c)に示すように、上端部が下ケース4内のガイド部材120によって案内される。より具体的には、収容ホルダ32が待機位置から時計方向に約90〜150度回転する角度範囲において案内される。そしてこの場合、同図に示すように、原料スティックBの上端部、すなわち開封側の端部は、折れ曲がった状態で案内される。これにより、原料スティックBの上下反転の際に、その原料スティックBの開封部から原料Gが飛び散るのを防止することができる。
【0077】
図12(a)は、駆動軸93が待機位置から時計方向に約180度回転し、それに伴い、収容ホルダ32も待機位置から時計方向に約180度回転した状態を示している。この場合、同図に示すように、左上ホルダ部70の前後の当接凸部72a、72aが、下ケース4の前後のストッパ4b、4b(同図では1つのみ図示)にそれぞれ当接する。これにより、左上ホルダ部70は、駆動軸93が上記の状態から時計方向にさらに回転しても、それ以上の回転が阻止される。
【0078】
この状態から、駆動軸93が時計方向にさらに約20度回転すると、右下ホルダ部40及び駆動フラッパ80も時計方向に約20度回転する。左下ホルダ部60は、右下ホルダ部40に押圧されながら、これと一体に回転するので、原料スティックBの封止部Fは、右下ホルダ部40と左下ホルダ部60で挟持された状態に保たれる。一方、右下ホルダ50は、駆動フラッパ80に、その前壁82や後壁83を介して押圧されながら、これと一体に回転する。
【0079】
これにより、
図12(b)に示すように、右上ホルダ部50が左上ホルダ部70から離れ、これらのホルダ部50及び70による、原料スティックBの開封側の端部の挟持が解除される。その結果、原料スティックB内の原料Gが自重で下方に払い出され、下方のカップCなどに供給される。なお、このカップCは、図示しないカップ搬送装置などによって、台座5の内側の所定位置にあらかじめ搬送され、原料Gの供給終了後、湯が供給される湯供給位置に搬送される。
【0080】
また、収容ホルダ32が、上述した
図12(a)及び(b)に示すように回転する際には、収容ホルダ32の下方に配置された開口装置110によって、原料スティックBの開封側の端部が強制的に開口される。
【0081】
図15は、開口装置110による原料スティックBの開口動作を順に示している。同図(a)は、収容ホルダ32が待機位置から約180度回転し、右上ホルダ部50が開口装置110に接近した状態を示している。この場合、原料スティックBの開封側の端部は、右上ホルダ部50と左上ホルダ部70とで挟持されるとともに、前記ガイド部材120による折り曲げられた状態の案内によって、内面が密着し、閉口した状態になることがある。なおこの場合、
図15(a)に示すように、開口装置110の前開口アーム111と後開口アーム112の右端部間の距離Wは、原料スティックBの閉口した状態における開封側の端部の横幅(同図の上下方向の長さ)Bwよりも小さくなっている。
【0082】
上記の状態から、収容ホルダ32の時計方向へのさらなる回転に伴い、右上ホルダ部50が左方に移動すると、
図15(b)に示すように、右上ホルダ部50のアーム駆動部55が前開口アーム111の開放用凸部111bに当接し、これを前方(
図15の下方)に押圧する。これにより、前開口アーム111は、左方の対応する支軸4aを支点として時計方向に回動する。またこの場合、前開口アーム111の当接部111aが、後開口アーム112の当接部112aを、ねじりばね113の付勢力に抗して、右方に押圧する。これにより、後開口アーム112は、対応する支軸4aを支点として反時計方向に回動する。その結果、前開口アーム111及び後開口アーム112は、右端部間の距離Wが原料スティックBの上記横幅Bwよりも大きくなるように開放する。これにより、原料スティックBの開封側の端部が閉口することで、その横幅が広がっていても、原料スティックBの開封側の端部は、前開口アーム111と後開口アーム112の右端部間に、そのままの状態で移動する。
【0083】
そして、上記の状態から、収容ホルダ32の時計方向へのさらなる回転に伴い、右上ホルダ部50がさらに左方に移動すると、
図15(c)に示すように、アーム駆動部55が前開口アーム11の開放用凸部111bから外れる。これにより、開放していた前開口アーム111及び後開口アーム112は、ねじりばね113の付勢力により、開放時と逆方向に回動し、元の待機位置に戻る。この場合、原料スティックBの開封側の端部が、その横幅方向の両側から、両開口アーム111、112で押圧される。これにより、原料スティックBの開封側の端部は、閉口していたとしても、強制的に開口される。その結果、原料スティックB内の原料は、開口した開封部から円滑に払い出される。
【0084】
以上のようにして、原料スティックBから全ての原料Gが払い出されるとともに、その原料Gが供給されたカップCが、台座5の内側から他の場所(例えば湯供給位置)に搬送された後、以下のようにして、収容ホルダ32から空の原料スティックBを廃棄するとともに、その収容ホルダ32を元の待機位置に戻す。
【0085】
具体的にはまず、
図12(b)に示す状態において、収容ホルダ駆動機構33のモータ91が、上述した収容ホルダ32の上下反転時と逆方向に回転することにより、収容ホルダ32を反時計方向に回転させる。
【0086】
図12(c)は、同図(b)に示す状態において、駆動軸93が反時計方向に約20度回転した状態を示している。この場合、駆動軸93の回転に伴い、これと一体に右下ホルダ部40及び駆動フラッパ80も、反時計方向に約20度回転する一方、右上ホルダ部50及び左下ホルダ部60は、前トルクリミッタ101及び後トルクリミッタ102の作用により、不動の状態に維持される。これにより、右下ホルダ部40と左下ホルダ部60の本体壁41、61による原料スティックBの挟持が解除される。その結果、原料Gが払い出された後の空の原料スティックBは、自重で落下し、収容ホルダ32の下方に廃棄される。
【0087】
その後、駆動軸93が、反時計方向にさらに約200度回転することにより、収容ホルダ32も、
図12(c)に示す状態から
図13(a)に示す状態に、反時計方向に約200度回転する。この場合、収容ホルダ32の右下ホルダ部40、左上ホルダ部70及び駆動フラッパ80は、駆動軸93と一体に回転する。一方、左下ホルダ部60は、右下ホルダ部40のストッパ42aによる係合により、また、右上ホルダ部50は、駆動フラッパ80のストッパ83dによる係合により、右下ホルダ部40及び駆動フラッパ80と一体に回転する。
【0088】
この状態において、原料スティックBを開封するための開封スライダ22を駆動する駆動ボックス12のモータが再度作動し、待機位置から半回転していた駆動カム13が再度半回転して、待機位置に戻る。これに伴い、開封スライダ22は、
図14(c)に示す状態から、同図(a)に示す待機位置に戻る。またこの場合、投入口11内に保持されていた、原料スティックBの切れ端Beは、
図13(a)に示す収容ホルダ32の右側面(右上ホルダ部50及び右下ホルダ部40の本体壁51、41の外側の側面)上に自重で落下し、それに案内されながら、すでに廃棄された空の原料スティックBと同様、下方に廃棄される。
【0089】
このようにして、切れ端Beを廃棄した後、駆動軸93を時計方向に約40度回転させる。これにより、
図13(b)に示すように、収容ホルダ32の右下ホルダ部40、左上ホルダ部70及び駆動フラッパ80は、駆動軸93と一体に、時計方向に約40度回転する。
【0090】
一方、左下ホルダ部60及び右上ホルダ部50は、右下ホルダ部40及び駆動フラッパ80が時計方向に20度回転するまでは、前トルクリミッタ101及び後トルクリミッタ102の作用により、不動の状態に維持される。そして、右下ホルダ部40及び左上ホルダ部70が時計方向にさらに20度回転することにより、これらのホルダ部40及び70で、左下ホルダ部60及び右上ホルダ部50が押圧され、
図13(a)に示す状態から同図(b)に示す状態、すなわち、右上ホルダ部50及び左下ホルダ部60の本体壁51及び61がほぼ鉛直な姿勢になる。
【0091】
その後、駆動軸93を反時計方向に約20度回転させる。これにより、
図13(c)に示すように、右下ホルダ部40及び左上ホルダ部70は、駆動軸93と一体に、反時計方向に約20回転し、待機位置に戻る。
【0092】
以上詳述したように、本実施形態の原料払出し装置1によれば、投入口11から投入された原料スティックBは、収容ホルダ32に収容されることによって起立姿勢に保持され、開封の際に、上部のスペース部Sが開封スライダ22の切断刃26で切断されるので、その切断刃26に原料Gが付着するのを防止することができる。これにより、原料の付着によるカッターの切れ具合の低下が生じる従来と異なり、長期間にわたって、切断刃26の良好な切れ具合を確保することができ、それにより、原料スティックBから原料Gを安定して払い出すことができる。
【0093】
また、上端部が開封された原料スティックBを上下反転する際に、そのスペース部Sを、右上ホルダ部50と左上ホルダ部70で挟持しているので、その反転中に、原料Gが原料スティックBから漏れ出るのを抑制することができる。加えて、開封された原料スティックBの上下反転の際に、開封側の端部がガイド部材120によって、折れ曲がった状態で案内されるので、反転中における原料スティックBの開封部からの原料Gの飛び散りを防止することができる。
【0094】
また、原料スティックBからの原料Gの払出し後、原料スティックBの封止部Fの挟持を解除するだけで、空の原料スティックBを自重で下方に落下させ、容易に廃棄することができる。
【0095】
さらに、収容ホルダ32を構成する4つのホルダ部40、50、60及び70において、右下ホルダ部40及び左上ホルダ部70を、モータ91を有する収容ホルダ駆動機構33によって回転駆動するとともに、右上ホルダ部50及び左下ホルダ部60の回転を、前後のトルクリミッタ101、102を有するトルクリミッタ機構34によって制限することにより、原料スティックBの上下端部の挟持及びその解除、並びに原料スティックBの上下反転を、容易に行うことができる。また、これらの動作の駆動源として、単一のモータ91で行えるので、原料払出し装置1の製造コストの上昇を抑制することができる。
【0096】
また、上端部が開封されが原料スティックBの上部を、右上ホルダ部50と左上ホルダ部70で挟持する場合、左上ホルダ部70が、駆動フラッパ80との間に連結された両引張りコイルばね86、87の付勢力によって、右上ホルダ部50側に付勢される。これにより、原料スティックBのスペース部Sを、より強固に挟持することができ、原料スティックBの上下反転中に、原料Gが原料スティックBから漏れ出るのをより一層抑制することができる。
【0097】
また、右上ホルダ部50と左上ホルダ部70によって、原料スティックBの上部のスペース部Sを挟持した状態で、収容ホルダ32を回転させ、原料スティックBを上下反転させた際に、左上ホルダ部70を、下ケース4のストッパ4bに当接させて、それ以上の回転を阻止するとともに、駆動フラッパ80によって、右上ホルダ部50を左上ホルダ部70から離す方向に押圧する。このように、収容ホルダ32を回転させて上下反転させるだけで、原料スティックBのスペース部Sの挟持の解除を容易に行うことができる。
【0098】
なお、本発明は、説明した上記実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。上記の原料払出し装置1では、原料スティックBの上端部を切断し、開封してから、上下反転させたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、原料スティックBの上部のスペース部S及び下端部の封止部Fを、原料払出し装置1と同様に挟持する。その後、原料スティックBを上下反転させてから、その原料スティックBの下端部を切断するように、原料払出し装置を構成してもよい。
【0099】
この場合、スペース部S及び封止部Fが挟持された状態で上下反転された原料スティックBにおいて、反転後の原料スティックBの下端部、すなわち挟持された部位よりも下位には、スペース部Sが存在し、そのスペース部Sが切断刃で切断される。このため、上述した原料払出し装置1と同様、切断刃に原料が付着するのを防止でき、それにより、原料スティックBから原料Gを安定して払い出すことができる。しかも、原料スティックBを上下反転する際には未開封であるので、その反転中に、原料Gが原料スティックBから漏れ出ることはない。
【0100】
また、実施形態で示した原料払出し装置1の細部の構成などは、あくまで例示であり、本発明の趣旨の範囲内で適宜、変更することができる。