(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記補正手段は、前記先滴の基準吐出量を増加させるか、前記後滴の基準吐出量を減少させるか、のいずれかによって前記先滴および前記後滴の少なくとも一方の吐出量を前記基準吐出量から補正する
請求項1に記載の画像形成装置。
前記補正手段は、予め定められた先滴の打滴率に対して後滴の打滴率を変えて異なる色彩値の複数の画像パッチを記録媒体上に形成した試験画像を測色し、予め定められた目標色に最も近い色彩値の画像パッチを特定し、特定された画像パッチの後滴の打滴率を用いて前記後滴の吐出量を前記基準吐出量から補正する補正係数を算出する
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
前記補正手段は、測色した前記複数の画像パッチの色彩値を予め定められた色空間の座標として算出し、前記複数の画像パッチの前記色空間の座標の各々と、前記目標色の前記色空間の座標との距離によって前記目標色に最も近い色彩値の画像パッチを特定する
請求項4に記載の画像形成装置。
前記記録媒体の一方の面に画像を形成する前記複数の吐出ヘッドと、前記記録媒体の他方の面に画像を形成する前記複数の吐出ヘッドと、の2組の前記複数の吐出ヘッドを備え、
前記画像形成条件は、前記一方の面に画像を形成するか、前記一方の面および前記他方の面に画像を形成するかの違いを含む
請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
2次色を表現する場合に、先に着弾したインク滴の乾燥度合いが変動すると2次色の色味が変動することがある。本発明の課題は、先に着弾するインク滴の吐出量または後から着弾するインク滴の吐出量を、画像形成条件に応じて変えない場合と比較して、色味の変動が抑制された画像形成装置および画像形成プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の画像形成装置は、予め定められた順序で配置されるとともに、搬送される記録媒体上に液滴を吐出させて画像を形成する複数の色ごとの複数の吐出ヘッドと、前記記録媒体上に先に吐出させた少なくともひとつの先滴に後から吐出させる少なくともひとつの後滴を重ね、複数色の液滴を混合して画像を形成する場合に、前記先滴の乾燥に影響する画像形成条件に応じて、前記先滴および前記後滴の少なくとも一方の吐出量を予め定められた基準吐出量から補正する補正手段と、前記補正手段で補正される液滴は補正された吐出量で吐出させるとともに、前記補正手段で補正されない液滴は前記基準吐出量で吐出させるように前記複数の吐出ヘッドを制御する制御手段と、を備え
、前記画像形成条件には前記記録媒体の含水率、および画像の形成を開始してからの経過時間が含まれ、前記補正された吐出量は、画像の形成に先立ち測定された前記含水率、および前記経過時間に対応する吐出量であるものである。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記補正手段は、前記先滴の基準吐出量を増加させるか、前記後滴の基準吐出量を減少させるか、のいずれかによって前記先滴および前記後滴の少なくとも一方の吐出量を前記基準吐出量から補正するものである。
【0008】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記画像形成条件
には、前記記録媒体の搬送速度、前記記録媒体の種類、および前記記録媒体の厚さの少なくとも1つ
がさらに含まれるものである。
【0009】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の発明において、前記補正手段は、予め定められた先滴の打滴率に対して後滴の打滴率を変えて異なる色彩値の複数の画像パッチを記録媒体上に形成した試験画像を測色し、予め定められた目標色に最も近い色彩値の画像パッチを特定し、特定された画像パッチの後滴の打滴率を用いて前記後滴の吐出量を前記基準吐出量から補正する補正係数を算出するものである。
【0010】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記補正手段は、測色した前記複数の画像パッチの色彩値を予め定められた色空間の座標として算出し、前記複数の画像パッチの前記色空間の座標の各々と、前記目標色の前記色空間の座標との距離によって前記目標色に最も近い色彩値の画像パッチを特定するものである。
【0011】
また、請求項6に記載の発明は、請求項4または請求項5に記載の発明において、前記補正手段は、前記画像形成条件ごとに補正係数を算出した補正係数テーブルを生成し、前記制御手段は、前記補正係数テーブルを参照して前記複数の吐出ヘッドを制御するものである。
【0012】
また、請求項7に記載の発明は、請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載の発明において、前記先滴の打滴率および前記後滴の打滴率の少なくとも一方に下限値が設けられており、前記補正手段は、前記先滴の打滴率および前記後滴の打滴率が前記下限値以上の場合に、前記先滴および前記後滴の少なくとも一方の吐出量を予め定められた基準吐出量から補正するものである。
【0013】
また、請求項8に記載の発明は、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の発明において、前記基準吐出量が、前記記録媒体上に画像を形成するための画像情報で指定された前記先滴または前記後滴の吐出量であるものである。
【0014】
また、請求項9に記載の発明は、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の発明において、前記記録媒体の一方の面に画像を形成する前記複数の吐出ヘッドと、前記記録媒体の他方の面に画像を形成する前記複数の吐出ヘッドと、の2組の前記複数の吐出ヘッドを備え、前記画像形成条件は、前記一方の面に画像を形成するか、前記一方の面および前記他方の面に画像を形成するかの違いを含むものである。
【0015】
一方、上記目的を達成するために、請求項10に記載の画像形成プログラムは、コンピュータを、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の画像形成装置の補正手段、および制御手段として機能させるためのものである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1および請求項10に記載の発明によれば、先に着弾するインク滴の吐出量または後から着弾するインク滴の吐出量を、画像形成条件に応じて変えない場合と比較して、色味の変動が抑制される、という効果が得られる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、先滴および後滴の吐出量を補正せず基準吐出量のままとする場合と比較して、記録媒体の乾燥の程度に応じて色味の変動が抑制される、という効果が得られる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、画像を形成する前の記録媒体の含水率、画像の形成を開始してからの経過時間、記録媒体の搬送速度、記録媒体の種類、および記録媒体の厚さ以外の条件を形成条件とする場合と比較して、より簡易に記録媒体の乾燥の程度を反映して色味の変動が抑制される、という効果が得られる。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、試験画像を目視することによって予め定められた目標色に最も近い色彩の画像パッチを特定する場合と比較して、より正確に補正係数が算出される、という効果が得られる。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、目視によって複数の画像パッチの色彩を目標色の色彩と比較して目標色に最も近い色彩の画像パッチを特定する場合と比較して、画像パッチの色彩と目標色の色彩との乖離の程度が数値で把握される、という効果が得られる。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、形成条件と補正係数との関係を示す近似式を用いて複数の吐出ヘッドを制御する場合と比較して、式による近似が困難な場合でも複数の吐出ヘッドの制御が行われる、という効果が得られる。
【0022】
請求項7に記載の発明によれば、先滴の打滴率および後滴の打滴率のいずれにも下限値を設けないで、先滴および後滴の少なくとも一方の吐出量を予め定められた基準吐出量から補正する場合と比較して、より効率的に色味の変動が抑制される、という効果が得られる。
【0023】
請求項8に記載の発明によれば、基準吐出量を固定的に設定した先滴または後滴の吐出量とする場合と比較して、形成する画像に応じて色味の変動が抑制される、という効果が得られる。
【0024】
請求項9に記載の発明によれば、記録媒体の一方の面に画像を形成する場合の形成条件のみを考慮する場合と比較して、両面印刷の場合の記録媒体の乾燥の程度を反映させて、色味の変動が抑制される、という効果が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[実施の形態]
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本実施の形態では、本発明に係る画像形成装置をインクジェット方式の画像形成装置に適用した形態を例示して説明する。
【0027】
図1および
図2を参照して、本実施の形態に係る画像形成装置10について説明する。
【0028】
図1に示すように、画像形成装置10は、表面印刷液滴吐出装置21a、裏面印刷液滴吐出装置21b(以下、総称する場合は「液滴吐出装置21」)、表面印刷乾燥装置26a、裏面印刷乾燥装置26b(以下、総称する場合は「乾燥装置26」)、用紙冷却機構50、用紙反転機構52、給紙ロール27、巻取ロール28、表面印刷含水率センサ44a、裏面印刷含水率センサ44b(以下、総称する場合は「含水率センサ44」)、ILS(Image Line Sensor:イメージラインセンサ)46および制御部32を備えている。画像形成装置10は、記録媒体としての連帳紙Pの表面および裏面に画像を形成する機能を備えている。
【0029】
液滴吐出装置21は、連帳紙Pにインク滴(液滴の一例)を吐出してK(ブラック)色の画像を形成する液滴吐出ヘッド22Kと、C(シアン)色の画像を形成する液滴吐出ヘッド22Cと、M(マゼンタ)色の画像を形成する液滴吐出ヘッド22Mと、Y(イエロー)色の画像を形成する液滴吐出ヘッド22Yとを備えている。そして、液滴吐出ヘッド22Kと、液滴吐出ヘッド22Cと、液滴吐出ヘッド22Mと、液滴吐出ヘッド22Yとは、この順番で連帳紙Pの搬送方向(
図1中矢印aで示された方向。以下、「用紙搬送方向」)に沿って上流側から下流側に連帳紙Pと対向するように配列されている。以下、矢印aで示された連帳紙Pの経路を「搬送経路」という。
【0030】
なお、本実施の形態において、液滴吐出ヘッド22Kと、液滴吐出ヘッド22Cと、液滴吐出ヘッド22Mと、液滴吐出ヘッド22Yと、の並ぶ順番は一例であって、
図1の順番に限定されることはない。また、以後の説明では、K、C、M、Yを区別しない場合には、符号に付しているK、C、M、Yを省略する。
【0031】
乾燥装置26は、液滴吐出装置21に対して用紙搬送方向の下流側に配置され、連帳紙Pに形成された画像を乾燥する。乾燥装置26は、連帳紙Pに形成された画像に乾燥のための熱を供給するヒータ60を備えている。なお、本実施の形態では、乾燥装置26として、赤外線、ハロゲン等のヒータ用いた形態を例示して説明するが、これに限定されず、他の種類の乾燥装置、たとえばドラム加熱方式、レーザ加熱方式等の乾燥装置を用いた形態としてもよい。
【0032】
給紙ロール27は、液滴吐出装置21に連帳紙Pを供給する部位であり、当該ロールに連帳紙Pが巻き付けられている。給紙ロール27は、図示しないフレーム部材に回転可能に支持されている。
【0033】
巻取ロール28は、当該ロールに画像が形成された連帳紙Pを巻き取る部位である。巻取ロール28が図示しないモータから回転力を受けて回転することで、連帳紙Pが搬送経路に沿って搬送されるようになっている。そして、制御部32に備えられたモータ制御部42(
図2参照)が、巻取ロール28に回転力を伝達するモータを制御することで、連帳紙Pの搬送速度(用紙搬送速度)が調整されるようになっている。
【0034】
用紙冷却機構50は、表面印刷液滴吐出装置21aで表面に印刷され、表面印刷乾燥装置26aで乾燥された連帳紙Pを冷却する部位である。用紙反転機構52は、連帳紙Pの裏面に印刷されるように連帳紙Pの表面と裏面とを切り替える部位である。
【0035】
含水率センサ44は、液滴吐出装置21の上流側で、連帳紙Pの含水率を測定するセンサである。含水率とは、連帳紙Pに含まれる水分の重量の連帳紙Pの重量に対する割合(重量百分率)である。むろん、含水率は体積百分率で表してもよい。表面印刷含水率センサ44aは、画像形成する前の連帳紙Pの含水率を測定し、裏面印刷含水率センサ44bは、表面印刷液滴吐出装置21aで表面に画像が形成され、表面印刷乾燥装置26aで乾燥された後の連帳紙Pの含水率を測定する。
【0036】
また、含水率センサ44としては、接触型、非接触型等も含めて特に制限はないが、本実施の形態に係る画像形成装置10では、測定部に赤外線を照射し、その反射率から含水率を測定する非接触の反射型含水率計を採用している。本実施の形態では、主として、後述する印刷処理において、連帳紙Pの含水率を測定する際に含水率センサ44を用いる。
なお、本実施の形態では表面印刷含水率センサ44aおよび裏面印刷含水率センサ44bの2つの含水率センサを用いる形態を例示して説明するが、いずれか一方の含水率センサを用いる形態、たとえば、表面印刷含水率センサ44aのみを用いる形態としてもよい。
【0037】
ILS46は、連帳紙Pに形成された画像を読み取る画像読取装置である。ILS46としては、特に限定されないが、一例として、CCD(Charge Coupled Device)を用いたILSが挙げられる。本実施の形態では、後述する補正係数算出処理において、測色用画像パッチの測色を行うため等にILS46を用いる。なお、測色用画像パッチの測色は、画像形成装置10に配置されたオンラインのILSに限られず、画像形成装置10とは別に用意したオフラインの測色計を用いてもよい。また、本実施の形態では、裏面印刷乾燥装置26bの下流側にILS46を設ける形態を例示して説明したが、当該ILS46を表面印刷乾燥装置26aの下流側に設ける形態としてもよいし、双方に設ける形態としてもよい。
【0038】
制御部32は、画像形成装置10の各部を統括、制御する。制御部32の詳細については後述する。
【0039】
以上のように構成された画像形成装置10は、以下のように動作する。すなわち、巻取ロール28を回転させることで、用紙搬送方向の張力が連帳紙Pに付与され、給紙ロール27から供給される連帳紙Pが搬送経路に沿って搬送される。搬送経路に沿って搬送される連帳紙Pは、まず表面印刷液滴吐出装置21aによって表面にインク滴が打ち込まれ、表面に画像が形成される。その後、表面印刷乾燥装置26aに搬送されて乾燥される。
【0040】
表面印刷乾燥装置26aで昇温した連帳紙Pは、用紙冷却機構50によって室温付近まで冷却され、用紙反転機構52で連帳紙Pの表裏が反転される。その後、連帳紙Pは、裏面印刷液滴吐出装置21bによって裏面にインク滴が打ち込まれ、裏面に画像が形成される。その後、裏面印刷乾燥装置26bに搬送されて乾燥され、巻取ロール28によって巻き取られて、表面、裏面の印刷が完了する。
【0041】
上述したように、乾燥装置26にはヒータ60が設けられており、画像が形成された連帳紙Pが乾燥装置26を通過する際、該ヒータ60によって連帳紙Pに形成された画像が乾燥される。本実施の形態に係る画像形成装置10では、さらに、連帳紙Pの温度を検知する温度センサ(図示省略)が乾燥装置26の出口付近に設けられており、当該温度センサによって乾燥装置26を通過後の連帳紙Pの温度が検知され、CPU32Aに送られる。CPU32Aは、検知された連帳紙Pの温度と目標温度との差分をヒータ60に負帰還させて、連帳紙Pの温度が一定となるように、乾燥装置26を制御している。なお、温度センサは、表面印刷乾燥装置26a、裏面印刷乾燥装置26bの双方の出口付近に設けてもよいし、いずれか一方の出口付近に設けてもよい。
【0042】
つぎに、
図2を参照して、画像形成装置10の電気系の要部構成について説明する。なお、以下では、連帳紙Pを「用紙P」といい、画像を形成することを「印刷する」という場合がある。
【0043】
図2に示すように、制御部32は、CPU(Central Processing Unit)32A、ROM(Read Only Memory)32B、RAM(Random Access Memory)32C、NVM(Non Volatile Memory)32D、および入出力ポート(I/O)32Eを備えている。制御部32が備えるそれぞれの構成は、バス32Fを介して互いに接続されている。
【0044】
CPU32Aは、画像形成装置10の全体を統括、制御する。ROM32Bは、画像形成装置10の動作を制御する制御プログラム、後述する補正係数算出処理プログラム、印刷処理プログラムや各種パラメータ等を予め記憶する記憶手段である。RAM32Cは、各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられる記憶手段である。NVM32Dは、画像形成装置10の電源スイッチが切られても保持しなければならない各種情報を記憶する不揮発性の記憶媒体である。
【0045】
I/O32Eには、ユーザ・インタフェース(UI)パネル40、液滴吐出装置21、乾燥装置26、モータ制御部42、含水率センサ44、およびILS46が接続されている。UIパネル40、液滴吐出装置21、乾燥装置26、モータ制御部42、含水率センサ44、およびILS46の各構成は、I/O32E、バス32Fを介して、CPU32A等の制御部32の各構成と接続されている。
【0046】
UIパネル40は、ディスプレイ上に透過型のタッチパネルが重ねられたタッチパネルディスプレイ等から構成され、各種情報がディスプレイの表示面に表示されると共に、ユーザがタッチパネルに触れることにより所望の情報や指示が入力される。
【0047】
I/O32Eを介してCPU32Aに接続された上記の液滴吐出装置21は、CPU32Aによって液滴吐出ヘッド22からのインク滴の吐出量が制御される。
【0048】
I/O32Eを介してCPU32Aに接続された上記の乾燥装置26は、CPU32Aによってヒータ60のヒータ出力が制御される。
【0049】
モータ制御部42は、先述したように、CPU32Aを介して巻取ロール28に回転力を伝達するモータにより連帳紙Pの搬送を制御する。
【0050】
I/O32Eを介してCPU32Aに接続された上記の含水率センサ44は、液滴吐出装置21aによってインク滴が打ち込まれる前の用紙Pの含水率、あるいは表面に印刷された後の用紙Pの含水率を測定し、CPU32Aに送る。
【0051】
I/O32Eを介してCPU32Aに接続された上記のILS46は、用紙Pに印刷された測色用画像パッチを測色し、CPU32Aに送る。
【0052】
ところで、本実施の形態に係る画像形成装置10のようなインクジェット記録装置では、K色、C色、M色、Y色の4色のインク滴を用い、これらの色を用紙上に重ね打ちすることによりすべての色を表現する。この際、たとえば2次色を表現する場合、2色のインク滴は異なる液滴吐出ヘッド22によって用紙Pに打ち込まれるため、各々のインク滴の着弾には時間差が生ずる。
【0053】
先に着弾したインク滴は用紙Pに先に浸透し、つぎのインク滴が着弾する前に用紙Pの表面および用紙Pの内部である程度乾燥している。ある程度の乾燥とは、インク滴の溶媒が一定量蒸発し、相対的に色材濃度が高くなって高粘度になる程度の乾燥をさす。先に着弾したインク滴が高粘度になることにより、後から着弾したインク滴は用紙Pの中や先に着弾したインク滴の中に浸透しにくくなり、比較的表面に近い位置で乾燥することになる。したがって、形成された2次色は、後から着弾したインク滴の色味の方が強くなる。後から着弾するインク滴が着弾した時に、先に着弾したインク滴の乾燥度合いが一定であれば、2次色の色味の変動は許容範囲となる場合もあるが、先に着弾したインク滴の乾燥度合いが変動すると2次色の色味が変動してしまう。
【0054】
上記色味の変動を抑制するためには、先に着弾させるインク滴の吐出量、または後から着弾させるインク滴の吐出量を、予め定められた吐出量、たとえば、印刷対象となる画像データで指定された吐出量から増減し、先に着弾させるインク滴と後から着弾させるインク滴の混合比を変えることが考えられる。つまり、先に着弾させるインク滴の吐出量を画像データで指定された吐出量に対して増加させるか、または、後から着弾させるインク滴の吐出量を画像データで指定された吐出量に対して減少させることが考えられる。さらに、これらの方法を組み合わせることも考えられる。いずれの方法を用いてもよいが、本実施の形態では、以下、後から着弾させるインク滴の吐出量を、画像データで指定された吐出量に対して減少させる形態を例示して説明する。
【0055】
より具体的には、先に着弾したインク滴の乾燥に影響する(乾燥が進む)印刷条件を明確にし、2次色の色味の変動が許容範囲となるように、乾燥が進む印刷条件ほど後から着弾するインク滴の吐出量を減少させる。その際、先滴の吐出量は画像データで指定された吐出量とする。なお、以下、先に着弾したインク滴を「先滴」、後から着弾したインクを「後滴」という。
【0056】
ここで、
図3を参照して、異なる色のいわゆる重ね打ち、つまり上記2次色の理解のために、インク滴のカバレッジについて説明する。本実施の形態において、カバレッジとは打滴率のことであり、全画素に対するインク滴の打滴数の比率で定義される。
【0057】
図3は、面積がL×Lの4つの画素Pixに、インク滴Dが打ち込まれている状態を示しており、
図3(a)はカバレッジが25%の状態を、
図3(b)はカバレッジが50%の状態を、
図3(c)はカバレッジが100%の状態を、
図3(d)はカバレッジが200%の状態を、各々示している。つまり、
図3(a)では、4つの画素Pixに対して1個のインク滴Dが打ち込まれているので、カバレッジは25%(=1/4)となる。
図3(b)、
図3(c)でも、同様にしてカバレッジが計算される。
図3(b)、(c)における各インク滴Dの色は、同じ場合もあるし、異なる場合もある。
図3(c)からも明らかなように、単色の場合のカバレッジの最大値は100%である。
【0058】
図3(d)は、2次色を生成するために、4つの先滴DFと4つの後滴DSとの重ね打ちがなされた状態を示している。たとえば、2次色としてR(赤)色を生成するためにはY色とM色とを混合するが、この場合は、先滴DFをY色とし後滴DSをM色にするか、先滴DFをM色とし後滴DSをM色にする。むろん、発現させたい2次色の色味に応じて、先滴DF、後滴DSの各々におけるY色、M色の内訳はこれに限られない。
図3(d)からも明らかなように、2次色のカバレッジは、200%以内の値になる。
【0059】
なお、2次色のカバレッジは、先滴DF、後滴DSごとに定義することもでき、たとえば、
図3(d)の場合は、先滴DFのカバレッジは100%、後滴のDSのカバレッジは100%である。また、先滴DFが
図3(c)のように打滴され、後滴DSが
図3(b)のように打滴されれば、先滴DFのカバレッジは100%であり、後滴DSのカバレッジは50%である。
【0060】
本実施の形態に係る画像形成装置10では、さらに、C色、M色、Y色の3つの色を重ね打ちする3次色も考えられる。この場合、
図3の例でいえば、各画素にC色、M色、Y色の3つずつのインク滴が各々打ち込まれた状態の300%が、カバレッジの最大値となる。本実施の形態では、カバレッジの最大値を200%とした場合を例示して説明するが、むろん、カバレッジはこれに限定されず、200%より大きいカバレッジに対して適用してもよい。
【0061】
つぎに、後滴着弾時の先滴の乾燥について考慮すべき印刷条件について説明する。後滴着弾時の先滴の乾燥について影響を与える印刷条件は、大別して、(A)用紙Pの含水率に起因する印刷条件と、(B)先滴の吐出タイミングと後滴の吐出タイミングとの吐出時間差に起因する印刷条件とに分類される。
【0062】
(A)用紙Pの含水率に起因する印刷条件としては、着弾前の用紙の含水率、表面印刷後の裏面印刷、連続印刷初期に対する後期、等が挙げられる。
(A−1)着弾前の用紙Pの含水率
インク滴が着弾する前の用紙Pの含水率が低い場合には、先滴の乾燥が進みやすい。
(A−2)表面印刷後の裏面印刷
裏面へのインク滴着弾時は、表面印刷時においてすでに表面印刷乾燥装置26aを通過しているため用紙Pの含水率が低下している。その結果、裏面印刷時において先滴の乾燥が進みやすい。
(A−3)連続印刷初期に対する後期
先述したように、乾燥装置26のヒータ60の出力は、乾燥装置26通過後の用紙Pの温度が一定になるように制御されるが、乾燥装置26内の温度は、連続して印刷する時間が長くなるほど高くなる。その結果、連続して印刷する時間が長くなるほど乾燥装置26の乾燥能力が向上する。したがって、連続印刷する場合の後期において先滴の乾燥が進みやすい。
(B)吐出時間差に起因する印刷条件としては、液滴吐出ヘッド22間の距離、用紙搬送速度等が挙げられる。
(B−1)液滴吐出ヘッド22間の距離
液滴吐出ヘッド22と液滴吐出ヘッド22との間の距離が長いと、インク滴が着弾する時間差が長くなり、先滴の乾燥が進んだ後、後滴が着弾する。たとえば、搬送経路上流側からK色、C色、M色、Y色が順に配置されている画像形成装置10で、R色、G(緑)色、B(青)色の2次色を考えた場合、液滴吐出ヘッド22間の距離が長いC色の液滴吐出ヘッド22Cと、Y色の液滴吐出ヘッド22Yとを使用するG色において最も色味の変動が大きくなることが予測される。ただし、本実施の形態に係る画像形成装置10では、液滴吐出ヘッド22間の距離は、予め定められた距離に固定されているので、以下の説明における補正係数テーブルの作成等においては、この固定された液滴吐出ヘッド22間の距離が反映されているものとする。
(B−2)用紙搬送速度
用紙搬送速度が遅いほど着弾する時間差が長くなり、先滴の乾燥が進む。
【0063】
本実施の形態では、上記印刷条件に応じた補正係数テーブルを用いて、後滴の吐出量を制御する。補正係数テーブルは、用紙Pの種類、用紙Pの厚さごとに準備する。また、補正係数テーブルの作成に先立ち、用紙Pの印刷前の含水率、印刷開始からの経過時間、表面印刷/裏面印刷の相違、を考慮した基準となる補正係数の算出処理(補正係数算出)を行う。本補正係数算出処理によって、印刷条件(A−1)、(A−2)、および(A−3)が反映される。本実施の形態では、補正係数算出の際は、印刷条件(B−2)の用紙搬送速度は予め定められた値、たとえば、50m/min(分)に固定しておく。
【0064】
つぎに、
図4および
図5を参照して、本実施の形態に係る補正係数算出処理について説明する。
図4(a)は、本補正係数算出処理を実行するに際しての印刷条件テーブルの一例を、
図4(b)は、本補正係数算出処理を実行するに際しての測色用の画像パッチの一例を各々示している。また、
図5は、本実施の形態に係る補正係数算出処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【0065】
本補正係数算出処理は、各印刷条件における補正係数を決定するための処理である。より具体的には、
図4(a)に示す印刷条件テーブルに従って
図4(b)に示す各色の画像パッチを印刷し、印刷した画像パッチを測色して目標色に最も近い画像パッチを選択する。選択した画像パッチの後滴カバレッジと、目標色の後滴カバレッジとの比を補正係数として算出する。
【0066】
図4(a)に示すように、本実施の形態に係る印刷条件テーブルは、印刷前の用紙の含水率について、2.5%、7.5%、12.5%の3条件、印刷開始からの経過時間について、2分、5分、15分の3条件、表面印刷、裏面印刷の2条件についての合計18条件のマトリクステーブルとなっている。各条件の組み合わせには固有の番号が付されており、たとえば、印刷前の用紙の含水率2.5%、印刷開始からの経過時間2分、表面印刷の条件には、「条件1−1」の番号が付されている。他の条件の組み合わせについても同様である。なお、
図4(a)おける裏面印刷とは、表面印刷および裏面印刷の双方を行うことを意味している。
【0067】
図4(b)は、一例として、100%の先滴カバレッジに対する後滴カバレッジの値を100%、95%、90%、85%、80%、75%と変えた場合の、R、G、Bの各色の画像パッチを示している。各画像パッチはILS46によって測色され、色彩値に変換される。本実施の形態では、当該色彩値は、L
*a
*b
*色空間の色彩値(L
*,a
*,b
*)に変換される。本実施の形態における色彩値の目標値(目標色彩値)は、先滴100%、後滴100%に対応する色彩値(L
0*,a
0*,b
0*)としている。
図4(b)に示す画像パッチの画像データは、ROM32B、NVM32D等の記憶手段に格納しておいてもよい。なお、
図4(b)では、R色について、M色を先滴としY色を後滴とする例を示しているが、Y色を先滴としM色を後滴としてもよい。G色、B色についても同様である。また、色彩値を求める色空間はL
*a
*b
*色空間に限定されず、他の色空間、たとえば、YCbCr色空間等を用いてもよい。
【0068】
つぎに、
図5を参照して、補正係数算出処理プログラムについて説明する。
図5に示す処理は、ユーザによりUIパネル40等を介して実行開始の指示がなされると、CPU32AがROM32B等の記憶手段から本補正係数算出処理プログラムを読み込み、実行する。なお、本実施の形態では、本補正係数算出処理プログラムをROM32B等に予め記憶させておく形態としているが、これに限られない。たとえば、本補正係数算出処理プログラムがコンピュータにより読み取り可能な可搬型の記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線または無線による通信手段を介して配信される形態等を適用してもよい。
【0069】
また、本実施の形態では、本補正係数算出処理を、プログラムを実行することによるコンピュータを利用したソフトウエア構成により実現しているが、これに限られない。たとえば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)を採用したハードウエア構成や、ハードウエア構成とソフトウエア構成との組み合わせによって実現してもよい。
【0070】
図5に示すように、まず、ステップS100で、
図4(b)に示す画像パッチの画像データをROM32B等の記憶手段から読み込む。
【0071】
ステップS102では、
図4(a)に示す印刷条件を設定する。印刷前の用紙の含水率の設定は、たとえば、予め測定して含水率が分かっている用紙Pを用いればよい。印刷開始からの経過時間の設定は、たとえば、CPU32A等によるタイマーで設定すればよい。
【0072】
つぎのステップS104では、
図4(b)に示す画像パッチを印刷する。
つぎのステップS106では、ILS46によって印刷された画像パッチを測色し、各画像パッチについての色彩値(L
t*,a
t*,b
t*)を取得する。
【0073】
つぎのステップS108では、各画像パッチについて、以下に示す(式1)により色差ΔE(L
*a
*b
*色空間内の各画像パッチの色彩値と目標色彩値との距離)を算出する。
【0074】
つぎのステップS110では、R、G、Bの各色について、色差ΔEが最小となる、つまり最も目標色彩値(L
0*,a
0*,b
0*)に近い画像パッチを抽出する。抽出した画像パッチの後滴カバレッジを基準カバレッジとして特定する。
【0075】
つぎのステップS112では、ステップS110で特定した基準カバレジを用いて、補正係数kを算出する。本実施の形態に係る補正係数kの算出は、たとえば、目標色彩値の後滴カバレッジを100%とし、基準カバレッジが90%であった場合は、k=0.9(90%/100%)とする。
【0076】
つぎのステップS114では、ステップS112で算出した補正係数を、NVM32D等の記憶手段に格納する。
【0077】
つぎのステップS116では、
図4(a)に示す全印刷条件について終了したか否かについて判定し、当該判定は否定判定となった場合には、ステップS118でつぎの印刷条件に移り、ステップS102に戻る。一方、当該判定が肯定判定となった場合には、本補正係数算出処理プログラムを終了する。本補正係数算出処理により、
図4(a)に示す条件1−1〜9−2の18条件の各々について、R、G、B各色の基準カバレッジが算出される。
【0078】
つぎに、
図6および
図7を参照して、本実施の形態に係る印刷処理について説明する。
図6は、本印刷処理で用いる補正係数テーブルを示している。また、
図7は、本実施の形態に係る印刷処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートを示している。
【0079】
図6に示す補正係数テーブルは、実際の印刷処理における印刷条件に応じて、後滴のカバレッジを補正する係数を示している。
図6は、
図4(a)に示す印刷条件テーブルの各々の印刷条件に対応させた補正係数を示している。ただし、
図4(a)では1点であった印刷条件が、
図6では範囲に変換されている。すなわち、たとえば、
図4(a)における印刷前の含水率7.5%の条件は、
図6では、印刷前の含水率5%以上10%未満の範囲とされている。また、
図4(a)における印刷開始からの経過時間2分の条件は、
図6では、3分未満の条件とされている。換言すると、
図4(a)における各条件は、
図6における各条件の代表値となっている。
図6に示す補正係数テーブルは、R、G、B各色ごとに準備されている。
図6に示す補正係数テーブルは、予めROM32B、NVM32D等の記憶手段に格納しておいてもよい。
【0080】
図7を参照して、本実施の形態に係る印刷処理について説明する。
図7に示すフローチャートでは、すでに、ユーザによるUIパネル40等を介しての実行開始(印刷開始)の指示がなされているものとする。
【0081】
図7に示すように、まず、ステップS200で、
図6に示す補正係数テーブルを、ROM32B等の記憶手段から読み込む。
【0082】
つぎのステップS202では、含水率センサ44から用紙Pの含水率を取得する。
つぎのステップS204では、印刷開始からの経過時間(印刷時間)の計測を開始する。より具体的には、CPU32A等に内蔵されたタイマーを起動させる。
【0083】
つぎのステップS206では、印刷の対象である画像データを読み込む。
【0084】
つぎのステップS208では、液滴吐出ヘッド22から吐出させる当該インク滴が、後滴であるか否か判定する。当該判定が否定判定となった場合、つまり当該インク滴が先滴であった場合は、補正をせずにステップS212に移行する。一方、当該判定が肯定判定となった場合、つまり当該インク滴が後滴の場合は、ステップS210に移行して、後滴の吐出量を補正する。
【0085】
より具体的には、以下のように後滴の吐出量の補正を行う。すなわち、ステップS206で読み込んだ画像データの画素値における後滴のカバレッジをc(%)とし、
図6の補正係数テーブルから読み取った、当該画像データの画素値に対応する補正係数をkとした場合、当該後滴の吐出量をc・k(%)とする。また、
図7では図示を省略しているが、この後滴の吐出量の補正の際は、当該後滴による印刷が表面印刷か、裏面印刷かを判断し、この判断の結果により、
図6に示す補正係数テーブルに従って補正係数を変える。
【0086】
つぎのステップS212では、インク滴を吐出させて印刷を行う。
【0087】
つぎのステップS214では、印刷が終了したか否か判定し、当該判定が否定判定となった場合にはステップS206に戻る一方、肯定判定となった場合には、本印刷処理プログラムを終了する。
【0088】
[実施の形態の変形例]
図8を参照して、本実施の形態に係る補正係数算出処理、および印刷処理について説明する。
図8は、本実施の形態に係る用紙搬送速度条件テーブルを示している。
【0089】
上述したように、先滴の乾燥の進む程度は用紙搬送速度、すなわち印刷速度によっても影響される(上記印刷条件(B−2))。この点、上記実施の形態では、用紙搬送速度を予め定められた値に固定して補正係数を算出し、当該用紙搬送速度による印刷処理を行う形態を例示して説明した。それに対し、本実施の形態は、予め定められた複数の用紙搬送速度で補正係数を算出し、用紙搬送速度に応じた補正係数テーブルを準備し、実際の印刷では設定する用紙搬送速度に応じて補正係数テーブルを変える形態である。
【0090】
図8は、補正係数算出時の用紙搬送速度条件と印刷時の用紙搬送速度との関係を示している。まず、本実施の形態に係る補正係数算出処理では、
図8に示す補正係数算出時の用紙搬送速度条件ごとに、すなわち、用紙搬送速度20m/min、50m/min、および100m/minの3つの速度条件において、上述した算出方法により補正係数を算出する。
【0091】
そして、
図8に示すように、用紙搬送速度20m/minの条件下において取得した補正係数は、用紙搬送速度30m/min未満の実際の印刷処理に適用する。同様に、用紙搬送速度50m/minの条件下において取得した補正係数は、用紙搬送速度30m/min以上70m/min未満の実際の印刷処理に、用紙搬送速度100m/minの条件下において取得した補正係数は、用紙搬送速度70m/min以上の実際の印刷処理に適用する。本実施の形態では、この3つの用紙搬送速度条件の各々について
図6に示す補正係数テーブルが準備されるので、R色、G色、B色ごとの補正係数テーブルと合わせ、合計9種類の補正係数テーブルが準備される。なお、上記3つの速度条件は一例であって、実際の印刷の対象等に応じて必要な数の速度条件を設定すればよい。
【0092】
なお、上記実施の形態では、想定する補正係数テーブルのすべて(上記実施の形態では9種類)を用いる形態を例示して説明したが、これに限られず、実際に使用する印刷条件において必要な補正係数テーブルを選択して用いる形態としてもよい。逆に、さらに、用紙の種類(普通紙、コート紙、光沢紙等)、用紙の厚さ等の違いによる補正係数テーブルも準備し、実際の印刷に応じて使い分けてもよい。
【0093】
また、上記実施の形態では、カバレッジが200%以下の2次色について本発明を適用する形態を例示して説明したが、これに限られず、カバレッジが200%を越える3次色以上に適用する形態としてもよい。この場合、たとえば、先滴を2色、後滴を1色とし、2色の先滴については画像データで指定された吐出量を適用し、1色の後滴について画像データで指定された吐出量よりも減少させる形態とすればよい。
【0094】
また、上記実施の形態では、適用するカバレッジには特に制限を設けない形態を例示して説明したが、これに限られず、実際の印刷において許容される色味の変動等を考慮して、カバレッジにたとえば下限を設けてもよい。つまり、たとえばカバレッジの下限を180%の2次色に設定し、たとえば、先滴のカバレッジ100%に対し、後滴のカバレッジ80%以上の場合に補正する形態としてもよい。
【0095】
また、上記実施の形態では、本発明を両面印刷に適用した形態を例示して説明したが、これに限られず、片面印刷に適用した形態としてもよい。
【0096】
また、上記実施の形態では、記録媒体として連帳紙を用いる形態を例示して説明したが、これに限られず、一定のサイズに裁断された記録用紙、いわゆるカット紙を用いる形態としてもよい。