(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6520341
(24)【登録日】2019年5月10日
(45)【発行日】2019年5月29日
(54)【発明の名称】基板ブレイク装置
(51)【国際特許分類】
B28D 5/00 20060101AFI20190520BHJP
C03B 33/033 20060101ALI20190520BHJP
【FI】
B28D5/00 Z
C03B33/033
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-84696(P2015-84696)
(22)【出願日】2015年4月17日
(65)【公開番号】特開2016-43689(P2016-43689A)
(43)【公開日】2016年4月4日
【審査請求日】2018年3月26日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0108865
(32)【優先日】2014年8月21日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】390000608
【氏名又は名称】三星ダイヤモンド工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】朱 ▲ウォン▼▲ヨン▼
(72)【発明者】
【氏名】張 成雲
【審査官】
石川 健一
(56)【参考文献】
【文献】
特公昭48−008244(JP,B1)
【文献】
特開2005−001264(JP,A)
【文献】
特開平05−330837(JP,A)
【文献】
特開2005−262727(JP,A)
【文献】
特開2014−101244(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28D 5/00
C03B 33/033
B26F 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対向する面に形成される複数の噴射孔から空気が噴射されて前記基板を支持するエアベアリングテーブルと、
前記基板を挟んで前記エアベアリングテーブルと反対側に設けられて前記基板に力を加えて前記基板をブレイクするブレイクユニットと、を含み、
前記エアベアリングテーブルは、上下方向に互いに異なる方向を向く一対が隣接するように配置され、
前記一対のエアベアリングテーブルのうち上方を向く一つと対向する前記ブレイクユニットはピンブレイクユニットであり、
前記一対のエアベアリングテーブルのうち下方を向くもう一つと対向する前記ブレイクユニットはローラブレイクユニットであることを特徴とする基板ブレイク装置。
【請求項2】
前記エアベアリングテーブルの左右両側に設けられ、前記基板を支持しながら移送する移送ユニットを更に含む請求項1に記載の基板ブレイク装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板ブレイク装置に関し、更に詳しくは、基板に衝撃荷重を効率的に伝達して基板の分断を容易に行うことができる基板ブレイク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、脆性材料基板の分断装置として、スクライブ装置及びブレイク装置が使用される。スクライブ装置は、基板にスクライブラインを形成し、ブレイク装置は、予めスクライブラインが形成された基板をブレイクする時に使用される。
【0003】
ブレイクとは、結晶性の材料の基板において、分断されやすい結晶の特定方位に基板を分ける劈開の場合と、結晶の方位とは関係なく基板を分ける場合、また多結晶や非晶質材料等の特定方位への結晶性を有しない基板を分ける場合を含む概念である。
【0004】
基板に分断予定線に沿ってスクライブラインが形成された後には、基板を完全に分断するためにブレイク工程を実施するが、基板のブレイク方法には、ローラやプッシャー等を使用して基板に衝撃を加える接触式方法と、レーザ又はスチーム等を使用して基板を加熱した上で冷却させる非接触式方法がある。
【0005】
ところで、従来の接触式ブレイク工程では、硬度の高い天板及びベルトの上に基板を配置し、基板に物理的衝撃を加える方式であって衝撃荷重が伝達される効率が低く、これによりブレイク工程時に基板が完全分断されない場合が発生したり、無理な力が加わって表面不良が発生したりする問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前述した問題点を解決するためのものであって、基板に衝撃荷重を効率的に伝達して基板の分断を容易に行うことができる基板ブレイク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の基板ブレイク装置は、基板に対向する面に形成される複数の噴射孔から空気が噴射されて前記基板を支持するエアベアリングテーブルと、前記基板を挟んで前記エアベアリングテーブルと反対側に設けられて前記基板に力を加えて前記基板をブレイクするブレイクユニットと、を含
み、
前記エアベアリングテーブルは、上下方向に互いに異なる方向を向く一対が隣接するように配置され、
前記一対のエアベアリングテーブルのうち上方を向く一つと対向する前記ブレイクユニットはピンブレイクユニットであり、
前記一対のエアベアリングテーブルのうち下方を向くもう一つと対向する前記ブレイクユニットはローラブレイクユニットであることを特徴とする。
【0008】
前記基板ブレイク装置は、前記エアベアリングテーブルの左右両側に設けられ、前記基板を支持しながら移送する移送ユニットを更に含むことができる。
【0011】
前記一対のエアベアリングテーブルのうち上方を向く一つと対向する前記ブレイクユニットはピンブレイクユニットであり、前記一対のエアベアリングテーブルのうち下方を向くもう一つと対向する前記ブレイクユニットはローラブレイクユニットであってもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の基板ブレイク装置によると、基板に衝撃荷重を効果的に伝達することにより容易に基板を分断することができる。また、移送ユニットの間にエアベアリングテーブル及びブレイクユニットを配置することにより全体レイアウトを縮小することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施例に係る基板ブレイク装置の構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施例を添付された図を参照して詳しく説明する。先ず、各図の構成要素に参照符号を付加するにおいて、同一の構成要素に対しては、たとえ他の図上に表示されるとしても、可能な限り同一の符号を有するようにする。また、以下で本発明の好ましい実施例を説明するが、本発明の技術的思想はこれに限定又は制限されず、通常の技術者により変形され、様々に実施され得ることは勿論である。
【0015】
図1は、本発明の一実施例に係る基板ブレイク装置の構成を示した図であり、
図2は、
図1の主要部分を拡大して示した図である。
【0016】
このような
図1及び
図2は、本発明を概念的に明確に理解するために、主要特徴部分のみを明確に図示したものであり、その結果、図解の様々な変形が予想され、図示された特定形状により本発明の範囲が制限される必要はない。
【0017】
図1及び
図2を参照すると、本発明の一実施例に係る基板ブレイク装置1は、エアベアリングテーブル100、ブレイクユニット200及び移送ユニット300を含む。
【0018】
エアベアリングテーブル100は、上面に形成される複数の噴射孔から空気が噴射されて基板10を支持する。本実施例において、エアベアリングテーブル100は、樹脂、セラミックス等の多孔質材料を使用することにより噴射孔から噴射される空気の分布が均一化し、気流のばらつきを防止することができる。しかし、本発明の権利範囲は、これに制限される必要はなく、エアベアリングテーブル100は金属素材の上面板に複数の噴射孔を形成して空気を噴射する一般的な方式が使用されることもある。
【0019】
ブレイクユニット200は、エアベアリングテーブル100と対向する位置に設けられエアベアリングテーブル100との間に位置される基板10に力を加えて基板10をブレイクする。ブレイクユニット200は、基板10に直接接触して力を加える加圧部と、加圧部と連結されて加圧部を基板10に向かって接近又は離隔するように駆動させる駆動部を含む。
【0020】
ブレイクユニット200は、たとえばピンブレイクユニット210とローラブレイクユニット220から構成することができる。ピンブレイクユニット210は、基板10に形成されたスクライブラインが交叉する部分を尖ったピン形状の加圧部で衝撃を加えて基板10を分断し、ローラブレイクユニット220はローラ形状の加圧部で基板10の板面を加圧して基板10を分断する。
【0021】
移送ユニット300は、エアベアリングテーブル100の左右両側に設けられ、基板10を支持しながら移送する。移送ユニット300は、高さが同一である一対のコンベヤベルトから構成され、コンベヤベルトの一端側から流入された基板10を、スクライブラインが形成された部分がブレイクユニット200と対面する位置に来るように移送する。
【0022】
一方、本実施例において、エアベアリングテーブル100は、上下方向に互いに異なる方向を向く一対が隣接するように配置される。すなわち、移送ユニット300により移送された基板10は、一対のコンベヤベルトの間に位置された部分のうち一部分が第1のエアテーブル110により下面が支持され、隣接する他の部分は第2のエアテーブル120により上面が支持される。これにより、基板10の上下面がそれぞれエアベアリングテーブル100により支持され、ブレイク工程時に基板10のばらつきを効率的に抑制することができる。
【0023】
本実施例において、一対のエアベアリングテーブル100のうち上方を向く第1のエアテーブル110と対面するブレイクユニット200は、ピンブレイクユニット210であり、一対のエアベアリングテーブル100のうち下方を向く第2のエアテーブル120と対面するブレイクユニット200は、ローラブレイクユニット220である。このような構成によりブレイクユニット200による衝撃荷重をより効率的に伝達することができ、基板10の分断を効果的に行うことができる。しかし、本発明の権利範囲はこれに制限される必要はなく、それぞれに使用されるブレイクユニット200の種類、配置、個数等は、必要に応じて変更して使用されることができる。
【0024】
このような構成を有する基板ブレイク装置1の作用を説明すると、次のとおりである。
先ず、スクライブ工程を済ませた基板10が移送ユニット300により移送されて基板ブレイク装置1内へ進入する。移送ユニット300によりスクライブラインが形成された部分がブレイクユニット200と対面する位置に置かれた後、エアベアリングテーブル100が作動して空気噴射により基板10が支持される。
【0025】
エアベアリングテーブル100により基板10が支持された状態でブレイクユニット200が作動して基板10に衝撃を加えることにより、スクライブラインに沿って基板10が分断される。この時、ブレイクユニット200は基板10を挟んでエアベアリングテーブル100と対面しており、基板10に衝撃を加える時に基板10がエアベアリングテーブル100により支持されるので、基板10に衝撃荷重が極めて効果的に伝達される。
【0026】
また、エアベアリングテーブル100及びブレイクユニット200が上下方向に一対が配置されることにより基板10の分断を更に効果的に行うことができる。
【0027】
このように、本発明の基板ブレイク装置1によると、基板10に衝撃荷重を効果的に伝達することにより容易に基板10を分断することができる。これにより、基板10にスクライブラインを浅く形成させた場合にも基板10の分断が可能であり、スクライブラインを浅く形成した上で基板10を分断することにより分断面の品質及び剛性を向上させることができる。また、移送ユニット300の間にエアベアリングテーブル100及びブレイクユニット200を配置することにより全体レイアウトを縮小することができる。
【0028】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から外れない範囲内で様々な修正、変更及び置き換えが可能である。したがって、本発明に開示された実施例及び添付の図は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく、一例として説明するためのものであり、このような実施例及び添付の図により本発明の権利範囲が限定されるものではない。本発明の権利範囲は特許請求の範囲により解釈されるべきであり、それと同等な範囲内にある全ての技術思想は、本発明の権利範囲に含まれるものとして解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0029】
1 基板ブレイク装置
10 基板
100 エアベアリングテーブル
200 ブレイクユニット
300 移送ユニット