(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6520377
(24)【登録日】2019年5月10日
(45)【発行日】2019年5月29日
(54)【発明の名称】制御装置、工作機械、制御プログラム、及び制御方法
(51)【国際特許分類】
G05B 19/4155 20060101AFI20190520BHJP
G05B 19/18 20060101ALI20190520BHJP
B23Q 15/00 20060101ALI20190520BHJP
B23B 1/00 20060101ALI20190520BHJP
B23B 21/00 20060101ALI20190520BHJP
B23B 3/30 20060101ALI20190520BHJP
【FI】
G05B19/4155 M
G05B19/18 C
B23Q15/00 A
B23B1/00 Z
B23B21/00 C
B23B3/30
【請求項の数】11
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-100892(P2015-100892)
(22)【出願日】2015年5月18日
(65)【公開番号】特開2016-218604(P2016-218604A)
(43)【公開日】2016年12月22日
【審査請求日】2018年2月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
(74)【代理人】
【識別番号】100105946
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 富彦
(72)【発明者】
【氏名】内田 宗吾
(72)【発明者】
【氏名】春日井 正範
【審査官】
松田 長親
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−025727(JP,A)
【文献】
特開2007−234002(JP,A)
【文献】
特開2002−273601(JP,A)
【文献】
特開2002−268715(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/18−19/416
G05B 19/42−19/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主軸に保持されて回転するワークを切削する切削工具を保持する主刃物台および副刃物台を、前記主刃物台の工程および前記副刃物台の工程を定めた加工データに従って制御する制御装置であって、
前記主刃物台を制御する主制御部と、
前記副刃物台を制御する副制御部と、を備え、
前記主制御部は、前記主刃物台の工程を順番に実行させ、前記副刃物台の工程を開始させるコマンドを前記副制御部へ発行し、
前記副制御部は、前記副刃物台が待機状態である場合に前記コマンドに応じて前記副刃物台の工程を実行させ、前記副刃物台の工程が終了した際に前記副刃物台を待機状態にする、制御装置。
【請求項2】
前記副制御部は、前記コマンドに応じて前記副刃物台に工程を実行させる場合、工程を実行させる旨の通知を前記主制御部に送る、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記主制御部は、前記通知に応じて前記主刃物台を次の工程に進ませる、請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記副制御部は、前記コマンドに応じた前記副刃物台の工程が終了した際に、工程が終了した旨の通知を前記主制御部に送る、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記主軸が複数備えられ、
前記主刃物台および前記主制御部は、前記主軸と1対1の対応で設けられ、
前記副刃物台および前記副制御部は、2以上の前記主軸に共通で設けられる、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記副制御部は、第1の前記主軸に保持されたワークに対する前記副刃物台の工程中に、第2の前記主軸に保持されたワークに対する前記副刃物台の工程の前記コマンドの実行を保留する、請求項5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記副制御部は、前記第1の主軸に保持されたワークに対する前記副刃物台の工程が終了した後に、前記第2の主軸に保持されたワークに対する前記副刃物台の工程の前記コマンドを実行する、請求項6に記載の制御装置。
【請求項8】
前記主刃物台の工程と前記副刃物台の工程とを並行して行わせる際に、前記主刃物台の工程の開始タイミングと前記副刃物台の工程の開始タイミングとを調整する、請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項9】
ワークを保持して回転する主軸と、
前記ワークを切削する切削工具を保持する主刃物台および副刃物台と、
請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の制御装置と、を備える工作機械。
【請求項10】
主軸に保持されて回転するワークを切削する切削工具を保持する主刃物台および副刃物台を、前記主刃物台の工程および前記副刃物台の工程を定めた加工データに従って制御する制御プログラムであって、
コンピュータに、前記主刃物台の制御を実行させる主制御プログラムと、前記副刃物台の制御を実行させる副制御プログラムと、を含み、
前記主制御プログラムは、前記主刃物台の工程を順番に実行させ、前記副刃物台の工程を開始させるコマンドを前記副制御プログラムに発行し、
前記副制御プログラムは、前記副刃物台が待機状態である場合に前記コマンドに応じて前記副刃物台の工程を実行させ、前記副刃物台の工程が終了した際に前記副刃物台を待機状態にする、制御プログラム。
【請求項11】
主軸に保持されて回転するワークを切削する切削工具を保持する主刃物台および副刃物台を、前記主刃物台の工程および前記副刃物台の工程を定めた加工データに従って制御する制御方法であって、
前記主刃物台を主制御部により制御することと、
前記副刃物台を副制御部により制御することと、を含み、
前記主制御部は、前記主刃物台の工程を順番に実行させ、前記副刃物台の工程を開始させるコマンドを前記副制御部へ発行し、
前記副制御部は、前記副刃物台が待機状態である場合に前記コマンドに応じて前記副刃物台の工程を実行させ、前記副刃物台の工程が終了した際に前記副刃物台を待機状態にする、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、工作機械、制御プログラム、及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械の1つである旋盤は、加工対象であるワークを主軸に保持し、ワークを回転させながら、刃物台に保持されるバイト等の切削工具により切削加工等を行う。1つの刃物台に保持可能な切削工具の数には限度があり、例えば、1つの主軸に対して複数の刃物台が設けられる工作機械もある(例えば、下記の特許文献1参照)。特許文献1に記載された対向2軸旋盤は、複数の主軸、複数の上位刃物台、及び下位刃物台を備える。上位刃物台は、例えば主軸ごとに設けられ、下位刃物台は、例えば複数の主軸に共通で設けられる。下位刃物台は、例えば、上位刃物台が加工後のワークに更なる加工を施したり、上位刃物台と並行して加工を施したりする。
【0003】
工作機械は、通常、数値制御(NC)によりワークを加工する(例えば、下記の特許文献2参照)。数値制御に用いられる加工データは、例えば、ユーザが工程の内容およびタイミングを指定したNCデータなどである。各工程は、その内容に応じて刃物台に割り付けられ、工作機械は、加工データに指定されたタイミングで各工程を行う。各工程を開始するタイミングは、刃物台の干渉などを避けるために、前の工程の終了時からマージンをとって定められる。例えば、1つのワークに対する刃物台の工程が終了後、このワークに対する他の刃物台の工程が開始されるまでの間、これらの刃物台はともに待機状態(待ち合わせ状態)となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5375500号公報
【特許文献2】特開平4−69131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような工作機械は、一連の工程において待機状態の総回数、総時間が増えると、加工効率が低下してしまう。待機状態の総回数は、工程の順番(加工データ)の良し悪し等に依存し、加工効率の低下を抑えるために、ユーザが試行錯誤などにより加工データの最適化を図ること等が行われており、ユーザの負担が増加する。このように、現状では、ユーザの負担を抑えつつ加工効率の低下を避けることが難しい。
【0006】
本発明は、上述の事情に鑑みなされたものであり、加工効率の低下を避けつつユーザの負担を抑えることが可能な制御装置、工作機械、制御プログラム、及び制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の制御装置は、主軸に保持されて回転するワークを切削する切削工具を保持する主刃物台および副刃物台を、主刃物台の工程および副刃物台の工程を定めた加工データに従って制御する制御装置であって、主刃物台を制御する主制御部と、副刃物台を制御する副制御部と、を備え、主制御部は、主刃物台の工程を順番に実行させ、副刃物台の工程を開始させるコマンドを副制御部へ発行し、副制御部は、副刃物台が待機状態である場合にコマンドに応じて副刃物台の工程を実行させ、副刃物台の工程が終了した際に副刃物台を待機状態にする。
【0008】
また、副制御部は、コマンドに応じて副刃物台に工程を実行させる場合、工程を実行させる旨の通知を主制御部に送るものでもよい。また、主制御部は、通知に応じて主刃物台を次の工程に進ませるものでもよい。また、副制御部は、コマンドに応じた副刃物台の工程が終了した際に、工程が終了した旨の通知を主制御部に送るものでもよい。また、主軸が複数備えられ、主刃物台および主制御部は、主軸と1対1の対応で設けられ、副刃物台および副制御部は、2以上の主軸に共通で設けられるものでもよい。また、副制御部は、第1の主軸に保持されたワークに対する副刃物台の工程中に、第2の主軸に保持されたワークに対する副刃物台の工程のコマンドの実行を保留するものでもよい。また、副制御部は、第1の主軸に保持されたワークに対する副刃物台の工程が終了した後に、第2の主軸に保持されたワークに対する副刃物台の工程のコマンドを実行するものでもよい。また、主刃物台の工程と副刃物台の工程とを並行して行わせる際に、主刃物台の工程の開始タイミングと副刃物台の工程の開始タイミングとを調整するものでもよい。
【0009】
本発明の工作機械は、ワークを保持して回転する主軸と、ワークを切削する切削工具を保持する主刃物台および副刃物台と、主刃物台の工程および副刃物台の工程を定めた制御プログラムに従って、主刃物台および副刃物台を制御する上記の制御装置と、を備える。
【0010】
本発明の制御プログラムは、主軸に保持されて回転するワークを切削する切削工具を保持する主刃物台および副刃物台を、主刃物台の工程および副刃物台の工程を定めた加工データに従って制御する制御プログラムであって、コンピュータに、主刃物台の制御を実行させる主制御プログラムと、副刃物台の制御を実行させる副制御プログラムと、を含み、主制御プログラムは、主刃物台の工程を順番に実行させ、副刃物台の工程を開始させるコマンドを副制御プログラムに発行し、副制御プログラムは、副刃物台が待機状態である場合にコマンドに応じて副刃物台の工程を実行させ、副刃物台の工程が終了した際に副刃物台を待機状態にする。
【0011】
本発明の制御方法は、主軸に保持されて回転するワークを切削する切削工具を保持する主刃物台および副刃物台を、主刃物台の工程および副刃物台の工程を定めた加工データに従って制御する制御方法であって、主刃物台を主制御部により制御することと、副刃物台を副制御部により制御することと、を含み、主制御部は、主刃物台の工程を順番に実行させ、副刃物台の工程を開始させるコマンドを副制御部へ発行し、
副制御部は、副刃物台が待機状態である場合にコマンドに応じて副刃物台の工程を実行させ、副刃物台の工程が終了した際に副刃物台を待機状態にする。
【発明の効果】
【0012】
本発明よれば、副刃物台が待機状態にある場合にコマンドに応じて副刃物台に工程を開始させるので、待機状態を減らすことができ、加工効率の低下を避けることができる。また、副刃物台がコマンドにより工程を開始するので、副刃物台に工程を開始させるタイミングを予め定める必要が減り、このタイミングをユーザが定める負担を抑えることができる。
【0013】
また、副制御部は、コマンドに応じて副刃物台に工程を実行させる場合、工程を実行させる旨の通知を主制御部に送るものでは、主制御部は、副刃物台の工程が実行されるか否かを把持することができるので、例えばロバストな制御を行うことができる。また、主制御部は、通知に応じて主刃物台を次の工程に進ませるものでは、例えば主刃物台の次の工程を速やかに開始させることができ待機時間を減らすことができるので、加工効率の低下を避けることができる。また、副制御部は、コマンドに応じた副刃物台の工程が終了した際に、工程が終了した旨の通知を主制御部に送るものでは、主制御部は、副刃物台の工程が終了したか否かを把持することができるので、例えばロバストな制御を行うことができる。また、主軸が複数備えられ、主刃物台および主制御部は、主軸と1対1の対応で設けられ、副刃物台および副制御部は、2以上の主軸に共通で設けられるものでは、主軸ごとに副刃物台が設けられる場合と比較して、副刃物台の数を減らすことができる。また、副刃物台は、各主軸に保持されるワークに対して、主制御部が発行するコマンドに応じて工程を開始するので、加工データが複雑になることを避けることができ、例えば、加工データを作成する際のユーザの負担を減らすことができる。また、副制御部は、第1の主軸に保持されたワークに対する副刃物台の工程中に、第2の主軸に保持されたワークに対する副刃物台の工程のコマンドの実行を保留するものでは、副刃物台による第1の主軸側での行程中に第2の主軸側での工程の開始が保留されるので、例えばロバストな制御を行うことができる。また、副制御部は、第1の主軸に保持されたワークに対する副刃物台の工程が終了した後に、第2の主軸に保持されたワークに対する副刃物台の工程のコマンドを実行するものでは、主制御部が発行したコマンドに応じて第2の主軸に保持されたワークに対する工程が実行されるので、副刃物台の工程を開始するタイミングを予め定める必要が低く、例えば、加工データを作成する際のユーザの負担を減らすことができる。また、主刃物台の工程と副刃物台の工程とを並行して行わせる際に、主刃物台の工程の開始タイミングと副刃物台の工程の開始タイミングとを調整するものでは、例えば主刃物台の工程と副刃物台の工程とで開始タイミングを高精度に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態に係る工作機械の一例を示す図である。
【
図3】本実施形態に係る制御方法の例を示すフローチャートである。
【
図5】本実施形態に係る制御方法の他の例を示すフローチャートである。
【
図7】本実施形態に係る制御方法の他の例を示すフローチャートである。
【
図8】変形例に係る工作機械を概略して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。また、図面において、一部分を大きくまたは強調して記載するなど適宜縮尺を変更して表現する。
【0016】
図1は、本実施形態に係る工作機械1Aの一例を示す図である。この工作機械1Aは、対向2軸旋盤である。工作機械1Aは、複数の主軸(第1の主軸2、第2の主軸3)と、複数の主刃物台(第1主刃物台4、第2主刃物台5)と、副刃物台6と、制御装置7とを備える。第1主刃物台4、第2主刃物台5は、それぞれ、複数の主軸と1対1の対応で設けられ、第1主刃物台4は第1の主軸2と対応し、第2主刃物台5は、第2の主軸3と対応する。副刃物台6は、2以上の主軸(第1の主軸2、第2の主軸3)に共通で設けられる。
【0017】
第1主刃物台4と副刃物台6とは、分担してワークW1に切削加工を施すことができる。例えば、工作機械1Aは、第1刃物台4と副刃物台6とで並行して切削加工を施すことにより、効率よく切削加工を施すことができる。また、工作機械1Aは、ワークW1に多段削り行う際に、例えば、第1主刃物台4が先行して外周部を削りながら、副刃物台6は、第1主刃物台4が削った後をさらに削るといった切削加工も可能である。また、工作機械1Aは、第1主刃物台4がワークW1を荒削りし、副刃物台6が仕上げを行うといった切削加工も可能である。同様に、第2主刃物台5と副刃物台6とは、分担して、ワークW2に切削加工を施すことができる。
【0018】
第1の主軸2は、ワークW1を保持して回転可能である。ワークW1は、例えば、円筒面を有する形状(例、円柱形、円筒形)のものであるが、その形状に限定はない。第1主刃物台4は、ワークW1を切削する切削工具T1を保持する。第2の主軸3は、ワークW2を保持して回転可能である。ワークW2は、例えばワークW1と同様の形状であるが、ワークW1と異なる形状のものでもよい。第2主刃物台5は、ワークW2を切削する切削工具T2を保持する。副刃物台6は、ワークW1またはワークW2を切削する切削工具T3を保持する。
【0019】
以下の各図において、XYZ座標系を適宜用いて、図中の方向を説明する。また、X方向、Y方向、Z方向の各方向において、矢印の向く側を+側(例、+X側)、その反対側を−側(例、−X側)で表す。このXYZ座標系において、Z方向は、第1の主軸2、第2の主軸の回転軸に平行な方向であり、例えば水平方向である。また、X方向は、ワークW1、ワークW2に対する切削量を規定する方向である。また、Y方向は、X方向およびZ方向のそれぞれに直交する方向である。XY平面は、例えば、水平面に対して傾斜した面である。
図1において、工作機械1Aの+Y側が正面であり、−Y側が背面である。また、工作機械1Aの±Z側は側面であり、Z方向は工作機械1Aの左右方向である。
【0020】
第1の主軸2は、主軸台10に回転可能な状態で支持される。主軸台10は、例えばベース(図示せず)上に設けられる。主軸台10は、ベースに固定されるが、Z方向、X方向、Y方向等に移動可能に形成され、モータ等の駆動によって移動するものでもよい。第1の主軸2の+Z側の端部には、チャック駆動部11が設けられる。チャック駆動部11は、複数の把持爪12を第1の主軸2の径方向に移動させ、把持爪12によりワークW1を把持させる。把持爪12の個数、形状に限定はなく、把持爪12は、ワークW1を保持可能な任意の構成のものでよい。第1の主軸2には、ローダ装置(図示せず)からワークW1が搬入され、把持爪12がワークW1を把持することにより、ワークW1が保持される。
【0021】
第1の主軸2の−Z側の端部は主軸台10から−Z方向に突出しており、この端部にプーリ13が取り付けられる。プーリ13とモータ(図示せず)の回転軸との間にはベルト14が掛け渡される。このモータは、例えば上記のベースに設けられ、トルク制御機構を備える。このモータの回転によりベルト14が周回し、ベルト14の周回によりプーリ13が回転する。第1の主軸2は、プーリ13の回転に伴って、Z方向に平行な回転軸周りに回転する。なお、第1の主軸2を回転させる機構は、上述の機構に限定されず、例えばモータの駆動を歯車列等で第1の主軸2に伝達するものでもよい。
【0022】
第2の主軸3は、XY平面に関して第1の主軸2と対称的に設けられる。第2の主軸3を支持する機構、第2の主軸3を回転させる機構については、第1の主軸2と同様であり、同じ符号を付してその説明を省略する。なお、
図1では第1の主軸2と第2の主軸3とに個別にワークW1、ワークW2が片持ち状に保持されるが、第1の主軸2と第2の主軸3とで1つのワークを両持ち状に保持させることもできる。
【0023】
第1主刃物台4は、例えばタレットであり、第1の主軸2に対して+X側に配置される。第1主刃物台4は、少なくともX方向に移動可能に設けられ、ここではX方向及びZ方向のそれぞれに移動可能である。なお、工作機械1Aは、第1の主軸2がZ方向に移動可能でもよく、この場合、第1刃物台4は、Z方向に移動してもよいし、Z方向に移動しなくてもよい。以下、第1主刃物台4の移動機構の一例について説明する。工作機械1Aには、Z方向に延びるZガイド20が設けられる。Zガイド20には、Zガイド20に沿ってZ方向に移動可能なZスライド21が設けられる。Zスライド21は、Z駆動部22によりZ方向に移動し、所定位置で保持される。なお、Z駆動部22は、例えば、電気モータや油圧等が用いられる。Zスライドには、X方向に延びるXガイド23と、Xガイド23に沿って移動可能なXスライド24とが設けられる。Xスライド24は、X駆動部25の駆動によりX方向に移動し、所定位置で保持される。X駆動部25は、例えば、電気モータや油圧等が用いられる。Xスライド24には、刃物台駆動部26が設けられる。刃物台駆動部26には、モータ等の回転駆動装置(図示せず)が用いられる。刃物台駆動部26には、第1主刃物台4が取り付けられる。第1主刃物台4は、回転駆動装置の駆動によりZ方向と平行の回転軸周りに回転可能である。
【0024】
第1主刃物台4の周面には、切削工具T1(ツール)を保持する複数のステーションが設けられる。切削工具T1は、複数のステーションの全部または一部に、ステーションごとに保持される。第1主刃物台4を回転させることにより、所望の切削工具T1が選択される。第1主刃物台4のステーションに保持される切削工具T1は、各ステーションに対して交換可能である。切削工具T1としては、ワークW1に対して切削加工を施すバイト等の他、ドリルやエンドミル等の回転工具が用いられてもよい。第1主刃物台4には、複数のステーションの1つとして工具ユニット27が装着される。工具ユニット27には、ホルダ(図示せず)を介して切削工具T1が取り付けられている。また、第1主刃物台4は、タレットに限定されず、くし歯状の刃物台でもよい。くし歯状の刃物台は、複数のくし歯部分のそれぞれに切削工具T1が保持され、くし歯が並ぶ方向に移動することにより複数の切削工具T1のうちいずれか1つを選択する。
【0025】
第2主刃物台5は、XY平面に関して第1主刃物台4と対称的に設けられる。第2主刃物台5を支持する機構、第2主刃物台5を駆動する機構については、第1主刃物台4と同様であり、同じ符号を付してその説明を省略する。第2主刃物台5に保持される切削工具T2は、第1主刃物台4に保持される切削工具T1と同じものでもよいし、切削工具T1と異なるものでもよい。
【0026】
副刃物台6は、例えば、第1の主軸2に対して第1主刃物台4と反対側(−X側)に配置される。副刃物台6を支持する機構、副刃物台6を駆動する機構に関して、第1主刃物台4と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。副刃物台6は、第1の主軸2に保持されるワークW1に切削加工を施すことが可能な位置P1と、第2の主軸3に保持されるワークW2に切削加工を施すことが可能な位置P2との間を移動可能である。ここでは、第1の主軸2と第2の主軸3とがZ方向に離れて配置されており、副刃物台6はZ方向に移動可能である。工作機械1Aには、第1の主軸2と第2の主軸3とを結ぶ方向と平行にZガイド28が設けられ、副刃物台6は、Zガイド28に沿って移動する。Zガイド28は、第1主刃物台4の移動に用いられるZガイド20と比較してZ方向に長く、Zガイド20よりも+Z側まで延びている。
【0027】
副刃物台6に保持される切削工具T3は、例えば、第1主刃物台4に保持される切削工具T1と異なり、副刃物台6は、ワークW1に対して第1主刃物台4と異なる切削加工を施すことが可能である。副刃物台6に保持可能な切削工具T3の数(ステーションの数)は、例えば、第1主刃物台4に保持可能な切削工具T3の数(ステーションの数)よりも少ない。例えば、第1主刃物台4のステーションの数、第2主刃物台5のステーションの数は、いずれも15であり、副刃物台6のステーションの数は12である。副刃物台6は、例えば、第1主刃物台4に保持しきれない切削工具を保持し、ワークW1に対する加工を第1主刃物台4と分担して行ってもよい。なお、副刃物台6は、ワークW1等が長尺の場合に対応してローラサポート機能やテイルストック機能を有してもよい。また、副刃物台6は、Y方向の軸周りに回転可能として、切削工具T3をX方向に対して傾けて切削加工を行うものでもよい。また、副刃物台6に保持可能な切削工具T3の数は、主刃物台(例、第1主刃物台4、第2主刃物台5)と同じでもよいし、主刃物台よりも多くてもよい。
【0028】
次に、本実施形態に係る制御装置7について説明する。制御装置7は、主刃物台(第1主刃物台4または第2主刃物台5)の工程および副刃物台6の工程を定めた加工データに従って制御を行う。制御装置7は、第1主刃物台4を制御する第1主制御部31と、第2主刃物台5を制御する第2主制御部32と、副刃物台6を制御する副制御部33と、を備える。第1主制御部31、第2主制御部32は、それぞれ、副制御部33と通信可能に接続される。制御装置7は、第1の主軸2を制御部(図示せず)、第2の主軸3を制御する制御部(図示せず)、ローダ装置(図示せず)の制御部の少なくとも1つを備えていてもよい。
【0029】
ここで、加工データの一例について説明する。加工データは、例えば、数値制御に用いられるNCデータなどである。
図2は、加工データD1の一例を示す概念図である。加工データは、例えば、工程を定めたプログラムなどであり、フローに沿って順に加工を実行させるが、ここでは加工データを概念的にテーブルデータで表す。この加工データD1は、第1主刃物台4と副刃物台6とで行う各工程の内容および順番を定めたデータである。加工データD1に含まれる項目は、例えば、「工程番号」、「使用する刃物台」、「使用する切削工具」、「切削位置」、「切削量」などである。
【0030】
「工程番号」は、先に行われる工程から後で行われる工程の順に各工程に割り付けられた番号である。例えば、「工程1」の後に「工程2」が行われ、「工程2」の次に「工程3」が行われる。「使用する刃物台」は、各工程で切削加工を行う刃物台であり、例えば、刃物台ごとに割り付けられるIDなどで表される。「使用する切削工具」は、各工程で切削加工に用いられる切削工具であり、例えば、切削工具が保持されるステーションごとに割り付けられるIDなどで表される。「切削位置」は、各工程で切削加工を行う位置であり、例えば、切削工具のZ方向の座標に相当する数値などで表される。「切削量」は、各工程における切削量であり、例えば、切削加工を開始する際の切削工具のX方向の座標に相当する数値、及び切削加工を終了する際の切削工具のX方向の座標に相当する数値などで表される。
【0031】
第1主制御部31は、例えば、
図2の加工データD1に従って、第1主刃物台4を制御する。第1主制御部31は、第1主刃物台4の工程を、加工データD1に定められた順番で実行させる。例えば、第1主制御部31は、次の工程をいずれの刃物台により実行するかを、加工データD1に基づいて判定する。例えば、加工データD1において「工程1」は、「使用する刃物台」が「第1刃物台」であり、この場合、第1主制御部31は、次の工程を第1主刃物台4により実行すると判定する。例えば、「工程1」の「使用する切削工具」は「切削工具1a」であり、第1主制御部31は、第1主刃物台4の刃物台駆動部26を制御し、「切削工具1a」に相当する切削工具T1を選択する。また、「工程1」の「切削位置」は「Z1a」であり、第1主制御部31は、第1主刃物台4のZ駆動部22を制御し、選択した切削工具T1を「Z1a」に相当する位置に配置する。また、「工程1」の「切削量」は「X1a」であり、第1主制御部31は、ワークW1を保持した第1の主軸2が回転している状態で、第1主刃物台4のX駆動部25を制御し、第1主刃物台4を「X1a」に応じた量だけX方向に移動させる。
【0032】
第1主制御部31は、工程が終了するたびに、次の工程をいずれの刃物台により行うかを、加工データD1に基づいて判定する。例えば、加工データD1において「工程1」に続く「工程2」は、「使用する刃物台」が「副刃物台」であり、この場合、第1主制御部31は、次の工程を副刃物台6により実行すると判定する。第1主制御部31は、次の工程を副刃物台6により実行すると判定した場合、副刃物台6の工程を開始させるコマンドを副制御部33へ発行する。このコマンドは、次の工程の「工程番号」を指定したものであり、加えて「使用する切削工具」、「切削位置」、「切削量」の少なくとも1つを指定したものでもよい。
【0033】
副制御部33は、副刃物台6が待機状態である場合に、コマンドに応じて副刃物台6の工程を実行させる。待機状態は、工程を実行していない状態であり、例えば、コマンドを受け付ける状態、アイドル状態などである。例えば、副制御部33は、第1主制御部31からコマンドを受けた場合、副刃物台6が待機状態であるか否かを判定する。副制御部33は、副刃物台6が待機状態であると判定した場合、コマンドに指定された副刃物台6の工程を実行させる。例えば、「工程2」の「使用する切削工具」は「切削工具3a」であり、副制御部33は、副刃物台6の刃物台駆動部26を制御し、「切削工具3a」に相当する切削工具T3を選択する。また、「工程2」の「切削位置」は「Z3a」であり、副制御部33は、副刃物台6のZ駆動部22を制御し、選択した切削工具T3を「Z3a」に相当する位置に配置する。また、「工程2」の「切削量」は「X3a」であり、副制御部33は、ワークW1を保持した第1の主軸2が回転している状態で、副刃物台6のX駆動部25を制御し、副刃物台6を「X3a」に応じた量だけX方向に移動させる。このようにして、副制御部33は、副刃物台6の「工程2」を実行させる。副刃物台6は、「工程2」に関する「使用する切削工具」、「切削位置」、「切削量」の情報の少なくとも一つを加工データD1から取得してもよいし、第1主制御部31が発行するコマンドに各項目の値が指定される形態においては、各項目の情報を加工データD1から取得しなくてもよい。副制御部33は、副刃物台6の工程が終了した際に、この工程が終了した旨の通知を第1主制御部31に送る。また、副制御部33は、副刃物台6の工程が終了した際に、副刃物台6を待機状態にする。なお、主制御部(例、第1主制御部31、第2主制御部32)及び副制御部33の少なくとも1つは、加工工程に加えて、準備工程や計測工程などを実行させてもよい。
【0034】
次に、上述のような工作機械1Aの構成に基づき、本実施形態に係る制御方法について説明する。
図3は、本実施形態に係る制御方法の例を示すフローチャートである。ここでは、
図2に示した加工データD1に従って、第1主刃物台4と副刃物台6とが切削加工を施す場合について説明する。
【0035】
副刃物台6は、一連の工程が開始される時点で、待機状態である(ステップS1)。第1主制御部31(図中「第1主刃物台制御部」で表す)は、ステップS2において、加工データに従って第1主刃物台4の「工程1」を実行させる。第1主刃物台4は、ステップS3において、「工程1」を終了する。第1主制御部31は、加工データに定められた順に第1主刃物台4の工程を実行させ、副刃物台6の工程の順が来た場合に、ステップS4において、「工程2」を開始させるコマンドを副制御部33(図中「副刃物台制御部」と表す)へ発行する。副制御部33は、ステップS5において、「工程2」を開始させるコマンドを受信する。副制御部33は、コマンドを受信した場合に、コマンドに指定された工程を開始するか否かを判定する。副制御部33は、コマンドを受信した際に副刃物台6が待機状態にある場合に、コマンドに指定された工程を開始すると判定する。ここでは、副刃物台6がステップS1から待機状態にあるので、副制御部33は、工程を開始すると判定し、ステップS6において、コマンドに指定された工程を実行する旨の通知として、コマンドを受信した旨の通知を第1主制御部31に送る。コマンドを受信した際に副刃物台6が待機状態でない場合については、後に
図7などを参照しつつ説明する。
【0036】
第1主制御部31は、ステップS7において、副制御部33がコマンドを受信した旨の通知を、受信する。副制御部33は、ステップS8において、コマンドに応じて副刃物台6の「工程2」を開始させる。副刃物台6は、ステップS9において、「工程2」を終了する。副制御部33は、ステップS10において、「工程2」が終了した旨の通知を第1主制御部31に送る。副制御部33は、ステップS11において、副刃物台6を待機状態にする。第1主制御部31は、ステップS12において、副刃物台6の「工程2」が終了した旨の通知を受信する。また、第1主制御部31は、加工データD1に基づいて、次の「工程3」をいずれの刃物台により実行するかを判定する。ここでは、加工データD1における「工程3」の「使用する刃物台」が「第1主刃物台」であり、第1主制御部31は、「工程3」を第1主刃物台4により実行すると判定する。第1主制御部31は、ステップS13において、第1主刃物台4の「工程3」を開始させる。第1主刃物台4は、ステップS14において、「工程3」を終了する。
【0037】
次に、本実施形態に係る加工データの他の例、及び制御方法の他の例について説明する。
図4は、加工データの他の例を示す概念図である。
図4の加工データD2は、「工程1」〜「工程3」については
図2の加工データD1と同じである。加工データD2の「工程4」は、第1主刃物台4と副刃物台6とで並行して切削加工を行う工程である。「工程4」には、第1主刃物台4に関する「使用する切削工具」、「切削位置」、及び「切削量」と、副刃物台6に関する「使用する切削工具」、「切削位置」、及び「切削量」とが定められている。第1主制御部31は、第1主刃物台4に関する「使用する切削工具」、「切削位置」、及び「切削量」に従って、「工程4」のうち第1主刃物台4の工程を実行させる。また、第1主制御部31は、「工程4」のうち副刃物台6の工程を開始させるコマンドを副制御部33に送る。副制御部33は、副制御部33が待機状態である場合に、コマンドに応じて副刃物台6の工程を開始させる。
【0038】
図5は、加工データD2に応じた制御方法の例を示すフローチャートである。
図5において、「工程1」〜「工程3」に対応するステップS1〜ステップS14は、
図3と同じであるので、その説明を省略する。第1主制御部31は、ステップS14に続くステップS21において、副刃物台6の「工程4」を開始させるコマンドを副制御部33へ発行する。ステップS22において、副制御部33は、「工程4」を開始させるコマンドを受信する。副制御部33は、「工程4」を開始するか否かを判定する。副制御部33は、副刃物台6が待機状態にある場合に「工程4」を開始すると判定し、コマンドを実行する。また、副制御部33は、副刃物台6が待機状態にない場合に、「工程4」を開始しないと判定し、コマンドの実行を保留する。
【0039】
副制御部33は、「工程4」を開始すると判定した場合、ステップS23において、コマンドを受信した旨の通知を第1主制御部31に送る。第1主制御部31は、ステップS24において、副制御部33がコマンドを受信した旨の通知を受信する。第1主制御部31は、この通知に応じて第1主刃物台4を前回の「工程3」の次の「工程4」に進ませる。第1主制御部31は、ステップS25において第1主刃物台4の「工程4」を開始させる。第1主刃物台4は、ステップS26において、「工程4」を終了する。また、副制御部33は、ステップS23において通知を送った後、ステップS27において副刃物台6の「工程4」を開始させる。副刃物台6は、ステップS28において、「工程4」を終了する。副制御部33は、ステップS29において、副刃物台6の「工程4」が終了した旨の通知を第1主制御部31に送る。第1主制御部31は、ステップS30において、副刃物台6の「工程4」が終了した旨の通知を受信する。
【0040】
次に、本実施形態に係る加工データの他の例、及び制御方法の他の例について説明する。ここでは、第1主刃物台4、第2主刃物台5、及び副刃物台6により切削加工を行う場合について説明する。
図6は、加工データの他の例を示す概念図である。
図6(A)の加工データD3は、第1主刃物台4の工程および副刃物台6の工程を定めたものであり、
図2と同様であるが、
図6(B)の加工データD4の工程と区別するために、工程番号に添え字「A」を付した。
図6(B)の加工データD4は、第2主刃物台5の工程および副刃物台6の工程を定めたものであり、各項目については加工データD3と同様である。
図6(B)では、加工データD3の工程と区別するために、工程番号に添え字「B」を付した。第2主制御部32は、第1主制御部31と同様に、加工データD4に従って第2主刃物台5を制御する。第2主制御部32は、第2主刃物台5の工程を加工データD4に定められた順番で実行させる。また、第2主制御部32は、副刃物台6の工程を開始させるコマンドを副制御部33へ発行する。
【0041】
図7は、加工データD3および加工データD4に応じた制御方法の例を示すフローチャートである。
図7において、ステップS31〜ステップS38は、
図3のステップS1〜ステップS8と同じであるので、その説明を省略する。第2主制御部32(図中「第2刃物台制御部」で表す)は、次の工程を実行する刃物台を、加工データD4に基づいて判定する。例えば、加工データD4において、「工程1B」の「使用する刃物台」は「第2主刃物台」であり、第2主制御部32は、次の工程を第2主刃物台5により実行すると判定する。第2主制御部32は、ステップS40において、第2主刃物台5の「工程1B」を開始させ、第2主刃物台5は、ステップS41において「工程1B」を終了する。第2主制御部32は、工程が終了するたびに次の工程を実行する刃物台を、加工データD4に基づいて判定する。例えば、加工データD4において、「工程1B」に続く「工程2B」の「使用する刃物台」は「副刃物台」であり、第2主制御部32は、次の工程を副刃物台6により実行すると判定する。第2主制御部32は、ステップS42において、副刃物台6の「工程2B」を開始させるコマンドを副制御部33へ発行する。ステップS43において、副制御部33は、「工程2B」を開始させるコマンドを受信する。副制御部33は、「工程2B」を開始するか否かを判定する。副制御部33は、副刃物台6が待機状態にある場合に「工程2B」を開始すると判定し、副刃物台6が待機状態にない場合に、「工程2B」を開始しないと判定する。ここでは、副刃物台6が「工程2A」を実行中であり待機状態でないので、副制御部33は、「工程2B」を開始しないと判定し、ステップS44において、「工程2B」を開始させるコマンドの実行を保留する。
【0042】
ステップS45において、副刃物台6は「工程2A」を終了する。副制御部33は、ステップS46において、「工程2A」が終了した旨の通知を第1主制御部31に送る。第1主制御部31は、ステップS47において。副刃物台6の「工程2A」が終了した旨の通知を受信する。第1主制御部31は、ステップS48において、「工程2A」に続く第1主刃物台4の「工程3A」を開始させる。第1主刃物台4は、ステップS49において、「工程3B」を終了する。
【0043】
また、副制御部33は、ステップS46に続くステップS50において、ステップS44で保留したコマンドを受信した旨の通知を、第2主制御部32に送る。副制御部33は、「工程2B」を実行する旨の通知として、コマンドを受信した旨の通知を第2主制御部32に送る。第2主制御部32は、ステップS51において、コマンドを副制御部33が受信した旨の通知を受信する。副制御部33は、ステップS52において、副刃物台6の「工程2B」を開始させる。副刃物台2Bは、ステップS53において、「工程2B」を終了する。副制御部33は、ステップS54において、「工程2B」が終了した旨の通知を第1主制御部31に送る。副制御部33は、ステップS55において、副刃物台6を待機状態にする。第2主制御部32は、ステップS56において、副刃物台6の「工程2B」が終了した旨の通知を受信する。第2主制御部32は、次の工程をいずれの刃物台により実行するかを判定する。例えば、「工程2B」の次の「工程3B」における「使用する刃物台」は、「第2刃物台」であり、第2主制御部32は、ステップS57において、第2主刃物台5の「工程3B」を開始させる。第2主刃物台5は、ステップS58において、「工程3B」を終了する。
【0044】
上述の実施形態において、制御装置7は、例えばコンピュータシステムを含む。制御装置7は、記憶部(図示せず)に記憶されている制御プログラムを読み出し、この制御プログラムに従って各種の処理を実行する。この制御プログラムは、主軸に保持されて回転するワークを切削する切削工具を保持する主刃物台および副刃物台を、主刃物台の工程および副刃物台の工程を定めた加工データに従って制御する制御プログラムであって、コンピュータに、主刃物台の制御を実行させる主制御プログラムと、副刃物台の制御を実行させる副制御プログラムと、を含み、主制御プログラムは、主刃物台の工程を加工データに定められた順番で実行させ、副刃物台の工程を開始させるコマンドを副制御プログラムに発行し、副制御プログラムは、副刃物台が待機状態である場合にコマンドに応じて副刃物台の工程を実行させ、副刃物台の工程が終了した際に副刃物台を待機状態にする。例えば、主制御プログラムは、第1主制御部31および第2主制御部32のそれぞれに用いられ、副制御プログラムは、副制御部33に用いられる。この制御プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記録されて提供されてもよい。
【0045】
次に、変形例について説明する。
図8(A)は、第1変形例に係る工作機械1Bを概略して示す図である。この工作機械1Bは、平行2軸旋盤である。工作機械1Bにおいて、第1の主軸2および第2の主軸3は、それぞれZ方向に延びており、X方向に互いに離れて配置される。第1主刃物台4は、例えば、第1の主軸2に対して−X側に配置される。第2主刃物台5は、例えば、第2の主軸3に対して+X側に配置される。副刃物台6は、第1の主軸2に保持されるワークと第2の主軸3に保持されるワークとにそれぞれアクセス可能な位置に配置される。副刃物台6は、例えば、X方向において、第1の主軸2と第2の主軸3との間に配置される。このように、本実施形態は、対向2軸旋盤の他に平行2軸旋盤などにも適用できる。また、本実施形態においては、主刃物台(第1主刃物台4、第2主刃物台5)の数2つであり、副刃物台6の数が1つであるが、主刃物台の数が3以上でもよく、副刃物台は、3以上の主刃物台に対応して設けられてもよい。
【0046】
図8(B)は、第2変形例に係る工作機械1Cを概略して示す図である。この工作機械1Cは、1軸旋盤である。工作機械1Cにおいて、主軸35は、Z方向に延びている。主刃物台36は、例えば、主軸35に対して−X側に配置される。副刃物台6は、例えば、主軸35に対して+X側に配置される。このように、本実施形態は、2軸旋盤の他に1軸旋盤などにも適用できる。
【0047】
なお、本発明の技術範囲は、上述の実施形態などで説明した態様に限定されるものではない。上述の実施形態などで説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上述の実施形態などで説明した要件は、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0048】
1A、1B、1C・・・工作機械、2・・・主軸(第1の主軸)、3・・・主軸(第2の主軸)、4・・・主刃物台(第1主刃物台)、5・・・主刃物台(第2主刃物台)、6・・・副刃物台、7・・・制御装置、31・・・主制御部(第1主制御部)、32・・・主制御部(第2主制御部)、33・・・副制御部、D1〜D4・・・加工データ、T1〜T3・・・切削工具、W1、W2・・・ワーク