(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記割当部は、少なくとも、予め決められた検出対象の核種の光電ピークの前後5%の範囲が同一のエネルギー領域に属するように該エネルギー領域を設定していることを特徴とする請求項1に記載の放射線検出装置。
前記割当部は、予め決められた検出対象の複数の核種の光電ピークがそれぞれ異なるエネルギー領域に属するように該エネルギー領域を設定していることを特徴とする請求項1または2に記載の放射線検出装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載の放射線検出装置で検出される放射線のエネルギーは、同じ空間内であっても、光電ピークをとるエネルギー値が小刻みに変動している。エネルギー値の変動に追従してスピーカーから出力される音の周波数が変化するため、音の変化が慌ただしく作業者に聞き取り難くなることが危惧される。また、エネルギー値に応じて音の周波数が変化しても、作業者が音の違いを正確に聞き分けることができない恐れがある。このため、上記の放射線検出装置では、放射線のエネルギー値を可聴化しても、放射線のエネルギー情報を作業者に適切に把握させることが困難となっていた。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、放射線のエネルギー情報を作業者の聴覚で適切に把握させることができる放射線検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の放射線検出装置は、入射した放射線をパルスとして検出する検出部と、放射線のエネルギーに応じて前記パルスを複数のチャネルに弁別する弁別部と、前記チャネルより低分解能の複数のエネルギー領域に、前記弁別されたパルスを更に割り当てる割当部と、
前記エネルギー領域ごとに異なる態様で音出力する音出力部と、
前記各エネルギー領域へ割り当てられたパルスのうちパルス数が最も多いエネルギー領域以外のパルスを間引く間引部と、を備え、前記音出力部は、前記間引部によって間引かれなかったエネルギー領域のパルスに対し音出力することを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、放射線のエネルギーに応じてパルスが複数のチャネルに弁別されるため、検出対象の放射線のパルスがバックグラウンド放射線のパルスに埋もれることがない。また、放射線のエネルギーが複数のエネルギー領域に大まかに分かれているため、同じエネルギー領域内であればエネルギーの異なるパルスであっても同一の態様で音出力される。したがって、放射線のエネルギーが小刻みに変動しても、音出力の態様が慌ただしく変化することがない。さらに、音出力の態様の数が、チャネル数よりも少ないエネルギー領域の数に制限されるため、作業者に音の違いを聞き分けさせることができる。よって、放射線のエネルギーに応じた音を作業者に適切に聞き取らせて、放射線検出装置の表示画面を目視させることなく作業者に放射線のエネルギー情報を把握させることができる。
【0009】
また本発明の上記放射線検出装置において、前記割当部は、少なくとも、予め決められた検出対象の核種の光電ピークの前後5%の範囲が同一のエネルギー領域に属するように該エネルギー領域を設定している。この構成によれば、検出対象の各種の光電ピークが前後5%の範囲で変動しても同じ態様で音出力されるため、音出力によって作業者に検出対象の核種を把握させることができる。
【0010】
また本発明の上記放射線検出装置において、前記割当部は、予め決められた検出対象の複数の核種の光電ピークがそれぞれ異なるエネルギー領域に属するように該エネルギー領域を設定している。この構成によれば、検出対象の複数の核種が異なる態様で音出力されるため、作業者に検出対象の核種を容易に区別させることができる。
【0011】
また本発明の上記放射線検出装置において、前記エネルギー領域へ割り当てられたパルスを間引く間引部を更に備え、前記音出力部は、前記間引部によって間引かれたパルスに対し音出力しない。この構成によれば、パルスが間引かれることにより、不要な音出力を減らして、放射線のエネルギーに応じた音を作業者に聞き取らせ易くすることができる。
【0012】
また本発明の上記放射線検出装置において、前記音出力部は、前記エネルギー領域ごとに異なる音階で音出力する。この構成によれば、音階によって作業者に放射能のエネルギーに関する情報を把握させることができる。
【0013】
また本発明の上記放射線検出装置において、前記音出力部は、前記エネルギー領域ごとに異なる音声で音出力する。この構成によれば、音声によって作業者に放射能のエネルギーに関する情報を把握させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、チャネルよりも低分解能の複数のエネルギー領域にパルスが割り当てられるため、放射線のエネルギーに応じた音を作業者に適切に聞き取らせることができる。よって、作業者に放射線検出装置の表示画面を目視させることなく放射線のエネルギー情報を把握させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して本実施の形態に係る放射線検出装置について説明する。
図1は、本実施の形態に係る放射線検出装置の模式図である。なお、放射線検出装置は、
図1に示す構成に限定されない。
図1に示す放射線検出装置は一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
【0017】
図1に示すように、放射線検出装置1は、放射線のエネルギーを検出して、放射線のエネルギー情報を可聴化して作業者に把握させるように構成されている。放射線検出装置1には、放射線のエネルギーを検出する検出部11が設けられている。検出部11では、放射線の入射に応じてNaIやCaI等のシンチレータ21が発光し、光電子倍増管(Photo Multiplier)22でシンチレータの発光が光子数に応じた波高のパルスに変換される。なお、検出部11は、シンチレータ21の代わりに、半導体検出器等を用いて放射線のエネルギーを検出する構成でもよい。
【0018】
検出部11から出力されたパルスは、増幅部12で増幅された後、A/D変換部13でアナログデータからデジタルデータに変換される。A/D変換後のパルスは、弁別部14で波高分析されて複数のチャネルに弁別され、チャネル毎にエネルギーの検出頻度が求められる。波高分析後のデータは演算部15に入力されて、各チャネルのエネルギーの検出頻度から放射線のエネルギー強度が求められて表示部16で表示される。また、波高分析後のパルスは、割当部17、間引部18、音出力部19を経て、放射線のエネルギーに対応した音で可聴化されて作業者に対して音出力される。
【0019】
ところで、波高分析時のチャネル数を多くすると(例えば、1000ch以上)、放射線のエネルギーを高精度に検出可能であるが、演算処理の負担が大きくなる。一方で、波高分析時のチャネル数を少なくすると(例えば、100ch以下)、演算処理の負担が軽減されるが、十分な検出精度を得ることができない。本実施の形態では、光電ピークを検出可能な最低限の検出精度を維持しつつ、演算処理の負担を軽減可能なチャネル数(例えば、128ch)に設定されている。このチャネル数で弁別した波高分析後のパルスに基づいて、放射線のエネルギー強度が求められると共に放射線のエネルギー情報が音出力される。
【0020】
しかしながら、弁別後のパルスを個々のチャネルに対応した態様で音出力しても、作業者が音の違いを聞き分けることが難しい。そこで、弁別部14で弁別されたパルスを、割当部17にてチャネルよりも低分解能のエネルギー領域(例えば、16領域から24領域)に更に割り当て、間引部18にて適宜パルスを間引いた後、音出力部19にてエネルギー領域に応じた態様で音出力するようにしている。このように、音出力の態様の数を、作業者が音の違いを聞き分けることが可能な数に制限して、放射線のエネルギー情報を作業者に直感的に把握させている。
【0021】
以下、
図2を参照して、割当部による割当処理及び音出力部による出力処理について詳細に説明する。
図2は、本実施の形態に係るエネルギー領域と音出力の態様の対応例を示す図である。なお、
図2は、主要な核種が異なるエネルギー領域に属するように、γ線のエネルギー順列を切り分けた応用形を示している。また、
図2は説明の便宜上、主要な核種のみ記載している。
【0022】
図2に示すように、放射線検出装置1(
図1参照)には、波高分析に使用されるチャネルよりも低分解能の複数のエネルギー領域A−Hが設定されている。エネルギー領域A−Hは、0−50[keV]、50−100[keV]、100−200[keV]、200−550[keV]、550−750[keV]、750−1000[keV]、1000−1600[keV]のエネルギー値の範囲にそれぞれ設定されている。これらのエネルギー領域A−Hには、少なくとも、予め決められた検出対象の核種の光電ピークの前後5%、より好ましくは前後10%の範囲が同一のエネルギー領域に属するようにエネルギー領域が設定されている。
【0023】
例えば、検出対象の核種の光電ピークの前後10%の範囲が同一のエネルギー領域に属するように設定する場合、アメリシウム241(
241Am)のエネルギー範囲を59.5×0.9=53.6[keV]から59.5×1.1=65.5[keV]とし、コバルト57(
57Co)のエネルギー範囲を122.0×0.9=109.8[keV]から122.0×1.1=134.2[keV]とし、セシウム137(
137Cs)のエネルギー範囲を661.7×0.9=595.5[keV]から661.7×1.1=727.9[keV]とし、コバルト60(
60Co)のエネルギー範囲を1173.2×0.9=1055.9[keV]から1332.5×1.1=1465.8[keV]とし、エネルギー領域A−Hが設定される。ここでは、アメリシウム241(
241Am)のエネルギー範囲がエネルギー領域B、コバルト57(
57Co)のエネルギー範囲がエネルギー領域C、セシウム137(
137Cs)のエネルギー範囲がエネルギー領域E、コバルト60(
60Co)のエネルギー範囲がエネルギー領域Gに設定される。なお、エネルギー領域は、予め設定される検出対象の核種や数等に応じて適宜変更が可能である。
【0024】
また、各エネルギー領域A−Hには連続する一群のチャネルが対応しており、各エネルギー領域A−Hに対して割当部17(
図1参照)によって波高分析後の各チャネルのパルスが割り当てられる。すなわち、放射線のエネルギーに対応したパルスが複数のチャネルに弁別された後、各チャネルのパルスがそれぞれエネルギー領域A−Hに割り当てられる。また、各エネルギー領域A−Hには、それぞれ異なる音出力の態様1−8が関連付けられている。音出力の態様としては、一例として「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド」等の音階が設定されている。
【0025】
割当部17によって弁別後のパルスが各エネルギー領域A−Hに割り当てられると、各エネルギー領域A−Hに応じた音出力の態様1−8が選択される。例えば、エネルギー領域Aに放射線のエネルギーが割り当てられると、音出力部19(
図1参照)によってエネルギー領域Aに関連付けられた態様1の「ド」が音出力される。この場合、音出力の態様の数も作業者が聞き分け可能な数に制限されているため、作業者に放射線のエネルギーに応じた音を適切に聞き取らせることができる。
【0026】
このとき、他のエネルギー領域でも僅かではあるが放射線のエネルギーが割り当てられるが、放射線のパルス数が少ないものについてまで音出力すると、多数の音が混在して作業者が音を聞き分けることができない。このため、間引部18によってエネルギー領域へ割り当てられたパルスを間引くようにして、間引かれたパルスに対して音出力しないようにしてもよい。具体的には、所定時間(例えば、1秒間)のうち、パルス数が最も多いエネルギー領域の出力音を採用し、他のエネルギー領域のパルスを間引いて出力音を出力しないようにする。このように、パルス数の少ない、すなわちエネルギー強度が小さいエネルギー領域に応じた音出力を制限することで、雑音となる音を間引いて作業者に音を聞き取り易くすることができる。
【0027】
なお、エネルギー領域に応じた音出力は、エネルギー領域に割り当てられたパルス数に応じた出力間隔で音出力部19から音出力されてもよい。例えば、エネルギー領域に割り当てられたパルス数が増加するのに伴って音出力の出力間隔が短く設定される。出力音の出力間隔によって、放射線のエネルギー情報に加えて、作業者にエネルギー強度を同時に把握させることができる。
【0028】
また、複数のエネルギー領域に所定数以上のパルス数が割り当てられる場合には、複数のエネルギー領域に応じた態様で音出力部19から音出力されてもよい。この場合、複数のエネルギー領域に応じた態様が切り替えられて音出力されてもよい。複数のエネルギー領域間で態様が切換えられて音出力されるため、複数の音が混ざって出力されることなく、作業者に放射線のエネルギーに対応した音を聞き取らせ易い。例えば、エネルギー領域Bとエネルギー領域Eに所定数以上のパルスが割り当てられた場合には、「レ」と「ソ」が交互に音出力される。この場合、パルス数に応じて音出力の態様(音階)の切換タイミングが設定されてもよい。パルス数の少ない放射線に対応した音出力の態様よりも、パルス数の多い放射線に対応した態様で長く音出力される。
【0029】
また、複数のエネルギー領域に所定数以上のパルス数が割り当てられる場合には、複数のエネルギー領域のそれぞれに応じた音階で音出力部19から同時に音出力されてもよい。異なる音階の音が和音となって出力されるため、複数の音が同時に出力されても、放射線のエネルギーに対応した音を作業者に聞き取らせることができる。例えば、エネルギー領域Eとエネルギー領域Gとに所定数以上のパルスが割り当てられた場合には、「ソ」と「シ」の和音が音出力される。
【0030】
このように、音出力部19における音出力の態様の数が、作業者が音の違いを聞き分け可能な数であるため、作業者に放射線のエネルギーに応じた音を適切に聞き取らせることができる。放射線検出装置1の表示画面を目視させることなく作業者に放射線のエネルギー情報を把握させることが可能である。よって、運転の作業者には運転に集中させた状態でエネルギー情報を把握させ、視力の弱い作業者には視覚に頼らずにエネルギー情報を把握させることができる。
【0031】
なお、作業者は、全ての音出力の態様と放射線のエネルギーとの関係を把握していなくてもよい。例えば、作業者はセシウム137のエネルギーに関連付けられた音出力の態様だけ把握しておけば、セシウム137と異なる態様で音出力された場合には、セシウム137とは異なる放射線のエネルギーが検出されたことを認識できる。音出力部19から「ソ」よりも高い音階で音出力された場合には、セシウム137よりもエネルギー順位(エネルギー値)が高い核種の放射線であることを把握でき、音出力部19から「ソ」よりも低い音階で音出力された場合には、セシウム137よりもエネルギー順位が低い核種の放射線であることを把握できる。
【0032】
また、本実施の形態では、音出力部19が放射線のエネルギーのエネルギー領域ごとに異なる音階で音出力する構成について説明したが、音出力部19の音出力の態様は特に限定されない。音出力部19は、放射線のエネルギーのエネルギー領域ごとに異なる音声で音出力してもよい。例えば、エネルギー領域Eにパルスが割り当てられている場合には、音出力部19によってエネルギー領域Eに関連付けられた態様5の「セシウム」が音出力される。これにより、作業者に放射線のエネルギー情報を直接的に把握させることが可能である。
【0033】
続いて、
図3を参照して放射線検出装置による音出力について説明する。
図3は、本実施の形態に係る放射線検出装置による音出力の一例を示す図である。なお、
図3Aはセシウム137の検出時のエネルギースペクトルの一例を示し、
図3Bはコバルト60の検出時のエネルギースペクトルの一例を示す。なお、
図3においては縦軸が検出頻度(パルス数)、横軸がエネルギー値を示している。また、エネルギースペクトルは、弁別部にて複数チャネルで波高分析されたものである。また、
図3では、
図2に示すエネルギー領域に分けた一例を示している。
【0034】
図3Aに示すエネルギースペクトルは、662[keV]を光電ピークとした波形であり、450[keV]付近にコンプトンエッジ、200[keV]付近に後方散乱ピークを含んでいる。すなわち、放射線のエネルギーが全て吸収された場合のパルスのみならず、コンプトン散乱や後方散乱によって低下したエネルギーのパルスもエネルギースペクトルに現れている。各エネルギー領域A−Hには出力音の態様として音階が関連付けられており、光電ピークをとる662[keV]の前後5%が属するエネルギー領域Eには「ソ」が関連付けられている。検出頻度が少ない他のエネルギー領域に割り当てられたパルスは間引かれる。
【0035】
このため、コンプトン散乱や後方散乱ピークを含むエネルギー領域A−Dについては無視され、光電ピークが属するエネルギー領域Eに関連付けられた「ソ」だけが音出力される。「ソ」が音出力されることで、作業者に放射線のエネルギー情報としてセシウム137のエネルギーが検出されたことが把握される。なお、エネルギー領域に音出力の態様として、音階の代わりに音声が関連付けられている場合には、「セシウム」等の音声が音出力されてもよい。
【0036】
図3Bに示すエネルギースペクトルは、2箇所の1173[keV]、1333[keV]を光電ピークとした波形であり、950[keV]付近にコンプトンエッジ、250[keV]付近に後方散乱ピークを含んでいる。光電ピークをとる1173[keV]、1333[keV]の前後5%が属するエネルギー領域Gには「シ」が関連付けられている。上記したように、検出頻度の少ない他のエネルギー領域に割り当てられたパルスは間引かれる。
【0037】
このため、コンプトン散乱や後方散乱ピークを含むエネルギー領域A−Fについては無視され、光電ピークが属するエネルギー領域Gに関連付けられた「シ」だけが音出力される。「シ」が音出されることで、作業者に放射線のエネルギー情報としてコバルト60のエネルギーが検出されたことが把握される。なお、エネルギー領域に音出力の態様として、音階の代わりに音声が関連付けられている場合には、「コバルト」等の音声が音出力されてもよい。
【0038】
以上のように、本実施の形態に係る放射線検出装置1では、放射線のエネルギーに応じてパルスが複数のチャネルに弁別されるため、検出対象の放射線のパルスがバックグラウンド放射線のパルスに埋もれることがない。また、音出力の態様の数が、チャネル数よりも少ないエネルギー領域の数に制限されるため、作業者に音の違いを聞き分けさせることができる。よって、放射線のエネルギーに応じた音を作業者に適切に聞き取らせて、放射線検出装置1の表示画面を目視させることなく作業者に放射線のエネルギー情報を把握させることができる。
【0039】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0040】
例えば、本実施の形態において、放射線検出装置1は、サーベイメータや個人線量計等の可搬型の放射線検出装置に限られず、モニタリングポスト等の据え置き型の放射線検出装置であってもよい。また、放射線検出装置1は、乗り物に搭載されてモニタリングカー等に使用されてもよい。さらに、放射線検出装置1は、携帯電話等の携帯機器に搭載されてもよい。
【0041】
また、本実施の形態において、放射線検出装置1は、γ線エネルギーに限らず、α線、β線、X線、中性子線等の放射線を検出してもよい。よって、放射線検出装置1の検出部11に、NaI(Tl)シンチレータ、CsI(Tl)シンチレータ、LaBr
3(Ce)シンチレータ、CeBr
3シンチレータ、BGOシンチレータ、YAP(Ce)シンチレータ、CdTe半導体、CdZnTe半導体、Ge半導体、Si半導体、
3Heシンチレータ、
6Liシンチレータ、
7Liシンチレータ、プラスチックシンチレータ、液体シンチレータが使用されてもよい。なお、
3Heシンチレータや
6Liで中性子を検知する際、それぞれで、ほぼ同じエネルギーにピークが得られるので(
3Heは約764keV、
6Liは約2.1MeVと2.7MeV)、そのエネルギーに特定の音出力の態様を割り当てることもできる。
【0042】
また、本実施の形態において、表示部16には、放射線のエネルギー強度がエネルギー値毎に表示されてもよいし、放射線のエネルギー全体の強度が表示されてもよい。また、表示部16には、放射線のエネルギースペクトルが表示されてもよい。また、放射線検出装置1は、放射線のエネルギーに応じて音出力可能であれば、表示部16を備えない構成であってもよい。
【0043】
また、本実施の形態において、出力音の態様は音階や音声に限定されず、エネルギー領域毎に異なっていればよい。例えば、出力音の態様としてエネルギー領域ごとに異なるブザー音、音色が関連付けられていてもよい。なお、音色とは、音の波形の違いを示している。
【0044】
また、本実施の形態において、出力音の態様として一つの音域内の音階が設定されたが、複数の音域の音階が設定されてもよい。これにより、エネルギー領域をさらに細かく設定することが可能である。
【0045】
また、本実施の形態において、エネルギー領域は、特定の検出対象の核種とそれ以外の核種とが異なるエネルギー領域に属するように設定されてもよい。例えば、特定の検出対象の核種がセシウム137の場合には、セシウム137とセシウム137以外の核種が異なるエネルギー領域に属するようにエネルギー領域が設定され、作業者にセシウム137のエネルギー情報か否かを作業者に把握させるようにする。
【0046】
また、本実施の形態において、放射線検出装置1は、放射線のエネルギーのエネルギー領域に応じて骨伝導で音出力するようにしてもよい。これにより、聴覚が弱い作業者に対しても、放射線検出装置1の表示画面を目視させることなく、放射線のエネルギー情報を作業者に把握させることができる。この場合、放射線検出装置1の音出力部19には骨伝導ヘッドセットが接続され、ヘッドセットに音出力として骨伝導信号が出力される。