特許第6520443号(P6520443)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6520443
(24)【登録日】2019年5月10日
(45)【発行日】2019年5月29日
(54)【発明の名称】外形カット装置
(51)【国際特許分類】
   B26F 1/44 20060101AFI20190520BHJP
   B26F 1/38 20060101ALI20190520BHJP
   B26D 7/08 20060101ALI20190520BHJP
   B26D 7/18 20060101ALI20190520BHJP
【FI】
   B26F1/44 Z
   B26F1/38 A
   B26F1/44 G
   B26D7/08 D
   B26D7/08 E
   B26D7/18 A
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-122086(P2015-122086)
(22)【出願日】2015年6月17日
(65)【公開番号】特開2016-28841(P2016-28841A)
(43)【公開日】2016年3月3日
【審査請求日】2018年5月18日
(31)【優先権主張番号】特願2014-144711(P2014-144711)
(32)【優先日】2014年7月15日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092200
【弁理士】
【氏名又は名称】大城 重信
(74)【代理人】
【識別番号】100110515
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 益男
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 信男
(74)【代理人】
【識別番号】100189083
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 圭介
(72)【発明者】
【氏名】久保木 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】宍戸 翔太朗
(72)【発明者】
【氏名】茂手木 雄一
【審査官】 石川 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−117699(JP,A)
【文献】 特開2005−014211(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第00899068(EP,A2)
【文献】 特開2013−123504(JP,A)
【文献】 特開2013−027642(JP,A)
【文献】 特開平01−127299(JP,A)
【文献】 特開2014−104544(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26F 1/38
B26F 1/44
B26D 7/08
B26D 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に切断刃を有するカットロールと、前記カットロールに対向して設けられたアンビルロールと、連続する被切断物を前記カットロールに供給するフィードユニットとを有する外形カット装置であって、
前記カットロールが、軸方向両端側に前記切断刃の外径と同径の円筒状のベアラー部を有し、
前記ベアラー部が、前記アンビルロールと当接し、
前記カットロールの軸方向の中間空隙部の上方と、前記アンビルロールの軸方向の中間部の下方との対向する位置に、上下から挟むように中間サポートロールが設けられていることを特徴とする外形カット装置。
【請求項2】
前記カットロールの両端のベアラー部の上方と前記アンビルロールの両端部の下方を挟むように、それぞれ1対のバックアップロールが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の外形カット装置。
【請求項3】
前記アンビルロールが、前記切断刃により切断された被切断物を表面に吸着する吸着手段を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の外形カット装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続するフィルム状、あるいは、シート状の被切断物を、外周面に切断刃を有するカットロールに供給する外形カット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、パウチ等の連続するフィルム状の被切断物を、所定の外形の製品に切断する手段として、トムソン刃や、パンチダイを用いた方法が公知である。
しかしながら、トムソン刃を用いた方法では、アンビルに対するトムソン刃の当たりにムラが生じると切断ムラが発生し、製品の変更、損耗等による切断刃の交換の際に、当たりを正確に調整するために長時間を要し、作業効率の向上を阻害している。
また、パンチダイ方式では、複雑な形状の全周にわたって、金型を切断に適したクリアランスに設定しなければならず、金型自体が非常に高価なものとなる。
さらに、トムソン刃の場合と同様に、製品の変更、金型の損耗等によって金型を交換する際に、クリアランスを正確に調整するために長時間を要し、作業効率の向上を阻害している。
そして、これらの問題をある程度解消する手段として、円筒状の外周面に切断刃を有するカットロールを用い、連続する被切断物を、連続的に回転するカットロールに供給することで、適宜の外形の製品に切断する技術が公知である(例えば特許文献1等参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−14211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
公知の外周面に切断刃を有するカットロールを用いて、絵柄を印刷したウェブ状のフィルム(印刷原反)から個々のパウチ等の製品を抜くように外形を切断する際に、切断荷重によりカットロール及びアンビルロールが変形する場合がある。
この場合、カットロール外周面の切断刃とアンビルロールの間に隙間、あるいは、切断刃がアンビルロールに強く当たることによる摩耗や損傷を生じ、切断性能や切断刃の寿命に悪影響を与える。
また、印刷原反として伸びやすい特性の材料を使用して切断した場合、切断部が完全に切断できずにパウチ等の製品と抜きカス(スケルトン)とがつながった状態となり、製品と抜きカスを確実に分離することができないこともある。
【0005】
本発明は、前述のような課題を解決するものであり、連続するフィルム状、あるいは、シート状の被切断物への刃当たりが均一で切断性能が高く、製品の変更や損耗等による切断刃の交換の際の調整が容易で、作業効率を向上することが可能な外形カット装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る外形カット装置は、外周面に切断刃を有するカットロールと、前記カットロールに対向して設けられたアンビルロールと、連続する被切断物を前記カットロールに供給するフィードユニットとを有する外形カット装置であって、前記カットロールが、軸方向両端側に前記切断刃の外径と同径の円筒状のベアラー部を有し、前記ベアラー部が、前記アンビルロールと当接することにより、前記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0007】
本請求項1に係る外形カット装置によれば、カットロールが、軸方向両端側に切断刃の外径と同径の円筒状のベアラー部を有し、ベアラー部がアンビルロールと当接することにより、被切断物への刃当たりが均一で切断性能が高く、製品の変更や損耗等による切断刃の交換の際の調整が不要となり、作業効率を向上することが可能となる。
また、被切断物の切断時の振動が少なく、成形荷重も下げられるため、設備の小型化が可能となる。
また、カットロールの軸方向の中間空隙部の上方と、アンビルロールの軸方向の中間部の下方との対向する位置に、上下から挟むように中間サポートロールが設けられていることにより、切断荷重によるカットロールやアンビルロールの中間部の撓みに起因する間隔の拡がりが防止され、より一層、切断性能の低下を防止することができる。
【0008】
本請求項2に記載の構成によれば、カットロールの両端のベアラー部の上方とアンビルロールの両端部の下方を挟むように、それぞれ1対のバックアップロールが設けられていることにより、切断荷重によるカットロールとアンビルロールの間隔の拡がりが防止され、切断性能の低下を防止することができる。
本請求項3に記載の構成によれば、アンビルロールが、切断刃により切断された被切断物を表面に吸着する吸着手段を有することにより、製品を吸着してアンビルロール側に引っ張ることで、製品と抜きカスを確実に分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る外形カット装置の概略正面図。
図2図1の外形カット装置の斜視説明図。
図3図2の一部拡大斜視カット図。
図4】カットロールの一部拡大斜視カット図。
図5】外形カット装置の模式説明図。
図6】外形カット装置のカット中の説明図。
図7】外形カット装置のカット終了時の説明図。
図8】外形カット装置の被切断物停止時の説明図。
図9】外形カット装置の被切断物引き戻し時の動作説明図。
図10】外形カット装置の被切断物再供給時の動作説明図。
図11】カットロール、アンビルロールの他の形態の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態に係る外形カット装置100は、図1乃至図3に示すように、外周面に切断刃111を有するカットロール110と、カットロール110に対向して設けられたアンビルロール120と、連続するフィルム状、あるいは、シート状の被切断物Fをカットロール110とアンビルロール120との間に供給するフィードユニット(図示せず)とを有している。
カットロール110は、図4に示すように、周方向に、被切断物Fを所定の外形に切断刃111によってカットする切断回転域112と、軸方向のいずれの位置においても切断刃111が被切断物Fに当たらない非切断回転域113を有している。
また、カットロール110は、軸方向両端側に切断刃111の外径と同径(僅かに小径の場合も含む)の円筒状のベアラー部114を有している。
円筒状のベアラー部114は、切断刃111の外径よりも僅かに小径であっても、ベアラー部114がアンビルロール120と当接させることが可能で、同径の場合と同様の効果を呈する。
さらに、カットロール110は、軸方向に2列で被切断物Fから製品の外形をカットするように切断刃111が設けられており、軸方向中央部には、全周にわたって切断刃111の存在しない中間空隙部115を有している。
なお、本実施形態において、ベアラー部114はカットロール110の軸方向両端側に配されているが、カットロール110の長さや径によってロールのセンター等に好適に配されることが好ましい。
【0011】
そして、カットロール110の軸方向両端側のベアラー部114をアンビルロール120に当接させた状態で、切断刃111とアンビルロール120によって被切断物Fを切断するように構成されている。
このように構成することにより、被切断物Fへの刃当たりが均一で切断性能が高く、製品の変更や損耗等による切断刃111の交換の際の調整が不要となって作業効率を向上させることができ、被切断物Fの切断時の振動が少なく、成形荷重も下げられるため、設備の小型化も可能となる。
また、カットロール110の浮き上がりや変形、アンビルロール120の変形を防止するため、カットロール110の両端のベアラー部114の上方とアンビルロール120の両端部の下方を上下から挟むように、それぞれ1対のバックアップロール130が設けられている。
さらに、カットロール110やアンビルロールの中間部の撓みを防止するため、カットロール110の軸方向の中間部に設けた中間空隙部115の上方と、アンビルロール120の軸方向の中間部の下方との対向する位置に、上下から挟むように中間サポートロール140が設けられている。
なお、アンビルロール120は、カットロール110の切断刃111により切断され被切断物Fから外形を切断された製品を吸着する吸着手段121を、切断場111に対応する表面に備えている。
【0012】
以上のように構成された外形カット装置100によって、連続するフィルム状、あるいは、シート状の被切断物Fを、所定の外形の製品Pに切断する動作について説明する。
図5に簡略化して示すように、連続する被切断物Fは、フィードユニット102によってカットロール110とアンビルロール120との間に供給され、カットロール110の切断回転域112がアンビルロール120に対向している時に、カットロール110の切断刃111により製品Pが切断されるとともに、抜きカスK(スケルトン)が回収される。
制御ユニット101は、カットロール110の非切断回転域113が、アンビルロール120に対向している時に、被切断物Fの次の切断開始箇所に正確にカットロール110の切断刃111が到達するように、カットロール110の回転速度とフィードユニット102の駆動速度及び駆動方向を制御する。
【0013】
カットロール110の上流、好ましくは上流近傍には、被切断物Fの表面の印刷図柄やマークを読み取って位置を検出する検出手段103が設けられており、検出手段103の検出信号に基づいて、制御ユニット101が被切断物Fを正確な位置で切断するように動作する。
なお、アンビルロール120は、歯車等でカットロール110と同期して回転するが、別途、制御ユニット101により回転制御されてもよい。
また、フィードユニット102は、図示では被切断物Fを上下から挟む2つのローラとしているが、いかなる機構であってもよい。
さらに、検出手段103は、図示では印刷図柄やマークを光学的に読み取るものを想定しているが、物理的に接触するものや、超音波、赤外線、電磁気等を利用する等、いかなるものであってもよい。
図示では、説明のためカットロール110の切断刃111を高く示しているため、非切断回転域113と切断回転域112との境界と、切断刃111の位置とが大きくずれているが、実際の切断刃111の突出高さはカットロール110の直径に比べて小さく、位置ズレは僅かである。
【0014】
連続する被切断物Fからの製品Pの切断は、まず、図5に示す状態から、図6に示すように、カットロール110の回転方向とフィードユニット102の駆動方向が同期して、被切断物Fが供給されながら切断刃111によって切断され、図7に示す状態で、製品Pの切り抜きが完了し、所定の外形に切断された製品Pは下方に落下する。
そして、このカットロール110の切断刃111による被切断物Fの切断の際に、切断荷重によるカットロール110とアンビルロール120の間隔の拡がりが、前述したバックアップロール130により防止され、また、カットロール110やアンビルロール120の中間部の撓みに起因する間隔の拡がりが、前述した中間サポートロール140により防止される。
さらにこの時、製品Pがアンビルロール120に設けられた吸着手段121により吸着され、製品Pと抜きカスKが確実に分離される。
なお、この時、吸着手段121のバキューム圧を検出することにより、吸着、分離を確認することができる。
また、この時点では、カットロール110の切断回転域112がアンビルロール120に対向し、切断刃111が抜きカスKの切断縁に接触しているため、カットロール110の回転方向とフィードユニット102の駆動方向は依然同期して、被切断物Fは供給方向に送られる。
【0015】
次に、図8に示すように、カットロール110の非切断回転域113がアンビルロール120に対向すると、抜きカスKの切断縁から切断刃111が離脱し、その後、図9に示すように、フィードユニット102の駆動方向が逆転し、被切断物Fが引き戻される。
この間も、カットロール110は同方向に回転を続けているが、カットロール110の非切断回転域113がアンビルロール120に対向している間に、検出手段103により被切断物Fの表面の印刷図柄やマークを読み取って位置を検出し、図10に示すように、被切断物Fの次に切断すべき位置に正確に切断刃111が当たるように、フィードユニット102の駆動方向を逆転して、被切断物Fを停止させ、再び被切断物Fを供給方向に送る。
【0016】
このようにして、連続する被切断物Fを一旦引き戻し、再度供給し、常に正確な位置で切断することにより所定の外形の製品Pを得ることができる。
なお、カットロール110は、軸方向に3列以上で被切断物Fから同外形、あるいは、異外形の製品を切断するように切断刃111を設けても良い。
この場合、前述した中間サポートロール140は、カットロール110の軸方向の切断刃111が設けられていない中間空隙部115の上方と、アンビルロール120の軸方向の前記中間空隙部115に対応する下方の位置に、上下から挟むように対向して設けられる。
【0017】
他に、カットロール110の切断刃111のアンビルロール120への接触による切断刃111の刃先の潰れ、欠けを防止するため、図11に示すように、アンビルロール120bに溝加工部122を形成してもよい。
また、図示しないが、カットロール110の両端のベアラー部114とアンビルロール120との接触部が荷重により圧縮変形する。この圧縮変形を荷重のコントロールによって、カットロール110(切断刃111)とアンビルロール120との間隙調整に利用し、切断刃111の刃先の潰れ、欠けを防止してもよい。
さらに、アンビルロール120に銅板等の軟質金属板、若しくは各種樹脂系素材などを装着してもよい。
なお、図11のカットロール110bには、そのセンターにベアラー部114が配されている。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明の外形カット装置は、連続するフィルム状、あるいは、シート状の被切断物を所定の外形に切断するものであり、例えば、樹脂フィルムから成るパウチ等の製造に好適であるが、被切断物としては、金属箔、紙材、金属板等、いかなる材質のものに適用されてもよく、様々なものに利用可能である。
【符号の説明】
【0019】
100 ・・・ 外形カット装置
101 ・・・ 制御ユニット
102 ・・・ フィードユニット
103 ・・・ 検出手段
110 ・・・ カットロール
111 ・・・ 切断刃
112 ・・・ 切断回転域
113 ・・・ 非切断回転域
114 ・・・ ベアラー部
115 ・・・ 中間空隙部
120 ・・・ アンビルロール
121 ・・・ 吸着手段
122 ・・・ 溝加工部
130 ・・・ バックアップロール
140 ・・・ 中間サポートロール
F ・・・ 被切断物
P ・・・ 製品
K ・・・ 抜きカス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11