(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、車両用のシートに設けられた着座状態検知装置の一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、車両用のシート1は、シートクッション2と、このシートクッション2の後端部に対して傾動自在に設けられたシートバック3と、を備えている。そして、そのシートバック3の上端には、ヘッドレスト4が設けられている。
【0019】
本実施形態では、車両の床部Fには、車両前後方向に延びる左右一対のロアレール5が設けられている。また、これら各ロアレール5には、それぞれ、その延伸方向に沿って当該ロアレール5上を相対移動可能なアッパレール6が装着されている。そして、本実施形態のシート1は、これらの各ロアレール5及びアッパレール6が形成するシートスライド装置7の上方に支持される構成となっている。
【0020】
また、
図1及び
図2に示すように、本実施形態のシート1において、シートクッション2の下方には、その着座面10に印加されたシート荷重Ws(検出値W)を検出する荷重センサ11が設けられている。具体的には、本実施形態の荷重センサ11には、周知の歪みセンサが用いられている。そして、この荷重センサ11は、上記シートスライド装置7を構成するアッパレール6と当該アッパレール6の上方に支持されたシートクッション2との間、詳しくは、シート幅方向内側に位置するアッパレール6aの後端部近傍に設けられている。
【0021】
更に、本実施形態のシート1において、シートクッション2の内側には、その着座面10を構成するシート表皮2aが押圧されることによりオン/オフ状態が切り替わるメンブレンスイッチ20が設けられている。そして、本実施形態では、このメンブレンスイッチ20を感圧式の着座センサ21として用いることにより、当該着座センサ21のオン/オフ状態、及び上記荷重センサ11により検出されるシート荷重の検出値Wに基づいて、そのシートクッション2に対する乗員の着座状態を検知する着座状態検知装置30が形成されている。
【0022】
詳述すると、
図3に示すように、本実施形態のメンブレンスイッチ20は、スペーサとなる中間フィルム40を挟んで積層(貼り合わせ)された第1フィルム41及び第2フィルム42を備えた周知の構成を有している。具体的には、第1フィルム41及び第2フィルム42には、それぞれ、中間フィルム40に形成された連通部(貫通孔)44を介して互いに対向する接点部45,46を有した回路パターン47,48が形成されている。尚、本実施形態では、これらの回路パターン47,48は、例えば、導電インクを用いた印刷等により形成されている。そして、本実施形態のメンブレンスイッチ20は、その第1フィルム41が上側となる状態で、シートクッション2の内側、詳しくは、その着座面10を構成するシート表皮2aの内側に設けられたクッションパッド(図示略)の下方に配置される構成となっている。
【0023】
即ち、本実施形態のメンブレンスイッチ20は、上方に位置するシート表皮2aが押圧されることにより、その第1フィルム41が下側に撓められる態様で弾性変形する。また、これにより、その第1フィルム41に形成された接点部45と第2フィルム42に形成された接点部46とが接触する。そして、本実施形態のメンブレンスイッチ20は、これにより、その上下方向に対向配置された第1フィルム41の接点部45及び第2フィルム42の接点部46が、感圧スイッチ部(セル)50を形成する構成になっている。
【0024】
図2に示すように、本実施形態のメンブレンスイッチ20は、シートクッション2の着座面10を構成するシート表皮2aの下方において、そのシート前後方向(
図2中、左右方向)に延びる略短冊状の外形を有している。また、本実施形態のメンブレンスイッチ20は、その長手方向に略均等間隔で並ぶ態様で設けられた複数の感圧スイッチ部50を有している。そして、これらの各感圧スイッチ部50の少なくとも何れかがオン作動(導通)することにより、オン状態となるように構成されている。
【0025】
さらに詳述すると、本実施形態の着座状態検知装置30は、そのシート幅方向(
図2中、上下方向)に略均等間隔で並ぶ態様で設けられた三列のメンブレンスイッチ20を有している。具体的には、これらの各メンブレンスイッチ20は、シートクッション2の着座面10において、それぞれ独立した感圧部60を形成する。そして、本実施形態の着座状態検知装置30は、これにより、その着座面10におけるシート幅方向内側(インナ)、中央部(センター)、及びシート幅方向外側(アウタ)をそれぞれの感圧部60とする三系統の着座センサ21(21a〜21c)を備える構成になっている。
【0026】
本実施形態の着座状態検知装置30において、シート荷重Ws(検出値W)を示す上記荷重センサ11の出力信号、及び各着座センサ21のオン/オフ出力S1〜S3は、シートECU71に入力されるようになっている。即ち、本実施形態の着座状態検知装置30は、このシートECU71が、その着座状態判定部として機能する。そして、このシートECU71は、その着座状態判定の結果に基づいて、例えば、ウォーニングランプ等、報知装置の作動を制御する。
【0027】
(着座状態判定)
次に、本実施形態の着座状態検知装置30においてシートECU71が行う着座状態判定の態様について説明する。
【0028】
本実施形態の着座状態検知装置30において、シートECU71は、その着座状態判定として、シート1に対して乗員が着座している状態にあるか否かを判定する(着座状態又は離席状態)。尚、本実施形態では、この場合における「離席状態」には、その乗員が子供である場合、或いはシート1上に荷物が載っている場合が含まれている。また、シートECU71は、シート1に対して乗員が着座している状態にあると判定される場合には、そのシートに着座する乗員の体格を判定する(乗員検知判定)。そして、この乗員検知判定の実行によって、シート1に着座する乗員が大人であることを示す「第1着座状態」にあるか、又はその乗員が女性である場合等、小柄な大人であることを示す「第2着座状態」にあるかを判定する構成になっている。
【0029】
詳述すると、
図4のフローチャートに示すように、シートECU71は、シート1が離席状態にあると判定されている状況(ステップ101:YES)において、着座センサ21がオン状態となった場合(ステップ102:YES)には、そのオン状態となった後の継続時間(t)が所定時間t0以上であるか否かを判定する(ステップ103)。尚、本実施形態の着座状態検知装置30において、上記ステップ102における着座センサ21のオン判定は、その三系統の着座センサ21a〜21cのうちの少なくとも何れかがオフ状態からオン状態に切り替わることを要件とする。また、シートECU71は、このステップ103において、その着座センサ21がオン状態となった後の継続時間が所定時間t0以上となっていると判定した場合(t≧t0、ステップ103:YES)には、上記荷重センサ11によるシート荷重の検出値Wが所定の閾値W1以上であるか否かを判定する(ステップ104)。更に、シートECU71は、このステップ104において、シート荷重の検出値Wが所定の閾値W1以上であると判定した場合(W≧W1、ステップ104:YES)には、このような所定の閾値W1以上の値を有したシート荷重の検出値Wが、所定時間T1以上、継続しているか否かを判定する(ステップ105)。そして、本実施形態のシートECU71は、このステップ105において、所定の閾値W1以上のシート荷重(W)が、所定時間T1以上、継続していると判定した場合(T≧T1、ステップ105:YES)には、そのシート1が上記第1着座状態にあるものと判定する構成になっている(ステップ106)。
【0030】
一方、上記ステップ104において、シート荷重の検出値Wが所定の閾値W1よりも小さいと判定した場合(W<W1、ステップ104:NO)、シートECU71は、荷重センサ11によるシート荷重の検出値Wが上記所定の閾値W1よりも小さな値に設定された所定の閾値W2以上であるか否かを判定する(ステップ107、但し、W2<W1)。また、シートECU71は、このステップ107において、シート荷重の検出値Wが所定の閾値W2以上であると判定した場合(W≧W2、ステップ107:YES)には、このような所定の閾値W2以上の値を有したシート荷重の検出値Wが、所定時間T2以上、継続しているか否かを判定する(ステップ108)。そして、本実施形態のシートECU71は、このステップ108において、所定の閾値W1以上の値を有したシート荷重の検出値Wが、所定時間T2以上、継続していると判定した場合(T≧T2、ステップ108:YES)には、そのシート1が上記第2着座状態にあるものと判定する構成になっている(ステップ109)。
【0031】
尚、本実施形態のシートECU71は、上記ステップ102において、着座センサ21がオン状態となっていない場合(ステップ102:NO)、及びステップ103において、着座センサ21がオン状態となった後の継続時間が所定時間t0に達していない場合(t<t0、ステップ103:NO)には、ステップ109までの処理を実行しない。また、ステップ105において、シート荷重の検出値Wが継続して所定の閾値W1以上の値を有する時間が所定時間T1に達していない場合(T<T1、ステップ105:NO)、及びステップ107において、シート荷重の検出値Wが所定の閾値W2よりも小さい場合(W<W2、ステップ107:NO)にも、ステップ109までの処理を実行しない。更に、ステップ108において、シート荷重の検出値Wが継続して所定の閾値W2以上の値を有する時間が所定時間T2に達していない場合(T<T2、ステップ108:NO)もまた、ステップ109の処理を実行しない。そして、本実施形態のシートECU71は、これらの場合には、その「先に行われた離席状態の判定」を維持する構成になっている(ステップ110)。
【0032】
また、上記ステップ101において、シート1が着座状態(第1着座状態又は第2着座状態)にあると判定した場合(ステップ101:NO)、シートECU71は、それ以降の各ステップの処理を実行しない。そして、この場合、その「先に行われた着座状態の判定」を維持する構成になっている。
【0033】
更に、
図5のフローチャートに示すように、本実施形態のシートECU71は、シート1が何れかの着座状態、即ち第1着座状態又は第2着座状態にあると判定されている場合(ステップ201:YES)、その第1着座状態及び第2着座状態間の訂正判定を実行する。
【0034】
具体的には、シートECU71は、シート1が第1着座状態にあると判定されている場合(ステップ202:YES)には、その荷重センサ11によるシート荷重の検出値Wが所定の閾値W3以下であるか否かを判定する(ステップ203)。本実施形態では、この所定の閾値W3は、上記
図4のフローチャートに示された着座状態判定における所定の閾値W2以下の値に設定されている(W3≦W2)。更に、シートECU71は、このステップ203において、シート荷重の検出値Wが所定の閾値W3以下であると判定した場合(W≦W3、ステップ203:YES)には、このような所定の閾値W3以下の値を有したシート荷重の検出値Wが、所定時間T3以上、継続しているか否かを判定する(ステップ204)。そして、本実施形態のシートECU71は、このステップ204において、所定の閾値W3以下の値を有したシート荷重の検出値Wが、所定時間T3以上、継続していると判定した場合(T≧T3、ステップ204:YES)には、そのシート1が第2着座状態にあるものと判定する構成になっている(ステップ205)。
【0035】
一方、シート1が第2着座状態にあると判定されている場合(ステップ202:NO)、本実施形態のシートECU71は、荷重センサ11によるシート荷重の検出値Wが所定の閾値W4以上であるか否かを判定する(ステップ206)。本実施形態では、この所定の閾値W4は、上記
図4のフローチャートに示された着座状態判定における所定の閾値W1以上の値に設定されている(W4≧W1)。また、シートECU71は、このステップ206において、シート荷重の検出値Wが所定の閾値W4以上であると判定した場合(W≧W4、ステップ206:YES)には、このような所定の閾値W4以上の値を有したシート荷重の検出値Wが、所定時間T4以上、継続しているか否かを判定する(ステップ207)。そして、本実施形態のシートECU71は、このステップ207において、所定の閾値W4以上の値を有したシート荷重の検出値Wが、所定時間T4以上、継続していると判定した場合(T≧T4、ステップ207:YES)には、そのシート1が第2着座状態にあるものと判定する構成になっている(ステップ208)。
【0036】
尚、本実施形態のシートECU71は、上記ステップ203において、シート荷重の検出値Wが所定の閾値W3よりも大きい場合(W>W3、ステップ203:NO)、それ以降の各ステップの処理を実行しない。また、ステップ204において、シート荷重の検出値Wが継続して所定の閾値W3以下の値を有する時間が所定時間T3に達していないと判定した場合(T<T3、ステップ204:NO)には、それ以降の各ステップの処理を実行しない。そして、これらの場合には、その「第1着座状態にあることの判定」を維持する構成になっている。
【0037】
同様に、シートECU71は、上記ステップ206において、シート荷重の検出値Wが所定の閾値W4よりも小さいと判定した場合(W<W4、ステップ206:NO)には、上記ステップ207及びステップ208の処理を実行しない。また、ステップ207において、シート荷重の検出値Wが継続して所定の閾値W4以上の値を有する時間が所定時間T4に達していないと判定した場合(T<T4、ステップ207:NO)には、ステップ208の処理を実行しない。そして、これらの場合には、その「第2着座状態にあることの判定」を維持する構成になっている。
【0038】
図2に示すように、本実施形態のシートECU71は、上記のように実行される着座状態判定の結果を外部出力信号Exとして、エアバッグECU72、及びその他の外部装置に出力する。そして、本実施形態の車両においては、これにより、このシートECU71による着座状態判定の結果に基づいて、その図示しないエアバッグの展開制御が実行される構成になっている。
【0039】
具体的には、
図6のフローチャートに示すように、本実施形態の車両において、エアバッグECU72は、そのシートECU71の外部出力信号Exが、シート1が着座状態にあることを示すものである場合(ステップ301:YES)、先ず、エアバッグが展開され得ることを示すインジケータ(図示略)をオンにする(ステップ302)。次に、エアバッグECU72は、そのシート1に対する着座状態が第1着座状態であるか否かを判定する(ステップ303)。そして、シート1に対する着座状態が第1着座状態である場合(ステップ303:YES)には、そのエアバッグの制御モードを、所定の展開力を有した第1展開モードに設定する構成になっている(展開力:強、ステップ304)。
【0040】
一方、上記ステップ303において、シート1に対する着座状態が第2着座状態であった場合(ステップ303:NO)、エアバッグECU72は、そのエアバッグの制御モードを、上記第1展開モードよりも展開力の弱い第2展開モードに設定する(ステップ305)。また、エアバッグECU72は、上記ステップ301において、シート1が離席状態にあることを示すものである場合(ステップ301:NO)には、そのエアバッグのインジケータをオフにする(ステップ306)。そして、そのエアバッグの制御モードを、当該エアバッグの展開を行わない非展開モードに設定する構成になっている(ステップ307)。
【0041】
(着座センサオフ後の継続時間に基づくシート荷重の閾値設定)
次に、本実施形態のシートECU71が実行する着座センサオフ後の継続時間に基づくシート荷重の閾値設定について説明する。
【0042】
図7のフローチャートに示すように、本実施形態のシートECU71は、シート1が第1着座状態又は第2着座状態にあると判定されている状況(ステップ401:YES)において、着座センサ21がオフ状態となった場合(ステップ402:YES)に、シート荷重の検出値Wと閾値との比較に基づいて、離席状態への移行判定を実行する。
【0043】
具体的には、本実施形態のシートECU71は、荷重センサ11によるシート荷重の検出値W、詳しくは、その絶対値が閾値以下であるか否かに基づいて、その着座状態から離席状態への移行判定(離席判定)を実行する。尚、本実施形態の着座状態検知装置30において、上記ステップ402における着座センサ21のオフ判定は、その着座面10上の異なる位置に感圧部60を形成する三系統の着座センサ21a〜21cが全てオフ状態となることを要件とする。また、本実施形態のシートECU71は、その着座センサ21がオフ状態となった後の継続時間を監視する(ステップ403,404,406)。そして、その着座センサ21がオフ状態となった後の継続時間が長いほど(t1<t2<t3)、その離席判定に用いるシート荷重の閾値を大きな値(W5<W6<W7)に設定する構成となっている(ステップ405,407,408)。
【0044】
詳述すると、シートECU71は、着座センサ21がオフ状態となった後(ステップ402:YES)の継続時間が所定時間t1以上であるか否かを判定し(ステップ403)、その継続時間が所定時間t1以上である場合(t≧t1、ステップ403:YES)には、更に当該継続時間が所定時間t2以上であるか否かを判定する(ステップ404)。そして、着座センサ21がオン状態となった後の継続時間が所定時間t2に達していない場合(t<t2、ステップ404:NO)には、離席判定に用いるシート荷重の閾値を「W5」に設定し、荷重センサ11によるシート荷重の検出値Wが、その閾値W5以下であるか否かを判定する(ステップ405)。
【0045】
また、シートECU71は、上記ステップ404において、着座センサ21がオフ状態となった後の継続時間が所定時間t2以上であると判定した場合(t≧t2、ステップ404:YES)、更に、その継続時間が所定時間t3以上であるか否かを判定する(ステップ406)。そして、着座センサ21がオン状態となった後の継続時間が所定時間t3に達していない場合(t<t3。ステップ406:NO)には、離席判定に用いるシート荷重の閾値を「W6」に設定し、荷重センサ11によるシート荷重の検出値Wが、その閾値W6以下であるか否かを判定する(ステップ407)。
【0046】
更に、本実施形態のシートECU71は、上記ステップ406において、着座センサ21がオフ状態となった後の継続時間が所定時間t3以上であると判定した場合(t≧t3、ステップ406:YES)には、その離席判定に用いるシート荷重の閾値を「W7」に設定する。そして、荷重センサ11によるシート荷重の検出値Wが、その閾値W7以下であるか否かを判定する(ステップ408)。
【0047】
さらに詳述すると、本実施形態のシートECU71は、上記ステップ405において、シート荷重の検出値Wが、閾値W5以下であると判定された場合(|W|≦W5、ステップ405:YES)、続いて、その閾値W5以下の値を有したシート荷重の検出値Wが、所定時間T5以上、継続しているか否かを判定する(ステップ409)。同様に、上記ステップ407において、シート荷重の検出値Wが、閾値W6以下であると判定された場合(|W|≦W6、ステップ407:YES)にも、同じくステップ409において、その閾値W6以下の値を有したシート荷重の検出値Wが、所定時間T5以上、継続しているか否かを判定する。また、上記ステップ408において、シート荷重の検出値Wが、閾値W7以下であると判定された場合(|W|≦W7、ステップ408:YES)にも、同じくステップ409において、その閾値W7以下の値を有したシート荷重の検出値Wが、所定時間T5以上、継続しているか否かを判定する。そして、本実施形態のシートECU71は、このステップ409において、その継続時間が所定時間T5以上であると判定した場合(T≧T5、ステップ409:YES)に、そのシート1に乗員が着座していない離席状態にあるものと判定する構成になっている(ステップ410)。
【0048】
尚、本実施形態のシートECU71は、上記ステップ402において、着座センサ21がオン状態である場合(ステップ402:NO)、及びステップ403において、着座センサ21がオン状態となった後の継続時間が所定時間t1に達していない場合(t<t1、ステップ403:NO)には、それ以降の各ステップの処理を実行しない。また、ステップ405において、シート荷重の検出値Wが閾値W5よりも大きい場合(W>W5、ステップ405:NO)、及びステップ407において、そのシート荷重の検出値Wが閾値W6よりも大きい場合(W>W6、ステップ407:NO)にも、それ以降の各ステップの処理を実行しない。更に、ステップ408において、そのシート荷重の検出値Wが閾値W7よりも大きい場合(W>W7、ステップ408:NO)、及び上記ステップ409において、閾値以下のシート荷重の検出値Wが継続して検出されている時間が所定時間T5に達していない場合(T<T5、ステップ409:NO)にも、それ以降の各ステップの処理を実行しない。そして、本実施形態のシートECU71は、これらの場合には、その「先に行われた着座状態の判定」を維持する構成になっている。
【0049】
また、本実施形態のシートECU71は、上記ステップ101において、シート1が離席状態にあると判定した場合(ステップ101:NO)には、それ以降の各ステップの処理を実行しない。そして、この場合、その「先に行われた離席状態の判定」を維持する構成になっている。
【0050】
即ち、シート1の着座面10に感圧部60を有した着座センサ21がオフ状態となり、荷重センサ11によるシート荷重の検出値W(の絶対値)が、無負荷状態を示す値となった場合には、シート1の乗員が離席動作姿勢に移行したものと推定することができる。しかしながら、シート荷重の検出値Wは、乗員の動作姿勢に基づきシートクッション2が揺動することで大きく変動しやすい傾向があり、着座センサ21もまた乗員の着座姿勢変化によって、一時的にオフ状態となることがある。このため、着座センサ21がオフ状態となった直後では、その乗員の動作姿勢が、離席動作であるか一時的な姿勢変化であるかを区別することが困難であり、これにより、その離席判定の確定に遅延が生ずる可能性がある。
【0051】
図8に示すように、本実施形態のシートECU71は、この点を踏まえ、その着座センサ21がオフ状態となった後の継続時間(t)を監視することにより、シート1に着座する乗員の離席動作姿勢及びその離席動作姿勢の信頼度を推定する。即ち、着座センサ21がオフ状態となった後の継続時間が長いほど、その着座センサ21のオフ状態移行を伴った乗員の動作姿勢が、実際にシート1から離席する動作である可能性が高い。そして、本実施形態のシートECU71は、この着座センサ21がオフ状態となった後の継続時間により推定される離席動作の信頼度が高いほど、その離席判定に用いるシート荷重の閾値に大きな値を設定する構成になっている。
【0052】
具体的には、本実施形態のシートECU71は、着座センサ21がオフ状態となった後の継続時間が所定時間t1〜所定時間t2までの第1離席推定区分においては、その離席判定に用いるシート荷重の閾値を最も小さな「W5」に設定する。また、より継続時間の長い所定時間t2〜所定時間t3までの第2離席推定区分においては、その離席判定に用いるシート荷重の閾値を、第1離席推定区分における閾値W5よりも大きな値を有した「W6」に設定する。更に、より継続時間の長い所定時間t3以上の第3離席推定区分においては、その離席判定に用いるシート荷重の閾値を、最も大きな値を有した「W7」に設定する。そして、本実施形態のシートECU71は、このように、その着座センサ21がオフ状態となった後の継続時間に基づき段階的にシート荷重Ws(W)についての判定条件を緩和することによって、判定精度を低下させることなく、より迅速に、その離席判定を行うことが可能となっている。
【0053】
(着座センサのオン/オフパターンに基づくシート荷重の閾値設定)
次に、本実施形態のシートECU71が実行する各着座センサ21a〜21cのオン/オフパターンに基づくシート荷重の閾値設定について説明する。
【0054】
図2及び
図9に示すように、本実施形態のシートECU71は、その三系統の着座センサ21a〜21cにおけるオン/オフ状態の組み合わせ、つまりはオン/オフパターンに基づいて、そのシート1における乗員の着座姿勢及び当該着座姿勢の偏向区分を推定する。そして、この推定された着座姿勢の偏向区分毎に、そのシートに着座する乗員の体格を判定する乗員検知判定(
図4及び
図5参照)に用いられるシート荷重の各閾値W1〜W4を補正する。
【0055】
即ち、シート1に乗員が着座することによるシート荷重Wsの印加位置は、その乗員の着座姿勢により変化する。例えば、乗員がシート幅方向にずれた位置に着座している状態や、乗員がシート幅方向にもたれ掛かっている状態等、乗員の着座姿勢にシート幅方向の偏向がある場合には、その着座姿勢の偏向方向に、シート荷重Wsの印加位置が移動することになる。そして、これにより、その荷重センサ11によるシート荷重の検出値Wに誤差が生ずる可能性がある。
【0056】
具体的には、シート1に乗員が着座することによるシート荷重Wsの印加位置は、その乗員の着座姿勢が、シート幅方向内側に強く偏向するものであるほど、荷重センサ11が配置されたシート幅方向内側の端部に近づき、そのシート幅方向外側に強く偏向するものであるほど、シート幅方向内側の端部から遠ざかる。このため、本実施形態の着座状態検知装置30においては、そのシート荷重Wsの印加位置が荷重センサ11の配置されたシート幅方向内側の端部に近づくほど、より大きな値を有したシート荷重Ws(W)が検出されることになる。
【0057】
この点を踏まえ、本実施形態のシートECU71は、上記のように、その着座姿勢の偏向区分から特定されるシート荷重Wsの印加位置が、荷重センサ11の配置された位置に近いほど、その補正後の各閾値W1´〜W4´が大きな値となるように、乗員検知判定に用いられるシート荷重の各閾値W1〜W4を補正する。そして、本実施形態のシートECU71は、これにより、より精度よく、その乗員検知判定を行うことが可能となっている。
【0058】
詳述すると、本実施形態のシートECU71は、上記のようにシート幅方向に並んで配置されることにより、それぞれ、異なる位置に感圧部60を有した各着座センサ21a〜21cが全てオン状態となっている場合に、そのシート1における乗員の着座姿勢に偏向がない「中央着座姿勢」と推定する。そして、シート幅方向中央位置に感圧部60を有した着座センサ21bのみがオン状態となっている場合にも、その乗員の着座姿勢が「中央着座姿勢」であると推定する。
【0059】
また、シートECU71は、シート幅方向内側の位置に感圧部60を有した着座センサ21a及びシート幅方向中央の着座センサ21bがオン状態となり、シート幅方向外側の位置に感圧部60を有した着座センサ21cがオフ状態となっている場合には、その乗員の着座姿勢が内側に偏向した「第1内側偏向着座姿勢」であると推定する。更に、シート幅方向外側の着座センサ21c及びシート幅方向中央の着座センサ21bがオン状態となり、シート幅方向内側の着座センサ21aがオフ状態となっている場合には、その乗員の着座姿勢が外側に偏向した「第1外側偏向着座姿勢」であると推定する。そして、シート幅方向内側の着座センサ21aのみがオン状態となっている場合には、その乗員の着座姿勢が、より強くシート幅方向内側に偏向した「第2内側偏向着座姿勢」であると推定し、シート幅方向外側の着座センサ21cのみがオン状態となっている場合には、より強くシート幅方向外側に偏向した「第2外側偏向着座姿勢」であると推定する。
【0060】
更に、本実施形態のシートECU71は、このような着座姿勢推定の結果、その偏向区分が「第1内側偏向着座姿勢」と推定された場合、乗員検知判定に用いられるシート荷重の各閾値W1〜W4に対して補正値α1を加算する(例えば、W1´=W1+α1)。そして、その偏向区分が「第2内側偏向着座姿勢」と推定された場合には、乗員検知判定に用いられるシート荷重の各閾値W1〜W4に対し、上記の補正値α1よりも大きな値(絶対値)を有した補正値α2を加算する(例えば、W1´=W1+α2、但し、α1<α2)。
【0061】
一方、上記着座姿勢推定の結果、その偏向区分が「第1外側偏向着座姿勢」と推定された場合、シートECU71は、乗員検知判定に用いられるシート荷重の各閾値W1〜W4から補正値α1を減算する(例えば、W1´=W1−α1)。また、その偏向区分が「第2外側偏向着座姿勢」と推定された場合には、乗員検知判定に用いられるシート荷重の各閾値W1〜W4から補正値α2を減算する(例えば、W1´=W1−α2)。そして、本実施形態のシートECU71は、上記着座姿勢推定の結果、「中央着座姿勢」と推定された場合には、その乗員検知判定に用いられるシート荷重の各閾値W1〜W4に対して補正を行わない構成になっている。
【0062】
即ち、本実施形態のシートECU71は、乗員の着座姿勢に偏向のない場合を基準として、その推定される着座姿勢の偏向区分が、より強いシート幅方向内側への偏向を示すものであるほど、乗員検知判定に用いられるシート荷重の各閾値W1〜W4に対し、その補正後の各閾値W1´〜W4´が、より大きな値となるような加算補正を実行する。また、その推定される着座姿勢の偏向区分が、より強いシート幅方向外側への偏向を示すものであるほど乗員検知判定に用いられるシート荷重の各閾値W1〜W4に対し、その補正後の各閾値W1´〜W4´が、より小さな値となるような減算補正を実行する。そして、本実施形態のシートECU71は、これら補正後の各閾値W1´〜W4´を用いて乗員の体格を判定することで、より精度よく、その乗員検知判定を行うことが可能となっている。
【0063】
(着座センサの異常検知)
次に、本実施形態のシートECU71が実行する着座センサの異常検知について説明する。
【0064】
図10に示すように、本実施形態のシートECU71は、着座面10上の異なる位置に感圧部60を形成する三系統の着座センサ21a〜21cが全てオン状態となっている状態(
図9参照、中央着座姿勢)にある場合には、荷重センサ11によるシート荷重の検出値Wを監視する。そして、この状態において、シート荷重の検出値W(の絶対値)が無負荷状態を示す所定の閾値W8以下となっている場合には、これらの着座センサ21a〜21cに、そのオン/オフ状態がオンのままとなる「オン固定異常」が発生したものと判定する。
【0065】
即ち、本実施形態の着座状態検知装置30において、これらの着座センサ21a〜21cを構成するメンブレンスイッチ20が配置されたシートクッション2の内側には、クッションパッドが配置されている。そして、このクッションパッドを構成するクッション材(例えば、発泡樹脂材等)は、多くの場合、熱膨張しやすい傾向がある。このため、高温環境下においては、その膨張したクッションパッドに押圧されることで、着座センサ21a〜21cがオン状態となったままとなる可能性がある。
【0066】
この点を踏まえ、本実施形態のシートECU71は、上記のような各着座センサ21a〜21cのオン/オフパターン及び荷重センサ11の検出値Wと閾値との比較に基づいた異常判定を実行する。そして、これにより、その着座センサ21a〜21cのオン固定異常を、速やかに検知することが可能となっている。
【0067】
また、本実施形態のシートECU71は、着座センサ21a〜21cが全てオフ状態となっている状態にある場合にも、荷重センサ11によるシート荷重の検出値Wを監視する。そして、この状態において、シート荷重の検出値Wが、第1着座状態の判定に用いられる閾値W1以上、即ちシート1に「大人」が着座している場合に相当する値を有している場合には、これらの着座センサ21a〜21c又は荷重センサ11に何らかの異常が生じたものと判定する構成になっている。
【0068】
(シート荷重のゼロ点補正)
次に、本実施形態のシートECU71が実行するシート荷重のWsのゼロ点補正の態様について説明する。
【0069】
図11のフローチャートに示すように、本実施形態の着座状態検知装置30において、シートECU71は、その着座面10上の異なる位置に感圧部60を形成する三系統の着座センサ21a〜21cが全てオフ状態となっているか否かを判定する(ステップ501)。更に、シートECU71は、その三系統の着座センサ21が全てオフ状態となっている場合(ステップ501:YES)には、荷重センサ11によるシート荷重の検出値W(の絶対値)が無負荷状態を示す所定の閾値W8以下となっているか否かを判定する(ステップ502)。そして、本実施形態の着座状態検知装置30は、そのシート荷重の検出値Wが所定の閾値W8以下となっている場合(ステップ502:YES)には、このシート荷重の検出値Wを、そのシート荷重のゼロ点W0に設定する構成になっている(W0=W、ステップ503、ゼロ点補正)。
【0070】
具体的には、本実施形態のシートECU71は、上記のような着座状態判定に用いるシート荷重の各閾値(W1〜W8,t0〜t3,T1〜T5)や補正値(α1,α2)とともに、そのシート荷重のゼロ点W0を記憶領域71a内に保持する(
図1参照)。即ち、荷重センサ11によるシート荷重の検出値Wは、このゼロ点W0を基準(±0)とした場合の値となっている。そして、本実施形態のシートECU71は、この記憶領域71a内に記憶されたゼロ点W0の値を、補正時点におけるシート荷重の検出値Wで更新することにより、そのゼロ点補正を行う構成になっている。
【0071】
以上、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)着座状態判定部としてのシートECU71は、着座センサ21がオフ状態になり、且つ荷重センサ11によるシート荷重の検出値Wが閾値以下である場合に、シート1に対して乗員が着座していない離席状態にあると判定する。そして、閾値設定部としてのシートECU71は、着座センサ21がオフ状態となった後の継続時間が長いほど(t1<t2<t3)、その離席状態の判定に用いられるシート荷重の閾値を大きな値に設定する(W5<W6<W7)。
【0072】
即ち、着座センサ21がオフ状態となった後の継続時間が長いほど、その着座センサ21のオフ状態移行を伴った乗員の動作姿勢が、実際にシート1から離席する動作である可能性が高い。従って、上記構成によれば、判定精度を低下させることなく、より迅速に、その離席判定を行うことができる。
【0073】
(2)着座状態検知装置30は、シート幅方向に並んで配置された複数系統(三系統)の着座センサ21a〜21cを備える。また、荷重センサ11は、シート幅方向内側の端部においてシート1の下方に設けられる。更に、乗員検知判定部としてのシートECU71は、荷重センサ11とシート荷重の検出値Wと閾値W1〜W4との比較に基づいて、シート1に着座する乗員の体格を判定する。そして、第2の閾値設定部としてのシートECU71は、各着座センサ21a〜21cのオン/オフパターンにより推定されるシート荷重Wsの印加位置が、荷重センサ11の配置されたシート幅方向内側の端部に近いほど、その乗員検知判定に用いられるシート荷重の各閾値W1〜W4(W1´〜W4´)を大きな値に設定(補正)する。
【0074】
即ち、シート1に乗員が着座することによるシート荷重Wsの印加位置は、シート幅方向に並んで配置された各着座センサ21a〜21cのオン/オフパターンから推定することができる。そして、荷重センサ11により検出されるシート荷重Wsの値(W)は、そのシート荷重Wsの印加位置が、荷重センサ11の配置されたシート幅方向内側の端部に近づくほど、より大きな値となる。従って、上記構成によれば、判定精度を低下させることなく、より迅速に、その乗員検知判定を行うことができる。
【0075】
(3)異常判定部としてのシートECU71は、着座面10上の異なる位置に感圧部60を形成する三系統の着座センサ21a〜21cが全てオン状態となっている場合には、荷重センサ11によるシート荷重の検出値Wを監視する。そして、着座センサ21a〜21cが全てオン状態となっているにも関わらず、荷重センサ11によるシート荷重の検出値W(の絶対値)が無負荷状態を示す所定の閾値W8以下である場合には、その各着座センサ21a〜21cに、そのオン/オフ状態がオンのままとなる「オン固定異常」が発生したものと判定する。
【0076】
即ち、高温環境下においては、各着座センサ21a〜21cを構成するメンブレンスイッチ20とともにシートクッション2の内側に配置されたクッションパッドが熱膨張する可能がある。そして、その膨張したクッションパッドに押圧されることで、着座センサ21a〜21cがオン状態となったままとなる可能性がある。しかしながら、上記構成によれば、このようなオン固定異常の発生を、簡素な構成にて、速やかに検知することができる。そして、これにより、より精度よく、その着座状態判定を行うことができる。
【0077】
(4)ゼロ点補正部としてのシートECU71は、着座センサ21がオフ状態となっており、且つ荷重センサ11によるシート荷重の検出値W(の絶対値)が無負荷状態を示す所定の閾値W8以下である場合に、そのシート荷重の検出値Wをシート荷重のゼロ点W0に設定する。
【0078】
即ち、シート1の着座面10に印加されるシート荷重Wsの検出においては、その着座面10を形成するシートクッション2の揺動によって、予め設定されたシート荷重のゼロ点W0がずれてしまう可能性がある。しかしながら、上記構成によれば、随時、そのシート荷重のゼロ点W0が、適切な値に更新される。そして、これにより、より精度よく、その着座状態判定を行うことができる。
【0079】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、シートクッション2の内側には、シート幅方向に並ぶ三系統の着座センサ21a〜21cが設けられる。そして、これらの各着座センサ21a〜21cが、それぞれ、着座面10上の異なる位置に感圧部60を形成することとした。しかし、これに限らず、2又は4系統以上の着座センサ21を有する構成であってもよい。そして、例えば、複数の着座センサ21におけるオン/オフ状態の組み合わせ、つまりはオン/オフパターンを着座状態判定に用いない場合等、着座センサ21は、一系統であってもよい。
【0080】
・上記実施形態では、荷重センサ11は、シート幅方向内側の後端部において、シート1の下方に設けられることとした。しかし、これに限らず、シート幅方向外側に設けられていてもよい。更に、互いに異なる位置に配置された複数の荷重センサ11を備える構成であってもよい。そして、これにより、その各着座センサ21a〜21cのオン/オフパターンに基づいたシート荷重の各閾値W1〜W4の補正が不要となる可能性がある。
【0081】
・上記実施形態では、各着座センサ21a〜21cのオン/オフパターンに基づいて、そのシート1における乗員の着座姿勢を推定することとしたが、さらにシートベルト(図示略)の装着状態等を加えた推定を行ってもよい。例えば、
図12に示すように、シートベルトのバックルについてオン/オフ状態(BSW)が検出可能な構成であれば、シート1上に載置されたチャイルドシートの固定状態を推定することができる。更に、シートベルトの装着状態を示す信号は、例えば、上記のような乗員の着座状態判定(
図4参照)、エアバッグ制御(
図6参照)、離席判定(
図7参照)、着座センサ21の異常判定(
図10参照)、シート荷重Wsのゼロ点補正(
図11参照)等にも用いることができる。また、継続時間要件を組み合わせてもよい。そして、これにより、その判定精度を高めることができる。
【0082】
・上記実施形態では、乗員の離席判定においては、予め設定された3つの閾値W5,W6,W7を切り替えることにより、着座センサ21がオフ状態となった後の継続時間が長いほど(t1<t2<t3)、その離席状態の判定に用いられるシート荷重の閾値を大きな値に設定することとした(
図7参照)。しかし、これに限らず、2又は4以上の閾値を切り替える構成であってもよい。そして、各着座センサ21a〜21cのオン/オフパターンに基づくシート荷重の閾値設定のように、補正値(α1,α2)の加算又は減算によって、着座センサ21がオフ状態となった後の継続時間が長いほど、シート荷重の閾値を大きな値に設定する構成であってもよい。そして、オン/オフパターンに基づくシート荷重の閾値設定についてもまた、予め設定された複数の閾値を切り替えることにより行う構成であってもよい。
【0083】
・上記実施形態では、閾値設定部としてのシートECU71は、着座センサ21がオフ状態となった後の継続時間に応じて、段階的に、その離席判定に用いるシート荷重の閾値を引き上げることとした(
図8参照)。しかし、これに限らず、その着座センサ21がオフ状態となった後の継続時間に応じて、連続的に、離席判定に用いるシート荷重の閾値を引き上げる構成であってもよい。
【0084】
・また、
図13に示すように、着座面10上の異なる位置に感圧部60を形成する複数の着座センサ21を有する場合には、その同時にオン状態からオフ状態になった着座センサ21の数が多いほど、より短い継続時間で、より大きな値を有するシート荷重の閾値が設定されるようにしてもよい。
【0085】
即ち、同時にオン状態からオフ状態になった着座センサ21の数が多いほど、これら各着座センサ21のオフ状態移行を伴った乗員の動作姿勢が、実際にシート1から離席する動作である可能性が高い。従って、このような場合には、そのシート荷重の検出値Wに関する離席判定条件の緩和速度を速めても、その判定精度を維持することができる。そして、これにより、より迅速に高精度の離席判定を行うことができる。
【0086】
・更に、
図14のフローチャートに示すように、同時にオン状態からオフ状態になった着座センサ21の数を検出した後(ステップ603)、その移行センサ数Nが所定の閾値N0を超えるか否かを判定する(ステップ604)。例えば、上記実施形態のように三系統の着座センサ21a〜21cを有する構成の場合、この所定の閾値N0は、着座センサ21の総数を示す「3」に設定するとよい(N0=3)。尚、この所定の閾値N0は、必ずしも着座センサ21の「総数に対応する値」でなくともよいが、「大部分とみなすことのできる値」であることが望ましい。また、
図14のフローチャート中、ステップ605以降の各処理は、
図7のフローチャートにおけるステップ403以降の各処理と同様である。そして、その移行センサ数Nが所定の閾値N0を超える場合(ステップ604:YES)には、上記実施形態のような着座センサ21がオフ状態となった後の継続時間に関わらず、その離席状態の判定に用いられるシート荷重の閾値を最も厳格な所定の値、即ち、この場合には最も小さな「W5」に設定する構成としてもよい(ステップ607)。
【0087】
即ち、着座面10上の異なる位置に感圧部60を形成する複数の着座センサ21がある場合に、その大部分が同時にオン状態からオフ状態になった場合には、これら各着座センサ21のオフ状態移行を伴った乗員の動作姿勢が、実際にシート1から離席する動作である可能性が高い。従って、このような場合には、その離席状態の判定に用いられるシート荷重の閾値を厳しい値に設定したとしても、速やかに、そのシート荷重の検出値Wに関する離席判定条件を満たす可能性が高い。そして、これにより、より迅速且つ精度よく、その離席判定を行うことができる。
【0088】
・上記実施形態及び別例では、シートECU71が、着座状態判定部、離席状態判定部、閾値設定部、乗員検知判定部、第2の閾値設定部、異常判定部及びゼロ点補正部として機能することとした。しかし、これに限らず、これらの各機能制御部が、複数の情報処理装置に分散されたかたちで形成される構成であってもよい。
【0089】
次に、以上の実施形態から把握することのできる技術的思想を効果とともに記載する。
(イ)前記着座センサがオン状態であるにも関わらず、前記シート荷重の検出値が無負荷状態を示す所定の閾値以下である場合には、前記着座センサにオン固定異常が発生しているものと判定する異常判定部を備えること、を特徴とする着座状態検知装置。
【0090】
即ち、多くの場合、着座センサが配置されるシートクッションの内側には、クッションパッドが配置されている。そして、このクッションパッドを構成するクッション材(例えば、発泡樹脂材等)は、多くの場合、熱膨張しやすい傾向がある。このため、高温環境下においては、この膨張したクッションパッドに押圧されることで、その着座センサがオン状態となったままとなる可能性がある。しかしながら、上記構成によれば、その着座センサに生じたオン固定異常を、簡素な構成にて、速やかに検知することができる。そして、これにより、より精度よく、そのシートに対する乗員の着座状態を検知することができる。