特許第6520610号(P6520610)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6520610
(24)【登録日】2019年5月10日
(45)【発行日】2019年5月29日
(54)【発明の名称】電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20190520BHJP
   H01G 2/06 20060101ALI20190520BHJP
【FI】
   H01G4/30 201F
   H01G4/30 201G
   H01G4/30 513
   H01G4/30 516
   H01G2/06 Z
【請求項の数】8
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2015-187826(P2015-187826)
(22)【出願日】2015年9月25日
(65)【公開番号】特開2017-63125(P2017-63125A)
(43)【公開日】2017年3月30日
【審査請求日】2018年5月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】岩間 正裕
(72)【発明者】
【氏名】田村 健寿
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 淳
(72)【発明者】
【氏名】大井 倫紀
【審査官】 堀 拓也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−035905(JP,A)
【文献】 実開昭62−199921(JP,U)
【文献】 特開2004−087717(JP,A)
【文献】 特開2015−026730(JP,A)
【文献】 特開2003−303732(JP,A)
【文献】 特開平10−208970(JP,A)
【文献】 特開2015−062215(JP,A)
【文献】 特開2011−135038(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0149466(US,A1)
【文献】 特開平08−148374(JP,A)
【文献】 特開2006−245049(JP,A)
【文献】 米国特許第5072329(US,A)
【文献】 特開昭62−42845(JP,A)
【文献】 特開2000−219996(JP,A)
【文献】 特開2014−22692(JP,A)
【文献】 特開2006−245048(JP,A)
【文献】 特開2002−280701(JP,A)
【文献】 特開平10−22160(JP,A)
【文献】 特開平8−148374(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/30
H01G 2/06
H05K 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一方向で互いに対向する第一主面と第二主面とを有している素体と、
前記素体の前記第一主面側に配置されている第一端子電極と、
前記素体の前記第二主面側に配置されている第二端子電極と、を備え、
前記第一端子電極は、
前記第一主面に形成された第一焼結金属層と、
前記第一焼結金属層に形成され、かつ、卑金属からなる第一めっき層と、を有しており、
前記第二端子電極は、
前記第二主面に形成された第二焼結金属層と、
前記第二焼結金属層に形成され、かつ、卑金属からなる第二めっき層と、
前記第二めっき層に形成され、かつ、SnとSnの融点より高い融点を有する金属とを含むはんだ層と、を有している、電子部品。
【請求項2】
前記第一めっき層は、Niめっき層又はCuめっき層である、請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記第二焼結金属層と前記第二めっき層とからなる電極構造体には、前記第二主面に直交する方向から見て内側の領域に、窪みが形成されており、
前記はんだ層は、前記窪みに凸状に形成されている、請求項1又は2に記載の電子部品。
【請求項4】
Snの融点より高い融点を有する前記金属は、Sbである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子部品。
【請求項5】
前記第二めっき層は、Niめっき層であり、
前記第二めっき層とはんだ層との間には、NiとSnとの合金が存在する領域が存在している、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子部品。
【請求項6】
前記素体の内部において、互いに対向するように前記第一方向と直交する第二方向に同等の間隔で並んでいる複数の内部電極を更に備え、
前記複数の内部電極は、
前記第一端子電極に接続されていると共に前記第二端子電極には接続されていない複数の第一内部電極と、
前記第二端子電極に接続されていると共に前記第一端子電極には接続されていない複数の第二内部電極と、
少なくとも前記第二端子電極には接続されていない複数の第三内部電極と、
少なくとも前記第一端子電極には接続されていない複数の第四内部電極と、を有し、
前記素体は、
互いに対向する前記第一内部電極と前記第二内部電極との間に位置している複数の第一領域と、
前記第三内部電極を介して互いに対向する前記第一内部電極同士の間と前記第四内部電極を介して互いに対向する前記第二内部電極同士の間とにそれぞれ位置している複数の第二領域と、を含み、
各前記第一領域と各前記第二領域とは、前記第二方向で交互に位置している、請求項1〜5のいずれか一項に記載の電子部品。
【請求項7】
前記第一端子電極に接続され、かつ、前記素体の内部において前記第一方向と直交する第二方向で並んでいる第1の数の第一内部電極を有する複数の第一内部電極群と、
前記第二端子電極に接続され、かつ、前記素体の内部において前記第二方向で並んでいる前記第1の数の第二内部電極を有する複数の第二内部電極群と、
前記第一端子電極に接続され、かつ、前記素体の内部において前記第二方向で並んでいる第2の数の第一内部電極を有する複数の第三内部電極群と、
前記第二端子電極に接続され、かつ、前記素体の内部において前記第二方向で並んでいる前記第2の数の第二内部電極を有する複数の第四内部電極群と、を更に備え、
前記第1の数及び前記第2の数は、2以上の互いに異なる整数であり、
前記素体は、内側部分と、前記内側部分を前記第二方向で挟むように位置する一対の外側部分と、を有し、
各前記第一内部電極群に含まれる前記第一内部電極同士の前記第二方向での間隔、各前記第二内部電極群に含まれる前記第二内部電極同士の前記第二方向での間隔、各前記第一内部電極群に含まれる前記第一内部電極と前記第二内部電極群に含まれる前記第二内部電極との前記第二方向での間隔、各前記第三内部電極群に含まれる前記第一内部電極同士の前記第二方向での間隔、各前記第四内部電極群に含まれる前記第二内部電極同士の前記第二方向での間隔、及び、各前記第三内部電極群に含まれる前記第一内部電極と前記第四内部電極群に含まれる前記第二内部電極との前記第二方向での間隔は、同等であり、
各前記第一内部電極群と各前記第二内部電極群とは、前記一対の外側部分に位置していると共に、各前記第一内部電極群に含まれる前記第1の数の第一内部電極のうちの1つの第一内部電極と各前記第二内部電極群に含まれる前記第1の数の第二内部電極のうちの1つの第二内部電極とが前記第二方向で互いに対向するように、前記第二方向で交互に並んでおり、
各前記第三内部電極群と各前記第四内部電極群とは、前記内側部分に位置していると共に、各前記第三内部電極群に含まれる前記第2の数の第一内部電極のうちの1つの第一内部電極と各前記第四内部電極群に含まれる前記第2の数の第二内部電極のうちの1つの第二内部電極とが前記第二方向で互いに対向するように、前記第二方向で交互に並んでいる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の電子部品。
【請求項8】
前記第1の数は前記第2の数より多い、請求項7に記載の電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、第一方向で互いに対向する第一主面と第二主面とを有している素体と、素体の第一主面側に配置されている第一端子電極と、素体の第二主面側に配置されている第二端子電極と、を備えている電子部品が開示されている。特許文献1に開示された電子部品では、第一端子電極は、ワイヤボンディングにより、電子機器(たとえば、回路基板又は電子部品など)に配置されている電極と接続されている。すなわち、第一端子電極は、ワイヤを通して、電子機器に配置されている電極と接続されている。第二端子電極は、他の電子機器に配置されている他の電極と直接接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−022160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一つの態様は、第一主面側で卑金属(たとえば、Al又はCuなど)からなるワイヤを用いたワイヤボンディング実装が可能であり、かつ、第二主面側ではんだ実装が可能である電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一つの態様に係る電子部品は、第一方向で互いに対向する第一主面と第二主面とを有している素体と、素体の第一主面側に配置されている第一端子電極と、素体の第二主面側に配置されている第二端子電極と、を備え、第一端子電極は、第一主面に形成された第一焼結金属層と、第一焼結金属層に形成され、かつ、卑金属からなる第一めっき層と、を有しており、第二端子電極は、第二主面に形成された第二焼結金属層と、第二焼結金属層に形成され、かつ、卑金属からなる第二めっき層と、第二めっき層に形成され、かつ、SnとSnの融点より高い融点を有する金属とを含むはんだ層と、を有している。
【0006】
本発明の一つの態様に係る電子部品では、素体の第一主面側に配置されている第一端子電極が、第一焼結金属層に形成され、かつ、卑金属からなる第一めっき層を有しているので、第一主面側で卑金属からなるワイヤを用いたワイヤボンディング実装が可能である。卑金属からなるワイヤを用いたワイヤボンディング実装は、Auからなるワイヤを用いたワイヤボンディング実装に比して安価である。
【0007】
本態様では、素体の第二主面側に配置されている第二端子電極が、第二焼結金属層に形成された第二めっき層に形成され、SnとSnの融点より高い融点を有する金属とを含むはんだ層を有しているので、第二主面側ではんだ実装が可能である。第二端子電極が第二めっき層を有しているので、はんだ層との接合強度を向上することができる。
【0008】
本態様では、素体の第一主面に形成された第一焼結金属層に第一めっき層が形成されていると共に、素体の第二主面に形成された第二焼結金属層に第二めっき層が形成されている。このため、第一めっき層が形成される際に、素体へのめっき液の浸入が第一焼結金属層により抑制されると共に、第二めっき層が形成される際に、素体へのめっき液の浸入が第二焼結金属層により抑制される。めっき液の浸入は、電子部品の電気的特性を劣化させるおそれがある。したがって、めっき液の浸入が抑制されることにより、電子部品の電気的特性の劣化を抑制することができる。
【0009】
第一めっき層は、Niめっき層又はCuめっき層であってもよい。この場合、Al又はCuからなるワイヤと第一めっき層とが接合しやすい。
【0010】
第二焼結金属層と第二めっき層とからなる電極構造体には、第二主面に直交する方向から見て内側の領域に、窪みが形成されており、はんだ層は、窪みに凸状に形成されていてもよい。この場合、たとえば、電極構造体に窪みが形成されていない構成に比して、はんだ層を構成するはんだの量が多い。このため、電子部品が第二主面側で電子機器にはんだ実装される際に、はんだ中にボイドが発生するのを抑制し、電子部品と電子機器との接合強度を向上することができる。
【0011】
Snの融点より高い融点を有する金属は、Sbであってもよい。Snの融点より高い融点を有する金属がSbであるはんだ層は、Snの融点より高い融点を有する金属が貴金属であるはんだ層に比して、安価であるため、電子部品のコストダウンが可能となる。
【0012】
第二めっき層は、Niめっき層であり、第二めっき層とはんだ層との間には、NiとSnとの合金が存在する領域が存在していてもよい。この場合、第二めっき層とはんだ層との接合強度を向上することができる。
【0013】
素体の内部において、互いに対向するように第一方向と直交する第二方向に同等の間隔で並んでいる複数の内部電極を更に備え、複数の内部電極は、第一端子電極に接続されていると共に第二端子電極には接続されていない複数の第一内部電極と、第二端子電極に接続されていると共に第一端子電極には接続されていない複数の第二内部電極と、少なくとも第二端子電極には接続されていない複数の第三内部電極と、少なくとも第一端子電極には接続されていない複数の第四内部電極と、を有し、素体は、互いに対向する第一内部電極と第二内部電極との間に位置している複数の第一領域と、第三内部電極を介して互いに対向する第一内部電極同士の間と第四内部電極を介して互いに対向する第二内部電極同士の間とにそれぞれ位置している複数の第二領域と、を含み、各第一領域と各第二領域とは、第二方向で交互に位置していてもよい。
【0014】
この場合、電子部品は、積層コンデンサとして機能する。
【0015】
第一端子電極に接続された第一内部電極と第二端子電極に接続された第二内部電極とは、互いに異なる極性を有する。互いに対向する第一及び第二内部電極の間に位置している第一領域は、静電容量を生じさせる。第一内部電極同士は、互いに同じ極性を有する。第二端子電極とは接続されていない第三内部電極は、少なくとも第一内部電極と異なる極性を有さない。第二内部電極同士は、互いに同じ極性を有する。第一端子電極とは接続されていない第四内部電極は、少なくとも第二内部電極と異なる極性を有さない。したがって、第三内部電極を介して互いに対向する第一内部電極同士の間に位置している第二領域、及び、第四内部電極を介して互いに対向する第二内部電極同士の間に位置している第二領域は、静電容量を生じさせない。
【0016】
素体は、複数の内部電極が配置されている内部電極配置領域と、複数の内部電極が配置されていない一対の内部電極非配置領域と、を含んでいる。一対の内部電極非配置領域は、内部電極配置領域を第二方向で挟んでいる。内部電極配置領域は、静電容量を生じさせる複数の第一領域と、静電容量を生じさせない複数の第二領域と、を含んでいる。複数の第一領域により、所望の静電容量が確保される。
【0017】
静電容量を生じさせない第二領域が内部電極配置領域に含まれる。このため、本態様の上記一例としての積層コンデンサでは、たとえば、極性が異なる内部電極が交互に配置されている積層コンデンサであって、素体の大きさが同じであり、かつ、静電容量が同じである積層コンデンサに比して、内部電極配置領域が広く、内部電極非配置領域が狭い。
【0018】
積層コンデンサでは、一般に、素体は誘電体セラミック材料の焼結体として構成され、内部電極は、金属材料の焼結体として構成される。内部電極配置領域での誘電体セラミック材料の焼結度合いと、内部電極非配置領域での誘電体セラミック材料の焼結度合いとは、内部電極となる金属材料の有無に起因して異なる。たとえば、内部電極非配置領域での誘電体セラミック材料の焼結度合いは、内部電極配置領域での誘電体セラミック材料の焼結度合いより低い。内部電極配置領域での誘電体セラミック材料の焼結度合いと、内部電極非配置領域での誘電体セラミック材料の焼結度合いとが異なっている場合、素体にクラックが生じるおそれがある。
【0019】
内部電極配置領域では、全ての内部電極は、第二方向に同等の間隔で並んでいる。このため、内部電極配置領域では、誘電体セラミックの焼結度合いは略一様である。本態様の上記一例としての積層コンデンサでは、上記比較対象の積層コンデンサよりも、内部電極配置領域が広い、すなわち、誘電体セラミックの焼結度合いが略一様である領域が広いため、素体全体での誘電体セラミックの焼結度合いが安定する。この結果、素体にクラックが生じるのを抑制することができる。
【0020】
積層コンデンサに電圧が印加された場合、電歪効果によって印加電圧に応じた大きさの機械的歪みが素体に生じる。電歪効果による機械的歪みにより、素体に応力が生じるので、素体にクラックが生じるおそれがある。
【0021】
本態様の上記一例としての積層コンデンサでは、第一領域には電歪効果による機械的歪みが生じるものの、第二領域には電歪効果による機械的歪みは生じない。第一領域と第二領域とは、第二方向で交互に位置しているので、内部電極配置領域が第二領域を含んでいない構成に比して、電歪効果による機械的歪みが生じる領域が内部電極配置領域において分散される。これにより、電歪効果による機械的歪みにより生じる応力が集中するのが抑制されるので、素体にクラックが生じるのを抑制することができる。
【0022】
これらのことから、本態様の上記一例としての積層コンデンサでは、所望の静電容量を確保しつつ、クラックの発生を抑制することができる。
【0023】
第一端子電極に接続され、かつ、素体の内部において第一方向と直交する第二方向で並んでいる第1の数の第一内部電極を有する複数の第一内部電極群と、第二端子電極に接続され、かつ、素体の内部において第二方向で並んでいる第1の数の第二内部電極を有する複数の第二内部電極群と、第一端子電極に接続され、かつ、素体の内部において第二方向で並んでいる第2の数の第一内部電極を有する複数の第三内部電極群と、第二端子電極に接続され、かつ、素体の内部において第二方向で並んでいる第2の数の第二内部電極を有する複数の第四内部電極群と、を更に備え、第1の数及び第2の数は、2以上の互いに異なる整数であり、素体は、内側部分と、内側部分を第二方向で挟むように位置する一対の外側部分と、を有し、各第一内部電極群に含まれる第一内部電極同士の第二方向での間隔、各第二内部電極群に含まれる第二内部電極同士の第二方向での間隔、各第一内部電極群に含まれる第一内部電極と第二内部電極群に含まれる第二内部電極との第二方向での間隔、各第三内部電極群に含まれる第一内部電極同士の第二方向での間隔、各第四内部電極群に含まれる第二内部電極同士の第二方向での間隔、及び、各第三内部電極群に含まれる第一内部電極と第四内部電極群に含まれる第二内部電極との第二方向での間隔は、同等であり、各第一内部電極群と各第二内部電極群とは、一対の外側部分に位置していると共に、各第一内部電極群に含まれる第1の数の第一内部電極のうちの1つの第一内部電極と各第二内部電極群に含まれる第1の数の第二内部電極のうちの1つの第二内部電極とが第二方向で互いに対向するように、第二方向で交互に並んでおり、各第三内部電極群と各第四内部電極群とは、内側部分に位置していると共に、各第三内部電極群に含まれる第2の数の第一内部電極のうちの1つの第一内部電極と各第四内部電極群に含まれる第2の数の第二内部電極のうちの1つの第二内部電極とが第二方向で互いに対向するように、第二方向で交互に並んでいてもよい。
【0024】
この場合、電子部品は、積層コンデンサとして機能する。
【0025】
複数の第一内部電極群と複数の第二内部電極群とは、第二方向で交互に並んでいる。各第一内部電極群に含まれる第1の数の第一内部電極のうちの1つ第一内部電極と、各第二内部電極群に含まれる第1の数の第二内部電極のうちの1つの第二内部電極とが、第二方向で互いに対向している。これらにより、静電容量を生じさせる複数の領域が各外側部分に配置される。
【0026】
各第一内部電極群に含まれる第1の数の第一内部電極は全て同じ極性であるので、各第一内部電極群において、第1の数の第一内部電極のうち第二方向で両端に位置する第一内部電極間の領域は、静電容量を生じさせない。各第二内部電極群に含まれる第1の数の第二内部電極は全て同じ極性であるので、各第二内部電極群において、第1の数の第二内部電極のうち第二方向で両端に位置する第二内部電極間の領域は、静電容量を生じさせない。このため、素体の各外側部分では、静電容量を生じさせる領域と静電容量を生じさせない領域とが第二方向で交互に位置する。
【0027】
複数の第三内部電極群と複数の第四内部電極群とは、第二方向で交互に並んでいる。各第三内部電極群に含まれる第2の数の第一内部電極のうちの1つの第一内部電極と、各第四内部電極群に含まれる第2の数の第二内部電極のうちの1つの第二内部電極とが、第二方向で互いに対向している。これらにより、静電容量を生じさせる複数の領域が内側部分に配置される。
【0028】
各第三内部電極群に含まれる第2の数の第一内部電極は全て同じ極性であるので、各第三内部電極群において、第2の数の第一内部電極のうち第二方向で両端に位置する第一内部電極間の領域は、静電容量を生じさせない。各第四内部電極群に含まれる第2の数の第二内部電極は全て同じ極性であるので、各第四内部電極群において、第2の数の第一内部電極のうち第二方向で両端に位置する第二内部電極間の領域は、静電容量を生じさせない。このため、素体の内側部分では、静電容量を生じさせる領域と静電容量を生じさせない領域とが第二方向で交互に位置する。
【0029】
素体は、複数の第一〜第四内部電極群が配置されている内部電極配置領域と、複数の第一〜第四内部電極群が配置されていない一対の内部電極非配置領域と、を含んでいる。一対の内部電極非配置領域は、内部電極配置領域を第二方向で挟んでいる。内部電極配置領域は、静電容量を生じさせる複数の領域と、静電容量を生じさせない複数の領域と、を含んでいる。静電容量を生じさせる複数の領域により、所望の静電容量が確保される。
【0030】
静電容量を生じさせない複数の領域が内部電極配置領域に含まれる。このため、本態様の上記一例としての積層コンデンサでは、たとえば、極性が異なる内部電極が交互に配置されている積層コンデンサであって、素体の大きさが同じであり、かつ、静電容量が同じである積層コンデンサに比して、内部電極配置領域が広く、内部電極非配置領域が狭い。
【0031】
内部電極配置領域では、全ての内部電極は、第二方向に同等の間隔で並んでいる。このため、内部電極配置領域では、誘電体セラミックの焼結度合いは略一様である。本態様の上記一例としての積層コンデンサでは、上記比較対象の積層コンデンサよりも、内部電極配置領域が広い、すなわち、誘電体セラミックの焼結度合いが略一様である領域が広いため、素体全体での誘電体セラミックの焼結度合いが安定する。この結果、素体にクラックが生じるのを抑制することができる。
【0032】
これらのことから、本態様の上記一例としての積層コンデンサでは、所望の静電容量を確保しつつ、クラックの発生を抑制することができる。この場合、第1の数が第2の数より多くてもよい。
【0033】
第1の数が第2の数より多い場合、外側部分に位置する第一内部電極群に含まれる第一内部電極の数、及び、同じく外側部分に位置する第二内部電極群に含まれる第二内部電極が、内側部分に位置する第三内部電極群に含まれる第一内部電極の数、及び、同じく内側部分に位置する第四内部電極群に含まれる第二内部電極の数よりも多くなる。これにより、外側部分にクラックが発生した場合、当該クラックが静電容量に寄与する異極性の第一及び第二内部電極に到達し難い。
【発明の効果】
【0034】
本発明の一つの態様によれば、第一主面側で卑金属からなるワイヤを用いたワイヤボンディング実装が可能であり、かつ、第二主面側ではんだ実装が可能である電子部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】一実施形態に係る積層セラミックコンデンサを示す斜視図である。
図2】本実施形態に係る積層セラミックコンデンサの断面構成を説明するための図である。
図3】本実施形態に係る積層セラミックコンデンサの断面構成を説明するための図である。
図4】本実施形態に係る積層セラミックコンデンサの断面構成を説明するための図である。
図5】本実施形態に係る積層セラミックコンデンサの断面構成を説明するための図である。
図6】第一端子電極の断面構成を説明するための図である。
図7】第二端子電極の断面構成を説明するための図である。
図8】第二端子電極の構成を説明するための図である。
図9】本実施形態に係る積層セラミックコンデンサの実装構造を説明するための図である。
図10】本実施形態の変形例に係る積層セラミックコンデンサの断面構成を説明するための図である。
図11】本実施形態の変形例に係る積層セラミックコンデンサの断面構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0037】
まず、図1図5を参照して、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサC1の構成を説明する。図1は、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサを示す斜視図である。図2図5は、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサの断面構成を説明するための図である。本実施形態では、電子部品として積層セラミックコンデンサC1を例に説明する。
【0038】
図1図5に示されるように、積層セラミックコンデンサC1は、素体3と、素体3の外表面に配置されている第一端子電極5及び第二端子電極6と、素体3内に配置されている複数の内部電極7,8,9,10と、を備えている。第一端子電極5と第二端子電極6とは、離間している。
【0039】
素体3は、直方体形状を呈している。素体3は、その外表面として、互いに対向している第一主面3a及び第二主面3bと、互いに対向している第一側面3c及び第二側面3dと、互いに対向している第三側面3e及び第四側面3fと、を有している。直方体形状には、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状が含まれる。
【0040】
第一側面3cと第二側面3dとが対向している方向(第二方向D2)での素体3の長さTは、第一主面3aと第二主面3bとが対向している方向(第一方向D1)での素体3の長さLよりも大きい。素体3の長さTは、第三側面3eと第四側面3fとが対向している方向(第三方向D3)での素体3の長さW以下である。
【0041】
第一側面3c及び第二側面3dは、第一主面3aと第二主面3bとの間を連結するように第一方向D1に延びている。第一側面3c及び第二側面3dは、第三方向D3にも延びている。第三側面3e及び第四側面3fは、第一主面3aと第二主面3bとの間を連結するように第一方向D1に延びている。第三側面3e及び第四側面3fは、第二方向D2にも延びている。
【0042】
素体3は、第一側面3cと第二側面3dとが対向している方向(第二方向D2)に複数の誘電体層が積層されて構成されている。素体3では、複数の誘電体層が積層されている方向が、第二方向D2と一致する。各誘電体層は、たとえば誘電体材料(BaTiO系、Ba(Ti,Zr)O系、又は(Ba,Ca)TiO系などの誘電体セラミック材料)を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。実際の素体3では、各誘電体層は、各誘電体層の間の境界が視認できない程度に一体化されている。
【0043】
素体3は、内層部11と、一対の外層部12とを有している。内層部11には、複数の内部電極7,8,9,10が位置している。一対の外層部12は、内層部11を第二方向D2で挟むように位置している。一対の外層部12には、複数の内部電極7,8,9,10は位置していない。本実施形態では、第二方向D2において、素体3の長さTに対する各外層部12の長さの比は、0.05〜0.2(5〜20%)である。
【0044】
第一端子電極5は、第一主面3a側に配置されている。第一端子電極5は、第一主面3aと、第一側面3cの縁部と、第二側面3dの縁部と、第三側面3eの縁部と、第四側面3fの縁部と、を覆うように形成されている。すなわち、第一端子電極5は、第一主面3a上に位置する電極部分と、第一側面3cの一部上に位置する電極部分と、第二側面3dの一部上に位置する電極部分と、第三側面3eの一部上に位置する電極部分と、第四側面3fの一部上に位置する電極部分と、を有している。
【0045】
第二端子電極6は、第二主面3b側に配置されている。第二端子電極6は、第二主面3bと、第一側面3cの縁部と、第二側面3dの縁部と、第三側面3eの縁部と、第四側面3fの縁部と、を覆うように形成されている。すなわち、第二端子電極6は、第二主面3b上に位置する電極部分と、第一側面3cの一部上に位置する電極部分と、第二側面3dの一部上に位置する電極部分と、第三側面3eの一部上に位置する電極部分と、第四側面3fの一部上に位置する電極部分と、を有している。
【0046】
第一端子電極5は、第一焼結金属層51と、第一めっき層53と、を有している。第一めっき層53は、第一端子電極5の最外層を構成している。
【0047】
第一焼結金属層51は、第一主面3aと、第一側面3cの縁部と、第二側面3dの縁部と、第三側面3eの縁部と、第四側面3fの縁部とに形成されている。第一焼結金属層51は、導電性ペーストを素体3の表面に付与して焼き付けることにより形成される。第一焼結金属層51は、導電性ペーストに含まれる金属成分(金属粉末)が焼結して形成された層である。導電性ペーストは、たとえば印刷法により付与される。
【0048】
本実施形態では、第一焼結金属層51は、卑金属からなる焼結金属層である。具体的には、第一焼結金属層51は、Cuからなる焼結金属層である。第一焼結金属層51は、Niからなる焼結金属層であってもよい。このように、第一焼結金属層51は、卑金属(Cu又はNiなど)を含んでいる。導電性ペーストには、卑金属からなる金属粉末に、ガラス成分、有機バインダ、及び有機溶剤を混合したものが用いられている。
【0049】
第一めっき層53は、第一焼結金属層51に形成され、かつ、卑金属からなる。第一めっき層53は、めっき法により形成される。第一めっき層53は、第一焼結金属層51上に配置されている。本実施形態では、第一めっき層53は、第一焼結金属層51上にNiめっきにより形成されたNiめっき層である。第一めっき層53は、Cuめっき層であってもよい。このように、第一めっき層53は、卑金属として、Ni又はCuを含んでいる。
【0050】
第一焼結金属層51と第一めっき層53とからなる第一電極構造体には、図6にも示されるように、第一主面3aに直交する方向から見て内側の領域に、窪みが形成されている。すなわち、第一電極構造体の厚みについては、第一主面3aに直交する方向から見て内側部分の厚みT1Aが、第一主面3aに直交する方向から見て外側部分の厚みT1Bよりも小さい。図6では、複数の内部電極7,8,9,10の図示が省略されている。
【0051】
第一電極構造体の上記内側部分での第一焼結金属層51の最小厚みは、たとえば1〜20μmであり、好ましくは5〜15μmである。第一電極構造体の上記外側部分での第一焼結金属層51の最大厚みは、たとえば10〜30μmであり、好ましくは16〜25μmである。第一電極構造体の上記内側部分での第一めっき層53の厚み及び第一電極構造体の上記外側部分での第一めっき層53の厚みは、たとえば、2〜5μmである。
【0052】
第二端子電極6は、第二焼結金属層61と、第二めっき層63と、はんだ層65と、を有している。はんだ層65は、第二端子電極6の最外層を構成している。
【0053】
第二焼結金属層61は、第二主面3bと、第一側面3cの縁部と、第二側面3dの縁部と、第三側面3eの縁部と、第四側面3fの縁部とに形成されている。第二焼結金属層61は、第一焼結金属層51と同様に、導電性ペーストを素体3の表面に付与して焼き付けることにより形成される。第二焼結金属層61も、導電性ペーストに含まれる金属成分(金属粉末)が焼結して形成された層である。導電性ペーストは、たとえば印刷法により付与される。
【0054】
本実施形態では、第二焼結金属層61も、卑金属からなる焼結金属層である。具体的には、第二焼結金属層61は、Cuからなる焼結金属層である。第二焼結金属層61は、Niからなる焼結金属層であってもよい。このように、第二焼結金属層61は、卑金属(Cu又はNiなど)を含んでいる。導電性ペーストには、卑金属からなる金属粉末に、ガラス成分、有機バインダ、及び有機溶剤を混合したものが用いられている。
【0055】
第二めっき層63は、第二焼結金属層61に形成され、かつ、卑金属からなる。第二めっき層63は、第一めっき層53と同様に、めっき法により形成される。第二めっき層63は、第二焼結金属層61上に配置されている。本実施形態では、第二めっき層63は、第二焼結金属層61上にNiめっきにより形成されたNiめっき層である。第二めっき層63は、Cuめっき層であってもよい。
【0056】
第二焼結金属層61と第二めっき層63とからなる第二電極構造体には、図7にも示されるように、第二主面3bに直交する方向から見て内側の領域に、窪みが形成されている。すなわち、第二電極構造体の厚みについては、第二主面3bに直交する方向から見て内側部分の厚みT2Aが、第二主面3bに直交する方向から見て外側部分の厚みT2Bよりも小さい。図7では、複数の内部電極7,8,9,10の図示が省略されている。
【0057】
第二電極構造体の上記内側部分での第二焼結金属層61の最小厚みは、たとえば13μmである。第二電極構造体の上記外側部分での第二焼結金属層61の最大厚みは、たとえば26μmである。第二電極構造体の上記内側部分での第二めっき層63の厚み及び第二電極構造体の上記外側部分での第二めっき層63の厚みは、たとえば、1〜4μmである。
【0058】
はんだ層65は、第二めっき層63に形成され、かつ、SnとSnの融点より高い融点を有する金属とを含んでいる。本実施形態では、はんだ層65は、Snの融点より高い融点を有する金属として、Sbを含んでいる。すなわち、はんだ層65は、Sn−Sb系はんだ合金を含んでいる。はんだ層65は、Snの融点より高い融点を有する金属として、貴金属(たとえば、Agなど)を含んでいてもよい。
【0059】
はんだ層65は、リフロー法により形成される。リフロー法では、第二めっき層63上にはんだペーストが付与され、付与されたはんだペーストが加熱される。これにより、はんだペーストが溶融する。その後、溶融したはんだペーストが冷却され、はんだペーストが固化する。これにより、はんだ層65が形成される。はんだペーストは、たとえば、印刷法により、所望の位置に付与される。はんだペーストは、Snと、Snの融点より高い融点を有する金属と、フラックスと、を含んでいる。
【0060】
はんだ層65は、第二電極構造体の窪みに凸状に形成されている。はんだ層65の平均厚みは、たとえば、20〜30μmである。はんだ層65の最大厚みは、たとえば、30〜80μmである。第二電極構造体の上記外側部分における最大厚みとなる位置に接する仮想平面PLから、はんだ層65の表面までの最大厚みは、たとえば、10〜50μmである。
【0061】
本実施形態では、第二電極構造体上には、NiとSnとの合金が存在する領域67が存在している。すなわち、領域67は、第二めっき層63とはんだ層65との間に存在している。領域67は、第二めっき層63上に付与されたはんだペーストが加熱された際に、第二めっき層63に含まれるNiとはんだペーストに含まれるSnとが合金化することにより形成される。領域67の厚みは、たとえば、0.5〜2μmである。
【0062】
領域67の外周部分は、図8に示されるように、はんだ層65から露出している。すなわち、第二主面3bに直交する方向から見て、領域67は、はんだ層65を取り囲むように位置している。はんだ層65は、領域67を介して第二めっき層63上に配置されている。
【0063】
各内部電極7の一端は、素体3の第一主面3aに露出している。これにより、各内部電極7は第一端子電極5に接続されている。各内部電極7の他端は、素体3内に位置しており、第二主面3bには露出していない。すなわち、各内部電極7は、第二端子電極6に接続されていない。
【0064】
各内部電極9の一端は、素体3の第二主面3bに露出している。これにより、各内部電極9は第二端子電極6に接続されている。各内部電極9の他端は、素体3内に位置しており、第一主面3aには露出していない。すなわち、各内部電極9は、第一端子電極5に接続されていない。
【0065】
各内部電極8の一端は、素体3の第一主面3aに露出している。これにより、各内部電極8は、第一端子電極5に接続されている。各内部電極8の他端は、素体3内に位置しており、第二主面3bに露出していない。すなわち、各内部電極8は、第二端子電極6に接続されていない。
【0066】
各内部電極10の一端は、素体3の第二主面3bに露出している。これにより、各内部電極10は、第二端子電極6に接続されている。各内部電極10の他端は、素体3内に位置しており、第一主面3aには露出していない。すなわち、各内部電極10は、第一端子電極5に接続されていない。
【0067】
各内部電極7と各内部電極8とは、第一端子電極5に接続されているので、各内部電極7の極性と各内部電極8の極性とは同じである。各内部電極9と各内部電極10とは、第二端子電極6に接続されているので、各内部電極9の極性と各内部電極10の極性とは同じである。内部電極7,8と内部電極9,10とは、異なる端子電極に接続されているので、内部電極7,8の極性と内部電極9,10の極性とが異なる。
【0068】
各内部電極8は、2つの内部電極7の間に挟まれるように配置されている。すなわち、一つの内部電極8、及び、当該一つの内部電極8を間に挟む2つの内部電極7は、第一端子電極5に接続され、かつ、第二方向D2に連続して並んでいる。これら3つの内部電極7,8は、第二方向D2で、内部電極7、内部電極8、及び内部電極7の順で並んでいる。
【0069】
各内部電極10は、2つの内部電極9の間に挟まれるように配置されている。すなわち、一つの内部電極10、及び、当該一つの内部電極10を間に挟む2つの内部電極9は、第二端子電極6に接続され、かつ、第二方向D2に連続して並んでいる。これら3つの内部電極9,10は、第二方向D2で、内部電極9、内部電極10、及び内部電極9の順で並んでいる。
【0070】
複数の内部電極7,8,9,10は、複数の第一内部電極群と、複数の第二内部電極群とに分かれる。各第一内部電極群は、第二方向D2に連続して並んでいる3つの内部電極7,8からなる。各第二内部電極群は、第二方向D2に連続して並んでいる3つの内部電極9,10からなる。第一内部電極群と第二内部電極群とは、第二方向D2で交互に位置している。
【0071】
第二方向D2で隣り合う内部電極7と内部電極8とは、互いに対向している。第二方向D2で隣り合う内部電極7と内部電極9とは、互いに対向している。第二方向D2で隣り合う内部電極9と内部電極10とは、互いに対向している。第二方向D2で隣り合う内部電極7と内部電極8との間隔、第二方向D2で隣り合う内部電極7と内部電極9との間隔、及び、第二方向D2で隣り合う内部電極9と内部電極10との間隔は、同等である。すなわち、複数の内部電極7,8,9,10は、第二方向D2に同等の間隔を有して並んでいる。ここで、同等とは、等しいことに加えて、予め設定した範囲での微差又は製造誤差などを含んだ値を同等としてもよい。たとえば、隣り合う内部電極7,9の間隔が、当該間隔の平均値から±10%の範囲内であれば、同等の間隔であるとする。
【0072】
各内部電極7,8,9,10は、図4及び図5にも示されるように、たとえば平面視で矩形形状を呈している。各内部電極7,8,9,10は、第三方向D3での長さが第一方向D1での長さよりも大きい。各内部電極7,8,9,10は、積層型の電気素子の内部電極として通常用いられる金属材料(たとえば、Ni又はCuなど)からなる。各内部電極7,8,9,10は、上記金属材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。
【0073】
素体3は、図3にも示されるように、複数の第一領域20Aと、複数の第二領域20Bと、を含んでいる。各第一領域20Aは、互いに対向する内部電極7と内部電極9との間に位置している。互いに対向する内部電極7と内部電極9とは異なる極性を有するので、各第一領域20Aは、静電容量を生じさせる。第二領域20Bは、内部電極8を介して互いに対向する一対の内部電極7の間と、内部電極10を介して互いに対向する一対の内部電極9の間とに位置している。内部電極8及び内部電極7は同じ極性を有すると共に、内部電極9及び内部電極10は同じ極性を有するので、各第二領域20Bは、静電容量を生じさせない。
【0074】
各内部電極8,10は、第二領域20Bを分割するように配置されている。内部電極8は、静電容量の発現に寄与しない。内部電極8は、一対の内部電極7の間に位置する第二領域20Bを2つの領域に分割する。内部電極8により分割された2つの領域の第二方向D2での幅は、同等である。内部電極10は、静電容量の発現に寄与しない。内部電極10は、一対の内部電極9の間に位置する第二領域20Bを2つの領域に分割する。内部電極10により分割された2つの領域の第二方向D2での幅は、同等である。内部電極8により分割された各領域の第二方向D2での幅と、内部電極10により分割された各領域の第二方向D2での幅とは、同等である。
【0075】
第一領域20Aと第二領域20Bとは、第二方向D2で交互に位置している。各第一領域20Aは、一対の第二領域20Bの間に位置している。すなわち、一対の第二領域20Bは、第二方向D2で第一領域20Aを挟んでいる。
【0076】
以上のように、本実施形態では、素体3の第一主面3a側に配置されている第一端子電極5が、第一焼結金属層51に形成され、かつ、卑金属からなる第一めっき層53を有しているので、図9に示されるように、第一主面3a側で卑金属からなるワイヤ71を用いたワイヤボンディング実装が可能である。卑金属からなるワイヤ71を用いたワイヤボンディング実装は、Auからなるワイヤを用いたワイヤボンディング実装に比して安価である。ワイヤ71は、たとえば、Al又はCuからなるワイヤである。
【0077】
素体3の第二主面3b側に配置されている第二端子電極6が、第二焼結金属層61に形成された第二めっき層63に形成され、SnとSnの融点より高い融点を有する金属とを含むはんだ層65を有しているので、図9に示されるように、第二主面3b側ではんだ実装が可能である。
【0078】
図9は、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサの実装構造を説明するための図である。積層セラミックコンデンサC1は、電子機器ED(たとえば、回路基板又は電子部品など)に、はんだ実装により電気的かつ物理的に接続されている。積層セラミックコンデンサC1は、電子機器EDに、ワイヤボンディング実装により電気的に接続されている。
【0079】
第二焼結金属層61は、第二焼結金属層61と素体3との接合強度を高めるために、ガラス成分が含まれている。一般に、ガラス成分は、はんだ濡れ性が悪い。このため、第二焼結金属層61にはんだ層65が形成される場合、第二焼結金属層61に含まれるガラス成分により、第二焼結金属層61とはんだ層65との接合強度が低下するおそれがある。これに対し、積層セラミックコンデンサC1では、第二端子電極6が第二めっき層63を有している、すなわち、第二焼結金属層61に第二めっき層63が形成されているので、第二電極構造体とはんだ層65との接合強度が向上する。第二めっき層63がNiめっき層である場合、第二めっき層63の耐熱性が向上すると共に、第二めっき層63の耐はんだ喰われ性が向上する。
【0080】
本実施形態では、第一主面3aに形成された第一焼結金属層51に第一めっき層53が形成されていると共に、第二主面3bに形成された第二焼結金属層61に第二めっき層63が形成されている。このため、第一めっき層53が形成される際に、第一端子電極5が第一焼結金属層51を有さない構成を備える積層セラミックコンデンサに比して、素体3へのめっき液の浸入が第一焼結金属層51により抑制される。同様に、第二めっき層63が形成される際に、第二端子電極6が第二焼結金属層61を有さない構成を備える積層セラミックコンデンサに比して、素体3へのめっき液の浸入が第二焼結金属層61により抑制される。めっき液の浸入は、積層セラミックコンデンサC1の電気的特性を劣化させるおそれがある。したがって、めっき液の浸入が抑制されることにより、積層セラミックコンデンサC1の電気的特性の劣化を抑制することができる。
【0081】
第一めっき層53は、Niめっき層又はCuめっき層である。このため、Al又はCuからなるワイヤと第一めっき層53とが接合しやすい。
【0082】
第二焼結金属層61と第二めっき層63とからなる第二電極構造体には、第二主面3bに直交する方向から見て内側の領域に、窪みが形成されており、はんだ層65は、窪みに凸状に形成されている。積層セラミックコンデンサC1では、たとえば、第二電極構造体に窪みが形成されていない構成を備える積層セラミックコンデンサに比して、はんだ層65を構成するはんだの量が多い。このため、積層セラミックコンデンサC1が第二主面3b側で電子機器EDにはんだ実装される際に、はんだ中にボイドが発生するのを抑制し、積層セラミックコンデンサC1と電子機器EDとの接合強度を向上することができる。
【0083】
はんだ層65が含み、かつ、Snの融点より高い融点を有する金属は、Sbである。Snの融点より高い融点を有する金属がSbであるはんだ層65は、Snの融点より高い融点を有する金属が貴金属であるはんだ層に比して、安価であるため、積層セラミックコンデンサC1のコストダウンが可能となる。
【0084】
第二めっき層63は、Niめっき層であり、第二めっき層63とはんだ層65との間には、NiとSnとの合金が存在する領域67が存在している。これにより、第二めっき層63とはんだ層65との接合強度を向上することができる。
【0085】
本実施形態では、領域67の外周部分が、はんだ層65から露出していると共に、第二主面3bに直交する方向から見て、領域67が、はんだ層65を取り囲むように位置している。NiとSnとの合金が存在する領域67は、はんだ濡れ性が低い。このため、はんだ層65を構成するはんだが、第二電極構造体に形成された窪みから流出するのを抑制することができる。
【0086】
第一焼結金属層51と第二焼結金属層61とが卑金属からなる。卑金属からなる第一焼結金属層51と第二焼結金属層61とは、卑金属以外(たとえば、貴金属など)からなる焼結金属層よりも安価であるため、積層セラミックコンデンサC1のコストダウンが可能となる。第一焼結金属層51と第一めっき層53とが卑金属からなるので、第一焼結金属層51と第一めっき層53との密着性が向上する。第二焼結金属層61と第二めっき層63とが卑金属からなるので、第二焼結金属層61と第二めっき層63との密着性が向上する。
【0087】
第一焼結金属層51と第二焼結金属層61とには、空孔が形成されることがある。第一焼結金属層51と第二焼結金属層61とに空孔が形成されている場合、空孔から水分が浸入し、積層セラミックコンデンサC1の電気的特性に影響を及ぼすおそれがある。本態様では、第一端子電極5が第一めっき層53を有しているので、第一焼結金属層51に空孔が形成されている場合でも、第一めっき層53により空孔が塞がれる。したがって、第一焼結金属層51に形成された空孔から水分などが浸入するのが抑制される。第二端子電極6が第二めっき層63を有しているので、第二焼結金属層62に空孔が形成されている場合でも、第二めっき層63により空孔が塞がれる。したがって、第二焼結金属層61に形成された空孔から水分などが浸入するのが確実に防止される。これらにより、積層セラミックコンデンサC1の耐湿性を向上することができ、積層セラミックコンデンサC1の電気的特性の劣化を確実に防止することができる。
【0088】
積層セラミックコンデンサC1は、素体3の内部において、互いに対向するように第二方向D2に同等の間隔で並んでいる複数の内部電極7,8,9,10を備えている。複数の内部電極7は、第一端子電極5に接続されていると共に第二端子電極6には接続されていない。複数の内部電極9は、第二端子電極6に接続されていると共に第一端子電極5には接続されていない。複数の内部電極8は、少なくとも第二端子電極6には接続されていない。複数の内部電極10は、少なくとも第一端子電極5には接続されていない。素体3は、複数の第一領域20Aと、複数の第二領域20Bと、を含んでいる。第一領域20Aは、互いに対向する内部電極7と内部電極9との間に位置している。内部電極8を介して互いに対向する一対の内部電極7の間と、内部電極10を介して互いに対向する一対の内部電極9の間とに、位置している。第一領域20Aと第二領域20Bとは、第二方向D2で交互に位置している。
【0089】
第一端子電極5に接続された内部電極7と第二端子電極6に接続された内部電極9とは、互いに異なる極性を有する。互いに対向する内部電極7,9の間に位置している第一領域20Aは、静電容量を生じさせる。内部電極7同士は、互いに同じ極性を有する。第二端子電極6とは接続されていない内部電極8は、少なくとも内部電極7と異なる極性を有さない。内部電極9同士は、互いに同じ極性を有する。第一端子電極5とは接続されていない内部電極10は、少なくとも内部電極9と異なる極性を有さない。したがって、内部電極8を介して互いに対向する一対の内部電極7の間に位置している第二領域20B、及び、内部電極10を介して互いに対向する一対の内部電極9の間に形成される第二領域20Bは、静電容量を生じさせない。
【0090】
素体3は、複数の内部電極7,8,9,10が配置されている内層部11(内部電極配置領域)と、複数の内部電極7,8,9,10が配置されていない一対の外層部12(内部電極非配置領域)と、を含んでいる。一対の外層部12は、内層部11を第二方向D2で挟んでいる。内層部11は、静電容量を生じさせる複数の第一領域20Aと、静電容量を生じさせない複数の第二領域20Bと、を含んでいる。積層セラミックコンデンサC1では、複数の第一領域20Aにより、所望の静電容量が確保される。
【0091】
静電容量を生じさせない第二領域20Bが内層部11に含まれる。このため、積層セラミックコンデンサC1では、たとえば、極性が異なる内部電極が交互に配置されている積層セラミックコンデンサであって、素体の大きさが同じであり、かつ、静電容量が同じである積層セラミックコンデンサに比して、内層部11が広く、外層部12が狭い。
【0092】
積層セラミックコンデンサC1では、素体3は誘電体セラミック材料の焼結体として構成され、各内部電極7,8,9,10は、金属材料の焼結体として構成される。内層部11での誘電体セラミック材料の焼結度合いと、外層部12での誘電体セラミック材料の焼結度合いとは、内部電極7,8,9,10となる金属材料の有無に起因して異なる。たとえば、外層部12での誘電体セラミック材料の焼結度合いは、内層部11での誘電体セラミック材料の焼結度合いより低い。内層部11での誘電体セラミック材料の焼結度合いと、外層部12での誘電体セラミック材料の焼結度合いとが異なっている場合、素体3にクラックが生じるおそれがある。
【0093】
内層部11では、全ての内部電極7,8,9,10は、第二方向D2に同等の間隔で並んでいる。このため、内層部11では、誘電体セラミックの焼結度合いは略一様である。積層セラミックコンデンサC1では、上記比較対象の積層セラミックコンデンサよりも、内層部11が広い、すなわち、誘電体セラミックの焼結度合いが略一様である領域が広いため、素体3全体での誘電体セラミックの焼結度合いが安定する。この結果、積層セラミックコンデンサC1では、素体3にクラックが生じるのを抑制することができる。
【0094】
積層セラミックコンデンサC1に電圧が印加された場合、電歪効果によって印加電圧に応じた大きさの機械的歪みが素体に生じる。電歪効果による機械的歪みにより、素体3に応力が生じるので、素体3にクラックが生じるおそれがある。
【0095】
積層セラミックコンデンサC1では、第一領域20Aには電歪効果による機械的歪みが生じるものの、第二領域20Bには電歪効果による機械的歪みは生じない。第一領域20Aと第二領域20Bとは、第二方向D2で交互に位置しているので、内層部11が第二領域20Bを含んでいない構成を備える積層セラミックコンデンサに比して、積層セラミックコンデンサC1では、電歪効果による機械的歪みが生じる領域が内層部11において分散される。これにより、電歪効果による機械的歪みにより生じる応力が集中するのが抑制されるので、素体3にクラックが生じるのを抑制することができる。
【0096】
これらのことから、積層セラミックコンデンサC1では、所望の静電容量を確保しつつ、クラックの発生を抑制することができる。
【0097】
本実施形態では、各内部電極8は、第一端子電極5に接続されていなくてもよい。各内部電極10は、第二端子電極6に接続されていなくてもよい。すなわち、各内部電極8,10は、第一端子電極5及び第二端子電極6に接続されていなくてもよい。
【0098】
本実施形態では、各第一内部電極群に含まれる内部電極7,8の数は、「4」以上であってもよい。各第二内部電極群に含まれる内部電極9,10の数は、「4」以上であってもよい。
【0099】
次に、図10及び図11を参照して、本実施形態の変形例に係る積層セラミックコンデンサC2の構成を説明する。図10及び図11は、本変形例に係る積層セラミックコンデンサの断面構成を説明するための図である。
【0100】
積層セラミックコンデンサC2は、素体3と、第一端子電極5及び第二端子電極6と、複数の内部電極7,9と、を備えている。
【0101】
素体3の内層部11は、内側部分11Aと、一対の外側部分11Bとを有している。一対の外側部分11Bは、第二方向D2で、内側部分11Aを挟むように位置している。
【0102】
複数の内部電極7,8,9,10は、複数の内部電極群31,32と、複数の内部電極群33,34に分かれる。複数の内部電極群31,32は、素体3の外側部分11Bに位置している。複数の内部電極群33,34は、素体3の内側部分11Aに位置している。
【0103】
各第一内部電極群は、第二方向D2に連続して並んでいる3つの内部電極7,8からなる。各第二内部電極群は、第二方向D2に連続して並んでいる3つの内部電極9,10からなる。第一内部電極群と第二内部電極群とは、第二方向D2で交互に位置している。
【0104】
第二方向D2で隣り合う内部電極7と内部電極8とは、互いに対向している。第二方向D2で隣り合う内部電極7と内部電極9とは、互いに対向している。第二方向D2で隣り合う内部電極9と内部電極10とは、互いに対向している。第二方向D2で隣り合う内部電極7と内部電極8との間隔、第二方向D2で隣り合う内部電極7と内部電極9との間隔、及び、第二方向D2で隣り合う内部電極9と内部電極10との間隔は、同等である。すなわち、複数の内部電極7,8,9,10は、第二方向D2に同等の間隔を有して並んでいる。
【0105】
各内部電極群31は、第二方向D2に連続して並んでいる3つの内部電極7,8を含んでいる。各内部電極群31では、第二方向D2で隣り合う内部電極7と内部電極8とは、互いに対向している。
【0106】
各内部電極群32は、第二方向D2に連続して並んでいる3つの内部電極9,10を含んでいる。各内部電極群32では、第二方向D2で隣り合う内部電極9と内部電極10とは、互いに対向している。
【0107】
各内部電極群33は、第二方向D2に連続して並んでいる一対の内部電極7を含んでいる。各内部電極群33では、第二方向D2で隣り合う一対の内部電極7は、互いに対向している。
【0108】
各内部電極群34は、第二方向D2に連続して並んでいる一対の内部電極9を含んでいる。各内部電極群34では、第二方向D2で隣り合う一対の内部電極9は、互いに対向している。
【0109】
各内部電極群31,33に含まれる内部電極7,8の一端は、素体3の第一主面3aに露出している。これにより、各内部電極7,8は第一端子電極5に接続されている。各内部電極7,8の他端は、素体3内に位置しており、第二主面3bには露出していない。すなわち、内部電極7,8は、第二端子電極6に接続されていない。
【0110】
各内部電極群32,34に含まれる内部電極9,10の一端は、素体3の第二主面3bに露出している。これにより、各内部電極9,10は第二端子電極6に接続されている。内部電極9,10の他端は、素体3内に位置しており、第二主面3bには露出していない。すなわち、内部電極9,10は、第一端子電極5に接続されていない。
【0111】
内部電極群31と内部電極群32とは、第二方向D2で交互に並んでいる。内部電極群31に含まれる一対の内部電極7のうちの一方の内部電極7と、内部電極群32に含まれる一対の内部電極9のうちの一方の内部電極9とが、第二方向D2で互いに対向している。内部電極7と内部電極9とは、異なる端子電極に接続されているので、内部電極7の極性と内部電極9の極性とが異なる。したがって、互いに対向する内部電極7と内部電極9との間には、静電容量を生じさせる第一領域20Aが位置する。
【0112】
各内部電極群31に含まれる3つの内部電極7,8は、第一端子電極5に接続されているので、3つの内部電極7,8の極性は同じである。したがって、各内部電極群31では、一対の内部電極7の間に、静電容量を生じさせない第二領域20Bが位置する。第二領域20Bは、外側部分11Bに位置している。
【0113】
各内部電極群32に含まれる3つの内部電極9,10は、第二端子電極6に接続されているので、3つの内部電極9,10の極性は同じである。したがって、各内部電極群32でも、一対の内部電極9の間に、静電容量を生じさせない第二領域20Bが位置する。この第二領域20Bも、外側部分11Bに位置している。
【0114】
内部電極群33と内部電極群34とは、第二方向D2で交互に並んでいる。内部電極群33に含まれる一対の内部電極7のうちの一方の内部電極7と、内部電極群34に含まれる一対の内部電極9のうちの一方の内部電極9とが、第二方向D2で互いに対向している。内部電極7の極性と内部電極9の極性とが異なるので、互いに対向する内部電極7と内部電極9との間には、静電容量を生じさせる第一領域20Aが位置する。
【0115】
各内部電極群33に含まれる一対の内部電極7は、第一端子電極5に接続されているので、一対の内部電極7の極性は同じである。したがって、各内部電極群33でも、一対の内部電極7の間に、静電容量を生じさせない第二領域20Bが位置する。この第二領域20Bは、内側部分11Aに位置している。
【0116】
各内部電極群34に含まれる一対の内部電極9は、第二端子電極6に接続されているので、一対の内部電極9の極性は同じである。したがって、各内部電極群34でも、一対の内部電極9の間に、静電容量を生じさせない第二領域20Bが位置する。この第二領域20Bも、内側部分11Aに位置している。
【0117】
第二方向D2で隣り合う一対の内部電極7の間隔、第二方向D2で隣り合う一対の内部電極9の間隔、第二方向D2で隣り合う内部電極7と内部電極8との間隔、第二方向D2で隣り合う内部電極7と内部電極9との間隔、及び、第二方向D2で隣り合う内部電極9と内部電極10との間隔は、同等である。すなわち、複数の内部電極7,8,9,10は、第二方向D2に同等の間隔を有して並んでいる。
【0118】
第一領域20Aと第二領域20Bとは、第二方向D2で交互に位置している。各第一領域20Aは、一対の第二領域20Bの間に位置している。すなわち、一対の第二領域20Bは、第二方向D2で第一領域20Aを挟んでいる。
【0119】
内部電極群31に含まれる一対の内部電極7の間に位置する第二領域20Bの第二方向D2での幅は、内部電極群33に含まれる一対の内部電極7の間に位置する第二領域20Bの第二方向D2での幅とよりも大きい。内部電極群32に含まれる一対の内部電極9の間に位置する第二領域20Bの第二方向D2での幅と、内部電極群34に含まれる一対の内部電極9の間に位置する第二領域20Bの第二方向D2での幅とは、大きい。内部電極群31に含まれる一対の内部電極7の間に位置する第二領域20Bの第二方向D2での幅と、内部電極群32に含まれる一対の内部電極9の間に位置する第二領域20Bの第二方向D2での幅とは、同等である。内部電極群31に含まれる一方の内部電極7と内部電極群32に含まれる一方の内部電極9との間に位置する第一領域20Aの第二方向D2での幅と、内部電極群33に含まれる一方の内部電極7と内部電極群34に含まれる一方の内部電極9との間に位置する第一領域20Aの第二方向D2での幅と、内部電極群33に含まれる一対の内部電極7の間に位置する第二領域20Bの第二方向D2での幅と、内部電極群34に含まれる一対の内部電極9の間に位置する第二領域20Bの第二方向D2での幅とは、同等である。
【0120】
以上のように、本変形例では、複数の内部電極群31と複数の内部電極群32とは、第二方向D2で交互に並んでいる。各内部電極群31に含まれる3つの内部電極7,8のうちの1つの内部電極7と、各内部電極群32に含まれる3つの内部電極9,10のうちの1つの内部電極9とが、第二方向D2で互いに対向している。これらにより、静電容量を生じさせる複数の第一領域20Aが、素体3の各外側部分11Bに配置される。
【0121】
各内部電極群31に含まれる3つの内部電極7,8は全て同じ極性であるので、3つの内部電極7,8のうち第二方向D2で両端に位置する一対の内部電極7の間に位置する第二領域20Bは、静電容量を生じさせない。各内部電極群32に含まれる3つの内部電極9,10は全て同じ極性であるので、3つの内部電極9,10のうち第二方向D2で両端に位置する一対の内部電極9の間に位置する第二領域20Bも、静電容量を生じさせない。したがって、素体3の各外側部分11Bでは、静電容量を生じさせる第一領域20Aと静電容量を生じさせない第二領域20Bとが第二方向D2で交互に位置する。
【0122】
複数の内部電極群33と複数の内部電極群34とは、第二方向D2で交互に並んでいる。各内部電極群33に含まれる一対の内部電極7のうちの1つの内部電極7と、各内部電極群34に含まれる一対の内部電極9のうちの1つの内部電極9とが、第二方向D2で互いに対向している。これらにより、静電容量を生じさせる複数の第一領域20Aが素体3の内側部分11Aに配置される。
【0123】
各内部電極群33に含まれる一対の内部電極7は同じ極性であるので、各内部電極群33において、一対の内部電極7の間に位置する第二領域20Bは、静電容量を生じさせない。各内部電極群34に含まれる一対の内部電極9は同じ極性であるので、各内部電極群34において、一対の内部電極9の間に位置する第二領域20Bは、静電容量を生じさせない。したがって、素体3の内側部分11Aでも、静電容量を生じさせる第一領域20Aと静電容量を生じさせない第二領域20Bとが第二方向D2で交互に位置する。
【0124】
素体3は、複数の内部電極群31,32,33,34が配置されている内層部11と、複数の内部電極群31,32,33,34が配置されていない一対の外層部12と、を含んでいる。一対の外層部12は、内層部11を第二方向D2で挟んでいる。内層部11は、静電容量を生じさせる複数の第一領域20Aと、静電容量を生じさせない複数の第二領域20Bと、を含んでいる。積層セラミックコンデンサC2でも、複数の第一領域20Aにより、所望の静電容量が確保される。
【0125】
静電容量を生じさせない第二領域20Bが内層部11に含まれる。このため、積層セラミックコンデンサC2でも、たとえば、極性が異なる内部電極が交互に配置されている積層セラミックコンデンサであって、素体の大きさが同じであり、かつ、静電容量が同じである積層セラミックコンデンサに比して、内層部11が広く、外層部12が狭い。
【0126】
内層部11では、全ての内部電極7,8,9,10は、第二方向D2に同等の間隔で並んでいる。このため、内層部11では、誘電体セラミックの焼結度合いは略一様である。積層セラミックコンデンサC2では、上記比較対象の積層セラミックコンデンサよりも、内層部11が広い、すなわち、誘電体セラミックの焼結度合いが略一様である領域が広いため、素体3全体での誘電体セラミックの焼結度合いが安定する。この結果、積層セラミックコンデンサC2でも、素体3にクラックが生じるのを抑制することができる。
【0127】
これらのことから、積層セラミックコンデンサC2でも、所望の静電容量を確保しつつ、クラックの発生を抑制することができる。
【0128】
本変形例では、素体3の外側部分11Bに位置している各内部電極群31,32に含まれる内部電極7,8,9,10の数が「3」であり、素体3の内側部分11Aに位置している各内部電極群33,34に含まれる内部電極7,9の数が「2」である。すなわち、外側部分11Bに位置している各内部電極群31,32に含まれる内部電極7,8,9,10の数は、内側部分11Aに位置している各内部電極群33,34に含まれる内部電極7,9の数より多い。したがって、素体3の外側部分11Bにクラックが発生した場合、当該クラックが静電容量に寄与する異極性の内部電極7,9に到達し難い。
【0129】
本変形例では、各内部電極群31,32に含まれる内部電極7,8,9,10の数は、「4」以上であってもよい。各内部電極群33,34に含まれる内部電極7,9の数は、「3」以上であってもよい。
【0130】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0131】
本実施形態及び変形例では、電子部品として積層セラミックコンデンサC1,C2を例に説明したが、本発明はこれに限られることなく、積層インダクタ、積層バリスタ、積層圧電アクチュエータ、積層サーミスタ、もしくは積層複合部品などの積層電子部品、又は、積層電子部品以外の電子部品にも適用できる。
【符号の説明】
【0132】
3…素体、3a…第一主面、3b…第二主面、5…第一端子電極、6…第二端子電極、7,8,9,10…内部電極、11A…内側部分、11B…外側部分、20A…第一領域、20B…第二領域、31,32,33,34…内部電極群、51…第一焼結金属層、53…第一めっき層、61…第二焼結金属層、63…第二めっき層、65…はんだ層、67…NiとSnとの合金が存在する領域、C1,C2…積層セラミックコンデンサ、D1…第一方向、D2…第二方向。
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