(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記可動ヘッドは、上記装填空間に臨む内壁面を有し、該内壁面には上記封止部材を係止するために上記装填空間に向けて突出し且つ上記装填ケースの周方向に延びる係止爪が設けられている、請求項1に記載の封止部材供給用マガジン。
上記チャック部材及び上記ホルダのいずれか一方は磁石を備え且つ他方は磁性を有する磁性体を備え、上記ホルダは、上記チャック部材との係合状態において上記磁性体に対する上記磁石の吸着力によって上記チャック部材を着脱可能に保持する、請求項4または5に記載の封止部材供給用マガジン。
上記作動装置は、上記供給体の上記供給口から供給された上記封止部材を保持する保持部材と、上記保持部材によって保持された封止部材を押し出す押し出し部材と、を備える、請求項7に記載の封止部材供給装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
上記のマガジンに
よれば、上記供給体は、上記装填空間を区画する筒状の装填ケースと、上記装填ケースに往復動作可能に支持され、往復動作方向の一方側に動くときに上記封止部材を係止した後、係止した該封止部材を往復動作方向の他方側に動くときに上記供給口に向けて引き出す可動ヘッドと、を備える
ため、供給体の装填ケースに対する可動ヘッドの往復動作を利用した簡単な構造によって封止部材の複数を供給口から順に同じ向きで供給することができる。
【0013】
また、上記のマガジンにおいて、上記可動ヘッドは、上記装填空間に臨む内壁面を有し、該内壁面には上記封止部材を係止するために上記装填空間に向けて突出し且つ上記装填ケースの周方向に延びる係止爪が設けられるのが好ましい。これにより、装填空間に装填された封止部材を可動ヘッドによって係止する構造を簡素化することができる。
【0014】
また、上記のマガジンにおいて、上記供給体は、上記可動ヘッドを上記装填ケースに対して往復動作方向の他方側に弾性付勢する弾性体を備えるのが好ましい。これにより、可動ヘッドが初期位置から往復動作方向の一方側に動いた後は、弾性体の弾性付勢力にしたがって可動ヘッドを初期位置に復帰させることができる。従って、可動ヘッドを初期位置に復帰させる構造を弾性体を用いて簡素化できる。
【0015】
また、上記のマガジンは、上記供給体に固定されるチャック部材と、上記チャック部材と係合可能な係合部を複数備えるホルダと、を含むのが好ましい。これにより、1つのホルダが複数の供給体のそれぞれを保持することができる。従って、ホルダに対する複数の供給体を適宜に組み替えることによって、用途によって形状が異なる封止部材や、開口孔の孔径に応じて寸法が異なる封止部材を1つのマガジンから供給することができる。
【0016】
また、上記のマガジンにおいて、上記ホルダの上記係合部は、上記チャック部材との係合状態において該チャック部材が上記ホルダに対して上記装填ケースの筒軸方向に移動するのを規制するのが好ましい。これにより、チャック部材が供給体から装填ケースの筒軸方向の荷重を受けた場合でも該チャック部材がホルダから離脱しにくい。
【0017】
また、上記のマガジンにおいて、上記チャック部材及び上記ホルダのいずれか一方は磁石を備え且つ他方は磁性を有する磁性体を備え、上記ホルダは、上記チャック部材との係合状態において上記磁性体に対する上記磁石の吸着力によって上記チャック部材を着脱可能に保持するのが好ましい。このマガジンによれば、チャック部材がホルダの係合部に係合した係合状態において、磁性体に対する磁石の吸着力によってホルダがチャック部材を着脱可能に保持する。このとき、供給体に固定されたチャック部材がホルダに取付けられてマガジンが形成される。一方で、ホルダに保持されたチャック部材は、磁性体に対する磁石の吸引力に打ち勝つ力で引き抜かれることによって、ホルダから取り外される。これにより、ホルダに対するチャック部材の取付け及び取外しを円滑に行うことが可能になる。
【0018】
また、上記の封止部材供給用マガジンと、上記封止部材供給用マガジンの上記供給体が上記装填空間に装填された上記封止部材の複数を上記供給口から順に供給するように該供給体を作動させる作動装置と、を含む封止部材供給装置(以下、単に「供給装置」ともいう。)が構成されるのが好ましい。この供給装置によれば、作動装置を制御することによって供給体を自動的に作動させることができる。
【0019】
また、上記の供給装置において、上記作動装置は、上記供給体の上記供給口から供給された上記封止部材を保持する保持部材と、上記保持部材によって保持された封止部材を押し出す押し出し部材と、を備えるのが好ましい。この供給装置によれば、作動装置は、供給体を作動させる機能に加えて、供給体の供給口から供給された封止部材を保持する機能と、保持した封止部材を押し出す機能と、を有する。これにより、作動装置に少なくとも3つの機能を兼務させることができ合理的である。
【0020】
以下、自動車の車体等のワークに設けられた開口孔を封止するための封止部材を供給する技術の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、封止部材が装填されるマガジンを用いて封止部材を供給する技術に関するものである。尚、本実施形態の説明のための図面において、マガジンを構成する供給体の長手方向を第1方向Xとし、且つ第1方向Xに直交する平面を規定する2つの方向を第2方向Y及び第3方向Zとしている。
【0021】
図1に示されるように、本実施形態の供給装置10は、封止部材(
図2中の封止部材1)を供給するとともに、該封止部材をワークの開口孔に取付けるための装置である。この供給装置10は、搬送台車20と、ロボット30と、マガジン40と、を備えている。
【0022】
搬送台車20は、駆動装置(図示省略)によって或いは作業者の搬送操作によって自走可能に構成されている。この搬送台車20は、その上部に台座面21を備えており、この台座面21に支持治具22及びロボット30の双方が固定されている。
【0023】
支持治具22は、マガジン40を支持するための第1支持筒23及び第2支持筒24を備えている。本実施形態では、1つの第1支持筒23を中心とした円の円弧上に6つの第2支持筒24が等間隔で配置されている。
【0024】
ロボット30は、制御部31によって制御される可動アーム32を備えている。制御部31は、CPU(演算手段)、メモリ(記憶手段)、入出力手段を含む。可動アーム32のアーム先端には、一対の吊り上げピン33,33と一対の作動装置34,34との双方が設けられている。吊り上げピン33及び作動装置34は、それらの位置や角度が可動アーム32及びアクチュエータ(図示省略)によって調整可能に構成されている。例えば、
図1において、一対の吊り上げピン33,33の位置と一対の作動装置34,34の位置とが上下反転するように調整され得る。
【0025】
吊り上げピン33は、マガジン40を吊り上げて搬送台車20の支持治具22にセットするように動作する。作動装置34は、マガジン40を作動させる第1の機能と、マガジン40から供給された封止部材を保持する第2の機能と、保持した封止部材をワークの開口孔に取付ける第3の機能と、を有する。
【0026】
第1の機能及び第2の機能を実現するために、作動装置34は保持部材35を備えている。この保持部材35は、マガジン40に該マガジン40を作動させるための外部荷重を付与するように動作する。また、この保持部材35は、その先端部35aに封止部材を保持可能な保持爪を備えている。第3の機能を実現するために、作動装置34は押し出し部材37を備えている。この押し出し部材37は、ワークの開口孔への封止部材の取付けの際に、保持部材35の保持爪によって保持された封止部材を保持部材35から押し出すように動作する。
【0027】
図2に示されるように、封止部材1は、ワークWの開口孔WHに圧入されることによって開口孔WHを封止する。この封止部材1は、円形状の蓋部1aと、この蓋部1aの裏面から延出する円筒状の係止部1cと、を備えている。この封止部材1は、弾性変形が可能な弾性材料からなる。この封止部材1は、主に塵埃等の侵入を防ぐ防塵用として使用される。この封止部材1は、グロメット、プラグ、プラグホール、閉鎖部材などとも称呼される。
【0028】
封止部材1の蓋部1aは、その外径が係止部1cの軸径を上回るように構成されている。この蓋部1aの外周部分には薄肉状のリップ部1bが設けられている。リップ部1bは、ワークWの開口孔WHまわりのワーク表面に弾性的に密着することによってワークWの防塵のためのシール機能を発揮する。蓋部1aは、円形状であれば、
図2に示されるように半球状の丸頭であってもよいし、或いは円盤状の平頭であってもよい。
【0029】
封止部材1の係止部1cは、軸方向に互いに離間しつつ配置された複数(
図2では3つ)の係止爪1dを備えている。係止爪1dは、その外径が開口孔WHの孔径を僅かに上回るように構成されている。ワークWの開口孔WHに封止部材1が挿入されるとき、係止部1cは各係止爪1dが開口孔WHの開口縁によって径方向内側に押し縮められるように弾性変形しながら開口孔WHに圧入される。尚、係止爪1dの数は1つでも複数でもよい。
【0030】
図3に示されるように、マガジン40は、供給体50、チャック部材60及びホルダ70を備えている。本実施形態では、1つのホルダ70に対して供給体50及びチャック部材60が6つずつ設けられている。
【0031】
図4に示されるように、供給体50は、筒軸方向である第1方向Xに延びる長尺円筒状の装填ケース51と、装填ケース51に組み付けられた円筒状の可動ヘッド57と、を備えている。供給体50は樹脂材料からなる。供給体50は、規則的に重ねられた封止部材1の複数を装填可能な装填空間52と、装填空間52に連通する供給口58と、を有する。ここでいう「規則的に重ねられ」なる態様とは、複数の封止部材1が全て同じ向きで重ねられる態様をいう。
【0032】
供給体50は、装填空間52に装填された封止部材1の複数を、装填ケース51に対する可動ヘッド57の第1方向Xの往復動作によって供給口58から順に供給するように構成されている。供給体50は、マガジン40の主要な要素であり、この供給体50自体を「マガジン」ということもできる。
【0033】
チャック部材60は、供給体50とホルダ70とを連結する機能を有する。この機能を達成するために、チャック部材60は、供給体50との接続のための挿入穴61と、ホルダ70との接続のための係合片62と、を備えた平板状の部材として構成されている。挿入穴61は、供給体50の装填ケース51を挿入可能な穴径を有する。この挿入穴61に装填ケース51が挿入されることによって、装填ケース51の外周面が保持され、チャック部材60が供給体50に固定される。係合片62は、板幅方向(
図4中の第2方向Y)の両側に第3方向Zに延びる凹状のスライド溝62aを備えている。チャック部材60は、供給体50と同種の樹脂材料からなる。
【0034】
ホルダ70は、正六角形の板状部材からなるプレート部71を備えている。このプレート部71には、その中央部分の下面から下方へ延出する円柱状のホルダ軸74を備えている。このホルダ70は、ホルダ軸74が前記の支持治具22の第1支持筒23の筒内に挿入されることによって支持治具22に支持されるように構成されている。
【0035】
ホルダ70は、プレート部71の上面にブラケット75を備えている。ブラケット75は、前記のロボット30の吊り上げピン33と係合可能な一対の係止溝75a,75aを備え、マガジン40を吊り上げて支持治具22にセットする際に用いられる。吊り上げピン33をブラケット75の係止溝75aに係合させて引き上げることによって、ホルダ70を含むマガジン40が吊り上げられる。
【0036】
ホルダ70は、供給体50を保持する機能を有する。この機能を達成するために、ホルダ70のプレート部71に係合部72が設けられている。係合部72は、プレート部71の外周部分を内方へ凹ませた部位として構成されている。係合部72の対向する2つ内壁面にはそれぞれ、内方へ突出する突片72aが設けられている。この突片72aは、チャック部材60のスライド溝62aに嵌まり込むように係合可能に構成されている。
【0037】
本構成によれば、チャック部材60の係合片62がホルダ70の係合部72に係合するようにチャック部材60をプレート部71の延在面に沿ってスライドさせることで、係合片62のスライド溝62aと係合部72の突片72aとが互いに係合する。係合部72の突片72aは、係合片62のスライド溝62aに係合した係合状態において、チャック部材60がホルダ70に対して第1方向X(装填ケース51の筒軸方向)に移動するのを規制する。これにより、例えば可動ヘッド57が装填ケース51に対して第1方向Xの往復動作するときのように、チャック部材60が供給体50から第1方向Xの荷重を受けた場合でもチャック部材60がホルダ70から離脱しにくい。
【0038】
また、チャック部材60の係合片62の先端に永久磁石63が設けられ、且つホルダ70の係合部72の底面に鉄等の磁性体73が設けられている。チャック部材60を上述するようにスライドさせると、ホルダ70は、チャック部材60との係合状態において磁性体73に対する永久磁石63の吸着力によってチャック部材60を着脱可能に保持する。このとき、供給体50に固定されたチャック部材60がホルダ70に取付けられてマガジン40が形成される。一方で、ホルダ70に保持されたチャック部材60は、磁性体73に対する永久磁石63の吸引力に打ち勝つ力で引き抜かれることによって、ホルダ70から取り外される。このようにして、ホルダ70に対するチャック部材60の取付け及び取外しを円滑に行うことができる。尚、チャック部材60側に磁性体73を設け、ホルダ70側に永久磁石63を設けることもできる。また、永久磁石63に代えて電磁石を用いてもよい。
【0039】
本実施形態では、正六角形のプレート部71の6つの辺の全てに係合部72が設けられている。これにより、1つのホルダ70が最大で6つの供給体50のそれぞれを保持することができる。6つの係合部72は、プレート部71の周方向に等間隔で配置されている。従って、ホルダ70に保持された6つの供給体50は、ホルダ軸74を中心とした円の円弧上に等間隔で配置される。本実施形態では、マガジン40を搬送台車20の支持治具22にセットする際、これら6つの供給体50のそれぞれの位置が支持治具22の6つの第2支持筒24のそれぞれの位置に合致するように構成されている。
【0040】
尚、供給体50に装填される封止部材1の形状や寸法は、6つの供給体50の全部又は一部について互いに異なってもよいし、或いは6つの供給体50の全てについて同じであってもよい。これにより、例えばホルダ70に対する6つの供給体50を適宜に組み替えることによって、用途によって形状が異なる封止部材や、開口孔の孔径に応じて寸法が異なる封止部材を1つのマガジン40から供給することができる。また、ホルダ70の係合部72の数は6つに限定されるものではなく必要に応じて変更可能である。
【0041】
ここで、上記の供給体50の詳細な構成について説明する。尚、以下の説明では、供給体50の装填ケース51のうち図中上側を前端部51aといい、図中下側を後端部51bという。
【0042】
図5及び
図6に示されるように、供給体50を構成する装填ケース51が装填空間52を区画している。装填空間52は、装填ケース51の前端部51aと後端部51bとの間の筒内空間として構成されている。装填空間52は、その径が封止部材1の外径を僅かに下回るように寸法設定されている。従って、装填空間52に複数の封止部材1を縦に積み重ねた状態で装填可能である。これにより、封止部材1を、その蓋部1aが前端部51a側に位置するように、即ち任意の封止部材1の係止部1cの下方に別の封止部材1の蓋部1aが重なるように規則的に配置することができる。また、封止部材1が装填ケース51の内壁に弾性的に接するため、該封止部材1が装填ケース51に保持され易い。更に、この装填ケース51は、複数の封止部材1を縦に装填することができるため、省スペース化を実現するのに有効である。
【0043】
装填ケース51の前端部51aには、供給口58を有する可動ヘッド57が配置されている。一方で、装填ケース51の後端部51bには、装填空間52に封止部材1を装填するための装填口53が設けられている。尚、装填ケース51の内径、即ち装填空間52の大きさを、使用する封止部材1の外径に応じて適宜に設定することができる。この場合、装填ケース51の外径を変えることなく内径のみを変更するのが好ましい。これにより、装填される封止部材1の外径が異なる複数種類の装填ケース51を使用する場合に、チャック部材60及びホルダ70の形状を変更する必要がない。
【0044】
装填ケース51は、支持治具22の第2支持筒24の筒内に後端部51bが挿入されることによって支持治具22に保持されるように構成されている。また、搬送台車20は、第2支持筒24の筒内に装填ケース51とは反対側から挿入される押圧ロッド25を備えている。押圧ロッド25は、第1方向Xに往復動可能に構成されている。この押圧ロッド25は、装填空間52に装填された封止部材1が装填口53から抜け出すのを阻止する機能を果たす。更に、この押圧ロッド25は、装填空間52に装填されている複数の封止部材1の全体を前端部51aに向けて押し上げる機能を果たす。
【0045】
装填ケース51の内壁面には、装填空間52に向けて突出し且つ該装填ケース51の周方向に延びる保持爪(凸部)51cが第1方向X(装填ケース51の筒軸方向)に連続して複数設けられている。この保持爪51cは、装填ケース51の内壁面の全周にわたって形成されてもよいし、該全周のうちの一部のみに形成されてもよい。また、隣接する2つの保持爪51c,51cの間の凹部によって保持溝51dが形成されている。これにより、装填ケース51の内壁面には、第1方向Xに保持爪51cと保持溝51dとが交互に連続して設けられている。これら保持爪51c及び保持溝51dは、装填ケース51の内壁面に比較的安価な加工である溝加工を施すことによって形成されるのが好ましい。
【0046】
上記の供給体50の可動ヘッド57は、装填ケース51の前端部51aに被せられるようにして該装填ケース51に往復動作可能に支持されている。可動ヘッド57は、往復動作方向(第1方向X)の一方側であるスライド方向X1に動くときに封止部材1を係止した後、係止した該封止部材1を往復動作方向(第1方向X)の他方側であるスライド方向X2に動くときに供給口58に向けて引き出すように構成されている。可動ヘッド57は、封止部材1の外径を僅かに下回り且つ供給口58よりも縮径された縮径部57aを備えている。このため、封止部材1は、可動ヘッド57の筒内において縮径部57aを弾性変形しながら通過することによって供給口58を通じて供給される。
【0047】
可動ヘッド57は、第1方向Xに延びる四角柱形状の3つの係止部材59を備えている。係止部材59は、可動ヘッド57の周方向の三箇所に設けられた切り欠き57bに挿入された状態で可動ヘッド57に固定されている。この係止部材59は、供給体50(装填ケース51)の装填空間52に臨む内壁面を有する。この内壁面には、装填ケース51の周方向に延びる係止爪(凸部)59aが第1方向X(装填ケース51の筒軸方向)に連続して複数設けられている。係止爪59aは、装填空間52に向けて第1方向Xと直交する方向に突出するように構成されている。また、隣接する2つの係止爪59a,59aの間の凹部によって係止溝59bが形成されている。これにより、可動ヘッド57の内壁面には、第1方向Xに係止爪59aと係止溝59bとが交互に連続して設けられている。これら係止爪59a及び係止溝59bは、係止部材59の内壁面に比較的安価な加工である溝加工を施すことによって形成されるのが好ましい。尚、係止部材59の数は1つでも複数でもよい。
【0048】
装填ケース51は、可動ヘッド57を第1方向Xにスライド可能に支持するように構成されている。この構成を実現するために、装填ケース51は、連結シャフト55及びスプリング56を介して可動ヘッド57の係止部材59に連結されている。
【0049】
連結シャフト55は、一端部55aと他端部55bとの間に延びる軸状部材である。この連結シャフト55は、装填ケース51の係止部54に設けられた貫通孔54aに挿入されるとともに、一端部55aが係止部材59に固定され、且つ他端部55bが係止部54に対するストッパとして構成されている。係止部54は、装填ケース51の周方向の三箇所に等間隔で設けられている。
【0050】
スプリング56は、押される力に対して戻ろうとする弾性を有する金属製の圧縮コイルばね(弾性体)である。このスプリング56は、コイル内に連結シャフト55が挿入された状態で、可動ヘッド57の係止部材59と装填ケース51の係止部54との間に介装されている。従って、スプリング56は、可動ヘッド57を装填ケース51に対してスライド方向X2に、即ち可動ヘッド57が装填ケース51から遠ざかるように弾性付勢する。
【0051】
可動ヘッド57は、
図6に示される初期位置P1では、他端部55bが係止部54に係止された連結シャフト55によって、装填ケース51から更に遠ざかる動作(スライド方向X2の動作)が阻止される。要するに、装填ケース51と可動ヘッド57とが第1方向Xについて互いに離間する距離の最大値が係止部54及び連結シャフト55によって定められている。これに対して、可動ヘッド57にスプリング56を押し縮めるような外部荷重が付与された場合、可動ヘッド57はスプリング56の弾性付勢力に抗して装填ケース51に近づくようにスライド方向X1にスライドする。
【0052】
本実施形態において、可動ヘッド57に付与される外部荷重は、この可動ヘッド57が作動装置34の保持部材35からスライド方向X1に押圧されるときに受ける押圧荷重である。作動装置34は、マガジン40の供給体50が装填空間52に装填された封止部材1の複数を供給口58から順に供給するように該供給体50を作動させることができる。従って、この作動装置34を制御することによって供給体50が自動的に作動する。
【0053】
図7に示されるように、上記の装填ケース51は、その内壁面の周方向について係止爪59aの爪先端によって形成される仮想円の径が封止部材1の蓋部1aの外径を僅かに上回るように寸法設定されている。従って、封止部材1の蓋部1aは、装填ケース51の保持爪51cを弾性変形しながら乗り越えることによって、隣接する2つの保持爪51c,51cの間の保持溝51dに嵌まり込んで保持される。これにより、装填ケース51の内壁面によって封止部材1を保持する構造を簡素化することができる。
【0054】
同様に、上記の可動ヘッド57は、その内壁面の周方向について3つの係止部材59の係止爪59aの爪先端によって形成される仮想円の径が封止部材1の蓋部1aの外径を僅かに上回るように寸法設定されている。従って、封止部材1の蓋部1aは、係止部材59の係止爪59aを弾性変形しながら乗り越えることによって、隣接する2つの係止爪59a,59aの間の係止溝59bに嵌まり込んで係止される。これにより、可動ヘッド57の係止部材59の内壁面によって封止部材1を係止する構造を簡素化することができる。
【0055】
図8に示されるように、作動装置34の保持部材35は樹脂材料からなる円筒状の部材であり、その先端部35aには保持爪36aを有する開口36が設けられている。この開口36の内径は、封止部材1の蓋部1aの外径を僅かに下回るように設定されている。保持部材35の保持爪36aは、供給体50の供給口38から供給され且つ開口36を弾性変形しつつ通過した封止部材1を保持するように構成されている。また、保持部材35は、その筒内に押圧面37aを有する押し出し部材37を内蔵している。この押し出し部材37は、アクチュエータ(図示省略)によって駆動され、保持部材35の保持爪36aによって保持された封止部材1の蓋部1aを押圧面37aによって押し出すように動作する。
【0056】
従って、作動装置34は、供給体50を作動させる機能に加えて、供給体50の供給口58から供給された封止部材1を保持する機能と、保持した封止部材1を押し出す機能と、を有する。これにより、作動装置34に少なくとも3つの機能を兼務させることができ合理的である。
【0057】
次に、上記のマガジン40に関連する要素の動作について
図9〜
図15を参照しつつ説明する。
【0058】
供給体50において、装填ケース51の装填口53を通じて所定数の封止部材1が装填空間52に予め装填される。この供給体50から封止部材1を供給する場合、
図9に示されるように、先ず、押圧ロッド25がアクチュエータ(図示省略)によって待機位置から駆動されて支持位置Q1に設定される。支持位置Q1に設定された押圧ロッド25は、装填空間52に装填されている複数の封止部材1の中で最も後端部51b寄りにある封止部材1をロッド先端によって下方から支持する。
【0059】
ロボット30の可動アーム32(
図1参照)が制御されることによって、保持部材35は、その先端部35aが可動ヘッド57の供給口58に挿入された後、可動ヘッド57をスライド方向X1に押圧する。可動ヘッド57は、このときに保持部材35から受ける外部荷重(押圧荷重)によって、
図9中の初期位置P1からスプリング56の弾性付勢力に抗してスライド方向X1にスライドする。このスライドに伴って、装填ケース51と可動ヘッド57との第1方向Xの距離が徐々に縮まる。
【0060】
可動ヘッド57が
図9中の初期位置P1にあるときの、装填ケース51の後端から可動ヘッド57の縮径部57aまでの第1方向Xの距離L2は、装填空間52において複数の封止部材1が規則的に積み重ねられて装填されているときの積み重ね高さL1に概ね一致している。
【0061】
図10に示されるように、可動ヘッド57が初期位置P1から作動位置P2までスライド方向X1に所定量(
図9中のスライド量SA)スライドしたとき、装填ケース51の後端から可動ヘッド57の縮径部57aまでの第1方向Xの距離はL2からL3まで縮まり、上記の積み重ね高さL1を下回る。このとき、距離L2から距離L3を差し引いた値は、概ね1つの封止部材1の高さ相当する。また、最も後端部51b寄りにある封止部材1は、支持位置Q1に設定されている押圧ロッド25によって下方から支持されており、装填口53からの抜け出しが阻止されている。
【0062】
従って、装填空間52に装填されている複数の封止部材1の中で最も前端部51a寄りにある封止部材1は、可動ヘッド57の縮径部57aを弾性変形しながら通過する。その結果、この封止部材1は、装填空間52から排出されて供給口58から供給される。要するに、可動ヘッド57が初期位置P1から作動位置P2へ動いた後に初期位置P1に戻る1回の往復動作に伴って、供給体50の供給口58から1つの封止部材1を供給することができる。また、この封止部材1は、保持部材35の先端部35aに設けられた開口36を弾性変形しながら通過して保持部材35の筒内に収容される。これにより、装填空間52には、予め装填された数よりも1つ少ない数の封止部材1が残留する。
【0063】
その後、
図11に示されるように、保持部材35は、保持爪36aにおいて封止部材1を保持した状態(封止部材1の蓋部1aが保持爪36aに引っ掛けられた状態)で可動ヘッド57の供給口58から挿出される。これにより、可動ヘッド57は、保持部材35から受ける外部荷重から解放され、スプリング56の弾性付勢力にしたがって
図10中の作動位置P2から初期位置P1へと復帰する。この場合、可動ヘッド57を初期位置P1に復帰させる構造がスプリング56を用いて簡素化されている。
【0064】
図12に示されるように、作動装置34の保持部材35が封止部材1を保持している状態で、押し出し部材37は、その押圧面37aが開口36を通じて筒外に露出するまで動く。これにより、封止部材1の蓋部1aは、押し出し部材37の押圧面37aによって押圧され、開口36を弾性変形しつつ通過することによって、保持部材35の筒内から筒外へと押し出される。この場合、押し出し部材37が封止部材1を押し出す動作を利用して、該封止部材1をワークWの開口孔WH(
図2参照)に圧入することができる。
【0065】
ここで、
図13及び
図14を参照しつつ、装填空間52において最も前端部51a寄りにある封止部材1が装填空間52から排出される原理について説明する。尚、これらの図面では、説明の便宜上、装填ケース51及び係止部材59をいずれも封止部材1から離した状態で記載している。
【0066】
図13に示されるように、可動ヘッド57が初期位置P1(
図9参照)から作動位置P2(
図10参照)へとスライド方向X1にスライドするとき、可動ヘッド57の係止部材59は封止部材1に対して図中下向きに移動する。このとき、封止部材1のリップ部1bは、蓋部1aの中央部分から拡径しつつ斜め下方へ延出しているため、下向きの荷重に対して弾性変形し易い。従って、封止部材1のリップ部1bは、下向きに移動する係止部材59の係止爪59a及び係止溝59bと摺動しながら下向きに撓り且つ縮径するように弾性変形する。その結果、可動ヘッド57のスライド方向X1へのスライドが許容される。
【0067】
一方で、
図14に示されるように、可動ヘッド57が作動位置P2(
図10参照)から初期位置P1(
図9及び
図11参照)へとスライド方向X2にスライドするとき、可動ヘッド57の係止部材59は封止部材1に対して図中上向きに相対移動する。このとき、封止部材1のリップ部1bは、係止部材59から受ける上向きの荷重によって上向きに撓り且つ拡径するように弾性変形し、この係止部材59の所定の係止溝59bに係止される。従って、この封止部材1は、係止部材59に保持(「スタック」ともいう)され該係止部材59と一体となって上向きに移動する。また、この封止部材1は、装填ケース51に対しては上向きに移動するため、装填ケース51の保持爪51c及び保持溝51dと摺動しながら下向きに撓り且つ縮径するように弾性変形する。その結果、この封止部材1は、係止部材59に保持された状態で装填ケース51の内壁面から大きな抵抗を受けることなく装填空間52から排出される。
【0068】
図15に示されるように、最も前端部51a寄りにある封止部材1が供給口58から供給された後、押圧ロッド25は、最も後端部51b寄りにある封止部材1を押圧しながら支持位置Q1から押し上げ位置Q2まで移動する。これにより、封止部材1の排出によって装填空間52の前端部51a側に形成された空間を別の封止部材1で埋めることができる。従って、装填空間52の不要な空間を無くすことによって、供給体50から封止部材1を順次供給する動作を円滑に行うことができる。
【0069】
可動ヘッド57が
図9〜
図11に示されるような往復動作を複数回繰り返し、且つ押圧ロッド25が可動ヘッド57の往復動作毎に
図15に示されるような押圧動作を行うことによって、供給体50から複数の封止部材1が順次供給される。
【0070】
上述の本実施形態によれば、以下のような作用効果が得られる。
【0071】
上記のマガジン40を使用することによって、供給体50の装填空間52に予め装填された複数の封止部材1を供給口58から順に同じ向きで供給することができる。これにより、封止部材1の準備の際に、作業者が該封止部材1を識別する等の判断を要しない。従って、マガジン40から供給された封止部材1をそのまま使用してワークWの開口孔WHを封止することが可能になる。例えば自動車の生産ラインにおいて、封止部材1を準備して車体(ワーク)の開口孔WHに取付ける取付作業の際、封止部材1の準備がこの取付作業の律速段階になるのを防止できる。
【0072】
また、上記のマガジン40によれば、供給体50の装填ケース51に対する可動ヘッド57の往復動作を利用した簡単な構造によって封止部材1の複数を供給口58から順に同じ向きで供給することができる。
【0073】
本発明は、上記の本実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の応用や変形が考えられる。例えば、本実施形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
【0074】
本実施形態では、装填ケース51に防塵用の封止部材1が装填される場合について記載したが、装填ケース51の内径等の変更によって該装填ケース51に封止部材1とは用途が異なる別の封止部材を装填することもできる。
【0075】
図16及び
図17に示される封止部材101は、別の封止部材の一例であり、主に雨水等の侵入を防ぐ防水用として使用される。この封止部材101は、円形状の蓋部101aと、この蓋部101aの裏面から延出する円筒状の係止部101cと、を備えている。この封止部材101は、弾性変形が可能な弾性材料からなる。蓋部101aは、その外径が係止部101cの軸径を上回るように構成されている。蓋部101aの外周部分には薄肉状のリップ部101bが設けられている。一方で、係止部101cは、ワークの開口孔の孔径を僅かに上回るように構成されている、この係止部101cの外周部分には、蓋部101aの裏面に向けて延出するリップ部101dが設けられている。封止部材101は、ワークの開口孔に圧入されたとき、この開口孔の開口縁部を蓋部101aのリップ部101bと係止部101cのリップ部101dとの双方で挟み込むようにしてワーク両面に弾性的に密着する。これにより封止部材101は、ワークの防水のためのシール機能を発揮する。
【0076】
本実施形態では、作動装置34が可動ヘッド57に外部荷重を付与する場合について記載したが、この外部荷重は、作業者の手指によって付与されてもよい。また、供給体50に可動ヘッド57を作動させるアクチュエータが内蔵されてもよい。或いは、可動ヘッド57を省略し、アクチュエータによって駆動された押圧ロッドを装填空間52に直接的に押し込むことによって複数の封止部材1を順に押し出すように構成してもよい。
【0077】
本実施形態では、供給体50がチャック部材60を介してホルダ70に取付けられてなるマガジン40使用する場合について記載したが、チャック部材60及びホルダ70を使用することなく供給体50を単体で使用することもできる。
【0078】
本実施形態では、可動ヘッド57の係止部材59の内壁面に設けられた係止爪59a及び係止溝59bを介して封止部材1が係止される場合について記載したが、これらの係止爪59a及び係止溝59bに代えて或いは加えて、装填ケース51の内壁面に面粗度の高い部材や材料からなる係止手段を設けることもできる。
【0079】
本実施形態では、係止部材59の内壁面から係止爪59aが装填空間52に向けて第1方向Xと直交する方向に突出する場合について記載したが、封止部材1をより確実に係止するために、当該封止部材1を引き出す方向に向けて係止爪59aを突出させることもできる。具体的には、係止部材59の内壁面から供給口58に向けて斜め上方に突出するように構成された係止爪59aを採用することができる。
【0080】
本実施形態では、装填ケース51の内壁面に設けられた保持爪51c及び保持溝51dを介して封止部材1が保持される場合について記載したが、これらの保持爪51c及び保持溝51dに代えて或いは加えて、装填ケース51の内壁面に面粗度の高い部材や材料からなる保持手段を設けることもできる。
【0081】
本実施形態では、ホルダ70とチャック部材60とが係合した係合状態において、磁性体に対する磁石の吸着力を利用してホルダ70がチャック部材60を保持する保持構造について記載したが、上記の係合状態において所望の保持力が得られる場合には、この保持構造を省略することもできる。