特許第6520760号(P6520760)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6520760
(24)【登録日】2019年5月10日
(45)【発行日】2019年5月29日
(54)【発明の名称】車両用自動解錠装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 77/54 20140101AFI20190520BHJP
   E05B 81/64 20140101ALI20190520BHJP
   B60R 25/31 20130101ALI20190520BHJP
【FI】
   E05B77/54
   E05B81/64
   B60R25/31
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-37332(P2016-37332)
(22)【出願日】2016年2月29日
(65)【公開番号】特開2017-155422(P2017-155422A)
(43)【公開日】2017年9月7日
【審査請求日】2018年5月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 達也
【審査官】 藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−167720(JP,A)
【文献】 特開2013−216251(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00 − 85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が所定の走行停止状態になった場合、施錠された前記車両のドアを自動解錠する車両用自動解錠装置であって、
前記所定の走行停止状態になった場合、車両周辺の不審者を監視する監視部と、
該監視部にて不審者が検知された場合、前記ドアの施錠状態を保持し、前記監視部にて不審者が検知されなかった場合、前記ドアを解錠する駆動部と
前記監視部にて不審者が検知され、前記ドアの施錠状態が保持されている場合、危険を報知する危険状態報知部と
を備え
前記監視部は、
前記車両周辺の不審者及び障害物を監視しており、
前記危険状態報知部は、
少なくとも前記監視部にて検知された不審者及び障害物の種別を報知する
車両用自動解錠装置。
【請求項2】
前記ドアの解錠操作を検知する解錠操作検知部を備え、
前記駆動部は、
前記所定の走行停止状態で前記ドアの施錠状態が保持されており、前記解錠操作検知部にて解錠操作を検知した場合、前記ドアを解錠する
請求項1に記載の車両用自動解錠装置。
【請求項3】
前記監視部にて不審者が検知されていない場合、安全である旨を報知する安全状態報知部を備える
請求項1又は請求項2に記載の車両用自動解錠装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両が所定の走行停止状態になった場合、施錠された車両のドアを自動解錠する車両用自動解錠装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両が走行を開始し、一定時間が経過すると車両のドアを自動的に施錠する車両用自動施錠装置が知られている。また、使用者が降車する状況を判定し、ドアを自動的に解錠する車両用自動解錠装置が知られている(例えば、特許文献1)。車両用自動解錠装置は、例えば、自動変速機付き車両のシフトレバーがパーキングポジションにシフトした場合、使用者が降車する可能性があるとして、ドアを自動的に解錠する。かかる車両用自動施錠装置、車両用自動解錠装置によれば、乗車及び降車時における利便性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−4677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両を駐車する際、解錠されたドアから不意に不審者が侵入し、犯罪に遭うことがある。従来の車両用自動解錠装置によれば、不審者の有無に拘わらず自動的にドアの解錠が行われるため、保安上の問題があった。
【0005】
本願の目的は、使用者が降車する可能性がある所定の走行停止状態になった際に車両周辺の不審者を監視し、不審者が存在しないことを確認した上で車両のドアを自動的に解錠することができる車両用自動解錠装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本態様に係る車両用自動解錠装置は、車両が所定の走行停止状態になった場合、施錠された前記車両のドアを自動解錠する車両用自動解錠装置であって、前記所定の走行停止状態になった場合、車両周辺の不審者を監視する監視部と、該監視部にて不審者が検知された場合、前記ドアの施錠状態を保持し、前記監視部にて不審者が検知されなかった場合、前記ドアを解錠する駆動部とを備える。
【0007】
なお、本願は、このような特徴的な処理部を備える車両用自動解錠装置として実現することができるだけでなく、かかる特徴的な処理をステップとする自動解錠方法として実現したり、かかるステップをコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現したりすることができる。また、車両用自動解錠装置の一部又は全部を実現する半導体集積回路として実現したり、車両用自動解錠装置を含むその他のシステムとして実現したりすることができる。
【発明の効果】
【0008】
上記によれば、使用者が降車する可能性がある所定の走行停止状態になった際に車両周辺の不審者を監視し、不審者が存在しないことを確認した上で車両のドアを自動的に解錠することができる車両用自動解錠装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】車両用ドア自動解錠システムの一構成例を示す模式図である。
図2】車両用自動解錠装置の一構成例を示すブロック図である。
図3】監視装置の一構成例を示すブロック図である。
図4】自動解錠に係る制御部の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。また、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0011】
(1)本態様に係る車両用自動解錠装置は、車両が所定の走行停止状態になった場合、施錠された前記車両のドアを自動解錠する車両用自動解錠装置であって、前記所定の走行停止状態になった場合、車両周辺の不審者を監視する監視部と、該監視部にて不審者が検知された場合、前記ドアの施錠状態を保持し、前記監視部にて不審者が検知されなかった場合、前記ドアを解錠する駆動部とを備える。
【0012】
本態様によれば、使用者が降車する可能性がある所定の走行停止状態になった場合、監視部は車両周辺を監視する。駆動部は、車両周辺の不審者が検知された場合、ドアが施錠された状態を保持し、不審者が検知されなかった場合、ドアを解錠する。従って、車両用自動解錠装置は、車両周辺に不審者がいないことを確認した上で、車両のドアを自動的に解錠することができる。
【0013】
(2)前記監視部にて不審者が検知され、前記ドアの施錠状態が保持されている場合、危険を報知する危険状態報知部を備える構成が好ましい。
【0014】
本態様によれば、危険状態報知部は、所定の走行停止状態において不審者が検知され、ドアの施錠状態が保持された場合、危険を報知する。従って、使用者は、自動解錠機能の故障では無く、車外に何らかの危険があるためにドアの自動解錠が行われていないことを認識することができる。
【0015】
(3)前記監視部は、前記車両周辺の不審者及び障害物を監視しており、前記危険状態報知部は、少なくとも前記監視部にて検知された不審者及び障害物の種別を報知する構成が好ましい。
【0016】
本態様によれば、危険状態報知部は、不審者及び障害物の種別を報知する。従って、使用者は、車外にどのような危険があるためにドアの自動解錠が行われていないかを認識することができる。障害物は、例えば、車両のドアを開けた際に、ドアがぶつかりそうな塀、ブロック等である。
【0017】
(4)前記ドアの解錠操作を検知する解錠操作検知部を備え、前記駆動部は、前記所定の走行停止状態で前記ドアの施錠状態が保持されており、前記解錠操作検知部にて解錠操作を検知した場合、前記ドアを解錠する構成が好ましい。
【0018】
本態様によれば、不審者が検知され、ドアの施錠状態が保持されている状況にあっても、解錠操作検知部が解錠操作を検知した場合、駆動部は車両のドアを解錠する。従って、使用者が車外の安全を確認できた場合、使用者の意思でドアを解錠することができる。
なお、解錠操作検知部は、例えば運転席のロックスイッチ、各ドアのメカロックスイッチである。
【0019】
(5)前記監視部にて不審者が検知されていない場合、安全である旨を報知する安全状態報知部を備える構成が好ましい。
【0020】
本態様によれば、安全状態報知部は、不審者が検知されなかった場合、安全である旨を報知する。従って、使用者は、車外が安全な状態にあり、ドアの自動解錠が行われていることを認識することができる。
【0021】
[本発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係る車両用自動解錠装置1の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0022】
図1は、車両用ドア自動解錠システムの一構成例を示す模式図、図2は、車両用自動解錠装置1の一構成例を示すブロック図である。本実施形態に係る車両用ドア自動解錠システムは、車両Cに設けられた複数のLF送信アンテナ3及びRF受信アンテナ1aを用いて各種信号を送受信する車両用自動解錠装置1と、車両周辺の不審者を監視する監視装置2と、該車両用自動解錠装置1との間で該信号を送受信する携帯機4とを備える。
【0023】
車両用自動解錠装置1は、該車両用自動解錠装置1の各構成部の動作を制御する制御部11を備える。制御部11は、例えば一又は複数のCPU(Central Processing Unit)、マルチコアCPU等を有するマイコンである。制御部11には、車載送信部12、車載受信部13、記憶部14、入力部15、車内通信部16、計時部17、駆動部18及び出力部19が設けられている。
【0024】
制御部11は、記憶部14に記憶されている後述の制御プログラムを実行することにより、各構成部の動作を制御し、不審者の監視及びドアの自動解錠に係る処理を実行する。
【0025】
車載送信部12は複数のLF送信アンテナ3に接続されており、制御部11の制御に従って、携帯機4の位置検出を行うための検出用信号をLF帯の電波を用いて送信する。複数のLF送信アンテナ3は、例えば、車両Cに設けられた各ドア付近に設けられている。
【0026】
携帯機4は、車載送信部12から送信された信号を受信するためのLF受信アンテナと、UHF帯の電波を用いて車両用自動解錠装置1へ信号を送信するためのRF送信アンテナと、施錠スイッチと、解錠スイッチとを備える。携帯機4は、検出用信号を受信した場合、当該検出用信号の受信信号強度を測定する。そして、携帯機4は、測定して得た受信信号強度を含む応答信号を、UHF帯の電波を用いて車両用自動解錠装置1へ送信する。また、携帯機4は、施錠スイッチが操作された場合、施錠操作に係る情報を含む施錠操作信号を車両用自動解錠装置1へ送信する。同様に、携帯機4は、解錠スイッチが操作されえた場合、解錠操作に係る情報を含む解錠操作信号を車両用自動解錠装置1へ送信する。
【0027】
車載受信部13はRF受信アンテナ1aに接続されており、携帯機4からUHF帯の電波を用いて送信された応答信号、解錠操作信号、施錠操作信号等の各種信号を受信する。受信した信号を制御部11へ出力する。制御部11は、車載送信部12及び車載受信部13を用いて携帯機4と無線通信を行い、解錠操作信号、施錠操作信号等の受信処理、携帯機4の認証処理、位置検出処理等を実行する。なお、携帯機4の認証及び位置検出等の処理は、専用ECUにて実行するように構成しても良い。
【0028】
記憶部14は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリである。記憶部14は、制御部11が車両用自動解錠装置1の各構成部の動作を制御することにより、不審者の監視及びドアの自動解錠に係る処理を実行するための制御プログラムを記憶している。
【0029】
入力部15には、車速センサ15a、変速段検出スイッチ15b、イグニッション(IG)スイッチ15c、運転席ドアノブスイッチ15d、集中ロックスイッチ15eが接続されている。
【0030】
車速センサ15aは、例えば車両Cに備えられた車軸の回転数に比例した信号を発信する磁気ピックアップ、ホール素子等を備えた非接触センサ、及び該非接触センサからのパルス数を計測する計数回路を備え、パルス数を計測することによって車両Cの速度を検出する。車速センサ15aにて検出された車速を示す信号は制御部11に入力されるように構成されており、制御部11は、入力部15に入力される当該信号によって、車速を検知する。なお、非接触センサは車速センサ15aの一例であり、かかる構造に限定されるものでは無い。例えば、GPSが検出した車両Cの位置の情報を取得し、車両Cの位置の変化に基づいて、車両Cの速度を検出するように車速センサ15aを構成しても良い。
【0031】
変速段検出スイッチ15bは、車両Cに設けられた変速機の変速段を切り替えるシフトレバーのシフトポジションに応じて状態が切り替わるスイッチであり、スイッチの切替状態に応じた信号が制御部11に入力するように構成されている。制御部11は、入力部15に入力された当該信号によって、シフトポジションの位置を検知する。
【0032】
イグニッションスイッチ15cは、車両Cの原動機を始動させるためのスイッチであり、イグニッションスイッチ15cの操作位置に応じた信号が制御部11に入力するように構成されている。制御部11は、イグニッションスイッチ15cの操作位置に応じた信号により、原動機の始動、動作中であるか否かを認識することができる。また、スマートスタート(登録商標)システムが搭載されている車両Cの場合、スマートスタート(登録商標)ボタンの操作による原動機の動作状態に係る信号を受信し、原動機の動作状態を認識するように構成しても良い。
【0033】
運転席ドアノブスイッチ15dは、運転席の車室内側のドアノブの操作状態に応じた信号が制御部11に入力される。制御部11は、当該信号に基づいて、ドアノブの操作状態を認識することができる。
【0034】
集中ロックスイッチ15eは、運転席の車室内側に設けられており、車両Cの全ドアの施錠及び解錠を集中的に操作するためのスイッチであり、当該スイッチの操作状態に応じた信号が制御部11に入力される。制御部11は、当該信号に基づいて、集中ロックスイッチ15eの操作状態を認識することができる。
【0035】
車内通信部16は、CAN(Controller Area Network)又はLIN(Local Interconnect Network)等の通信プロトコルに従って通信を行う通信回路であり、監視装置2に接続されている。車内通信部16は、制御部11の制御に従って、監視装置2の起動を指示する起動信号、監視装置2の停止を指示する停止信号等を送信する。また、車内通信部16は、監視装置2から送信された監視結果を受信し、制御部11は車内通信部16を介して監視結果を取得する。
【0036】
計時部17は制御部11の制御に従って計時を開始し、計時結果を制御部11に与える。
【0037】
駆動部18は、ドアロック装置18aに接続されている。ドアロック装置18aは、各ドアの施錠及び解錠を行う施錠機構と、該施錠機構を駆動するアクチュエータとを備える。制御部11は、集中ロックスイッチ15eが操作された場合、各ドアのアクチュエータへ施錠駆動信号又は解錠駆動信号を出力し、各ドアを施錠し又は解錠する。
【0038】
出力部19には、スピーカ19a、室内灯19b及び表示部19cが接続されている。
室内灯19bは、ドアハンドル又はドアの車室内壁の所定部位に設けられた発光素子、車室内の天井部に設けられたルームランプ等である。また、室内灯19bは、赤色、青色等、発光色を切り替えることができる発光素子を備えると良い。制御部11は、オン信号及びオフ信号を出力することによって、室内灯19bの点灯及び消灯、並びに灯色を制御する。
スピーカ19a及び表示部19cは、例えばオーディオ及びナビゲーションシステムを構成している。表示部は、液晶ディスプレイ等である。スピーカ19a及び表示部19cは、制御部11の制御に従って、車両周辺が安全な状況にあること、危険な状況にあることを、音声及び映像にて出力する。また、スピーカ19a及び表示部19cは、危険な状況にある場合、その原因として車両周辺に存在する不審者及び障害物の種別を報知する。
【0039】
なお、図2においては各種スイッチ及び機器が車両用自動解錠装置1の入力部15及び出力部19に直接的に接続されている様に図示しているが、各種スイッチ及び装置は、信号線により直接接続されていても良いし、CAN又はLIN等の車載通信網を介して接続されていても良いし、他のECUを介して接続されていても良い。
【0040】
図3は、監視装置2の一構成例を示すブロック図である。監視装置2は、監視制御部21、車内通信部22及び入出力部23を備え、図示しない電源装置から給電されて動作している。監視制御部21は、例えば一又は複数のCPU(Central Processing Unit)、マルチコアCPU等を有するマイコンであり、監視装置2全体の動作を制御している。車内通信部22の構成は、車内通信部16と同様であり、監視制御部21は、車内通信部22を介して車両用自動解錠装置1と各種信号を送受信する。車両用自動解錠装置1から送信された停止信号を車内通信部22が受信した場合、監視装置2はスタンバイ状態へ移行し、その主な動作を停止させる。また、車両用自動解錠装置1から送信された起動信号を車内通信部22が受信した場合、監視装置2はスタンバイ状態から起動し、停止していた動作を再開する。なお、スタンバイ状態は、起動状態に比べて監視装置2の消費電力が低い状態であり、車両用自動解錠装置1から送信される信号を監視する等、車内通信部22の一部の機能のみが動作している状態である。
【0041】
入出力部23には、車載カメラ23a、近接センサ23b、レーダ23c及び音センサ23dが接続されており、各機器の動作は監視制御部21によって制御される。
【0042】
車載カメラ23aは、車両周辺を撮像し、撮像して得た画像データを監視制御部21へ出力する。車載カメラ23aは、単眼カメラ、ステレオカメラのいずれも利用することができる。また、車載カメラ23aは、可視光にて不審者を撮像するものであっても良いし、赤外線にて不審者を撮像するものであっても良い。監視制御部21は、入出力部23を介して、車載カメラ23aから画像データを取得する。
【0043】
近接センサ23bは、例えば、超音波又は赤外線等によって、車両周辺の不審者及び障害物を検出するセンサであり、検出結果を監視制御部21へ出力する。近接センサ23bは、車両Cの前部若しくは後部の車幅方向両側、又は車両Cの前部若しくは後部の車幅方向略中央部に設けられている。なお、クリアランスソナーを、不審者及び障害物を検出する近接センサ23bとして利用すると良い。
【0044】
レーダ23cは、例えば、ミリ波レーダ、レーザレーダ、超音波レーダ等であり、比較的遠方に存在する不審者及び障害物を検出し、検出結果を監視制御部21へ出力する。
【0045】
監視制御部21は、取得した画像データ、近接センサ23b、レーダ23c、音センサ23dの検出結果を解析することによって、車両周辺に存在する不審者、障害物等を識別ないし検出する。不審者及び障害物の識別は、例えばディープラーニングによって行う。ディープラーニングは、機械学習の一種であり、画像及び各センサの検出結果を所定のクラスに分類するものである。監視制御部21は、車両ドア付近に存在する壁、ブロック等の障害物のオブジェクト画像、不審者のオブジェクト画像、車両周辺に存在する建物、車両等の物体のオブジェクト画像、並びに各オブジェクト画像の移動パターン等を大量に学習し、不審者及び障害物の特徴と、各特徴に対応するクラスとを学習結果として記憶している。監視制御部21は、取得した画像データ及び各センサの検出結果と、学習結果とに基づいて、検出対象が属するクラスを特定する。クラスの特定によって、検出対象が不審者であるか否か、不審者及び障害物の種別等が特定される。監視制御部21は、不審者及び障害物の有無、不審者及び障害物の種別等、不審者等に係る検出結果を車内通信部22にて車両用自動解錠装置1へ送信する。
【0046】
図4は、自動解錠に係る制御部11の処理手順を示すフローチャートである。制御部11は、変速段検出スイッチ15b、イグニッションスイッチ15c等から入力部15に入力される信号に基づいて、所定のアンロック条件を充足するか否かを判定する(ステップS11)。所定のアンロック条件は、本態様(1)に係る所定の走行停止状態に対応する。アンロック条件は、例えば、車速がゼロ、イグニッションスイッチ15cがオフ状態にあって、シフトレバーのシフトポジションがパーキングにある状態である。
また、制御部11は、車載受信部13にて携帯機4から送信された解錠操作信号を受信し、携帯機4の認証に成功し、無線通信により携帯機4が車内にあることを検知した場合、所定のアンロック条件を充足すると判定しても良い。
更に、制御部11は、イグニッションスイッチ15cがオフ状態にあって、運転席ドアノブスイッチ15dにて、運転席のドアノブが操作されたことを検知した場合、所定のアンロック条件を充足すると判定しても良い。
【0047】
アンロック条件を充足しないと判定した場合(ステップS11:NO)、制御部11は、処理をステップS11へ戻す。アンロック条件を充足すると判定した場合(ステップS11:YES)、制御部11は、車内通信部16にて起動信号を監視装置2へ送信することによって、監視装置2を起動させ、車両周辺の監視を開始させる(ステップS12)。
【0048】
次いで、制御部11は、監視装置2から送信される不審者等に係る検出結果を車内通信部16にて受信し、該検出結果に基づいて、不審者又は障害物が存在しないか否かを判定する(ステップS13)。なお、ステップS12及びステップS13の処理を実行する制御部11は、上記態様(1)の監視部に対応する。
不審者及び障害物が存在しないと判定した場合(ステップS13:YES)、制御部11は、スピーカ19a、室内灯19b及び表示部19c等を用いて、車外が安全である旨を報知する(ステップS14)。例えば、スピーカ19aにて「ドアを開けてください」の音声を出力する。また、室内灯19bを青色で発光させる。なお、ステップS14の処理を実行する制御部11は、安全状態報知部に対応する。
そして、制御部11は、駆動部18からドアロック装置18aへ解錠駆動信号を出力し、車両Cの全ドアを解錠させ(ステップS15)、処理を終える。
【0049】
ステップS13において不審者又は障害物が存在すると判定した場合(ステップS13:NO)、制御部11は、スピーカ19a、室内灯19b及び表示部19c等を用いて、車外が危険である旨を報知する(ステップS16)。例えば、スピーカ19aにて「危険があるため待機してください」の音声を出力する。また、室内灯19bを赤色で発光させる。また、制御部11は、スピーカ19a、室内灯19b及び表示部19c等を用いて、不審者及び障害物の種別を報知する(ステップS17)。例えば、車両周辺の不審者を検知した場合、スピーカ19aにて「不審者が存在します」の音声を出力し、障害物を検知した場合、スピーカ19aにて「障害物が存在します」等の音声を出力する。
なお、ステップS16及びステップS17の処理を実行する制御部11は、上記態様(2)及び態様(3)の危険状態報知部に対応する。
【0050】
次いで、制御部11は、集中ロックスイッチ15eを用いた手動解錠操作が行われたか否かを判定する(ステップS18)。なお、ステップS18の処理を実行する制御部11は、態様(4)の解錠操作検知部に対応する。手動解錠操作が行われていないと判定した場合(ステップS18:NO)、制御部11は処理をステップS13へ戻す。手動解錠操作が行われたと判定した場合(ステップS18:YES)、制御部11は、ドアロック装置18aにて車両Cの全ドアを解錠させ(ステップS15)、処理を終える。
なお、ここでは、集中ロックスイッチ15eにて、ドアの解錠を行う例を説明したが、各ドアに設けられたドアロックメカスイッチが操作された場合、各ドアを解錠するように構成しても良い。
【0051】
このように構成された、車両用自動解錠装置1によれば、使用者が降車する可能性がある所定の走行停止状態になった際に車両周辺の不審者を監視し、不審者が存在しないことを確認した上で車両のドアを自動的に解錠することができる。従って、車両周辺に注意すること無く、使用者がドアを開けることによって起こる犯罪又は事故を防止することができ、使用者の安全性を向上させることができる。
【0052】
また、車両用自動解錠装置1は、不審者が検知された場合、ドアの施錠状態を保持すると共に、危険を報知することができる。従って、使用者は、自動解錠機能の故障では無く、車外に何らかの危険があるためにドアの自動解錠が行われていないことを認識することができる。
【0053】
更に、車両用自動解錠装置1は、不審者及び障害物の種別を報知することができる。従って、使用者は、車外にどのような危険があるためにドアの自動解錠が行われていないかを認識することができる。例えば、使用者は、車両のドアを開けた際にぶつかりそうな障害物が存在するのか、それとも不審な人物が存在するのか、危険の原因を認識することができる。
【0054】
更にまた、車両用自動解錠装置1は不審者が検知され、ドアの施錠状態が保持されている状況にあっても、集中ロックスイッチ15eの操作によって、ドアを解錠することができる。従って、車両用自動解錠装置1が危険と判断している状況にあっても、使用者が車外の安全を確認できた場合、使用者の意思でドアを解錠することができる。
【0055】
更にまた、車両用自動解錠装置1は不審者が検知されなかった場合、安全である旨を報知することができる。従って、使用者は、車外が安全な状態にあることを認識することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 車両用自動解錠装置
1a RF受信アンテナ
2 監視装置
3 LF送信アンテナ
4 携帯機
11 制御部
12 車載送信部
13 車載受信部
14 記憶部
15 入力部
15a 車速センサ
15b 変速段検出スイッチ
15c イグニッションスイッチ
15d 運転席ドアノブスイッチ
15e 集中ロックスイッチ
16 車内通信部
17 計時部
18 駆動部
18a ドアロック装置
19 出力部
19a スピーカ
19b 室内灯
19c 表示部
21 監視制御部
22 車内通信部
23 入出力部
23a 車載カメラ
23b 近接センサ
23c レーダ
23d 音センサ
C 車両
図1
図2
図3
図4