特許第6520778号(P6520778)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6520778
(24)【登録日】2019年5月10日
(45)【発行日】2019年5月29日
(54)【発明の名称】給油口の閉止装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 15/05 20060101AFI20190520BHJP
【FI】
   B60K15/05 Z
   B60K15/05 A
   B60K15/05 B
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-53579(P2016-53579)
(22)【出願日】2016年3月17日
(65)【公開番号】特開2017-165312(P2017-165312A)
(43)【公開日】2017年9月21日
【審査請求日】2018年6月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】波賀野 博之
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 一成
(72)【発明者】
【氏名】森 直樹
(72)【発明者】
【氏名】大植 剛
【審査官】 米澤 篤
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2002/0021017(US,A1)
【文献】 特開2014−69618(JP,A)
【文献】 特開平6−349544(JP,A)
【文献】 特開平7−329585(JP,A)
【文献】 特開2014−118693(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 15/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給油口(100A)の閉止装置(100)であって、
給油された液体燃料が通過する燃料通路を形成する燃料通路形成部(10)であって、前記燃料通路形成部(10)の上流側に形成された第1係合部(12L)を有する燃料通路形成部(10)と、
前記燃料通路の前記上流側の第1開口(10A)を開閉する第1開閉機構(20)であって、上流方向に開く第1カバー(21)を有する第1開閉機構(20)と、
前記上流方向に第2開口(40A)を形成し、前記燃料通路形成部(10)の前記上流方向に配置された箱状のインレットボックス(40)と、
前記第2開口(40A)を開閉する第2開閉機構(30)であって、前記上流方向に開く第2カバー(31)を有する第2開閉機構(30)と、を備え、
前記第1開閉機構(20)は、さらに、
前記第1係合部(12L)と係合することで前記第1カバー(21)を閉めた状態で保持する第2係合部(23L)と、
前記第1係合部(12L)と前記第2係合部(23L)とが係合している状態で、前記第2係合部(23L)よりも前記上流方向に位置し、前記第2カバー(31)から閉方向の力を受けると、前記第1係合部(12L)と前記第2係合部(23L)との係合を解除する係合解除部(23H)と、を有することを特徴とする閉止装置(100)。
【請求項2】
請求項1に記載の給油口(100A)の閉止装置(100)であって、
前記第1開閉機構(20)は、前記第1カバー(21)を開方向に付勢する第1付勢部(22)を有し、
前記第1カバー(21)は、前記第1付勢部(22)を中心に回動することで開閉し、
前記第2開閉機構(30)は、前記第2カバー(31)を閉方向に付勢する第2付勢部(32S)を有し、
前記第2カバー(31)は、前記第2付勢部(32S)を中心に、前記第1カバー(21)と同じ方向に回動することで開閉し、
前記第2係合部(23L)は、前記第1開閉機構(20)における自由端側に、前記係合解除部(23H)と一体で形成され、
前記第1開閉機構(20)は、前記第1カバー(21)に固定され、前記第1付勢部(22)と平行な軸である支持軸(23O)であって、前記支持軸(23O)を中心として、前記係合解除部(23H)と前記第2係合部(23L)とを、前記第2係合部(23L)が前記第1係合部(12L)に係合する方向に付勢する支持軸(23O)を有することを特徴とする閉止装置(100)。
【請求項3】
第2開口(40A)が形成された箱状のインレットボックス(40)と、前記第2開口(40A)を開閉する第2開閉機構(30)であって、前記インレットボックス(40A)の上流側へと開く第2カバー(31)を有する第2開閉機構(30)と、を備える給油口(100A)の閉止システムに用いられる閉止装置(100)であって、
給油された液体燃料が通過する燃料通路を形成する燃料通路形成部(10)であって、前記燃料通路形成部(10)の上流側に形成された第1係合部(12L)と、を有する燃料通路形成部(10)と、
前記燃料通路の前記上流側の第1開口(10A)を開閉する第1開閉機構(20)であって、上流方向に開く第1カバー(21)を有する第1開閉機構(20)と、
前記第1開閉機構(20)は、さらに、
前記第1係合部(12L)と係合することで前記第1カバー(21)を閉めた状態で保持する第2係合部(23L)と、
前記第1係合部(12L)と前記第2係合部(23L)とが係合している状態で、前記第2係合部(23L)よりも前記上流方向に位置し、前記第2カバー(31)から閉方向の力を受けると、前記第1係合部(12L)と前記第2係合部(23L)との係合を解除する係合解除部(23H)と、を有することを特徴とする閉止装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給油口の閉止装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の給油口には、燃料タンクに貯蔵された液体燃料が溢れないように閉止する閉止装置が備えられている。給油口の閉止装置は、外部と燃料タンクとを隔てる外蓋としてのリッドと、リッドの内側に配置され、液体燃料を供給する給油ノズルを受け付けるフィラーネックと、を有している。特許文献1に記載された燃料タンクの開閉装置では、給油ノズルが挿入されると、燃料タンク側へと回動することで開く燃料通路の開閉部材について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−69618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された燃料タンクの開閉装置では、給油ノズルが挿入されると、開閉部材が燃料通路側へと回動することで、燃料通路の開口部が開くため、開閉部材の表面に付着した泥などが、燃料通路へと入り込んでしまうおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0006】
(1)本発明の一形態によれば、給油口の閉止装置が提供される。この給油口の閉止装置は、給油された液体燃料が通過する燃料通路を形成する燃料通路形成部であって、前記燃料通路形成部の上流側に形成された第1係合部を有する燃料通路形成部と;前記燃料通路の前記上流側の第1開口を開閉する第1開閉機構であって、上流方向に開く第1カバーを有する第1開閉機構と;前記上流方向に第2開口を形成し、前記燃料通路形成部の前記上流方向に配置された箱状のインレットボックスと;前記第2開口を開閉する第2開閉機構であって、前記上流方向に開く第2カバーを有する第2開閉機構と、を備え;前記第1開閉機構は、さらに;前記第1係合部と係合することで前記第1カバーを閉めた状態で保持する第2係合部と;前記第1係合部と前記第2係合部とが係合している状態で、前記第2係合部よりも前記上流方向に位置し、前記第2カバーから閉方向の力を受けると、前記第1係合部と前記第2係合部との係合を解除する係合解除部と、を有する。この形態の給油口の閉止装置によれば、給油時などに第1カバーにおける上流側を向く外表面に泥などが付着しても、第1カバーが上流方向に開くため、第1カバーの外表面に付着した泥が燃料通路へと入り込むことを低減できる。また、給油を行なう者は、第2カバーのみの開閉によって第1カバーも同時に開閉でき、第2カバーと第1カバーとを別々に開閉せずに済むため、給油を行なう者の利便性が向上する。
【0007】
(2)上記形態の給油口の閉止装置において、前記第1開閉機構は、前記第1カバーを開方向に付勢する第1付勢部を有し;前記第1カバーは、前記第1付勢部を中心に回動することで開閉し;前記第2開閉機構は、前記第2カバーを閉方向に付勢する第2付勢部を有し;前記第2カバーは、前記第2付勢部を中心に、前記第1カバーと同じ方向に回動することで開閉し;前記第2係合部は、前記第1開閉機構における自由端側に、前記係合解除部と一体で形成され;前記第1開閉機構は、前記第1カバーに固定され、前記第1付勢部と平行な軸である支持軸であって、前記支持軸を中心として、前記係合解除部と前記第2係合部とを、前記第2係合部が前記第1係合部に係合する方向に付勢する支持軸を有してもよい。この形態の給油口の閉止装置によれば、簡便な機構によって、第2カバーの開閉に応じて第1カバーが開閉する構成を実現できる。
【0008】
なお、本発明は、給油口の閉止装置以外の種々の態様で実現することも可能である。例えば、給油口の閉止装置を搭載する自動車、給油口の閉止装置の製造方法等の形態で実現できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、給油時などに第1カバーにおける上流側を向く外表面に泥などが付着しても、第1カバーが上流側に開くため、第1カバーの外表面に付着した泥が燃料通路へと入り込むことを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態における給油口の閉止装置の第2開閉機構が開いた状態の斜視図である。
図2】第1カバーおよび第2カバーが開いた状態の給油口の閉止装置の断面図である。
図3】第1カバーが第1開口を閉じた状態の第1開閉機構の周辺の拡大断面図である。
図4】第2カバーが第2開口を閉じた状態の第1開閉機構の周辺の拡大断面図である。
図5】第1カバーおよび第2カバーが開き始めた状態の第1開閉機構の周辺の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
A.実施形態:
(1)給油口の閉止装置の概略構成
図1は、本実施形態における給油口100Aの閉止装置100の第2開閉機構30が開いた状態の斜視図である。給油口100Aの閉止装置100(以降では、単に「閉止装置100」とも言う)は、自動車に搭載され、自動車の燃料タンクへと液体燃料を供給するための給油ノズルが挿入される。図1に示すように、閉止装置100は、燃料通路形成部10と、第1開閉機構20と、第2開閉機構30と、インレットボックス40と、を備える。燃料通路形成部10は、給油ノズルが挿入される第1開口10Aを形成し、燃料タンクまで液体燃料を導く燃料通路を形成する筒状の部材である。
【0012】
インレットボックス40は、燃料通路形成部10を自動車に位置決めする。図1に示すように、インレットボックス40は、給油ノズルの挿入方向に直交する断面が楕円形状である箱状の形状を有する。インレットボックス40は、燃料タンク側で燃料通路形成部10と接続する。インレットボックス40は、燃料タンク側の反対側の上流方向の面に第2開口40Aを形成する。インレットボックス40と第2開閉機構30とによって、第2開閉機構30が閉じた状態で、給油口100Aを形成する。なお、本明細書では、燃料タンク側を下流側とも言う。さらに、本明細書における上流側とは、給油口100Aよりも下流側では、給油ノズルが挿入される筒状の長手方向に沿った奥側であり、給油口100Aよりも上流側では、第1開閉機構20および第2開閉機構30が閉まっていない状態において、外表面側を上流側という。具体的には、図1に示すように第2開閉機構30が開いた状態の場合の第2開閉機構30については、図1の左側を上流側と言い、図1の右側を下流側と言う。また、上流側に対応する方向を上流方向と言い、下流側に対応する方向を下流方向と言う。
【0013】
第1開閉機構20は、第1開口10Aを開閉する。第1開閉機構20は、第1カバー21と、第1付勢部22と、係合機構23と、を有する。第1カバー21は、第1付勢部22を固定端として回動することで、第1開口10Aを開閉する樹脂製の蓋である。第1カバー21は、図1に示す第1開口10Aを閉じている状態から、上流側に回動して開く。第1付勢部22は、第1カバー21を開く方向に付勢するねじりバネを有する。係合機構23は、第2開閉機構30が閉まっている状態で第2開閉機構30と接触する棒状の部材である。係合機構23は、第1カバー21において、固定端である第1付勢部22と反対側の自由端の部分に回動可能に固定されている。係合機構23の一端23Hは、上流側かつ第1付勢部22に近づく方向に延伸する。係合機構23のもう一方の一端の詳細については後述するが、燃料通路形成部10に形成された第1係合部12Lに係合している。係合機構23は、第2開閉機構30の閉まり具合に応じて、延伸した係合機構23の一端23Hと第2開閉機構30の一部とが接触することで、もう一端での第1係合部12Lとの係合を制御する。なお、以降では、第1開閉機構20および第2開閉機構30において、回動して開く方向を開方向と呼び、閉まる方向を閉方向と呼ぶ。
【0014】
第2開閉機構30は、閉まっている状態で、燃料通路形成部10および第1開閉機構20を保護するリッドである。第2開閉機構30は、第2カバー31と、第2付勢部32と、を有する。第2カバー31は、第2付勢部32の動きに合わせて回動し、閉まっている状態において、給油口100Aと大気とを隔てる。第2カバー31は、閉まっている状態で、第2開口40Aに嵌め合う楕円形状を有する。第2カバー31は、下流側に、第2開口40Aとの嵌め合いの位置のばらつきを吸収するための弾性部材を有する。第2付勢部32は、第2カバー31を回動させるための湾曲したアームである。第2付勢部32は、第1開口10Aの中心を基準として、第1付勢部22と同じ方向に配置される。そのため、第2カバー31は、第1カバー21と同じ方向に回動する。
【0015】
図2は、第1カバー21および第2カバー31が開いた状態の給油口100Aの閉止装置100の断面図である。図2に示すように、第2カバー31は、第2付勢部32が有する固定端32Sを中心に、第1カバー21と同じ方向(図2における反時計回り)に回動する。第2カバー31の回動範囲は、90度である。図2に示すように、第1カバー21は、最も開いた状態で、係合機構23の一端23Hと第2付勢部32の一部とが接触する。これにより、第1カバー21の回動が規制される。係合機構23は、第2付勢部32と接触する一端23Hと反対側の端部に形成された第2係合部23Lを有する。第2係合部23Lは、一端23Hの方向に反り返った爪形状を有する。燃料通路形成部10は、第1開口10Aの外周側に形成された第1係合部12Lを有する。第1係合部12Lは、燃料通路形成部10の外周面から径方向に突出した突部である。第1係合部12Lは、第1カバー21が閉まった状態において、第2係合部23Lに係合する。なお、係合機構23の一端23Hは、請求項における係合解除部に相当する。固定端32Sは、請求項における第2付勢部に相当する。
【0016】
(2)第1開閉機構20の開閉時の作動詳細
図3は、第1カバー21が第1開口10Aを閉じた状態の第1開閉機構20の周辺の拡大断面図である。係合機構23は、第1カバー21に対して、第1カバー21の自由端の上流側に配置された支持軸23Oを中心として回転する。支持軸23Oは、係合機構23を図3において、時計回りに付勢するねじりバネである。換言すると、支持軸23Oは、第2係合部23Lが第1係合部12Lに係合する方向に付勢する。本実施形態では、支持軸23Oの付勢力は、第1付勢部22の付勢力よりも小さく設定されている。図3に示すように、第1カバー21が閉まっている状態で、かつ、係合機構23の一端23Hが下流方向に力を受けていない状態では、第2係合部23Lが第1係合部12Lに係合している。そのため、第1付勢部22が第1カバー21を開方向に付勢しても、第1カバー21の回動が第1係合部12Lによって規制される。換言すると、第2係合部23Lが第1係合部12Lに係合していると、第1カバー21は、第1開口10Aを閉じる。第2係合部23Lが第1係合部12Lに係合している場合、第1カバー21における上流側を向く面から係合機構23の一端23Hの上流側を向く面まで距離は、距離h1である。
【0017】
図4は、第2カバー31が第2開口40Aを閉じた状態の第1開閉機構20の周辺の拡大断面図である。図4に示すように、第2カバー31が閉じられると、第2カバー31における下流側を向く面の一部と、係合機構23の一端23Hとが接触する。係合機構23は、第2カバー31に接触して、下流方向に押されると、第1カバー21における上流側を向く面から係合機構23の一端23Hの上流側を向く面まで距離が、距離h2(<距離h1)に変化する。この場合に、係合機構23は、第1付勢部22と平行な軸である支持軸23Oを中心として、第2係合部23Lと第1係合部12Lとの係合を解除する方向(図4に反時計回り)に回転する。係合機構23が反時計回りに回転すると、第1係合部12Lに係合していた第2係合部23Lは、第1係合部12Lとの係合が解除される。第2係合部23Lと第1係合部12Lとの係合が解除されても、係合機構23が第2カバー31と接触して下流側に押されているため、第1カバー21は第1開口10Aを閉じたままである。換言すると、図4に示す例では、第2係合部23Lと第1係合部12Lとの係合ではなく、係合機構23が第1カバー21によって下流側に押されることで、第1カバー21は、第1開口10Aを閉じている。
【0018】
図5は、第1カバー21および第2カバー31が開き始めた状態の第1開閉機構20の周辺の拡大断面図である。図5に示すように、第2カバー31が、閉じた状態から少し開くと(図5では、およそ2度)、係合機構23の一端23Hが第2カバー31に接触している位置が上流方向に少し移動する。これにより、第1カバー21における上流側を向く面から係合機構23の一端23Hの上流側を向く面までの距離が、距離h3(>h2)に変化する。第2係合部23Lは、支持軸23Oを中心として、第1係合部12Lに係合する方向に回動する。しかし、本実施形態では、第2カバー31が開き始めるときに、第2係合部23Lが第1係合部12Lに係合しない位置関係になるように配置されている。そのため、第2カバー31が閉じた状態から開いた状態へと変化するときに、第1カバー21は、第2カバー31と同様に、開いた状態へと変化する。
【0019】
(3)第1開閉機構20の開閉時の作用・効果
自動車が走行している場合などの第2カバー31が閉まっている状態では、図4に示すように、第1カバー21が第1開口10Aを閉じており、第2係合部23Lと第1係合部12Lとが係合していない。第2カバー31が閉まっている状態から開くと、図2に示すように、第1カバー21も第2カバー31と同時に開き、給油口100Aは給油ノズルを挿入可能な状態に変化する。
【0020】
図2に示す第2カバー31および第1カバー21が開いた状態から、第2カバー31が閉じると、係合機構23の一端23Hが第2付勢部32の一部と接触しているため、第1開閉機構20は、係合機構23の一端23Hを介して、第1開口10Aの閉方向に回動する力を受ける。そのため、第2カバー31が完全に閉じると、第1カバー21が第1付勢部22を中心に回動して第1開口10Aを閉じ、給油口100Aが閉止される。
【0021】
上述したように、第1カバー21は、第2カバー31の開閉に応じて開閉するが、第2カバー31の開閉に関わらず、ドライバーなどによって手動で単独で開閉可能である。例えば、第2カバー31を開いた状態で、自動車の高圧洗車などを行なう場合に、図1に示すように、第2係合部23Lを第1係合部12Lに係合させることで、第2カバー31を開いた状態で、第1カバー21のみを閉じて、第1開口10Aを閉じることもできる。
【0022】
以上説明したように、本実施形態の給油口100Aの閉止装置100では、第1開閉機構20は、上流側に回動して開くことで第1開口10Aを開閉する第1カバー21と、第1係合部12Lと係合する第2係合部23Lと、を有する。第2係合部23Lが第1係合部12Lに係合することで、第1カバー21が第1開口10Aを閉じる。係合機構23は、第2カバー31によって下流側に向かう力を受けると、第2係合部23Lと第1係合部12Lとの係合を解除する。そのため、本実施形態の給油口100Aの閉止装置100では、給油時などに第1カバー21における上流側を向く外表面に泥などが付着しても、第1カバー21が上流側に回動して開くため、第1カバー21の外表面に付着した泥が燃料通路へと入り込むことを低減できる。また、本実施形態の給油口100Aの閉止装置100では、第1カバー21が上流側に開くため、第1カバー21が下流側に開く場合と比較して、下流側に開いた第1カバー21を収納する空間を確保する必要がないため、燃料通路形成部10を小型化できる。また、本実施形態の給油口100Aの閉止装置100では、第2カバー31の開閉に応じて第1カバー21も開閉する。これにより、給油を行なう者は、第2カバー31のみの開閉によって第1カバー21も同時に開閉でき、第2カバー31と第1カバー21とを別々に開閉せずに済むため、給油を行なう者の利便性が向上する。
【0023】
また、本実施形態の給油口100Aの閉止装置100では、第2カバー31は、第1カバー21と同じ方向に回動する(例えば、図2の反時計回り)ことで開閉し、第2係合部23Lは、第1開閉機構20における第1付勢部22と反対側の自由端に形成される。そのため、本実施形態の給油口100Aでは、簡便な機構によって、第2カバー31の開閉に応じて第1カバー21が開閉する構成を実現できる。
【0024】
B.変形例:
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
【0025】
上記実施形態では、給油口100Aの閉止装置100は、第2開閉機構30を構成として備えたが、閉止装置100の構成については、種々変形可能である。例えば、閉止装置100は、第2開閉機構30を備えてなくてもよい。この場合に、例えば、第1開閉機構20および燃料通路形成部10で構成される給油口100Aの閉止装置100aでは、第2開閉機構30の第2カバー31の代わりに、係合機構23の一端23Hに接触して第2係合部23Lと第1係合部12Lとの係合の解除を制御できる部材があれば、第1カバー21の外周面に付着した泥などが燃料通路に入り込むことを抑制できる。
【0026】
上記実施形態では、図3および図4に示すように、爪状の第2係合部23Lが径方向に突出した第1係合部12Lに係合したが、第2係合部23Lと第1係合部12Lとを係合させるための形状については、種々変形可能である。例えば、第1係合部12Lが、第1開口10Aの外周面を形成する燃料通路形成部10の一部に凹部として形成されて、爪状の第2係合部23Lが、当該凹部に係合してもよい。
【0027】
上記実施形態では、第2開閉機構30の第2カバー31が閉まった状態で、第2カバー31における下流側を向く面の一部が、係合機構23の一端23Hと接触して下流側に押す。これにより、第1カバー21の回動の度合いが制御されて、第2係合部23Lと第1係合部12Lとの係合状態が制御されたが、係合状態を制御するための形状については、種々変形可能である。例えば、係合機構23が上流側に延伸した一端23Hを有しておらず、平板状の係合機構23が、第2カバー31に形成された突起に接触することで、第2係合部23Lと第1係合部12Lとの係合状態が制御されてもよい。
【0028】
上記実施形態では、給油口100Aをインレットボックス40と第2開閉機構30とによって形成される空間として定義したが、給油口100Aの定義については、種々変形可能である。例えば、第1開口10Aを給油口として定義してもよい。
【0029】
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現できる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部または全部を解決するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行なうことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除できる。
【符号の説明】
【0030】
10…燃料通路形成部
10A…第1開口
12L…第1係合部
20…第1開閉機構
21…第1カバー
22…第1付勢部
23…係合機構
23H…係合機構の一端
23L…第2係合部
23O…支持軸
30…第2開閉機構
31…第2カバー
32…第2付勢部
32S…固定端
40…インレットボックス
40A…第2開口
100…閉止装置
100A…給油口
h1,h2,h3…距離
図1
図2
図3
図4
図5