(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
[電子吸引性の置換基を有するアリール基、電子吸引性の置換基を有するスルホニル基又はハロゲン化アルキル基を含むアニオン]
一般式(1)のAn
−で示される電子吸引性の置換基を有するアリール基、電子吸引性の置換基を有するスルホニル基又はハロゲン化アルキル基を含むアニオン(以下、本発明に係るアニオンと略記する場合がある)におけるアニオン部分としては、例えばスルホン酸アニオン、窒素アニオン(N
-)、4級ホウ素アニオン、硝酸イオン、燐酸イオン等が挙げられ、スルホン酸アニオン、窒素アニオン、4級ホウ素アニオンが好ましく、4級ホウ素アニオンがより好ましい。
【0011】
本発明に係るアニオンの電子吸引性の置換基を有するアリール基又は電子吸引性の置換基を有するスルホニル基における電子吸引性の置換基としては、例えば、炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基、ハロゲノ基、ニトロ基等が挙げられ、中でも炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基、ハロゲノ基が好ましく、ハロゲノ基が特に好ましい。
【0012】
上記電子吸引性の置換基としての炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基としては、例えばクロロメチル基、トリクロロメチル基、2−クロロエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、ペンタクロロエチル基、2−クロロプロピル基、3−クロロプロピル基、2−クロロ−2−プロピル基、ヘプタクロロプロピル基等のクロロアルキル基;ブロモメチル基、トリブロモメチル基、2−ブロモエチル基、2,2,2−トリブロモエチル基、ペンタブロモエチル基、2−ブロモプロピル基、3−ブロモプロピル基、2−ブロモ−2−プロピル基、ヘプタブロモプロピル基等のブロモアルキル基;ヨードメチル基、トリヨードメチル基、2−ヨードエチル基、2,2,2−トリヨードエチル基、ペンタヨードエチル基、2−ヨードプロピル基、3−ヨードプロピル基、2−ヨード−2−プロピル基、ヘプタヨードプロピル基等のヨードアルキル基;フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2−フルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、1,1,2,2−テトラフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、3−フルオロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基、ヘプタフルオロプロピル基等のフルオロアルキル基が挙げられる。この中でもトリクロロメチル基、ペンタクロロエチル基、ヘプタクロロプロピル基、トリブロモメチル基、ペンタブロモエチル基、ヘプタブロモプロピル基、トリヨードメチル基、ペンタヨードエチル基、ヘプタヨードプロピル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基等のパーハロゲノアルキル基が好ましく、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基等のパーフルオロアルキル基がより好ましく、トリフルオロメチル基が特に好ましい。
【0013】
上記電子吸引性の置換基としてのハロゲノ基としては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基が挙げられ、フルオロ基が好ましい。
【0014】
本発明に係るアニオンにおける電子吸引性の置換基を有するアリール基中の電子吸引性の置換基は、上記具体例の中でも、電子吸引力が強いものが好ましく、トリフルオロメチル基、フルオロ基、ニトロ基が好ましく、フルオロ基がより好ましい。
【0015】
本発明に係るアニオンにおける電子吸引性の置換基を有するスルホニル基中の電子吸引性の置換基は、上記具体例の中でも、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、フルオロ基が好ましい。
【0016】
本発明に係るアニオンにおける電子吸引性の置換基を有するアリール基中のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、フェニル基が好ましい。
【0017】
本発明に係るアニオンにおける電子吸引性の置換基を有するアリール基の具体例としては、例えば下記一般式(11)及び(12)で表されるものが挙げられる。
(式中、mは、1〜5の整数を表し、m個のR
41は、それぞれ独立して、炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基、ハロゲン原子又はニトロ基を表し、*は、結合手を表す。)
【0018】
(式中、kは、1〜7の整数を表す。R
41及び*は上記と同じ。k個のR
41は同一でも異なっていてもよい。)
【0019】
mは、通常1〜5の整数であるが、R
41がハロゲン原子の場合は2〜5が好ましく、3〜5がより好ましく、5が更に好ましい。R
41がニトロ基の場合は1〜3が好ましく、1がより好ましい。R
41がハロゲン化アルキル基の場合は、1〜5が好ましく、1〜3がより好ましい。
【0020】
kは、通常1〜7の整数であるが、R
41がハロゲン原子の場合は2〜7が好ましい。R
41がニトロ基の場合は1〜3が好ましく、1がより好ましい。R
41がハロゲン化アルキル基の場合は、1〜7が好ましく、1〜3がより好ましい。
【0021】
一般式(11)及び一般式(12)におけるR
41の炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基は、上記本発明に係るアニオンにおける電子吸引性の置換基としての炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。
【0022】
一般式(11)及び一般式(12)におけるR
41のハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、中でもフッ素原子が好ましい。
【0023】
一般式(11)及び一般式(12)におけるR
41の好ましい具体例は、上記の電子吸引性の置換基を有するアリール基中の電子吸引性の置換基の好ましいものと同じである。
【0024】
一般式(11)で示される基は、具体的には例えば、トリフルオロメチルフェニル基、ジ(トリフルオロメチル)フェニル基、トリ(トリフルオロメチル)フェニル基、モノフルオロフェニル基、ジフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、パーフルオロフェニル基、モノクロロフェニル基、ジクロロフェニル基、トリクロロフェニル基、パークロロフェニル基、モノブロモフェニル基、ジブロモフェニル基、トリブロモフェニル基、パーブロモフェニル基、モノヨードフェニル基、ジヨードフェニル基、トリヨードフェニル基、パーヨードフェニル基、ニトロフェニル基、ジニトロフェニル基、トリニトロフェニル基等が挙げられ、ジフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、パーフルオロフェニル基等が好ましく、パーフルオロフェニル基がより好ましい。
【0025】
一般式(12)で示される基は、具体的には例えば、トリフルオロメチルナフチル基、ジ(トリフルオロメチル)ナフチル基、トリ(トリフルオロメチル)ナフチル基、モノフルオロナフチル基、ジフルオロナフチル基、トリフルオロナフチル基、パーフルオロナフチル基、モノクロロナフチル基、ジクロロナフチル基、トリクロロナフチル基、パークロロナフチル基、モノブロモナフチル基、ジブロモナフチル基、トリブロモナフチル基、パーブロモナフチル基、モノヨードナフチル基、ジヨードナフチル基、トリヨードナフチル基、パーヨードナフチル基、ニトロナフチル基、ジニトロナフチル基、トリニトロナフチル基等が挙げられる。
【0026】
本発明に係るアニオンにおける電子吸引性の置換基を有するアリール基は、上記具体例の中でも、一般式(11)で示される基が好ましく、具体的にはトリフルオロメチルフェニル基、ニトロフェニル基、ジニトロフェニル基、トリニトロフェニル基、モノフルオロフェニル基、ジフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、パーフルオロフェニル基が好ましく、ジフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、ニトロフェニル基、パーフルオロフェニル基がより好ましく、パーフルオロフェニル基が更に特に好ましい。
【0027】
本発明に係るアニオンにおける電子吸引性の置換基を有するスルホニル基としては、例えば−SO
2−CF
3、−SO
2−C
2F
5、−SO
2−C
3F
7、−SO
2−F、−SO
2−Cl、−SO
2−Br、−SO
2−I等が挙げられる。
【0028】
本発明に係るアニオンにおけるハロゲン化アルキル基としては、炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基が挙げられ、中でもパーハロゲン化アルキル基が好ましく、具体的には例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、トリクロロメチル基、ペンタクロロエチル基、ヘプタクロロプロピル基、トリブロモメチル基、ペンタブロモエチル基、ヘプタブロモプロピル基、トリヨードメチル基、ペンタヨードエチル基、ヘプタヨードプロピル基等が挙げられ、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基が好ましい。
【0029】
本発明に係る電子吸引性の置換基を有するアリール基、電子吸引性の置換基を有するスルホニル基又はハロゲン化アルキル基を含むアニオンとしては、具体的には例えば下記一般式(13)〜(18)で示されるものが挙げられる。
(式中、R
41及びmは上記と同じ。m個のR
41は同一でも異なっていてもよい。)
【0030】
(式中、R
41及びkは上記と同じ。k個のR
41は同一でも異なっていてもよい。)
【0031】
(式中、R
41及びkは上記と同じ。k個のR
41は同一でも異なっていてもよい。)
【0032】
(式中、R
42〜R
45はそれぞれ独立して、炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基、ハロゲン原子又はニトロ基を表し、m
2〜m
5はそれぞれ独立して、1〜5の整数を表す。m
2個のR
42、m
3個のR
43、m
4個のR
44及びm
5個のR
45は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
【0033】
(式中、R
46はそれぞれ独立して、炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基又はハロゲン原子を表すが、4つのR
46のうち少なくとも1つは、炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基を表す。)
【0034】
(式中、R
47及びR
48はそれぞれ独立して、炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基又はハロゲン原子を表す。R
47とR
48とで、炭素数2〜3のハロゲン化アルキレン基を形成してもよい。)
【0035】
一般式(13)における、R
41及びmの組合せとしては、例えば下記表記載のものが挙げられる。尚、当該m個のR
41はそれぞれ独立するものであるが、同じ場合が好ましい。
【0037】
一般式(13)で示されるアニオンの好ましい具体例としては、例えば下記のものが挙げられる。
【0038】
一般式(14)及び(15)における、R
41及びkの組合せとしては、例えば下記表記載のものが挙げられる。尚、当該k個のR
41はそれぞれ独立するものであるが、同じ場合が好ましい。
【0040】
一般式(14)及び(15)で示されるアニオンの好ましい具体例としては、例えば下記のものが挙げられる。
【0041】
一般式(16)のR
42〜R
45における炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基としては、本発明に係るアニオンにおける電子吸引性の置換基としての炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。
【0042】
一般式(16)のR
42〜R
45におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、中でもフッ素原子が好ましい。
【0043】
一般式(16)における、R
42〜R
45及びm
2〜m
5の組合せとしては、例えば下記表記載のものが挙げられる。
【0045】
一般式(16)で示されるアニオンの好ましい具体例としては、例えば、下記のものが挙げられる。
【0046】
上記の具体例の中でも、下記のものがより好ましい。
【0047】
上記の具体例の中でも、下記のものが特に好ましい。
【0048】
一般式(17)のR
46における炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基としては、本発明に係るアニオンにおける電子吸引性の置換基としての炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。
【0049】
一般式(17)のR
46におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、中でもフッ素原子が好ましい。
【0050】
一般式(17)で示されるアニオンの好ましい具体例としては、例えばCF
3BF
3−、C
2F
5BF
3−、C
3F
7BF
3−、(CF
3)
4B
−、(C
2F
5)
4B
−、(C
3F
7)
4B
−等が挙げられる。
【0051】
一般式(18)のR
47及びR
48における炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基としては、本発明に係るアニオンにおける電子吸引性の置換基としての炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。
【0052】
一般式(18)のR
47及びR
48におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、中でもフッ素原子が好ましい。
【0053】
一般式(18)のR
47とR
48とで形成される炭素数2〜3のハロゲン化アルキレン基としては、例えばテトラフルオロエチレン基、ヘキサフルオロプロピレン基等が挙げられ、ヘキサフルオロプロピレン基が好ましい。
【0054】
一般式(18)で示されるアニオンの好ましい具体例としては、例えば、下記のものが挙げられる。
【0055】
本発明に係るアニオンは、一般式(16)、一般式(17)又は一般式(18)で示されるものが好ましく、一般式(16)又は一般式(18)で示されるものがより好ましく、一般式(16)で示されるものが特に好ましい。
【0056】
本発明に係るアニオンは、上記具体例の中でも、下記のものが好ましい。
【0057】
上記具体例の中でも、下記のものがより好ましい。
【0058】
[本発明の化合物]
本発明の化合物は、一般式(1)で示される化合物である。
【0059】
(式中、R
1〜R
4はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、炭素数1〜6のスルホアルキル基、炭素数2〜7のカルボキシアルキル基、炭素数2〜7のシアノアルキル基、炭素数2〜6のアルコキシアルキル基、炭素数1〜6のハロゲノアルキル基、又は、置換基を有するもしくは無置換のフェニル基、ナフチル基もしくはベンジル基を表し、R
5〜R
7はそれぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表し、n個のR
8はそれぞれ独立して、ハロゲン原子、炭素数1〜21のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、ヒドロキシル基、ニトロ基、スルホ基、又は炭素数1〜3のアルコキシ基を表し、nは0〜4の整数を表す。A
1は、−O−、−OCO−、−COO−及びアリーレン基から選ばれる少なくとも1つの基を鎖中に有する炭素数1〜21のアルキレン基;−O−、−OCO−、−COO−及びアリーレン基から選ばれる少なくとも1つの基を鎖中に有し、且つ、ヒドロキシル基を置換基として有する炭素数1〜21のアルキレン基;ヒドロキシル基を置換基として有する炭素数1〜21のアルキレン基;又は炭素数1〜21のアルキレン基を表し、A
2は−NH−又は−O−を表す。An
-は、電子吸引性の置換基を有するアリール基、電子吸引性の置換基を有するスルホニル基、又はハロゲン化アルキル基を含むアニオンを表す。)
【0060】
一般式(1)のR
1〜R
4における炭素数1〜30のアルキル基としては、直鎖状、分枝状及び環状のうちいずれであってもよく、炭素数1〜12のものが好ましく、炭素数1〜6のものがより好ましく、炭素数1〜3のものが更に好ましい。具体的には例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、1−メチルプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、1−エチルプロピル基、1−メチルブチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、1−メチルペンチル基、1−エチルブチル基、シクロへキシル基、2−ヘプチル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、ヘプタコシル基、オクタコシル基、ノナコシル基、トリアコンチル基、イソペンチル基、イソヘキシル基、イソヘプチル基、イソオクチル基、イソノニル基、イソデシル基、イソウンデシル基、イソドデシル基、イソトリデシル基、イソテトラデシル基、イソペンタデシル基、イソヘキサデシル基、イソヘプタデシル基、イソオクタデシル基、イソノナデシル基、イソイコシル基、イソヘンイコシル基、イソドコシル基、イソトリコシル基、イソテトラコシル基、イソペンタコシル基、イソヘキサコシル基、イソヘプタコシル基、イソオクタコシル基、イソノナコシル基、イソトリアコンチル基、1−メチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、1−メチルヘプチル基、1−シクロヘキシルエチル基、1−エチルヘプチル基、1−ヘプチルオクチル基、2−メチルシクロへキシル基、3−メチルシクロへキシル基、4−メチルシクロへキシル基、2,6−ジメチルシクロへキシル基、2,4−ジメチルシクロへキシル基、3,5−ジメチルシクロへキシル基、2,5−ジメチルシクロへキシル基、2,3−ジメチルシクロへキシル基、3,3,5−トリメチルシクロへキシル基、4−tert−ブチルシクロへキシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基等が挙げられ、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基がより好ましく、メチル基、エチル基が特に好ましい。
【0061】
一般式(1)のR
1〜R
4における炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基としては、炭素数1〜3が好ましく、具体的には例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシペンチル基、ヒドロキシヘキシル基等が挙げられる。
【0062】
一般式(1)のR
1〜R
4における炭素数1〜6のスルホアルキル基としては、炭素数1〜3が好ましく、具体的には例えば、スルホメチル基、スルホエチル基、スルホプロピル基、スルホブチル基、スルホペンチル基、スルホヘキシル基等が挙げられる。
【0063】
一般式(1)のR
1〜R
4における炭素数2〜7のカルボキシアルキル基としては、炭素数3〜6が好ましく、具体的には例えば、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、カルボキシブチル基、カルボキシペンチル基、カルボキシヘキシル基等が挙げられ、カルボキシエチル基が好ましい。
【0064】
一般式(1)のR
1〜R
4における炭素数2〜7のシアノアルキル基としては、炭素数2〜4が好ましく、具体的には例えば、シアノメチル基、シアノエチル基、シアノプロピル基、シアノブチル基、シアノペンチル基、シアノヘキシル基等が挙げられ、シアノエチル基が好ましい。
【0065】
一般式(1)のR
1〜R
4における炭素数2〜6のアルコキシアルキル基としては、炭素数3〜5が好ましく、具体的には例えば、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、プロポキシメチル基、プロポキシエチル基、ブトキシメチル基、ブトキシエチル基等が挙げられる。
【0066】
一般式(1)のR
1〜R
4における炭素数1〜6のハロゲノアルキル基としては、炭素数1〜3が好ましく、具体的には例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、トリクロロメチル基、トリブロモメチル基、トリヨードメチル基等が挙げられる。
【0067】
一般式(1)のR
1〜R
4における置換基を有するフェニル基、ナフチル基もしくはベンジル基は、1〜5個、好ましくは1〜3個の置換基を有する。その置換基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基;フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基等のハロゲノ基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、tert-ブトキシ基、プロポキシ基、ヘキシルオキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等の炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基;メトキシエチル基、エトキシエチル基、エトキシプロピル基、ブトキシエチル基等の炭素数2〜7のアルコキシアルキル基;2−ヒドロキシエトキシ基等の炭素数1〜6のヒドロキシアルコキシ基;2−メトキシエトキシ基、2−エトキシエトキシ基等の炭素数2〜7のアルコキシアルコキシ基;2−スルホエチル基等の炭素数1〜6のスルホアルキル基;カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、カルボキシブチル基、カルボキシペンチル基、カルボキシヘキシル基等の炭素数2〜7のカルボキシアルキル基;シアノメチル基、シアノエチル基、シアノプロピル基、シアノブチル基、シアノペンチル基、シアノヘキシル基等の炭素数2〜7のシアノアルキル基;スルホ基等が挙げられる。
【0068】
一般式(1)におけるR
1〜R
4としては、炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基がより好ましく、メチル基、エチル基が特に好ましい。
【0069】
一般式(1)のR
5及びR
6は、水素原子又はメチル基を表し、水素原子が好ましい。
【0070】
一般式(1)のR
7は、水素原子又はメチル基を表し、メチル基が好ましい。
【0071】
一般式(1)のR
8におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、中でも臭素原子が好ましい。
【0072】
一般式(1)のR
8における炭素数1〜21のアルキル基としては、直鎖状、分枝状及び環状のうちいずれであってもよく、炭素数1〜12のものが好ましく、炭素数1〜6のものがより好ましく、炭素数1〜3のものが更に好ましい。具体的には例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、1−メチルプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、1−エチルプロピル基、1−メチルブチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、1−メチルペンチル基、1−エチルブチル基、シクロへキシル基、2−ヘプチル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、イソペンチル基、イソヘキシル基、イソヘプチル基、イソオクチル基、イソノニル基、イソデシル基、イソウンデシル基、イソドデシル基、イソトリデシル基、イソテトラデシル基、イソペンタデシル基、イソヘキサデシル基、イソヘプタデシル基、イソオクタデシル基、イソノナデシル基、イソイコシル基、イソヘンイコシル基、1−メチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、1−メチルヘプチル基、1−シクロヘキシルエチル基、1−ヘプチルオクチル基、1−エチルヘプチル基、2−メチルシクロへキシル基、3−メチルシクロへキシル基、4−メチルシクロへキシル基、2,6−ジメチルシクロへキシル基、2,4−ジメチルシクロへキシル基、3,5−ジメチルシクロへキシル基、2,5−ジメチルシクロへキシル基、2,3−ジメチルシクロへキシル基、3,3,5−トリメチルシクロへキシル基、4−tert−ブチルシクロへキシル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられ、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基がより好ましい。
【0073】
一般式(1)のR
8における炭素数6〜10のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、フェニル基が好ましい。
【0074】
一般式(1)のR
8における炭素数1〜3のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられる。
【0075】
一般式(1)のR
8としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基及び炭素数1〜3のアルコキシ基が好ましい。
【0076】
一般式(1)のnとしては、0〜1が好ましく、0がより好ましい。
【0077】
一般式(1)のA
1における、「−O−、−OCO−、−COO−及びアリーレン基から選ばれる少なくとも1つの基を鎖中に有する炭素数1〜21のアルキレン基」及び「−O−、−OCO−、−COO−及びアリーレン基から選ばれる少なくとも1つの基をその鎖中に有し、且つ、ヒドロキシル基を置換基として有する炭素数1〜21のアルキレン基」におけるアリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基が挙げられ、フェニレン基が好ましい。
【0078】
一般式(1)のA
1における、「−O−、−OCO−、−COO−及びアリーレン基から選ばれる少なくとも1つの基を鎖中に有する炭素数1〜21のアルキレン基」、「−O−、−OCO−、−COO−及びアリーレン基から選ばれる少なくとも1つの基をその鎖中に有し、且つ、ヒドロキシル基を置換基として有する炭素数1〜21のアルキレン基」、「ヒドロキシル基を置換基として有する炭素数1〜21のアルキレン基」及び「炭素数1〜21のアルキレン基」における、炭素数1〜21のアルキレン基としては、直鎖状又は分枝状が好ましく、炭素数1〜12が好ましく、炭素数1〜6がより好ましく、炭素数1〜3が更に好ましい。具体的には例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、メチルエチレン基、ブチレン基、1−メチルプロピレン基、2−メチルプロピレン基、ペンチレン基、メチルブチレン基、1,2−ジメチルプロピレン基、1−エチルプロピレン基、ヘキシレン基、メチルペンチレン基、n-へプチレン基、n-オクチレン基、n-ノニレン基、n-デシレン基、n-ウンデシレン基、n-ドデシレン基、n-トリデシレン基、n-テトラデシレン基、n-ペンタデシレン基、n-ヘキサデシレン基、n-ヘプタデシレン基、n-オクタデシレン基、n-ノナデシレン基、n-イコシレン基、n-ヘンイコシレン基等が挙げられ、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、プロピレン基がより好ましく、エチレン基が特に好ましい。
【0079】
一般式(1)のA
1における、「−O−、−OCO−、−COO−及びアリーレン基から選ばれる少なくとも1つの基を鎖中に有する炭素数1〜21のアルキレン基」としては、例えば下記一般式(21−1)及び(21−2)で示される基等が挙げられる。
【0080】
−(R
51−O)
h1−R
52− (21−1)
(式中、R
51及びR
52はそれぞれ独立して、直鎖状又は分枝状の炭素数1〜4のアルキレン基を表し、h
1は、1〜9の整数を表す。ただし、式中の炭素数の総数は、1〜21である。)
【0081】
−(CH
2)
h2−OCO−R
53−COO−(CH
2)
h3− (21−2)
(式中、R
53は、フェニレン基又は炭素数1〜7のアルキレン基を表し、h
2及びh
3はそれぞれ独立して、1〜3の整数を表す。)
【0082】
一般式(21−1)のR
51及びR
52における直鎖状又は分枝状の炭素数1〜4のアルキレン基としては、具体的には例えば、メチレン基、エチレン基、メチルメチレン基、プロピレン基、メチルエチレン基、ブチレン基、メチルプロピレン基等が挙げられ、エチレン基、メチルエチレン基が好ましい。
【0083】
一般式(21−1)で示される基としては、具体的には例えば
−CH
2CH
2−O−CH
2CH
2−、
−(CH
2CH
2−O)
2−CH
2CH
2−、
−(CH
2CH
2−O)
3−CH
2CH
2−、
−(CH
2CH
2−O)
4−CH
2CH
2−、
−(CH
2CH
2−O)
5−CH
2CH
2−、
−(CH
2CH
2−O)
6−CH
2CH
2−、
−(CH
2CH
2−O)
7−CH
2CH
2−、
−(CH
2CH
2−O)
8−CH
2CH
2−、
−(CH
2CH
2−O)
9−CH
2CH
2−、
−CH
2CH(CH
3)−O−CH
2CH(CH
3)−、
−(CH
2CH(CH
3)−O)
2−CH
2CH(CH
3)−、
−(CH
2CH(CH
3)−O)
3−CH
2CH(CH
3)−、
−(CH
2CH(CH
3)−O)
4−CH
2CH(CH
3)−、
−(CH
2CH(CH
3)−O)
5−CH
2CH(CH
3)−、
−(CH
2CH(CH
3)−O)
6−CH
2CH(CH
3)−、
−CH(CH
3)CH
2−O−CH(CH
3)CH
2−、
−(CH(CH
3)CH
2−O)
2−CH(CH
3)CH
2−、
−(CH(CH
3)CH
2−O)
3−CH(CH
3)CH
2−、
−(CH(CH
3)CH
2−O)
4−CH(CH
3)CH
2−、
−(CH(CH
3)CH
2−O)
5−CH(CH
3)CH
2−、
−(CH(CH
3)CH
2−O)
6−CH(CH
3)CH
2−、
−CH(CH
3)CH
2−O−CH
2CH(CH
3)−
等が挙げられる。
【0084】
一般式(21−2)のR
53における炭素数1〜7のアルキレン基としては、具体的には例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基、へプチレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、シクロへプチレン基等が挙げられる。
【0085】
一般式(21−2)で示される基としては、具体的には例えば
−CH
2−O−CO−CH
2−CO−O−CH
2−、
−CH
2−O−CO−(CH
2)
2−CO−O−CH
2−、
−CH
2−O−CO−(CH
2)
3−CO−O−CH
2−、
−CH
2−O−CO−(CH
2)
4−CO−O−CH
2−、
−CH
2−O−CO−(CH
2)
5−CO−O−CH
2−、
−CH
2−O−CO−(CH
2)
6−CO−O−CH
2−、
−CH
2−O−CO−(CH
2)
7−CO−O−CH
2−、
−(CH
2)
2−O−CO−CH
2−CO−O−(CH
2)
2−、
−(CH
2)
2−O−CO−(CH
2)
2−CO−O−(CH
2)
2−、
−(CH
2)
2−O−CO−(CH
2)
3−CO−O−(CH
2)
2−、
−(CH
2)
2−O−CO−(CH
2)
4−CO−O−(CH
2)
2−、
−(CH
2)
2−O−CO−(CH
2)
5−CO−O−(CH
2)
2−、
−(CH
2)
2−O−CO−(CH
2)
6−CO−O−(CH
2)
2−、
−(CH
2)
2−O−CO−(CH
2)
7−CO−O−(CH
2)
2−、
−(CH
2)
3−O−CO−CH
2−CO−O−(CH
2)
3−、
−(CH
2)
3−O−CO−(CH
2)
2−CO−O−(CH
2)
3−、
−(CH
2)
3−O−CO−(CH
2)
3−CO−O−(CH
2)
3−、
−(CH
2)
3−O−CO−(CH
2)
4−CO−O−(CH
2)
3−、
−(CH
2)
3−O−CO−(CH
2)
5−CO−O−(CH
2)
3−、
−(CH
2)
3−O−CO−(CH
2)
6−CO−O−(CH
2)
3−、
−(CH
2)
3−O−CO−(CH
2)
7−CO−O−(CH
2)
3−、
−CH
2−O−CO−C
6H
4−CO−O−CH
2−、
−(CH
2)
2−O−CO−C
6H
4−CO−O−(CH
2)
2−、
−(CH
2)
3−O−CO−C
6H
4−CO−O−(CH
2)
3−、
−CH
2−O−CO−C
6H
10−CO−O−CH
2−、
−(CH
2)
2−O−CO−C
6H
10−CO−O−(CH
2)
2−、
−(CH
2)
3−O−CO−C
6H
10−CO−O−(CH
2)
3−
等が挙げられ、中でも
−CH
2−O−CO−CH
2−CO−O−CH
2−、
−CH
2−O−CO−(CH
2)
2−CO−O−CH
2−、
−CH
2−O−CO−(CH
2)
3−CO−O−CH
2−、
−CH
2−O−CO−(CH
2)
4−CO−O−CH
2−、
−CH
2−O−CO−(CH
2)
5−CO−O−CH
2−、
−CH
2−O−CO−(CH
2)
6−CO−O−CH
2−、
−CH
2−O−CO−(CH
2)
7−CO−O−CH
2−、
−(CH
2)
2−O−CO−CH
2−CO−O−(CH
2)
2−、
−(CH
2)
2−O−CO−(CH
2)
2−CO−O−(CH
2)
2−、
−(CH
2)
2−O−CO−(CH
2)
3−CO−O−(CH
2)
2−、
−(CH
2)
2−O−CO−(CH
2)
4−CO−O−(CH
2)
2−、
−(CH
2)
2−O−CO−(CH
2)
5−CO−O−(CH
2)
2−、
−(CH
2)
2−O−CO−(CH
2)
6−CO−O−(CH
2)
2−、
−(CH
2)
2−O−CO−(CH
2)
7−CO−O−(CH
2)
2−、
−(CH
2)
3−O−CO−CH
2−CO−O−(CH
2)
3−、
−(CH
2)
3−O−CO−(CH
2)
2−CO−O−(CH
2)
3−、
−(CH
2)
3−O−CO−(CH
2)
3−CO−O−(CH
2)
3−、
−(CH
2)
3−O−CO−(CH
2)
4−CO−O−(CH
2)
3−、
−(CH
2)
3−O−CO−(CH
2)
5−CO−O−(CH
2)
3−、
−(CH
2)
3−O−CO−(CH
2)
6−CO−O−(CH
2)
3−、
−(CH
2)
3−O−CO−(CH
2)
7−CO−O−(CH
2)
3−、
が好ましく、
−(CH
2)
2−O−CO−CH
2−CO−O−(CH
2)
2−、
−(CH
2)
2−O−CO−(CH
2)
2−CO−O−(CH
2)
2−、
−(CH
2)
2−O−CO−(CH
2)
3−CO−O−(CH
2)
2−、
−(CH
2)
2−O−CO−(CH
2)
4−CO−O−(CH
2)
2−、
−(CH
2)
2−O−CO−(CH
2)
5−CO−O−(CH
2)
2−、
−(CH
2)
2−O−CO−(CH
2)
6−CO−O−(CH
2)
2−、
−(CH
2)
2−O−CO−(CH
2)
7−CO−O−(CH
2)
2−、
がより好ましく、
−(CH
2)
2−O−CO−(CH
2)
2−CO−O−(CH
2)
2−
が特に好ましい。
【0086】
一般式(1)のA
1における、「−O−、−OCO−、−COO−及びアリーレン基から選ばれる少なくとも1つの基を鎖中に有し、且つ、ヒドロキシル基を置換基として有する炭素数1〜21のアルキレン基」としては、例えば下記一般式(22−1)及び(22−2)で示される基等が挙げられる。
【0087】
−R
54−(CH
2)
h4− (22−1)
(式中、R
54は、ヒドロキシル基を置換基として有する炭素数6〜10のアリーレン基を表し、h
4は、1〜4の整数を表す。)
【0088】
−R
55−Y
1−(CH
2)
h5− (22−2)
(式中、R
55は、ヒドロキシル基を置換基として有する炭素数1〜7のアルキレン基又はヒドロキシル基を置換基として有する炭素数6〜10のアリーレン基を表し、Y
1は、−O−、−OCO−又は−COO−を表し、h
5は、2〜4の整数を表す。)
【0089】
上記一般式(22−1)のR
54におけるヒドロキシル基を置換基として有する炭素数6〜10のアリーレン基としては、ヒドロキシフェニレン基、ジヒドロキシフェニレン基、ヒドロキシナフチレン基、ジヒドロキシナフチレン基等が挙げられる。
【0090】
一般式(22−1)で示される基の好ましい具体例としては、例えば
−C
6H
3(OH)−CH
2−、−C
6H
3(OH)−(CH
2)
2−、
−C
6H
3(OH)−(CH
2)
3−、−C
6H
3(OH)−(CH
2)
4−、
−C
6H
2(OH)
2−CH
2−、−C
6H
2(OH)
2−(CH
2)
2−、
−C
6H
2(OH)
2−(CH
2)
3−、−C
6H
2(OH)
2−(CH
2)
4−
等が挙げられる。
【0091】
上記一般式(22−2)のR
55におけるヒドロキシル基を置換基として有する炭素数1〜7のアルキレン基としては、ヒドロキシメチレン基、ヒドロキシエチレン基、ヒドロキシプロピレン基、ヒドロキシブチレン基、ヒドロキシペンチレン基、ヒドロキシへキシレン基、ヒドロキシシクロブチレン基、ヒドロキシシクロペンチレン基、ヒドロキシシクロへキシレン基、ヒドロキシシクロへプチレン基等が挙げられる。
【0092】
上記一般式(22−2)のR
55におけるヒドロキシル基を置換基として有する炭素数6〜10のアリーレン基としては、上記一般式(22−1)のR
54におけるヒドロキシル基を置換基として有する炭素数6〜10のアリーレン基と同じものが挙げられる。
【0093】
一般式(22−2)で示される基の好ましい具体例としては、例えば
−CH
2−CH(OH)−CH
2−O−(CH
2)
2−、
−CH
2−CH(OH)−CH
2−O−(CH
2)
3−、
−CH
2−CH(OH)−CH
2−O−(CH
2)
4−、
−CH
2−CH(OH)−CH
2−OCO−(CH
2)
2−、
−CH
2−CH(OH)−CH
2−OCO−(CH
2)
3−、
−CH
2−CH(OH)−CH
2−OCO−(CH
2)
4−、
−CH
2−CH(OH)−CH
2−COO−(CH
2)
2−、
−CH
2−CH(OH)−CH
2−COO−(CH
2)
3−、
−CH
2−CH(OH)−CH
2−COO−(CH
2)
4−
等が挙げられる。
【0094】
一般式(1)のA
1における「ヒドロキシル基を置換基として有する炭素数1〜21のアルキレン基」としては、例えば下記一般式(23−1)で示される基等が挙げられる。
【0095】
−R
56−(CH
2)
h6− (23−1)
(式中、R
56は、ヒドロキシル基を置換基として有する炭素数1〜7のアルキレン基を表し、h
6は、1〜4の整数を表す。)、
【0096】
上記一般式(23−1)のR
56におけるヒドロキシル基を置換基として有する炭素数1〜7のアルキレン基としては、上記一般式(22−2)のR
55におけるヒドロキシル基を置換基として有する炭素数1〜7のアルキレン基と同じものが挙げられる。
【0097】
上記一般式(23−1)で示される基としては、具体的には例えば
−CH
2−CH(OH)−CH
2−、
−CH
2−CH(OH)−(CH
2)
2−、
−CH
2−CH(OH)−(CH
2)
3−、
−CH
2−CH(OH)−(CH
2)
4−、
−C
6H
9(OH)−CH
2−、
−C
6H
9(OH)−(CH
2)
2−、
−C
6H
9(OH)−(CH
2)
3−、
−C
6H
9(OH)−(CH
2)
4−
等が挙げられる。
【0098】
一般式(1)におけるA
1としては、炭素数1〜21のアルキレン基が好ましい。中でも、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基等が好ましく、メチレン基、エチレン基、プロピレン基がより好ましく、エチレン基が特に好ましい。
【0099】
一般式(1)におけるA
2は、−O−が好ましい。
【0100】
一般式(1)において、トリフェニルメタン誘導体の基本骨格中のフェニル基に結合する下記一般式(1−1)で示される基は、該フェニル基のオルト位、メタ位、パラ位のいずれに位置していてもよく、パラ位が好ましい。具体的には、一般式(1−1)で示される基がトリフェニルメタン誘導体の基本骨格中のフェニル基に対し、下記一般式(1−2)で示される化合物のように結合しているものが好ましい。
(式中、R
7、A
1及びA
2は、上記と同じ。)
【0101】
(式中、R
1〜R
8、n、A
1、A
2及びAn
-は、上記と同じ。)
【0102】
本発明の化合物の好ましい具体例としては、下記一般式(1’)で示される化合物が挙げられる。
(式中、R’
1〜R’
4はそれぞれ独立して、炭素数1〜30のアルキル基を表し、R
5〜R
7、A
1及びAn
-は、上記と同じ。)
【0103】
一般式(1’)のR’
1〜R’
4における炭素数1〜30のアルキル基としては、一般式(1)のR
1〜R
4における炭素数1〜30のアルキル基と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。
【0104】
一般式(1’)におけるR’
1〜R’
4としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基がより好ましく、メチル基、エチル基が特に好ましい。
【0105】
一般式(1’)で示される化合物の中でも好ましい具体例としては、下記一般式(1’’)で示される化合物が挙げられる。
(式中、A’
1は、炭素数1〜21のアルキレン基を表し、An’
-は、ハロゲノ基を有するアリール基、ハロゲノ基を有するスルホニル基又はハロゲン化アルキル基を含むアニオンを表し、R’
1〜R’
4及びR
7は、上記と同じ。)
【0106】
一般式(1’’)のA’
1における炭素数1〜21のアルキレン基としては、一般式(1)のA
1における炭素数1〜21のアルキレン基と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。
【0107】
一般式(1’’)のAn’
-で示されるハロゲノ基を有するアリール基、ハロゲノ基を有するスルホニル基又はハロゲン化アルキル基を含むアニオンにおけるアニオン部分としては、本発明に係るアニオンにおけるアニオン部分と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。
【0108】
一般式(1’’)のAn’
-で示されるハロゲノ基を有するアリール基又はハロゲノ基を有するスルホニル基におけるハロゲノ基としては、例えば、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基が挙げられ、フルオロ基が好ましい。
【0109】
一般式(1’’)のAn’
-で示されるハロゲノ基を有するアリール基におけるアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、フェニル基が好ましい。
【0110】
一般式(1’’)のAn’
-で示されるハロゲノ基を有するアリール基の具体例としては、例えば、モノフルオロフェニル基、ジフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、パーフルオロフェニル基、モノクロロフェニル基、ジクロロフェニル基、トリクロロフェニル基、パークロロフェニル基、モノブロモフェニル基、ジブロモフェニル基、トリブロモフェニル基、パーブロモフェニル基、モノヨードフェニル基、ジヨードフェニル基、トリヨードフェニル基、パーヨードフェニル基、モノフルオロナフチル基、ジフルオロナフチル基、トリフルオロナフチル基、パーフルオロナフチル基、モノクロロナフチル基、ジクロロナフチル基、トリクロロナフチル基、パークロロナフチル基、モノブロモナフチル基、ジブロモナフチル基、トリブロモナフチル基、パーブロモナフチル基、モノヨードナフチル基、ジヨードナフチル基、トリヨードナフチル基、パーヨードナフチル基等が挙げられ、モノフルオロフェニル基、ジフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、パーフルオロフェニル基、モノクロロフェニル基、ジクロロフェニル基、トリクロロフェニル基、パークロロフェニル基、モノブロモフェニル基、ジブロモフェニル基、トリブロモフェニル基、パーブロモフェニル基、モノヨードフェニル基、ジヨードフェニル基、トリヨードフェニル基、パーヨードフェニル基が好ましく、ジフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、パーフルオロフェニル基がより好ましく、パーフルオロフェニル基が特に好ましい。
【0111】
一般式(1’’)のAn’
-で示されるハロゲノ基を有するスルホニル基としては、例えば、−SO
2−F、−SO
2−Cl、−SO
2−Br、−SO
2−I等が挙げられる。
【0112】
一般式(1’’)のAn’
-で示されるハロゲン化アルキル基としては、本発明に係るアニオンにおけるハロゲン化アルキル基と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。
【0113】
一般式(1’’)のAn’
-で示されるハロゲノ基を有するアリール基、ハロゲノ基を有するスルホニル基又はハロゲン化アルキル基を含むアニオンとしては、具体的には例えば、下記一般式(13’)〜(18’)で示されるものが挙げられる。
(式中、mは上記と同じ。m個のX
1は、それぞれ独立して、ハロゲン原子を表す。)
【0114】
(式中、X
1及びkは上記と同じ。k個のX
1は同一でも異なっていてもよい。)
【0115】
(式中、X
1及びkは上記と同じ。k個のX
1は同一でも異なっていてもよい。)
【0116】
(式中、X
2〜X
5は、それぞれ独立して、ハロゲン原子を表し、m
2〜m
5は上記と同じ。m
2個のX
2、m
3個のX
3、m
4個のX
4及びm
5個のX
5は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
【0117】
(式中、X
6は、ハロゲン原子を表し、R
46は上記と同じ。ただし、3つのR
46のうち少なくとも1つは、炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基を表す。)
【0118】
(式中、R’
47及びR’
48はそれぞれ独立して、ハロゲン原子を表すか、或いは、R’
47とR’
48とで、炭素数2〜3のハロゲン化アルキレン基を形成する。)
【0119】
一般式(13’)〜(18’)のX
1〜X
6、R’
47及びR’
48におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、中でもフッ素原子が好ましい。
【0120】
一般式(13’)におけるm個のX
1はそれぞれ独立するものであるが、同じ場合が好ましい。
【0121】
一般式(13’)で示されるアニオンの好ましい具体例としては、例えば、下記のものが挙げられる。
【0122】
一般式(14’)及び(15’)におけるk個のX
1はそれぞれ独立するものであるが、同じ場合が好ましい。
【0123】
一般式(14’)及び(15’)で示されるアニオンの好ましい具体例としては、例えば、下記のものが挙げられる。
【0124】
一般式(16’)におけるm
2個のX
2、m
3個のX
3、m
4個のX
4及びm
5個のX
5はいずれも、それぞれ独立するものであるが、同じ場合が好ましい。
【0125】
一般式(16’)で示されるアニオンの好ましい具体例としては、例えば、下記のものが挙げられる。
【0126】
上記具体例の中でも、下記のものがより好ましい。
【0127】
一般式(17’)で示されるアニオンの好ましい具体例としては、例えば、CF
3BF
3−、C
2F
5BF
3−、C
3F
7BF
3−等が挙げられる。
【0128】
一般式(18’)のR’
47とR’
48とで形成される炭素数2〜3のハロゲン化アルキレン基としては、例えば、テトラフルオロエチレン基、ヘキサフルオロプロピレン基等が挙げられ、ヘキサフルオロプロピレン基が好ましい。
【0129】
一般式(18’)で示されるアニオンの好ましい具体例としては、例えば、下記のものが挙げられる。
【0130】
一般式(1’’)のAn’
-で示されるハロゲノ基を有するアリール基、ハロゲノ基を有するスルホニル基又はハロゲン化アルキル基を含むアニオンは、一般式(16’)、一般式(17’)又は一般式(18’)で示されるものが好ましく、一般式(16’)又は一般式(18’)で示されるものがより好ましく、一般式(16’)で示されるものが特に好ましい。
【0131】
一般式(1’’)のAn’
-で示されるハロゲノ基を有するアリール基、ハロゲノ基を有するスルホニル基又はハロゲン化アルキル基を含むアニオンは、上記具体例の中でも、下記のものが好ましい。
【0132】
上記具体例の中でも、下記のものがより好ましい。
【0133】
一般式(1’’)におけるR’
1〜R’
4、R
7及びA’
1の好ましい組合せとしては例えば下記表記載のものが挙げられる。
【0135】
また、上記表中の組み合わせと合わせて用いられるAn’
-としては、下記のものが挙げられる。
【0136】
[本発明の化合物の製造方法]
本発明の化合物は、下記の反応[I]〜[IV]を順に行うことにより製造される。
[I] 下記一般式(31)で示される化合物と下記一般式(32)で示される化合物とを反応させる。
[II] 反応[I]で得られた化合物にさらに下記一般式(33)で示される化合物を反応させて、下記一般式(34)で示される化合物を得る。
[III] 一般式(34)で示される化合物と下記一般式(35)で示される化合物とを脱水縮合剤存在下で反応させて、下記一般式(36)で示されるトリフェニルメタン系化合物を得る。
[IV] 一般式(36)で示されるトリフェニルメタン系化合物に、酸化反応及び塩交換反応を行い、一般式(1)で示される本発明の化合物を得る。
(式中、R
1〜R
8、n、A
1、A
2及びAn
-は、上記と同じ。)
【0137】
上記反応[I]においては、一般式(31)で示される化合物と一般式(32)で示される化合物を、溶媒中、酸触媒存在下で通常80〜150℃、好ましくは100〜130℃で、通常1〜24時間、好ましくは5〜15時間反応させればよい。
【0138】
上記酸触媒としては、硫酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、カンファースルホン酸等が挙げられ、パラトルエンスルホン酸が好ましい。酸触媒の使用量は、一般式(31)で示される化合物のmol数に対して、通常0.1〜10当量、好ましくは0.5〜2当量である。
【0139】
上記溶媒としては、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)等のケトン類、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類等の有機溶媒が挙げられ、中でもMIBKが好ましい。これらはそれぞれ単独でも或いは二種以上適宜組み合わせて用いてもよい。反応溶媒の使用量は、一般式(31)で示される化合物と一般式(32)で示される化合物の総重量に対して、通常1〜20倍、好ましくは1〜5倍である。
【0140】
一般式(32)で示される化合物の使用量は、一般式(31)で示される化合物のmol数に対して、通常1〜3当量、好ましくは1〜2当量である。
【0141】
一般式(31)で示される化合物の具体例としては、下記のものが挙げられる。
【0142】
一般式(32)で示される化合物としては、例えば、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N−プロピルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジプロピルアニリン、N,N−ジメチル−o−トルイジン、N,N−ジエチル−o−トルイジン、N,N−ジプロピル−o−トルイジン等が挙げられ、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N−プロピルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジプロピルアニリンが好ましく、N,N−ジエチルアニリンがより好ましい。
【0143】
上記反応[II]においては、上記反応[I]で得られた化合物と一般式(33)で示される化合物を、上述した反応[I]における反応条件(反応溶媒、酸触媒、反応温度、反応時間、各使用量)と同様の反応条件下で反応させればよい。
【0144】
一般式(33)で示される化合物の具体例としては、一般式(32)で示される化合物の具体例と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。
【0145】
上記反応[I]及び[II]において、一般式(32)で示される化合物と一般式(33)で示される化合物が同一の化合物である場合、一般式(32)で示される化合物と一般式(33)で示される化合物を同時に加え、一度の反応操作により一般式(34)で示される化合物を得てもよい。この場合、一般式(32)で示される化合物及び一般式(33)で示される化合物のそれぞれの使用量としては、上述した一般式(32)で示される化合物の使用量と同じであり、好ましい使用量も同じである。また、反応条件(反応溶媒、酸触媒、反応温度、反応時間、各使用量)についても、上述した反応[I]と同じ反応条件下で反応させればよい。
【0146】
上記反応[III]においては、一般式(34)で示される化合物と下記一般式(35)で示される化合物を、溶媒中、脱水縮合剤の存在下で通常0〜80℃、好ましくは10〜50℃で、通常1〜24時間、好ましくは3〜18時間反応させればよい。
【0147】
上記溶媒としては、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類;例えばアセトン、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、2−ヘキサノン、tert-ブチルメチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;例えばクロロメタン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;例えばn−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類;例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等のエステル類;例えばアセトニトリル等のニトリル類;例えばN,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類等が挙げられ、中でもエーテル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類が好ましく、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、トルエンがより好ましい。これらはそれぞれ単独でも或いは二種以上適宜組み合わせて用いてもよい。反応溶媒の使用量は、一般式(34)で示される化合物と一般式(35)で示される化合物の総重量に対して、通常1〜50倍、好ましくは5〜10倍である。
【0148】
上記脱水縮合剤としては、一般に脱水縮合剤として使用されるものであればよく、例えば五酸化二リン、無水塩化亜鉛等の無機脱水剤類;例えばジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド)塩酸塩等のカルボジイミド類;例えばポリリン酸、無水酢酸、硫酸、カルボニルジイミダゾ−ル、p−トルエンスルホン酸等が挙げられ、カルボジイミド類が好ましい。該脱水縮合剤の使用量は、一般式(34)で示される化合物のmol数に対して、通常1〜20当量、好ましくは1〜10当量である。上記反応[III]においては、脱水縮合剤の効率を向上させるために、ジメチルアミノピリジン等の触媒を用いてもよい。該触媒の使用量は、一般式(34)で示される化合物のmol数に対して、通常0.1〜10当量である。
【0149】
一般式(35)で示される化合物の使用量は、一般式(34)で示される化合物のmol数に対して、通常1〜2当量、好ましくは1〜1.5当量である。
【0150】
一般式(35)で示される化合物の好ましい具体例としては、例えば下記のものが挙げられる。
【0151】
[酸化反応]
上記反応[IV]における酸化反応としては、一般式(36)で示されるトリフェニルメタン系化合物を、溶媒中、酸化剤の存在下で、通常0〜80℃、好ましくは10〜50℃で、通常1〜36時間、好ましくは6〜24時間反応させることによりなされる。
【0152】
上記酸化剤としては、例えばクロラニル、ジクロロジシアノベンゾキノン、N−2,4,6−トリニトロフェニル−N',N'−フェニルジヒドラジン等の有機酸化剤や、二酸化鉛、二酸化マンガン、過マンガン酸カリウム、クロム酸カリウム、二酸化セレン等の無機酸化剤等が挙げられる。また、クロラニルと金属錯体と過酸化水素を組み合わせた系でも実施できる。取り扱いやすさの面でキノン系の酸化剤が好ましく、中でもクロラニルが好ましい。該酸化剤の使用量は、一般式(36)で示されるトリフェニルメタン系化合物のmol数に対して、通常1〜5当量であり、好ましくは1〜2当量である。
【0153】
上記酸化反応においては、塩酸を共存させてクロル塩を経由するのが好ましい。該塩酸の使用量としては、一般式(36)で示されるトリフェニルメタン系化合物のmol数に対して、通常1〜50当量、好ましくは1〜10当量である。
【0154】
上記酸化反応において用いられる溶媒としては、上記反応[III]において用いられる溶媒と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。反応溶媒の使用量は、一般式(36)で示されるトリフェニルメタン系化合物の総重量に対して、通常1〜100倍量、好ましくは30〜70倍量である。
【0155】
[塩交換反応]
上記反応[IV]における塩交換反応としては、酸化反応に付した一般式(36)で示されるトリフェニルメタン系化合物に、本発明に係るアニオンの塩を溶媒中で接触させることによりなされる。
【0156】
塩交換反応は、通常0〜80℃、好ましくは10〜50℃で、通常1〜24時間、好ましくは1〜8時間なされる。
【0157】
上記塩交換反応における本発明に係るアニオンの塩としては、本発明に係るアニオンと、ナトリウムの塩、カリウムの塩、リチウムの塩等が挙げられ、カリウム又はリチウムの塩が好ましい。本発明に係るアニオンの塩の使用量は、酸化反応に付した一般式(36)で示されるトリフェニルメタン系化合物のmol数に対して、通常1〜2当量、好ましくは1〜1.5当量である。
【0158】
上記反応[IV]においては、上記酸化反応と上記塩交換反応を続けて行い、ワンステップで反応を行ってもよい。この場合、酸化反応後、該反応溶液に上記本発明に係るアニオンの塩を上記範囲の量を添加し、上記塩交換反応の温度及び時間で反応を行えばよい。
【0159】
上記反応[I]〜[IV]における反応時の圧力は、一連の反応が滞りなく実施されれば特に制限はなく、例えば常圧で行えばよい。
【0160】
上記反応[I]〜[IV]における反応後に得られる反応物及び生成物は、必要に応じて、通常この分野で行われる一般的な後処理操作及び精製操作により単離してもよい。具体的には例えば、ろ過、洗浄、抽出、減圧濃縮、再結晶、蒸留、カラムクロマトグラフィ−等を行うことによって得られた反応物及び生成物を単離してもよい。
【0161】
[本発明のポリマー]
本発明のポリマーは、上記本発明の化合物由来のモノマー単位を有するポリマーである。
【0162】
本発明のポリマーの重量平均分子量(Mw)は、通常2,000〜100,000、好ましくは2,000〜50,000、より好ましくは、2,000〜30,000である。また、その分散度(Mw/Mn)は、通常1.00〜5.00、好ましくは1.00〜3.00である。
【0163】
本発明のポリマーは、上記一般式(1)で示される化合物由来のモノマー単位を有するものであれば、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよいが、耐熱性効果の高いコポリマーが好ましい。
【0164】
該コポリマーとしては、例えば下記一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)又は一般式(5)で示される化合物由来のモノマー単位1〜2種と、上記一般式(1)で示される化合物由来のモノマー単位とを構成成分とするものが挙げられる。
【0165】
[式中、R
11は、水素原子又はメチル基を表し、R
12は、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜10のヒドロキシルアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜13のアリールアルキル基、炭素数2〜9のアルコキシアルキル基、炭素数3〜9のアルコキシアルコキシアルキル基、炭素数7〜13のアリールオキシアルキル基、炭素数5〜7のモルホリノアルキル基、炭素数3〜9のトリアルキルシリル基、酸素原子を有する又は酸素原子を有さない炭素数6〜12の脂環式炭化水素基、炭素数3〜9のジアルキルアミノアルキル基、炭素数1〜18のフルオロアルキル基、炭素数9〜14のN−アルキレンフタルイミド基、下記一般式(2−1)で示される基
(式中、R
21は、ヒドロキシル基を置換基として有する又は無置換の炭素数1〜3のアルキレン基を表し、R
22は、ヒドロキシル基を置換基として有する又は無置換のフェニル基、或いは炭素数1〜3のアルキル基を表し、qは1〜3の整数を表す。)、下記一般式(2−2)で示される基
(式中、R
23〜R
25は炭素数1〜3のアルキル基を表し、R
26は炭素数1〜3のアルキレン基を表す。)、又は、下記一般式(2−3)で示される基
(式中、lは、1〜6の整数を表し、R
27はフェニレン基又はシクロへキシレン基を表す。)を表す。]
【0166】
(式中、R
11は上記と同じ。R
13は、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、R
14は、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数3〜9のジアルキルアミノアルキル基又は炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基を表す。R
13とR
14は、これらと隣接する窒素原子とでモルホリノ基を形成してもよい。)
【0167】
(式中、R
15は、フェニル基又はピロリジノ基を表し、R
11は上記と同じ。)
【0168】
(式中、R
17は、窒素原子又は酸素原子を表し、jは、R
17が酸素原子の場合に0を表し、R
17が窒素原子の場合には1を表す。R
16は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜10のヒドロキシルアルキル基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基、炭素数6〜10のアルキルシクロアルキル基、炭素数6〜7のハロゲン化シクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜6のアルキル基を置換基として有する炭素数6〜10のアリール基、又は、炭素数6〜10のハロゲン化アリール基を表す。)
【0169】
一般式(2)におけるR
11は、メチル基が好ましい。
【0170】
一般式(2)のR
12における炭素数1〜18のアルキル基としては、直鎖状、分枝状及び環状のうちいずれであってもよく、具体的には例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、sec-ヘキシル基、tert-ヘキシル基、3-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、1,2-ジメチルブチル基、n-ヘプチル基、イソヘプチル基、sec-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基、シクロウンデシル基、シクロドデシル基、シクロテトラデシル基、シクロオクタデシル基等が挙げられ、メチル基、エチル基が好ましい。
【0171】
一般式(2)のR
12における炭素数1〜10のヒドロキシルアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシペンチル基、ヒドロキシヘキシル基、ヒドロキシヘプチル基、ヒドロキシオクチル基、ヒドロキシノニル基、ヒドロキシデシル基等が挙げられる。
【0172】
一般式(2)のR
12における炭素数6〜10のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0173】
一般式(2)のR
12における炭素数7〜13のアリールアルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、ナフチルプロピル基等が挙げられ、ベンジル基が好ましい。
【0174】
一般式(2)のR
12における炭素数2〜9のアルコキシアルキル基としては、例えば、メトキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシプロピル基、メトキシブチル基、メトキシペンチル基、メトキシヘキシル基、メトキシヘプチル基、メトキシオクチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、エトキシプロピル基、エトキシブチル基、エトキシペンチル基、エトキシヘキシル基、エトキシヘプチル基、プロポキシメチル基、プロポキシエチル基、プロポキシプロピル基、プロポキシブチル基、プロポキシペンチル基、プロポキシヘキシル基等が挙げられる。
【0175】
一般式(2)のR
12における炭素数3〜9のアルコキシアルコキシアルキル基としては、例えば、メトキシメトキシメチル基、メトキシメトキシエチル基、メトキシメトキシプロピル基、エトキシメトキシメチル基、エトキシメトキシエチル基、エトキシメトキシプロピル基、プロポキシメトキシメチル基、プロポキシメトキシエチル基、プロポキシメトキシプロピル基、エトキシエトキシメチル基、エトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシプロピル基、プロポキシエトキシメチル基、プロポキシエトキシエチル基、プロポキシエトキシプロピル基、プロポキシプロポキシメチル基、プロポキシプロポキシエチル基、プロポキシプロポキシプロピル基等が挙げられる。
【0176】
一般式(2)のR
12における炭素数7〜13のアリールオキシアルキル基としては、例えば、フェノキシメチル基、フェノキシエチル基、フェノキシプロピル基、ナフチルオキシメチル基、ナフチルオキシエチル基、ナフチルオキシプロピル基等が挙げられる。
【0177】
一般式(2)のR
12における炭素数5〜7のモルホリノアルキル基としては、例えば、モルホリノメチル基、モルホリノエチル基、モルホリノプロピル基等が挙げられる。
【0178】
一般式(2)のR
12における炭素数3〜9のトリアルキルシリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、ジメチルエチルシリル基、ジエチルメチルシリル基等が挙げられる。
【0179】
一般式(2)のR
12における、酸素原子を有する炭素数6〜12の脂環式炭化水素基としては、例えば、ジシクロペンテニルオキシエチル基等が挙げられる。
【0180】
一般式(2)のR
12における、酸素原子を有さない炭素数6〜12の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロヘキシル基、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基等が挙げられる。
【0181】
一般式(2)のR
12における炭素数3〜9のジアルキルアミノアルキル基としては、例えば、ジメチルアミノメチル基、ジメチルアミノエチル基、ジメチルアミノプロピル基、ジエチルアミノメチル基、ジエチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、ジプロピルアミノメチル基、ジプロピルアミノエチル基、ジプロピルアミノプロピル基等が挙げられる。
【0182】
一般式(2)のR
12における炭素数1〜18のフルオロアルキル基としては、例えば、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基、2,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロブチル基、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチル基、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10-ヘプタデカフルオロデシル、2−(ヘプタデカフルオロオクチル)エチル基等が挙げられる。
【0183】
一般式(2)のR
12における炭素数9〜14のN−アルキレンフタルイミド基としては、例えば、2−フタルイミドエチル基、2−テトラヒドロフタルイミドエチル基等が挙げられる。
【0184】
一般式(2−1)のR
21におけるヒドロキシル基を置換基として有する又は無置換の炭素数1〜3のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ヒドロキシメチレン基、ヒドロキシエチレン基、1−ヒドロキシプロピレン基、2−ヒドロキシプロピレン基等が挙げられ、エチレン基、プロピレン基、2−ヒドロキシプロピレン基が好ましい。
【0185】
一般式(2−1)のR
22におけるヒドロキシル基を置換基として有する又は無置換のフェニル基としては、ヒドロキシフェニル基、フェニル基等が挙げられる。
【0186】
一般式(2−1)のR
22における炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられる。
【0187】
一般式(2−1)で示される基の具体例としては、(4−ヒドロキシフェノキシ)メチル基、(4−ヒドロキシフェノキシ)エチル基、(4−ヒドロキシフェノキシ)プロピル基、1−ヒドロキシ−1−フェノキシメチル基、1−ヒドロキシ−2−フェノキシエチル基、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル基、メチルトリメチレングリコール基、メチルトリエチレングリコール基、メチルトリプロピレングリコール基等が挙げられ、中でも(4−ヒドロキシフェノキシ)プロピル基、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル基、メチルトリプロピレングリコール基、メチルトリエチレングリコール基等が好ましい。
【0188】
一般式(2−2)のR
23〜R
25における炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、メチル基が好ましい。
【0189】
一般式(2−2)のR
26における炭素数1〜3のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等が挙げられる。
【0190】
一般式(2−2)で示される基の具体例としては、トリメチルアンモニウムメチル基、トリメチルアンモニウムエチル基、トリエチルアンモニウムメチル基、トリエチルアンモニウムエチル基等が挙げられる。
【0191】
一般式(2−3)で示される基の好ましい具体例としては、例えば、下記のものが挙げられる。
【0192】
一般式(2)におけるR
12としては、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜13のアリールアルキル基、炭素数2〜9のアルコキシアルキル基、炭素数7〜13のアリールオキシアルキル基、一般式(2−1)で示される基、一般式(2−3)で示される基が好ましく、中でも水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜13のアリールアルキル基、炭素数2〜9のアルコキシアルキル基がより好ましく、水素原子、炭素数7〜13のアリールアルキル基が特に好ましい。
【0193】
一般式(2)の好ましい具体例としては、アクリル酸、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸、メタクリル酸ベンジル、ヒドロキシエチルメタクリレート、メタクリル酸メチル等が挙げられ、中でもアクリル酸、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸、メタクリル酸ベンジルが好ましく、メタクリル酸、メタクリル酸ベンジルがより好ましい。
【0194】
一般式(3)のR
13及びR
14における炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられる。
【0195】
一般式(3)のR
14における炭素数3〜9のジアルキルアミノアルキル基としては、ジメチルアミノメチル基、ジメチルアミノエチル基、ジメチルアミノプロピル基、ジエチルアミノメチル基、ジエチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、ジプロピルアミノメチル基、ジプロピルアミノエチル基、ジプロピルアミノプロピル基等が挙げられる。
【0196】
一般式(3)のR
14における炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシペンチル基、ヒドロキシヘキシル基等が挙げられ、ヒドロキシエチル基が好ましい。
【0197】
一般式(3)の好ましい具体例としては、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、4−アクリロイルモルホリン等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミドが好ましく、N,N−ジエチルアクリルアミドが特に好ましい。
【0198】
一般式(4)の好ましい具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等が挙げられ、中でも、スチレン、α−メチルスチレンが好ましく、スチレンが特に好ましい。
【0199】
一般式(5)のR
16における炭素数1〜20のアルキル基としては、直鎖状、分枝状及び環状のうちいずれであってもよく、具体的には例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、1−メチルプロピル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、tert-ヘキシル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、1,2−ジメチルブチル基、シクロヘキシル基、n-ヘプチル基、イソヘプチル基、1−メチルヘキシル基、n-オクチル基、イソオクチル基、1−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等が挙げられる。
【0200】
一般式(5)のR
16における炭素数1〜10のヒドロキシルアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシペンチル基、ヒドロキシヘキシル基、ヒドロキシヘプチル基、ヒドロキシオクチル基、ヒドロキシノニル基、ヒドロキシデシル基等が挙げられる。
【0201】
一般式(5)のR
16における炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基としては、例えば、クロロメチル基、クロロエチル基、クロロ-n-プロピル基、クロロイソプロピル基、クロロ-n-ブチル基、クロロ-tert-ブチル基、クロロ-n-ペンチル基、クロロ-n-ヘキシル基、クロロ-n-ヘプチル基、クロロ-n-オクチル基、クロロ-n-ノニル基、クロロ-n-デシル基、フルオロメチル基、フルオロエチル基、フルオロ-n-プロピル基、フルオロイソプロピル基、フルオロ-n-ブチル基、フルオロ-tert-ブチル基、フルオロ-n-ペンチル基、フルオロ-n-ヘキシル基、フルオロ-n-ヘプチル基、フルオロ-n-オクチル基、フルオロ-n-ノニル基、フルオロ-n-デシル基等が挙げられる。
【0202】
一般式(5)のR
16における炭素数6〜10のアルキルシクロアルキル基としては、例えば、メチルシクロペンチル基、エチルシクロペンチル基、プロピルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基、プロピルシクロヘキシル基、ブチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基、エチルシクロヘプチル基、プロピルシクロヘプチル基、メチルシクロオクチル基、エチルシクロオクチル基等が挙げられる。
【0203】
一般式(5)のR
16における炭素数6〜7のハロゲン化シクロアルキル基としては、例えば、クロロシクロヘキシル基、フルオロシクロヘキシル基、ブロモシクロヘキシル基、クロロシクロヘプチル基、フルオロシクロヘプチル基、ブロモシクロヘプチル基等が挙げられる。
【0204】
一般式(5)のR
16における炭素数6〜10のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0205】
一般式(5)のR
16における炭素数1〜6のアルキル基を置換基として有する炭素数6〜10のアリール基としては、例えば、メチルフェニル基、エチルフェニル基、n-プロピルフェニル基、n-ブチルフェニル基、n-ペンチルフェニル基、n-ヘキシルフェニル基、メチルナフチル基、エチルナフチル基、n-プロピルナフチル基等が挙げられる。
【0206】
一般式(5)のR
16における炭素数6〜10のハロゲン化アリール基としては、例えば、クロロフェニル基、フルオロフェニル基、クロロナフチル基、フルオロナフチル基等が挙げられる。
【0207】
一般式(5)の好ましい具体例としては、無水マレイン酸、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−オクチルマレイミド、N−ドデシルマレイミド、N−(2−エチルヘキシル)マレイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)マレイミド、N−(2−クロロヘキシル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−(2−メチルシクロヘキシル)マレイミド、N−(2−エチルシクロヘキシル)マレイミド、N−(2−クロロシクロヘキシル)マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(2−エチルフェニル)マレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド等が挙げられ挙げられ、中でも、N−フェニルマレイミドが好ましい。
【0208】
本発明のコポリマーは、具体的には、下記表記載のモノマー単位の組合せが挙げられ、中でも組合せ1、5、6及び7が好ましく、また、下記組合せ1の中でも、一般式(1)で示される化合物と2種類の一般式(2)で示される化合物とからなる組合せが好ましい。
【0210】
一般式(1)で示される化合物由来のモノマー単位と一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)又は一般式(5)で示される化合物由来のモノマー単位との重量比率は、用いられるモノマー単位の種類によって適宜設定されればよいが、得られるポリマーの総重量に対して一般式(1)で示される化合物由来のモノマー単位が、通常1〜90重量%、好ましくは5〜85重量%である。
【0211】
本発明のコポリマーの好ましい具体例としては、一般式(1)で示される化合物由来のモノマー単位と下記一般式(2')で示される化合物由来のモノマー単位1種類又は2種類を含んでなるポリマーが挙げられる。
【0212】
(式中、R
11は上記と同じ。R'
12は、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜10のヒドロキシルアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜13のアリールアルキル基又は炭素数2〜9のアルコキシアルキル基を表す。)
【0213】
一般式(2')におけるR'
12における炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜10のヒドロキシルアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜13のアリールアルキル基、及び炭素数2〜9のアルコキシアルキル基の具体例は、上記一般式(2)におけるR
12のそれらと同じものが挙げられる。
【0214】
一般式(2')におけるR'
12は、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数7〜13のアリールアルキル基が好ましく、水素原子、炭素数7〜13のアリールアルキル基がより好ましい。
【0215】
一般式(2')の好ましい具体例としては、アクリル酸、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸、メタクリル酸ベンジル等が挙げられ、中でもメタクリル酸、メタクリル酸ベンジルが好ましい。
【0216】
[本発明のポリマーの製造方法]
本発明のポリマーは、例えば以下の如く製造される。即ち、上記の如く得られた本発明の化合物を自体公知の重合反応に付すことにより、本発明のポリマーを得ることができる。本発明のポリマーがコポリマーの場合には、重合反応の際に、上記本発明の化合物と一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)又は一般式(5)で示される化合物の1〜2種類とを、最終的に得られるポリマー中の各モノマーに由来するモノマー単位の比率が上記の如くなるように混合した後、重合させればよい。
【0217】
上記重合反応としては、例えば、以下の如くなされる。即ち、本発明に係るアニオンを有する一般式(1)で示される化合物、或いは、本発明に係るアニオンを有する一般式(1)で示される化合物と一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)又は一般式(5)で示される化合物の1〜2種類を、その総容量に対して1〜10倍容量の適当な溶媒、例えばトルエン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、イソプロパノール、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等に溶解する。次いで、溶解した化合物の全量に対して0.01〜30重量%の重合開始剤、例えばアゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等の存在下、50〜150℃で1〜48時間反応させることにより行なわれる。反応後は高分子取得の常法に従って処理してもよい。
【0218】
[着色組成物]
本発明の着色組成物は、上記本発明の化合物又はポリマーを少なくとも1種類含むものである。該着色組成物は、加熱による退色が少ない着色組成物であり、さらに、耐熱性を有する優れた着色硬化膜を形成することができる。そのため、液晶表示装置(LCD)や固体撮像素子(CCD、CMOS等)に用いられるカラーフィルター等の着色画素形成用途、印刷インキ、インクジェットインキ、および塗料等の用途に用いることができ、特に、液晶表示装置のカラーフィルター用として好適である。さらに、本発明の着色組成物は、従来公知の成形方法により、シート、フィルム、ボトル、カップ等に成形して着色樹脂成形物として使用することもできる。よって、メガネ、コンタクトレンズ、カラーコンタクトレンズ等の用途にも使用することができ、公知の樹脂との多層構造体とすることによっても同様の用途に使用することができる。その他にも、例えば光学フィルム、ヘアカラーリング剤、化合物や生体物質に対する標識物質、有機太陽電池の材料等の用途にも用いることが可能である。本発明の着色組成物は、各用途に合わせて、上記本発明の化合物又はポリマーの他に、この分野で通常用いられる添加剤等を含んでいてもよい。
【0219】
例えば本発明の着色組成物を着色樹脂として用いる場合、本発明の着色組成物は、少なくとも上記本発明の化合物又はポリマーを1種類以上含み、且つ、その他の樹脂と混合されているものが好ましく、本発明のポリマーを1種類以上含み、且つ、その他の樹脂と混合されているものがより好ましい。その他の樹脂としては特に限定されないが、例えばポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリル樹脂、ABS樹脂等が挙げられる。より具体的には、上記一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)又は/及び一般式(5)で示される化合物由来のホモポリマー又はコポリマーが好ましく、一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)又は一般式(5)で示される化合物由来のホモポリマーがより好ましい。ホモポリマーとしては、一般式(2)で示される化合物由来のホモポリマーが好ましく、上記一般式(2')で示される化合物由来のホモポリマーがより好ましい。また、その他の樹脂と混合させる場合、その混合割合は、求められる着色樹脂の色に応じて適宜設定されればよい。本発明の着色組成物を着色樹脂として用いる場合、自体公知の成形方法により成形して用いてもよい。さらに、本発明の着色組成物は、上記本発明の化合物又はポリマー及び要すればその他の樹脂の他にも、本発明の目的及び効果を妨げない範囲において、滑性剤、帯電防止剤、紫外線防止剤、酸化防止剤、光安定剤、分散剤、加工安定剤、加工助剤、耐衝撃性改良剤、充填剤、補強剤、防炎剤、可塑剤、発泡剤等のこの分野で通常用いられる添加剤を含んでいてもよい。本発明の着色組成物は、着色樹脂用途として用いる場合、溶媒に接触させても染料の溶出が少なく、優れた耐候性を有するものである。
【0220】
例えば本発明の着色組成物を着色画素形成に用いる場合、本発明の着色組成物は、少なくとも上記本発明の化合物又はポリマーを1種類以上含み、且つ、重合開始剤、バインダー樹脂、並びに、ラジカル重合性モノマー又はオリゴマーを含むものが好ましく、必要に応じて、顔料、溶剤、シランカップリング剤並びに架橋剤等を含んでいてもよい。該着色組成物は、本発明の化合物又はポリマーを、着色組成物の重量に対して1〜50%、好ましくは5〜30%含有する。尚、ここでいう着色組成物の重量は、溶剤を除く固形成分の重量を意味し、以下本願では同様の意味を表す。
【0221】
上記重合開始剤としては、公知の熱重合開始剤、光重合開始剤を用いることができるが、光重合開始剤が好ましい。具体的には、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン系;ベンゾイン、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン系;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド系;ベンジル、メチルフェニルグリオキシエステル系;ベンゾフェノン、ο−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系;2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系;ミヒラーケトン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゾフェノン系;1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン-2-(ο-ベンゾイルオキシム)、1-[6-(2-メチルベンゾイル)-9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン-ο-アセチルオキシム等のオキシムエステル系;10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン等が挙げられる。
【0222】
上記重合開始剤は、単独でも2種以上を含有してもよい。その含有量は、着色組成物の重量に対して1〜50重量%、好ましくは5〜30重量%である。
【0223】
上記バインダー樹脂としては、例えば、カルボキシル基又はヒドロキシル基を少なくとも1つ有するエチレン性不飽和モノマー、或いは該エチレン性不飽和モノマーと芳香族炭化水素基や脂肪族炭化水素基を有するエチレン性不飽和モノマーとの共重合体、該共重合体の側鎖もしくは末端等にエポキシ基を有したものや、アクリレートを付加させたもの等が挙げられる。これらは単独でも2種以上を組み合わせてもよい。
【0224】
上記カルボキシル基を有するエチレン性不飽和モノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、ベンジルメタクリレート、クロトン酸、α−クロルアクリル酸、エタクリル酸、けい皮酸等の不飽和モノカルボン酸類;マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和ジカルボン酸(無水物)類;3価以上の不飽和多価カルボン酸(無水物)類、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−メタアクリロイロキシエチル2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−アクリロイロキシエチル2−ヒドロキシエチルフタル酸等が挙げられる。
【0225】
上記バインダー樹脂の含有量は、着色組成物の重量に対して、10重量%〜50重量%、好ましくは20重量%〜50重量%である。
【0226】
上記ラジカル重合性モノマーまたはオリゴマーとしては、一例として、ポリエチレングリコールジアクリレート(エチレン基の数が2〜14のもの)、ポリエチレングリコールジメタクリレート(エチレン基の数が2〜14のもの)、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリメタクリレート、トリメチロールプロパンプロポキシトリアクリレート、トリメチロールプロパンプロポキシトリメタクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート(プロピレン基の数が2〜14のもの)、ポリプロピレングリコールジメタクリレート(プロピレン基の数が2〜14のもの)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(エトキシ基が40以下のもの)、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(プロポキシ基が40以下のもの)、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(エトキシ基が40以下のもの)、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(プロポキシ基が40以下のもの)、ビスフェノールAポリオキシエチレンジアクリレート、ビスフェノールAポリオキシエチレンジメタクリレート、ビスフェノールAジオキシエチレンジアクリレート、ビスフェノールAジオキシエチレンジメタクリレート、ビスフェノールAトリオキシエチレンジアクリレート、ビスフェノールAトリオキシエチレンジメタクリレート、ビスフェノールAデカオキシエチレンジアクリレート、ビスフェノールAデカオキシエチレンジメタクリレート、イソシアヌル酸エトキシ変性トリアクリレート、多価カルボン酸(無水フタル酸等)とヒドロキシル基及びエチレン性不飽和基を有する化合物(β−ヒドロキシエチルアクリレート、β−ヒドロキシエチルメタクリレート等)とのエステル化物、アクリル酸若しくはメタクリル酸のアルキルエステル(アクリル酸メチルエステル、メタクリル酸メチルエステル、アクリル酸エチルエステル、メタクリル酸エチルエステル、アクリル酸ブチルエステル、メタクリル酸ブチルエステル、アクリル酸2−エチルヘキシルエステル、メタクリル酸2−エチルヘキシルエステル等)、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレートのメチルクロライドによる四級塩化物、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドのメチルクロライドによる四級塩化物、アクリロイルモルホリン、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミドなどが挙げられ、中でも、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレートが好ましく、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートがより好ましい。
【0227】
上記顔料としては、青色や緑色の着色パターンを作製するために用いられる顔料であればよく、例えばフタロシアニン系顔料等が挙げられる。該フタロシアニン系顔料としては、中心金属に、マグネシウム、チタン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウムを含むものが挙げられ、具体的には、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:5、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー17:1、C.I.ピグメントブルー75、C.I.ピグメントブルー79、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン37、C.I.ピグメントグリーン58、クロロアルミニウムフタロシアニン、ヒドロキシアルミニウムフタロシアニン、アルミニウムフタロシアニンオキシド、亜鉛フタロシアニンが挙げられ、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:6、ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントグリーン58が好ましく、特に、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントグリーン58が好ましい。
【0228】
上記顔料の含有量は、着色組成物の重量に対して10〜50重量%、好ましくは10〜30重量%である。
【0229】
本発明の着色組成物が上記顔料を含む場合、顔料分散剤を含有するのが好ましい。該顔料分散剤としては、例えば、ポリアミドアミン及びその塩、ポリカルボン酸及びその塩、高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリエステル、変性ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル系共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルカノールアミン等が挙げられる。顔料分散剤は、単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。その含有量は、顔料の重量に対して、通常1〜80重量%であり、好ましくは10〜60重量%である。
【0230】
上記溶剤としては、着色組成物に含まれる成分に応じて適宜選択すればよい。具体的には、例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等が挙げられる。溶剤の量は、本発明の着色組成物の濃度が、溶剤中10重量%〜80重量%になる量である。
【0231】
上記シランカップリング剤は、ガラス等の基材に結合する場合に用いられる。該シランカップリング剤としては、通常この分野で用いられる従来公知のものを用いることができ、反応性有機官能基として、例えば、エポキシ基、チオール基、ヒドロキシル基、アミノ基、ウレイド基、ビニル基、アクリロイル基などを有するシランカップリング剤が挙げられる。具体的にはβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが挙げられる。上記シランカップリング剤は、反応溶液中で通常0.1重量%〜10重量%、好ましくは1重量%〜5重量%となる量を用いればよい。
【0232】
上記架橋剤としては、架橋反応により膜硬化を行なえるものであれば特に限定されず、例えば、(a)エポキシ樹脂、(b)メチロール基、アルコキシメチル基及びアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された、メラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物又はウレア化合物、(c)メチロール基、アルコキシメチル基、及びアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された、フェノール化合物、ナフトール化合物又はヒドロキシアントラセン化合物、が挙げられ、中でも、多官能エポキシ樹脂が好ましい。
【0233】
上記架橋剤の含有量は、着色組成物の重量に対して、10重量%〜50重量%、好ましくは20重量%〜50重量%である。
【0234】
本発明の着色組成物は、上記記載のもの以外に、重合禁止剤、界面活性剤、添加剤等を含んでいてもよく、それらは自体公知のものであれば特限定されず、用いられる量も通常この分野で用いられる量であれば限定されない。
【0235】
本発明の着色組成物は、前述の成分を混合して調製される。
【0236】
以下に、実施例により本発明をさらに詳細に述べるが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0237】
実施例1 染料モノマー1の合成
(1)カルボキシル基を有するトリフェニルメタン誘導体(化合物3)の合成
撹拌装置とDean−Stark管を備えた丸底フラスコに、4−ホルミル安息香酸(化合物1:和光純薬工業(株)製)5.0g(33mmol)、N,N−ジエチルアニリン(化合物2:和光純薬工業(株)製)16.1g(133mmol)、メチルイソブチルケトン(MIBK)(和光純薬工業(株)製)60ml、p−トルエンスルホン酸・一水和物(PTSA・H
2O)(和光純薬工業(株)製)6.3g(33mmol)を加え、11時間還流した。ジクロロメタンと水を加えて抽出し、水洗して回収した有機層から、減圧濃縮によって溶媒を留去して緑色オイルを得た。ここにジクロロメタンと1mol/L塩酸を加えて抽出した水層に、ジクロロメタンと25%水酸化ナトリウムを加えて中和し、有機層を回収した。減圧濃縮によって溶媒を留去して得た緑色オイルをシリカゲルカラムで精製し、溶媒を留去して緑色固体のトリフェニルメタン誘導体(化合物3)9.3g(収率65%)を得た。
【0238】
(2)重合性基の導入
撹拌装置を備えた丸底フラスコに、上記(1)で得たトリフェニルメタン誘導体(化合物3)9.2g(21.4mmol)、ジクロロメタン92mlを加えて溶解し、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(化合物4:和光純薬工業(株)製)2.8g(21.4mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)(和光純薬工業(株)製)0.8g(6.4mmol)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSC)(東洋紡(株)製)4.5g(23.5mol)を加え、室温で5時間反応させた。有機層を水洗し、減圧濃縮によって溶媒を留去して得た黄色オイルをシリカゲルカラムで精製し、黄色オイル状のトリフェニルメタン誘導体(化合物5)10.8g(収率93%)を得た。
【0239】
(3)酸化・塩交換反応
撹拌装置を備えた丸底フラスコに、上記(2)で得たトリフェニルメタン誘導体(化合物5)4.0g(7.4mmol)、トルエン80ml、ジクロロメタン120mlを加えて溶解後、水16gと濃塩酸1.5gを加え、室温で10分間撹拌した。ここにクロラニル(和光純薬工業(株)製)1.8g(7.3mmol)を加え、室温で1時間撹拌した後、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素(IV)のリチウム塩(LiFABA)(東ソー・ファインケム(株)製)6.0g(7.2mmol)を加えて室温で16時間反応させた。反応終了後、ジクロロメタンと1mol/L塩酸を加えて、抽出、分液して有機層を得た。この有機層を、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水の順で洗浄し、減圧濃縮によって溶媒を留去した。ここにジクロロメタンを加えて不溶物を除去後、減圧濃縮によって溶媒を留去、乾燥して、緑色固体の染料モノマー1(化合物6)7.2g(収率79%)を得た。
【0240】
比較例1 染料モノマー2の合成
撹拌装置を備えた丸底フラスコに、上記(2)で得たトリフェニルメタン誘導体(化合物5)8.0g(14.7mmol)、トルエン160ml及びアセトン160mlを加えて溶解した後、水80g、濃塩酸3.0g及びクロラニル(和光純薬工業(株)製)7.2g(29.5mmol)を加え、室温で15時間反応させた。反応終了後、不溶物をろ過し、ジクロロメタンと水を加えて、抽出、分液して有機層を得た。この有機層から減圧濃縮によって溶媒を留去して得た緑色固体を、シリカゲルカラムで精製し、減圧濃縮によって溶媒を留去、乾燥して、緑色固体の染料モノマー2(化合物7)7.7g(収率91%)を得た。
【0241】
実施例2 染料モノマー1の耐熱性評価(230℃、0.5時間)
実施例1で得た染料モノマー1の耐熱性を下記のように評価した。
【0242】
(1)染料を含まないポリマーの合成
撹拌装置、冷却管、温度計、窒素導入管を備えた丸底フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート98.5gを加え、窒素気流下で内温が90℃になるまで加熱した。次いで、ベンジルメタクリレート186.2g、メタクリル酸25.6g及びジメチル2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(和光純薬工業(株)製重合開始剤V−601)33.9gを混合した溶液を、加熱したプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに2時間かけて滴下した。その後、得られた溶液を90℃で2時間反応させた。次に、100℃に昇温し、1時間反応させた。反応後、室温まで冷却し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート171.5gを加えて希釈し、淡黄色透明のポリマー溶液を得た。これをポリマーAとする。尚、ポリマーAの不揮発分濃度は35.9%であった。
【0243】
(2)染料モノマー混合溶液の調製
染料モノマー1を0.08g、ポリマーA4.61g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート2.31gを混合し、染料モノマー混合溶液Bを調製した。
【0244】
(3)耐熱性評価
染料モノマー混合溶液Bを3インチのガラスウエハー(コーニング社製イーグルXG)にスピンコートした後、90℃に加熱したホットプレート上で90秒間乾燥して膜厚1ミクロンの薄膜を得た。得られた薄膜それぞれを、分光光度計(島津製作所製分光光度計UV−2550)を用いて極大吸収波長での吸光度(λa)を測定し、その後、230℃に加熱したホットプレート上で30分間加熱した後、再度、極大吸収波長での吸光度(λb)を測定した。λaとλbの値から下記式より染料残存率(%)を求めた。
染料残存率(%)=(λb/λa)×100
【0245】
比較例2 染料モノマー2の耐熱性評価(230℃、0.5時間)
染料モノマーとして、染料モノマー1の代わりに比較例1で得られた染料モノマー2を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの代わりに1−メトキシ−2−プロパノールを用いた以外は、実施例2と同様にして、耐熱性を評価した。
【0246】
比較例3 マラカイトグリーンの耐熱性評価(230℃、0.5時間)
染料モノマーとして、染料モノマー1の代わりにマラカイトグリーンシュウ酸塩(和光純薬工業(株)製)を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの代わりに1−メトキシ−2−プロパノールを用いた以外は、実施例2と同様にして、耐熱性を評価した。
【0247】
実施例2及び比較例2、3の結果について表1に示す。
【0248】
【表1】
【0249】
加熱後のガラスウエハーを観察すると、比較例2では染料が分解し、無色透明となったのに対して、実施例2では緑色の被膜が残存していた。このことから、実施例2の染料モノマー1は、加熱による退色が少ない染料であることが分かった。上記表1で示される結果から、実施例2の染料モノマー1は、カウンターアニオンに塩化物イオンを有する染料モノマー2や一般的な緑色染料(重合性基を有さない緑色染料)であるマラカイトグリーンと比較して優れた耐熱性を示すことが分かった。
【0250】
実施例3 化合物6由来のモノマー単位を含む染料ポリマー1の合成
攪拌装置、冷却管、温度計、窒素導入管を備えた丸底フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート25.6g(和光純薬工業(株)製)を入れ、窒素気流下で内温が90℃になるまで加熱した。次いで、染料モノマー1 2.8g、ベンジルメタクリレート45.9g(和光純薬工業(株)製)、メタクリル酸6.3g(和光純薬工業(株)製)及びジメチル2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(和光純薬工業(株)製重合開始剤V−601)8.8gを混合し、該混合溶液を加熱したプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに2時間かけて滴下した。その後、得られた溶液を90℃で2時間、更に100℃で1時間反応させた。反応後、室温まで冷却し、化合物6由来のモノマー単位を含む染料ポリマー1を得た(化合物6/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=2.8/45.9/6.3)。
【0251】
比較例4 化合物7由来のモノマー単位を含む染料ポリマー2の合成
実施例3において、染料モノマー1の代わりに染料モノマー2を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの代わりに1−メトキシ−2−プロパノールを用いた以外は同様の実験を行い、化合物7由来のモノマー単位を含む染料ポリマー2を得た。
【0252】
実施例4 染料ポリマー1の耐熱性評価(230℃、0.5時間)
実施例3で得た染料ポリマー1の耐熱性を下記のようにして評価した。
即ち、実施例3で得た染料ポリマー1 3.0gとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート4.0gを混合し、染料ポリマー溶液を調製した。調製したポリマー溶液を3インチのガラスウエハー(コーニング社製イーグルXG)にスピンコートした後、90℃に加熱したホットプレート上で90秒間乾燥して膜厚1ミクロンの薄膜を得た。得られた薄膜を、分光光度計(島津製作所製分光光度計UV−2550)を用いて極大吸収波長での吸光度(λa)を測定し、その後、230℃に加熱したホットプレート上で30分間加熱した後、再度、極大吸収波長での吸光度(λb)を測定した。得られたλaとλbの値から下記式より染料残存率(%)を求めた。その結果を表2に示す。
染料残存率(%)=(λb/λa)×100
【0253】
比較例5 染料ポリマー2の耐熱評価(230℃、0.5時間)
実施例4において、実施例3で得た染料ポリマー1の代わりに比較例4で得た染料ポリマー2を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの代わりに1−メトキシ−2−プロパノールを用いた以外は、同様の方法によって染料残存率(%)を求めた。得られた結果を実施例4の結果と併せて表2に示す。
【0254】
【表2】
【0255】
表1及び表2の結果から明らかなように、カウンターアニオンに塩化物イオンを有する染料モノマー2において、染料モノマー2をポリマー化したとしても、その残存率は向上しなかった。一方、本発明の化合物では、染料モノマーとして用いるよりも該モノマー由来のモノマー単位を含む染料ポリマーとして用いた方が、染料残存率がより高くなることが分かった。このことから、本発明の化合物は、ポリマー化することにより更に耐熱性が向上することが分かった。
【0256】
実施例5 染料ポリマー3の合成
撹拌装置、冷却管、温度計、窒素導入管を備えた2000mlの丸底フラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(ダイセル(株)製)105gを入れ、窒素気流下にて、内温が95℃になるまで加熱した。次いで、実施例1で得られた染料モノマー1 15g、メタクリル酸メチル(和光純薬工業(株)製)285g、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸メチル)(商品名V−601:和光純薬工業(株)製)15gを混合し、該混合溶液を95℃にて2時間かけて丸底フラスコに滴下した。その後、得られた溶液を95℃にて2時間反応させた。反応後、室温まで冷却し、酢酸エチル1000gに溶解した。該混合溶液をn−ヘキサン4600ml中に注入して生じた沈殿物をろ取、減圧下にて乾燥し、約5重量部の染料モノマー1を含む染料ポリマー3 315gを得た。
【0257】
実施例6 染料ポリマー3を含む着色板の成形
実施例5で得た染料ポリマー3 0.5重量部と市販のメタクリル酸メチル樹脂(アクリペットMD001:三菱レイヨン製)99.5重量部とを、同方向回転二軸押出機を用いて溶融混合し、着色した樹脂ペレットを得た。次いで、得られた樹脂ペレットを電動式射出成形機によって加工し、150mm×150mm×t2mmの着色板を作成した。
【0258】
実施例7 染料ポリマー3を含む着色板の耐溶出試験
実施例6で作成した成形板を40mm×30mm×t2mmの大きさに裁断した後、エタノール50部とイオン交換水50部を混合したエタノール水溶液80ml中に浸漬し、40℃の恒温槽中で200時間保管した。保管中、1時間毎に恒温槽よりエタノール水溶液を取り出し、分光光度計(島津製作所製製分光光度計UV−2500)を用いて、エタノール水溶液の分光スペクトルを測定した。測定サンプルの最大吸収波長における吸光度(λa)と予め測定したグラム吸光係数(ε)を用いて、エタノール水溶液中に溶出した染料モノマー1の重量を算出し、浸漬させた着色板中に含まれる染料モノマー1の重量を基準とした時の溶出率(%)を下記式により算出した。結果を表3に示す。
溶出率(%)=[(λa×0.08/ε)/(着色板に含まれる染料の重量)]×100
※着色板中に含まれる染料の重量 = 板の重さ×0.00025
【0259】
【表3】
【0260】
上記の表3に示すように、本発明のポリマーは、溶媒に接触させても着色板からの溶出がほとんどないことが判った。
【0261】
実施例8 耐候性試験
実施例6で作成した着色板を65mm×65mm×t2mmに裁断し、JIS B7754:1991に規定する装置(アトラス社製:Ci4000)を使用し、下記条件でキセノンアーク灯式による促進耐候性試験を実施した。
(1)試験条件
放射照度:50w/m
2(300−400nm)
フィルタガラス:内側 ボロシリケートSタイプ、外側 ソーダライム
ブラックパネル温度:63±2℃
槽内温度:38±2℃
相対湿度:50±10%RH
試験時間:50時間
(2)測色条件
測定:反射測定(8°:de)
標準光:D
65
測定孔径:φ5mm
試験前および、50時間試験した成形版をJIS Z8730:2009のL*a*b*表色系の色差に準拠して、測色計CC−i(スガ試験機株式会社製)で測定し、試験前後のL*値、a*値、b*値の変化量であるΔL*、Δa*、Δb*を算出し、下記式によって色差(ΔE*ab)を求めた。得られた結果を表4に示す。
色差(ΔE*ab)=[(ΔL*)
2+(Δa*)
2+(Δb*)
2]
1/2【0262】
【表4】
【0263】
上記表4において、色差が3以内であれば色の変化は無いと判断することができる。よって、染料ポリマー3を含む着色板は、優れた耐候性を有していることが分かった。