(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし特許文献1に記載の酸素濃縮装置では、圧力センサにより患者の吸気開始時の負圧を検知し、酸素の供給を制御している。従って、この酸素濃縮装置では患者の吸気の開始を検知するだけで、患者の呼吸波形を検知していない。仮に酸素濃縮装置で呼吸波形を検知できる構成とした場合、患者の健康状態を把握できると考えられるが、そのような酸素濃縮装置は提供されていない。
【0005】
そこで、
本発明は
、上記のような課題を解決するためになされたもので、患者の呼吸波形そのものを検知し、患者の健康状態を把握できる酸素濃縮装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る酸素濃縮装置は、
酸素を発生する酸素発生部と、
前記酸素発生部において発生された酸素を排出する酸素排出部と、
前記酸素発生部と前記酸素排出部とを結ぶ流路、および
、前記酸素排出部に取付けられたカニューラ
、の少なくとも一方に接続された呼吸波形センサと、
前記呼吸波形センサで検知された呼吸波形を記憶する呼吸波形記憶部と、
前記流路に配置された流量調整部と、
前記呼吸波形センサで検知された呼吸波形に基づいて前記流量調整部を制御する制御部と、
を備え
、
前記制御部は、
(i)前記呼吸波形センサが呼吸波形を検知しないときは、前記酸素排出部から酸素が排出されるように、前記流量調整部を制御し、
(ii)前記呼吸波形センサが呼吸波形を検知したときは、前記呼吸波形に基づいて、呼気時間のうちの所定時間、前記酸素排出部から酸素が排出されないように、前記流量調整部を制御する。
【0007】
本発明では、酸素発生部と酸素排出部とを結ぶ流路、および
、酸素排出部に取付けられたカニューラ
、の少なくとも一方に接続された呼吸波形センサが
、患者の呼吸波形そのものを検知
する。呼吸波形センサで検知された呼吸波形は、呼吸波形記憶部に記憶
される。これにより、患者の健康状態を把握できる。
【0008】
また、本発明では
、制御部が、
呼吸波形センサで検知された呼吸波形に基づいて、流量調整部を制御する。これにより、患者の呼吸波形に基づく適切な流量の酸素を患者に供給できる。
【0009】
さらに、本発明では、
(i)呼吸波形センサが呼吸波形を検知しないときは、酸素の供給を続けることで、睡眠時にも患者が酸素の供給を受けることができる。一方、(ii)呼吸波形センサが呼吸波形を検知したときは、呼吸波形に基づいて、呼気
時間のうちの所定時間、酸素の供給を停止する
。言い換えれば、患者の呼気の検知をトリガーとして
、酸素の供給を停止する。
これにより、酸素の供給量を減らし、同じ酸素ボンベを長時間使用できる。
【0010】
なお、本発明
の参考例に係る酸素濃縮装置
において、前記制御部は
、前記呼吸波形センサが呼吸波形を検知したときに前記酸素排出部から酸素が排出され
、前記呼吸波形センサが呼吸波形を検知しないときに前記酸素排出部から酸素が排出されないように
、前記流量調整部を制御
してよい。
【0011】
上記参考例は、
呼吸波形センサが呼吸波形を検知したときは、患者がカニューラを装着していると考え
、患者に酸素を供給する一方、呼吸波形センサが呼吸波形
を検知
しないときは、患者がカニューラを外していると考え
、患者への酸素供給を停止することで、患者に必要な酸素を供給しつつ不要な酸素供給を防止できる。
【0012】
本発明に係る酸素濃縮装置は
、
患者の
複数の状態に応じた
複数の流量を記憶する流量記憶部と、
前記呼吸波形センサで検知された呼吸波形
に基づいて患者の状態を検知する状態検知部と、
前記状態検知部で検知された患者の状態に応じ
て、前記流量記憶部に記憶された前記複数の流量の中から流量を決定する流量決定部と、
を
さらに備え、
前記制御部は、前記流量決定部で決定された流量の酸素が前記酸素排出部から排出されるように
、前記流量調整部を制御
してよい。
【0013】
上記構成では
、適切な流量の酸素を患者に供給できる。
【0014】
本発明に係る酸素濃縮装置は
、
火災の波形を記憶する火災波形記憶部と、
前記呼吸波形センサで検知された
呼吸波形が、前記火災波形記憶部に記憶された火災の波形と同一であることを検知する火災検知部と、
を
さらに備え、
前記制御部は、
前記呼吸波形センサで検知された呼吸波形が前記火災波形記憶部に記憶された火災の波形と同一であること
が前記火災検知部によって検知されたときに
、前記酸素排出部から酸素が排出されないように
、前記流量調整部を制御
してよい。
【0015】
上記構成では
、火災が広がるのを防止できる。
【0016】
本発明に係る酸素濃縮装置は、
前記カニューラの長さを入力する
ための入力部と、
前記カニューラの長さに応じ
た補正量を記録する補正量記憶部と、
前記補正量記憶部に記憶された補正量を参照し、前記入力部
に入力された前記カニューラの長さに応じた補正量を決定する補正量決定部と、
前記補正量決定部で決定された補正量に基づいて
、前記呼吸波形センサで検知された呼吸波形の振幅を補正する補正部と、
を
さらに備え
てよい。
【0017】
上記構成では
、カニューラの長さに関わらず
、呼吸波形センサが呼吸波形を確実に検知できる。ここで、カニューラの長さとは、カニューラ自体の長さの他、カニューラに延長チューブを接続して使用される場合、カニューラの長さと延長チューブの長さとを足し合わせた長さを意味する。
【0018】
本発明に係る酸素濃縮装置
において、
前記カニューラ
は、
前記カニューラが患者の鼻に装着された状態において前記患者の耳に接触
する接触部を有し、
前記呼吸波形センサは、患者の呼吸波形に加え、前記接触部を介して患者の心拍を検知し、
前記呼吸波形センサで検知された呼吸波形
と心拍とが
、前記呼吸波形記憶部に記憶され
てよい。
【0019】
上記構成では、患者の呼吸波形に加え
、接触部を介して検知された心拍
が、呼吸波形記憶部に記憶
される。これにより、患者の健康状態を把握できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明では、酸素発生部と酸素排出部とを結ぶ流路、および
、酸素排出部に取付けられたカニューラ
、の少なくとも一方に接続された呼吸波形センサが
、患者の呼吸波形そのものを検知
する。呼吸波形センサで検知された呼吸波形は、呼吸波形記憶部に記憶
される。これにより、患者の健康状態を把握できる。
【0021】
また、本発明では、
制御部が、呼吸波形センサで検知された呼吸波形に基づいて
、流量調整部を制御する。これにより、患者の呼吸波形に基づく適切な流量の酸素を患者に供給できる。
【0022】
さらに、本発明では、
(i)呼吸波形センサが呼吸波形を検知しないときは、酸素の供給を続けることで、睡眠時にも患者が酸素の供給を受けることができる。一方、(ii)呼吸波形センサが呼吸波形を検知したときは、呼吸波形に基づいて、呼気
時間のうちの所定時間、酸素の供給を停止する
。言い換えれば、患者の呼気の検知をトリガーとして
、酸素の供給を停止する。
これにより、酸素の供給量を減らし、同じ酸素ボンベを長時間使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の
参考形態及び実施形態を添付図面に従って説明する。
【0025】
<第1
参考形態>
図1に示すように、第1
参考形態の酸素濃縮装置10は、酸素吸入療法を受ける患者が酸素を鼻から吸引するために用いるカニューラ2に接続され、このカニューラ2に酸素を供給する。なお、酸素濃縮装置10は、カニューラ以外の酸素排出用の器具に接続されていてもよい。
【0026】
酸素濃縮装置10は、装置本体11と、装置本体11に配置された酸素発生部12と、カニューラ2
が取り付け
られる酸素排出部13とを備えている。酸素発生部12と酸素排出部13とは
、流路14で接続されている。これにより、酸素発生部12は
、流路14および酸素排出部13を介してカニューラ2に接続されている。酸素発生部12は
、酸素濃縮ガスを発生
する。酸素排出部13
は、酸素発生部12で発生された酸素をカニューラ2に排出する。カニューラ2の先端には、患者の鼻に装着される一対の装着部3が設けられている。
【0027】
流路14の酸素発生部12と酸素排出部13との間には、患者に供給される酸素流量を調整する流量調整部22が配置されている。この流量調整部22には、流量調整部22を制御する制御部23が接続されている。
【0028】
ま
た流路14の流量調整部22と酸素排出部13との間には、患者の呼吸波形を検知する呼吸波形センサ20が接続されている。呼吸波形センサ20は、半永久的に帯電するエレクトレット素子を用いたコンデンサマイクロフォンである。コンデンサマイクロフォンは、例えば0.5Hzなど
の低周波数の動的な圧力変化を測定でき、1Pa以下の音圧測定に適している。呼吸波形センサ20で検知された呼吸波形は、例えば
図2に示す様に、吸気と呼気とが交互に周期的に繰り返されるグラフで表される。この呼吸波形センサ20には、制御部23に内蔵され、呼吸波形センサ20で検知された呼吸波形を記憶する呼吸波形記憶部21が接続されている。
【0029】
酸素濃縮装置10を駆動すると、酸素発生部12は、高圧下で窒素を吸着すると共に低圧下で吸着した窒素を離脱させるゼオライトなどの吸着剤を用いることによって、酸素濃縮ガスの生成を行う。すなわち、酸素発生部12は、装置本体11内に外部から取り込んだ空気を圧縮し、圧縮空気中の窒素を吸着して酸素濃縮ガスを生成する。そして、低圧下において吸着剤から離脱された窒素は、外部に排出される。一方、酸素発生部12で生成された酸素濃縮ガスは
、流路14を介して酸素排出部13に至り、酸素排出部13からカニューラ2に排出されて患者まで供給される。
【0030】
第1
参考形態の酸素濃縮装置10
において、制御部23は、呼吸波形センサ20が呼吸波形を検知したときに酸素排出部13から酸素が排出され、呼吸波形センサ20が呼吸波形を検知しないときに酸素排出部13から酸素が排出されないように
、流量調整部22を制御する。
【0031】
具体的には
、制御部23は、図3に示す様に、まずステップS1で、呼吸波形センサ20が患者の呼吸波形を検知したか否かを判定する。
呼吸波形センサ20が呼吸波形を検知していれば
、制御部23は、処理をステップS2に進
めて、酸素の排出を開始する様
に流量調整部22を制御する。この後、呼吸波形センサ20が呼吸波形の検知を続け、ステップS3で
呼吸波形センサ20が呼吸波形を検知していれば
、制御部23は、処理をステップS4に進
めて、酸素の排出を続ける様
に流量調整部22を制御する。そして
制御部23は、処理をステップS3に
戻す。ステップS3で
呼吸波形センサ20が呼吸波形を検知していなければ、
制御部23は、ステップS5で酸素の排出を停止する様
に流量調整部22を制御
する。そして制御部23は、
処理をステップS1に戻
す。
【0032】
ステップ1で
呼吸波形センサ20が呼吸波形を検知していなければ
、制御部23は、処理をステップS6に進
めて、酸素排出の停止を続ける様
に流量調整部22を制御する。この後、呼吸波形センサ20が呼吸波形の検知を続け、ステップS7で
呼吸波形センサ20が呼吸波形を検知していれば
、制御部23は、処理をステップS8に進
めて、酸素の排出を開始する様
に流量調整部22を制御する。そして
制御部23は、
処理をステップS3に
移す。ステップS7で
呼吸波形センサ20が呼吸波形を検知していなければ、
制御部23は、処理をステップS6に
戻す。
【0033】
第1
参考形態の酸素濃縮装置10では、酸素発生部12と酸素排出部13とを結
ぶ流路14に接続された呼吸波形センサ20が
、患者の呼吸波形そのものを検知
する。呼吸波形センサ20で検知された呼吸波形は、呼吸波形記憶部21に記憶
される。これにより、患者の健康状態を把握できる。
【0034】
第1
参考形態の酸素濃縮装置10では
、制御部23が、
呼吸波形センサ20で検知された呼吸波形に基づいて、流量調整部22を制御する。これにより、患者の呼吸波形に基づく適切な流量の酸素を患者に供給できる。
【0035】
第1
参考形態の酸素濃縮装置10
において、制御部23は、呼吸波形センサ20が呼吸波形を検知したときに酸素排出部13から酸素が排出され、呼吸波形センサ20が呼吸波形を検知しないときに酸素排出部13から酸素が排出されないように
、流量調整部22を制御する。
呼吸波形センサ20が呼吸波形を検知したときは、患者がカニューラ2を装着していると考え
、患者に酸素を供給する一方、呼吸波形センサ20が呼吸波形
を検知
しないときは、患者がカニューラ2を外していると考え
、患者への酸素供給を停止することで、患者に必要な酸素を供給しつつ不要な酸素供給を防止できる。
【0036】
<第2
参考形態>
第2
参考形態の酸素濃縮装置10は、患者の状態に応じた適切な流量の酸素を患者に供給する。第1
参考形態と同じ要素には同じ符号を付して、説明を省略する。
【0037】
図4に示す様に、酸素発生部12と酸素排出部13とを接続す
る流路14には
、呼吸波形センサ20が接続されている。この呼吸
波形センサ20と流量調整部22とには
、制御部23が接続されている。制御部23には、呼吸波形記憶部21と状態検知部26と流量決定部27と流量記憶部28と流量比
較部29とが内蔵されている。
【0038】
流量記憶部28は、患者の状態に応じた酸素の供給流量を記憶する。患者の状態とは、例えば安静状態、労作状態および睡眠状態である。患者の状態に応じた酸素の供給流量とは
、具体的には、安静状態では2L、労作状態では2.5L、睡眠状態では1.5L
、の酸素の供給流量である。これら酸素の供給流量は
、予め医師により処方され、流量記憶部28に入力されて記憶される。
【0039】
状態検知部26は、呼吸波形センサ20で検知された患者の呼吸波形
(具体的には
、呼吸回数の変動幅の大小
)によって、前述した患者の状態を検知する。
状態検知部26は、患者の状態を検知するために、呼吸波形センサ20で検知された呼吸波形により患者の呼吸数を算出し、所定時間あたりの変動係数を求める。変動係数は、呼吸数の標準偏差を単位時間あたりの平均呼吸数で除した係数であり、大、中、小の3段階に設定される。例えば、20bpm以下の呼吸数で、変動係数が「中」の範囲内の時の呼吸数を
、患者の安静
状態の呼吸数として設定する。労作
状態は、呼吸数が20bpmを超える時、または、変動係数が「大」の時とする。睡眠
状態は、呼吸数が20bpm以
下で、変動係数が「小」の時とする。
状態検知部26は、患者の状態(安静
状態、労作
状態、睡眠
状態)の
検知を、それぞれの状態が所定の時間継続した場合に行う。
【0040】
流量決定部27は、状態検知部26で検知された患者の状態に応じた流量
(具体的には
、2L、2.5L、および1.5Lのいずれか
)を決定する
。流路14には、患者に供給される酸素流量を調整する流量調整部22が接続されている。この流量調整部22と流量決定部27とには、流量調整部22を制御する制御部23が接続されている。
【0041】
次に、第2
参考形態の酸素濃縮装置10を使用する手順を
図5を参照しつつ説明する。
【0042】
まず、
医師が、患者の状態(安静状態、労作状態および睡眠状態
)のそれぞ
れに応じた酸素流量を処方する。酸素濃縮装置10を稼働し、ステップS11で、処方された酸素流量を
、患者が流量記憶部28に入力して記憶させる。ステップS12で、呼吸波形センサ20が患者の呼吸波形を検知する。ステップS13で
、状態検知部26が、
呼吸波形センサ20で検知された呼吸波形に基づいて、患者が安静状態、労作状態および睡眠状態のいずれであるかを
検知する。ステップS14で
、流量決定部27が、
状態検知部26で検知された患者の状態に応じて
、2L、2.5L、および1.5Lのいずれかの酸素流量を決定する。ステップS15では、制御部23の流量比
較部29
が、流量決定部27で決定された流量の酸素が既設定流量と異なっているか
を判定する。なお
、既設定流量とは、ステップS12で
呼吸波形センサ20が患者の呼吸波形を検知する際に患者に供給されている酸素流量である。ステップS15で、
流量決定部27で決定された流量が既設定流量と異な
らないと判定されれば
、制御部23は、処理をステップS12に戻
す。
流量決定部27で決定された流量が既設定流量と異な
ると判定されれば
、制御部23は、処理をステップS16に進
めて、流量決定部27で決定された流量の酸素が酸素排出部13から排出されるように
、流量調整部22を制御
する。そして、
制御部23は、処理をステップS12に戻
す。
【0043】
第2
参考形態の酸素濃縮装置10では、状態検知部26が呼吸波形
に基づいて患者の状態を検知する
。そして、患者の状態に応じた適切な流
量を流量決定部27が決定する。これにより
、適切な流量の酸素を患者に供給できる。
【0044】
<第3
参考形態>
第3
参考形態の酸素濃縮装置10は、火災が発生したときに患者への酸素の供給を停止する。第1
参考形態と同じ要素には同じ符号を付して、説明を省略する。
【0045】
図6に示す様に、酸素発生部12と酸素排出部13とを接続す
る流路14には
、呼吸波形センサ20が接続されている。この呼吸
波形センサ20と流量調整部22とには
、制御部23が接続されている。制御部23には、呼吸波形記憶部21と火災検知部31と火災波形記憶部32とが内蔵されている。
【0046】
火災波形記憶部32は
、火災の波形を記憶する。火災波形は
、図7に示す様に
、呼吸波形と異なり、振幅の小さな定常波の中に瞬間的に振幅の大きな波形が現れる。火災検知部31は、呼吸波形センサ20で検知された波形が、火災波形記憶部32に記憶された火災の波形と同一であることを検知する。
【0047】
次に、第3
参考形態の酸素濃縮装置10が火災を検知するフローを
図8を参照しつつ説明する。
【0048】
ステップS21で、火災波形記憶部32に火災の波形を入力して記憶させる。患者への酸素供給を開始した後、ステップS22で、火災検知部31が、呼吸波形センサ20で検知された波形が
火災波形記憶部32に記憶された火災波形と同一であるか否かを
検知する。
呼吸波形センサ20で検知された波形が火災波形記憶部32に記憶された火災波形と同一であれば
、火災が発生したと判断
される。ステップS23で
、制御部23が、酸素排出部13から酸素が排出されないように、流量調整部22を制御
する。その後、フローが終了する。ステップS22で、
火災検知部31が、呼吸波形センサ20で検知された波形が
火災波形記憶部32に記憶された火災波形と同一でな
いと検知すれば、
制御部23は、処理をステップS24に進
めて、酸素排出部13からの酸素の排出を続ける。この後、
制御部23は、処理をステップS22に
戻す。
【0049】
第3
参考形態の酸素濃縮装置10では、
呼吸波形センサ20で検知された呼吸波形が火災波形記憶部32に記憶された火災の波形と同一であることが
火災検知部31によって検知されたときに
、制御部23が、酸素排出部13から酸素が排出されないように流量調整部22を制御する
。これにより、火災が広がるのを防止できる。
【0050】
<第4
参考形態>
第4
参考形態の酸素濃縮装置10は、カニューラ2の長さに応じて異なる呼吸波形の振幅を補正する。本
参考形態では
、カニューラ2として、カニューラに延長チューブ(図示せず)が接続されたものを使用する
。そのため、カニューラ2の長さとは、カニューラの長さと延長チューブの長さとを足し合わせた長さを意味する。第1
参考形態と同じ要素には同じ符号を付して、説明を省略する。
【0051】
図9に示す様に、酸素発生部12と酸素排出部13とを接続す
る流路14には
、呼吸波形センサ20が接続されている。この呼吸
波形センサ20と流量調整部22とには
、制御部23が接続されている。制御部23には、呼吸波形記憶部21と補正部35と補正量決定部36と補正量記憶部38とが内蔵され
ている。制御部23には、カニューラ2の長さを入力する
ための入力部37が接続されている。
【0052】
補正量記憶部38は、カニューラ2の長さに応じた波形振幅の補正量を記憶する。補正量決定部36は、補正量記憶部38に記憶された補正量のうち、入力部37
に入力されたカニューラ2の長さに応じた補正量を決定する。補正部35は、補正量決定部36で決定された補正量に基づいて、呼吸波形センサ20で検知された呼吸波形の振幅を補正する。
【0053】
通常、呼吸波形センサ20が酸素吸入時の患者の呼吸波形を検知するとき、カニューラ
2の長さにより呼吸音振動が減衰する。このため、呼吸波形センサ20が検知する呼吸波形の振幅は、短いカニューラ2に対し、長いカニューラ2の方が小さくなる。本
参考形態では、
呼吸波形センサ20で検知された呼吸波形
の振幅を補正部35が補正する
。これにより、カニューラ2の長短に関わらず、呼吸波形の振幅を一定にする。カニューラ2の長さに応じた呼吸波形の振幅の補正量は、カニューラ2の長さが1m、呼吸波形の振幅が1
のときの補正量を0
(基準)として、以下の様に設定される。すなわち、カニューラ2の長さが8m、呼吸波形の振幅が0.9のときの補正量を0.1
、カニューラ2の長さが15m、呼吸波形の振幅が0.8のときの補正量を0.2とする。
【0054】
次に、第4
参考形態の酸素濃縮装置10が呼吸波形の振幅を補正するするフローを
図10を参照しつつ説明する。
【0055】
まずステップS31で、カニューラ2の長さを入力部37に入力する。ステップS32で
、補正量記憶部38が、カニューラ2の長さに応じた波形振幅の補正量を記憶する。ステップS33で
、補正量決定部36が、補正量記憶部38に記憶された補正量の中から、入力部37
に入力されたカニューラ2の長さに応じた補正量を決定する。ステップS34で
、補正部35が、補正量決定部36で決定された補正量に基づいて
、呼吸波形センサ20で検知された呼吸波形の振幅を補正する。ステップS35で
、制御部23が、補正された呼吸波形を呼吸波形記憶部21に記憶
させる。その後、フローが終了する。
【0056】
第4
参考形態の酸素濃縮装置10では、補正量決定部36が、
補正量記憶部38に記憶された補正量を参照し、入力部37
に入力されたカニューラ2の長さに応じた補正量を決定
する。そして、補正部35が、補正量決定部36で決定された補正量に基づいて
、呼吸波形センサ20で検知された呼吸波形の振幅を補正する。従って、カニューラ2の長さに関わらず
、呼吸波形センサ20が呼吸波形を確実に検知できる。
【0057】
<第5
参考形態>
第5実施形態の酸素濃縮装置10は、患者の呼吸波形に加えて心拍を検知して記憶する。第1
参考形態と同じ要素には同じ符号を付して、説明を省略する。
【0058】
図11に示す様に、カニューラ2には、カニューラ2が患者の鼻に装着された状態において患者の耳に接触する接触部4が設けられている
。接触部4を患者の耳に掛けることで、装着部3の鼻への装着状態を維持できる。
図11に示す酸素濃縮装置10のブロック図は
、接触部4
を除き、第1参考形態のブロック図と同じである。
【0059】
呼吸波形センサ20は
、患者の呼吸波形に加え、接触部4を介して患者の心拍を検知する
。呼吸波形センサ20で検知された呼吸波形と心拍とは、呼吸波形記憶部21に記憶される。
図12に示す様に、心拍は、振幅の小さな波形と、次第に振幅が大きくなる波形とが
、周期的に繰り返さ
れる。
【0060】
第5
参考形態の酸素濃縮装置10では、患者の呼吸波形に加え、カニューラ2が患者の鼻に装着された状態において、患者の耳に接触した接触部4を介して検知された心拍
が呼吸波形記憶部21に記憶
される。これにより、患者の健康状態を把握できる。
【0061】
<実施形態>
本実施形態の酸素濃縮装置10は、呼気
時間のうちの所定時間、酸素の供給を停止する。ここで、人の呼吸時
における吸気時間と呼気時間との比は1:2であり、呼気時間は吸気時間に比べて長い。
図13は、1分間の呼吸回数を10回
、20回、30回、40回としたときの
、呼気時間と吸気時間とを示す。1分間の呼吸回数が10回の場合、6秒で1回の呼吸をし、そのうち吸気時間が2秒、呼気時間が4秒である。
【0062】
図14は、呼吸波形センサ20が検知した呼吸波形を示す。図中、患者はa1で吸気を開始し、a2で吸気から呼気に切り換わる。そしてa1で呼気が終了すると共に吸気を開始する。すなわち、a1から次のa1までの間で
、患者は1回の呼吸をする。なお
、図中、a3は患者への酸素の供給を停止する時間を表し、a4は患者への酸素の供給を開始する時間を表す。また、呼吸波形センサ20がa1で患者の吸気を検知してから、a3で酸素の供給を停止するまでの時間をt秒、a3で酸素の供給を停止してからa4で酸素の供給を開始するまでの時間を1.5t秒で表す。
図14から、a3からa4までの間で示す患者への酸素供給の停止は、a2とa2より後のa1との間
(すなわち
、患者の呼気の間
)に行われることが分かる。
【0063】
酸素濃縮装置10のブロック図は
、第1
参考形態と同じであるので、
図1を参照されたい。
本実施形態の酸素濃縮装置10が酸素の供給を停止および開始するフローを
図15を参照しつつ説明する。
【0064】
患者への酸素供給を開始し、ステップS41で、呼吸波形センサ20が患者の呼吸波形を検知する。ステップS42で、制御部23は、呼吸波形センサ20が
吸気を検知してからt秒経過したか否かを判定する。呼吸波形センサ20が
吸気を検知してからt秒経過していれば、制御部23は、処理をステップS43に進めて、呼気中の1.5t秒間、酸素の排出を停止するように流量調整部22を制御する。呼吸波形センサ20が
吸気を検知してからt秒経過していなければ、制御部23は、処理をステップS44に進めて、酸素の排出を続けるように流量調整部22を制御する。そして制御部23は、処理をステップS42に戻す。
【0065】
ステップS45で
、制御部23は、酸素の排出を停止してから1.5t秒経過したか否かを判定する。
酸素の排出を停止してから1.5t秒経過していれば
、制御部23は、処理をステップS46に進
めて、酸素の排出を開始するように流量調整部22を制御する。
そして制御部23は、
処理をステップS42に
戻す。
酸素の排出を停止してから1.5t秒経過していなければ
、制御部23は、ステップS47で
、酸素排出の停止を続けるように流量調整部22を制御
する。そして制御部23は、処理をステップS45に戻
す。
【0066】
本実施形態の酸素濃縮装置10では、
呼吸波形センサ20が呼吸波形を検知しないときは、酸素の供給を続けることで、睡眠時にも患者が酸素の供給を受けることができる。一方、呼吸波形センサ20が呼吸波形を検知したときは、呼吸波形に基づいて、呼気
時間のうちの所定時間、酸素の供給を停止する
。言い換えれば、患者の呼気の検知をトリガーとして
、酸素の供給を停止する。
これにより、酸素の供給量を減らし、同じ酸素ボンベを長時間使用できる。
【0067】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、
本発明の具体的な構成は、
上記の実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく
、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0068】
前記実施形態では
、流路14に呼吸波形センサ2
0を接続したが、これに限定されない。
例えば、呼吸波形センサ2
0をカニューラ2に直
接接続しても
、上記実施形態同様の効果を得ることができる。
【0069】
酸素発生部12および酸
素排出部1
3の形状、配置場所は
、特に限定されない
。呼吸波形センサ2
0は、患者の呼吸波形そのものを検知できる限り、コンデンサマイクに限定されない。