特許第6520980号(P6520980)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6520980
(24)【登録日】2019年5月10日
(45)【発行日】2019年5月29日
(54)【発明の名称】梱包箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/22 20060101AFI20190520BHJP
   B65D 21/02 20060101ALI20190520BHJP
   B65D 5/66 20060101ALI20190520BHJP
【FI】
   B65D5/22 F
   B65D21/02 400
   B65D5/66 311G
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-71010(P2017-71010)
(22)【出願日】2017年3月31日
(65)【公開番号】特開2018-172143(P2018-172143A)
(43)【公開日】2018年11月8日
【審査請求日】2017年4月27日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成28年10月4日、株式会社ナカヨ東京オフィスにおいて、”Si電話機 個装箱の開発に関する資料”という表題で公開
(73)【特許権者】
【識別番号】000134707
【氏名又は名称】株式会社ナカヨ
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】特許業務法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 邦晴
【審査官】 長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−308277(JP,A)
【文献】 実開平05−068819(JP,U)
【文献】 実開平02−090228(JP,U)
【文献】 特開2009−018870(JP,A)
【文献】 特開2007−039072(JP,A)
【文献】 特開昭49−014273(JP,A)
【文献】 特開2014−221660(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3183757(JP,U)
【文献】 特開平11−348963(JP,A)
【文献】 実開昭57−052414(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/66
B65D 5/22
B65D 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つのベースボードを折り込んで、物品を収容する収納部を含む梱包箱において、
前記梱包箱の正面部は、
前記ベースボードを折り込んで箱型に組み込んだとき、2つ折りの正面を構成する正面折込片を有し、2つ折りの正面折込片の折込部の、左右両側面寄りに、左右両側面を構成する左右両側面折込片の外側への広がりを規制するロック機能を有する孔を形成し、
さらに、前記2つ折りの正面折込片の一方の折り込み片に、当該2つ折りの正面折込片の開きを規制するロック用舌片を形成し、前記正面折込片の他方の折り込み片に前記ロック用舌片が挿入され、当該2つ折りの正面折込片の開きを規制するロック用孔を形成し、
前記正面折込片を外側へ広げたとき、前記ロック用舌片と前記ロック用孔が係合し、
前記梱包箱の正面への広がり過ぎを防止し、前記梱包箱を広げた状態で保持し、
前記梱包箱の左右両側面部は、
前記ベースボードを折り込んで箱型に組み込んだとき、左右両側面を構成する前記左右両側面折込片を有し、かつ、
前記左右両側面折込片と2つ折りの前記正面折込片との角部に位置し、2つ折りの前記正面折込片との間に差し込まれ、当該左右両側面折込片を外側へ広げる力を加えたとき、2つ折りの前記正面折込片の内面に沿って回動し、前記孔の一部に係合する係合部を含む角折込片を有し、
前記角折込片は、
前記ベースボードを折り込んで箱型に組み込んだとき、前記2つ折りの正面折込片にて挟み込まれ、かつ、前記ロック用舌片から所定の距離をおいて前記収納部側に折り込まれ、前記左右両側面折込片及び前記正面折込片を外側へ広げる力を加えたとき、前記角部が外方向に突き出るように折り込み線を含み、所定角度傾き、広がる扇状の構造に形成し、
前記角折込片および前記ロック用舌片と前記ロック用孔は、
空き箱状態の梱包箱を展開したとき、2つ折りの正面折込片を所定範囲外側に広げることを可能とし、かつ、前記梱包箱の正面への広がり過ぎを防止し、前記梱包箱を広げた状態で保持する
ことを特徴とする梱包箱。
【請求項2】
請求項1に記載された梱包箱において、
前記梱包箱は、
空き状態の梱包箱の蓋部を開いたとき、角部を外側に広げた状態で多段に積み重ねて回収箱又は通い箱に収納される
ことを特徴とする梱包箱。
【請求項3】
1つのベースボードからなり、上下、前後、左右の各片を折り込んだとき、電子機器を梱包した梱包具を載置する四角形の載置面を形成する底面部、当該底面部を左右から囲む左右両側面を形成する左右両側面部、当該底面部を正面から囲む正面を形成する正面部、当該底面部を背後から囲む背面及び上面を形成する背面部及び上面部、備えた梱包箱において、
前記左右両側面部は、前記ベースボードを折り込んだとき、左右両側面を形成する左右両側面折込片と、左右両側面から前記載置面に対向し、前記梱包具を上側から覆うカバー折込片を有し、
前記正面部は、前記ベースボードを折り込んだとき、正面を形成する2つ折りの正面折込片と、前記背面部の背面折込片から延びた前記カバー折込片の先端舌片に形成された横長の孔に嵌合又は係合される舌片および前記正面を形成する2つ折りの正面折込片の中央部に形成され、前記先端舌片が嵌合又は係合される横長の長孔を有し、
前記背面部は、前記ベースボードを折り込んだとき、背面を形成する背面折込片を有し、
前記上面部は、前記ベースボードを折り込んだとき、背面から前記載置面に対向し、前記梱包具を上側から覆うカバー折込片と、前記正面を形成する2つ折りの前記正面折込片の中央部に形成された横長の孔に嵌合又は係合される舌片を有し、
前記左右両側面部と前記正面部との角部には、前記左右両側面を形成する左右両側面折込片と連結され、同程度の幅を有し、
当該左右両側面を形成する左右両側面折込片から正面方向に延び、前記ベースボードを折り込んだとき、前記正面を形成する2つ折りの正面折込片との間に挿入され、
前記左右両側面を形成する左右両側面折込片を外側に広げたとき、当該正面を形成する2つ折りの正面折込片に沿って回動し、かつ、
前記正面を形成する2つ折りの正面折込片を正面方向に回動したとき、梱包箱の内側から外側に突き出るように広がる扇状の角折込片を有し、
前記梱包箱の内側から外側に突き出るように広がる角折込片は、
前記2つ折りの正面折込片にて挟み込まれ、かつ、当該角折込片を前記2つ折りの正面折込片の間に出し入れを可能とする折り込む折り線を有し、
前記2つ折りの正面折込片の一方の折り込み片に、当該2つ折りの正面折込片の開きを規制するロック用舌片を形成し、前記正面折込片の他方の折り込み片に前記ロック用舌片が挿入され、当該2つ折りの正面折込片の開きを規制するロック用孔を形成し、
前記正面折込片を外側へ広げたとき、前記ロック用舌片と前記ロック用孔が係合し、
前記角折込片および前記ロック用舌片と前記ロック用孔は、
空き箱状態の梱包箱を展開したとき、2つ折りの正面折込片を所定範囲外側に広げることを可能とし、かつ、
前記梱包箱の正面への広がり過ぎを防止し、前記梱包箱を広げた状態で保持する
ことを特徴とする梱包箱。
【請求項4】
請求項3に記載された梱包箱において、
前記梱包箱は、
空き状態の梱包箱の蓋部を開いたとき、角部を外側に広げた状態で多段に積み重ねて回収箱又は通い箱に収納される
ことを特徴とする梱包箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、電話機などの電子装置(物品)を梱包する梱包箱に関する。
更に詳しくは、例えば、電子機器などを取り扱う業者が家庭や企業まで搬送し、当該家庭や企業などに電子機器を設置したあと、空き箱となった梱包箱を回収や廃棄のために持ち帰るような場合に適した梱包箱に関する。
【背景技術】
【0002】
梱包箱として、例えば、1つの段ボール材を折り込んで、電子機器を収納する収納部を含む箱型に組み立てて、1つの梱包箱を構成してなるものがある。
【0003】
図8図11は、その一例を示す図である。要するに、1つの段ボール材に複数の折り込み線171、172、173、174、177、178、179、180、や切込み191、192、193、194、及び折込片121、131、141、142、153’、165、166、1612、1642、1631、1641、などを設け、これらの折り込み線や切り込みに沿って折り込み、各折込片121、131、141、142、153’、165、166、1612、1642、1631、1641、を有する図9に示すような所定の箱型の梱包箱1’を形成したものがある。
すなわち、従来の梱包箱1’は、1つの段ボール材を複数の折り込み線や切り込みに沿って折り込んだとき、底面部11、左右両側面部12,13、正面部14、背面部及び上面部(蓋部)15を形成し、左右両側面部12、13と正面部14との角部に位置する四角形の角片165、166が正面部14を形成する2つ折りの正面折込片141と142との間に折り込み、かつ、梱包箱1’を組み立てたとき、2つ折りの正面折込片141と142により、角片165、166が挟持される構造となっている。
また、正面を形成する正面折込片142の先端中央部に形成したロック用の舌片1427を底面部11に形成したロック用の長孔1428に差し込んで係合する構造であるため、当該舌片1427と長孔1428との係合、つまり、ロックを解除しない限り、図9に示すように左右両側面を形成する左右両側面折込片121、131及び正面を形成する正面折込片141、142を外側方向に広げることができない構造となっている。
【0004】
また、梱包箱の構造技術として、例えば、特開2015−85939号公報(特許文献1)当該公報には、「梱包箱に収納される収納品を衝撃から保護する電子機器用包装体であって、前記電子機器用包装体は、1枚の段ボール材と2枚のフィルムとで構成され、収納品を載置する、中央に開口部を設けた略矩形の載置部枠体と、前記載置部枠体の対向する2辺から外側に向けて延設される脚部片を、下方に折り曲げることで、前記載置部枠体と一体的に形成される第1の脚部と、矩形に形成され、前記載置部枠体の前記開口部を上方から覆うように対向する2辺の端部を前記脚部片に貼着された第1のフィルムと、前記載置部枠体の前記開口部を下方から閉塞するように貼着された第2のフィルムと、からなり、脚部片を前記載置部枠体の下方に折り曲げて前記第1の脚部を形成することで、前記第1のフィルムに所定の張力を掛け、収納品を前記載置部枠体と前記第1のフィルムとで挟持固定することを特徴とする電子機器用包装体」という記載がある。
また、特開2013−39950号公報(特許文献2)がある。当該公報には、「梱包箱は、外装部20と、外装部20の内部に配置される梱包具10とを備え、梱包具10は、物品100が搭載される物品搭載面部11と、物品搭載面部11の前端および後端から、物品が搭載される側に対して下方に折り曲げられた一対の下方曲げ部16と、を含み、一対の下方曲げ部16には、物品100を覆って保持するフィルムFが接着され、下方曲げ部16には、下方曲げ部16の外側に配置され、下方曲げ部16に対して折り曲げられる外側折り曲げ部16gを有する。」(要約書参照)という記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−85939号公報
【特許文献2】特開2013−39950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図8図11に示すような従来の梱包箱の構造によると、ロック用の舌片1427と長孔1428との係合を解除しない状態で、左右両側面及び正面を形成する各折込片を外側に広がるように力を加えても、広げることができない。強引に広げようとすれば、図10に示すようにロック用の舌片1427とロック用の長孔1428との係合が外れてしまう。
係る構造で組み立てた状態の梱包箱を複数積み重ねると、嵩張ることになり、その運搬の作業が容易でなく、また、梱包箱の組み立てをすべてばらして、つまり、解体して積み重ねると、左右、前後にずれ、整然と積み重ねことができない。
【0007】
その結果として、その積み重ねが不揃いになり、複数の空き状態の梱包箱を積み重ねて回収する作業が容易でなく、回収する作業効率が悪いという課題があった。
特許文献1及び特許文献2も同様である。
【0008】
要するに、従来の梱包箱は、何れも、使用済の空き状態の梱包箱を作業効率良く、嵩張らずに積み重ね、纏めて回収、搬送しやすい構造までは考慮されていない。
【0009】
そこで、本発明では、簡単な構造で、例えば、使用済の空き箱の梱包箱を整然と複数積み重ね、纏めることができ、複数の梱包箱を積み重ねた状態にて、例えば、別の大きな箱に収納して運搬や保管することを可能とした技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明では、梱包箱の角部に、梱包箱を広げ、弛ませることが可能な構造としたものである。
代表的な本発明の梱包箱の一つは、
1つのベースボードを折り込んで、物品を収容する収納部を含む梱包箱において、
前記梱包箱の正面部は、
前記ベースボードを折り込んで箱型に組み込んだとき、2つ折りの正面を構成する正面折込片を有し、2つ折りの正面折込片の折込部の、左右両側面寄りに、左右両側面を構成する左右両側面折込片の外側への広がりを規制するロック機能を有する孔を形成し、
さらに、前記2つ折りの正面折込片の一方の折り込み片に、当該2つ折りの正面折込片の開きを規制するロック用舌片を形成し、前記正面折込片の他方の折り込み片に前記ロック用舌片が挿入され、当該2つ折りの正面折込片の開きを規制するロック用孔を形成し、
前記正面折込片を外側へ広げたとき、前記ロック用舌片と前記ロック用孔が係合し、
前記梱包箱の正面への広がり過ぎを防止し、前記梱包箱を広げた状態で保持し、
前記梱包箱の左右両側面部は、
前記ベースボードを折り込んで箱型に組み込んだとき、左右両側面を構成する前記左右両側面折込片を有し、かつ、
前記左右両側面折片と2つ折りの前記正面折込片との角部に位置し、2つ折りの前記正面折込片との間に差し込まれ、当該左右両側面折込片を外側へ広げる力を加えたとき、2つ折りの前記正面折込片の内面に沿って回動し、前記孔の一部に係合する係合部を含む角折込片を有し、
前記角折込片は、
前記ベースボードを折り込んで箱型に組み込んだとき、前記2つ折りの正面折込片にて挟み込まれ、かつ、前記ロック用舌片から所定の距離をおいて前記収納部側に折り込まれ、前記左右両側面折込片及び前記正面折込片を外側へ広げる力を加えたとき、前記角部が外方向に突き出るように折り込み線を含み、所定角度傾き、広がる扇状の構造に形成し、
前記角折込片および前記ロック用舌片と前記ロック用孔は、
空き箱状態の梱包箱を展開したとき、2つ折りの正面折込片を所定範囲外側に広げることを可能とし、かつ、前記梱包箱の正面への広がり過ぎを防止し、前記梱包箱を広げた状態で保持する
ことを特徴とする。
【0011】
また、代表的な本発明の梱包箱の一つは、
1つのベースボードからなり、上下、前後、左右の各片を折り込んだとき、電子機器を梱包した梱包具を載置する四角形の載置面を形成する底面部、当該底面部を左右から囲む左右両側面を形成する左右両側面部、当該底面部を正面から囲む正面を形成する正面部、当該底面部を背後から囲む背面及び上面を形成する背面部及び上面部、を備えた梱包箱において、
前記左右両側面部は、前記ベースボードを折り込んだとき、左右両側面を形成する左右両側面折込片と、左右両側面から前記載置面に対向し、前記梱包具を上側から覆うカバー折込片を有し、
前記正面部は、前記ベースボードを折り込んだとき、正面を形成する2つ折りの正面折込片と、前記背面部の背面折込片から延びた前記カバー折込片の先端舌片に形成された横長の孔に嵌合又は係合される舌片および前記正面を形成する2つ折りの正面折込片の中央部に形成され、前記先端舌片が嵌合又は係合される横長の長孔を有し、
前記背面部は、前記ベースボードを折り込んだとき、背面を形成する背面折込片を有し、
前記上面部は、前記ベースボードを折り込んだとき、背面から前記載置面に対向し、前記梱包具を上側から覆うカバー折込片と、前記正面を形成する2つ折りの前記正面折込片の中央部に形成された横長の孔に嵌合又は係合される舌片を有し、
前記左右両側面部と前記正面部との角部には、前記左右両側面を形成する左右両側面折込片と連結され、同程度の幅を有し、
当該左右両側面を形成する左右両側面折込片から正面方向に延び、前記ベースボードを折り込んだとき、前記正面を形成する2つ折りの正面折込片との間に挿入され、
前記左右両側面を形成する左右両側面折込片を外側に広げたとき、当該正面を形成する2つ折りの正面折込片に沿って回動し、かつ、
前記正面を形成する2つ折りの正面折込片を正面方向に回動したとき、梱包箱の内側から外側に突き出るように広がる扇状の角折込片を有し、
前記梱包箱の内側から外側に突き出るように広がる角折込片は、
前記2つ折りの正面折込片にて挟み込まれ、かつ、当該角折込片を前記2つ折りの正面折込片の間に出し入れを可能とする折り込む折り線を有し、
前記2つ折りの正面折込片の一方の折り込み片に、当該2つ折りの正面折込片の開きを規制するロック用舌片を形成し、前記正面折込片の他方の折り込み片に前記ロック用舌片が挿入され、当該2つ折りの正面折込片の開きを規制するロック用孔を形成し、
前記正面折込片を外側へ広げたとき、前記ロック用舌片と前記ロック用孔が係合し、
前記角折込片および前記ロック用舌片と前記ロック用孔は、
空き箱状態の梱包箱を展開したとき、2つ折りの正面折込片を所定範囲外側に広げることを可能とし、かつ、
前記梱包箱の正面への広がり過ぎを防止し、前記梱包箱を広げた状態で保持する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、簡単な構造で、例えば、使用済の空き箱の梱包箱を複数積み重ね、纏めて運搬や保管するときに適した技術を提供することができる。また、梱包箱をトレイのような形態に変形できることで、複数の梱包箱の積み重ねが容易となり、梱包箱の作り置きが可能となる。これにより、物品梱包作業の効率化が図れる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は本発明の梱包箱を展開した状態を示す平面図である。
図2図2は本発明の梱包箱の外観を示す斜視図である。
図3図3は本発明の梱包箱の上面図である。
図4図4は梱包箱の上蓋を開き、その左右両側面部を左右方向に広げた状態を示す図である。
図5図5は梱包箱の正面部(前面部)を正面方向(前方方向)に広げた状態の正面部を拡大して示す図である。
図6A図6Aは梱包箱の左右両側面部を左右方向に広げた状態を保持、また、広がり過ぎを防止する構造を示す図である。
図6B図6Bは梱包箱の左右両側面部を左右方向に広げた状態を保持、また、広がり過ぎを防止する構造を示す図である。
図7A図7Aは空き箱状態の梱包箱を展開したとき、梱包箱の角を外側に広げ、この広げた状態において、複数の梱包箱を積み重ねた状態を示す図である。
図7B図7Bは主装置仕切り板材、固定材の様子を示す斜視図である。
図7C図7C図7Aに示す状態の梱包箱を、主装置を収納する箱に主装置仕切り板材を介して収納する様子を示す分解図である。
図7D図7Dは主装置を収納する箱の斜視図である。
図8図8は従来の梱包箱を展開した状態を示す平面図である。
図9図9は従来の梱包箱を組み立てたときの外観斜視図を示す図である。
図10図10は従来の梱包箱の左右両側面と正面とを広げることができない様子を示す図である。
図11図11は従来のロック用の舌片と長孔との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施例について図面を参照して説明する。本発明において、梱包箱に収納する収納品は、電子機器、以外の品物、例えば、医薬品、農作物などの物品であってもよい。
【実施例】
【0015】
図1図6A,Bは、本発明の梱包箱1の構造を示す図であって、図1は梱包箱1を展開した状態を示す平面図、図2は梱包箱1の外観を示す斜視図、図3は梱包箱1の上面図、図4は梱包箱1の上蓋を開き、その左右両側面部を左右方向に広げた状態を示す図、図5は梱包箱1の正面部(前面部)を正面方向(前方方向)に広げた状態の正面部を拡大して示す図、図6A、Bは梱包箱1の左右両側面部を左右方向に広げた状態を保持、また、広がり過ぎを防止する構造を示す図である。
【0016】
同図において、梱包箱1は、例えば、1つの段ボール材やプラスチック材など(ベースボード)からなる。以下、段ボール材を例に説明する。
1つの段ボール材は、例えば、電子機器を梱包した梱包具3(図7参照)を載置する四角形の載置面を形成する底面部11の左右にそれぞれ2つの折り込み線(谷折り線)171、172、175、176、正面を形成する正面部14に2つの折り込み線(谷折り線)173、177、切込み193、194、背面及び上面を構成する背面部及び上面部(蓋部)15に2つの折り込み線(谷折り線)174、178、切込み191、192、を形成している。
【0017】
したがって、これらの折り込み線に沿って、梱包箱1を形成する段ボール材を左右、前後の各片を折り込むと、左右両側面部12、13、正面部(前面部)14、背面部及び上面部(蓋部)15、からなる部品収納部を含む箱型が形成される。
【0018】
梱包箱1の底面部11は、例えば、電話機などの電子機器を梱包した梱包具を載置する四角形の載置面を含む。
【0019】
梱包箱1の左右両側面部12、13は、前記ベースボードを折り込み線171、175に沿って折り込んだとき、左右両側面を形成する左右両側面折込片121、131と、左右両側面から前記載置面に対向し、前記梱包具を上側から覆うカバー折込片122、132を有する。カバー折込片122、132は、必ずしも必要としないが、これにより、空き梱包箱1を積み重ねる場合、左右の広がりを抑える機能を有し、つまり、複数の梱包箱1を積み重ねて纏めやすくなる(図7A参照)。
【0020】
梱包箱1の正面部14は、前記ベースボードを折り込み線173、177に沿って折り込んだとき、正面を形成する2つ折りの正面折込片141、142と、前記背面折込片151から延びた前記カバー折込片152の先端舌片153に形成された横長の長孔1531に嵌合又は係合される舌片1421を有する。舌片1421は、正面の折り片141の一部をU字状に切り、その切り取り部を折り曲げて形成したものである。
【0021】
梱包箱1の背面部及び上面部(蓋部)15は、前記ベースボードを折り込み線174、178に沿って折り込んだとき、背面を形成する背面折込片151と、背面から前記載置面に対向し、前記梱包具を上側から覆う上面(蓋)を形成するカバー折込片152と、前記正面を形成する2つの折込片の中央部に形成された横長の長孔に嵌合又は係合される舌片153を有する。
【0022】
前記左右両側面部12、13と前記背面部及び上面部(蓋部)15の角部には、前記左右両側面を形成する左右両側面折込片121、131と同程度の幅を有し、背面方向に延び、前記ベースボードを折り込んだとき、前記背面を形成する背面折込片151に重なるように折り込まれる角折込片163、164を有する。
【0023】
左右両側面部12,13と正面部14との角部には、前記左右両側面を形成する左右両側面折込片121、131と連結され、同程度の幅を有し、当該左右両側面を形成する左右両側面折込片121、131から正面方向に延び、前記ベースボードを折り込んで梱包箱1を組み立てたとき、梱包箱1の内側に収まるように装着される角折込片161、162を有する。
【0024】
すなわち、前記左右両側面を形成する左右両側面折込片121、131及びカバー折込片122、132を、折り込み線171、172を支点として左右方向に回動して広げたとき(図4参照)、また、前記正面を形成する2つ折りの折込片141、142を、折り込み線172を支点として正面方向に回動して広げたとき(図5参照)、梱包箱1の内側から外側に突き出るように広がる扇状の角折込片161、162を有する。角部の角折込片161、162が広がることにより、梱包箱1としては、全体として、多少弛むことになる。
【0025】
前記梱包箱1の内側から外側に突き出るように広がる角折込片161、162は、梱包箱1の組み立てのとき、当該角片を2つ折りされて折り畳まれた片(折り線1611、1621部分)が梱包箱1の内側に入り込み、また、梱包箱1の左右両側面、正面部分を外側に動かしたとき、元に戻って外側に広がるようにする折り線1611(山折り線)、1612(谷折り線)、1621(山折り線)、1622(谷折り線)を有する。
【0026】
係る構成にすることにより、正面の2つ折りの正面折込片141、142は、角折込片161、162の分だけ多少外側に広がり、左右両側面の左右両側面折込片121、131は、角折込片161、162と正面の2つ折りの正面折込片141、142により、外側への広がりは規制され、半開きの状態となる(図4参照)。
【0027】
換言すれば、左右両側面部12、13は、左右方向に延びた左右両折込片121、122、131、132とともに、左右両折込片121、131と同程度の幅を有し、背面部及び上面部(蓋部)15側に延び、折り込み線174に沿って折り曲げ可能な長方形の角折込片163、164及び正面方向に延び、折り込み線173、1611、1621に沿って折り曲げ可能な扇状に近い形の角折込片161、162を有する。
【0028】
要するに、梱包箱1の正面部14は、ベースボードを折り込んで箱型に組み込んだとき、2つ折りの正面を構成する正面折込片141、142を有し、当該2つ折りの正面折込片の折込部の、左右両側面寄りに、左右両側面を構成する左右両側面折片の外側への広がりを規制するロック機能を有する孔1427、1428を形成する。
【0029】
梱包箱1の左右両側面部12、13は、前記ベースボードを折り込んで箱型に組み込んだとき、左右両側面を形成する左右両側面折込片121、131を有し、かつ、左右両側面折込片121、131と2つ折りの正面折込片との角部に位置し、当該2つ折りの正面折込片141、142との間に差し込まれ、当該左右両側面折込片を外側へ広げたとき、当該2つ折りの正面折込片の内面に沿って回動し、前記ロック機能を有する角折込片161、162の一部に係合する係止部1613、1623を含む角折込片161、162を有する。
【0030】
角折込片161、162は、梱包箱1を左右方向に、また、正面方向に広がるよう工夫した構造としたものであり、正面側の角折込片161、162には、梱包箱1の角部が外方向に突き出るように折り込み線1611、1621を形成してある。
この折り込み線1611、1621により、角折込片161、162を三角形の片と先端中央が窪んだ扇形の凸片を形付けている。
【0031】
つまり、前記ベースボードを折り込んで箱型に組み込んだとき、収納部側に折り込まれ、左右両側面折込片121、131及び正面折込片141、142を外側方向へ力を加えたとき、弛んで所定角度傾き、広がる、扇状の構造に形成してある。
【0032】
また、前記正面部14は、正面を形成する2つ折りの正面折込片141、142を正面側に力を加えて広げたとき、当該正面折込片141、142の広がり範囲を規制するロック機能を有するロック部材、例えば、ロック用の舌片1423、1424と、当該舌片が篏合するロック用の孔1425、1426を有する(図6参照)。ロック用の舌片1423、1424は、正面の折り返し片141の一部を切起こして形成したものである。
【0033】
このロック機能を有するロック部材は、梱包箱1の広がり過ぎるのを防止するロック部材又はストッパ部材であり、及び/または、梱包箱1を広げた状態を保持するロック部材である。
【0034】
上述した本実施例によれば、梱包箱1を組み立てたとき、四角形の箱型を構成する梱包箱1の角部に折り曲げ可能な角折込片161、162を設けた構造としているため、梱包箱1の左右両側面を形成する左右両側面折込片121、131を左右方向に広げることが可能となり、また、梱包箱1の正面を形成する正面折込片141、142を正面方向に広げることが可能となる。
【0035】
このように、左右両側面を構成する左右両側面折片及び2つ折りの正面片を構成する正面折片を所定範囲外側に広げることにより、梱包箱1を全面解体することなく、安定して複数の梱包箱1を積み重ね、コンパクトに纏めることができる。
その結果、梱包箱1をお客様に配達し、当該梱包箱に収納した電子機器を設置したあと、空き箱となった空き梱包箱1を回収し、持ち帰る、事業者にとっては、例えば、一つの通い箱に纏めて収納、回収し、搬送することができ、その回収作業が容易に行える。
また、梱包箱をトレイのような形態に変形できることで、複数の梱包箱1の積み重ねが容易となり、梱包箱の作り置きが可能となる。これにより、物品梱包作業の効率化が図れる。
【0036】
図7は、その様子を説明するための図であって、図7Aは空き箱状態の梱包箱1を展開したとき、梱包箱1の角を外側に広げ、この広げた状態において、複数の梱包箱1を積み重ねた状態を示す図、図7Bは主装置仕切り板材41、固定材42の様子を示す斜視図、図7C図7Aに示す状態の梱包箱1を、主装置(図示せず)を収納する箱(保管箱又は通い箱など)2に主装置仕切り板材41を介して収納する様子を示す分解図、図7Dは主装置を収納する箱(保管箱又は通い箱など)2の斜視図である。
【0037】
同図において、まず、梱包箱1の角部を外側に広げ、この広げた状態で梱包箱1を積み重ねる(図7A)。次に、主装置との仕切り板材から着脱自在の固定材を引き抜く(図7B)。次いで、主装置を収納する箱(空箱)2に板材41、固定材42、梱包箱1、梱包具3、などを重ねるようにして順次収納する(図7C)。収納したあとは、箱2の蓋を閉じる(図7D)。
【0038】
これにより、使用済の梱包箱1を含め、コンパクトに整理することができ、複数の梱包箱1を整然と積み重ねて纏めて搬送、廃棄処分などができる。
【0039】
なお、本発明は、上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かり易くする説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
【符号の説明】
【0040】
1、1’・・・梱包箱
11・・・底面部
12、13・・・左右両側面部
121、131・・・左右両側面を形成する左右両側面折込片
122、132・・・カバー折込片
14・・・正面部
141、142・・・2つ折りの正面折込片
1423、1424・・・ロック用の舌片
1425、1426・・・ロック用の孔
1427、1428・・・長孔
15・・・背面部及び上面部(蓋部)
151・・・背面を形成する背面折込片
152・・・カバー折込片
153、153’・・・背面片の先端舌片
161、162、163、164・・・角折込片
1613、1623・・・係止部
171、172、175、176、174、178、173、177、1611、1612、1621、1622・・・折り込み線
191、192、193、194・・・切込み
2・・・箱
3・・・梱包具
41・・・主装置仕切り板材
42・・・固定材

図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
図9
図10
図11