(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のエレベーターシステムにおいては、運転制御のエラーが発生することもある。この場合、釣合オモリが昇降路の下部に入り込むこともある。
【0005】
この発明は、上述の課題を解決するためになされた。この発明の目的は、作業者の安全をより確実に確保することができるエレベーターの制御装置およびエレベーターシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るエレベーターの制御装置は、作業者がエレベーターのかごの天井部にいることを検出する検出部と、前記検出部による作業者の検出時において、前記エレベーターの昇降路の上部において前記かごが予め設定された位置に到達した際に前記昇降路の側に
おいて第1機器よりも上方に設けられた
第2機器に接触するように前記かごの側に設けられた機器を動作させることで、前記かごの上昇を抑制する制御部と、を備え、前記制御部は、前記検出部による作業者の検出時において、前記かごが前記昇降路の側に設けられた
第2機器と前記かごの側に設けられた機器とが接触し得る位置の下方において
前記昇降路の側に設けられた第1機器と前記かごの側に設けられた機器とが接触することにより停止している
状態を解放する場合は、前記かごを昇降させる巻上機のダイナミックブレーキを有効に
した状態において、前記かごの側に設けられた機器を突き出させたまま前記昇降路の側に設けられた第1機器を前記かごの側に設けられた機器から離れる方向に動作させることで前記昇降路の側に設けられた第1機器を前記かごの側に設けられた機器との接触から解放させ、前記かごが上昇した際に前記かごの側に設けられた機器が前記昇降路の側に設けられた第2機器において下方に開口した切り欠きに収まるように、前記かごの側に設けられた機器を突き出した状態に維持する。
【0007】
この発明に係るエレベーターの制御装置は、作業者がエレベーターの昇降路の下部にいることを検出する検出部と、前記検出部による作業者の検出時において、前記昇降路の下部において前記エレベーターのかごが予め設定された位置に到達した際に前記昇降路の側に設けられた機器に接触するように前記かごの側に設けられた機器を動作させることで、前記かごの下降を抑制する制御部と、を備え、前記制御部は、前記検出部による作業者の検出時において、前記かごが
前記昇降路の側に設けられた機器と前記かごの側に設けられた機器とが接触し得る位置の上方において停止している場合は、前記かごを昇降させる巻上機のダイナミックブレーキを有効にする。
【0008】
この発明に係るエレベーターの制御装置は、作業者がエレベーターの昇降路の下部にいることを検出する検出部と、前記検出部による作業者の検出時において、前記昇降路の下部において前記エレベーターの釣合オモリが予め設定された位置に到達した際に前記昇降路の側に設けられた機器に接触するように前記
釣合オモリの側に設けられた機器を動作させることで、前記釣合オモリの下降を抑制する制御部と、を備え、前記制御部は、前記検出部による作業者の検出時において、前記
釣合オモリが
前記昇降路の側に設けられた機器と前記釣合オモリの側に設けられた機器とが接触し得る位置の上方において停止している場合は、前記
エレベーターのかごを昇降させる巻上機のダイナミックブレーキを有効にする。
【0009】
この発明に係るエレベーターシステムは、エレベーターのかごの天井部にいる作業者を検出する上側検出装置と、前記エレベーターの昇降路の上部に
おいて昇降路側移動抑制体よりも上方に設けられたかご側上昇抑制体と、前記かごに設けられたかご側接触体と、前記上側検出装置による作業者の検出時において、前記昇降路の上部において前記かごが予め設定された位置に到達した際に前記かご側接触体が前記かご側上昇抑制体と接触して前記かごの上昇を抑制するように前記かご側接触体を前記かご側上昇抑制体の側へ突き出させる制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記作業者の検出時において、前記エレベーターのかごが前記かご側接触体と前記かご側上昇抑制体とが接触し得る位置の下方において
前記かご側接触体と前記昇降路側移動抑制体とが接触することにより停止している
状態を解放する場合は、前記かごを昇降させる巻上機のダイナミックブレーキを有効に
した状態において、前記かご側接触体を突き出させたまま前記昇降路側移動抑制体を前記かご側接触体から離れる方向に動作させることで前記昇降路側移動抑制体を前記かご側接触体との接触から解放させ、前記かごが上昇した際に前記かご側接触体が前記かご側上昇抑制体の切り欠きに収まるように、前記かご側接触体を突き出した状態に維持する。
【0010】
この発明に係るエレベーターシステムは、エレベーターの昇降路の下部にいる作業者を検出する下側検出装置と、前記昇降路の下部に設けられたかご側下降抑制体と、前記エレベーターのかごに設けられたかご側接触体と、前記下側検出装置による作業者の検出時において、前記昇降路の下部において前記かごが予め設定された位置に到達した際に前記かご側接触体が前記かご側下降抑制体と接触して前記かごの下降を抑制するように前記かご側接触体を前記かご側下降抑制体の側へ突き出させる制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記作業者の検出時において、前記エレベーターのかごが
前記かご側接触体と前記かご側下降抑制体とが接触し得る位置の上方において停止している場合は、前記かごを昇降させる巻上機のダイナミックブレーキを有効にする。
【0011】
この発明に係るエレベーターシステムは、エレベーターの昇降路の下部にいる作業者を検出する下側検出装置と、前記昇降路の下部に設けられたオモリ側下降抑制体と、前記エレベーターの釣合オモリに設けられたオモリ側接触体と、前記下側検出装置が作業者を検出している際に、前記昇降路の下部において前記釣合オモリが予め設定された位置に到達したときに前記オモリ側接触体が前記オモリ側下降抑制体と接触して前記釣合オモリの下降を抑制するように前記オモリ側接触体を前記オモリ側下降抑制体の側へ突き出させる制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記作業者の検出時において、前記エレベーターの
釣合オモリが
前記オモリ側接触体と前記オモリ側下降抑制体とが接触し得る位置の上方において停止している場合は、前記
エレベーターのかごを昇降させる巻上機のダイナミックブレーキを有効にする。
【発明の効果】
【0012】
これらの発明によれば、作業者の検出時において、かごの昇降が抑制される。また、釣合オモリの下降が抑制される。このため、作業者の安全をより確実に確保することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
この発明を実施するための形態について添付の図面に従って説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には同一の符号が付される。当該部分の重複説明は適宜に簡略化または省略する。
【0015】
実施の形態1.
図1は実施の形態1におけるエレベーターシステムの構成図である。
【0016】
図1のエレベーターシステムは、機械室のないエレベーターシステムである。当該エレベーターシステムにおいて、昇降路1は、建築物の各階を貫く。図示されない複数の乗場の各々は、建築物の各階に設けられる。複数の乗場の各々は、昇降路1に対向する。
【0017】
巻上機2は、昇降路1の上部に設けられる。綱車3は、巻上機2の回転軸に取り付けられる。主ロープ4は、綱車3に巻き掛けられる。
【0018】
図示されない一対のかご側ガイドレールは、昇降路1に設けられる。図示されない一対のオモリ側ガイドレールは、昇降路1に設けられる。
【0019】
かご5は、昇降路1の内部に設けられる。かご5は、一対のかご側ガイドレールに案内される。かご5は、主ロープ4の一側に支持される。釣合オモリ6は、昇降路1の内部に設けられる。釣合オモリ6は、一対のオモリ側ガイドレールに案内される。釣合オモリ6は、主ロープ4の他側に支持される。
【0020】
上側検出装置7は、かご5の天井部に設けられる。例えば、上側検出装置7は、かご5の天井部にいる作業者をカメラにより検出し得るように設けられる。例えば、上側検出装置7は、かご5の天井部にいる作業者を圧力感知マットにより検出し得るように設けられる。例えば、上側検出装置7は、かご5の天井部にいる作業者を当該作業者の作業服または安全靴に埋め込まれた検出片を認識することにより検出し得るように設けられる。通常時において、上側検出装置7への電力は、商用電源から供給される。例えば、上側検出装置7は、かご5の天井にいる作業者がかご5の天井に折り畳まれている安全柵を起立させた際に作動するスイッチにより検出し得るように設けられる。停電時において、上側検出装置7への電力は、バッテリーから供給される。
【0021】
下側検出装置8は、昇降路1の下部に設けられる。例えば、下側検出装置8は、昇降路1の下部にいる作業者をカメラにより検出し得るように設けられる。例えば、下側検出装置8は、昇降路1の下部にいる作業者を圧力感知マットにより検出し得るように設けられる。例えば、下側検出装置8は、昇降路1の下部にいる作業者を当該作業者の作業服または安全靴に埋め込まれた検出片を認識することにより検出し得るように設けられる。例えば、下側検出装置8は、昇降路1の下部にいる作業者が昇降路1の下部の作業領域を照らす照明装置を作動させたことにより検出し得るように設けられる。通常時において、下側検出装置8への電力は、商用電源から供給される。停電時において、下側検出装置8への電力は、バッテリーから供給される。
【0022】
かご側上昇抑制体9は、昇降路1の上部に設けられる。例えば、かご側上昇抑制体9は、一対のかご側ガイドレールの一方に設けられる。
【0023】
かご側下降抑制体10は、昇降路1の下部に設けられる。例えば、かご側下降抑制体10は、一対のかご側ガイドレールの一方に設けられる。
【0024】
オモリ側下降抑制体11は、昇降路1の下部に設けられる。例えば、オモリ側下降抑制体11は、一対のオモリ側ガイドレールの一方に設けられる。
【0025】
第1昇降路側移動抑制体12は、昇降路1の上部に設けられる。第1昇降路側移動抑制体12は、かご側上昇抑制体9の下方に設けられる。例えば、第1昇降路側移動抑制体12は、一対のかご側ガイドレールの一方に設けられる。
【0026】
第2昇降路側移動抑制体13は、昇降路1の上部に設けられる。第2昇降路側移動抑制体13は、かご側上昇抑制体9と第1昇降路側移動抑制体12との間に設けられる。例えば、第2昇降路側移動抑制体13は、一対のかご側ガイドレールの一方に設けられる。
【0027】
第3昇降路側移動抑制体14は、昇降路1の上部に設けられる。第3昇降路側移動抑制体14は、かご側上昇抑制体9と第2昇降路側移動抑制体13との間に設けられる。例えば、第3昇降路側移動抑制体14は、一対のかご側ガイドレールの一方に設けられる。
【0028】
かご側接触体15は、かご5に設けられる。例えば、かご側接触体15は、かご5の上部に設けられる。
【0029】
オモリ側接触体16は、釣合オモリ6に設けられる。例えば、オモリ側接触体16は、釣合オモリ6の上部に設けられる。
【0030】
第1昇降路側スイッチ17は、昇降路1の上部に設けられる。第1昇降路側スイッチ17は、第1昇降路側移動抑制体12に対応した位置に設けられる。例えば、第1昇降路側スイッチ17の鉛直方向の位置は、第1昇降路側移動抑制体12の鉛直方向の位置と同等に設定される。
【0031】
第2昇降路側スイッチ18は、昇降路1の上部に設けられる。第2昇降路側スイッチ18は、第2昇降路側移動抑制体13に対応した位置に設けられる。例えば、第2昇降路側スイッチ18の鉛直方向の位置は、第2昇降路側移動抑制体13の鉛直方向の位置と同等に設定される。
【0032】
第3昇降路側スイッチ19は、昇降路1の上部に設けられる。第3昇降路側スイッチ19は、第3昇降路側移動抑制体14に対応した位置に設けられる。例えば、第3昇降路側スイッチ19の鉛直方向の位置は、第3昇降路側移動抑制体14の鉛直方向の位置と同等に設定される。
【0033】
制御装置20は、昇降路1の上部に設けられる。制御装置20は、筐体部20aと検出部20bと制御部20cとを備える。
【0034】
筐体部20aは、外郭をなす。例えば、筐体部20aは、矩形状に形成される。筐体部20aは、昇降路1の壁面に固定される。
【0035】
検出部20bは、筐体部20aに収納される。検出部20bは、上側検出装置7の検出結果に基づいて作業者がかご5の天井部にいることを検出し得るように設けられる。検出部20bは、下側検出装置8の検出結果に基づいて作業者が昇降路1の下部にいることを検出し得るように設けられる。
【0036】
制御部20cは、筐体部20aに収納される。制御部20cは、エレベーターシステム全体を制御し得るように設けられる。
【0037】
エレベーターの保守作業時において、エレベーターのモードは保守作業のモードに設定される。エレベーターのモードが保守作業のモードである場合に作業者がかご5の天井部に乗ると、上側検出装置7は、かご5の天井部にいる作業者を検出する。
【0038】
この際、制御装置20において、検出部20bは、作業者がかご5の天井部にいることを検出する。制御部20cは、検出部20bが作業者を検出している際に図示されない作動機構によりかご側接触体15をかご側上昇抑制体9の方向へ水平方向に突き出させる。作動機構は、電磁石、電動機、動力シリンダー等によるアクチュエータである。また、オモリ側接触体16、第1昇降路側移動抑制体12、第2昇降路側移動抑制体13及び第3昇降路側移動抑制体14も同様の作動機構を備える。
【0039】
その後、作業者が図示されない手動スイッチでかご5の上昇運転を設定すると、制御装置20において、制御部20cは、筐体部20aの下部の作業に最適な高さまでかご5を自動で上昇させる。かご5が筐体部20aの下部の作業に最適な高さに到達すると、制御部20cは、かご5を自動で停止させる。この際、制御部20cは、巻上機2のダイナミックブレーキを有効にする。
【0040】
その後、作業者は、第1昇降路側スイッチ17を第1状態から第2状態へ操作する。第1昇降路側スイッチ17が第2状態になると、制御装置20において、制御部20cは、作動機構により第1昇降路側移動抑制体12をかご5の側へ移動させる。この際、第1昇降路側移動抑制体12は、かご側接触体15に接触する。その結果、かご5の移動が抑制される。この状態において、作業者は、制御装置20の下部に対する作業を行う。
【0041】
その後、作業者は、第1昇降路側スイッチ17を第2状態から第1状態へ操作する。第1昇降路側スイッチ17が第1状態になると、制御装置20において、制御部20cは、作動機構により第1昇降路側移動抑制体12をかご5の側とは反対側へ移動させる。この際、第1昇降路側移動抑制体12は、かご側接触体15との接触から解放される。その結果、かご5の移動の抑制が解放される。
【0042】
その後、作業者が手動スイッチでかご5の上昇運転を設定すると、制御装置20において、制御部20cは、巻上機2のダイナミックブレーキを無効にする。その後、制御部20cは、筐体部20aの上部の作業に最適な高さまでかご5を自動で上昇させる。かご5が筐体部20aの上部の作業に最適な高さに到達すると、制御部20cは、かご5を自動で停止させる。この際、制御部20cは、巻上機2のダイナミックブレーキを有効にする。
【0043】
その後、作業者は、第2昇降路側スイッチ18を第1状態から第2状態へ操作する。第2昇降路側スイッチ18が第2状態になると、制御装置20において、制御部20cは、作動機構により第2昇降路側移動抑制体13をかご5の側へ移動させる。この際、第2昇降路側移動抑制体13は、かご側接触体15に接触する。その結果、かご5の移動が抑制される。この状態において、作業者は、制御装置20の上部に対する作業を行う。
【0044】
その後、作業者は、第2昇降路側スイッチ18を第2状態から第1状態へ操作する。第2昇降路側スイッチ18が第1状態になると、制御装置20において、制御部20cは、作動機構により第2昇降路側移動抑制体13をかご5の側とは反対側へ移動させる。この際、第2昇降路側移動抑制体13は、かご側接触体15との接触から解放される。その結果、かご5の移動の抑制が解放される。
【0045】
その後、作業者が手動スイッチでかご5の上昇運転を設定すると、制御装置20において、制御部20cは、巻上機2のダイナミックブレーキを無効にする。その後、制御部20cは、巻上機2の作業に最適な高さまでかご5を自動で上昇させる。かご5が巻上機2の作業に最適な高さに到達すると、制御部20cは、かご5を自動で停止させる。この際、制御部20cは、巻上機2のダイナミックブレーキを有効にする。
【0046】
その後、作業者は、第3昇降路側スイッチ19を第1状態から第2状態へ操作する。第3昇降路側スイッチ19が第2状態になると、制御装置20において、制御部20cは、作動機構により第3昇降路側移動抑制体14をかご5の側へ移動させる。この際、第3昇降路側移動抑制体14は、かご側接触体15に接触する。その結果、かご5の移動が抑制される。この状態において、作業者は、巻上機2に対する作業を行う。
【0047】
その後、作業者は、第3昇降路側スイッチ19を第2状態から第1状態へ操作する。第3昇降路側スイッチ19が第1状態になると、制御装置20において、制御部20cは、作動機構により第3昇降路側移動抑制体14をかご5の側とは反対側へ移動させる。この際、第3昇降路側移動抑制体14は、かご側接触体15との接触から解放される。その結果、かご5の移動の抑制が解放される。
【0048】
巻上機2のダイナミックブレーキが有効となっている状態において、かご5が何らかの理由で上昇すると、かご側接触体15は、かご側上昇抑制体9に徐々に近づく。その後、かご5が予め設定された位置に到達すると、かご側接触体15は、かご側上昇抑制体9に接触する。その結果、かご5の上昇が機械的に抑制される。この際、昇降路1の天井部とかご5との間には、所定の長さ、例えば作業者の身長等よりも鉛直方向に長い安全領域が確保される。
【0049】
エレベーターのモードが保守作業のモードである場合に作業者が昇降路1の下部に入ると、下側検出装置8は、昇降路1の下部にいる作業者を検出する。
【0050】
この際、制御装置20において、検出部20bは、作業者が昇降路1の下部にいることを検出する。制御部20cは、検出部20bが作業者を検出している際に作動機構によりかご側接触体15をかご側下降抑制体10の方向へ水平方向に突き出させる。制御部20cは、検出部20bが作業者を検出している際に作動機構によりオモリ側接触体16をオモリ側下降抑制体11の方向へ水平方向に突き出させる。
【0051】
巻上機2のダイナミックブレーキが有効となっている状態において、かご5が何らかの理由で下降すると、かご側接触体15は、かご側下降抑制体10に徐々に近づく。その後、かご5が予め設定された位置に到達すると、かご側接触体15は、かご側下降抑制体10に接触する。その結果、かご5の下降が機械的に抑制される。この際、昇降路1の底部とかご5の底部との間には、所定の長さ、例えば作業者の身長等よりも鉛直方向に長い安全領域が確保される。
【0052】
巻上機2のダイナミックブレーキが有効となっている状態において、釣合オモリ6が何らかの理由で下降すると、オモリ側接触体16は、オモリ側下降抑制体11に徐々に近づく。その後、釣合オモリ6が予め設定された位置に到達すると、オモリ側接触体16は、オモリ側下降抑制体11に接触する。その結果、釣合オモリ6の下降が機械的に抑制される。この際、昇降路1の底部と釣合オモリ6の底部との間には、所定の長さ、例えば作業者の身長等よりも鉛直方向に長い安全領域が確保される。
【0053】
次に、
図2から
図5を用いて、かご5の移動の抑制を説明する。
図2から
図4は実施の形態1におけるエレベーターシステムの要部の斜視図である。
図5は実施の形態1におけるエレベーターシステムの要部の側面図である。
【0054】
図2に示されるように、かご側接触体15は、爪15aを備える。かご側接触体15は、爪15aが作動機構によりかご5のガイドレールの方向に移動し得るように設けられる。
図2に示されるように、第1昇降路側移動抑制体12は、貫通部12aを備える。第1昇降路側移動抑制体12は、貫通部12aが図示されない作動機構によりかご5の方向に移動し得るように設けられる。
図2には、かご側接触体15の爪15aがかご5のガイドレールの方向に移動していない状態と、第1昇降路側移動抑制体12の貫通部12aがかご5の方向に移動していない状態が示される。なお、第2昇降路側移動抑制体13、第3昇降路側移動抑制体14は、第1昇降路側移動抑制体12と同様の構成のため図示は省略される。
【0055】
図3から
図5に示されない制御装置20の下部に対して作業が行われる場合、
図3から
図5に示されるように、前述された作動機構により第1昇降路側移動抑制体12は、かご5の側に移動する。この際、爪15aは、第1昇降路側移動抑制体12の貫通部12aを貫通する。この状態で、かご5が昇降すると、爪15aの基部が第1昇降路側移動抑制体12の貫通部12aの縁部に接触する。その結果、かご5の移動が抑制される。
【0056】
図示されないが、制御装置20の上部に対して作業が行われる場合、前述された作動機構により第2昇降路側移動抑制体13は、かご5の側に移動する。この際、爪15aは、第2昇降路側移動抑制体13の貫通部を貫通する。この状態で、かご5が昇降すると、爪15aの基部が第2昇降路側移動抑制体13の貫通部の縁部に接触する。その結果、かご5の移動が抑制される。
【0057】
図示されないが、巻上機2に対して作業が行われる場合、前述された作動機構により第3昇降路側移動抑制体14は、かご5の側に移動する。この際、爪15aは、第3移動抑制体の貫通部を貫通する。この状態で、かご5が昇降すると、爪15aの基部が第3昇降路側移動抑制体14の貫通部の縁部に接触する。その結果、かご5の移動が抑制される。
【0058】
次に、
図6と
図7とを用いて、かご5の上昇の抑制を説明する。
図6と
図7とは実施の形態1におけるエレベーターシステムの要部の斜視図である。
【0059】
図6に示されるように、かご側上昇抑制体9は、切り欠き9aを備える。切り欠き9aは、下方に開口する。
【0060】
図7に示されるように、かご5が予め設定された位置まで上昇すると、かご側接触体15の爪15aは、かご側上昇抑制体9の切り欠き9aに収まる。この状態において、かご5が上昇すると、爪15aの基部がかご側上昇抑制体9の切り欠き9aの上縁部に接触する。その結果、かご5の上昇が抑制される。
【0061】
次に、
図8と
図9とを用いて、かご5の下降の抑制と釣合オモリ6の下降の抑制とを説明する。
図8と
図9とは実施の形態1におけるエレベーターシステムの要部の斜視図である。
【0062】
図8に示されるように、かご側下降抑制体10は、切り欠き10aを備える。切り欠き10aは、上方に開口する。
【0063】
図9に示されるように、かご5が予め設定された位置まで下降すると、かご側接触体15の爪15aは、かご側下降抑制体10の切り欠き10aに収まる。この状態において、かご5が下降すると、爪15aの基部がかご側下降抑制体10の切り欠き10aの下縁部に接触する。その結果、かご5の下降が抑制される。
【0064】
図示されないが、オモリ側接触体16は、かご側接触体15の爪15aと同等の爪を備える。オモリ側接触体16は、爪が作動機構により釣合オモリ6のガイドレールの方向に移動し得るように設けられる。
【0065】
図示されないが、オモリ側下降抑制体11は、切り欠きを備える。切り欠きは、上方に開口する。
【0066】
釣合オモリ6が予め設定された位置まで下降すると、オモリ側接触体16の爪は、オモリ側下降抑制体11の切り欠きに収まる。この状態において、釣合オモリ6が下降すると、爪の基部がオモリ側下降抑制体11の貫通部の下縁部に接触する。その結果、釣合オモリ6の下降が抑制される。
【0067】
次に、
図10と
図11とを用いて、制御装置20と巻上機2の保守作業時における制御装置20の動作の概要を説明する。
図10と
図11とは実施の形態1におけるエレベーターシステムの制御装置の動作の概要を説明するためのフローチャートである。
【0068】
ステップS1では、制御装置20は、かご5の上昇運転が手動スイッチで設定されたか否かを判定する。
【0069】
ステップS1でかご5の上昇運転が手動スイッチで設定されない場合、制御装置20は、ステップS1の動作を行う。ステップS1でかご5の上昇運転が手動スイッチで設定された場合、制御装置20は、ステップS2の動作を行う。
【0070】
ステップS2では、制御装置20は、筐体部20aの下部の作業に最適な高さまでかご5を上昇させる。その後、制御装置20は、ステップS3の動作を行う。ステップS3では、制御装置20は、筐体部20aの下部の作業に最適な高さでかご5を停止させる。その後、制御装置20は、ステップS4の動作を行う。
【0071】
ステップS4は、制御装置20は、第1昇降路側スイッチ17が第1状態から第2状態に操作されたか否かを判定する。
【0072】
ステップS4で第1昇降路側スイッチ17が操作された場合、制御装置20は、ステップS5の動作を行う。ステップS5では、制御装置20は、かご5を停止させた状態に維持する。その後、制御装置20は、ステップS6の動作を行う。ステップS6では、制御装置20は、第1昇降路側スイッチ17が第2状態から第1状態に操作されたか否かを判定する。
【0073】
ステップS6で第1昇降路側スイッチ17が第2状態から第1状態に操作されていない場合、制御装置20は、ステップS5の動作を行う。ステップS6で第1昇降路側スイッチ17が第2状態から第1状態に操作された場合、制御装置20は、ステップS7の動作を行う。
【0074】
ステップS4で第1昇降路側スイッチ17が操作されない場合も、制御装置20は、ステップS7の動作を行う。
【0075】
ステップS7では、制御装置20は、かご5の上昇運転が手動スイッチで設定されたか否かを判定する。
【0076】
ステップS7でかご5の上昇運転が手動スイッチで設定されない場合、制御装置20は、ステップS7の動作を行う。ステップS7でかご5の上昇運転が手動スイッチで設定された場合、制御装置20は、ステップS8の動作を行う。
【0077】
ステップS8では、制御装置20は、筐体部20aの上部の作業に最適な高さまでかご5を上昇させる。その後、制御装置20は、ステップS9の動作を行う。ステップS9では、制御装置20は、筐体部20aの上部の作業に最適な高さでかご5を停止させる。その後、制御装置20は、ステップS10の動作を行う。
【0078】
ステップS10では、制御装置20は、第2昇降路側スイッチ18が第1状態から第2状態に操作されたか否かを判定する。
【0079】
ステップS10で第2昇降路側スイッチ18が操作された場合、制御装置20は、ステップS11の動作を行う。ステップS11では、制御装置20は、かご5を停止させた状態に維持する。その後、制御装置20は、ステップS12の動作を行う。ステップS12では、制御装置20は、第2昇降路側スイッチ18が第2状態から第1状態に操作されたか否かを判定する。
【0080】
ステップS12で第2昇降路側スイッチ18が第2状態から第1状態に操作されていない場合、制御装置20は、ステップS11の動作を行う。ステップS12で第1昇降路側スイッチ17が第2状態から第1状態に操作された場合、制御装置20は、ステップS13の動作を行う。
【0081】
ステップS10で第2昇降路側スイッチ18が操作されない場合も、制御装置20は、ステップS13の動作を行う。
【0082】
ステップS13では、制御装置20は、かご5の上昇運転が手動スイッチで設定されたか否かを判定する。
【0083】
ステップS13でかご5の上昇運転が手動スイッチで設定されない場合、制御装置20は、ステップS13の動作を行う。ステップS13でかご5の上昇運転が手動スイッチで設定された場合、制御装置20は、ステップS14の動作を行う。
【0084】
ステップS14では、制御装置20は、巻上機2の作業に最適な高さまでかご5を上昇させる。その後、制御装置20は、ステップS15の動作を行う。ステップS15では、制御装置20は、巻上機2の作業に最適な高さでかご5を停止させる。その後、制御装置20は、ステップS16の動作を行う。
【0085】
ステップS16では、制御装置20は、第3昇降路側スイッチ19が第1状態から第2状態に操作されたか否かを判定する。
【0086】
ステップS16で第3昇降路側スイッチ19が第1状態から第2状態に操作された場合、制御装置20は、ステップS17の動作を行う。ステップS17では、制御装置20は、かご5を停止させた状態に維持する。その後、制御装置20は、ステップS18の動作を行う。ステップS18では、制御装置20は、第3昇降路側スイッチ19が第2状態から第1状態に操作されたか否かを判定する。
【0087】
ステップS18で第3昇降路側スイッチ19が第2状態から第1状態に操作されていない場合、制御装置20は、ステップS18の動作を行う。ステップS18で第3昇降路側スイッチ19が第2状態から第1状態に操作された場合、制御装置20は、ステップS19の動作を行う。
【0088】
ステップS16で第3昇降路側スイッチ19が第1状態から第2状態に操作されない場合も、制御装置20は、ステップS19の動作を行う。
【0089】
ステップS19では、制御装置20は、手動スイッチの操作状態に応じてかご5を昇降させる。
【0090】
以上で説明した実施の形態1によれば、作業者の検出時において、かご5の昇降が抑制される。また、釣合オモリ6の下降が抑制される。このため、かご5の緩衝器と釣合オモリ6の緩衝器とに対するバッファキャップの着脱を要することなく、作業者の安全をより確実に確保することができる。その結果、バッファキャップの着脱を忘れることを気にする必要もなくなる。
【0091】
また、バッファキャップの着脱が不要となることにより、エレベーターの利用者の利便性を確保することができる。具体的には、定期保守、定期検査、機能維持修理、故障修理等のときにおいてエレベーターが利用できない時間を少なくすることができる。
【0092】
また、作業者の検出時において、巻上機2のダイナミックブレーキは、有効になる。このため、かご5が停止している状態から上昇してもかご側接触体15とかご側上昇抑制体9との接触時の衝撃を小さくすることができる。かご5が停止している状態から下降してもかご側接触体15とかご側下降抑制体10との接触時の衝撃を小さくすることができる。釣合オモリ6が停止している状態から下降してもオモリ側接触体16とオモリ側下降抑制体11との接触時の衝撃を小さくすることができる。
【0093】
また、かご側接触体15は、かご側上昇抑制体9と接触する際にかご側上昇抑制体9の切り欠き9aに収まる。このため、かご側接触体15とかご側上昇抑制体9とを安定して接触させることができる。
【0094】
また、かご側接触体15は、かご側下降抑制体10と接触する際にかご側下降抑制体10の切り欠き10aに収まる。このため、かご側接触体15とかご側下降抑制体10とを安定して接触させることができる。
【0095】
また、オモリ側接触体16は、オモリ側下降抑制体11と接触する際にオモリ側下降抑制体11の切り欠きに収まる。このため、オモリ側接触体16とオモリ側下降抑制体11とを安定して接触させることができる。
【0096】
また、かご側接触体15に第1昇降路側移動抑制体12、第2昇降路側移動抑制体13及び第3昇降路側移動抑制体14を接触させることにより、かご5の移動が抑制される。このため、かご5の位置を作業に適する位置に維持することができる。
【0097】
具体的には、かご5は、制御装置20の下部と制御装置20の上部と巻上機2とに対応した位置に順々に停止した状態に維持される。このため、制御装置20の下部と制御装置20の上部と巻上機2とに対して効率的に保守作業を行うことができる。
【0098】
また、かご5の位置を維持するための動作を短時間で行うことにより、エレベーターの利用者の利便性を確保することができる。具体的には、定期保守、定期検査、機能維持修理、故障修理等のときにおいてエレベーターが利用できない時間を少なくすることができる。
【0099】
なお、制御装置20において、かご側接触体15の爪15aおよびオモリ側接触体16の爪の動作状態を検出すればよい。エレベーターのモードが通常モードである場合においては、かご側接触体15の爪15aまたはオモリ側接触体16の爪が突き出している際に、エレベーターの運転を阻止すればよい。
【0100】
また、かご5の上昇を抑制することで釣合オモリ6の下降を抑制してもよい。この場合も、昇降路1の下部において、作業者の安全をより確実に確保することができる。
【0101】
また、釣合オモリ6の上昇を抑制することでかご5の下降を抑制してもよい。この場合も、昇降路1の下部において、作業者の安全をより確実に確保することができる。
【0102】
また、かご5の位置を昇降路の内部に設けられた機器に関する作業を行えるように、昇降路側移動抑制体を設けてもよい。例えば、かご5の位置を釣合オモリ6に関する作業を行える位置に維持するように、昇降路側移動抑制体を設けてもよい。この場合、釣合オモリ6に関する保守作業を効率的に行うことができる。
【0103】
また、機械室のあるエレベーターに対して実施の形態1の制御装置20を適用してもよい。この場合も、作業者の安全をより確実に確保したり、かご5の位置を作業に適する位置に維持したりすることができる。
【0104】
次に、
図12を用いて、制御装置20の例を説明する。
図12は実施の形態1におけるエレベーターシステムの制御装置のハードウェア構成図である。
【0105】
制御装置20の各機能は、処理回路により実現し得る。例えば、処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ21aと少なくとも1つのメモリ21bとを備える。例えば、処理回路は、少なくとも1つの専用のハードウェア22を備える。
【0106】
処理回路が少なくとも1つのプロセッサ21aと少なくとも1つのメモリ21bとを備える場合、制御装置20の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、少なくとも1つのメモリ21bに格納される。少なくとも1つのプロセッサ21aは、少なくとも1つのメモリ21bに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、制御装置20の各機能を実現する。少なくとも1つのプロセッサ21aは、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。例えば、少なくとも1つのメモリ21bは、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等である。
【0107】
処理回路が少なくとも1つの専用のハードウェア22を備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらの組み合わせで実現される。例えば、制御装置20の各機能は、それぞれ処理回路で実現される。例えば、制御装置20の各機能は、まとめて処理回路で実現される。
【0108】
制御装置20の各機能について、一部を専用のハードウェア22で実現し、他部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。例えば、制御部20cの機能については専用のハードウェア22としての処理回路で実現し、制御部20cの機能以外の機能については少なくとも1つのプロセッサ21aが少なくとも1つのメモリ21bに格納されたプログラムを読み出して実行することにより実現してもよい。
【0109】
このように、処理回路は、ハードウェア22、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせで制御装置20の各機能を実現する。
作業者の安全をより確実に確保することができるエレベーターの制御装置を提供する。エレベーターの制御装置は、作業者がエレベーターのかごの天井部にいることを検出する検出部と、前記検出部による作業者の検出時において、前記エレベーターの昇降路の上部において前記かごが予め設定された位置に到達した際に前記昇降路の側に設けられた機器に接触するように前記かごの側に設けられた機器を動作させることで、前記かごの上昇を抑制する制御部と、を備えた。