特許第6521247号(P6521247)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6521247車載装置及び該車載装置における処理方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6521247
(24)【登録日】2019年5月10日
(45)【発行日】2019年5月29日
(54)【発明の名称】車載装置及び該車載装置における処理方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20190520BHJP
   G08G 1/0969 20060101ALI20190520BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20190520BHJP
【FI】
   G01C21/34
   G08G1/0969
   G09B29/10 A
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-150293(P2015-150293)
(22)【出願日】2015年7月30日
(65)【公開番号】特開2017-32328(P2017-32328A)
(43)【公開日】2017年2月9日
【審査請求日】2018年3月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097205
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 正樹
(72)【発明者】
【氏名】丸本 徹
【審査官】 鎌田 哲生
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−149225(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/093373(WO,A1)
【文献】 特開2006−003328(JP,A)
【文献】 特開2007−057510(JP,A)
【文献】 特開2011−247644(JP,A)
【文献】 特開2008−008860(JP,A)
【文献】 特開2013−036930(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0204683(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0354628(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00−21/36
G01C 23/00−25/00
G08G 1/00−99/00
G09B 23/00−29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発地から目的地まで車両の経路誘導を行う車載装置であって、
有料道路入口に向けて走行中の前記車両が誘導経路から外れたオフルート地点を検出するオフルート地点検出手段と、
前記オフルート地点に直近の有料道路の入口案内板の位置を検出する入口案内板位置検出手段と、
前記オフルート地点と前記入口案内板位置との距離が所定距離以内であるか否かを判定する所定距離判定手段と、
前記誘導経路から外れてオフルート走行する前記車両の進行方向の所定距離範囲内での他の有料道路入口の有無を判定する有料道路入口判定手段と、
前記オフルート地点と前記入口案内板位置との距離が所定距離以内と判定され、かつ前記誘導経路から外れた前記車両の進行方向の所定距離範囲内での他の有料道路入口があると判定されたときに、前記有料道路入口を前記他の有料道路入口への変更設定を入力する変更表示画面を作成して表示部に表示させる表示制御手段と、
前記変更設定の入力に基づいて前記誘導経路の変更を行う誘導経路変更設定手段と、を有する車載装置。
【請求項2】
前記案内板位置を記憶する記憶部を有し、前記入口案内板位置検出手段は、前記オフルート地点に直近の有料道路入口の案内板位置を前記記憶部に記憶された前記案内板位置から検出する請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記車両の周囲を撮影する車載カメラを有し、前記入口案内板位置検出手段は、前記オフルート地点に直近の有料道路入口の案内板位置を前記車載カメラが撮影した撮影画像から検出する請求項1に記載の車載装置。
【請求項4】
前記入口案内板位置検出手段は、検出する前記オフルート地点に直近の有料道路入口の前記入口案内板位置を前記誘導経路上の前記オフルート地点前後から検出する請求項1乃至3のいずれかに記載の車載装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、前記有料道路入口の変更の有無を問う択一選択が可能である選択表示画面を作成する請求項1乃至4のいずれかに記載の車載装置。
【請求項6】
出発地から目的地まで車両の経路誘導を行う車載装置における処理方法であって、
有料道路入口に向けて走行中の前記車両が誘導経路から外れたオフルート地点を検出するオフルート地点検出ステップと、
前記オフルート地点に直近の有料道路の入口案内板の位置を検出する入口案内板位置検出ステップと、
前記オフルート地点と前記入口案内板位置との距離が所定距離範囲内であるか否かを判定する所定距離判定ステップと、
前記誘導経路から外れてオフルート走行する前記車両の進行方向の所定距離内での他の有料道路入口の有無を判定する有料道路入口判定ステップと、
前記オフルート地点と前記入口案内板位置との距離が所定距離以内と判定され、かつ前記誘導経路から外れた前記車両の進行方向に他の有料道路入口があると判定されたときに、前記有料道路入口を前記他の有料道路入口への変更設定を入力する変更表示画面を作成して表示部に表示させる表示制御ステップと、
前記変更設定の入力に基づいて前記誘導経路の変更を行う誘導経路変更設定ステップと、を有する車載装置における処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出発地から目的地まで車両の経路誘導を行う車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車載用ナビゲーション装置は、ユーザの設定した目的地までの誘導経路をナビゲーション機能により地図データ、交通情報等を基に探索して表示する。このようなナビゲーション機能の実効を図るべく、ユーザの所望する特定の道路、地点等を通って目的地に至る誘導経路を探索する車載装置が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3907994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の車載装置では、リスト表示された交差点からユーザの所望する交差点の選択と、該交差点での進行方向の選択とにより所望の誘導経路を探索して提供している。しかしながら、上記車載装置を含めたナビゲーション機能を有する装置では、例えば、高速道路等の有料道路の入口(インターチェンジ、ランプ等)に向かって一般道路を経路誘導により走行している最中に、道路の混雑等の理由により上記有料道路の入口を変更する場合があるが、経路誘導の変更設定は操作の階層が深く、手間を要するため運転中は困難であり、車両を停止して操作しなくてはならない。また、運転者が入口変更のために誘導経路からオフルートした場合でも、車載装置によるリルート機能が働き、変更前の有料道路入口に誘導されてしまう。
【0005】
上記経路誘導中における有料道路の入口変更の操作について図4A図4Fを参照して説明する。図4Aに示すように、一般道路を走行中の車両に設けた車載装置の表示部101に経路誘導の地図画面102が表示されているとき、有料道路の入口を変更するためにメニューキー103の釦を操作して、図4Bに示すメイン設定画面105を表示させる。そして、メイン設定画面105上のルート106部分をタッチ操作して、図4Cの指定画面107を表示させ、インターチェンジの指定を行うIC指定108部分をタッチ操作して図4Dに示すIC指定画面111を表示させる。更に、図4DのIC指定画面111では、変更したいIC入口(日立南太田)112部分をタッチ操作して入口インターチェンジの一覧画面113を図4Eに示すように表示させて、該当する入口ICであるIC那珂115部分をタッチ操作して選択すると、図4Fの表示画面116に示すように入口ICがIC那珂に変更設定される。
【0006】
上記したように、車両の経路誘導中における入口ICの変更操作は煩雑であり、車両の走行中は運転者にとって操作が困難であることから、車両を停止しての操作が必要となってしまう。
【0007】
本発明は、車両の経路誘導中において、有料道路の入口変更による経路変更の設定を容易に行うことが可能な車載装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る車載装置は、出発地から目的地まで車両の経路誘導を行う車載装置であって、有料道路入口に向けて走行中の前記車両が誘導経路から外れたオフルート地点を検出するオフルート地点検出手段と、前記オフルート地点に直近の有料道路の入口案内板の位置を検出する入口案内板位置検出手段と、前記オフルート地点と前記入口案内板位置との距離が所定距離以内であるか否かを判定する所定距離判定手段と、前記誘導経路から外れてオフルート走行する前記車両の進行方向の所定距離範囲内での他の有料道路入口の有無を判定する有料道路入口判定手段と、前記オフルート地点と前記入口案内板位置との距離が所定距離以内と判定され、かつ前記誘導経路から外れた前記車両の進行方向の所定距離範囲内での他の有料道路入口があると判定されたときに、前記有料道路入口を前記他の有料道路入口への変更設定を入力する変更表示画面を作成して表示部に表示させる表示制御手段と、前記変更設定の入力に基づいて前記誘導経路の変更を行う誘導経路変更設定手段と、を有する構成となる。
【0009】
このような構成によれば、有料道路の入口に向けて誘導経路を走行する車両がオフルートしたときに、オフルート地点を検出し、この検出したオフルート地点に直近の有料道路入口案内板の位置がオフルート地点から所庭距離以内で、車両の進行方向の所定距離範囲内での他の有料道路入口の有りと判定したときは、有料道路入口を前記他の有料道路入口への変更設定を入力する変更表示画面を作成して表示部に表示するので、運転者等の乗員は容易に有料道路の入口の変更設定が可能となり、変更した入口から目的地までの誘導経路としてリルート更新されることになる。
【0010】
本発明に係る車載装置において、前記案内板位置を記憶する記憶部を有し、前記入口案内板位置検出手段は、前記オフルート地点に直近の有料道路入口の案内板位置を前記記憶部に記憶された前記案内板位置から検出する構成とすることができる。
【0011】
このような構成によれば、予め道路上に設けた各有料道路入口案内板の位置を記憶部に記憶させておくので、オフルートした位置を検出したときに、当該オフルート地点に直近の有料道路入口案内板の位置を記憶部から容易に検出することができる。
【0012】
本発明に係る車載装置において、前記車両の周囲を撮影する車載カメラを有し、前記入口案内板位置検出手段は、前記オフルート地点に直近の有料道路入口の案内板位置を前記車載カメラが撮影した撮影画像から検出する構成とすることができる。
【0013】
このような構成によれば、検出したオフルート位置の前後で車載カメラにより撮影した画像から有料道路入口案内板を検出し、その位置を求めることでオフルート地点に直近の有料道路入口案内板の位置を検出することが可能となる。有料道路入口案内板は、道路上に単独で設けたものや、行き先を案内する道路案内板の一部に表示されたものがあるが、いずれも下地が固有の色(緑色)で着色表示されているので、撮影画像を画像解析することで求めることができる。
【0014】
本発明に係る車載装置において、前記入口案内板位置検出手段は、検出する前記オフルート地点に直近の有料道路入口の前記入口案内板位置を前記誘導経路上の前記オフルート地点前後から検出する構成とすることができる。
【0015】
このような構成によれば、誘導経路上でオフルート地点前後から直近の有料道路入口案内板位置を検出するので、オフルート地点の手前の入口案内板を見てオフルートする場合、又はオフルート地点の先にある入口案内板を見てオフルートする場合の両方に対応することができる。オフルート地点と案内板位置との距離が所定距離以内であるか否かの判定における前記所定距離は、入口案内板がオフルート地点の先方に位置するときは、運転者がオフルート地点から入口案内板を識別できる距離であり、入口案内板がオフルート地点の手前側に位置するときは、入口案内板を見てオフルート操作が可能な距離であって、車両の速度等を考慮した距離として定めることができる。
【0016】
本発明に係る車載装置において、前記表示制御手段は、前記有料道路入口の変更の有無を問う択一選択が可能である選択表示画面を作成する構成とすることができる。
【0017】
このような構成によれば、択一選択可能である選択表示画面を表示部に表示するので、運転者は複雑な操作を要することなく、有料道路の入口を変更した新たな経路誘導を可能にできる。
【0018】
更に、本発明に係る車載装置における処理方法は、出発地から目的地まで車両の経路誘導を行う車載装置における処理方法であって、有料道路入口に向けて走行中の前記車両が誘導経路から外れたオフルート地点を検出するオフルート地点検出ステップと、前記オフルート地点に直近の有料道路の入口案内板の位置を検出する入口案内板位置検出ステップと、前記オフルート地点と前記入口案内板位置との距離が所定距離範囲内であるか否かを判定する所定距離判定ステップと、前記誘導経路から外れてオフルート走行する前記車両の進行方向の所定距離内での他の有料道路入口の有無を判定する有料道路入口判定ステップと、前記オフルート地点と前記入口案内板位置との距離が所定距離以内と判定され、かつ前記誘導経路から外れた前記車両の進行方向に他の有料道路入口があると判定されたときに、前記有料道路入口を前記他の有料道路入口への変更設定を入力する変更表示画面を作成して表示部に表示させる表示制御ステップと、前記変更設定の入力に基づいて前記誘導経路の変更を行う誘導経路変更設定ステップと、を有する構成となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、有料道路の入口変更のために誘導経路をオフルートした運転者は、複雑な操作を要することなく、有料道路の入口の変更設定が可能となり、変更した入口から目的地までのリルートが更新され、新たな経路誘導を受けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る車載装置を構成するブロック図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係る車載装置を構成する処理ユニットによる処理手順を示すフローチャートである。
図3A図3Aは、道路交通案内板に表示される有料道路入口(IC)案内板を示す概略図である。
図3B図3Bは、車載装置の表示部に表示される、有料道路入口の変更の有無を問う選択表示画面を示す概略図である。
図4A図4Aは、従来の車載装置の経路誘導中における有料道路入口変更の一連の操作手順を示す表示画面の概略図である(その1)。
図4B図4Bは、従来の車載装置の経路誘導中における有料道路入口変更の一連の操作手順を示す表示画面の概略図である(その2)。
図4C図4Cは、従来の車載装置の経路誘導中における有料道路入口変更の一連の操作手順を示す表示画面の概略図である(その3)。
図4D図4Dは、従来の車載装置の経路誘導中における有料道路入口変更の一連の操作手順を示す表示画面の概略図である(その4)。
図4E図4Eは、従来の車載装置の経路誘導中における有料道路入口変更の一連の操作手順を示す表示画面の概略図である(その5)。
図4F図4Fは、従来の車載装置の経路誘導中における有料道路入口変更の一連の操作手順を示す表示画面の概略図である(その6)。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0022】
本発明の実施の形態に係る車載装置は、図1に示すように構成される。
【0023】
図1において、車載装置11は、コンピュータユニット(例えば、CPU、ROM、RAM、インターフェース及びバス等を含む)によって構成される処理ユニット12を有する。処理ユニット12には、各種音源及び映像源(例えば、CD及びDVD)の再生処理が可能なAVユニット15及び自車両のナビゲーションが可能なナビゲーションユニット16(GPS受信機、ジャイロ機器、加速度センサ等を含む)が接続されている。また、処理ユニット12には、出力回路17を間に介してスピーカ18が接続されている。これによって、AVユニット15及びナビゲーションユニット16による処理に係る音声信号を、出力回路17を介してスピーカ18から音声として出力することが可能となる。加えて、処理ユニット12には、AVユニット15及びナビゲーションユニット16において利用する楽曲情報及び地図情報、さらにAV再生に関するアプリケーション等の各種情報を記憶可能な記憶部20(例えば、ハードディスク、フラッシュメモリ等)と、LCD等によって構成される各種処理に伴う映像等を表示する表示部21と、表示部21上にタッチパネル形式にて形成される各種処理に必要な指示が入力可能な操作部22とが接続されている。なお、操作部22には、上記したタッチパネル形式のもののほかに、ハードキーによる入力ボタンも含まれる。
【0024】
さらに、記憶部20に記憶される地図情報には、高速道路等を含む有料道路の入口(IC)を示す入口案内板位置の位置情報が含まれている。これにより、処理ユニット12はナビゲーションユニット16を通じて探索した誘導経路を表示部21へ表示させ、更に車両(不図示)が誘導経路からの外れたオフルート地点の検出をさせ、このオフルート地点から直近の位置にある有料道路入口の案内板の検出をさせ、当該案内板とオフルート地点との距離、オフルート後の進行方向の有料道路入口の検出をさせることが可能となる。
【0025】
上記した車載装置11では、図2に示すような手順にて処理がなされる。
【0026】
車両(不図示)が車載装置11のナビゲーションユニット16による経路誘導に基づいて一般道路を走行中、処理ユニット12は、車両が誘導経路を外れたオフルート走行であるか否かを判定する(S11)。処理ユニット12は、誘導経路からオフルートしたと判定したときは(S11のYES)、誘導経路から外れたオフルート地点を検出する(S12:オフルート地点検出手段)。処理ユニット12は、ナビゲーションユニット16のGPS受信機等により上記オフルート地点の座標位置を検出することができる。なお、処理ユニット12は、車両がオフルート走行ではないと判定したときは、引き続き所定時間毎に車両のオフルート走行の有無を判定する。
【0027】
処理ユニット12は、ナビゲーションユニット16による前記誘導経路が高速道路等の有料道路を経由するものであるか否かの判定を行い(S13)、有料道路を経由するものでないと判定したときは(S13のNO)、オフルート後の車両が元の誘導経路に戻るためのリルート機能による新たな経路表示を表示部21に表示する(S20)。これに対して、処理ユニット12が前記誘導経路について高速道路等の有料道路を経由するものと判定したときは(S13のYES)、オフルート地点に直近の有料道路の入口案内板の位置を検出する(S14:入口案内板位置検出手段)。処理ユニット12は、記憶部20に記憶されている有料道路の入口案内板の位置情報から、オフルート地点と直近の入口案内板の位置を検出する(S14)。高速道路を含む有料道路の入口案内板の位置情報は、記憶部20に記憶されている地図情報に含まれている。なお、オフルート地点に直近の有料道路の入口案内板には、走行する誘導経路上、オフルート地点の手前側とオフルート地点の向こう側(先)の両方に位置する入口案内板のうち、最もオフルート地点に近いものが該当する。
【0028】
なお、オフルート地点と直近の入口案内板の位置は、上記した記憶部20に記憶された入口案内板の位置情報により検出する場合の他に、車載カメラ(不図示)による撮影画像の画像解析により検出することも可能である。例えば、誘導経路を走行中に車両のオフルート走行を検出したときに、オフルート地点の前後の撮影画像を画像解析してオフルート地点に直近の有料道路の入口案内板の位置を検出することができる。この場合、処理ユニット12は、画像解析と共に、ナビゲーションユニット16により検出した車両の位置、速度等を基にして直近の入口案内板の位置を検出する。
【0029】
例えば図3Aに示すように、高速道路を含む有料道路の入口案内板32は、一般道路の交差点付近に表示される道路交通案内板31の中に、下地が緑色に着色した部分に文字(「那珂IC」の入口表示)で表示されている。交通案内板31は下地が青色(空色)であり、その中に入口案内板32は下地が緑色で着色表示されているので、他の行き先表示(「いわき」の文字)との識別が容易となる。なお、有料道路の入口案内板32を単独で表示する場合もあるが、この場合でも下地が緑色の着色表示は同様である。
【0030】
次に、処理ユニット12は、オフルート地点と、このオフルート地点に直近の入口案内板位置との距離が所定距離以内であるか否かを判定する(S15:所定距離判定手段)。上記の所定距離とは、入口案内板がオフルート地点の先方に位置するときは、運転者がオフルート地点から入口案内板を識別できる距離であり、入口案内板がオフルート地点の手前に位置するときは、入口案内板を見てオフルート操作が可能な距離であって、車両の速度等を考慮して定めることができる。したがって、入口案内板がオフルート地点の先方の位置のときは、上記所定距離は目視可能な距離ということで固定的に決定することができるが、入口案内板がオフルート地点の手前に位置するときは、入口案内板を見てオフルート操作可能な距離のため、車両の速度によって異なる動的な距離となる。所定距離については、上記の点を考慮して適宜設定される。なお、入口案内板とオフルート地点とが所定距離以内でないときは(S15のNO)、入口案内板の表示を認識してのオフルートではなく、有料道路の入口変更を意図するものでないとして、オフルート後の車両が元の誘導経路に戻るためのリルート機能による新たな経路表示を表示部21に表示する(S20)。
【0031】
処理ユニット12は、入口案内板とオフルート地点とが所定距離以内と判定したときは(S15のYES)、誘導経路から外れてオフルート走行する車両の進行方向の所定距離範囲内での他の有料道路入口が有るか否かの判定を行う(S16:有料道路入口判定手段)。処理ユニット12は、記憶部20に記憶される地図情報及びナビゲーションユニット16のルート検索機能等に基づいて車両の進行方向の所定距離範囲内での他の有料道路入口の有無を判定することができる。上記所定距離範囲内は、有料道路の入口変更のためのオフルートであることから、オフルート地点から数km程度の範囲内に設定することができる。処理ユニット12は、オフルート後の進行方向に他の有料道路入口が無いと判定したときは(S16のNO)、オフルート走行が有料道路の入口変更を意図するものでないとして、オフルート後の車両が元の誘導経路に戻るためのリルート機能による新たな経路表示を表示部21に表示する(S20)。
【0032】
処理ユニット12は、オフルート後の進行方向の所定距離範囲内に他の有料道路入口有りと判定したときは(S16のYES)、有料道路入口を前記他の有料道路入口への変更設定を入力する変更表示画面を作成して表示部に表示(テロップ表示)させる(S17:表示制御手段)。上記テロップ表示としては、例えば図3Bに示すように、表示部21に有料道路の入口変更の有無を問う択一選択の選択表示35(入口の変更をするか否かの択一選択表示)が該当する。このような表示形式であれば、走行中の運転者にとっても、何れか一方をタッチ操作により選択すればよいので、有料道路の入口変更も容易な操作で可能となる。
【0033】
処理ユニット12は、表示部21にテロップ表示された選択表示35において、有料道路の入口変更の有無を求め(S18)、入口変更をしない旨の選択がされたときは(S18のNO)、オフルート後の車両が元の誘導経路に戻るためのリルート機能による新たな経路表示を表示部21に表示する(S20)。一方、入口変更の選択がなされたとき(S18のYES)、処理ユニット12は、有料道路の入口を他の有料道路入口とする誘導経路の変更を行い(S19:誘導経路変更設定手段)、リルート更新して表示部21に表示する(S20:表示制御手段)。
【0034】
上記したリルート更新の表示がなされた後、処理ユニット12は、車両の上記した他の有料道路入口(新IC)から有料道路に進入したか否かの判定を行い(S21)、前記有料道路入口からの進入前であるときは(S21のNO)、リルート更新された誘導経路から外れたオフルート走行であるか否かを検出して、更なる有料道路入口の変更によるリルート更新等を行う(S11〜S20)。一方、有料道路入口から進入したと判定したときは(S21のYES)、入口変更によるリルート更新不要のため、処理は終了する。
【0035】
上記したように、車載装置11のナビゲーション機能による誘導経路走行中に、道路の混雑等の理由から有料道路の入口変更のために、誘導経路をオフルートする場合でも、入口変更の選択のみで、新規入口からの経路誘導にリルート更新されるので、従来のように複雑な変更設定操作が不要となる。そのため、車両を停止しなくても、安全走行を維持しつつ、新規入口からの経路誘導にリルート更新が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
以上、説明したように、本発明によれば、有料道路の入口変更のために誘導経路をオフルートした場合、複雑な操作を要することなく、有料道路の入口の変更設定が可能となり、変更した入口から目的地までのリルートが更新なされ、新たな経路誘導を受けることができるという効果を奏し、出発地から目的地まで車両の経路誘導を行う車載装置として有用である。
【符号の説明】
【0037】
11 車載装置
12 処理ユニット
15 AVユニット
16 ナビゲーションユニット
17 出力回路
18 スピーカ
20 記憶部
21 表示部
22 操作部
31 道路交通案内板
32 入口案内板(有料道路の入口案内板)
35 選択表示
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F