特許第6521283号(P6521283)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6521283
(24)【登録日】2019年5月10日
(45)【発行日】2019年5月29日
(54)【発明の名称】燃焼器、ガスタービン
(51)【国際特許分類】
   F23R 3/48 20060101AFI20190520BHJP
   F02C 7/18 20060101ALI20190520BHJP
   F23R 3/16 20060101ALI20190520BHJP
   F23R 3/42 20060101ALI20190520BHJP
【FI】
   F23R3/48
   F02C7/18 C
   F23R3/16
   F23R3/42 A
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-195036(P2014-195036)
(22)【出願日】2014年9月25日
(65)【公開番号】特開2016-65672(P2016-65672A)
(43)【公開日】2016年4月28日
【審査請求日】2017年9月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100210572
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100126893
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 哲男
(72)【発明者】
【氏名】角田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】瀧口 智志
(72)【発明者】
【氏名】赤松 真児
(72)【発明者】
【氏名】西田 幸一
(72)【発明者】
【氏名】田中 克則
【審査官】 西中村 健一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/141825(WO,A1)
【文献】 特開平07−083439(JP,A)
【文献】 実開昭56−117273(JP,U)
【文献】 特公昭41−004123(JP,B1)
【文献】 特開昭56−168038(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0098990(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23R 3/16、3/42、3/48
F02C 7/18
DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側に流路を形成する尾筒と、前記流路の上流側から前記尾筒内に挿入されて燃焼ガスを前記流路内に吹き出すとともに、フィルム空気を前記尾筒の内周面との間に吹き出す間隙を形成する内筒と、を有する燃焼器本体と、
前記間隙の出口よりも上流側で、前記燃焼器本体の外周側から接続されるとともに、前記流路に連通する連通孔が内側に形成された連結管と、
前記連結管の外部から導入した圧縮空気を、前記流路内であって、前記連結管と前記燃焼器本体との連結部における下流側で、前記燃焼器本体の周方向にわたっての流速分布が均一となるように吹き出させるフローガイドと、
を備え
前記連結部に、該連結部内外を連通する吸気孔が形成され、
前記フローガイドは、前記連結管の内側で、前記吸気孔から前記流路に向かって延びる導入部と、前記導入部に接続されて、前記連結孔から前記流路の下流側に向かって扇形状に延びるフローガイド本体部と、を有し、
前記フローガイド本体部は、前記導入部の断面がなす円弧と同心をなして形成された外側端縁と、該外側端縁の両端と導入部とを結ぶ一対の側端縁と、を有する燃焼器。
【請求項2】
前記フローガイド本体部は、前記流路の下流側に向かうにしたがって、周方向の寸法が次第に拡大する扇形に形成された請求項に記載の燃焼器。
【請求項3】
前記圧縮空気を生成する圧縮機と、
請求項1又は2に記載の前記燃焼器と、
前記燃焼器が生成した燃焼ガスによって駆動されるタービンと、
を備えたガスタービン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼器、及びこれを備えるガスタービンに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンは、圧縮空気を生成する圧縮機と、燃料を圧縮空気中で燃焼させて燃焼ガスを生成する燃焼器と、燃焼ガスによって回転駆動されるタービンと、を備えている。燃焼器は、燃料及び空気を供給する内筒と、内筒から供給された燃料及び空気によって火炎が内部に形成され、燃焼ガスを生成する尾筒と、を有している。
従来、尾筒で生成される燃焼ガスにより尾筒の内壁面が損傷することを防止するため、内筒の先端部を構成する出口外側リングと尾筒との間の間隙からフィルム空気を供給する構造が知られている。
【0003】
ここで、実際のガスタービンを構成するに当たっては、複数の燃焼器をガスタービンの外周に沿って配置するとともに、これらを連結管によって連結する構成が採られることが多い。このような燃焼器では、一の燃焼器のみに点火栓を設けた上で、点火された燃焼器内の火炎を、連結管を通じて他の燃焼器に伝搬させることで、燃焼器すべてに着火することを可能としている。上述のような連結管を燃焼器に設ける場合には、具体的には燃焼器の内筒の壁面に開口を設け、隣り合う燃焼器の開口同士を連結管で連結する構成が採られることが一般的である。さらに、このような連結管も、フィルム空気による熱からの保護を必要とする点では、燃焼器の内筒、尾筒と同様である。
【0004】
連結管をフィルム空気によって保護するための技術として、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1に記載された燃焼器は、連結管(バイパス管)の内部にスリーブを設けることで流路を画成し、この流路に空気を流通させることで、バイパス管の側壁にフィルム空気を供給する構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−92409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された燃焼器では、バイパス管の保護に供されたフィルム空気によって、燃焼器内の流路における圧縮空気の流れに乱れを生じる可能性がある。特に、バイパス管が連結される領域近傍において、フィルム空気の剥離を生じてしまう。これにより、燃焼器に損傷を生じる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の燃焼器、及びガスタービンは、以下の手段を提案している。
本発明の一態様に係る燃焼器は、内側に流路を形成する尾筒と、前記流路の上流側から前記尾筒内に挿入されて燃焼ガスを前記流路内に吹き出すとともに、フィルム空気を前記尾筒の内周面との間に吹き出す間隙を形成する内筒と、を有する燃焼器本体と、前記間隙の出口よりも上流側で、前記燃焼器本体の外周側から接続されるとともに、前記流路に連通する連通孔が内側に形成された連結管と、前記連結管の外部から導入した圧縮空気を、前記流路内であって、前記連結管と前記燃焼器本体との連結部における下流側で、前記燃焼器本体の周方向にわたっての流速分布が均一となるように吹き出させるフローガイドと、を備え、前記連結部に、該連結部内外を連通する吸気孔が形成され、前記フローガイドは、前記連結管の内側で、前記吸気孔から前記流路に向かって延びる導入部と、前記導入部に接続されて、前記連結孔から前記流路の下流側に向かって扇形状に延びるフローガイド本体部と、を有し、前記フローガイド本体部は、前記導入部の断面がなす円弧と同心をなして形成された外側端縁と、該外側端縁の両端と導入部とを結ぶ一対の側端縁と、を有する。
【0008】
上述のような構成によれば、連結管と燃焼器本体との連結部の下流側にフローガイドが設けられていることから、連結管の下流側の流路に対してもフィルム空気を案内することができる。加えて、このフローガイドによって圧縮空気が案内されることで、燃焼器本体の周方向における圧縮空気の流速分布を均一にすることができる。
さらに、上述のような構成によれば、連結管に設けられた吸気孔から外部の圧縮空気を取り入れて、連結管の下流側の流路にも吹き出させることができる。これにより、燃焼器本体の周方向における圧縮空気の流速分布を均一にすることができる。
【0011】
さらに、本発明の一態様に係る燃焼器では、前記フローガイド本体部は、前記流路の下流側に向かうにしたがって、周方向の寸法が次第に拡大する扇形に形成されていてもよい。
【0012】
上述のような構成によれば、フローガイド本体部が扇形に形成されていることにより、連結管の下流側における広い範囲にフィルム空気としての圧縮空気を供給することができる。
【0013】
さらに、本発明の一態様に係るガスタービンは、前記圧縮空気を生成する圧縮機と、蒸気の各態様に係る前記燃焼器と、前記燃焼器が生成した燃焼ガスによって駆動されるタービンと、を備える。
【0014】
上述のような構成によれば、耐久性の高い燃焼器を備えたガスタービンを提供することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の燃焼器、及びガスタービンによれば、燃焼器に損傷が生じる可能性を効果的に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係るガスタービンの概略図である。
図2】本発明の実施形態に係る燃焼器の軸線に直交する方向から見た断面概略図である。
図3】本発明の実施形態に係る燃焼器の要部断面図である。
図4】本発明の実施形態に係る燃焼器の連結部を、連結孔の軸線方向から見た断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の第一実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態に係るガスタービン1は、多量の空気を内部に取り入れて圧縮する圧縮機2と、この圧縮機2にて圧縮された圧縮空気Aに燃料を混合して燃焼させる燃焼器3と、燃焼器3から導入された燃焼ガスGの熱エネルギーを回転エネルギーに変換するタービン4とを備えている。
【0018】
圧縮機2及びタービン4は、互いに一体で回転するように連結されたロータ5と、ロータ5の外周側を囲うステータ6とを備えている。ロータ5は、回転軸7と、軸線O方向に間隔を空けて固定された複数の環状動翼群8と、を有している。各々の環状動翼群8は、回転軸7の外周に、周方向に互いの間隔を空けて固定されている複数の動翼を有している。
【0019】
ステータ6は、それぞれケーシング9と、ケーシング9内において軸線O方向に間隔をあけて固定された複数の環状静翼群10とを備えている。環状静翼群10は、各々のケーシング9内面に、周方向に互いの間隔をあけて固定された複数の静翼を有している。
環状静翼群10は、それぞれ、複数の環状動翼群8と、軸線O方向に交互に配置されている。
【0020】
図2に示すように、燃焼器3は、圧縮機2からの圧縮空気A及び燃料を噴射する燃料供給器11と、燃料供給器11からの圧縮空気A及び燃料を供給する内筒20と、内筒20から吹き出された圧縮空気A及び燃料から燃焼ガスGを生成し、生成された燃焼ガスGをタービン4に送る尾筒30と、を有している。燃焼器3の内筒20、及び尾筒30はいずれもタービン4の車室内に配置されている。さらに、これら内筒20と尾筒30とは、燃焼器本体3Xをなしている。
【0021】
さらに、本実施形態では、複数の燃焼器3をガスタービン1のケーシング9の外周に沿って配置するとともに、これらを連結部Cによって連結する構成とされている。このような燃焼器3では、例えば一の燃焼器のみに点火栓を設けた上で、点火された燃焼器内の火炎を、連結部Cを通じて他の燃焼器に伝搬させることで、燃焼器すべてに着火することを可能としている。
【0022】
内筒20は、内筒20の一方側に配置され円筒状をなす内筒本体部39と、内筒20の他方側に配置される円環状の出口外側リング50と、を有している。内筒20の一方の端部には燃料供給器11が設けられ、他方の端部には開口25が形成されている。この出口外側リング50は、内筒20の先端を形成している。
【0023】
なお、以下の説明においては、内筒本体部39の一方の端部を基端部21、他方の端部を先端部22とし、基端部21の側を上流側、先端部22の側を下流側とする。また、内筒20の軸線Oに沿う方向を軸線方向、軸線Oを中心とした円周に沿う方向を周方向とし、この円周の径に沿う方向を径方向とする。
【0024】
尾筒30は、内筒20と同様に、筒状をなして形成された部材である。尾筒30の内部は一方から他方にかけて貫通されており、一方の端部は開口35とされている。開口35の内径は、内筒20の先端部22の外径及び出口外側リング50の外径よりも大きい。なお、以下では、尾筒30の上流側の端部を基端部31とする。この尾筒30の基端部31内には、内筒本体部39の先端部22及び出口外側リング50が挿入されている。尾筒30の下流側の端部は、タービン4の燃焼通路に接続されている。
【0025】
燃料供給器11は、ケーシング9に固定されている。内筒20の基端部21は、この燃料供給器11によって支持されている。さらに、内筒本体部39の先端部22は、尾筒30の基端部31とともに、ケーシング9に設けられた不図示の支持部材によって支持されている。
【0026】
燃料供給器11は、パイロットバーナ12Pと、複数のメインバーナ12Mと、を有している。パイロットバーナ12Pは、燃焼器3の軸線Oに沿って設けられている。パイロットバーナ12Pは、供給された燃料をパイロットノズル13Pから噴射する。このパイロットノズル13Pから噴射された燃料に着火することで火炎が形成される。
また、詳細な図示は省略するが、パイロットバーナ12Pには、パイロットコーンが設けられている。パイロットコーンは、パイロットノズル13Pの外周側を囲む筒状の部材である。パイロットコーンは、火炎の拡散範囲、方向を規制することで保炎性を高めることを目的として設けられている。
【0027】
さらに、内筒20の内側には複数のメインバーナ12Mが設けられている。より詳細には、複数のメインバーナ12Mは、パイロットバーナ12Pの外周側に周方向に等間隔で配置されている。それぞれのメインバーナ12Mは内筒20の軸線Oに沿って延びることで、上述のパイロットバーナ12Pと平行をなしている。
メインバーナ12Mの先端部には、メインノズル13Mが設けられている。このように形成されたメインバーナ12Mに対して、不図示の燃料ノズルから燃料を噴射する。噴射された燃料は、内筒20内の圧縮空気Aと混合し、予混合ガスを生成する。この予混合ガスは、上述のパイロットバーナ12Pで形成された火炎によって着火されて、尾筒30内で予混合拡散燃焼による火炎を生じる。燃焼された予混合ガスは、燃焼ガスGとして後続のタービン4に向かって流通される。
【0028】
ここで、本実施形態に係るガスタービン1は、そのケーシング9の外周に沿って間隔を開けて配置された複数の燃焼器3を備えている。これら複数の燃焼器3は、連結部Cを介して互いに接続されている。すなわち、一の燃焼器3で生じた火炎は、連結部Cを通じて隣り合う他の燃焼器3に伝搬する。これにより、周方向に沿って配置されたすべての燃焼器3に火炎が伝搬されて、タービン4には対しては、一様な温度分布を有する燃焼ガスGが供給される。
【0029】
図3に示すように、連結部Cは隣り合う2つの燃焼器3,3同士を連結する配管部材である連結管C1と、連結管C1を燃焼器3に対して固定する固定部C2と、を有している。
連結管C1は、燃焼器3の尾筒30の外壁に設けられた連結孔C3と略同一の内径を有するように形成されており、その内部には燃焼器3で形成された火炎を他の燃焼器3に伝搬させるための流路が形成されている。連結孔C3は、尾筒30の外周面30bから燃焼器3の径方向外側に向かって突出するように形成された管状の部材である。さらに、連結孔C3は、軸線Oに対して、一定の角度だけ傾斜するようにして尾筒30に取り付けられている。
【0030】
この連結孔C3に対して、連結管C1の端部を接続することにより、燃焼器3,3同士が連結される。さらに、連結管C1と連結孔C3とは、固定部C2によって脱落不能に固定されている。この固定部C2の態様について詳細は図示しないが、例えば連結管C1と連結孔C3とにそれぞれ設けられたフランジ部を、ねじやボルトによって締結すること等が考えられる。その他、内部を流通する燃焼ガスGの漏洩を抑制するためのシール部材等が設けられていてもよい。また、連結孔C3と、尾筒30の内周面30aとが接続される部分は、角部をなして形成されることで、境界部C5とされている。
【0031】
加えて、連結部Cには外部から圧縮空気Aを導入するための吸気孔32が設けられている。吸気孔32は連結部Cにおける連結孔C3の壁面に設けられて、連結部Cの内外を連通する貫通孔である。具体的には、吸気孔32は、連結孔C3の下流側の壁面に設けられている。
【0032】
さらに、燃焼器3には、連結孔C3を介して外部から導入した圧縮空気Aを、内筒20の内部における連結部Cの下流側に向かって吹き出させるためのフローガイド40が設けられている。フローガイド40は、上述の間隙S1の出口、すなわち境界部C5に相当する位置と略同一の位置に設けられている。
【0033】
より詳細には、図3に示すように、フローガイド40は、吸気孔32を、軸線Oから離間する側から囲むようにして、尾筒30内の流路に向かって延びる導入部41と、導入部41における軸線O側の端部から流路の延在方向に沿って延びるフローガイド本体部42と、を有している。導入部41とフローガイド本体部42とは、接続部40Cによって互いに接続されている。接続部40Cは、流体の挙動を妨げないことを目的として滑らかに湾曲するように形成されていてもよい。また、本実施形態に係るフローガイド40の表面は平滑に形成されている。
【0034】
フローガイド40の導入部41と、連結孔C3の内周面C4とは、間隙S2を介して互いに離間するように配置されている。同様に、フローガイド本体部42と尾筒30の内周面30aとは、間隙S2を介して互いに離間するように配置されている。
【0035】
さらに、導入部41は、連結孔C3の内周面C4の形状に対応するように形成されている。本実施形態では、連結孔C3の軸線方向から見た断面形状は円形をなしていることから、導入部41はこの円形断面に沿うように円弧状の断面を有している。
【0036】
加えて、図4に示すように、フローガイド本体部42は、連結孔C3から流路の下流側に向かって略扇形状に延在している。具体的には、フローガイド本体部42は、導入部41の断面がなす円弧とおおむね同心をなして形成された外側端縁43と、外側端縁43の両端と導入部41とを結ぶ一対の側端縁44,44と、を有している。すなわち、導入部41から下流側に向かうにしたがって、フローガイド本体部42の周方向の寸法が次第に拡大するように形成されている。
【0037】
次に、本実施形態に係るガスタービン1の動作について説明する。ガスタービン1では、圧縮機2で圧縮された圧縮空気Aは、尾筒30の外周面30b及び内筒20の外周面20bと、ケーシング9の内周面とに囲まれた流路14(図2参照)を通り、反転部15で反転された後、内筒20に流入する。
【0038】
パイロット燃料やメイン燃料の燃焼により生成された燃焼ガスGは、尾筒30からタービン側ガス流路(不図示)の内部へ送出される。タービン側ガス流路内に入った燃焼ガスGは、前述したように、ロータ5を回転駆動させる。
一方で、図3に示すように、圧縮空気Aは、尾筒30と内筒20との間の間隙S1にも取り込まれる。そして、導入された圧縮空気Aは、尾筒30と出口外側リング50との間の間隙S1から、尾筒30の内周面30aに沿って吹き出される。
【0039】
尾筒30の内部に吹き出された圧縮空気Aの一部は、尾筒30の内周面30a上に薄い膜(フィルム空気の層)を形成する。この圧縮空気Aの膜は、尾筒30の内周面30aをフィルム冷却する。これにより、内筒20の開口25から供給される燃料及び圧縮空気Aと、火炎による輻射熱から尾筒30を保護する。なお、このフィルム冷却に供しない圧縮空気Aは、概ね大部分が、燃焼用の空気として使用される。
【0040】
ここで、連結部Cの近傍における圧縮空気Aの挙動について、図3図4を参照して説明する。内筒20と尾筒30との間の間隙S1内部を流通した圧縮空気Aは、連結部Cに到達すると、尾筒30の内周面30aと連結部Cとの境界部C5に形成された角部により、流れに乱れを生じる。流れに乱れを生じることで、圧縮空気Aは尾筒30の内周面30aから剥離してしまう。したがって、圧縮空気Aは連結孔C3の下流側には到達しにくい状態となる。
【0041】
その一方で、本実施形態に係る燃焼器3は、上述のように連結部C3の壁面に設けられた吸気孔32と、吸気孔32の近傍から尾筒30内の流路に延びるフローガイド40と、を備えている。吸気孔32からは、圧縮空気Aと同等の圧力を有する補充空気A2が供給される。この補充空気A2は、フローガイド40と連結孔C3、及び尾筒30の内周面30aとの間に形成された間隙S2の内部を流通する。
【0042】
間隙S2の内部を流通する補充空気A2は、フローガイド40の導入部41とフローガイド本体部42とに案内されて、尾筒30の下流側に向かって吹き出される。尾筒30の下流側に吹き出された補充空気A2は、上述のフィルム空気としての圧縮空気Aと同様に、尾筒30の内周面30aに沿って流通する。すなわち、連結部Cよりも下流側における尾筒30の内周面30aをフィルム冷却することで、火炎の輻射熱等から尾筒30を保護する。
【0043】
さらに、上述したようにフローガイド本体部42は、連結孔C3から下流側に向かって扇形状に広がっている。これにより、フローガイド40によって案内された補充空気A2は、このフローガイド本体部42の形状に沿って、連結孔C3から下流側に向かって広がるように吹き出される。
【0044】
上述のように、連結管C1と燃焼器本体3X(内筒20、尾筒30)との連結部Cにフローガイド40が設けられていることから、連結管C1の下流側における尾筒30内の流路に対してもフィルム空気(補充空気A2)を案内することができる。したがって、尾筒30の内周面30aに損傷を生じる可能性を低減することができる。
【0045】
さらに、上述のような構成によれば、連結部Cに設けられた吸気孔32から外部の圧縮空気A(補充空気A2)を取り入れて、連結管C1の下流側の流路にも吹き出させることができる。これにより、燃焼器本体3Xの周方向における圧縮空気Aの流速分布を均一にすることができる。したがって、尾筒30の内周面30aに損傷を生じる可能性をさらに低減することができる。
【0046】
加えて、上述のような構成によれば、フローガイド40のフローガイド本体部42が扇形に形成されていることにより、尾筒30内の流路において、連結管C1の下流側における広い範囲にフィルム空気としての補充空気A2を供給することができる。したがって、尾筒30の内周面30aに損傷を生じる可能性をより効果的に低減することができる。
【0047】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0048】
例えば、上述の実施形態では、吸気孔32の開口形状は特に限定していない。しかしながら、例えば円形断面や楕円形断面、あるいは多角形断面等のいずれであってもよい。
【0049】
さらに、上述の実施形態では、フローガイド40の表面を平滑に形成する構成とした。しかしながら、フローガイド40による補充空気A2の流れをさらに効果的に整流することを目的として、フローガイド40の表面に、流れの方向に沿って延びる凹溝状のスリットを設ける構成としてもよい(不図示)。反対に、フローガイド40の表面に、流れの方向に沿って線状に延びる凸部を設けてもよい。
このような構成であれば、補充空気A2の流れを積極的に整流することができるため、尾筒30内の流路における補充空気A2の流れをより均一にすることができる。
【0050】
加えて、上述の実施形態では、フローガイド40を燃焼器3の連結部Cに適用する例についてのみ説明した。しかしながら、フローガイド40の適用対象はこれに限定されず、例えば点火栓や各種の測定装置など、燃焼器3(燃焼器本体3X)に対して、その軸線Oと交差する方向から挿入されて、燃焼器3の流路内に一部が露出する装置を設ける必要がある限りにおいては、いずれの態様であってもフローガイド40を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 ガスタービン
2 圧縮機
3 燃焼器
4 タービン
5 ロータ
6 ステータ
7 回転軸
8 環状動翼群
9 ケーシング
10 環状静翼群
11 燃料供給器
12P パイロットバーナ
12M メインバーナ
13P パイロットノズル
13M メインノズル
20 内筒
20a 内周面
20b 外周面
21 基端部
22 先端部
25 開口
30 尾筒
30a 内周面
30b 外周面
31 基端部
32 吸気孔
35 開口
39 内筒本体部
40 フローガイド
50 出口外側リング
A 圧縮空気
A2 補充空気
C 連結部
C1 連結管
C2 固定部
C3 連結孔
C4 内周面
C5 境界部
G 燃焼ガス
S1 間隙
S2 間隙
図1
図2
図3
図4