(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記閉止要素(4)は、前記バルブシート(7a)に面する端面(4g)を有し、前記端面(4g)は、前記軸方向(A)において前記ケージ(3)に向かって最大円周(4q)まで広がることと、前記最大円周(4q)は円周中心点(MF)を有することと、前記円周中心点(MF)は少なくとも前記閉止要素(4)が完全に開いたときに前記案内部(6)の輪郭内に入ることとを特徴とする、請求項3又は4に記載のポペットバルブ。
前記ばね(5)は第1のばね端部(5a)と第2のばね端部(5b)とを有することと、前記ばね(5)の直径は前記軸方向(A)に前記バルブシート(7a)に向かって増大し、それによって前記バルブシート(7a)に向かう前記第1のばね端部(5a)は前記第2のばね端部(5b)より大きい直径を有することとを特徴とする、請求項7に記載のポペットバルブ。
前記閉止要素(4)は閉止ヘッド(4a)を有することと、前記閉止ヘッド(4a)は、前記バルブシート(7a)と反対側に支持部(4f)を有することと、前記第1のばね端部(5a)は前記支持部(4f)の上にあることとを特徴とする、請求項8又は9に記載のポペットバルブ。
前記閉止要素(4)と前記ばね(5)は、相互に嵌るように設計され、前記ばね(5)が前記支持部(4f)においてのみ前記閉止要素(4)と接触することを特徴とする、請求項10に記載のポペットバルブ。
前記案内部(6)は円筒形の設計であることと、前記閉止要素(4)は穴(4c)を有することと、前記案内部(6)と前記穴(4c)は、相互に嵌るように設計され、これらがリニア軸受を形成することとを特徴とする、請求項5〜11のいずれか1項に記載のポペットバルブ。
前記閉止要素(4)は閉止ヘッド(4a)と前記軸方向(A)においてそれに続く案内区間(4b)からなり、前記閉止要素(4)は同心円状の設計であり、中心に前記穴(4c)を有することを特徴とする、請求項12又は13に記載のポペットバルブ。
前記案内部(6)は中空の円筒形の設計であることと、前記閉止要素(4)は円筒形の案内区間(4b)を含むことと、前記案内部(6)と前記案内区間(4b)は相互に嵌るように設計され、これらがリニア軸受を形成することとを特徴とする、請求項5〜11のいずれか1項に記載のポペットバルブ。
前記保持構造(3e)は、複数の支柱(3b)と接合部(3a)と中間空間(3c)とを含む格子構造として設計され、前記案内部(6)は前記接合部(3a)に配置されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のポペットバルブ。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図中、同じ部品は基本的に同じ参照記号で示されている。
図1は、7つの閉止バルブVを有するポペットバルブ1の平面図を示しており、各閉止バルブVは閉止要素4を含み、閉止要素4は
図1では閉じた状態である。ポペットバルブ1はバルブ胴体2を含み、これはバルブシートカバーとして設計され、複数の吸込みダクト2aを有する。各吸込みダクト2aは、バルブシート7a内に開口しており、バルブシート7aはそれぞれ1つの閉止要素4により閉じられる。
図2は、
図1によるポペットバルブ1の切断線B−Bに沿った断面を示しているが、閉止要素4は
図2では開いた状態で示されている。ポペットバルブ1は少なくとも、吸込みダクト2aを備えるバルブシートカバー2と、ケージ3と、軸方向Aに延び、ケージ3に固定された案内部6と、それぞれ1つの案内部6に、軸方向Aに移動可能に取り付けられ、好ましくは摺動可能に取り付けられる複数の閉止要素4と、を含む。閉止要素4の各々に、それぞれ1つのバルブシート7aが割り当てられ、閉止要素4はそれぞれ、関連するバルブシート7aの軸方向Aに反対側に位置付けられるように配置され、閉止要素4は軸方向Aに移動可能で、それによってバルブシート7a及び、それゆえ吸込みダクト2aを開閉できる。ポペットバルブ1は、閉止要素4に、バルブシート7aに向けられた、又はバルブシートカバー2に向けられた与圧荷重を加えるためのばね5をさらに含む。閉止要素4はまた、ポペット又はバルブコーンとも称される。ケージ3は、好ましくは軸方向Aに垂直に延びる保持構造3eを含み、保持構造3eの上には案内部6が配置され、これは軸方向Aに延び、そこに閉止要素4が軸方向Aに移動可能に、又は直線移動可能に配置され、好ましくは摺動可能に取り付けられる。図の例示的実施形態において、案内部6は中空の円筒形の設計である。図の例示的実施形態において、閉止要素4は閉止ヘッド4aと案内区間4bを含み、閉止要素4は同心円状の設計であり、対称軸に沿って、案内部6と共に滑り軸受けを形成する穴4cを有し、それによって案内部6は閉止要素4に関して内側ガイドを形成する。閉止ヘッド4aは、支持部4fをさらに含み、これは有利な態様として、面状の設計である。ばね5は、第1のばね端部5aと第2のばね端部5bを含み、第1のばね端部5aは支持部4fに当接し、第2のばね端部5bはケージ3に直接当接し、又は介在するばね支持部8に当接し、閉止要素4にバルブシート7aに向かって作用する与圧荷重を加える。ばね5は、内部空間5cを有する。ばね5は、案内部6と閉止要素4を軸方向Aに一部区間4eに沿って外側から取り囲み、それによって案内部6と閉止要素4はどちらも、前記一部区間4eに沿ってばね5の内部空間5cの中に配置される。ばね5の直径は軸方向Aにバルブシート7aに向かって増大し、好ましい実施形態において、ばね5は円錐状に幅広となる。ばね5は、有利な態様として、ばね5が支持部4fにおいてのみ閉止要素4と接触するように設計される。幅広となるばね5には、第2のばね端部5bが第1のばね端部5aより小さい直径又はより小さい支持面を有し、その結果、ケージ3の領域において、構成部品の存在しない、より大きい中間空間が生まれ、そこに流体Fが流れることができる、という利点がある。
図2では、相互に隣接して配置される2つのバルブVの流体の流れF1、F2が例として示されている。流体の流れF1、F2は、軸方向Aに関して、閉止要素4の端面4gにより軸方向Aに関して横方向に分岐し、それによって流体の流れF1、F2は、例として示されているようにケージ3へと流れる。交差する流体の流れF1、F2は、特に隣接する閉止要素4の、又はそのばね5の部品の周囲に流れる。前記流体の流れF1、F2が可能な限り妨害されないようにするために、構成部品の存在しない中間空間、特に、ケージ3に向かって広くなる、構成部品の存在しない中間空間が有利である。ケージ3に向かって幅狭となる閉止要素4は、特に有利である。また、ばね5の配置も特に有利であり、それは、これらがわずかにしか、好ましいことに無視できる程度にしか流体の流れF1、F2に影響を与えないためである。
【0013】
さらなる実施形態において、ポペットバルブ1はまた、1つの吸込みダクト2aと、ばね5を備える1つの閉止要素4とのみを含むように設計されてもよい。しかしながら、ポペットバルブ1は、好ましくは、バルブシート7aを備える複数の吸込みダクト2aと、それぞれに関連付けられる、ばね5を備える閉止要素4とを含み、それによってポペットバルブ1はマルチシートポペットバルブ又は、複数の閉止バルブVを備えるポペットバルブ1を形成する。
【0014】
特に有利な実施形態において、ポペットバルブ1は、
図2及び3に示されているように、シートプレート7を含み、これは、閉止ヘッド4aがそこに当接し、それによって吸込みダクト2aを閉じるよう配置され、バルブシート7aがシートプレート7内に、又はシートプレート7の一部によって形成されるようになっている。シートプレート7は、バルブシート7aと閉止ヘッド4aがそこに作用するために摩耗する部品であり、それゆえ、有利な点として、容易に交換できる。別の考えうる実施形態において、シートプレート7は省くことができ、それによって閉止ヘッド4aはバルブシートカバー2と直接当接し、バルブシート7aはバルブシートカバー2の一部である。
【0015】
図3は、
図1及び2に示されるポペットバルブ1を、下から見た図で示している。
図4は、
図2及び3に示されるケージ3を詳細に示す。ケージ3は有利な点として、平坦すなわち平らに延びる保持構造3eを有し、保持構造3eは、
図2〜4に示されているように、好ましくは、複数の支柱3bと接合部3aを含む格子構造として設計され、案内部6は接合部3a上に配置され、有利な点として、交換可能にそこに固定される。各接合部3aは、有利な点として、穴3fを有し、その中に案内部6が固定される。図の保持構造3eは好ましくは、大きい中間空間3cを有し、それによって、吸込みダクト2aを介して流れる流体が妨害されずに、又は実質的に妨害されずにケージ3内を流れることができ、それによって非常にわずかな圧力損失しか生じないという利点が得られる。有利な実施形態において、ケージ3は、
図3及び4に示されるように、中空の円筒形外壁3dを含み、これは軸方向Aに延び、保持構造3eを円周方向に取り囲む。ケージ3はそれゆえ、バルブ保護装置としての機能を果たし、これは「バルブガード」とも称される。
【0016】
図5及び6は、
図1〜3に示されるポペットバルブ1の1つの閉止バルブVを詳細に示す。外面2b及び7bは、それら自体が断面であるものの、他の特徴を明瞭に説明するためにハッチングは付けていない。ばね5は、内部空間5cを有し、一部区間4eに沿って、ばね5が案内部6と閉止要素4の案内区間4bの両方を外側から取り囲むように設計、配置され、ばね5は、第1のばね端部5aにおいてのみ閉止要素4と直接接触し、支持部4f上で支持されるか、又はそれに当接して支持される。ばね5は、
図6による側面図では円錐形に延びる設計であり、平面図ではらせん状に延びるように設計され、ばね5の巻き線は好ましくは、隣接する巻き線が閉止要素4の軸方向Aへの移動中に相互に当たらないように設計される。巻き線は、有利な態様として、案内区間4bから、ばね5が支持部4f以外では閉止要素4と擦れず、又はそれと接触しない程度に離間され、その結果、ばね5と案内区間4bの摩耗の程度が極めて低くなる。支持部4fは、様々な考えうる設計で提供されてよく、例えば、第1のばね端部5aを案内するためのくぼみ又は、第1のばね端部5aを案内及び/又は保持するための固定手段を有していてもよい。本発明によるポペットバルブ1は、そこに流れる流体Fがわずかな流れ抵抗しか受けないという利点を有する。
【0017】
特に
図6からわかるように、閉止要素4は、吸込みダクト2aに面する端面4gを有し、端面4gは、実質的に円錐形に、又は矢じり形に延びるように設計される。端面4gは、様々な考えうる設計で提供されてよい。高圧ガスコンプレッサと共に使用されるマルチシートポペットバルブ1、すなわち複数の閉止バルブVを含むポペットバルブ1の場合、端面4gは、有利な態様として、端面4gが円錐形、矢じり形、及び/又は凸形に延び、端面4gの中央から縁部まで平滑な延長曲線で延びることにより、空気力学的設計であることが有利であり、この曲線は好ましくは、凹型に延びる区間4iも有していてよい。この設計により、端面4gにおける圧力損失が減り、及び/又は流体の流れFを軸方向Aに関して横に誘導し、それによって、
図2の部分的な流れF1、F2からわかるように、前記流体の流れは、バルブシート7aを通過した後に、好ましくは、構成部品の存在しない中間空間を通り、その後、ケージ3の中間空間3cを通って流れる。
【0018】
図6からわかるように、閉止要素4は、バルブシート7aに面する端面4gを備える閉止ヘッド4aを有し、端面4g、又は
図6に示される閉止要素4の断面は、軸方向Aに、吸込みダクト2aからケージ3へと最大円周4qまで広がり、それによって最大外径4pが形成される。最大円周4qと最大外径4pは、例えば、
図15の図にも示されている。
図6からわかるように、最大外径4pは、閉止要素4の、軸方向軸Aに対して垂直な線に関して軸方向軸Aからの最大距離を有する。同じく
図6には、最大円周4qの、又は最大外径4pの円周中心点M
Fが示されている。この円周中心点M
Fは、閉止要素4の案内内部空間4cの中にある。流体が開いたバルブVを通って流れる場合、最大円周4qの領域において作用する流れの力は、閉止要素4に作用する最大のトルクを生じさせることが多い。円周中心点M
Fはさらに、前記作用トルクの中心点を形成する。
【0019】
図6に示されているように、閉止要素4と案内部6は、バルブVの中で相互に嵌るように設計、配置され、それによって案内部6は、吸込みダクト2aの方向に、案内部端部6cにおいて終了し、また、それによって、少なくとも閉止要素4が完全に開くと、円周中心点M
Fは案内部6の輪郭内に入り、すなわち、案内部6が軸方向Aに延在する距離の範囲内に入り、又は、換言すれば、少なくとも閉止要素4が完全に開くと、円周中心点M
Fは軸方向Aにおいて案内部6の案内部端部6cよりもケージ3に近い位置にある。
図6に示されているように、円周中心点M
Fは案内部端部6cから距離Dだけ離れている。距離Dは、少なくとも、閉止要素が完全に開いているときには0mmより大きいか、それと等しい。距離Dは、有利な態様では、閉止要素4がバルブシート7aに当接しているときにも0mmより大きいか、それと等しい。この実施形態には、円周中心点又は、閉止要素4に作用するトルクの、特に最大円周4qに作用する、又は最大外径4pに作用するトルクの回転中心M
Fが、閉止要素4が案内部6に当接し、それによって軸方向Aに案内される領域内にある、という利点がある。これは、閉止要素4が案内部6に関して傾くのを軽減させ、又は防止し、これはさらに、閉止要素4の案内内部空間4cの摩耗と、案内部6の摩耗をさらに低減させる。それゆえ、上述の配置によって、閉止要素4は軸方向Aへと確実に良好に直線的に案内される。この直線的な案内は特に重要であるが、それは、開いた状態にあると、閉止要素は、流体の流れFとその結果生じる乱流によって、閉止要素4に対する異なる、時間的に変化する、部分的に比較的大きい力を受け、これが閉止要素4を軸方向Aへの移動から偏向させようとするからである。このような移動の偏向によって、閉止要素4が片側でバルブシート7aと当接する可能性が生じ、これは閉止要素4の端面4gの摩耗を大きく増大させる。さらに、案内内部空間4cにおける摩耗が増大し、それによって閉止要素4の軸方向への案内があまり効果的に行われなくなり、それが今度は、端面4gの摩耗を早める原因となる。それゆえ、閉止要素の上記の実施形態には、案内部6の配置との組合せにより、摩耗が大幅に減るという利点がある。
【0020】
図7〜11は、
図1〜3に示されるポペットバルブ1で使用可能な1つの閉止バルブVの別の例示的実施形態を示す。
図7は、閉止バルブの第二の例示的実施形態を示しており、案内部6は球形の端部6dを有し、それによって閉止要素4は直線移動又は摺動だけでなく、案内部6に関する傾斜移動も実行できる。このようにして、閉止要素4は、閉じた状態で、バルブシート7aの位置又は輪郭に特に効果的な方法で適合できる。
【0021】
図8は、閉止バルブの第三の例示的実施形態を示す。バルブシートカバー2の下に流体案内板9が配置され、これは流入する流体Fを、それが吸込み口2aと閉止要素4を通過した後に、好ましくは軸Aに実質的に平行に延びる流れの方向に再整列させる役割を果たす。バルブシートカバー2は、有利な態様では、溝2bを含み、その中にリング状摩耗部品7が配置される。リング状摩耗部品7には、それが特に容易に交換可能であり、シートプレート7を有する
図7に示されるプレート状設計にはそれほど適さない材料を使用できるという利点がある。リング状摩耗部品7に適した材料は、例えば、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)及び特に繊維強化PEEK等のプラスチック、又はエラストマ、特にゴム状材料、又は金属である。1つの有利な実施形態において、リング状摩耗部品7は、金属で製造される。
図8に示されるポペットバルブ1には、摩耗部品7がバルブシートカバー2の構造的高さ内に配置され、それによってプレート状のシートプレートが不要であるという別の利点がある。これによって、バルブシート7aをより厚くするか、ポペットバルブ1の構造的高さをより低くすることが可能となる。別の考えうる実施形態において、
図8に示されるポペットバルブ1の場合、流体案内板9を省くことも可能であろう。さらに、案内部6を
図5に示されるように、球形の端部6dを持たない直線的に延びる案内部6として設計することも可能であろう。
【0022】
図9は、閉止バルブの第四の例示的実施形態を示す。案内部6は中空の円筒形の設計である。閉止要素4は、円筒形の案内区間4bを含み、案内部6と案内区間4bは相互に嵌るように設計され、それによってこれらは軸方向Aに滑り軸受を形成する。この実施形態において、閉止要素4は特に安価に、また小さい質量を有するように生産できる。1つの有利な実施形態において、閉止要素4は金属から生産される。別の有利な実施形態において、閉止要素4は2つの部品で形成され、バルブディスクとして設計される閉止ヘッド4aと、ピン又は円筒管体として設計される案内区間4bと、を含む。閉止ヘッド4aと案内空間4bは、有利な態様として、異なる材料から製造され、好ましくは2つの部品で形成されて、例えばクリップコネクタ等のコネクタによって相互に簡単に接続可能である。例えば、閉止ヘッド4aを金属から製造し、案内区間4bをプラスチックから製造することが可能であろう。
図9による例示的実施形態において、最大外径4pと案内部6の端部6cは、再び、好ましくは、
図6に関してすでに述べたように、少なくとも閉止要素4が完全に開いているときに距離Dが0mmより大きいか、これと等しくなり、有利な態様では閉止要素4が閉じたときにも0mmより大きいか、これと等しくなるように設計される。
【0023】
図10は第五の例示的実施形態を示しており、この場合、閉止要素4は、
図9に示される実施形態に関して、さらにまた、外部ガイド4hによって案内部6上で外側からも案内される。別の考えうる実施形態において、
図10に示される閉止要素4の場合、案内区間4bを省き、それによって閉止要素が外部ガイド4hによってのみ案内されるようにすることも可能であろう。
【0024】
図11は第六の例示的実施形態を示しており、この場合、ばね5が平行に延びるぜんまいばね又はコイルばねとして設計されている。
図12は、内部空間5cを備える圧縮ばね5の別の例示的実施形態を示しており、圧縮ばね5は複数の皿ばねを含み、これらは軸Aの延びる方向に積層体として相互に重ねて配置される。
図13は、内部空間5cを備える圧縮ばね5の別の例示的実施形態を示しており、圧縮ばね5はラバースプリングとして設計されている。
【0025】
本発明によるポペットバルブ1により、既知のポペットバルブに関してより大きい外径を有するばね5を使用することが可能となる。ばねの直径がより大きくなると、ばね内の応力が大幅に低下するという利点が得られる。移動、ばね定数、及び材料が同じである場合、円筒形のばね内の応力はばねの平均直径に依存する。先行技術に関して、本発明によるポペットバルブ1は、はるかに大きい平均ばね径を有し、それによって使用されるばね5には、より低い応力と、最終的により軽い程度の摩耗が見られる。本発明によるポペットバルブ1の場合、より少ない巻き線数のばね5を使用し、それにもかかわらず、ばね5内の応力を許容可能な範囲内に保つことがさらに可能である。それゆえ、本発明によるポペットバルブには、より小さい巻き線数のばね5を使用できるという利点があり、それによって有利な点として、ポペットバルブ全体の構造的高さを縮小できる。
【0026】
図14は、ポペットバルブの1つのバルブ要素Vの第七の例示的実施形態を、右側には縦断面で、左側には部分的縦断面で示している。案内部6は、固定区間6kによってケージ3に固定されている。案内部6は比較的大径の区間6hと、肩部6iと、それに続く比較的小径の区間6gと、を含む。案内部6は基部6eをさらに含み、そこから中空の円筒形の外側ガイド6fが配置されている。案内部6は、端壁又は端面6cをさらに含む。閉止要素4は、比較的小径の区間6gに対して接する第1の案内内部空間4cを含み、外側ガイド6fに対して接する第2の案内内部空間4nを含み、それによって閉止要素4は区間6g及び外部ガイド6fに当接する。ばね5は、第2の案内内部空間4n内に配置される。軸方向Aへの行程移動は、第2のストッパ4hと案内部の端面6cによって、及び/又は肩部6iと第3のストッパ4kによって、及び/又は第1のストッパ4dとケージ3の表面によって限定される。
図14による例示的実施形態において、閉止要素4は直線方向に、すなわち軸Aの延びる方向に特に効果的に案内される。
【0027】
図15は、最大外径4pの閉止ヘッド4aを含む閉止要素4の縦断面斜視図を示し、閉止ヘッド4aは凹型に延びる区間4iを含む。さらに、閉止要素4は、第2のストッパ4hを持つ案内内部空間4cと、増大した壁厚の第1のストッパ4dと、ばね支持部4fと、を含む。
【0028】
図16は、最大外径4pの閉止ヘッド4aを含む閉止要素4の縦断面斜視図であり、閉止ヘッド4aは凹型に延びる区間4iを含む。さらに、閉止要素4は第2のストッパ4hを持つ案内内部空間4cと、内径が比較的大きく、それによって第3のストッパ4kが形成される第2の案内内部空間4nと、増大した壁厚の第1のストッパ4dと、ばね支持部4fと、を含む。
【0029】
図17は、最大外径4pの閉止ヘッド4aを含む閉止要素4の縦断面斜視図であり、閉止ヘッド4aは接続部4lによって案内区間4cに接続される。案内区間4cは第2のストッパ4hを含み、これは案内区間4cを上方向に気密状態に閉鎖する。
【0030】
案内区間4cは、全長にわたり同じ内径を有していてもよく、又は
図17に示されるように、肩部4kを有し、第2の案内内部空間4nがそこまでの案内内部空間4cより小さい内径を有するようにしてもよい。
図17に示される閉止要素4は好ましくは、金属から、好ましくは薄い金属から生産され、これによって閉止要素4は、有利な点として、軽量となり、また、有利な点として、高い耐摩耗性を有することになる。
【0031】
図18は、最大外径4pの閉止ヘッド4aを含む閉止要素4の縦断面斜視図である。閉止要素4は、第2のストッパ4hを持つ案内内部空間4cをさらに含む。閉止ヘッド4aは、ばね区間4mによって基部4oに接続され、基部4oはさらに第1のストッパ4dを形成する。ばね区間4mは好ましくは、閉止要素4の残りの部分と同じ材料からなり、閉止要素4は好ましくは1つの部品からなる。ばね区間4mの外壁のくぼみは、閉止ヘッド4aと基部4oとの間で軸方向Aへ弾性特性を有する閉止要素4を提供するために、各種の方法で設計されてよい。
【0032】
図19は、案内部6を通り、また案内部に軸方向Aに移動可能に、及び直線移動可能に取り付けられた閉止要素4を通る縦断面斜視図である。案内部6は、ストッパ6lをさらに含み、それに続いて、固定区間6kが配置されている。ストッパ6lは、固定区間6kをケージ3の中に挿入する深さを限定するためのストッパとしての役割を果たす。有利な実施形態において、固定区間6kは、軸方向Aに弾性特性を有するばね区間6mにより取り囲まれる。また、案内部6を1つの部品で形成することも可能であり、ばね区間6mの材料を案内部6の残りの部分より柔らかい、及び/又はより弾性の高い材料から製造できる。
【0033】
図20は、半径方向に突出するストッパ部6lと、固定区間6kと、円筒面6aと端面6cを備える案内区間6bと、を含む案内部6の縦断面斜視図である。
図21は、すでに
図6に示したバルブVを示しており、バルブVは、
図21では、縦に延びるバルブ胴体2の中に配置されている。
【0034】
図22は、シリンダ15と、ピストン16と、ピストンロッド17と、を含み、ピストン16がシリンダ15の中心軸Mの延びる方向に前後に移動可能となるように取り付けられているピストンコンプレッサの縦断面図である。上部でシリンダ15を結合するように中空のバルブ胴体2が配置され、これは円周方向に相互に離間された複数のバルブVを有する。個々のバルブVは、例えば、
図21に示されているように設計され、保持板7は中空の円筒形の設計であり、バルブ胴体2を取り囲む。ケージ3もまた必要であり、これはバルブ胴体2又はシリンダ15に接続され、有利な実施形態においては、バルブ胴体2を取り囲む。
【0035】
図22は、左上に、圧力バルブV
Dとして配置されたバルブVを示しており、この場合、吸込みダクト2aはシリンダ15の内側から始まって、それにより閉止要素4は外側に向かって配置される。吸込みダクト2aは好ましくは、シリンダ15の中心軸Mに関して半径方向に延びる。バルブVはまた、
図22の右上に示されているように逆に配置されてもよく、吸込みダクト2aは外側から始まり、閉止要素4はシリンダ15の内側に向かって配置され、それによってバルブVは吸引バルブV
Sとして機能する。また、バルブ胴体2をシリンダ15の一部として、例えばシリンダ15が吸込みダクト2aを形成する穴と、好ましくはバルブシート7aを有することによって設計することも可能である。さらに、
図22の上方に示されているように、特にシリンダ15が複動式の設計の場合に、バルブVを含む別の中空の円筒形バルブ胴体2を中心軸Mの延びる方向においてシリンダ15の下方に配置することも可能であろう。要求に応じて、バルブVは、バルブ胴体2の中に、又はシリンダ15の中に、圧力バルブV
Dとして、及び/又は吸引バルブV
Sとして配置されてもよい。圧力バルブV
Dと吸引バルブV
Sの配置には様々な可能性がある。例えば、
図23において、円周方向に離間されて配置されたバルブVは、1つおきに圧力バルブV
Dとして設計され、別の1つおきに吸引バルブV
Sとして設計することが可能であり、それぞれ1つの圧力バルブV
Dと1つの吸引バルブV
Sが円周方向に相互に追従して配置されるようすることも可能であろう。別の例示的実施形態において、すべの圧力バルブV
D又はすべての吸引バルブV
Sを、中心軸Mに関して例えば90°、180°、又は360°の所定の角度に沿って配置することが可能であろう。
【0036】
したがって、例えば
図22では、圧力バルブV
Dを180°の角度に沿って配置し、その後、すべての吸引バルブV
Sを180°の角度に沿って配置し、それによってすべてのバルブVがシリンダ15の中に、又はバルブ胴体2の中に、中心軸Mの延びる方向において同じ高さで配置されるようにすることが可能であろう。別の例示的実施形態において、バルブVはまた、中心軸Mの延びる方向にずらして配置されてもよく、それによって、例えば圧力バルブV
Dは例えば90°、180°、又は360°の所定の角度に沿って配置され、吸引バルブVsが例えば90°、180°、又は360°の所定の角度に沿って、中心軸Mの延びる方向にずれるように配置される。また、圧力バルブV
Dと吸引バルブV
Sを円周方向に一方が他方の背後になるように配置し、中心軸Mの延びる範囲にずれるようにすることも可能であろう。さらに、圧力バルブV
Dと吸引バルブV
Sは、例えば2つのバルブVを圧力バルブV
Dとして設計し、それぞれの第3のバルブVを吸引バルブV
Sとして設計することにより、円周方向にグループで配置することも可能であろう。
【0037】
図23及び24は、それぞれ複数の圧力バルブV
Dがその上又はその中に配置された1つのバルブ胴体2を含むポペットバルブ1の2つのさらなる例示的実施形態を示す。ポペットバルブ1は、流体誘導するように、シリンダ15とピストン16により形成される内部空間へと、いわゆるバルブネスト18と吐出しダクト18aを介して接続される。この例示的実施形態は、圧力バルブV
Dのみを示している。しかしながら、吸引バルブV
Sだけの配置を提供することも可能であり、それによって内部空間は吸込みダクト18aとバルブネスト18を介してポペットバルブ1へと開放する。
図23及び24に示される例示的実施形態において、吸引バルブV
Sと圧力バルブV
Dの両方をポペットバルブ1に、又はバルブ胴体2の中に配置してもよく、それによって吸込み及び吐出しダクト18aはシリンダの内部空間をバルブネスト18とポペットバルブ1に接続する。
【0038】
バルブ胴体2は様々な実施形態で設計されてよく、それによって
図2及び23に示されるバルブ胴体2の例示的実施形態は単に例として理解すべきである。本発明によるポペットバルブ1の利点は、バルブ胴体2が、バルブVが例示的実施形態に示されているように配置される様々な形状を有することができるという点からわかる。本発明によるポペットバルブ1は、要求事項に応じて、吸引又は圧力バルブV
S、V
D、又は両方のバルブの組合せを有していてもよい。
【0039】
1つの有利な実施形態において、ピストンコンプレッサ用ポペットバルブ1は、ケージ3と、複数の吸込みダクト2aを備えるバルブ胴体2と、を含み、各吸込みダクト2aはバルブシート7aに開口し、さらに、軸方向Aに移動可能な複数の閉止要素4を含み、各吸込みダクト2aには閉止要素4が割り当てられ、バルブシート7aは、軸方向Aにおいて関連する閉止要素4の反対の位置に配置されて、バルブシート7aは閉止要素4によって閉止可能であり、ばね5はケージ3と閉止要素4との間に、閉止要素4にバルブシート7aに向けられた与圧荷重をかけるために配置され、ケージ3上には案内部6が配置され、これは軸方向Aに延び、その上で閉止要素4が軸方向Aに移動可能に案内され、閉止要素4は閉止ヘッド4aと案内区間4bを含み、閉止ヘッド4aと案内区間4bは、軸方向Aにおいて相互に追従し、閉止要素4は、案内区間4bから始まり、案内内部空間4cを有し、これは軸方向Aにおいて閉止要素4の内部へと閉止ヘッド4aの方向に延び、その中には案内部6もまた延びており、閉止ヘッド4aは、軸方向Aにおいて案内区間4bに向かう方向に、最大円周4qまで広がる端面4gを有しており、最大円周4qは円周中心点M
Fを有し、案内内部空間4cは、閉止ヘッド4aの方向に、少なくとも円周中心点M
Fが案内内部空間4cの中に入るまで延びる。
【0040】
ポペットバルブは好ましくは、例えば
図6に示されているように、円周中心点M
Fが、少なくとも閉止要素4が完全に開いたときに案内部6の輪郭内に入るように設計される。
ポペットバルブは好ましくは、閉止要素4が閉じたときにも円周中心点M
Fが案内部6の輪郭内に入るように設計される。
【0041】
ポペットバルブは好ましくは、例えば
図5、6、又は16に示されているように、端面4gが円錐形又は矢じり形に実質的に又は部分的に延びるように設計される。
ポペットバルブは好ましくは、例えば
図11に示されているように、端面4gの表面が少なくともその周辺領域において、軸方向Aに対する法線に関して少なくとも10°の傾斜角度αを有するように設計される。
【0042】
ポペットバルブは好ましくは、例えば
図6、15、及び16に示されているように、端面4gが、少なくとも周辺から中心に向かう表面に沿った区間において、凹型に延びる区間4iを有するように設計される。
【0043】
ポペットバルブは好ましくは、例えば
図2、5、又は6に示されているように、案内区間4bがケージ3の方向に直径が漸減する外側輪郭を有するように設計される。それゆえ、案内区間4bの流れ抵抗は比較的低い。
【0044】
ポペットバルブは好ましくは、案内部6と案内区間4bが円形断面を有し、これらが共に縦方向のガイド及び特に滑り軸受を形成するように設計される。
ポペットバルブは好ましくは、例えば
図14に示されているように、案内区間4bが、内部断面積が比較的小さい第1の案内内部空間4cと、軸方向Aにそれに続いて、内部断面積が比較的大きい第2の案内内部空間4nを有するように設計される。
【0045】
ポペットバルブは好ましくは、例えば
図14に示されているように、第1の案内内部空間4cと第2の案内内部空間4nとの間に移行点が特に狭小部として、又は肩部として形成されるように設計される。
【0046】
ポペットバルブは好ましくは、例えば
図14に示されているように、案内部6が、比較的小径の区間6gと比較的大径の区間6hを有し、これらがそれぞれ第1及び第2の案内内部空間4c、4n内に支持されるように設計される。
【0047】
ポペットバルブは好ましくは、例えば
図15又は16に示されているように、案内区間4bが、閉止ヘッド4aに関して反対の端に、増大された壁厚の第1のストッパ4dを有するように設計される。
【0048】
ポペットバルブは好ましくは、例えば
図15又は16に示されているように、閉止ヘッド4aが、案内区間4bの方向に、支持部4fを有し、それが軸方向Aに関して円周方向に延び、ばね5を支持する役割を果たすように設計される。
【0049】
ポペットバルブは好ましくは、例えば
図18に示されているように、閉止要素4が、案内区間4bに続いて、軸方向Aに延びるばね区間4mを有するように設計される。
ポペットバルブは好ましくは、例えば
図18に示されているように、閉止ヘッド4aの上に、軸方向Aにおいて閉止ヘッド4aの表面より上に突出し、案内内部空間4cの一部を形成する終端部4hが配置されるように設計される。
【0050】
ポペットバルブは好ましくは、例えば
図17に示されているように、閉止ヘッド4aが実質的に、リング状に延び、バルブシート7aに当接するように配置されるシーリング面からなり、閉止ヘッド4aが接続部4lによって案内区間4bに接続されるように設計される。
【0051】
ピストンコンプレッサのポペットバルブ1のための閉止要素4は、閉止ヘッド4aと、案内区間4bと、を含んでおり、閉止ヘッド4aと案内区間4bは、軸方向Aにおいて相互に追従し、閉止要素4は、案内区間4bから軸方向Aにおいて閉止要素4の内部へと閉止ヘッド4aの方向に延びる案内内部空間4cを有し、閉止ヘッド4aは、軸方向Aにおいて案内区間4bに向かって、最大円周4qまで広がる端面4gを有し、最大円周4qは円周中心点M
Fを有し、案内内部空間4cは閉止ヘッド4aの方向に、少なくとも円周中心点M
Fが案内内部空間4cの中に入るまで延びる。