(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記共材は、カルシウム(Ca)、原子価アクセプタ元素、及び希土類元素からなる群より選択される一つ以上がドーピングされた誘電体である、請求項1に記載の積層セラミック電子部品。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、添付の図面を参照し、本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0014】
図1は本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品100を示す概略斜視図であり、
図2は
図1の積層セラミック電子部品100のA−A'線に沿った概略断面図である。
【0015】
図1及び
図2を参照すると、本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品100は、セラミック本体110、及び上記セラミック本体の外部面に配置される外部電極131、132を含む。
【0016】
セラミック本体110は、電子部品の容量形成に寄与する部分である活性層、及び上下マージン部として活性層の上下部にそれぞれ形成された上部及び下部カバー層を含む。上記活性層は、誘電体層111及び内部電極121、122を含み、内部電極121、122が印刷された誘電体層111が積層されて形成されることができる。
【0017】
本発明の一実施形態において、セラミック本体110は、その形状に特に制限されないが、実質的に六面体形状であることができる。セラミック本体110は、チップの焼成時にセラミック粉末の焼成収縮、内部電極パターンの有無による厚さの差異、及びセラミック本体の角部の研磨により、完全な六面体形状ではないが、実質的に六面体に近い形状を有することができる。
【0018】
内部電極121、122は、誘電体層111と交互に積層されることができ、内部電極の間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に絶縁される。
【0019】
内部電極121、122は、第1内部電極121及び第2内部電極122を含むことができ、上記第1内部電極及び上記第2内部電極は上記誘電体層上に交互に積層されることができる。
【0020】
内部電極121、122の厚さ及び積層数は用途に応じて決定されることができる。
【0021】
また、これに制限されないが、内部電極121、122は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、またはこれらの合金を含むことができる。
【0022】
第1内部電極121及び第2内部電極122に含有される導電性材料は、特に限定されないが、ニッケル(Ni)を用いることができる。
【0023】
誘電体層111は、高誘電率を有するセラミック組成を含み、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO
3)系誘電体を含むことができる。
【0024】
上記チタン酸バリウム(BaTiO
3)系誘電体は、純粋なチタン酸バリウム、またはチタン酸バリウムのBaサイト(Aサイト)及びTiサイト(Bサイト)が他の添加元素でドーピングされた化合物を含む意味として理解されることができる。
【0025】
図3は
図2のP領域を概略的に示す拡大図である。
【0026】
図3に示されているように、本発明の一実施形態によると、内部電極121、122は、内部にトラップ(trap)されている共材21を含む。
【0027】
共材21は、添加剤がドーピングされた誘電体で、例えば、添加剤がドーピングされたチタン酸バリウム系誘電体であることができる。
【0028】
本発明の一実施形態によると、内部電極121、122の内部にトラップされている共材21に添加剤がドーピングされているため、純粋なチタン酸バリウム誘電体を共材として用いた場合に比べて共材の耐還元性が向上し、焼成後の共材の絶縁特性が向上することができる。
【0029】
これにより、内部電極121、122内にトラップされた共材21の耐還元性及び絶縁特性が向上して内部電極に過電流が流れることを抑制することができ、内部電極が過熱しても電極の玉化及び切れを防いで絶縁劣化の発生を減らすことができるため、積層セラミック電子部品の長期信頼性を向上させることができる。
【0030】
上記添加剤は、カルシウム(Ca)、原子価アクセプタ元素、及び希土類元素からなる群より選択される一つ以上の元素であることができる。
【0031】
上記原子価アクセプタ元素は、マグネシウム(Mg)及びマンガン(Mn)のうち一つ以上を含み、上記希土類元素はイットリウム(Y)、ガドリニウム(Gd)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、ユーロピウム(Eu)、エルビウム(Er)、イッテルビウム(Yb)のうち一つ以上を含む。
【0032】
後述の通り、本発明の一実施形態によると、内部電極121、122に含まれる共材21の添加剤組成を通じて誘電体層111の組成を調節することができる。
【0033】
したがって、誘電体層111の物性を具現するために、上記添加剤は適切に選択されることができる。
【0034】
例えば、共材21は、原子価アクセプタ元素のうち一つ以上及びカルシウム(Ca)が共ドーピング(co−doping)された誘電体であってよい。
【0035】
また、共材21は、希土類元素のうち一つ以上及びカルシウム(Ca)が共ドーピングされた誘電体であってよく、原子価アクセプタ元素のうち一つ以上及び希土類元素のうち一つ以上が共ドーピングされた誘電体であってもよい。
【0036】
なお、共材21は、原子価アクセプタ元素のうち一つ以上、希土類元素のうち一つ以上、及びカルシウム(Ca)が共ドーピングされた誘電体であってもよい。
【0037】
本発明の一実施形態によると、内部電極121、122の断面積において、共材21が占める断面積は3%〜20%であることができる。
【0038】
上記内部電極の面積において共材が占める面積が3%以下である場合、絶縁劣化の発生を減少させる効果が大きく示されず、共材が占める面積が20%以上である場合、内部電極内の非伝導性領域の増加で内部電極の連結性が低下して容量が低くなるという問題が発生しかねない。
【0039】
本発明の一実施形態によると、誘電体層111は、共材21に含まれた添加剤と同一の添加剤を含み、誘電体層の厚さ方向において上記添加剤元素が濃度勾配(gradient)を有する。
【0040】
例えば、上記誘電体層は、内部電極に隣接した界面において厚さ方向の中心部に行くほど添加剤の濃度が次第に減少することができる。
【0041】
誘電体層111内に存在する添加剤は、内部電極ペーストに含まれた共材が焼成過程において内部電極ペーストから抜け出し、誘電体層の一部を形成する過程において誘電体層に含まれることができる。
【0042】
これにより、誘電体層111内における上記添加剤の濃度は、誘電体層の厚さ方向の中心より誘電体層111と内部電極121、122との界面付近(内部電極に隣接した領域)においてさらに高い。
【0043】
例えば、
図3に示されているように、誘電体層111は、内部電極121、122に隣接した界面部111b、及び界面部111bの間に配置される中央部111aを含み、上記界面部における添加剤の濃度が上記中央部における添加剤の濃度より高い。
【0044】
界面部111bと中央部111aは、誘電体層内に区分されものではなく、一体で形成されるもので、内部電極との距離で区分されることができる。
【0045】
本発明の一実施形態において、界面部111bは、上記内部電極と上記誘電体層との界面から上記誘電体層の厚さの20%以内の領域として定義される。
【0046】
界面部111bの厚さT2は誘電体層111の厚さT1の20%であることができる。
【0047】
誘電体層の材料として用いられるチタン酸バリウム(BaTiO
3)は、高誘電率を具現することができるが、耐還元性がよくないため、誘電体層及び内部電極を薄層化する際に信頼性を確保することが困難であるという問題がある。
【0048】
また、誘電体層の耐還元性及び信頼性を向上させるために、添加剤を含む誘電体層を用いる場合は、誘電率が低下し、誘電損失(DF)が増加するという問題がある。
【0049】
したがって、本発明の一実施形態は、誘電体層が添加剤元素を含み、誘電体層の厚さ方向において均一に含まれず、内部電極に隣接した誘電体層の界面部において添加剤元素がさらに多く含まれる。
【0050】
積層セラミック電子部品の使用過程において、誘電体層の損傷で生じる絶縁劣化は主に内部電極に隣接した誘電体層の界面部に酸素空孔が蓄積して発生する。したがって、本発明の一実施形態のように、チタン酸バリウムの耐還元性及び信頼性を向上させる添加剤が誘電体層の界面部111bに主に存在するようにする場合、高い誘電率及び低い誘電損失を具現しながら信頼性を向上させることができる。
【0051】
また、本発明の一実施形態によると、誘電体層において、酸素空孔が主に蓄積する内部電極の境界から全体厚さの20%に該当する界面部における添加剤の濃度をさらに高くすることにより、高い誘電率、低い誘電損失を効率的に具現しながら信頼性を向上させることができる。
【0052】
本発明の一実施形態によると、添加剤元素が誘電体層111の界面部111bに主に含まれるため、上記誘電体層の界面部111bにおける添加剤の濃度が中央部111aにおける添加剤の濃度より高い。
【0053】
本発明の一実施形態のように、添加剤元素が誘電体層に均一に含まれず、中央部111aより界面部111bにさらに多く含まれることにより、誘電率の減少を防止し、誘電損失を減らしながら信頼性が向上した積層セラミック電子部品を提供することができる。
【0054】
積層セラミック電子部品の製造方法で後述するが、誘電体層111及び内部電極121、122は、誘電体層を形成するセラミックグリーンシート上に内部電極ペーストを塗布した後、これらを積層した積層体を焼成して形成されることができる。
【0055】
本発明の一実施形態によると、内部電極を形成するための内部電極ペーストが添加剤元素がドーピングされた誘電体共材を含むことにより、内部電極に隣接した誘電体層の界面部における添加剤の濃度が誘電体層の中央部における添加剤の濃度より高くなることができる。
【0056】
上記内部電極ペーストに含まれた共材は、内部電極ペーストが塗布されたセラミックグリーンシートを含む積層体の焼成過程において、内部電極から抜け出してセラミックグリーンシートに移動し、誘電体層の一部を形成することができる。このとき、内部電極に隣接した誘電体層の界面部に主に配置されることができる。
【0057】
本発明の一実施形態によると、内部電極ペーストに含まれる共材は、添加剤元素がドーピングされた誘電体を含むことにより、添加剤元素を共材にドーピングさせずに別途の添加剤で内部電極ペーストに添加した場合、または添加剤を表面にコーティングした誘電体共材を内部電極ペーストに添加した場合に比べて誘電体層の界面部に添加剤元素を均一に分布させることができる。
【0058】
本発明の一実施形態とは異なって、共材において添加剤元素がチタン酸バリウム系化合物にドーピングされず別途で存在する場合は、内部電極の焼成過程において添加剤が共材または誘電体層を形成する母材誘電体主成分に完全に固溶されないため偏析として存在する可能性がある。この場合、内部電極の連結性を低下させ、誘電体内の電気的特性を悪化させる二次相を形成して容量及び信頼性の低下をもたらすおそれがある。
【0059】
しかし、本発明の一実施形態のように、内部電極ペーストより焼成温度が高い共材として添加剤元素がドーピングされた誘電体を用いる場合、内部電極の焼成過程における添加剤の偏析及び添加剤による二次相の生成が抑制されて、容量の低下を防止し、信頼性を向上させることができる。
【0060】
また、焼成過程において内部電極とセラミックグリーンシートとの界面に押し出された共材は、セラミックグリーンシートに含まれた化合物とともに誘電体層を形成して誘電体層の誘電損失を減らし、信頼性を向上させることができる。
【0061】
上記添加剤は、カルシウム(Ca)、原子価アクセプタ元素、及び希土類元素からなる群より選択される一つ以上の元素であることができる。
【0062】
上記原子価アクセプタ元素はマグネシウム(Mg)及びマンガン(Mn)のうち一つ以上を含み、上記希土類元素はイットリウム(Y)、ガドリニウム(Gd)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、ユーロピウム(Eu)、エルビウム(Er)、イッテルビウム(Yb)のうち一つ以上を含む。
【0063】
共材21にカルシウム(Ca)がドーピングされる場合、耐還元性が高くなり、酸素空孔の移動を抑制させて信頼性を向上させることができる。
【0064】
共材21に原子価アクセプタ元素(Mg、Mn)のうち一つ以上がドーピングされる場合、還元雰囲気焼成時に誘電体が還元されて半導体化することを防止することができる。
【0065】
共材21に希土類元素(Y、Gd、Dy、Ho、Eu、Er、Yb)のうち一つ以上がドーピングされる場合、希土類元素がチタン酸バリウム系誘電体のAサイト及びBサイトですべて置換されることができるため、焼成中にバランスを維持することができ、これにより、積層セラミック電子部品の信頼性を向上させることができる。
【0066】
本発明の一実施形態によると、
図3に示されているように、上記誘電体層は誘電体グレイン(Grain)11を含み、上記誘電体グレインはコア部11a、及び上記コア部を覆うシェル部11bを含むコアシェル構造を有することができる。
【0067】
本発明の一実施形態によると、上記界面部に含まれた誘電体グレインは、コア部における添加剤元素の含量よりシェル部における添加剤元素の含量が高くてもよい。
【0068】
本発明の一実施形態によると、上記誘電体層は、厚さ方向において一層の誘電体グレインで形成されることができ、一層の誘電体グレインで誘電体層が形成されても、コア部における添加剤元素の含量よりシェル部における添加剤元素の含量が高くてもよいが、本発明はこれに制限されない。
【0069】
また、一層の誘電体グレインで誘電体層が形成される場合、シェル部において、界面部に該当する領域における添加剤元素の含量が中央部に含まれた領域における添加剤元素の含量より高くてもよい。
【0070】
上述の通り、内部電極ペーストに含まれた共材が焼成工程において内部電極とセラミックグリーンシートとの界面に押し出されて誘電体層を形成する場合、上記共材を形成する添加剤がドーピングされた誘電体は、上記セラミックグリーンシートに含まれた誘電体粉末を覆うことで誘電体グレインのシェル部を形成することができる。
【0071】
これにより、本発明の一実施形態によると、界面部111bに含まれた誘電体グレインのシェル部は添加剤がドーピングされた誘電体を含み、上記誘電体層の界面部に含まれた誘電体グレインのシェル部における添加剤の含量はコア部における添加剤の含量より高くてもよい。
【0072】
内部電極ペースト及びセラミックグリーンシートの焼成工程において内部電極ペーストから抜け出さない共材は、焼成後の内部電極内に残存して絶縁劣化の発生を減少させることができる。
【0073】
本発明の一実施形態によると、焼成後の内部電極にトラップされた共材の平均サイズは1〜200nmであることができる。
【0074】
再び
図1及び
図2を参照すると、セラミック本体に含まれた上部及び下部カバー層は、単一または2つ以上の誘電体層を活性層の上下面にそれぞれ上下方向に積層して形成されたものであるとみなすことができ、物理的または化学的ストレスによる内部電極121、122の損傷を防止する役割を行うことができる。
【0075】
第1外部電極131及び第2外部電極132は、セラミック本体110の両端部にそれぞれ配置されることができ、第1内部電極121及び第2内部電極122が露出する端部とそれぞれ電気的に連結されてキャパシタ回路を構成することができる。
【0076】
これに制限されないが、上記外部電極は、導電性物質として銅(Cu)を含むことができる。また、これに制限されないが、外部電極131、132は、ガラスをさらに含むことができ、導電性物質及びガラスを含む外部電極用ペーストによって形成されることができる。上記外部電極用ペーストにおいてガラスはガラスフリットの形態で含まれることができる。
【0077】
上記外部電極は、上記外部電極用ペーストを焼成して形成されることができる。
【0078】
本発明の一実施形態によると、厚さ方向においてカルシウムの濃度が異なる誘電体層を含むことにより、容量が高く、誘電損失が低く、信頼性に優れた積層セラミック電子部品を提供することができる。
【0079】
図4は本発明の一実施形態の積層セラミック電子部品に含まれた母材主成分及び添加剤元素の濃度を説明するために、
図3のL1−L2線に沿って母材主成分及び添加剤元素が有することができる濃度分布を概略的に示すグラフである。
【0080】
図4の(a)は母材主成分の元素が有することができる濃度分布を示す。上記母材主成分の元素はバリウム(Ba)及びチタニウム(Ti)であることができる。
【0081】
図4の(a)に示されているように、誘電体層は、位置とは関係なく母材主成分元素を比較的均一に含み、内部電極内において共材が配置された領域から母材主成分元素が検出されることが確認できる。
【0082】
図4の(b)は内部電極ペーストに添加される共材に含まれ、上記誘電体層を形成するための誘電体スラリー(またはセラミックグリーンシート)には含まれない添加剤元素が有することができる濃度分布を示す。
【0083】
この場合、
図4の(b)に示されているように、共材が配置された領域において添加剤元素が検出され、誘電体層の界面部において添加剤元素が検出されることができる。このとき、上記添加剤元素は、誘電体層の厚さ方向の中心部では検出されないか、微量検出されることができる。
【0084】
誘電体層の界面部において検出される添加剤元素は、焼成過程において内部電極ペーストに含まれた共材が抜け出して誘電体層の界面部の一部を形成して検出されることができる。
【0085】
図4の(c)は内部電極ペーストに添加される共材に含まれる添加剤元素が誘電体層を形成するための誘電体スラリー(またはセラミックグリーンシート)にも含まれる場合、添加剤元素が有することができる濃度分布を示す。
【0086】
この場合、
図4の(c)に示されているように、共材が配置された領域において添加剤元素が検出され、誘電体層内においても添加剤元素が検出される。
【0087】
ただし、
図4の(b)の場合と異なって、焼成前の誘電体スラリーに添加剤元素が含まれているため、誘電体層の厚さ方向の中心部において添加剤元素が検出される。
【0088】
しかし、この場合も、上記内部電極ペーストに添加される共材に含まれる添加剤の濃度は、焼成前の誘電体スラリーに含まれた添加剤の濃度より高いため、内部電極ペーストに含まれた共材の一部が誘電体層の界面部を形成する場合、誘電体層の界面部における添加剤の濃度が誘電体層の中心部における添加剤の濃度より高い。
【0089】
また、
図4の(b)及び(c)の場合、両方とも焼成後の誘電体層に含まれた添加剤の平均濃度より上記共材に含まれた添加剤の平均濃度が高い。
【0090】
図5は本発明の他の一実施形態による積層セラミック電子部品の製造方法を示す順序図である。
【0091】
図5を参照すると、本発明の他の一実施形態による積層セラミック電子部品の製造方法は、チタン酸バリウム系粉末を含むセラミックグリーンシートを設ける段階(S1)、上記セラミックグリーンシート上に添加剤元素がドーピングされた共材を含む内部電極ペーストを塗布する段階(S2)、上記内部電極ペーストが塗布されたセラミックグリーンシートを積層して積層体を形成する段階(S3)、及び上記積層体を焼成してセラミック本体を設ける段階(S4)を含む。
【0092】
上記複数のセラミックグリーンシートを設ける段階(S1)は、チタン酸バリウム系粉末を含む誘電体スラリーをキャリアフィルム上に塗布及び乾燥して形成することで行われることができる。
【0093】
上記セラミックグリーンシートは、上記共材に含まれる添加剤元素を含まないか、含んでも共材に含まれる添加剤元素より低い濃度で含まれて焼成後の誘電体層において濃度勾配を形成する。
【0094】
本発明の一実施形態によると、上記共材に含まれた誘電体母材に対する添加剤元素の濃度は、上記セラミックグリーンシートを形成する誘電体スラリーに含まれた誘電体母材に対する添加剤元素の濃度より高い。
【0095】
上記内部電極ペーストを塗布する段階(S2)は、内部電極を形成するためのペーストを上記セラミックグリーンシートに印刷することで行われることができるが、内部電極パターンの形成方法はこれに制限されない。
【0096】
上記内部電極を形成するためのペーストは、電極物質を用いることができ、これに制限されないが、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、またはこれらの合金を含むことができる。
【0097】
本発明の一実施形態によると、上記内部電極ペーストは共材を含み、上記共材は誘電体層で求められる物性に応じて添加剤がドーピングされた誘電体を含む。
【0098】
上記添加剤は、カルシウム(Ca)、原子価アクセプタ元素、及び希土類元素からなる群より選択される一つ以上を含むことができる。
【0099】
例えば、上記共材は、カルシウムがドーピングされたチタン酸バリウム(Ba
1−xCa
XTiO
3)であることができる。これに制限されないが、上記xは0.01≦x≦0.2であることができる。
【0100】
本発明の一実施形態によると、内部電極ペーストに含まれる共材の粒径は1nm〜50nmであることができ、好ましくは1〜30nmであることができる。
【0101】
上記共材の粒径が1nm未満である場合、焼成過程において、内部電極ペーストに含まれた導電性物質(例えば、ニッケル)間のネッキング(necking)を抑制する効果がわずかであるため内部電極の連結性が低下しかねない。
【0102】
また、上記共材の粒径が50nmを超過すると、焼成過程において、内部電極ペーストに含まれた共材が内部電極とセラミックグリーンシートとの界面に速く押し出されて内部電極の焼結抑制の機能を順調に行わないため内部電極の連結性が低下しかねない。
【0103】
上記共材の粒径が1nm〜50nmである場合、内部電極の連結性が向上し、これにより、積層セラミック電子部品の誘電特性が向上することができる。
【0104】
焼成過程において界面に押し出されない共材は内部電極内に残存するようになる。焼成後の上記内部電極内にトラップされて残存する共材の粒径は、焼成過程中に共材間の粒成長のため1〜200nmであることができ、より好ましくは1〜100nmであることができる。
【0105】
次に、上記内部電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートを積層して積層体を形成する(S3)。また、上部及び下部カバー層を形成するために、内部電極パターンが形成されないセラミックグリーンシートを内部電極パターンが形成されたセラミックグリーンシート積層体の上部及び下部に積層することができる。
【0106】
その後、上記積層体を焼成して内部電極及び誘電体層を含むセラミック本体を形成(S4)することができる。
【0107】
本発明の一実施形態によると、セラミック積層体の焼成工程前に、上記積層体を圧着し、内部電極パターンの一端が切断面を通じて交互に露出するように個別チップの形態で切断する工程をさらに含むことができる。
【0108】
本発明の一実施形態によると、上記積層体の焼成工程において内部電極ペーストに含まれた共材の一部が内部電極とセラミックグリーンシートとの界面に抜け出してセラミックグリーンシートとともに誘電体層を形成することができる。
【0109】
これにより、上記誘電体層の界面部における添加剤の濃度は上記誘電体層の中央部における添加剤の濃度より高く形成されることができる。
【0110】
本発明の一実施形態によると、焼成プロファイルを制御して、内部電極ペーストに含まれた共材の20〜80%が焼成過程において内部電極ペーストから抜け出して誘電体層の一部(主に界面に配置)を形成し、残りの共材は内部電極内に残存することができる。
【0111】
例えば、焼成過程の一定領域において急速昇温することにより、内部電極に含まれた電極物質と共材の焼結性の差異を用いて内部電極ペーストに含まれた共材が界面に抜け出すのを円滑にすることができる。
【0112】
図6は焼成後の積層体を切断して内部電極及び誘電体層の断面を観察した透過電子顕微鏡(TEM)の写真である。
【0113】
焼成中には内部電極ペーストに含まれた共材が内部電極と誘電体層との界面に押し出されることができる。
【0114】
図6を参照すると、焼成が完了した後、共材を形成する添加剤がドーピングされた誘電体は、グリーンシートに含まれた誘電体グレインのシェル部に吸収されて誘電体層を形成することが確認できる。
【0115】
続いて、上記セラミック本体の外部面に外部電極用ペーストを塗布して外部電極を形成することができる。上記外部電極用ペーストの塗布は上記セラミック本体を外部電極用ペーストにディッピング(dipping)して行われることができるが、これに限定されない。
【0116】
本発明の一実施形態によると、上記外部電極用ペーストは、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、金(Au)、銀(Ag)、またはこれらの合金を含むことができるが、本発明はこれに限定されない。
【0117】
上記外部電極は、セラミック本体に塗布された外部電極用ペーストを焼成して形成されることができる。
【0118】
その他、本実施形態による積層セラミック電子部品の製造方法に関する説明のうち上述した本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品と重複する説明は省略する。
【0119】
<実験例>
実施例1)カルシウム(Ca)が10%ドーピングされたBCT粉末(Ba
0.9Ca
0.1TiO
3)を含む内部電極ペーストを製作した。また、チタン酸バリウム(BaTiO
3)粉末を含む誘電体原料粉末に、焼結助剤、バインダー及びエタノールなどの有機溶媒を添加し、湿式混合して誘電体スラリーを設けた後、上記誘電体スラリーをキャリアフィルム上に塗布及び乾燥してセラミックグリーンシートを形成した。
【0120】
次に、上記BCT粉末を共材として含む内部電極ペーストを上記セラミックグリーンシートに印刷した後、内部電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートを積層することで積層体を形成し、上記積層体を圧着及び切断した。
【0121】
その後、切断された積層体を加熱してバインダーを除去した後、高温の還元雰囲気下において焼成してセラミック本体を形成した。本焼成過程では、一定領域において急速昇温して内部電極ペーストに存在するBCT粉末(共材)が、内部電極が焼結されることにより、内部電極と誘電体層との界面に押し出されるようにし、BCT粉末が押し出されてからセラミックグリーンシートが速く焼結されるようにすることにより、内部電極とセラミックグリーンシートとの界面に押し出されたBCT粉末が誘電体層の中央部に拡散しないようにした。
【0122】
上記のような方法で得られたセラミック本体の両端面にガラスフリット及び銅を含む外部電極ペーストを塗布及び焼成して、内部電極と連結される外部電極を形成した。
【0123】
比較例1)カルシウム(Ca)がドーピングされないBaTiO
3(以下、BT)粉末を共材として含む内部電極ペーストを製作した。BCT粉末の代わりにBT粉末を内部電極ペーストに共材として混合したこと以外のすべての条件は実施例1と同一にした。
【0124】
比較例2)カルシウム(Ca)が3%ドーピングされたBCT粉末を誘電体原料粉末としてセラミックグリーンシートを製作した。その他の条件は比較例1と同一にした。
【0125】
図7aは本発明の実施例1によって製造された積層セラミック電子部品を切断して内部電極及び誘電体層の断面を観察した透過電子顕微鏡(TEM)の写真であり、
図7bは
図7aのline 1の領域を矢印方向に分析してカルシウム(Ca)の検出量を示すEDS(Energy Dispersive Spectroscopy)line profileの分析結果を示すグラフである。
図7bに示されているように、実施例1による積層セラミック電子部品の誘電体層は、内部電極に隣接した界面部においてカルシウム(Ca)が多量検出され、誘電体層の中央部においてカルシウム(Ca)が少量検出されることが確認できる。
【0126】
下記表1は上記実施例1、比較例1及び比較例2によって製造された積層セラミック電子部品に対して誘電率(相対誘電率)、誘電損失(DF)及び絶縁破壊電圧(break−down voltage、BVD)の特性を測定して示すデータである。
【0127】
常温誘電率及び誘電損失はAgilent 4284Aで1KHz、1Vの条件下において測定された。BDVはKeithely測定器で測定し、0Vから1.00000VずつSweep方式で電圧を印加して、電流値が10mAになる瞬間の電圧値をBDV値として測定した。
【0129】
上記表1を参照すると、内部電極に隣接した誘電体層の界面部においてカルシウム(Ca)の含量が高い実施例1の場合、誘電体層がカルシウムを含まない比較例1または誘電体層がカルシウムを全体的に含む比較例2に比べて高い誘電率を示す。これにより、積層セラミック電子部品の容量が上昇することが確認できる。
【0130】
また、実施例1の場合、誘電体層の全般にカルシウムが存在する場合(比較例2)に比べて誘電損失(DF)が減少する。
【0131】
なお、誘電体層がカルシウムを含まないか(比較例1)、誘電体層の全般にカルシウムが存在する場合(比較例2)に比べて絶縁破壊電圧が向上することが確認できる。
【0132】
実施例2)カルシウム(Ca)が10%ドーピングされたDyドーピングされたBT粉末(Ba
0.99Dy
0.01TiO
3)を含む内部電極ペーストを製作した。また、チタン酸バリウム(BaTiO
3)粉末を含む誘電体原料粉末に、焼結助剤、バインダー及びエタノールなどの有機溶媒を添加し、湿式混合して誘電体スラリーを設けた後、上記誘電体スラリーをキャリアフィルム上に塗布及び乾燥してセラミックグリーンシートを形成した。
【0133】
次に、上記DyドーピングされたBT粉末を共材として含む内部電極ペーストを上記セラミックグリーンシートに印刷した後、内部電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートを積層して積層体を形成した後、上記積層体を圧着及び切断した。
【0134】
その後、切断された積層体を加熱してバインダーを除去した後、高温の還元雰囲気下において焼成してセラミック本体を形成した。本焼成過程では、一定領域において急速昇温して内部電極ペーストに存在するDyドーピングされたBT粉末(共材)が、内部電極が焼結されることにより、内部電極と誘電体層との界面に押し出されるようにし、DyドーピングされたBT粉末が押し出されてからセラミックグリーンシートが速く焼結されるようにすることにより、内部電極とセラミックグリーンシートとの界面に押し出されたDyドーピングされたBT粉末が誘電体層の中央部に拡散しないようにした。
【0135】
上記のような方法で得られたセラミック本体の両端面にガラスフリット及び銅を含む外部電極ペーストを塗布及び焼成して、内部電極と連結される外部電極を形成した。
【0136】
比較例3)ジスプロシウム(Dy)がドーピングされないBaTiO
3(以下、BT)粉末を共材として含む内部電極ペーストを製作した。DyドーピングされたBT粉末の代わりにBT粉末を内部電極ペーストに共材として混合したこと以外のすべての条件は実施例2と同一にした。
【0137】
下記表2は上記実施例2及び比較例3によって製造された積層セラミック電子部品に対して誘電率(相対誘電率)、誘電損失(DF)及び絶縁破壊電圧(break−down voltage、BVD)の特性を測定して示すデータである。
【0138】
常温誘電率及び誘電損失はAgilent 4284Aで1KHz、1Vの条件下において測定された。BDVはKeithely測定器で測定し、0Vから1.00000VずつSweep方式で電圧を印加して、電流値が10mAになる瞬間の電圧値をBDV値として測定した。
【0140】
上記表2を参照すると、内部電極に隣接した誘電体層の界面部においてジスプロシウム(Dy)の含量が高い実施例2の場合、誘電体層がジスプロシウム(Dy)を含まない比較例3に比べて高い誘電率を示す。これにより、積層セラミック電子部品の容量が上昇することが確認できる。また、絶縁破壊電圧が向上することが確認できる。
【0141】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有するものには明らかである。
(項目1)
複数の誘電体層と、
前記誘電体層上に配置され、内部にトラップされた共材を含む内部電極と、を含み、
前記共材は、添加剤がドーピングされた誘電体である、積層セラミック電子部品。
(項目2)
前記共材は、添加剤がドーピングされたチタン酸バリウム系誘電体である、項目1に記載の積層セラミック電子部品。
(項目3)
前記共材は、カルシウム(Ca)、原子価アクセプタ元素、及び希土類元素からなる群より選択される一つ以上がドーピングされた誘電体である、項目1または2に記載の積層セラミック電子部品。
(項目4)
前記共材は、原子価アクセプタ元素のうち一つ以上及びカルシウム(Ca)が共ドーピングされた誘電体である、項目1から3のいずれか1項に記載の積層セラミック電子部品。
(項目5)
前記共材は、原子価アクセプタ元素のうち一つ以上及び希土類元素のうち一つ以上が共ドーピングされた誘電体である、項目1から4のいずれか1項に記載の積層セラミック電子部品。
(項目6)
前記共材は、希土類元素のうち一つ以上及びカルシウム(Ca)が共ドーピングされた誘電体である、項目1から5のいずれか1項に記載の積層セラミック電子部品。
(項目7)
前記共材は、原子価アクセプタ元素のうち一つ以上、希土類元素のうち一つ以上、及びカルシウム(Ca)が共ドーピングされた誘電体である、項目1から6のいずれか1項に記載の積層セラミック電子部品。
(項目8)
前記誘電体層は前記共材に含まれた添加剤と同一の添加剤を含み、
前記共材に含まれた添加剤の平均濃度は、前記誘電体層に含まれた添加剤の平均濃度より高い、項目1から7のいずれか1項に記載の積層セラミック電子部品。
(項目9)
前記誘電体層は前記共材に含まれた添加剤と同一の添加剤を含み、
前記誘電体層は、厚さ方向の中心部における前記添加剤の含量より前記内部電極に隣接した領域における前記添加剤の含量が高い、項目1から8のいずれか1項に記載の積層セラミック電子部品。
(項目10)
前記内部電極の全体断面積において前記共材が占める断面積は3%〜20%である、項目1から9のいずれか1項に記載の積層セラミック電子部品。
(項目11)
前記共材の平均サイズは1〜200nmである、項目1から10のいずれか1項に記載の積層セラミック電子部品。
(項目12)
誘電体層を含むセラミック本体と、
前記セラミック本体内において前記誘電体層上に配置され、内部にトラップされた共材を含む内部電極と、を含み、
前記誘電体層は、厚さ方向において添加剤の濃度勾配を有する、積層セラミック電子部品。
(項目13)
前記誘電体層は、前記内部電極に隣接した界面部と、前記界面部の間に配置される中央部と、を含み、前記界面部における添加剤の濃度が前記中央部における添加剤の濃度より高い、項目12に記載の積層セラミック電子部品。
(項目14)
前記誘電体層は、内部電極に隣接した界面において厚さ方向の中心部に行くほど添加剤の濃度が次第に減少する、項目12または13に記載の積層セラミック電子部品。
(項目15)
前記添加剤は、カルシウム(Ca)、原子価アクセプタ元素、及び希土類元素からなる群より選択される一つ以上を含む、項目12から14のいずれか1項に記載の積層セラミック電子部品。
(項目16)
前記共材は、添加剤がドーピングされた誘電体である、項目12から15のいずれか1項に記載の積層セラミック電子部品。
(項目17)
前記共材は、添加剤がドーピングされたチタン酸バリウム系誘電体である、項目12から16のいずれか1項に記載の積層セラミック電子部品。
(項目18)
前記共材は、カルシウム(Ca)、原子価アクセプタ元素、及び希土類元素からなる群より選択される一つ以上がドーピングされた誘電体である、項目12から17のいずれか1項に記載の積層セラミック電子部品。
(項目19)
前記共材は、添加剤がドーピングされた誘電体であり、
前記共材に含まれた添加剤の平均濃度は、前記誘電体層に含まれた添加剤の平均濃度より高い、項目12から18のいずれか1項に記載の積層セラミック電子部品。
(項目20)
前記内部電極の全体断面積において前記共材が占める断面積は3%〜20%である、項目12から19のいずれか1項に記載の積層セラミック電子部品。
(項目21)
前記共材の平均サイズは1〜200nmである、項目12から20のいずれか1項に記載の積層セラミック電子部品。
(項目22)
複数の誘電体層と、
前記誘電体層上に配置され、内部にトラップされた共材を含む内部電極と、を含み、
前記誘電体層及び共材は添加剤を含み、前記共材に含まれた添加剤の平均濃度は前記誘電体に含まれた添加剤の平均濃度より高い、積層セラミック電子部品。
(項目23)
前記共材は、添加剤がドーピングされた誘電体である、項目22に記載の積層セラミック電子部品。
(項目24)
前記誘電体層は、前記内部電極に隣接した界面部と、前記界面部の間に配置される中央部と、を含み、前記界面部における添加剤の濃度が前記中央部における添加剤の濃度より高い、項目22または23に記載の積層セラミック電子部品。
(項目25)
前記添加剤は、カルシウム(Ca)、原子価アクセプタ元素、及び希土類元素からなる群より選択される一つ以上を含む、項目22から24のいずれか1項に記載の積層セラミック電子部品。
(項目26)
チタン酸バリウム系粉末を含むセラミックグリーンシートを設ける段階と、
前記セラミックグリーンシートに、添加剤がドーピングされた共材を含む内部電極ペーストを塗布する段階と、
前記内部電極ペーストが塗布されたセラミックグリーンシートを積層する段階と、
前記積層されたセラミックグリーンシートを焼成して内部電極及び誘電体層を含むセラミック本体を形成する段階と、を含む、積層セラミック電子部品の製造方法。
(項目27)
前記共材の一部は、焼成過程において、内部電極ペーストから抜け出して誘電体層を形成する、項目26に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
(項目28)
前記内部電極ペーストに含まれた共材の20〜80%は、焼成過程において内部電極ペーストから抜け出して誘電体層の一部を形成する、項目26または27に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
(項目29)
前記誘電体層は、厚さ方向において添加剤の濃度勾配を有する、項目26から28のいずれか1項に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
(項目30)
前記共材は、カルシウム(Ca)、原子価アクセプタ元素、及び希土類元素からなる群より選択される一つ以上がドーピングされた誘電体である、項目26から29のいずれか1項に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
(項目31)
焼成後に、前記共材に含まれた添加剤の平均濃度は、前記誘電体に含まれた添加剤の平均濃度より高い、項目26から30のいずれか1項に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
(項目32)
前記共材の平均サイズは1〜50nmである、項目26から31のいずれか1項に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
(項目33)
コアシェル構造を有する複数の誘電体グレインを含む複数の誘電体層と、
前記誘電体層上に配置され、内部にトラップされた共材を含む内部電極と、を含み、
前記共材は、添加剤がドーピングされた誘電体である、積層セラミック電子部品。
(項目34)
前記誘電体層は添加剤をさらに含む、項目33に記載の積層セラミック電子部品。
(項目35)
前記誘電体グレインに含まれた添加剤の含量は、コアシェル構造のコア部よりシェル部においてさらに高い、項目34に記載の積層セラミック電子部品。
(項目36)
前記誘電体層は、共材に含まれた添加剤と同一の添加剤を含む、項目34または35に記載の積層セラミック電子部品。
(項目37)
前記添加剤は、カルシウム(Ca)、原子価アクセプタ元素、及び希土類元素からなる群より選択される一つ以上を含む、項目36に記載の積層セラミック電子部品。
(項目38)
前記共材に含まれた添加剤の平均含量は、前記誘電体層に含まれた添加剤の平均含量より高い、項目36または37に記載の積層セラミック電子部品。
(項目39)
前記添加剤の含量は、誘電体層内において内部電極に隣接した領域が誘電体層の中心部より高い、項目36から38のいずれか1項に記載の積層セラミック電子部品。
(項目40)
前記内部電極の全体断面積において前記共材が占める断面積は3%〜20%である、項目33から39のいずれか1項に記載の積層セラミック電子部品。
(項目41)
前記共材の平均サイズは1〜200nmである、項目33から40のいずれか1項に記載の積層セラミック電子部品。
(項目42)
それぞれの前記誘電体層は、単一層の誘電体グレインで形成される、項目33から41のいずれか1項に記載の積層セラミック電子部品。